• 検索結果がありません。

技術教育に於ける視覚機器の効果について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "技術教育に於ける視覚機器の効果について"

Copied!
15
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

207

技術教育に於ける視覚機器の効果について

広瀬正美・四辻征雄・川崎晴通

§1ま え が き

 著者らは先に中学校に於ける技術教育についての目的ならびに現釈を考察し,その在る べき姿を検討した。その中で,まず最初に中学校に於ける技術・家庭科なる教科の誕生に 至る経過を考え教科の目的を明確にした。その結果,多くの疑問点はあるが,技術革新の 世界的情勢のもと,おくればせながら我国に於いても,科学技術教育の一環として誕生し た教科であるという結論をえた。それ故,この教科はすべての生産技術の基礎となる科学 的法則,原理をもとにした科学技術の習得をその主な目的としたものである。我々はこの 教科を生産技術ならびに生活に関係ある消費技術をも含めたあらゆる基礎的技術に関して その根本となる自然科学的法則ならびに原理までの「分析」と,それら自然科学的法則,

原理から組立てられた基礎的技術を理解する過程すなわち,新しい技術を創造する 「総 合」という両方の過程を反復思考,経験,訓練することがこの教科の第一の目標であると いう結論をもった。もちろん技術のもつ社会科学的な側面より,技術の価値の理解もこの 教科の目的であり,科学・技術と生産との相互関係の理解を必要とすることは論をまたな い。しかし,今この問題についてはここでは触れないことにする。

 以上のようにこの教科の主たる目的を定義したが,さらに昭和44年の学習指導要領の改 訂時期に際し,前述の「分析」と「総合」のそれぞれの,過程の反復思考,経験,訓練を 実際に中学校の教材として取扱われている金属加工の領域に適応し,それを展開しながら 実際の指導についての方針を具体的に示した。

 このような「分析」,「総合」の思考実践能力の養成を主な目的とする教科であるとい う認識のもとに,この教科の現状についてさらに深く検討した。その結果,中学校の技術 教育の実状はなお技能中心の物作り主義的な考え方をはじめとする多くの問題点を持って いる。このような多くの問題点を一つ一つ根気よく解決する以外には技術教育の根本的な 改善は出来ない。しからば,この多くの問題点は教科の目的,具体的教材についての展開 にだけとどまらず,さらに広範囲にわたって教科をとりまく教育環境部件の実態について 考えてみる必要がある。

 現在中学校の技術科教育は資質の低い教師,貧弱な施設と設備によってかろうじて運営 されていると云っても過言ではない。担当教師は大部分が旧職業科の免許所有者であり,

短期間の実技講習をへて技術科を担当しているのであるから意欲的に自己研修を積み重ね て来た者を除いては他教科に比べて資質の低いことは否定できないし,技術科教育の本質 の理解をも困難と考えられる。また設備の点から考えても特別教室が中規模程度の学校に おいて一つあればよい方で木工,金工,機械,電気等学習内容に応じた特別教室は望むべ きもない。また動力機械については,一種類1〜2台あればよい方でとても40〜50名の一 斉授業に見合ったものではない。

 つぎに,最近取りあげられている教育機器の問題にしても,他教科が大いに活用し成果

をあげているにもかかわらず,技術科はそこまで力及ばず立おくれているのが現状ではな

(2)

208 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

かろうか。

 そこで,まず他教科がその教科の目的を明確にし,さらに教科の構造化,現代化と精力 的に努力を重ね,多くの教科教育学的研究がなされ,その成果をあげているのを範例とし て我々は当面この教科として何に取組むべきかを考えなければならない。また中学校の技 術教育にとどまらず広く一般的な技術教育の面からも考える必要がある。

 近年にいたり各種の教育機器が開発され,学校教育の場においてもまた各種の技能訓練 施設においてもこれらの教育機器の利用度が高まり,いまや教育工学という一分野を形成 するに至った。これらの教育機器のうち学習者の理解をたすける視覚機器としては以前か ら幻燈スライド,映画フィルム等があり,近年にいたり,0・H・P,.V・T・Rなどが使用 されるようになった。技術科の学習指導には動的状態を観察理解させなければならない内 容も多い。しかし,一般には教師の示範により行っているが,40〜50人の一斉観察では不 徹底のおそれもあり,また学習管理の面からも懸念がある。動的状態を観察理解させるた めの機器として映画,V・T・Rなどがある。 V・T・Rは教育予算の現状ではまだ高価で一 般的でない。これに対し映画とくに8%窺映画はアマチュアの影響もあり撮影機,映写機と

