奈良教育大学学術リポジトリNEAR
公企業法の理解と教育の課題
著者 高山 義影
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 3
ページ 1‑13
発行年 1967‑03‑25
URL http://hdl.handle.net/10105/6116
公企業法の理解と教育の課題
高 山 義 影
(.法律学教室」)
は じ め に
19世紀の警察的な国家においては、厳格な意味での官憲的行政(obrigkθitliche Ver−
waltung)としての命令 強制方式によった公権力行使が公の行政活動の中核をなしていた。騎ユ し現在ではそれがホルストボッフのいう生活配慮(lDaseinsvorsorge)と称した分野での保護
・助成 援護 促進.指導 奨励だとの措置が増大して経済指導行政(Wirt s chaftsユe泣end一θ Ve rwa1一七ung)と共に、いわゆる侵害行政(皿ingriffsve rwaユ七ung)から給付行政(
(1)
Lθis七ungs veでwa1七皿ng)へ移行転換しつつあるといわれている。 これを 奪う行政・から、
与える行政。への移行といえよう。
かっておオットー マイヤー以来の伝統たる高権的行政(Hoheitユiche Ve rwaltung)と 国庫行政(fi skali sche Vθrwaユ七ung)の類型は、高権的行政と非高権的行政(Nむhth−
oheit■iche Verwaユtung)だとか、単純高権的行政(schlichte Hohei七sverw−
altung)、生活配慮、保育行政(lpfユegeI1d−e Ve rwaltung )、行政上の私法(Ve rw一 ¢)aユtungslprivatrecht)、給付行政というように代置分類されるようになってきた。 これら の傾向はわが国でも同様といってよいだろう。また、1920年代にフリッツ.フライナーは経営的行 政(Betrie bsvθrwaltung)臼)という観念を定立し、公の手による私法的企業(Priva。七r−
e chtユiche Un七θrne上㎜en d−e r6ffen七1i chen Hand一)研の増大を認識して、現行 行政法上での公企業概念を暗示している。思うに、国または授権された公共団体および私人が、対価を えて公共的福利目的のために経営する事業が、いわゆる公企業であり、それは、公の手による私法的活 動が最近の国家経済の高度成長による多様化I複雑化 技術化 専門化とあいまって、かって国が消極 的な私人の立場で活動していた国庫説(■iskastheorie)の概念を修正するところの国庫概念の (4)
革命化(ReVolu七ionie rung d−e s Fiskus Bθgriff) の所産であるといえよう。な おフランスではこれに対応するものとして公益務(service=pub■ic)の概念が行政法の中核を
(5)
なしている。
これらの公企業から生ずる諸問題をいかに理解し、そのよりよい対策を行政法の教育に示唆する試論
は、ベンサム(Bentham,1ア48〜1832)のいう「最大多数の最大幸福」(the grθat−
e st hap1pine s s of the gre atθst N㎜ be r)を目指すところの公共的福利増進の目
的の理念に沿うぺきものであらねばならないだろう。本稿はかかる通説的立場から理論構成を試みるも のである。
(1) FO「SthOfぴ.出h地uOhae昌VeW訊tW邸鴉Cht§1町8Aは工,19台㌔Sア㌔11高11島521.塩野宏 「フォルストホーフ 給付行政の法律問題」国究学会雑誌73巻11^12号P.84以下参照、山田 幸男「給付行政法の理論」現代の行政、P.21以下参照、中村弥三次「給付行政に関する法的統制 の諸問題」公法研究28号p.174.成田頗明「非権力行政の法律問題」前掲書R158参照 一1一
(・)竜ユ・M㎜・孔凧・・S・h醐此enNi・h舳heitユi・h・Ve珊aユ加思・Heft19VVaSt弘一96い・
166f f.
(3)(3) Fユe iner。, 工nstitutiOnen de s D邑u1二Schen Verwaユ1二ur喝Srechts, 8Au仁ユ., {928, S. 326。 ; a・ a・O・ 5Aufユ・, 1920,S・3D lff・凡 R・Hu]コer, 切ir臼Jhらfモ自碕工切組tu㎏有由6査七,]ヨd・・ 1.
1955, S. 519f f u. S. 529.
(4) Maユ1mann,W.,a. a.●。S. 195,201,ReuB,W ,bffent■iche Wirtsch虹t㈱エwaユtur招mit pr士vat工嘗。ht■iChen Ge staユー七ungsmitteln, Staat−bコi工9ar una St aatsgewa■t・ 工I 1963, S・ 263 f f。
(・)L・・枷㈱,・・鮎dθリT・・i山ユ・…t・i蝸d・ami・血i・i・…tif・・㎝・エエエ・.1…{
6ア et 8ui〕.
