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養護学校小学部における音楽の取り組みとその実際

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(1)

養護学校小学部における音楽の取り組みとその実際

 本 多 えつ子

(1986年11月5日受理)

霊.はじめに

 精神薄弱児は一般的に音楽好きであるとか,リズムに反応しやすいとか言われている。本校小学部児 童もその傾向が見られ,学習時に期待感をもって集合したり,学習開始を待っていたり,終了時には満 足そうな表情で次の学習へと移動する様子が見られる等,活動のひとつひとつに意欲的である。しかし,

歌っていても,言語不明瞭さ,音域の狭さなどから音程が正しくとれる児童は少なく,身体表現をして も経験の少なさによるぎこちなさや表現の方法を理解できずにためらいのある場面がある。まして情緒 面に問題をもつ子は,学習の場に移動することや集団に参加することに不安があり,安定した状況を維 持することが難しく,個別的なかかわりを必要としている。

 そうした中で,本校のこれまでの指導をふまえ,精神薄弱児の能力や特性にできるだけ即した年間指 導計画の作成と,児童の状態をより適切に把握することをねらった実態調査のチェックから,小学部児 童の音楽指導の実際を述べることにする。

2.音楽科の取り組みと児童の実態  (1)取り組みの基本

 音楽好きであるといわれ,大きな声で歌ったり,にこにこした表情で楽しそうに楽器をならしている 児童の一人ひとりを見ると,ダウン症候群,てんかん,情緒不安定等,障害は多様である。従って能力 差も著しく,学習の場を十分意識していないA児,多動的であるために個別指導の教師と共に学習参加 するが,歌にはよく反応しながらも数分後には戸外で自由遊びをしてしまうB児,かなり高度な曲やリ ズムを短時間で習得して表現するC児と,1年から6年までの学年差と経験差を配慮した指導を展開し なければならない。

 昨年度までは,学級音楽と全体音楽として編制し,週日課にそれぞれ1時間(一40分)ずつ位置づけ て実践した。この結果,学級単位で行うには少人数のよさが,全体で取り組むには,子供同士の刺激が たくさんあるよさがあったが,歌などは,耳慣れたり歌い続けることで定着が図れたり,身体表現でも 動作のひとつひとつが確実になったり自由な表現が見られる等,活動も全体の方が広がるという反省が 出された。これを基に本年度は,月曜から金曜までの5日間,毎日20分間を帯状に充てることで,児童 の興味・関心の持続,技能の向上,毎日取り組むことに慣れ,生活のリズム作り,学習の見通し等の価 値を見い出そうとし,歌唱,身体表現,器楽,鑑賞の各領域を具体的に教材化して児童に与えていくこ

とにした。

 教科としての音楽の目標と内容は学習指導要領には以下のように掲げられている。一音楽の表現や 鑑賞によって,音楽についての興味や関心をもたせ,その楽しさを味わわせる。その内容として,(1)音

(2)

楽を楽しく聴く,②音楽に合わせて,簡単な動作や自由な身体表現をする,③打楽器や簡単な旋律楽器 の初歩的な奏法に慣れ,それを使って簡単な合奏をする,(4)みんなと一緒に歌ったり,一人で歌ったり する。一これらより,歌唱は,いろいろな音楽教材に親しませ,子供の音への共感をより多く,より広げ,

身体表現では,個々の身体を通し,音楽を個や集団で表現する仕方を学ばせる。すなわち,集団で音楽 あそびをする楽しさや,集団で表現したり創作したりする喜びを多く味わわせ,経験させていく。さら に,器楽では,楽器の正しい使い方,取り扱い方といった理論や技術の細かい点にこだわらずに,生活 に密着した,生活から広がる音楽を生かすことにふれさせる。理論の苦手な子供たちであるから,意欲 と感性を大切にした取り組み方をさせたい。

 以上の事柄を基本に週日課の帯状の時間帯(10:30〜10:50)で学習が展開されるが,能力差が大き く,大集団であること等に対応して数名の指導者によるティームティーチングとし,毎日の生活のリズ ムを大切にし,繰り返し学習することの大切さ一マンネリ化しないようにしなければならないが一 をふまえ,学習の展開を同じにしたり,単純な,かつ基本的な動作等を身につけ,技術中心にならず,

