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岩手の社会福祉史研究

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Academic year: 2021

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1.研究の目的

 本研究は、戦後岩手県の社会福祉に関する行政、民 間の活動を通史としてまとめることが主な目的であ る。そのため制度・貧困・児童・高齢・障害・医療等 の分野を設定し、分担を決めて研究と執筆を進めた。

 また、本研究会に先立って本学において取り組んで きた見坊和雄氏からの聞き取りを継続し「見坊和雄と 岩手の社会福祉」としてまとめ、併せて、見坊氏が本 学に寄贈した資料300点余の分類整理を行った。

2.研究方法

 それぞれの分野ごとに、文献・資料等の調査、ヒヤ リング調査、現地調査等を行っている。資料として、

岩手県作成の行政資料や民間社会福祉団体の周年誌、

会報等、新聞記事、統計資料等を収集し研究に使用す るとともに、複写・電子ファイル化している。

 これらをもとに、序章 戦前の社会福祉、第1章  終戦後の社会福祉から第5章 改革期の社会福祉(概 ね平成12年頃まで)の章立てによって原稿素案を作成 した。

3.研究結果

 調査研究により得られた事実等の一部を紹介する。

(1)戦前の民間社会福祉事業

 戦前の本県社会事業は他県に比して低調だといわれ たが、現在の社会福祉法人小原慶福会による児童、老 人施設の開設など早い時期に先駆的な動きがあるこ と、保育では先駆としての小岩井農場や釜石鉱山など 企業内保育施設とともに、農村においては季節保育所 や凶作時における給食託児所などが開設されていたこ と等。小原慶福会の場合のように、本県では冷害や自 然災害により福祉活動が切り開かれてきた歴史があ る。

 また、社会事業の推進・連絡組織として昭和8年に 設立された岩手県社会事業協会発行の「岩手県社会事 業」の現存する号を収集・保存したことにより、凶作 や自然災害に襲われた昭和8年頃からの本県社会事業

活動の概要を把握することができた。

(2)終戦から福祉制度確立期までの社会福祉

 戦後の福祉は、飢餓線上にある者800万人ともいわ れた国民の窮乏生活への対応から始まっている。本県 の状況については、岩手県が当時作成した資料をもと に救援状況の数値的な確認を行ったほか、岩手日報の 記事などから県民生活の実情を窺った。

 また、見坊和雄氏が事務局長となった県共同募金会 の募金活動とその配分先から、当時、福祉の中では授 産活動が重要で県内各地で行われていたこと、保育所 が増加していく一方、季節保育所等、地域の協力によ る保育活動が活発に行われていたことが知られた。

 岩手県社会福祉協議会は昭和26年に設立され見坊 氏は初代事務局長となっているが、福祉研究地区の設 定などによる地域の実情の調査研究(社会調査)が継 続して行われており、白書や福祉マップの作成など広 報、啓発活動とともに評価すべきと考えた。

(3)高度成長期の社会福祉

 高度成長期にも様々な格差は残されていた。昭和37 年、厚生省の第1回僻地調査団が訪れた田野畑村沼袋 地区では、医療機関を求める声が強く、直ちに国の予 算措置が行われ翌年には診療所が開設された。旧沢内 村の老人等医療費無料化など、この時期においても医 療は福祉の前提であり、ときに福祉をカバーしていた。

この評価はこれからの課題である。

4.研究課題

 医療など我々の対応力が十分でない領域へのアプロ ーチ方法の検討、遠野市の保健と福祉を一体とした全 国的にも注目された取組など、市町村、地域レベルに おける先駆的活動の更なる掘り起し、旧沢内村におけ る医療と福祉の関係などについての今日的視点での評 価、見坊和雄が遺した資料の分析等、岩手県国保連に おける国保・地域医療確立運動と機関誌「岩手の保健」

に表れた県民生活等の福祉的視点からの分析、評価な どがこれからの課題として残されている。 

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岩手の社会福祉史研究

― 釜石市健康調査の分析による被災後の市民の精神的健康の実態把握 ― 吉田清子・三上邦彦・高橋 聡・田中 尚・岩渕由美・高田梨恵・高松 誠1)・佐藤嘉夫2)

細田重憲3)・右京昌久4)・斎藤昭彦5)・斉藤倫史6)・攝待幸子7)・高橋勝彦8)・高橋典重9)

高橋 勝10)・中村純夫10)・沼田崇子5)・湯澤 脩3)

1)

岩手県立大学大学院博士後期課程 

2)

岩手県立大学名誉教授 

3)

元岩手県立大学 

4)

岩手県社会福祉協議会 

5)

岩手県  

6)

元岩手日報社 

7)

元岩手医科大学 

8)

元岩手県社会福祉協議会 

9)

元沢内村社会福祉協議会 

10)

社会福祉法人千晶会

参照

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