≪研究ノート≫
離 島 の 商 業・上
−地域商業論ノート(1)−
市川信愛
も く じ
1.視点・課題・対象
(1)基本視点
(2)研究課題
(3)対象地域とデーター
2.離島の経済構造 一長崎県について−
(1)概観;島の経済の構造変化
(2)実態分析
① 県下商業・サービス業の分布
㊤ 離島経済と商業の地位 <以下次号>
1.視点・課題・対象
(1)基 本 視 点.
地域商業研究への接近方法ないし分析用具の問題は,基本的には次のよう な,社会科学研究の常道に準拠すべきであろう。即ち,各地域で実地に調査 し,或いは必要に応じボーリング・サーベイを加え,そこで直面した問題=
現象をありのままにとらえ,そこから出発して,商品流通という視点から,
共通の概念や抽象的一般的法則ないし,本質を摘出し,体系化するという沈 潜=「下降法」をとり,ついで抽象的なもの一般的なものから,漸次浮上し て,具体的現実に接近していくという,「上向法」をとるべきであろう。換 言すれば,K.マルクスが具体的なものを分析するにあたって,たえず抽象 的なものをふりかえり,本質と現象,一般と特殊の関係を確認した方法に,
学ばなければならない1)。
商業とりわけ小売商業は,典型的な地域産業といえる。何故なら,特定地
100 経 営 と 経 済
域の小売商業は,その地域の経済的,社会的構造に強く規定されてのみ存立 しうるからである。
したがって,特定地域商業の構造分析は 2つの側面・視角からなされる 必要がある。一つはその地域がわが国経済の中で,如何なる地域経済として 規定され,その中で商業が如何なる構造的特質を与えられているか,歴史的 展開過程をも合めて分析しなければならぬ。いま一つは,わが国の商業構造 が,特定地域の社会経済構造を媒介として,いかに現象しているかという視 角である。
小論では,以上の基本視点に準拠しつつ,離島地域の商業を,地域商業研 究の第1のステップとしてとりあげ,その特徴的諸側面=現象にスポットを あて,そのIドに潜む一般性と特殊性,現象と本質の解明を試みる。今後の地 域商業の実証的研究ないし現状分析は,離島から順次他の典型地域へと及ぼ す予定である。当然試行と錯誤が予想されるのでノートとした所以でもあ る2)。
(2) 研 究 課 題
差当って小論の課題は,離島の商業が,それぞれの社会経済構造に規定さ れ,如何なる性格,特質を有するかを解明することにある。
ここでまず,容出II商業論からの通念的理解を整理し,課題をより明らかに しておこう口
離島地域は高度成長過程で,人口が流出し過疎状態になるなかで庖舗数は 横パイをたどり,そのため,離島地域商業における零細性,過多性が顕在化 することになるD 離島や僻地商業の典型的な問題点としての過多性と零細性 が指摘されながら肝れ3されず,むしろ再生産されるのは農村コミニティーが 崩壊していくなかで,古い人間関係が,依然として小零細商業を支えている 基盤のーっとなっているからである。
古い社会関係を保ちつつ,独占資本の市場支配網の中に離島僻地の市場‑も とらえられ,その末端部分として,古い人間関係が利用されるD そのパイプ としての役割をもちつつ残存しているのが,小零細商業であるO それは多く
の中小商業論者が指摘される如く,彼等には一般的成長の余地は与えられ ず,手Ij潤率の平均化への参加も許されない存在である3)
彼等は,元入金を基礎とする経営=生業であって企業ではない。量的な規 定では,従業員規模が 1‑‑‑‑2人のところが零細商業の最も基底になる経営 である。概念規定は,従業員1,.....,2人を基底に3,.....,4入居を付け加えた階層 まで拡げてもよいであろうo