もに精巧なものが安価に供給されるようになり,また画面もシングルフィルムの採用によ り一学級の学習に必要な大きさが得られるようになった。そこで,中学校の技術科の授業 で「のこびき」の技能についての指導を8㎜フィルムを使用した場合の教育効果におよぼ す影響について検討した。

§2題材の選択と実験のための授業について

 中学校の技術科の学習内容は指導要領に示されているように製図,木材加工,金属加 工,機械,電気,栽培の6領域に限定されている。教育効果の検討にはできるだけ既往の 学習の影響が少ないということから,今回は1年次の木材加工領域をとりあげ,とくにそ の中でも基本的事項であり,その一連の動作は生徒個人の技能的要素を表わしやすいとい

う考えから,両手による「のこびき」をとりあげた。これはまた評価が比較的短時間でで き,経費の点からも多くの生徒について準備しやすいし,加えて実験を行った学校の進度 と頂度一致したことにもよるものである。

 そこで,まず授業に使用するための8㎜フィルムの作製を行ったが,そのフィルムの編 集方針は以下のような観点で行った。

 (1)引きはじめの案内一…最初ノコ身が墨つけ線上を安定して往復するように左手の親 指(爪)か人さし指をあて引き溝ができるまで案内をする。

 (2)ノコのにぎり方……柄は手のひらと柄との間にすき問ができるように握り,小指,

薬指に特に力を入れるようにする。また左手でノコ身に近い部分,右手で柄の端を握る。

 (3)姿勢……両眼でノコ身の左右両面が見えるようにし,材料とノコ身は直角であるこ と。この時身体の中心線が墨つけ線,ノコ身の線と一直線をなすような姿勢をとる。

 (4)力の入れ方……引く要領であるが,後方の手(右手)に主動性をもたせ,前方の手

(左手)は補助的に使う。無理な力を加えず,ノコ身の重さで自然にくいこむようにし腕 だけでなく肩の力をぬいて全身で引く。引く時に力を加え押す時には準備動作として力を

ぬき一定のリズムをとるようにする。

 (5)ノコ身の使い方……引きはじめはノコ身の元の方をつかって引き溝を作るが途中で

(3)

技術教育に於ける視覚機器の効果について(広瀬・四辻・川崎) 2eg

は刃渡り全体を使って能率的に引く。

 (6)引きこみ角……今回の材料は厚さ15郷勿のラワン材である。墨つけ線通りに切断した いため最初にある程度角度を小さくすれば抵抗も小さくなり曲がらないようにひける。

(その角度は約15。である。)途中では能率を考え,30。程度とする。

 (7)材料の固定……台の上に左足で材料を固定し両手で引く。つまり,左足を前にし,

三つけ線の左側に平行におき,できるだけノコ身に近ずける。この際,段などを「あて留 め」に利用すると良い。

 (8)早さ……リズム的な動きが必要であるし,1回の動作を1.5秒ぐらいにする。

 以上のような観点が生徒にはっきりと理解できるように8π窺フィルムを作成し編集し た。つぎは,教師三山授業の方針は,これもフィルムの編集方針と同じ観点で,生徒達が

8つの要素を理解できるように留意した。

 出来た作品は直線度,直角度,切り口を観点に評価することを実習の前に指摘した。

§3 授業の実施方法について

 以上のような準備のもとで,8%窺フィルムを映写しながら「のこびき」の要領を説明す る授業(以下8㎜フィルム示範授業という)および,教師が示範しながら「のこびき」の 要領を説明する授業(以下教師示範授業という)を実施した。対象とした実験学校は市内 の某市立中学校と附属中学校とを選んで実施した。今これをそれぞれA校とB校とする。

