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公企業の組織形態としての株式会社 における理事者の地位

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(1)

公企業の組織形態としての株式会社   における理事者の地位  

一 西ドイツの場合−叫−  

末 永 敏 和  

Ⅰ.序  論  

今日,西ドイツでほ.,連邦・州ならびに市町村が,自己の所有し,統制する  

(1)  

企業(公企業)を株式会社などの私法上の形腰で運営することが多い。   

株式会社の目的ほ商業の経営である必要はない。それほ決して経済的性質の  

(2)  

ものである必要ほなく,宗教的または政策的性質のものでもよい(株式法3   条)。それ故,・一・定の公的課題の履行を定款に企業の目的として掲げることも  

(3) 可酪である(株式法3条,23条3項2号)。これによって,会社機関,特に取  

(1)国家および市町村が利用することのできる私法的企業形態ほ限定される。特に人的    会社への参加ほ原則的に禁止される。というのは,連邦財政法(Bundeshaushaltun・   

gsordnungv…19・・8小1969,BGBllISl,1284)65粂1項2号ならびに市町村制(ド    イツ統一市町村制60条およびその後続規定,例えば,ノルー・ライン・ヴュストファー   レン州の市田了村制71条1項)ほ,行政の茸任が一・定額庭限定される塔形態が選ばれる    場合にのみ,経済的企業への参加を許容しているからである0したがって,そのよう    な法形態としては,株式会社,株式合資会社ならびに有限会社が考えられる(参照,   

ライヒ財政法〔Reichshaushaltungsordnung1933]48条1項1文。なお,同法ほ連邦    財政法が発効するまで効力を萌して.いた)。この場合,個別的に,自己会社(Eigen    gesellschaft)と混合経済企業(gemischwirtschaftlichesUnternehmen)が区別さ    れる。自己会社でほ,基本資本またほ基礎資本がすべて公の芋紅帰属しているの把.対   

して,混合経済企業ほ,企業の資本および指揮への公の手と私人の同時垂加に.よって    特徴づけられる(VgllVい Emmerich,Das Wirtschaftsrecht der6ffentlichen  

Untemehmen=1969,S..58ffL,;W.Rilfner,Formen 6ffentlicher Verwaltung    im Bereich der Wirtschaft,1967,S.186)。  

(2)v.Godin−Wilhemi,Aktiengesetz,3・Auflage,1967,§3Anm.1 

(3)例.え.ば,定款で,会社の目的は利益の最大化でほなく,詔要の可能な限りの充足で  

ある,と定めることができみ。Vgl.Rufner,aaO,S.258 

(2)

算49巻 第2弓  

ーJノー−  

134  

締役ほ,公共目的を推進する権利および義務を有するに至る。   

しかし,定款の定によって一・般的方針以上のものを与えることはできない。  

また,公共の福祉の要請ほ変化するばかりでなく,政治的見解紅より様々に異   なって理解されるものである。従って,会社の個々の業務執行に対して公行政   主体が継続的にどの程度影響力を確保できるかどうかが決定的に重要となる。   

そこで,連邦財政法65条1項3号ほ,私法の法形態の企業の設立,またほそ   のような法形態の既存企業への連邦の参加の条件の一山つとして,「連邦が,特に  監査役会またほそれに相当する監督機関においで適切な影智力を保持してい  

(4)  

る」ことを定めている。   

さらに,市町村法もその企業に対する市町村の特別の影響力を正当とみなし  

(5)  

ている。すなわち,はとんどす、ぺての市町村別ほ.ドイツ統一・市町村制にならっ   て,まず儀一・に,市町村が社員総会で誰を代表させるかを定め,その際,社員   総会における市町村代表としての職員が市町村長の指示に.拘束されることを強   調する(ドイツ統一市町村制70条1項ならびにたとえば,ノルトライソープェ   ストプァ−レ∵/市町利制72条1項など)が,これに・続いて,市町村制鱒,市町   村に取締役,監査役等の企業機関の役員を選任する権利が与えられた場合に,  

派遣された役員も摘明村長の指示紅拘束されることを定めて.いる(ドイツ統⊥ 

(¢)       (7) 市町村制70条2項)。この規定は,「株式法の組織原則への深い侵入」であると  

されている。なぜならば,株式法において,会社機関は会社以外の利益を考慮  

(4)ライヒ財政法48粂2項1又も「設立に際して,ライヒほ適切な協定紅よって,会社   の業務執行への必要な影響,とくに㌧監査役会に.おける適切な代表を確保すべきである   

(sol19n)」と定めていた。  

(5)Deutsche Gemeindeordnung(DGO)v.30.1.1935,RGBl.IS.49.  

(6)さらに.,例えば,レ・ユレスブイッヒ・ホルンユタイン州の市町村制82粂1項は,市   町村に.よって選任された役員が市町村の要求に.基づいて辞任しなければならないこと    を定めている◇なお,ドイツの市町村制の市町村の経済活動に関する規制紅ついては,   

次を参照されたい。成由頼明「地方公共団休の経済酒動とその法的限界目」自治研究    38巻7号1962年。  

(7)K.Bal1erstedt,Z11rFIagederRechtsform gemeindlicher Wirtschaftsunter・   

nellmen,DOv1951,452.   

(3)

135   公企業の組織形態としての株式会社における理事者の地位   −∂5−   

(8)  

して一指揮すべきでないという原則が存在するからである。さら紅,連邦公務員  

(9)  

法55条は,−L般に公務員が上役の指示紅服従する義務を定めており,会社機関   に公務員が派遣された場合,同種の問題が生じうる。この問題ほ.公法と私法の   衝突の−・場合であり,それをいかに.解決すべきかが大いに議論されている。   

本稿ほ,株式会社の所有者が公共団体であることが株式会社の理事名の地位   にどのような影響を及ばすかを探ることをテーマとする。その際,当然に,機   関構成員の指示拘束の問題が中心に置かれる。主として,最近の公法及び私法   学者の株式会社への公的参加紅関する議論を対立的に紹介することに・よって,  

(10)  

問題点を明らかにしていこう。   

ⅠⅠ.取締役の地位   

(1)総  説   

取締役の地位ほ,1937年の株式法によって著しく強化され,1965年の新株式   法においてこも,それほ引き継がれた。取締役ほ自己の責任で会社を指揮しなけ  

(8)こ.の問題に関して,両法の問でほ,次のような基本認識の違いが根底に.ある。すな    わち,市町村制の規定に.ほ,市町村機関の方が取締役および監査役見よりも市町村の   利益をより良く認識し,かつ守るものであり,それゆえ.に.市町村機関の決議および指   示な優先させるという基本的立場が基礎に.あるのに.対して−,株式法はまさ紅逆に,そ    の特別の専門的知識のために会社機関に.選ばれ,またほ派遣された構成員ほ,何が会    社の繁栄に.役だつか紅関して,主たる株主もしくは単独株主の見解紅縛られない,−と    いう観点から出発する(軋Quack,Die Entsendu鹿von Gemeindevertreternin    die Organe von KapitalgeseIIschaiten,DVBlけ1965,S.,347)。  

(9)Bundesbeamtengesetz v・・17.1971,BGBl・・IS.1181・・さらにランー・の公務員法    の不統一助止のために,公務員法大綱法(Beamtenrechtsrahmeng寧Set去v.17。、7.   