確かに資本主義経済体制を自由な競争原理,市場と価格のメカニズムの貫 徹としてとらえる限り,独占資本の支配の下に地域商業は組み込まれ,直接 間接の収奪をうけるO それは,貧困と低位安定性の地域経済循環構造の中で 再生産されるD 後進地域=離島地域はいわば,そのフキダマリとして空間的 に配置されたものであり,ある種の住み分けに,ほかならないといってよい であろうo換言すれば,彼等はわが国資本主義の発展の不均衡の中で生みだ された落し子であり, 日本的潜在失業,偽装失業=半失業のー形態にほかな らないとされる。
だが以上の指摘は単に離島商業にとどまらず,都市の小商人,家事サービ スを含むあらゆるサービス業,小企業,家内工業など,種々な形態と程度に おいて存在しているのである。これらの半失業者群を,近代化,工業化のた めに動員することは,いつの時代にあっても大きな関心事であった。我が国 高度経済成長期にあっては,構造政策の名のもとに,農業,および商業の近 代化が促進され,階居分解を推進することにより,排出された労働力を主と して,工業部門に吸収しようとする試みがなされ,一応の成果を~;IJl めた4) 。 従って,現存する小零細な離島地域の商業はこの論理による限り,資本の吸 引からの脱落者,落ちこぼれということになるのであろうo
だが近年,中小零細商業を,階!日的把握のほかに,前述した如き地域経済 構造とのかかわりの中でとらえ,再評価しようという一連の試みがある。小 論の課題も,それへのー挑戦といってよい5)。
(3) 対象地域とデーター
小論で検討を加える対象は,前述したとおり主として長崎県下の離島地域
102 経 営 と 経 済
の商業であるO それに関する最近のデーターは,官庁統計では1"事業所統 計J(53年), 1"商業センサスJ(54年〉等が,当面利用可能であるが,ここで はとくに長崎県商工会迎合会が,中小企業庁の助成の下に行った「小規税事 業特別推進事栄」調査結果を用いるD これは昭和52年度から54年度まで,県 下の全商工会地区の小規模事業者6) 主に商業を営むメンバーを対象として 行った詳細な実態調査結果で,筆者は調査の設計から実施と解析に至る3ヶ 年間を一貫して関与することとなったものであるD 恐らく商工会が昭和35年 にスター卜して以来初めての大がかりな調査事業であったといってよい。し かも,この事業は,全国各都道府県の商工会地区について,同じ時期にほぼ
3年間で一巡する方式で進められたことでも特色があるO
そもそも,従来小規税事業を対象とした調査や研究は極めて少く,せいぜ い商工会,国民金融公庫,あるいは中小企業庁や,特定地方自治体の研究機 関(大阪,北海道,愛知)等で,散発的に行われる程度にすぎなかった。こ のように小規税事業に関する資料が少いこともあって,ほとんど全国一斉に スタートした,今次実態調査が,逐次公刊され始めたことは,従来のブラン クを埋めるものとして注目すべきである。
尚,この調査の特徴は,上からの回一的な調査フオームないし,調査項目 を提示することなく,地域の実態にそった「地域経済問題」を主体的にとり あげるという「地域主義」的方式をとった点でも従来の調査とニュアンス7)
が具っているO
勿論,調査の対象地域は商工会地域(鹿山漁村が主)に限られ,被調査者 は,傘下の組合員=小規模事業者や,それと関連する地域住民=消費者ない
し事業所であった。
従って,各連合会がとりあげた「地域問題」に関する調査研究テーマは,
各地域が直面する課題を反映すると同時に,地域課題の質と呈及び各地での 対応の状況を, うかがうことができるD 参考まで全国商工会連合会の中に設 けられた,当該事業の連絡調整機関である「地域活動推進問題研究会」の 中間報告(1979年3月)から,テーマ設定の状況をみると,次の如くであ るD
〈テーマ) (実数) (構成)
商 業 問 題 (42) 58.33タ6
(27) 37.50%
大 型 庖 問 題 (15) 20.83%
地 域 開 発 ー 振 興 問 題 (21) 29.175ぢ
観 光 開 発 ( 8) 11.11%