A校は全生徒数1,400名程度であり,1学年が11組480名の市内では2番目に大きい規模の 学校である。B校は生徒数750名程度で,1学年が5組の中規模の学校である。今,実験 のための授業を行ったクラスはA校1年11組の23名と,B校1年1組の45名でこの2クラ スに8π窺フィルムを用いて「のこびき」の8㎜示範授業をし,A校1年1,2組46名のク ラスで教師示範授業をした。実際に行なった授業の方法は以下の指導案によって示す。

   実験のための指i導案

表1 実験のための指導案

団授業過程(8㎜フ・ルム禰授判授業羅(教師示範授業)陣時間

① 導

1膿コ

④ 実

① 木材を加工する工具の申で「の  こぎり」について学習することを  確認させる。

② 木材の概念,特に繊維があるこ  とを理解させる。

③「のこぎり」による切断のしく

 み,その申で特に縦びきと横びき  の歯型の違う理由について理解さ

 せる。

④ 以上の理解に立って,木材の切  断実習をさせる。

 (板材,両手びき)

 5入ずつ前に出させ,一斉に切断

 実習をさせる。 (2回ずつ)

① 左欄に同じ

25分

25分

(4)

210 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第19号

目睡業羅(8・・フ…ム示鞭業)1

授業過程(教師示範授業)

髄時間

⑤示範指導

(両手びきによるのこびき)

⑥ 実

⑦ 整

   作が見えるように8㎜フィ    ルムに撮る。

⑤ 板材を両手で切断する場合の

 「のこびき」のしかたについて8  ㎜フィルムを見せながら途中説明  も加え指導する。 (8㎜フィルム  を2回見せる)

⑥ 再度切断実習をさせる。

 (2回ずつ)

翻④に同じ

⑦ 実習の結果悪かった点など話し  合い,学習の整理をする。

⑤ 板材を両手で切断する場合の  「のこびき」のしかたについて  教師四時で指導する。 (全員に

 見えるように実験机の上で2回

 行う。)

⑥左欄に同じ

》 悔

}5分

 このような方法で「のこびき」の授業を行った。その状態については写真1で表わして いる。また使用した板材は写真2に示したようなもので,厚さ15撚窺,巾150%π,長さ50肋π である。この場合実験のための授業を行なった1年生は共に木材についての基本的概念を 小学校である程度理解している。 しかし, ノコの原理およびノコのひき方など「のこび

き」については全く教えられていない。指導案の中に示しているように簡単な説明を25分 程度した後にひき方について何も指導しないでA校の11組23名は全員に,1,2組は2組 の25名に「のこびき」の切断実習をさせた。

 つぎにA校11組は8観フィルム示範,1,2組は教師示範の指導をそれぞれ20分間行な い,その後再度切断実習をさせた。またB校では1組45名を対象に8観フィルム示範によ る同じような実験のための授業をした。このようにして行った「のこびき」実習の評価は A校11組23名,2組23名の全員と,B校1組の45名については職業適性検査による成績と 技術科の学業成績とによって上,中,下の各段階から合計25名を抽出して選び,それぞれ の示範授業による指導の効果について行った。

 (1) 「のこびき」の動作の評価

 表2のようなチェックリストにより,実験者(教師)が実習中の被験者(生徒)を8要 素について○×△のチェックをすることにより評価した。

 ② 作品の評価

 作品(切断片のことで以下作品という)の評価は次の3つの観点からなした。写真3ω

(ロ)のにその評価基準を示す。

 ④直線度

 写真5㈹で示したように材料面上巾4忽πの太線をマヂックインクによって描き,切断し

たあどの太線の巾から上に3点,中に2点,下に1点と与える3段階に評価した。

(5)

技術教育に於ける視覚機器の効果について(広瀬・四辻・川崎)

2U 表2 チェックリスト

ひき方の要素\くく

切りはじめの案内 ノコのにぎり方 姿勢

力の入れ方 刃渡り全休をつかう 引きこみ角 材料の固定 速さ

P

前1後

×

×

×

×

×

×

×

G

前索

×

×

×

×

Q

訓後

×

×

×

×

×

×

×

×

×

S

前陵

×

×

×

×

×

×

B

前陵

×

×

×

×

×

×

計121715P13i415iワ13け

 ◎直角度

 作品に直角定規をあて,そのすき問の程度で前述同様に3段階に分類した。写真3(ロ)