意欲を大切にし,心の表出・表現になるように指導上留意した。

 ② 児童の実態

 音楽には敏感に反応する,すぐ踊り出す,手拍子を打つ等のよさを呈していながらも,実態をさらに 見ると,かなりのばらつきがある。確かに,積極的に取り組んでいるし,意欲的でもある。それは,児 童の「音楽やろうよ」という誘いかけや,気に入った歌を何回も繰り返したいという要求をしたり,飽 きずに楽器をならしたりという面から知ることができる。しかし,音程正しく歌えるか,リズムが正確 に表現できるか,フレーズごとに動きを変えることができるかというと能力の程度は相当低いものにな る。今ある状態で発達のどの段階に位置するのかといった目安と今後の指導の方向性を把握していなけ ればならない。

 児童の実態をとらえる手段のひとつに学習指導要領解説の具体的内容がある。これを,歌唱,身体表 現,器楽,鑑賞の領域別に項目を分け,段階別に並べて表にした。これに,児童のこれまでの状況と現 在ある姿を3段階に分けてチェックした結果,発達が未分化の児童の状況が不明確だったり,個々の様 子の差があまり表れなかった。次に,幼稚園教育指導書一般編や保育所保育指針を参考にし,保育指 針では,年齢別に表記されている各領域から音楽各領域に共通すると考えられる項目を抽出して配列し,

同様に3段階でチェックした。これより,年齢が明記されているので,児童像がどの年齢に位置するも ので,それはどんな活動があるのかということがわかった。また,1才3か月未満にも項目があるため 能力の低い子のチェックもしゃすくなった。この2つを実態調査として使用したが,重複する部分もあ

るために,保育指針の年齢区分を目安にして学習指導要領解説の具体的内容の項目を照合させて,より 具体的な文章表記をすることにっとめ,できるだけわかりやすい実態調査表(試案)の作成をした。(表1)

    (表1)         (謝 ○…確実にできる

       /…不確実だができる(取り組む)

       巳…あてはまらない『

      1:3…1才3か月を示す

(3)

表1 実態調査

学年

1 1 1 1 3 3 4 4 4 4 5 5 5 6 6 6 6 6

領域 年齢区分

項        目

児童 A

B C D E

F

G H

1

K L

M

N O

P

Q R

大人の声に応じて発語する。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ O

1:3未満

ひとりでいろいろな声を出す。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○ ○

1:3〜2:0

簡単な歌の一部を歌う。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

好きな歌を部分的に歌う。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○

210

好きなように節をつけて歌う。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O

簡単な歌を歌う。 ○ ○ ○ ○ ○ O

身体の動きを結びつけて歌う。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

いろいろな歌を毒んで歌う。

○ ○ ○

O

自分のことばに節をつけて歌ってみる。

○ ○

3:0

大人の歌う簡単な歌をまねて歌う。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

知っているレコードやピアノなどに合わせて歌う。

○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○

歌      唱

自然な声ではっきりと歌う。

○ ○

4二〇

知っている旋律にことばをつけて歌う。

やさしい曲なら正しいメロディーで歌う。

○ ○

友達と一緒にそろって歌う。

○ ○

はっきりした言葉でリズムやメロディーに気をつけて歌う。

○ ○

5:0

友達と一緒に歌ったり,一人で歌ったりする。

O

()

自由にりズミカルな動きをしたり,即興的に歌ったりする。

自然な声,はっきりした言葉で音程やリズムに気をつけて歌う。

6:0

やさしい歌詞なら間違えないで歌う。

○ ○

簡単な歌の内容を理解して歌う。

○ ○

どなったり小街すぎたりしないように歌う。

大人に相手になってもらう。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

1:3未満

大人の動きをまねしようとする。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○

リズムを聞いて手足を動かす。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ O

1:3〜

Q:0

大人や動物のまねをして手足を動かして遊ぶ。

○ ○ ○ O ○ ○

リズムに合わせて身体を動かす。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○

動物のまねなどして,とんだりはねたりして遊ぶ。

○ ○ O O

2:0

大人のまねをしたり手を借りて歌に合わせて手足を動かす。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○