1971,BGBl.IS.1025)がラント公務員法の大綱を定めている。したがって,公務    員法は連邦もラントもほとんど同じである。  

(10)資本会社への公的参加が按ずる多くの問題は,主として,混合経済企業に.おいて生    ずる。それゆえ,以下の議論ほ.,混合経済企業を中心に償いている。ここで,拙稿の    主として依拠するところとなったエメゾッヒ(Emmerich)とベルクマン(J.Berke−   

mann,Die staatliche Xapitalbeilig11ng an Aktiengesellschaften,1966.)の会社    法の枠内での公企業,もしくほ公的参加にヌ寸する基本的立場を述べておこう。エメ.リ  

ッヒは,公企業も競争秩序へ.の編入を通じてのみ公益を維持することができるとして  

いるのに.対し,ベルグマンほ,公的参加のうちで,特紅第 に正当な公共目的を追求   

するという任務を担わされた参加は,一般会社法紅よってそ・の任務を達成できない場  

合にほ,公法的特別規制に.至りうるとする。   

(4)

第49巻 第2号   136  

・−・β6−  

ればならない(株式法76条1項)。取締役ほ業務の執行に・際して,相当の,かつ   良心的業務指揮者の注意を払わねほならない(株式法93条1項)。その地位は,  

原則として監査役会に対してのみ責任を負う(株式法朗条,85条)。業務執行の   処置は監査役会に.委ねることができない。定款又ほ監査役会は,特定の種類の   業務紅ついてのみ,監査役会の同意を得て行なうことを定めうるにとどまる  

(株式法111条4項)。株主総会も,取締役が要求する場合にのみ,業務執行の   問題に関して決定することができる(株式法119条2項)。   

上述の権限分配は強行法であり,定款によって−も変吏することができない  

(株式法23条4項ノ1文参鱒)。したがって,株式法上,会社の指揮は取締役の専   任事項であり,他の会社機関に委任することが許されないという原則が存在す   るといえる。また,業務執行の問題に.おける取締役紅対する他の機関の指示  

(11) 権は排斥される。それに対立する合意や定款の定ほ原則として無効であるとさ  

(12) れる(株式法23条4項1文)。  

(2)財政法および市町村法との衝突   

株式法がこのように.強調す・る取締役の自己責任が,財政法および市町村法に  

(1$)  

よって要求された公の手(OffentlicheHand)の指揮権と激しく対立するこ・と  

ほ明らかである。特に.,ライヒ財政法は,ライヒおよび州が会社の業務執行に 

対して必要な影響権を適切な協定(Abmachung)に・よって確保しうる場合に 

の、み株式会社に参加すべきである(48条2項1文,3項)と定めていたから,  

(14)  

実際に.も多くの協定が締結された。その典型的な例として,公の辛が定款変更  

(15) または一・定の重要な業務執行処置に対して同意を留保する協定が行なわれる。  

(11)したがって,株主総会が決定権限を持たないのであるから,個別株主にはなおさら    決定的指示権は与えられない。Vgl.Quack,aaO,S.346.  

(12)Vgl.BaumbachMrHueck,Aktiengesetz,13Aufl.1968,Ubers.v.§76RdnI・   

4−8,§76RdnI小6;BGHZ36,S小296(315)Ⅴ.29.1.1962.  

は3)フォルストホフに.よれば,それほ行政という言葉を避けた,私経済の眺望から由来    する名称であるという(E.Forsthoff,Lehrbuch des Verwaltungsrechts,Band   

I.Allgemeiner Teil,10Auflage,1973,S.513)。  

(14)Vgl.BGHZ36,S.296(316)v.29.1.1962およびその前審OLG Hamburg,  

Die AG1960,S.333 

(15)Emmerich,aaO,S..199.,そのような同意は特許契約(Konzes;ionsvertrag)の  

中に約定されることが多い。Vgl.Riifner,aaO,S.260f.   

(5)

137   公企業の組織形態としての株式会社における理事者の地位  −37−  

そのような協定の有効性は,取締役の代表権の種田の問題に帰着する。それ   ゆえ,それが定款を変更し,またほ法律上の権限分配を侵す契約を締結する権   限をも包含するかどうかを判断しなけれほならない。   

一・般に.,会社法の学説ほ,公企業とその母体(Gemeinwesen)との合意に   関してほ,そのような協定が企業指揮に対する直接的影響力を第三考に・譲与す  

(16) ることによって法律上の権限分配を侵し,それゆえに無効であるとしている。   

しかし,ニ三の有力説はコンツェルン奥約の例を引き合いに出して,それが  

(17)  

いか紅自明でないかを指摘する。すなわち,メストメッカ一によれば,こ・こで   ほ取締役の代表権の会社法上の拘束が問題となっているのであり,その取締役   が定款を変更するような契約の締結をすることができるかどうかの問題化・際し   て,強行法的権限分配,その代表権の外部関係への限定,ならびに代表権が制   限できないこと甲法的目的を考慮する場合,その代表権ほ法律によって株主に   分配された権利を制限する権限を包含しないという結論に適せざるをえないと  

(1さ)  

し,エメリッヒはそれせ受け継いで,1965年の新株式法293条に.おいですべて   の企業契約が株主総会の同意に.よってのみ有効であると解決された時点で,同   じことが公の手とその企業の間の特別協定について−妥当しなければならないと   する。そ・して−,財政法によ.って要求された公の手とそ・の企業の間の協定がまさ  

しく公の手の指揮権を創設する場合,それが支配契約とみなされるかどうかを   検討しなければならないと言う。   

それ紅対して,公法学者ほ,特別協定の有効性およびそれに.よる公の手の指   揮権を,慣習法や公法契約を根拠に是認しようとしている。すなわち,ベル  

〈19)(20) ケマンは,ライヒ財政法48条の外部的直接的効力を承認し,それに基づく特別  

(16)BGHZ36,S.296(36)v.29.1.1962;V.God.inpWilhelmi,§76Anm.4・  

(17)Mestm畠Cker,VerwaIthng,Konzerngewalttlnd Rechtder Aktionar,1958,S.  

364f.  

(18)Emmerich,aaO,S.201f.  

(19)Berkemann,aaO,S.491づ0,S.149−203.  

(20)エメリッヒほ連邦財政法を引き合いに出して,ライヒ財政法48粂ほ訓令的意味しか  

ないと主張する(Emmefノich,aaO,S.202)。   

(6)

ー・ββ−  

第49巻 常2弓  

138  

(21) 協定を強行的会社法をも破りうる公法契約として構成する。   

はとんどの市町村制は,前述のよう紅,ドイツ統一・市町村別70条2頓に.なら   って,市町村に取締役を選任する権利が与えられた場合に,市町村企業の取締   役に・おける市町村代表が指示に・拘束されることを定めている。それゆえ,市町   村制は,市町村のために定款に.よって−取締役に.役員を派遣する権利が創設され  

(22)  

うることを前提としてし、る。従って,株式法と州の席田]村制の関係が問題とな   り,市町村制の規定が株式会社にも適用される限りで,連邦法違反のゆえに無   効となるほずである。その結果,市町村ほ.,市町村株式会社の取締役に対する  

(23)  

指示権も持たないことになる。  

(3)公務員法との衝突   

次に.,公企業の取締役として満動する公務員が依然としてその雇用主(連邦  

・州・市町村)の指示に拘束されるかどうかが−・段と困難な問題として提出さ   れる。ここでほ.,取締役員の株式法的自己責任と公務員の服従義務とが対立し   ている。   