 ⑳切り口の状態

 良否はその切り口の観察により3段階に分類した。 (材質により切り口の状態がちがう ことも考慮に入れた)写真3の

 また評価の客観性を増すためにチェックリストの評価と8㎜フィルムに収録した動作を 再現しながら評価した両者を比較して確認した。作品の評価についても同じ観点から5人 で別々に評価し結果を比べ確かめた。

 以上のような方法で指導の効果については実習中の要素動作の向上と作品の両方から評

価した。

 §4 実験結果とその検討  (1)作品と学業成績

 表3に作品の評価結果と学業成績との関係を示した。作品は前述の3つの観点から評価 した結果の合計点を上位から示した。学業成績はA校については1学期の中間,期末試験 の技術科の平均点を,B校については実力テストによる成績を上位から示した。

 この表から,作品の良否はいわゆる学業成績とは関係なく,学業成績が下位の者も技能 については決して劣っていない。

 (2)8%%フィルム示範授業の効果と特徴

表4に「のこびき」のひき方と懐旧についてそれぞれ示範前と示範疇の評価と,示範に よる向上,および各人の学業成績を示した。ひき方の評価は前述の8要素について○△印 1つを1点としその合計点を,作晶の評価は5つの観点から上3点, 中2点,下に1点 とし評価した点i数の合計点を示してある。また向上点は示範前と示範後の評価点の差であ

るQ

(6)

212 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

表3 作晶と学業成績

9(最高)

8

7

6

5

4

5(最低)

9(最高)

8

6

5

4

5(最低)

100−90

A

A 撃a

A B

A

B

90−80

A

A

A B

A

B B C

D

E

C

D

E

80一ワ0

A

A

B C

D

A

C

B D

A

C D

E

C D

F B F

G

HI J

K

G F

HI

K

ワ0−60

A

E F G

G F

E

A

F G

H

1

J

K

L

F G

KH

:L

I

J

B

:L

M

N

0

QTPS

R

M R L

N

O

S

Q P

60−50

A

H

A

M

N

O

}L

KL,

M

N

0

H L O

I

M

J

N

K

Q P R

S

R 0

N P

M Q

S

B

u V

u

V

50−40

A

P

P

A

T

u

V

T u V

B

W

W

40−50

A

Q R

Q

R

A

W

W

B

X Y

X

Y

A  A校示範  A  A校8麗窺 B  B校8㎜

 これらの結果から「のこびき」のひき方およびその作品について,8%窺フィルム回天授 業による効果と同じく教師片引授業による効果とを比較して見るに,ひき方が顕著(3点 以上)に向上した者は8観フィルム示範授業の方が14名で57%に相当しており,教師示範 授業では7名39%である。また作品についても1点でも向上した者は8㎜フィルム丁丁授 業の方が15名,65%である。つまり8㎜示範授業の方が「のこびき」のひき方という技能 の指導には効果がありそれも顕著に向上することが示されている。さらに詳しく考察して みると8㎜フィルム示範授業でひき方が顕著に向上した者の学業成績の平均点は64点であ

る。同じ授業形体であまり向上しない者(向上点が2点以下)のその平均点は57点であっ

た。つぎに教師示範授業では顕著に向上した者(3点以上)の学業成績の平均点は52点で

同じ授業形体で向上の少ない者(向上点が2点以下)の平均点は62点である。このことよ

(7)

       技術教育に於ける視覚機器の効果について(広瀬・四辻・川崎)