過 疎 開 題 ( 7) 9.72必
町 づ く り ( 4) 5.5696
交 通 問 題 ( 2) 2.7896
地 場 産 業 問 題 ( 9) 12.5096
上記課題の設定にみられるとおり,商工会地域の小規模事業者が,大部分 小零細商業者であることから,商業に関する問題が全課題設定中ほぼ6割近 くを占めている。本県の場合も商工会傘下の小規模事業者中,会員構成の主 メンパーである商業とサービス業(食堂を含む〉を対象とし,詳細な調査を 行ったが,初年度版の『小規模事業特別推進事業報告書j] (53年3月)に詳 細にふれたごとく,その内容は,小規校事業者の経営実態と大中型庖, E2漁 協ストアーの影響調査を中心におき,併せて地域の概況,環境調査を関係機 関の協力(主として商工会所在の地方自治体)の下に行うという 3つの部門 にわたるものであった。
ともあれ 3年間同一フオームで実施されたことにより,はじめて長│崎県 下の離島地域内業の実態が明らかとなり,相互に比較研究が可能となったの である。当面は,上記データを中心に分析する。
なおここで「離日」についての通念的理解ないし分類を, r離島振興法」
(昭和28年制定)に準拠してふれておこう。
離日は,隔離=遠隔性と品iliFi!という自然的属性の複合した用語だが,同法 では,本土との距敵,品l真相互間の地理的関係などから次の6類型に分類さ れているo
ア,内海本土近肢型離日(内近型と略称,以下同じ) イ,外海本土近 t~?r1離 i"2ï (外近型)
104
ウ,群島の中の主島たる離島(群主型) エ,群島の中の主日以外の属品(群馬型) オ,孤立した大型離島(孤大型〉
カ,孤立した小型離島(孤小型〉
経 営 と 経 済
この6類型にもとづいて,九州の有人離島(人が居住するもの〉を表示す れば表I‑ 1のごとくである。九州では,長崎県が島唄数,そこに住む人 口,世帯とも第l位であり,次が烏i興数では鹿児島県,人口では熊本県が第 2位にランクされるo 小論で、は, とりあえず離振注の離島概念に準拠する が,離島概念の経済的吟味は小論の課題ではないが,必要に応じふれること
としたい8)。
表1‑1 九州地区県別,類型別 }:Jií~ 島の数と世帯・人口
県 別 │ 内 近 │ 外 近 │ 群 主 │ 群 馬
l
孤 大 │ 孤 小l
合 計 │ 世 帯 │ 人 口福 岡 7 1 8 ,1113 I 4,21'1
佐 賀 3 5 8 314 1,500
長 崎 1 19 7 31 3 61 82,016 293,819 熊 本 15 3 15 33,213 123,166
大 分 2 4 1 7 2,482 9,114
宮 崎 3 3 501 2,005
鹿児島 4 2 1 2 12 21 24,203 16,368
合 計 │ 123 11削 22¥肌 ω
注国土庁資料による。 (53年調べ)
2. 離 島 経 済 の 構 造 一 長 崎 県 に つ い て ー
(1) 概観;J誌の経済の構造変化
上表は,離島振興法の適用をうけている烏11興で,長崎県は61白を有する が,それ以外を含めると,実に537の品艇があり,その面積は1,839 . 6 k ,lIr 海岸線延長4,014肱にのぼるD うち,人の住む島81,その面積1,804. 3kIrlで, それぞれ15.1%,98.196に当るC 有人民はむ数では少いがその面積は広い。
因みに県土全休に!~める割合は,市都で 44.896 ,離振法指定 j;3では 43.4タム
人口,世帯で18.896であるD
これらの島々を大別すると,志岐Li,対応白,五日列島,平戸諸島,西彼 諸島,その他からなり,島~良数,面積,人口世帯は表 1‑21こ示すとおり で,一見して離島県長崎の島唄群別にみた構成が伺われる。
表1‑2 島 自 民 群 別 概 況
