別記様式第5号
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
報告番号 博
(
医歯薬)
甲第1344
号 氏名 武田 啓太学 位 審 査 委 員
主 査 栁原 克紀
副 査 濱野真二郎 副 査 泉川 公一
論文審査の結果の要旨 1 研究目的の評価
結核の診断では核酸増幅検査が有用であるが、問題点として菌量が少ない 検体の前処理において菌濃縮、回収が不十分であることが挙げられる。検出 感度上昇のために菌濃縮および回収効率を高める前処理法の開発が必要で ある。誘電泳動(Dielectrophoresis: DEP)は電極内に高周波をかけて細胞内脱分 極を誘導し、菌体を捕捉する方法である。この手法を用いた前処理法が核酸 増幅法の検出感度上昇に寄与できるかを検討しており、目的は妥当である。
2 研究手法に関する評価
初めに
DEP
前後の検体の菌量を測定することで捕捉率を算出し、最適なDEP
の条件を決定した。菌量は定量的real-time PCR
で16S rRNA
遺伝子を標 的とするprimers (MTB-F
とMTB-R)
を用いて測定した。次にM. tuberculosis var. BCG
培養液で、loop-mediated isothermal amplification (LAMP)法を施行し、
10
回連続で陰性結果を示した最小希釈検体 (1/5,000, 理論濃度 103cfu/ml)を
用い、DEP
の有用性を評価した。この手法は妥当である。3 解析・考察の評価
DEP
法は周波数100 kHz
において捕捉率が最も高かった。従来の
LAMP
法で10
回連続陰性の結果であった検体においてDEP
法を用 いた前処理後にLAMP
法を施行した結果、10
回中8
回で陽性結果が得られ、検査感度は有意に上昇した(p=0.0007)。DEP法を用いた濃縮法は菌量が少な い検体における核酸増幅検査の検査感度上昇に寄与することが期待される。
以上のように本論文は結核の診断に貢献するところが大であり、審査委員 は全員一致で博士(医学)の学位に値するものと判断した。