一、 公企業の概念について
1.公企業(OffentlichθUnternehmung)といの用語はオットー マイヤによって、彼の
名著「ドイツ行政法」(1)で初めて用いられた。わが国では美濃部達吉博士が最初に行政法の領域で取 り上げている。¢)また類似の語としては公共企業臼)、公益企業.公益事業 公営企業⑭)、官公企業(5)、
行政企業(6)公共事業などの名称の下に、かっての行政法学や最近の経済学、経営学、労働法などの分 野で使用されている。さらに英米の行政法上ではPub工ic u七iユi.七ies,=pubユic enter一
P.i・θなどの語にみるように実定法上の概念(つとして採用されて/・るものもある、またフランスで は=正!6t a1⊃1i s s eme n七 pubユi c とかs e rvi c e publ i c iユエd−us t ri e L t ravaux
public s,en七reprise s publ iζae sなど⑫)の用語があるし、それらはいずれもその意義 ・内容において概念は類似するが必ずしも同じではない。
2.わが国で行政法上に公企業という用語は、実定法上の概念ではなく、学問上の概念であるから、必 ずしもその用方は一定していない。そこでまず、便宜上、従来の用例を一瞥要約してみる。
l1)主体性説とも称しうる学説で、国家または公共団体の営む事業の全部を公企業と称する立場であ (9)
る。 すなわち、この説によれば事業の主体のみによって公企業を定義づけることになって、およ そ、社会公共の目的、収益性、軍事目的の如何を問わないことになる。従って、社会公共の利益に 反しても、第二次的に間接的利益(例、競輪 競馬 競艇など)になれぱよく、また単なる収入目 的の専売事業、純営利的事業(例、地方公共団体経営のベアリング セメント工業など)、直接軍 傭を目的とする兵器製作事業を包含することになる。
思うにこの説は、かってのドイツでの国庫説に影響された論であって、公共的福利目的に直接奉 住する国 公共団体の責任と義務を忘却した学説ではたかろうか。それは行政の権力的作用の無限 性を前面に打ち立てた高権的事業の総称といわねばならないものと公企業との混同の感を免れない と考察できよう。要するに公共的福利目的に直接貢献する事業をもって公企業と称する立場からは 本説には賛成できないし、さらに事業経営者が独占権をもって人民の利益の配分を公正に行なうは 公の行政の責務であるにしても、かつてのように官僚 軍閥 財閥のごとき一部の利益を計る目的 に濫用される虞のある現段階では本説の定義は公企業と称するにふさわしくないと考えねばならな い。ちなみに本説は国家独占権の絶鈎説で私人による公企業の経営を一切認めないのである。
(2 主体目的説と称しうる説で「国または公共団体が直接に社会公共の利益のために目ら経営する非 一2一
権力的な事業」を狭義の公企業となし、それに特許企業を含めて広義の公企業概念を定立する立場
(10七あって、従来の通説である。かってのオットー マイヤの概念たるr公企業とは、その特定目 的により特徴づけられた公の行政の一部である。それは公の行政主体によって特定目的ヒ継続的に 供用された人的物的手段の総合体である。(]1との論の導入であって、それは美濃部達吉博士によっ て主唱され、現在で李支持者が多い。この説は囚公企業は社会公共の利益を目的とする事業であり、
単な予収益目的の事業(例・専売 地方公営のセメント事業.競輪 競馬.競舷ど)や平家存立 のための事業(例、兵器製造事業など)を除外する点は賛同できるし、田公益目的だから収入を否 定するものでもなく、同時に国の収入源となってもなお、公企業であるとする点も同意できる、lo 特定の公益目的事業であり、その目的の差異によって各個の事業として考察できるとの点も支持せ られえよう。しかしOD公企業の主体は国家または公共団体であるから、公企業は国家独占権が形成 された事業㈲であらねばならないとする点は問題である。この点は公企業の許可(特許)(Ver−
!eihung offen一七1icher Untθrnehmungen Konzession)の項で細論するが
国家が企業独占経営権を有するとの解釈は国がある種の事業に強度の保護、規制や監督を加えるか ら、そして公企業の経営者が特別の権利や義務を有するゆえに、公企業の経営独占権が当然に国家 にあるとする点は疑問である。この点はあえて前記の批判を再び繰返さないでおこう。従って、回 (1書
本説が非権力的な事業 とすることにも矛盾が生じるといわねばならない。なぜなら、公権として の国家独占権を認めるのは非権力的事業というに適しないからである。われわれは後述のように憲 法第14条 13条 25条 22条などの基本的人権の保障の回復と解する点で支持できないの である。また本説が交換経済性、収益性のない事業(例、道路、河川など)を公企業とするは、営 造物事業と混同するものであろう。
13)公共的福利目的説ともいうべき立場から、公企業とは、広義において、直接に、一般人民のため に特定の精神的または物質的福利の増進をなす目的のため、対価牟得て、役務または財貨を提供す ることを内容とせる事業であると定義する説である。この立場をとられるのが渡辺宗太郎博士 杉 村敏正教授 広岡隆教憂1タらである。分説すると次の通りに要約できる。
(イ)公企業は、対価を得て役務または財貨を提供する交換経済的活動である。従って、一般人民の 福利増進のための事業でも、対価を得ない非経済的活動は含まない。(口)公企業は、一般人民の特定 の精神的または物質的福利の増進を直接目的とする作用である。ゆえに、専売事業 競輪 競馬.