区 l島 唄 数 │ 而 杭k d l r r f / 3 5 │
金
分 総 数 I有内人島I指内定島科山 Tえ
' 1 1
指内一定一 人指数口 (50¥ド〉対 馬 島 ( 人
99 8 5 709.4 706.4 52,472 14,760 75.4 74. :3 壱 岐 島 29 7 6 138.5 138.2 41,871 10,395 82.9 302.S 平 戸 諸 島 113 22 20 300.1 276.9 63,200 16,448 70.3 228.:? 五 島 列 島 120 20 18 636.3 619.1 104,277 30,134 72.4 168,1 西 彼 諸 島 42 14 12 1 41.91 39.31 32,0591 10,3491 40.8 813.1 403 71 61 叫1,780.01293, 四 回 細 川 165. J
その他の島 134 10
メ日入 計 1‑‑;37 81 61 11,839.6: 1,780.0
(注) 長崎県i粧品振興課『長崎県間島便覧.!l (53~ド 3 月)より作成
島唄の数では,五島列島が首位にあるが,有人島及びpJffij民法の指定品数で は平戸諸島の方が多い。
面肢では,対馬島が指定島についてももっとも広く 2位の五印列島を80 knl近くこえているo
逆に,人口,世帯では,五島列島が断然群:をぬいて多く 10万 人 を こ え る が,人口密度では,西彼諸島が県下離島平均の5倍という高さを示す。対応 島の密度は反対に際立って低くく,過疎化がもっとも際立っているo
35~50年の人口の推移は,おしなべて減少をたどるが,西彼諸 J3 が急減,
壱岐出の減少率はもっとも少い。
以上の概観から,以下の離島問における呈的な差異,ないし35年以降のわ が同経済成長期に,人口,世叫,人口密度に変動をうけたことが推奈される が,同表ば定i主的な現公しか;15ってくれないでそこで,表1 ‑ 3にみるよう に,日!Þ.日の産 ~~1:lf!S f.或による:Bm~r~ 化を行つだ c 同表は(注)に示すとおり,ヌ11
H00
前島市町村の経済類型による分類 区
表1‑3 分
1;1 オバ FlJ
「従「混│:lJj;l:l:lJJ1:111lJd
日昼「FUA ;l‑
午lllfJillIljlil;lIlJJlJJlijl;JillJ11l:;:;li
散時作詩訴
(注)長崎県離島振興課『長崎県離島便覧~(53年3月)より作成 ① 第l次GH2次,3次も同じ)産業が就業人口の70%以上の島を,第l次(第2,第3次)の島とする。 同様に50‑‑‑‑‑6996のものを第l次(第2,第3次)に準ずる島とし,それぞれ「主Jr従」と表示する。 第1---~S 3次のどれにも50%以上の従業者のない烏を混合型の島とし「混」と表示する。数字はすべて離 島の帰属する市町村ごとに集計しであるので,離島を有する市町村が36ある乙とになる。
②
第3次産業別に70必以上の単一産業就業者のものを「主産業」とし, 50""' 69%のものを「従産業J,30‑‑‑‑‑‑4996のものを「混合型」として分類した。
いうまでもなく,離島の産業構造は,そこに賦存する資源や労働力のみで はなく本土=後背地との関係によって決るロそれを象徴的に示すものは,交 通条件,交通体系であり,後背地との経済的距離であるO 交通手段のありょ うそのものが,離島における資本主義の発展のシンボノレということができ るD この条件は,一応拾象したままで,離島の経済類型について検討を進め ょう。
同表にみるように,離島の産業は第1次産業が70必をこえるものが35年に は半数に達していた。いうまでもなく,それらはすべて,良栄と漁業の組み 合せであるo ところが高度成長期をへた50年には, 19島から2烏に10分の l 程度に急減してしまった。基幹産業における地核変劫が離島をゆり劫かした