表4  ひき方と作品のそれぞれ示範前と示範後の評価点i数と示範による向上点および各人の学業成績

213

A校教師示範授業

氏  名

Q C

P R

G

M

H

F D

N

I J

E

K

A

O L B

ノコのひき方

示割櫛飾蝋

2 2

3 1

4

5 3

4 2

3

4

4

3 4 6

4 6 8

8

5

7 8

6

6

4 5

6

6

4 5 7

4

6

8

6

5

4 4

5

5

2 2 2 2 2

1 1 1

0 0 0

示舗示畷向上点

6

8

6

6 4

5

6

5

5 4 8

4 7

6

8

6

6

8 5

7

4

5

7

8

7

9

4

6

 0  0

−1

 1  0

 0

 1  2

 3  5  1

−5  0  2

学業成績

53

ワ6

45 55

6ワ

58 50

60

79

58 55 54

6ユ

54

ワワ

52 57

ワ9

A校8㎜示範授業

氏  名

A

N G P L S

B E C

V R

J

M

O

G

N

I

H

D

W

Q

T

K

ノコのひき方

櫛前i示繊向漁

2

5

5 2 5 5

3

2

5

5

3 3 5

4

5 5 5

5 6 5

5

6

8 8 8

7 7 7

6

7 8

7

「ア

7

8

4

8

5

6

5 5 5 4 4

4 4

4 4

4

4

3

5

2 2 2 2 2 2

1 1

一1

示割示繊向掠

5 8 8 5 5 4 5 4 7

6

8 4 4 7

8 5

6 6

7

4 8

6

8 8 9

6

4 4

5 8 6

6

5

9

8

8

9 6

8

6

7

5

 3  0  1  1

−1  0  2  1  1  0

−2  1  5  1

 1  1

 ].

 2  1  0  2

−1

一1

学業成績

5ワ

85 62 55 66

59

86蕾

ワ5 ワ5 4ワ 5ワ 6ワ 5ワ

54

60

59

65

69 ワ2

45

54 49

65

B校8㎜示範授業

氏  名 ノコのひき方

陣前1示鰍向蝋 X

A B H u R

S

T

MJ

E G P Y L Q V O

J

K

F D N

C

W

2

3

2

4

4 4 5 5

4 5

5 5 5 5

6 4

6 3

5

6

5

8

8

8

8

8

6 8 8

8

7

8 6

5

8 5

7 8 8 8

6

6 5 5

4

4 4 4 4

5 5 5

5

5

2 2 2 2 2 2 2

1 1 1 1 1

示範前

6

6

5

4

7 8 5 5

8

5

4

4 4 8 4 4

6

4 4

6 6 6

8

5

    示範後向上点   1

8 8

7

6 6

6 6

6

8 5 5

6

8

6

5

6

5

9

8

9

5

 2  2  4  2

−1

−2  1  1

 0

 0

 1  0  2  5  0  2  1  1  2  1  5  1  2  1  2

学業成績

5ワ

90 92

ワ2

5ワ 66 6ワ

65

6ワ ワ1

82

ワ4

61

58

69

67

54 61

ワ1

ワ1

ワ9

82 62 84 40

(8)

技術教育に於ける視覚機器の効果について(広瀬・四辻・川崎) 215

り,「のこびき」という技能の指導に8㎜フィルムを使用した授業は学業成績がある程度 上位の生徒に効果的であり,成績が中あるいはそれ以下の生徒の方は教師示範の授業の方 が効果的である。このことは8襯フィルムという視覚機器を使用した授業効果を現わす1 つの特徴を示していると思われる。

   表5 8㎜フィルム二三授業と教師三十授業での「のこびき」の要素動作の評価結果

A

A

8

B

8

切りはじめの案内 ノコのにぎり方 姿勢

力の入れ方 刃渡り全体をつかう 引きこみ角 材料の固定 速さ

   計

切りはじめの案内 ノコのにぎり方 姿勢

力の入れ方 刃渡り:全体をつかう 引きこみ角 材料の固定 速さ

   計

切りはじめの案内 ノコのにぎり方

姿i勢

力の入れ方 刃渡り全体をつかう 引きこみ角 材料の固定 速さ

   計

良くない者

前陵瞬数

ユ0

16 12

11

10

5 2 11

ワ5

10

16

14 18 18

8 2

!0

96

9 22

5

15

1ワ

5 9

15

91

0

9

4 4 6

1 1

4 29

0 0 4

3

12 0 1

5

23

2 2 5 4 5 0

0

21

10

8

4

2

1 7 46

10 16

10 15 6

8

1

ワ5

7

20 0 9

14 5

2

15

ワ0

中  間

前陵

2

1 6

6 5

6

5 58

6

5

8

4

5 4 4

2 56

10 2

6

6 2

1 8 3 58

0

1 9

8

5 1 5 54

2 2 10 16

8 2

5 2

45

1

2

5

5 5

0 6 0 22

良 い 者

前陵1勒数

5

1

0 0

2

10

10 2 50

5

4

1 1

0 11 1ワ

1!