株式法は会社機関における活動義務を定めていない。すなわち,監査役員ま   たは取締役員として活動するかどうかほ各人の自由である。それに反して,公   務員ほ,その上役の命令に基づき,機関構成員としての地位を引き受けなけれ  

(餌) ばならないとされる(連邦公務員法64条以下,および連邦付随湾動規則2条)。  /  

(21)エメリッヒは公法契約が強行的私法を変更しうるとの法原則は,公法が常紅私法に   優先するとの法原則と同様に.存在しないとして,ベルケマンに.反対する(Emmerich,  

aaO,Sn202)。  

(22)クプアック紅よれば,市鞘村が取締役貞のためそのような派遣権を留保した市町村    株式会社の定款を知らないという。彼はその原因として,市町村がそれを留保しよう  

としなかったのではなくて,登記裁判官が株式法の注釈書に.基づいて,ドイツ統一・市    町村制70条および州の市町村制を考慮することなく,それに異議を唱えたことを挙げ   ている(Quack,DVBl.1965S.352)。 

(23)クプアックは,州の市町村制は,連邦法により許容される限りでのみ株式法の強行    規定から帝離して会社法的問題を規制するエとができ,それは,ドイツ統一市町村制   

70条が今日なお連邦法として効力を持続して−いる場合であるとして,それを論証しよ   うとする(Quack,aaO,S.347ff.)。  

(24)Verordnung tiber die Nebentatigkeit der Bundesbeamten,Berufssoldaten   

und Soldaten auf Zeit v.22.4.1964,BGBl。IS.299.   

(7)

139   公企業の組織形態としての株式会社における理事者の地位  

−∴β9−   

\ さらに・,連邦公務員法は,公務員関係の終了によって,公務鼠がその上役の要   求等に基づいて引き受けた公職務における付随従業(機関活動)も終了すると  

(25)  

定めている(連邦公務員法68条)。   

その上役の要求等に基づく公職務の活動としての会社機関に.おける公務員   の活動に対して支払われる会社の報酬ほ,原則として国庫紅納入される(連邦   公務員法69条,連邦付随活動規則8条)。ベルグマンに.よれほ,株式会社の理   事者,特紅監査役員常対する報酬(株式法1ユ3条)の意義は,給付された労働   に対する金銭価値による補償のはか,機関として−の活動から生じた責任法上の  

(26) 危険に対する賠償に.あるとされる。従って∴ 公務員が機関活動による報酬を国  

庫に納入することが法律によぅて要求される場合,上述の法政策的思想と対立   することになる。それほ次に述べるよう紅,公務員がその機関的活動によって   賠償義務を負った場合紅おける雇用主に対する償還請求に.よって儲整される。   

すなわち,公務員が,所属官庁の要求等に.基づき引き受けた営利を目的とす   る会社の取締役,監査役会等における情動紅よって資任を負う場合,連邦は彼   にその損害の賠償をしなければならない。ただし,そ・の公務員が,損害を故意   または重過失に.よって惹起した場合ほこの限りでない。しかし,その場合でも,  

彼が上役の指図によって行為をした場合にほ連邦ほその損害の賠償をしなけれ   ばならない(参府,連邦公務員法67条)。その際,公務員が行政に.誘発されて活   動したという事実は.,公務員の会社法上の茸任を阻却しないのが原則である。  

それゆえ,外部関係においては,公務員は私人と同じように行動するものとみ  

(27) なされ,民事法の原則に従って責任を負う。基本法34条による使用する国また  

(25)ベルケマンは,この規定が会社紅対しても直接的法的効力が及び,その機関的地位    も終了する義務が生じ,それゆえにここでは公法が優先するという(Berkemann,  

aaO,S.228f.)。  

(26)Berkemann,aaO,S.229.  

(27)「ある人が,自己に委託された公務の執行上,第三者に対して負担する職務上の義    務紅蓮反した時は,原則として,この者を使用する国または団体が茸任を負う。故意   

または重過失がある時は,求償をさまたげない。い…」(宮沢俊義編,世界憲法集第   

二版より)。   

(8)

第49巻 第2号  

・−40−   140  

は団体への責任移行ほ生じない。従って,これは,公務員の機関活動が公権力  

(28)  

の行使に.あたらないことを前提としている。それゆえ,償還請求ほ国家と公務   員の間の内部関係の問題に.とどまる。   

その際,内部関係において,指示を行なう公行政主体は,故意の加害において   も責任を負うことから,ベルグマンは,機関構成恩としての公務員に.対する上   役の指示権が導かれるとする。そして,市町村制70条に.相当する州の市町村制   の規定は,公務員の−・般公務員法の服従義務からの必琴的帰結にすぎないとす  

(29)  

る。とのようにしで・ベルグマンほ,指示権の形式的側面,すなわち指示権の存   否に関する会社法と公務員法の対立を,公務員法の解釈によって肯定的に解決  

し,さらに指示権の実質的側面,すなわち指示権の範囲に・関する問題も同様な  

(3の 方法で処理し,実際上その唯一・の限界を刑法に㌧見る。  

(31)   

ベルケマンが指示権の実質的側面についてのみ利益考鼠を基礎としているの   に.対して,エメリッヒほ,公法と私法の対立が問題となっているが故に,利益考   患は指示権の形式的側面(存立)に∴ついて既に・問題となりうるとして,同法の   同時的適用可能性から出発する。そして具体的には,経済的企米の取締役と   しで活動する公務員ほ原則として指示に拘束されるが,同時に適用される取締   役の自己責任に関する株式法の規定の規範目的が指示権紅限界を引き,従っ  

て,指示は原則的企業家的問題において−ほ,取締役員の自己責任を侵すはどに   は及ばない。それゆえ,公務員は下位の個別問題紅おいてのみ依然として指示   に拘束される。これは会社と機関構成員として−の公務員との間の外部関係につ   いてあてほまり,その雇用主に対する公務員の内部関係においては,無制限に   指示紅拘束される。それによって,指示に従った行為紅よって磨償義務を負わ  

(32)  

された公務員のその雇用主紅対する償還請求が説明できるとする。この考えが  

(28)その場合に.,民事上の茸任が国に・も及ぶかどうかが問題となるが,それについてほ   後述する。  

(29)Berkemann,aaO,S.222一235 

(30)Berkemann,aaO,S.235−241。  

(31)Berkemann,aaO,SS.222f.u.235ff・  

(32)Emmerich,aaO,204f;Vgl.auch Meyer−Landrut,Groβkommentar zum   

Aktiengesetz,1972,SlOIAnm.18 

(9)

141   公企業の組織形態としての株式会社紅おける理事者の地位  

−4ユー   

公法と私蔭の同時適用可能性から出発しながらも,結果に・おいて私法の優先に   終 

(4)小  指   

このようにして,主たる株主としての市町村吼 株主総会において,取締役   員に対して各営業年度につき責任解除を拒絶し,そしてそれによって彼に対し   て不信任を表明する可能性を持つのみである。監査役会ほその場合,彼を解任  

(33) する義務が生じうる。市町村は定款の主であり,随意に監査役員を選任するこ  

とが出来,それによって間接的に取締役の決定を自由に・しうるから,通例一   少くとも長い日で見て,かつ原則的問題において一−「その」株式会社を支配  

(34)  