ことが知られる。だが第l次産業が完全に後退したのではない。主から従へ の転移が進んでいるotg 1次産業を従としたJ誌が10から17へ1.7倍公増して いる。だが,主と従を合せた数は, 35年の29島から50年には19日にI?,えり,混 合型を加えても, 30島から24島へ減退した。
次に,第2次産業が7096をこえる3つの島は,いずれも石炭を主とする鉱 業の品であるo 35年当時の3島が,エネルギ一市命をへた今日 2島にとど まったことは注目してよい。だが石炭,採石を従とする島を加えても,第2 次産業の島は 6島から 3島に半減しているD
留意されねばならぬのは, 35年当時全くみなかった第3次産栄の烏が,主 産業ではなく従産業ながら, 50年に5島出現し,更に混合型ながら第3次に 傾斜したものが 4島加わっていることである。第 3次産業の内容は,いう までもなくサービスと商業,運輸業であり,離日の観光にまつわる部門が多 い。混合型に属する23島も,大なり少なり,第3次産業の肥大化傾向とい う,日の経済構造の決定的変化を内包しているのである。
第1次産業を主とする島のあるのは,平戸諸島のみである。自他ともに民 業の日と自負し,かつて米を日外に移lHしたことのある壱岐民でさえ, !;f11 次を主とする地区が日jえているO ただ従,混合についても,壱岐のみはその
108 経 営 と 経 済
中心はやはり第 1次産業なのであるo
平戸諸島は,かつて石材の島をもったが,ここはめずらしく第l次への傾 斜をー一主たる島は減少しながらも一一基本的に強めつつある。
対馬島と五島列島は,ともに類似した傾向をたどり,第 1次産業の後退と 第3次産業の比重の増加が進んでいるD
最後に西彼諸島は,もともと鉱業の日が主流を占めていた中に,それに代 替するものとして第3次産業が台頭しているが,九州で数少いピルド鉱をか かえ,第 l次産業もあり,多殺な従タイプのjるから構成されている。
以上の如き,離島経済構造の地核変動の進行は,その要因の解明とりわけ 第3次産業の内容にメスを加えることを迫っている。以下,項を改めて,そ の宍態に検討を加えよう。
(2) 実 態 分 析
① 県下商業・サービス主主の分布
では次に, 53年長v山県下事業所の分布を市郡別にみようD 事業所の6割強 と従業者の 7割が市部 lこ所在している。そのうち従業員規校 1‑‑‑‑‑‑4人の小零 細事業についてみると,県平均で7296を占めるが,市部より郡部の方がその 比重は高く,小零細事業は市部に多いことを示す。従業者数については反対 の傾向がみられるo Q;平均の2096に対し,市部は平均以下であるのに, ~lfJ部 は平均を5.7ポイントも上回っている。(表1‑4参照)
また,小写組事業所の分布は, ZF業所数,従業者数のいずれにおいても,
全事業所の分布に比べ郡部の比重が相対的に高い。従って小規校事業は,市 部よりもお部により多く偏在していることが推察される。だがその分布密度 は1kni当り事業所数及び従業者数(ともに総数)をとってみると,郡部は 市部のそれぞれ4分のlな い し5分 のl以 下 に す ぎ ず , め て 分 散 的 で す
らあるC なお郡部のうち, VJffi島ないし離島を抱える町は半数をこえる。
つぎに離日別にみると,事業所数では 1"""'4人の小零細居の比重はおしな べて高く~11でも五日列島と口、北の平戸諸島に守細経営が多い口西彼と壱岐,
対馬ばTF':部平均をやや下回っているものの,全体の4分の3は小零細経営で、
表1‑4 小零細事業者の割合と商業・サービス業者の割合の相関でみた 長崎県下市町村数
区 分 I~竺三二ビス知事業所に占める割合|合 計│構 成
断以上 170~附 1 60-70必 1 6悩未満 I ~ ~I
I
ω11‑M※ 8 ! 14 6 2 I 30
; J