50

6 1 16

6

6

2!

8

ワ1

18

5 5

2

13

16

ワ5

21

21  9  4  5

21 19

18 1!6

22

21 1ワ

18

1ワ

25 12 25 15ワ

15 6 5 5 0 5 6 5 43

16 1ワ

8

3 5

10 2

66

16 20

1

!2

11

4 4 18

86

改善数  十増加数

25 13 15 12 4

5

12

89

26

55 18 18  9 18  5 14 159

23

40

 ユ.

21

25  ワ  6 53

!56

(9)

216 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

 つぎに表5は8㎜フィルム示範授業と教師示範授業での「のこびき」の動作について収 録したフィルムを見ながら評価した結果である。横欄は,「のこびき」の要素動作を各 組,被験者全員について総計して示している。縦の欄は要素動作で良くない者つまり適切

な動作をしていない者,中間の者,良い者つまり正しい動作をしている者の3つに分類 し,それぞれ,示二二,二二後の人数で示した。また,改善数というのは良くない者が示 範後にへったi数を示し増加数は良い者が示範後,ふえたことを示している。

 上表により,8㎜フィルム示範授業で一番に良くなったひき方の要素は「ノコのにぎり 方」である。A校(33名),B校(40名)示範前は生徒はほとんど正しいにぎり方はしな い。これは単純な動作であるが,その知識がないためと思われる。それが示丁丁に正しい にぎり方をした。「ノコのにぎり方」の改善は教師示範授業後では13名しかいないのに比 べて,8㎜フィルム三三授業の効果の大きな特徴である。また同様に引きこみ角(A枚),

ノコ身全体をつかう(B校)については8㎜フィルム十二授業と教師示範授業の改善され た人数は,それぞれ13名,16名の差がありこれも視覚機器の特色を表わしている。

 (3) 「ノコ」のひき方と作品の関係

 両者の関係を表6に示す。横欄は「のこびき」のひき方の示範後(8%πフィルム示範授 業,教師丁丁授業の両者を加えた)の点数であり,縦の欄には示範後(前の場合と同じ)

の作品の評価結果である。 これによるとひき方と作品との間にはある程度の相関がみら れ,ひき方の良い者がやはり作品も上位に評価されている。

表6 ノコのひき方と作品との関係

フ 三 の ひ き

8

6

5

4

5

2

9

○○○

○○○

8

○○○

○○○

 ○

○○○

○○○

7

○○○

○○○

 ○

○○○

 ○

○○○

○ 6

○○

○○○

○○○

○○○

○○

○○

5

○○

 ○

○○○

○○

○ 4

○○

○○

5

 (4)ひき方の向上と作品の向上との関係

 ひき方の向上と作品の向上との関係を表7に示した。ここで,向上点とは示範前と示範

後の評価点の差で表わされている。

(10)

技術教育に於ける視覚機器の効果について(広瀬・四辻・川崎) 21ワ

表7 ひき方の向上と作品の向上との関係

の ひ

の 向

6

5

4

5

2

1

0

作  品  の  向  上

4

○ 3

○○○

2

 ○

○○○

○○

○○○

○○○

○ 1

○○

○○

○○○

○○

○○○

○○○

○○

○○○

0

○○

○○

○○

○○○

○○

○○○

一1

○○

一2

○○

 この表より,ひき方の向上と作品の向上との間には直接的な関係はない。つまり,引き 方が向上したからと言ってそれがすぐ作品の向上につながらない。これはまだひき方の訓 練の繰返しの回数が少ないために,合理的にやろうと注意力はひき方に集申し直ちに作品 の向上につながらない。つまり今までの自己流のくせを合理的なひき方に改善しても回数 が少ない段階では作晶の向上にはあまりつながらないといえる。ここに技能が反復訓練の なかで習得されて行くという一面をはっきりと示している。またここに技術科教育の一面 があるのではないか。