しうると言え√る。   

しかし,公の手ほ,法的に.は業務執行処置を即座に・ほ取締役の意に反して貫   徹または阻止するこ.とができない。その有名な例は株式会社Jフォルクスワーゲ   ン製作所の事件である。連邦政府は.1962年春に・,当時もちろん既に・部分私有に  

(35) あったフォルクスワ−ゲンをして,そ・の借上げの撤回紅至らしめること紅成功  

(36)  

しなかった。   

しかし,他面において.,その地位を永久に・保とうとするのほ.取締役の自然の   努力であろうから,取締役が大株主¢意に添うような行動をとることは期待さ   れよう。   

叩.監査役会の地位   

(1)総  説   

監査役会ほ取締役の業務執行を監督しなければならない。それゆえ,監査役  

(33)自己会社の場合はまさにそういえる。  

(34)R也fner,aaO,S..259 

(35)私有化は1961年3月に行なわれ,当初ほ.,連邦とニ−ダーザクセン州にそれぞれ資    本の20パーセントが帰属し,残りはいわゆる国民株式(Volksaktie)として分散所有   にあるものとされた。  

(36)Vgl.Rtifner,aaO,S.259(Fu伽1122);D,Fい Vagts,Reforming the    仙Modern Corporation:Perspectives from the GeIman,80Harv。L.Rev・   

42−43,82。(デットレーフ・F・ヴァッツ・矢沢惇訳『 現代的な 会社の改革−   

(10)

第49巻 第2号  

−42一一  

142  

会にほ業務執行処置は委任されないし,取締役もー・般にその指示に拘束されな   い。−・定の穫類の業務のみが,その同意にかからしめることができる(株式法   111条1項および4項)。監査役員ほ原則として株主総会が選任する。この権限   分配ほ強行法秩序である。   

監査役会は監督に際して,相当の,かつ良心的業務指揮者の注意を払わねほ   ならない(株式法116条および93条1項)。従って,監査役員が株主総会または   主たる株主の指示に拘束されないこと,すなわち,その独立性および自己責任   が導かれる。さらに監査役員が利益の衝突に際して,自己および注文者ならぴ  

(3丁)  

に雇用主の利益に対して,会社の利益を優先させねばならないことが生ずる。   

株式法ほ,監査役会において−ほ,そ・の原則的関係を,取締役におけるほどに   ほ首尾一召してほ.いない。すなわち,法律は,定款紅、よって特定の株主のため   に監査役員の派遣梅を創設することを認めている。  

\  

(2)株式法の派遣権  

1965年の株式法ほ,特に混合経済企業における公の事の要求を顧慮して,派  

(38)  

造権を承認している。これほ1937年の株式法の思想を受け継ぐものである。そ   れゆえ,立法者ほ,派遣権を公の手・が企業管理に対して特別の影響力を行使す   る手段とみなしていると言える。   

派遣権ほ,定款紅よってのみ,かつ特定の株主のためまたは特定の株式のそ  

の時の所持人のためにのみ設定することができる。唯・・−・−▲の例外は,共同決定関   係法令による労働組合の最高組織の派遣権である。派遣役員の全体数は,法睦  

または定款により定まる株主の代表たる監査役員の人数の3分の1を越え.るこ   とは出来ない(以上,株式法101条2項)。定款に.基づき監査役会に派遣された   監査役員は,その派遣権利者によりいつでも解任され,かつ他の者に代え.るこ   

ドイツの制度からの展望・−』商事法務研究会1967年12貫,34貢)さらに.,参照,河    本一・郎「ドイツの株主総会の運営(下ノ鵬株式会社フォルクスワ」−・グン製作所の場合   

−」ジ′エリストNo〃261,65真〃注1。  

(37)BGHZ36,306(Urt・Vい29・1 19年2);Vgl・ferner RGJW1932,2279   

(UI、tいⅤ・26‖4・193れ  

(38)BegrtindungzumAktiengesetz,beiKropff,Aktiengesetz,1965,Sい138.   

(11)

143   公企業の組織形態としての株式会社濫.おける理事者の地位 

ー4β‰   

(39)   

とができる(株式法103条2項)。   

派遣監査役員の指示拘束の問題は,派遣監査役員と派遣権利者の間の法律関   係に従って判断される。それほ公法的関係でも私法的関係でもよく,雇用関係,  

委任関係となりうる。その場合にほ,派遣監査役員ほ派遣権利者の指示に拘束    される。・−・方,派遣監査役員ほ,株主総会によって選任された監査役員と同じ   権利および義務を有するから,彼もまたその法律上の任務を,相当の,かつ良   心的業務指揮者の注意をもって履行しなけれほならない(株式法116条,93条)。   

それゆえ,派遣権利者ほ派遣監査役員に対して,その監査役員としての義務に  

・反しない限りでのみ,指示を与えるこ・とができる。その限りでのみ,派遣監査   役昆ほ派遣権利者の利益を代表することができる。従って,株式会社と派遣権   利者の利益が対立する場合にほ,監査役員ほ,常紅株式会社の利益を優先させ    なければならない。このことほ,市町村法および連邦朗政法(65条6項)に・基   づく指示権についても翼当する。これが,判例および会社怯学者の一L致した見  

(40) 解である。  

(41)   

それに.対して,主として公法学者はこれに反対する。リエフナ」−は,株式法   が監査役員の派遣を認めていること,およびそれを認めた理由として混合経済   企業の要求を容れるものであることを明言している理由書から,派遥権利者の   派遣監査役鼠に対する影響力行使の承認が導かれるとする。これほ,派遣監査   役員をいつでも解任することができることからも是認される。このように人格   的に従属した監査役員に客観的独立を要求するのは非現実的である。一そして−,  

(42)  

その指示権の限界に関してほ,バラシュチットにならって,指示権の行使ほ,特  

(39)さらに.,資本の10パーセント以上の少数派ほ.,監査役員に重要な理由がある場合に    ほ,その解任を裁判所の判決紅よって達成することができ挙(株式法103条3項1女)。  

(40)BGHZ236,S。296(306fn)v‖291・1.1962;MeyeI・iandmt,§101Anm  18;Ⅹ01ner Kommentar zum AktG。§101Sい 944;EmmericIl,aaO,S,.207;   

VgL feIner RGZ165,79,Urt.v。12..10.1940(有限会社の事例であるが,会    社匿不利益を与える危険のある派遣権の行使ほ,社員の忠実義務に.違反する,とす   る。)  

(41)Berkemann,aaO,S′,209−241;Quack,DVBl 1965,SL345ff..さらに私法    学者のバラVユデットも反対する(BalleIStedt,D〔iV1951,S…452)。  

(42)Ballerstedt,DOV1951,S.452 

(12)

第49巻 貨2弓  

ーJJ−−   144  

にそれが会社の営利的利益にそむいてなされる場合には,泥合経済企業の公的  

(43) 課題の範囲に踏みとどまらねばならないとしている。   

次に,派遣された者が,会社の利益軋対して派遣権利者の利益を優先させ,  

会社紅不利益をもたらした場合,たとえば後述の判例のように.,派遣公務員が   その雇用主の指示に基づき会社の利益のための必要な処置を阻止した場合,派  

(44)  

遥権利者の責任を問うことができるかが問題となる。その際,民法31条,278  

(45)  

条,831条等の適用が問題とされるが,一・般に支配的見解ほそれらの適用を否  

(46う 定する。  

(47)   (48)   (49)   (50)   