経 ω 5 )I ー)Iωlω2)人 I70~ 9 17 8 2 36
屑180労 (1) 1 8 ) 1 ー)1 (ー)1 (9)1 (12.5)
事.卜一一一ト一一一一‑1‑‑‑‑‑‑‑‑‑
事 │ ※
5122?-lJE-l-?と1--=斗い I-~竺I-~主
剖 │ 今 I18 I 35 I 14 5 I 72
合 │ 計 I ‑‑( 7) I ‑‑(18) I ‑. ( 5) I (ー)I ‑‑(30) I (41.6) 構成 25.0 1 48.6 I 19.5 I 6.9 I 100 I
5 l61 (9.7) 1 (25.0) 1 (6.9) 1 一)1 (41.6) I
(注) 53年「事業所統計J長崎県より作成 ※の80%以上には90%以上はない
※※の7096未満の下限は6696ま で ( )は離島市町村の数
ある。一方,従業者の割合では,長崎市近郊の西彼諸島の陶汰が進んでいる ほかは,離島における小零細経営のウエイトは 3割台とおしなべて高い。 47
‑‑‑‑53年の動向では,県・市・郡平均が増加するなかで,離島は対馬をのぞき 軒なみ減少し,従業者は,西彼を除くといずれも増加し,経営数と従業者数 の動きに反対の傾向が認められるD 偽装失業・半失業・潜在的失業者の増大 を裏うちするものといってよいであろう口 (表1‑ 5参照〉
さらに注目されるのは,離品関係町村36のうち, 21 (6096弱)の町村が,
その事業所の8割以上を小零細事業所で占められているから,同じ郡部でも 離島,僻地ほど,小零細事業所の溜り場となっているo
したがって,国民経済というマクロ的烏服から,地域経済というミクロの 場に祝点を転ずれば,小規民事業者の果す役割と地位は,より重要なものと なって,クローズアップされてくるのであるO しかも,僻地,離島といわれ る後進性の強い地域ほど,小規?見事栄者の比重は正一日く,彼等の活動の重要な 搾台となっているのであるo そして,その小規問事染者(非農林水産業)の 構成は,大部分が小零細な商業とサービス栄で占められている口
110 経 営 と 経 済
表1‑5 長崎県下事業所(小零細事業)の市郡別分布 (53年)
│
総 数 h… 耳 目 割 人 合 ド 1krrl ~ !]一
長
il口聞 の 5増3年減区 分 事業所数I従業者数事業所数l従業者数 業所数(従業者数 業所数
i
従業者数 事業所i
人! タ6 96l県 計 76,285 i548, 590 I 72. 0 I 20.2 18.22 I 122.92 6.9 6.2 市 部 (62.6)1 (70.2)1 69.3 1 19.2
(60.2)1 (61.9) 37.90 1285.48 10.2 4.5 主官 部 (37・5)1 (29・8)[ 76.9 I 25・9〉 9.65 I 52.10 1.8 10.6
(39.8)1 (38.
対 馬 島 (3.8) (2.3) 75.3 31.9 4.09 18.28 2.1 4.1
壱 岐 島 (2.8) (1.7) 75.0 32.9 15.62 68.69 ム0.7 7.6
平戸諸島 (4.2) (2.7) 79.4 32.3 11. 72 53.26 ム2.8 2.8
五島列島 (6.8) (3.9) 79.5 34.1 8.38 34.88 ム0.6 6.4
西彼諸島 (1.2) (1.3) 74.5 18.1 23.76 188.7 ム1.0 ム18.1
(注) ①53年「事業所総計」長崎県より,従業者には家族従事者を合む。
( ) は県計に対する割合。
②脚注の「小規故事業(者)Jの規定では,1‑‑‑.... 4人規校は商業,サービス業 に限られ,それ以外は1‑‑‑....19人規模とされている。ここでは統計の制約か ら全事業所を1‑‑‑....4人規模で区分せざるをえなかったので,とくに「小零 細事業(者)Jとして,前者と区別して呼ぶこととした。