身   体   表   現

音楽に合わせて簡単な体操をする。

○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

動物や乗り物などの動きをまねして身体で表現する。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

3:0

友達と一緒に「かごめかごめ」のような簡単な歌遊びをする。

○ ○ ○

○ ○ ○

手をつないだり列を作ったりして簡単な集麟遊びをする。

○ ○ o

「せっせっせ」「闘いちもんめ」のようなリズミカルで簡単な集団

Vびをする。

4:0

音楽などに合わせて身体をリズミカルに動かしたり簡単な集団ゲー

?をする。 ○ ○ ○

○ 音の速度,強弱,高低に合わせて,いろいろな歩き方,走り方をする。

5=0 歌や曲に合わせて,花,ちょう,魚,うさぎなどの模倣表現をする。 ○ ○

友達と一緒に歌あそびや簡単なフォークダンスをする。

○ ○ ○

(4)

音楽に合わせてリズミカルに運動したり集団遊びを楽しむ。

歌や齢を身体の動きで表現する。

6:0

感じたこと,考えたことを自由に身体や楽器で表現する。

簡単な音楽劇として楽しむ。

1:3未満

音の出るおもちゃや二二を握ったり,振ったり,叩いたりする。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 身のまわりのおもちゃ等をいじった筋ころがしたりして自由に遊ぶ。 ○ O O ○ ○

圭:3〜

@2:0

簡単な楽器を持って遊ぶ。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

簡単なリズム楽器などで薩由に音を出す。

○ ○ ○ ○ ○ ○ O O

2;0

カスタネット,鈴,コップなどで田遊びをする。

○ ○ ○ ○ ○

レコードやカセットテープに合わせ,太鼓等の自由演奏をする。

○ ○ ○ O

3:0

手を打ったり,身体を動かしたり,楽器をいじったりして遊ぶ。

○ ○

ハーモニカや笛を自由に吹く。

○ ○ ○ ○

器      楽

簡単なリズム楽器で遊ぶ。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

4:0

ハーモニカ,木琴,鉄琴,トライアングル,シンバルなどの音あて遊びをする。

リズム楽器を楽しんでひく。

レコード音楽に合わせたりして模倣楽器を使って楽しむ。

○ ○

5:0

大人の拍子打ちやリズム打ちを模倣する。

○ ○

タンブリンやカスタネットで拍子打ちをしながら歩く。

曲の速度や強弱に気をつけて楽器をひく。

6:0

簡単なリズム絵譜を見て合奏をする。

楽器に親しみ簡単なさぐり吹きやさぐりひきをする。

ピアノやレコードなどの演奏に合わせて合奏や部分奏をする。

1:3未満

身近な音に耳を傾ける。

O ○ ○ ○ ○

大人の歌いかけを楽しんで聞く。

O ○ ○ ○ ○ ○ ○

1:3〜

Q:0

大人の歌や演奏に興味を示す。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

生活の中に流れている音楽に親しむ。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

2:0

オルゴールやレコードなどで単純なメロディーを聴く。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

放送の好きな番組を見て楽しむ。

○ ○ ○ ○ ○ O

3:0

生活の流れの中でいろいろな音楽を聴く。

音楽に親しみ,自分の好きな曲を選んで聴く。

鑑      賞

4:0

いろいろな音の音色,強弱,速さなどに三味をもつ。

知っている歌のレコードを楽しんで聴く。

大人や友達の歌や演奏を聴く。

5:0

いろいろな音の音色,強弱,速さなどの変化に気づく。

生活の中のいろいろな場や事物に結びついた音や音楽を聴く。

自分でレコードをかけて楽しむ。

6:0

大人や友達の歌や演奏を静かに聴いて楽しむ。

友達の歌や演奏やリズミカルな動きを楽しむ。

音や曲の感じがわかる。

(5)

 実態把握のために項目をチェックした部分を読むと,年齢で区分された項目数は必ずしも同一にはな らなかったが,1才3か月未満のほとんどの箇所に「確実」さが見られた。確実,不確実の双方を加味 すると,各領域のいずれも2才の段階までは大半の児童が該当した。

  歌唱一3才程度,身体表現一5才程度,器楽一3才〜5才幅で半数以下の該当,鑑賞一2才以下  これらは,学年差にはさほど関係がない。昨年までの学習が歌,身体表現を全体で取り組んでいたた