これ紅対して−,メストメッカー,ヴェスターマン,エメリッヒ,ベルケマン  

(51) 等ほ民法31条を適用しようとする。すなわち,会社における派遣された者の管  

理行為は,同時に.,派遣権利者の機関構成員もしくは内部箪織上の代表者とし   ての派遣された者の責務であるところの業務の遂行であり,それゆえ二間題の   行為によって,会社も第三者として加害されうる。実際上,民法31条の適用紅  

よって,指揮権(影響可能性)と責任の不一・致の危険が阻止されるノとする。   

民法31条は公の手に準用される(民法89条1項)から,派退公務員が派遣団   体の内部構成上の代表者とみなされうる限りにおいて,派遣された者が雇用主   の利益を優先させ会社に不利益を与えた場合,公の手は会社に対して責任を負  

うことに.なる。この公法の派遣団体の責任によってのみ,公の手の公的影響力  

(43)RufneI・,aaO,S‖193f 

(44)後で述べるように,スイスでは,債務法の明文によって,派喝団体の責任が法定さ   れているから問題は生じない。  

(45)これらの規定は,ある者の行為が,相手方に損害を及ばサー・方で,第三者に・利益を   もたらした場合,その相手方はその第≡者に対してもかかっていくことができるいう    法政策的要請の表現である(Vgl.BeIkemann,aaO,S.231)。  

(46)監査役員の自己着任を強調する支配的見解からすれは,当然の帰結であろう。  

(47)二Mestmacker,aaO,S.260−265 

(48)Westermann,Haftungf此fremdesHandeln,JuS1961,Sl・336f 

(49)Emmerich,aaO,S。208 

(50)Berkemann,aaO,S.231f 

(51)「社団は,理事,理事構成員もしくはその他の内部構成上権限ある代表者が,彼紅    属する業務の執行においておかした損害賠償義務を負う行為によって,第三者に・与え  

た損害に対して,責任を負う。」   

(13)

145   公企業の組織形態としての株式会社における理事者の地位   −・45−   

と責任の・−・致が保証されるのである。しかし,派遣権利者の責任がかなり限定   されることは否めない。   

そこで,派遣監査役員の指示拘束の問題が,どのよ.うな場合に,どのように  生ずるかを具体的事例を通じて換討してみよう。そ・の場合には,有名なハンプ  

(52) ルク電力会社(Hamburger ElektrizitatsweIke AG)に関するBGHの判決を   挙げなけれほならないだろう。この事件にほ混合経済企業において二生ずる問題   が集中的に現われており,多少詳しく紹介する(以下,括弧内筆者注)。  

〔事実〕   

原告らは,2億ドイツマルク(以下DMと略する)の被告会社の資本のうら,それぞれ   1000DMの普通株を所有する株主である。原告らは,1959年12月15日に.行なわれた二つの   株主総会決議の取消を請求してこいる。ニつの決議のうらの一つによって,1958〜59営業年   度についての監査役会の責任解除がなされ,他の一つによって,特別検査役の選任が否決  

された。被告は.電気供給事業を営んでいる株式会社であり,その普通株の約73%と100万   DMの額面の全優先株式をハンブルク市が所有している。100DMの普通旗式ごとに・1議  

(58)  

決権が,100DMの虚先株式どとに40議決権が与えられている。さらに,優先株式の所持   人紅は,代表を6人まで監査役会に派遣する権利が与えられる。ハンブルク市はこの権利  

を行使して,定款の定める18人の監査役旦のうち5人を派遣した。彼らほ,市長B,収入   役W,政府委員長(Leitende RegierungsdiIektor)K,弁護士Meおよび∵Mであっ   た。   

被告会社は,契約に基づき領に.特許使用料を支払わなければならない。電気料金のあら  

(馳)  

ゆる変更濫.は契約によりハンブルク州政府の同意が必要であり,同政府はさらにそのため  

(52)BGHZ36,S。296ff.Ⅴハ29.1巾1962.  

(53)株式法12条2項(1937年株式法12条2項)の複数議決権株式である。株式法の同条    項は,複数議決権がガス・水道・電気等の供給事業における公の手の影響確保の利益   

と不当な乗つ取り防止紅役立てられることを目的として,設けられたものである(bei   

Kropff,aaO,S.,26)。なお,株式法12粂2項は次のよう・K,定めている。「複数議決    権ほ許容されない。会社が凍拠を有する州の最上級経済管轄官庁軋,優越的な全体経    済的利益を保持するために必要である限り,例外を認めるこ.とができる。」有名なラ    イン・ヴエストファーレン電気会社(RWE)をはじめとして,多くの混合経済企業    では,公共団体ほ多数議決権株式を会社支配の主要な手段としている。Vgl.Emme    rich,aaO,S.、338;Rtifner,aaO,S.187.  

(54) ハンブルクは.都市州である。   

(14)

第49巻 第2弓  

ー46−  

146  

に民間代表議会の同意を得なければならない。派遣監査役員は,取締役が必要とみなした   1958年夏以降の料金値上げを延期させていた。彼らほ,民間代表議会への料金値上げの議  

案提出の条件として,取締役が1958←ノ59年度の配当案9%を前年度なみの7%底引き下げ   るように要求し,それを達成した。彼らは,前年度よりも2%高い配当な支払うことは,  

料金値上げの手前,市民に顔向けできないと信じたからである。   

原告らほハンブルク市により派遣された監査役貞の責任解除を拒絶し,そして特別検査   役の選任を提案し,その理由としてここれらの事件を取りあげた。この二つの取り消しを請  

求された株主総会決議にノ、ンプルク市は参加し,Sを代理人として1829569票を投じた。   

原告ほ次のように主張した。ハンブルク市ほ1937年株式法114条5項およぴ118条1項2   文の基礎にある法思想に.よって,監査役会の責任解除および特別検査役の選任ゐ提案に関  

して議決権を行使することは許されない。その理由ほ次の3点にある。1.監査役会に派  適された2人の役員,すなわち市長B,収入役Wは市政府に所属していた。2人は市所有   株式の管理に決定的影響力を持っていた。そ・れゆえ.,株主総会に.おける市の代理人Sほ,  

嘩府の単なる伝声管にすぎない。2・L この代琴人Sは,市長Bの指示に従って投票した。  

3。市は,市長Bおよび収入役Wの泥道監査役員として一犯した義務違反に対して資任を負    う。  

ラント裁判所は訴を棄却し,また原告の控訴も棄却された。原告の上訴ほ,特別検査役   の選任が否決された株主総会決議に関してのみ認められ,決議は無効と判示された。その   他は棄却された。  

〔判決理應二)   

A.責任解除決議Ⅰ∴株式法114条5項1文によれば,議決によって茸任解除される   株主は,自己のためにも,また他人のために.も議決権を行陵するととができない。本事例   では,責任解除が監査役員として活動する株主に.関係しないので,との規定曙直接には適   用されない。株主は市である。い   

また,監査役員がそめ管理に対して法律上決定的な影響力を持っている株式の所持人   は,監査役会の責任解除に.際して,議決権を行使する資格がないとするRG(UI・t.Ⅴ.22.  