@離島関係市町村数は次のとおり。対馬島6町,壱岐島4町,平戸諸島3rp 5町,五島列島l市10町,西彼諸島7町
こ の こ と を 検 証 す る た め に , 市 町 村 別 に1'"'‑'4人 の 小 零 細 事 業 所 の 割 合 を 横 軸 に と り , 商 業 , サ ー ビ ス 業 の 占 め る 割 合 を 縦 軸 に と っ て 両 者 の 関 係 を 示 したものが図1‑ 1で あ る 口 一 見 し て 明 ら か な ど と く , 離 島 ( 一 部 本 土 僻 地 を 含 む ) の 町 村 は , 右 上 側 に 片 よ っ て お り , 小 零 細 事 業 所 の 多 い と こ ろ ほ ど,商業サービス業のウエイトが高い。
%
90T図Iー 1 市町村別小規模事業と商業・サービス業割合との相関
‑江迎 外j毎・ x高島
80
.J措穏 ノハ南有家 X三井楽
/ x 伊王島 j、 佐 々 / 一 回 平 ・ ・ ・ 吉 井 / 知 尾 崎 戸
・大瀬戸 ・佐々・松浦西海・/x.x小値賀 X鷹島 深江・ X美津島 玉〈浦X・加津佐
・長与 ・国見 X大島
郷ノ浦 X厳原 ・円ノi掌・北有馬
I吾 妻 r奈留
・香焼 愛野・ x x大島 ハ・;::_~~; x勝本
・琴海 ・ 西 彼 / 芝生否認 /長illX有 川 胤 ×新魚目
・多良見 ・ 東 彼 杵 / X豊玉 X峰 .!i!i盛×生月町竺日 ×上保
1.̲・..̲Hl草加者
I X上対馬一.,.‑‑‑.
X宇久
・千々石子¥
・高来 ¥ ¥
・川棚 ¥ × 徳 島
・南串・布津 ・森山 70
‑小佐々
~IlI ";"1 60
制Z
e
在 者* 跡 事 時 r<
U 令 耕150 橿
‑鹿町・有家
‑時津
.本土市町
凡IX離島町村 { 総理府「事業所統計」
例 I(53年)長崎県庁より
‑小長井
‑西有家
‑有明
[ し 作成
︒ ‑波佐見
4
70 80 90%
1‑4人規模事業所の割合 ::;::0
112 経 営 と 経 済
一 一 < 脚 注 >
1) 森下二次也「流通論ノートJ(u森下二次也還暦記念論文集』所収, ミネJレヴア書房 1976年〉
2) 同じ意図の実証的研究は,各地に試みられているが,差当り,渡辺重彦編『日本の 小容細企業』上.下,日本経済評論社, 1977年2月,および,向坂正男監修『変貌す
る地域と経済J],新評論, 1980年3月所収の諸論文参照。
3) 糸園辰雄『日本中小商業の構造J], ミネノレヴアー書房, 1975年
4) とのことを背景に,林周二『流通草命論J] u同新論J],いずれも改造新書, 1962~
64年が,一時期,時流にのったことは記憶に新らしい。
5) 我国では,清成忠男,田島碩夫らの一連の論考と実証的研究に代表される。また,
玉野井芳郎に代表される地域主義集談会に参集する研究者,実務家,ジャーナリスト の人達の主張や運動も,その中に合ましめてよいであろう。
海外では,シューマッハ Smallis Beautiful",オーダム&モーア共著" Ame rican Regionslism"は著名である。
6) 小規模事業者とは, i中小企業基本法J(1962年), i商工会法J(1960年 〉 に よ る と,商業,サービス業では従業員規模(家族従業者を含む)5人以下,それ以外は20 人以下と規定されている。指定統計・はそれぞれ, 4人, 19人以下で集計されるので,
両者には若干の朗自百が生じる。
7) 地域主義(Regconalism)
フランスにおける地域理論の導入といわれるが,未だ統ーした規定はない。小論で は, i一定地域の住民が,その風土的個性を背景に一体感を持ち,地域の行政,経済,
文化の独立性を追求すること。」ととりあえず規定しておく。
8) 河地貫一『離島地理学J](合冊・抜刷集), 1967年参照。
く未完>