めの好結果とも言える。一方,器楽の場合,家庭にある楽器の種類,数のちがい,学校では生活空間が 音楽室から遠いため身近にふれて楽しむという機会が少ない児童もあり,環境の整備が必要とされそう である。鑑賞では,「聴く」という態度づくりの指導や経験が少なかったために,主体的に聴くという 活動になり得ていないようである。また,創作性の濃い文章表現の項目や技能が要求される部分は確実 性が低くなる。つまり,与えられたもの,経験を重ねているものには,慣れてくるに従い取り組むが,

新しい場面や主体性が中心となる場面では活動が滞りがちであり,全体的に空欄が増す。児童の現在の 状態は学校での学習ばかりでなく,家庭環境や刺激が成長に大きく関与していることはもちろんである が,家庭生活の細かい様子を慮ることは難しかった。いずれにしても,歌唱と身体表現が受け入れられ 易く,取り組み易いことになり,これらを中心に授業を構成し,年間計画の教材を配列する手がかりと もなった。

 作成と活用を通し,

 o発達を大まかにおさえたつもりだが,本校児童にあてはめようとすると個々の障害が項目のチェッ   クを不確実なものにしてしまう。

 ○細かい段階を踏まえるのが理想だが,児童の全体像の「○才ぐらいで○○ができている」, 「これ   から○○ができてくるだろう」という傾向はとらえられ,大集団で学習していく際の指針にはなり   得た。

 ○保育所保育指針と学習指導要領の具体的内容の文章表現が重複した場合,解釈し易い方を掲げたが,

  年齢区分をおさえても,文章の操作だけでは内容に歪みが出てくる可能性があろう。

 ○精薄無教育に活用できる実態調査や発達の段階を示した先行研究や資料等が少ないために作成した   が,さらに利用できるものとして修正していく必要がある。

などが反省される。

 (3)年間指導計画の作成

 指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取扱いに当たっては,児童の精神発達の状態や経験等を 考慮しながら,実際に指導する事項を選定し,配列して,効果的な指導を行うことができるように配慮 する一と学習指導要領に解説されている。編制を全体にして行う音楽でも,いろいろな経験を通して 環境から影響を受け,自分で学習する機会を多くし,成長と学習との関連により,心身の機能や構造が 変化していけるような内容を配列しでいきたいと考える。2才,3才といった精神年齢であっても,生 活してきた年数はそれぞれの学年に応じた期間がある。従って,質の高い教材を与え,理論よりも感性

(情感)で直接反応させ,刺激を与え,原曲や原歌等に深い喜びや共感を得させたい。

 本校の音楽科の年間指導計画の作成には,月別に中心題材を示して,以下の点に留意した。

①各領域の教材をどの月にも配列し,現在の児童の取り組み易く,喜んで参加できる歌唱や身体表現  に,児童の能力の多様化に対応できるようにと器楽,鑑賞の教材も掲げた。

②学期毎に1つのまとまりとして,より高次なもの,発展できるものを考えた。例えば,器楽では,

 1学期間,「音をだしてみよう」の題材で,4月には手,足,爪等の音,5月には指,肩,腹,ロ,6

(6)

 月には紙木等,7月にはおもちゃ等を教材にして音を出すおもしろさや方法を知り,器楽演奏の初  歩を学習し,2学期には簡単なりズム楽器で親しみやすい曲の部分奏や自由奏を楽しむと発展する。

③ 全体編制のため,経験差,発達差を考慮した題材を掲げた。これを示して,関連曲,関連活動等,

 その時々の状況に合わせて自由に操作でき得る。

④季節,行事の丁丁,口ずさめるもの,親しめるもの,関連学習への意欲が持ちやすいものをとり入  れる。例えば,生活単元学習「クリスマス会をしよう」のクリスマスのうた等。

 具体的な題材の選定と配列には,

○現在の児童の生活から大幅に遊離していないか

。児童の音楽性の発達や情緒の豊かさを促すものであるか

○児童が聴き,短時間で模唱できるか→覚えやすく,親しみやすいものであるか

○歌唱が身体表現に,鑑賞が器楽演奏や歌唱に,というように領域間の理解,応用,発展が可能か

。社会的に価値ある作品であるか →地域性,国際性あふれるものであるか

。伝統音楽を理解したり,表現・鑑賞する素地を作り得るか 等を確認しながら選定した。

 年齢差も能力差も大きい集団の一斉授業である。その中の刺激を大切にすればこそ,個別にかかわる 指導者をつけながら全体で学習する。定着するためには繰り返すことが有効であるし,また一方では,