1.1935−ⅠI198/34−RGZ146,385)紅よって判示された種類の場合は存在しな 

・…市の団体的意思は,BおよびWに.よふてではなく.市の政府に.よって形成される。全体  

としての政府は,たとえ,あるいほBおよびWの事実的影響のもとにあったにせよ,責任  

解除に.賛意を示したのであるから,だれも自己の事件の裁判官に.なることは許されないと   

(15)

147   公企業の組織形態としての株式会社に.おける理事者の地位   −47− 

いう株式法114条5項を支える理由ほ翼当しない。  

ⅠⅠ(政府の決定軋市長Bおよび収入役Wが従わねはならないこ.と,および政府委員長K   がハンブルク州の公務員であることに関連して,ハンブルク市が被告会社の監査役員と同   一儲できるか,および責任解除決議に際して,自己の事件におけ草裁判官として活動した   かどうかについて)1.ドイツ統山頂朝潮制ほノ、ンプルクに.おいては.適用されない。  

それゆえ,ドイツ統一・市町村制70条に.示される原則が妥当しないところでの市町村の派遣   権が問題となる。   

2.市町村が,株式会社の監査役会に派遣した者の責任解除についこ議決権を行使する   ことができるかどうかは,多層的な問題であり,茸任解除の本質と派遣監査役員の地位の   特性からのみ解決できや。い(派遣監査役貞ほ)選任監査役貞と異なり,その任用に・む   業務履行にも総会の信任を必要としない。従って,その責任解除は.監査役会の業務履行の  

承認の意味しか持たず,選任監査役且がその任務履行のため必要とするような信任の表明   の意味ほ持たない。   

泥道階は実際的必要と−致する。それは,株主が監査役会において自己の利益が信頼す   る者に√よって守られることに嘩即の利益を持ちうるということを考慮する。この場合,混  

合経済企業に.おいて,公共の福祉が相当に考慮されることに怒を用いねほならない公の手  

が特に考えられる。派遣橿を行使し,派適された者を通じて監査役会の態度に影響を及ば   すこ.とができるからといって,賓任解除に際して,派遣樅利者から議鉄棒が排除されるわ  

けではない。派遣された者ほ,会社の利益を派遣権利者の利益紅優先させねばならないの   で,派遣権利者は,派遣された者に.対してニ,彼が監査役会において相当の,かつ良心的業   務指揮者の注意をもって義務を負う任務を履行しそれに.よって会社の利益を守ろうとする   こと′を阻止できない。   

3.(市に.より監査役会に派遣された者が,政策的理由から料金値上げを遅らせたこと   によって,市の監査役会に対する影響が現実のものとなったがゆえ.紅,市は料金値上げの  

延期によって被告会社に生じた板書を茸任のある監査役員と並んで庶供する義務があり,  

少くともこの理由から,市は監茸役会の茸任解除に.関する議決に.参加することはできなか   ったとの上訴の主張について)株式法114条5項1文の議決権停止が監査役会の義務違反   に対して共同責任を負う株主に拡大できるかどうかほ,判断しないでおく宇・とができる0  

ぐそして,裁判所軋 前提となるハンブルク市が被告会社に対して責任を負うかどうか紅  

関して,これを否定する0)派遣資格ある株主は,選任および解任紅よってその権利を使い   

(16)

第49巻 第2号  

148  

−・4β∴−  

果たしており,それを越えて法律上何らの影響可能性を持たないのであり,渾に事実的影   響力を及ぼしうるだけである。  市は,これら3人(B,WならびにⅩ)の監査役員  

を通じて,被告会社の運営に決雇的,支配的影響力を保持してはいない。  

(派遣権の採用に際して,確かに派遣された老の義務違反紅対す■る派遣権利者の責任が考  

(55)   (56)   (57)  

慮されたが,拒絶されたとし,ただ,せいぜい株式法101条またほ民法826条に・よる責任が生   じうるが,原告らほ,市が自己またほ他人の会社外的特別利益を追求したとして非難するこ  

(58)  

とをせヂ,また,株主総会決議取消のために株式法197条に依拠しないことを明らかに・し,  

民法82時についても,主張しなかったとして,判断しな中った0)結局,責任解除決議の   取消ほ根拠がない。   

B小 特別検査役決議(株主が監査役見である場合に,特別検査役選任の提案に関して   議決権が排除されることを定めた株式法118条1項2文の適用および類推適用についても,  

上述の株式法114条5項に閲す・る議論を引き合いに出すことができ,従って否定される。  

さらに,市が会社の共同決定権を良俗に違反して行使したことに・よる権力濫用を,上訴が   非難していることに対して.は,訴訟手続上の欠陥を指摘して,問題に立ち入る必要がない  

とした。最後に,ハンブルク市に支払われるぺき使用料の変更を目的とする株主総会決   議の成立のためには,株主総会に代表される市所有に.ない株式の特別表決で多数を得る必  

要があるとする定款の定との関連で,特別検査役選任に関してこの特別表決が行なわれね   ばならなかった限りで,取消の訴は認容すべきであったとする。)   

次に,派遣監査役員の行動について,連邦議会においても問題となったこと   がある。当時まだ私有化されず,有限会社形態のもとに・あったフォルクスワー  ゲン製作所が,不当な方法で,すなわち市場制限の方法によって−,卸売りや自   動車販売等を妨害したことが問題となった時に,フォルクスワ−ゲン製作所の  

(5与)派遣権利者の安住については前述を参照されたい。  

(56)1937年株式法101条1項は「自己またほ他人のため,会社外的特別利益を得る目的   で,故意に∴会社に対する自己の影響力を行使して,取締役員または監査役且をして−,   

会社または株主の損害となる行為をさせたものほ,・それ紅より生じた由書を賠償する    義務を負う。」と定めていた。参風,1965年株式法117条。  

(57)「良俗に違反して,他人に・改革に・板書を与えたものほ,その他人に対して,損害を    賠償する義務を負う。」  

(58)株主総会決議の付加的取消原倭として,株主が故意紅白己または他人のため,会社   またほ他の株主を犠牲に.して,会社外的特別利益を追求した場合を挙げている。参照,   

1965年株式法243条2項。   

(17)

149   公企業の組織形態としての株式会社における理事者の地位  

−ぜ9一   

監査役会に.管轄大臣の代表として席を占めていた二人の高官,エフタリング  

(Oeftering)とルスト(Rust)ほ委員会に出席して「我々ほ,監査役貞とし   て大臣の指示に.拘束されず,企業の利益を擁護しなければならない」と述べた   ことがあった。それについて,SPI)の議員ダイスト(DI.Deist)と連邦財  

産管理大臣リントラー・ト(Dr.Lindr・ath′)の間で次のようなやりとりがあった。  

ダイストは,そのような高官らの行為に対する大臣の回答ほ・,公益の主題こ・そ   これらの企業における連邦の代表者の任務であり,それができない場合には, 

(さ9)      (60〉 少くとも企業に.おける職を辞さねばならない,とすべきであったと述べた。  

それに対して,リントラ−トほ,監査役員は法律の規定に従って会社の繁栄を   主張しなければならず,これが連邦政府の政策と」・致しない場合,連邦として  は,監査役員を解任し,新しく選任するととができる鱒けであり,更′なる影響  

(61)  

カを行使することはできないという見解であった。従って,大臣は実質的に彼   らをかばった。  

(62)   

その後,1965年に,連邦財産管理大臣ドリソガ,(Do11inger )と,Vebaの   監査役員として取締役の琴任の際大臣の忠に添って行動しなかったその部下の  

(鱒)  

カツテンストロ−ト(Kattenstf伽h)の間で論争が起こった。   

監査役員の指示拘束に関するこれまでの議論から,判例および会社法学説を  

(6生)  

中心とす・る支配的見解が二つの前提に依拠していることが分かる。そ・の第一・の  

(59)グイアロソが同じような考えを述べている(FI,K.Vialon,Haushaltsrecht   

2Aufl。,S..ケ31)。それに対する批判として一,Vgl。BerIkemann,aaO,S−.212f,,。  

(60)301.Sitzung des3.Bundestags v.12.6:1958,S.1627ff巾des Stenogr・  

Berichts 

(61)S廿1637u.1641des Stenogr・.BericlltS.  