表8 ひき方の要素動作と作品の向上

「のこびき」の要素

切りはじめの案内 ノコのにぎり方 姿勢

力の入れ方 刃渡り全体をつかう 引きこみ角 材料の固定 速さ     計

作品の向上点

5

4

5 2

1

1 1

5 1

1

1

1

1 5

2 2

2 1 2

1 1

11

8

10

4 5

5

1 5

6 42

11 15

6 9

5

4

8

61

(11)

218 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

 (5)ひき方の要素動作と作品の向上

 作品が向上した者についてひき方の要素動作別に分折してみると表8のようになる。縦 欄に作品の向上した順を示し,その場合「のこびき」の要素の如何なる点が向上したかを 横欄に示した。前述のように作品の向上とひき方の向上とは直接的にはつながらない。し かし作品の向上した者(22人)についてひき方の要素別にみると,特異な傾向が見うけら れる。すなわち,前述の8つの動作要素は均等には作品の向上に影響がなく,影響の大き い要素と小さい要素がある。比較的上位の要素をあげるならば,

 ω切りはじめに案内をすること。

 ㈲ ノコのにぎり方を適切にすること。

 の 力の入れ方を正しくすること。

 ⇔ ノコの動かす速さを適切にすること。

などがあげられる。また,この傾向は実際の指導において要素動作を平板的に指導するの ではなく,重点的な要素の指導が必要であることを示唆している。

 §5結     論

 以上のように,技術教育改善の一環として,視覚機器を用いた技能の指導を行った。す なわち,8ππフィルム示範授業と教師示範授業による「のこびき」の技能の指導効果につ いて調べた。その結果は以下の通りである。

 (1)作品の良否は学業成績とは関係なく,学業成績が下位の者も技能は必ずしも劣って

いない。

 (2) 8襯フィルム示範授業による「のこびき」の向上率は教師示範授業のそれと比べる と高かった。とくに8%ηフィルム示範授業による向上率の高い者の学業成績は向上率の低 い者よりも高かった。それに比して,教師示範授業による向上者は学業成績の申位,下位 のものが目立った。

 また8篇卿イルム早耳授業により改善されたひき方の要素は「ノコのにぎり方」「引き こみ角」「ノコ身全体を使う」等である。

 (3) 「のこびき」のひき方と作品の閥には相関関係が見られ,ひき方の良い者がやはり 作品も上位に評価された。

 (4)ひき方の向上と作品の向上とは直接相関はない。すなわち,ひき方の向上は作品の 向上にはすぐに現われない。これは技能が反復訓練のなかで習得されて行くという特質か

ら当然のことだと考えられる。 ここに技術科教育の一面が現われているものと考えられ

る。

 最後に本実験のための授業を行うにあたり心よく協力をしていただいた山里中学校西村 宣光教諭,本学部付属中学校松本徹教諭,また実験のための授業の準備,実施に終始援助

していただいた古谷吉男,井上幸典両君に深く謝意を表します。

(12)

技術教育に於ける視覚機器の効果について(広瀬・四辻・川崎) 219

写真2 切断実習に用いた板材 (ラワン)

写真1 切断実習の状景

    (8鴛耀フィルムより)

(13)

220 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

上   (3点)

中  (2点)

     下   (1点)

写真3 (イ)作品,直線度の評価

(14)

技術教育に於ける視覚機器の効果について(広瀬・四辻・川崎)

(3点)

(2点)

    下  (1点)

写真3(ロ)作品,直角度の評価

221

(15)

222 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

上   (5点)

(2点)

     下   (1点)

写真3(ハ)作品,切り口状態の評価

参照

関連したドキュメント

「自然・くらし部門」 「研究技術開発部門」 「教育・教養部門」の 3 部門に、37 機関から 54 作品

オーディエンスの生徒も勝敗を考えながらディベートを観戦し、ディベートが終わると 挙手で Government が勝ったか

はじめに

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

社会教育は、 1949 (昭和 24