児童の実態,既習経験,学習状況等を十分考慮し,幅広いものでもありたい。表2は,中心教材を配列 した年間指導計画の題材一覧,表3は,月の題材について,目標,主な学習内容・活動,教材・教具を 表した。

       表2 年間題材一覧

 月

4 月 5 月 6 月 7 月 9 月

10 月

歌唱 校歌

閧 たたきましょう 希望をもって Kせなら手をたたこう

動物園へ行こう ィさるのレストラン

せみのうた

痰フカノン

運動会のうた

ャさい秋みつけた

ともだち賛歌

Hの子

身体

¥現 なべなべそこぬけ げんこつ由のたぬきさん 歩いてみよう

i歩いたり,止まったり)

(スキップ)

ヘンゼルとグレーテル 人間っていいな 器楽 音をだしてみよう

i手,足,爪など) (指,肩,腹,口など)

(紙,木)

(おもちゃ等) たんぶりんのわ カスタネットで

@    チャチャチャ

鑑霞 なんのおと?

i動物の鳴き駕) (乗り物の音) (臼田生活の音)

(水の音)

クシコスの郵便馬車 口笛ふきと小犬

11 月

12 月

1 月 2 月 3 月

歌唱 チポリーノの夕山

ワっかな秋

クリスマスのうた 北風小僧の冨太郎

オペレッタ

ィばけの家はやなぎの木

どこかで春が 身体

¥現

勝田音頭 ジェンカ

かごめかごめ

器楽 大きなたいこ ジングルベル おもちゃのチャチャチャ ねこふんじゃった ボギー大佐

鑑瞠 八木節 しろくまのジェンカ おもちゃのシンフォニー スケーターズワルッ

四季「創

(7)

表3

〈6月〉

題 材 名 時数

目        標

主 な 学 習 内 容 ・ 活 動 教材・教具

歌唱

動物囲へ行こう

ィさるのレストラ

O動物や動物園に対する親しみを深めさせる。 ozo, zo, zo, you, you, you, go, go, goなどの繰り返しことば

@をとらえて元気よく歌う。

女ソ理されるものを想像したり,替え歌を作ったりして歌う。

o動物の絵,写真

nさるの絵,白衣

身体

¥現 歩いてみよう

10

・川錯ム胎わせて歩けるよう}こさ oピアノや打楽器のリズムに合わせ,歩いたり止まったりする。

Oピアノ,打楽器

器楽 音をだしてみよう O身近な道異を使って音を出すおもしろさに

Cづかせる。

o紙,木などをこする,たたく,はじくなどして音を出したり聴か

ケたりする。 o紙,木,箱,ゴム

鑑賞 なんのおと? o露常生濡事を聴くことにより鑑賞の素地を {う。

Oまな板やドライヤーの音などを聴いてあてっこしたり動作化した

@りする。

o効果音レコード

3.授業の立際

ほ)題材    チポリーノの冒険(木村次郎作詞,丸山亜希作曲)   歌唱教材

(2)題材設定と背景

  02学期後半になり,1年忌の学習参加に落ち着きが出てきた。学習の場にも慣れ,開始のピアノ    音にすばやく反応して集合する。他学年児童も時刻や雰囲気を感じで学習を意識している。指導    者の表情,指示等小さな変化もある程度気づくようになった。

  ○秋のうた等,既習曲にも意欲が見られる。10月の友だち賛歌では,障害により言語の不明瞭さや    落ち着きのない児童はいるが,児童なりにリズムをとらえていた。本題材もまたリズミカルな曲    で,歌詞に野菜数種が登場し,生活単元学習「秋ののやまをたんけんしよう」で,農園のさつま    いもを収穫した経験を持ち,野菜への興味が高まっている。

  ○曲の途中にレシタチーフ(呼びかけ)の部分があり,呼び方によりテンポが変えられるため,歌    詞をとらえにくい児童にも,呼びかけで反応できる。この部分だけでも繰り返して定着させるよ    うにリズムをとらえさせる。教具(ペープサート)で呼びかけに反応し表現するつながりを持た    せる。