(62)VeIeinigte ElektIizit畠ts・und BergweIks−Aktiengesellschaft(合同電気鉱山株    式会社)。1965年に私有化された。現在の資本額ほ約10億DMである。そのうち約40    パ−セントは連邦の所有紅あり,琴りは国民株式として分散している。後者に・対して    は議決権制限がなされているため,連邦はあらゆる株主総会に.おいて絶対的議決権多    数を保持している。さらに,連邦ほ4人の監査役員を派遣する権利を有している。   

Veba ヲンツェルソは,化学,石油加エ,ガラス,石油賠製,貿易等の領域で活動   している。Vgl。Bonner Almanach1974(PIeSSe−undlnformationsamt de工・Bun−   

desregierung);Emmerich,aaO,S。37f 

(63)Rむfne‡いaaO,S小259(Fuβn巾122) 

(64)Vgl.、Berkemann,aaO,S.213f董t   

(18)

第49巻 第2弓  

−−βクーー  

150  

前提は,会社のあらゆる機関構成員の原則的な指示自由の承認である。監査役   員の選出によってノ選挙人と被選挙人の間に・はイ可らの蚕任関係は生単ず,監査役   昌ほ会社に対して.のみ,相当の,かつ良心的業務指揮者の注意をもって,会社   の利益を守ることを義務づけられる法律関係に入る。機関構成員は,どんな場   合でも,会社の繁栄に・とってイ可が良く,また役立つかを,独立して検討しなけ   れほならない。それゆえ,機関構成員ほその決定を自身の裁量に.よって行なわ   ねばならず,したがって,その意思形成は自由である。派遣監査役昌が株主総   会によって選ばれずに派遣権利者に.よって選任され,また彼がいつでも解任し  

て,他の者に替えることができる場合でも,そのこ.とは監査役員への選任行為   のみが異って定められていることを意味するにすぎない。派遣監査役員の地位   は選出された者と異ならない。したがって,派遣権利者には.指示権は帰属しな  

(65) いとされる。   

第二.の前提ほ,公行政主体の参加と他の私的社員のそれとの法的等置に存す  

(66) る。公行政主体の会社法的参加ほ,民事法上,国庫(Fiskus)として行なわれ  

るので,公の手ほもっぱら会社法の規範に拘束される。それはまた公の辛が会   社の機関に派遣した者が公務員である場合でも,その者の指示自由虹関して妥   当する。こ.の前提略,民事法学者によって主張される公的参加と私的参加を交   換的に−・致させる一・体的解決に基づいている。  

1929年紅ライヒ司法省は,法律家に・対する質問表の中で,株式法改正のため   に,株式会社の形態ほ「真正の営利会社」転限られるべきか,あるいは「混合   痙済企業」という特別の型が作られうるのかどうかという質問を提示した。▲行   政法学者の強力な主張に・もかかわらず,1937年の株式法では,民事法学者の主   張が容れられ,単一・的形態が維持された。そ・の際の民事法学者の反対の理由は   次の如くであった。すなわち,・一・般会社法が参加社員の権利主体の如何紅より  

(65)指示からの自由を機関構成員の株式法上の地位の本質的構成部分とみなすこの会社    法の学説に.対しては,当然に.批判がある。その場合,支配契約紅おける指示権が引き   合いに.出される。Vgl.Berkemann,aaO,S.220ff.  

(66)いわゆる国庫説紅対する批判として,次を参照されたい。Berkemann,aaO,S 

27ff 

(19)

151   公企業の組織形態として.の株式会社における理事者の地位   −5∫一   

時別規制を経験できるとすれば,それは望ましくないものであり,また私法と  

(67)  

公法の間の整然たる分離のために公法の影響に反対すべきであると。   

これと対照的なのがスイスの例である。同じ時代に.,スイスでは,債務法の   改正の中で,公法的な特別規制を行った。スイス債務法762条および926条がそ  

(68) れである。  

(3)監査役員の守秘義務   

指示権者が被指示者の活動に関して報告を受ける場合にのみ適切な指示が可   能となる。また,情報の必要性は,公務員の活動にとどまらず,まさに.会社の   全業務執行に及ぶだろう。指示権者ほ,業務資料,たとえば株式法90条によっ   て取締役が監査役会把捉出しなゆればならない報告書について関心を持つ。監   査役会は,会社の帳簿および文書,ならびた財鼠 特紅会社の現金および有価   証券,ならびに商品の現在高を閲覧し,検査することができる(株式法111条  

2項)。指示権者は,そのような閲覧および検査の結果を知ろうとするだろう。  

一・般に,公務員は上役に対して相談し,上役を援助しなければならない(連   邦公務員法55条i文)。上役が適切な判断を行なえるように,公務員は上役に情  

(67)Vgl.Berkemann,aaO,S.11。ベルケマンほ,民事法学者の主張する〟L体的解   決がすでに1935年のドイツ統一小■市町村制で破られていたと主張する。そして,指示拘    束の問題において,ドイツの支配的(会社法)学説は,同市田一木情押0条の規定をはと   んと考慮していない(例外,ノ㍉ヲシュチッり という。  

(68)スイス債務法762条ほ次のよう紅規定する。   

(1)連邦,州(Kanton),県(BeziIk)もしくほ市町村のような公法上の団体が公   兵の利益を有する企業に.おいて,その団体に,会社の定款で,理事(VeIWaltung)  

および監査役(Kontrollstelle)に代表を派過する権利を与えることができる。そ   の団体が株主でない場合でも同様である。   

(2)そのような会社,および公法上の団体が株主として∴参加する混合経済企業にお   いては,その団体紅より派遣された理事および監査役の構成員を解任する権利は,  

その団体に.のみ属する。   

(3)公法上の団体紅より派適された理事および監査役の構成員は,株主総会紅より   選出されたものと同一・の権利および義務を有する。但し,理事会として株式の寄託   義務を免れる。   

(4)公法上の団体に.より派遣された構成盈のために.,その団体は,会社,株主ならび   に侶梅者紅対して,連邦および州の法律紅よる償還請求を条件として責任を負う。   

(なお,3項で株式の寄託義務を免除されるのは,_代わり紅公共団体が責任を負うか   らである。Vglい′臥、Schucany,Kommentar zum Schweizerischen Aktienrecht,   

Schweizerisches Obligationenrecht,26u..27Titel,2Aufl。1960,S.763) 

(20)

第49巻 第2号  

−・52−   152  

報を与えなけれはならないのである。それゆえ,公務員は.,指示服従の関係払   おいても,上役が合目的的指示を与えるととができるように努めなければなら   ない。従って,また,会社の機関構成員たる公務員も,会社における活動と,  

自己の認識した事実に、関して,上役に誠実に報告することが要請される。それ   によって,公行政主体は,参加に.際して,公益が目的上正当紅追求される事を  

(69)  