  ○集団参加に問題をもつ児童,着席行動がとれにくい児童にも,準備したペープサートやつい立て    の操作により興味が持て,参加の糸口になり得る。

(3)目標  ○ことばのおもしろさやリズムをとらえて元気よく歌うことができるようにさせる。

(4)場所  本校小学部プレイルーム,ステージ

(5)対象  指導者5名(中心1,ピアノ伴奏1,個別指導3),在籍児童18名(1〜6年)

(6)指導計画  11月   (1時間は20分扱い)

1

2    3 4 5

6

7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17

既  習  曲  の  取  扱  い

5 0 F◎ 〇 三  一  ウ甜

チぷ り一ノの冒険 (歌唱教材)

大きなたいこ     八木節

i器楽教材),  (鑑賞教材)

勝珊音頭   (身体表現教材)

(7)準備資料

⑧ 実践より

ペープサート(いちご,かぶ,さくらんぼ,ニラ,レモン,トマト),歌詞表 かぶりもの(たまねぎ),つい立て(情景描写したはり絵,明るいイメージのもの)

表4参照

(8)

指導

條ヤ 目  標 主な学習内容・活動 配 慮 事 項

反応, 児童の様子等 Q新曲に慣れ,自

1.既習曲を歌う。 ○尊影への抵抗を少なくするために既 ○通常のように,音楽への期待と意欲をも

分なりに曲の部 習翻を十分歌わせ,意欲を高めさせ って集合する児童が多数である。

分を歌ったり聴 る。

1

いたりすること 2, 「チポリーノの冒険」を歌う。

o幾分テンポを遅らせ,メロディーや

O新繭であることに抵抗があり,当惑ぎみ,

ができる。

ω 範士を聴く。 歌詞を意識づける。レシタチーフは, チポリーノ諏玉ねぎ坊やの説明に理解が

② フレーズずつ区切って ことばの理解が得られるまで,児童

不十分。

4

(3}レシタチーフの部分だけ繰り に合わせたテンポで呼びかけさせる。

o範唱するTを不思議そうに見ている。

返して ※ペープサートへ興味がいくと模唱し

Oリズムにはのりきれていないが,だんだ

㈹ 斉唱する。 なくなる傾向があるので提示を控え ん書葉に慣れてくる。

る。 ○「いこうよ〜」のフレーズを歌いながら

終えて移動する児童がいる。

σ教師や友達とべ 1.既習齢を歌う。 ○既習翻を扱って意欲を持たせる。

一フサートを操 2. 「チポリーノの冒険」を斉唱す

05時間目,はじめてペープサート類 oペープサートとつい立てを見て歓声をあ 5

平したり音楽に る。 を提示する。 (数回繰り返して歌わ げる。ペープサートをほしがり手を出し

合わせたりして (1)みんなで せた後に)役割を決めて操作させる。 たり近寄ったりする。

歌うことができ ② ペープサートを使って リズムに合わない児童も認める。

o操作する方と観る方に分かれて歌う。観

る。

(教師に指示されて)

Q身体表現は児童の主体性にまかせる。 ている方がレシタチーフの部分を呼びか

9 (3} 身体表現をしながら

けはじめる。ペープサート操作はぎこち

ない。

Oリズミカルな部

1, 「チポリーノの冒険」を斉唱す o歌への抵抗がなくなり,メロディー,

O自分からすすんでつい立てを準備する児

玉0

分をとらえて歌 る。 歌詞の定着が見られるので,テンポ

童がいる。

うことができる。

(1)みんなで を少し早めにして何回も歌わせる。

oペープサートの中から自的の絵を選び出

(2)道具を使いながら し所定の位置に着く。かぶりものを持つ

○醜想をとらえて

O霞分の役割を決めて o操作したい絵のペープサートを選ば

た児童は,自分の位齪を作るためにプロ 11 のびのび歌うこ

Oペープサートを自由に動かし

せ,軽快に操作させる。状況により ックを用意して立つ。

とができる。 て

補助のTがっく。

oペープサートを持たずに観ている児童の

中にも,ペープサートを持っているよう に手を動かしている。

(9)まとめ

      ゆ       ゆ   ゆ      

 ○歌詞に「ニラ山ニラ吉どん,レモン大公,トマト騎士」等,日常の児童の生活ではあまりなじみ   のない言葉があった。言葉の意味の細かい解釈をしなかったので,歌い始めの頃には児童に戸惑   いが見られたが,歌詞のりズムを理解し始めたのとほとんど同時に,比較的はっきりした言葉が   聞かれるようになった。

 oレシタチーフの部分(台詞のように呼びかける)を児童が歌い続けていくと,本来のリズムと異   なる形になったが,矯正せずにそのリズムを使わせるにつれ,全体的なリズムに慣れてきた。

カ こさんい3ちこさん

庁〕/ さくらんぼぼうや

月刀月

月月∫fi /

ぶどうおやかた

」/、[月

PJ. DD

にらやま にらきち どん

D「〕用「」

o歌詞や曲に親しみをもたせようとべープサートを準備して臨んだ。 (但し,4時間目までは教具 を提示するとその方への興味が集中し,新曲に慣れるのが遅くなる傾向にあるため,5時間目以 降にした)児童は,珍しさも手伝い,ペープサート,かぶりもの,つい立ての絵に興味を示し,

取り組み方に活気が出てきた。しかし,歌詞にあまり忠実でない絵を使用してしまった。 (例え

      ば,擬人化したトマトを描いてもトマト騎士の姿にできなかった)ペープサートの絵の描写でさ  らに曲想をとらえる手だてとなったであろう。また,歌詞理解の不十分さと混乱さを予想して2

番にふれさせなかったが,繰り返して歌わせ,親しませることにより曲想を確実なものにしたい。

(9)

今後,チポリーノの冒険(ジャンニ・ロダーり,岩波少年文庫)の原作にふれさせる機会を持ちたい。

4。お わ り に

 授業では,中心指導者が児童を注目させ展開していく。個別指導をする指導者は懸命になって学習参 加を促し,参加しやすい状況を作る。ピアノ伴奏は,歌をひっぱる力になる。まずメロディーの習得に 時間をかけ;一番だけでも歌詞をしっかり覚えさせようと何回も何回も繰り返す。新曲の場合,教材選 択を誤ったかと落胆するほど児童の活動が低迷してしまう。ところが,その時期も刺激になっていて,

4〜5時間目に驚くほどのびのび歌唱する児童たちに会える。この時ピアノは,伴奏をメロディー奏か らリズムを押さえる。すると,またのってくる。ああ,よかった,また音楽が受け入れられたと安堵す

る。

 健常児における音楽性を検査する手だてはあるが,精神年齢が3〜4才程度と低いレベルの本校児童 には活用できにくい。そのための実態調査であったし,調査に基づいた年間指導計画であった。実態を どうとらえ,どう判断して指導に生かしていくか,今後我々が実践を積んでいくことで解決と新たな課 題が出てくるであろう。実態調査項目の妥当性,題材の適性,年間指導計画等の問題について検討を重 ね,児童に,より即したものであるように修正していかなくてはならない。

 友達と,先生と学習するよさがある。A児の声を聴き, B児の表現を見, C児の表情に共感する。こ んな雰囲気の中で自己表現をする。工夫した教材教具の提示に,児童が新鮮さを感じ意欲的になる。我 々は本校の小学部児童に,音楽を楽しむ一授業を楽しみにしている,音に反応したり音を媒介とした 活動に参加している一これをねらい,児童の能力や状況をよくとらえながら,継続して実践していき

たい。

5.参 考 文 献

(1)文部省 特殊教育令学校学習指導要領解説一養護学校(精神薄弱教育)編一 東山書房 1983

(2}文部省 おんがく指導書一養護学校(精神薄弱教育)小学部音楽教科書指導書 1985

(3)茨城大学教育学部附属養護学校研究集録 第6集 1985

(4)茨城大学教育学部附属養護学校研究集録 第7集 1986

(5)茨城大学教育学部附属養護学校 生活力を高めるための教育課程1 1986

(6)厚生省児童家庭局 保育所保育指針 昭40

(7}小学校音楽教育講座5 障害児と音楽 音楽三友社 1983

(8)小学校音楽教育講座10 音楽教育用語事典 音楽之門門 1983

(9)米沢純夫,大塚鋳弘 たのしくできる音楽1・2年の授業 あゆみ出版 1983

参照

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