保証し確保することが・そきるのである。   

さらに,公企業の財政法上の検査は,特に.管轄大臣の発意に基づき選任さ   れ,またほ派遣された監査役員がなさねばならない報告に.依拠する(連邦財政  

(TO)  

鴇69条1項2号,ライヒ財政法111条1項2号)。監査役員は,社員としての連   邦の活動の総括的検討を可能とするために,管轄大臣に.,取締役のあらゆる報   告書を含めて,すべての知識および基礎資料を伝達し,引きわたさねばならな   い。   

他面において,監査役昆ほ凰則として守秘義務を負う(株式法116条,93条   1項2文)。従って,公法の報告義務と株式法の守秘義務との衝突が生ずる。  

1965年の株式法はこの衝突を解決するものである(株式法394粂および395   条)。それによれば,統治団体の発意に.基づき監査役会に.選任され,または派遣   された監査役且が統治団体になさねばならない報告に.関しては,守秘義務に・服   さない。ただし,報告の目的にとって重要でない会社の内密の事項および秘密   は除かれる。その代わりに,統治団体の参加を管理し,またほ.財政上の検査を  

(71) 任されたものほ,守秘義務を負う。  

(69)Berkemann,aaO,Sり242.  

(70)1969年の連邦財政基本法および連邦財政法に基づく会計検査院に.よる国の経済活動   

の検査について は次を参照されたい。軋Ⅹafe王1nke,DieKontrol王ederStaat】ichen    Betatigung beiUnteInehmen,DOV1971,S。190ff小  

(71)これらの規定の意義についても争いがある。ベルグマンは,公務員法による受け手    の守秘義務から1965年株式法の発効前においても同じ結論が得られ,しかもそれをラ   

イヒ財政法(111条以下)が明諾していたとして,株式法は劇政法の規定から引き出さ   

れるものを確認している紅過ぎないという(Berkemann,aaO,S.242ffり)。それ紅    対して−,・エ.メリッヒは,株式法のこれらの規定から財政法またほ公務員法の情報義務   

が株式法の守秘義務に優先しないことを前提としているのが認識されると言う。なぜ    なら,そうでなければ,それらの規定が全く無用となるからであるとする(EmmeI・ト   

Cb,′aaO,S…210)。   

(21)

153   公企業の組織形態としてLの株式会社紅おける理事者の地位   一−∂∂− 

1965年の株式法が株式会社への国家その他の公行政主体の資本参加の問題を   ほとんど把挺していないなかで,株式法394条および395条は.,「統治団体め参加   に.際しての特別規定」の表題のもとに.,その部分領域を扱っている。実は,こ   れらの規定も,連邦議会の財政委昌会の発議に基づき委員会審議で初めて取り  

(72)  

あげられたものであった。この規定の意義ほともかくとして,これらの規定に   よって,ドイツの民事法学者によって.主張される公行政主体の参加と他の(私   的)社員のそれの平等原則に対する公的資本参加の最初の侵入が生じたといえ  

(73)  

る。  

(4)小指   

連邦財政法65条1項2号は,監査役会紅おいで適切な影響力を保持するこ   と,すなわち適切な代表が会社の業務執行に.対する影響の手段であることを出  

(74)  

発点としてい声。株式会社の監査役会把・は,企業の営業政策を方向づけるため   の重要な権限が帰属する。参加公行政主体はそれゆえ.監査役会の決定やその他   の活動に.影響力を行使できることに特別の利益を有する。財政法の要求すると   ころに.より,行政ほ監査役会において,できるだけたくさんの数の椅子を確保   しようとするだらう。さら紅進んで,行政は監査役会によって取締役にも気心   の知れた者を送ろうと骨折るだろう。行政は,それから自己のためになるよう   な業務執行を期待する。   

株式法は,監査役員については,取締役における法律状懸とほ異なって−,混   合経済企業における公の手の要求をまさに.考慮して,派遣権を認めた。しか  

し,支配的見解に.よれば,法律ほ派遣権利者と派遣監査役貞との間の関係紅お   いて,派遣権利者の意思を貫徹するための保証を与えなかった。派遣監査役員   の解任梅もそのためには充分であるとは言えない。派遣監査役員は.,派遣権利   者紅対するその地位紅おいては,派遣権利者が公行政主体である場合にも,実   質上指示から独立している。すなわち,派遣権利者と派遣監査役員の間の内部  

(72)Vgl.die Ausschuβbericht,beiKIOpff,Sり496.  

(73)Berkemann,aaO,S.245巾  

(74)それは,この条文の前身であるライヒ財政法48粂2項1又においで−・層明白であ  

る。注(4)参照。   

(22)

−5ゴー  

第49巻 貨2号   154  

関係に何らかの法律関係(公務員関係,雇用関嘩,委任関係等)が存在する場   合,それに基づく指示権が−・応承認されるが,しかし派遣権利者と会社の利益   が衝突する場合には,会社の利益を優先させねばならないのである。   

結局,公行政主体にとって,事実的影響力のみが残されるのである。   

ⅠⅤ. まとめ   

財政法および市町村制が共に公の辛が企業の指揮に決定的影響力を設定するこ   とを要求しで以来,企業の指揮において公共の目的を顧慮することを制度的に  確保することが,公企業の会社法の主要問題とみなされてきた。・それは,より   具体的紅は.,会社機関(取締役,監査役会)阻対する影響力確保の問題であっ   た。しかし,株式法の枠内で公企業阻対する公の手の影響力を貫徹することは   困難であることがわかる○事実的影響力が残されるだけである。しかし,統御   困難は,企業が公益をはなれて独白の道を歩む傾向をもたらす。それに対し   て,公法の導入によって会社の存在意義を発揮させようとする試みがなされ   る。これほ,公法と私法の衝突を生じさせ,そしてその適用関係が議論された。  

その議論の中で,私法に・特有の原則が露呈した。互換可能性,平等取扱いの原   則である。国家は,他の私的株主と等置され,公益という特別利益の追求も正   当化されない。とれを株式法の規制の面からみると,まさに株式法は株式会社   への国家の参加の問題を予想していないともいえる。   

このような株式法の規制のもとでは.,株主総会に.おいても,また監査役会お   よび取締役においても,国家その他の公共団体の代表者は,立法者によって考   えられた通常の場合,他のすべての者と同じく,まさに現存する営業資本の利   用のもとで,利益最大化紅向けられる会社目的を実現するという株式法的義務  

(7の  

に・拘束される。しかし,それははとんど公益の貫徹とは一致しないだろう。   

現代的会社法は,所有と経営の分離を制度的に.保障した。ドイツの1937年の  

(75)Berkemanh,aaO,S.83り プァッツに.よれば,多くの場合に.おいて,政府から出   

ている監査役員は,影響を与えることが少なく,またほ他の監査役員と区別できない  

ような立場をとっているという(Vagts,at83)。   

(23)

155   公企業の組織形態として−の株式会社紅おける理事者の担位  −∂∂ ̄ 

株式法もそのような立法であった。公益の充足のための企業指揮に対する公行   政主体の影響確保の試みほ,まさ紅,この分離を,逆に一傲へと制度的に引き   戻す試みであった。それゆえに,それに対する反発は,当然紅も大きいもので   あった。   

形式的,組織的外被としての株式会社と行使される機能(行政)の間の矛眉  

が大きい場合に.は,そのような法形態を利用することの適否が問題とならざる  

をえないだろう。   

参照

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