競艇などは財政収入作用であって、対価を得ても直接に一般人民の福利増進に寄与せず、ただ間接 的に漠然と福利増進目的に利用できる性質のものであるから公企業ではない。←う公企業は、一般人 民の精神的または物質的な福利増進の目的たるところの公共的福利目的の事業である。だから、単 なる私的利潤の追求のための私企業と異る。公企業は、行政主体である国または公共団体によって 経営されることが多いが、私人(公私混合形態を含む)も許可(いわゆる特許)を受けて、公企業 主体となりうる。この場合の公企業と私企業との識別の基準は、前二説のいうように、事業主体の いかには存せずして、当該事業が追及するその目的の相違並びにそれに並行して認められる法的規 制の相違にある㈹といえる。H公企業は、交換経済的活動たる企業であるから、ある程度の収益性 を伴うし、それが収支相偵うことの予見が立ち、収益目的が公共的福利目的と並行し重要意義を生 じる場合と、収支相償わないのが明確であって企業がもっぱら公共的福利目的のみに行なわれる結 果、収益性が副次的ないしは偶然的に随伴する場合がある。この点につき、渡辺宗太郎博士は、「
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公企業は、それに包蔵せられる行政的役務意思と経済的利得意思との結合の態様を標準として、更 に、二種に区別せられる。その一は、それが専ら行政的役務意思に基いて行なわれ、経済上の利得 は寧ろ偶然の結果として見られるものであり、他は、それが役務意思と同時に利得意思に基いて行 なわれるむのである。学校、病院、博物館、図書館などの管理は、一般に前者に属し、上水、瓦斯、
電気その他ある種の食糧晶の供給事業、郵便、電信、電話などによる通信事業、電車、乗合自動車 鉄道、運河などによる運輸事業などは、一般に後剖こ属する。後者を狭義の公企業と呼ぶ;とかで ㈹
きる。」 と説明されている。以上のように、われわれは公共的福利目的説の立場を支持しうる。
3、思うに、前二説が交換経済性、収益性を問わない理論は、一営造物(bffθntユiche Ans−
ta工t)や経済統制方式による事業の理論にて充足されうるし、われわれが対価を得ることを要件 として交換経済性、収益性の伴う事業を公企業というのは、事業が交換経済性、収益性を有するゆ えに、いわゆる企業と称しうる点とを比較しても自からその妥当性が明かであろう。行政法学上で 営造物理論の他に公企業を論ずるのは、それが対価を得ることによる企業性をば(性質による濃淡 の差はあるにしても)その特徴とするゆえんである点に理論構成の実益があり、また収益性 交換 経済性あるゆえに私人も許可(特許)を受けてそれらを経営するし、そして国と公企業者間に保護 助助 監督につき特別な法律関係が生じそれが考察の対象とされる実益があるといえよう。
(1) O.Mayer,DeutschesVe叩aユt㎜gs血。ht,3.Aはユ.,臨。l1.1924,S.L彼は初版(1895 年)でこの語を用いた。原竜之助、企業行政法P.28−9。山田幸男,公企業法正.12−3参照,な お最近では経済学 経営学上でも公企業の用語を用いるものが多くなってい糺加藤寛編公企業の 経済学。竹中竜雄,公企業研究の世界的動向.一瀬智司,公企業財務管理など。
(2〕美濃部達吉,日本行政法各論(大正9年〕P.295一 ,織田萬,日本行政法原理(昭和9年)な とで次第に行政法上取上げられだした。田中二郎,公其企業法P.54以下参照。
(ヨ〕 田中二郎,公共企業法は統制経済を含めてこの用譜を用いた。また公共企業体等労働関係法(昭 23法25ア〕では、公共企業体の語を用いたが、行政法上の概念でない。なお占部都美,公共企業 体論。杉村章三郎。柳川昇公共企業体の研究などがある。
(4〕北久一,公益企業論(昭和41年〕P,7以下はbusines紅fectea杭th a pubユic inte花stを公 益企業とし、公益事業会編、公益企業政策の亭文はpub■iC utiユiti白Sをもってこれにあてている。
また公益企業法案に代る公益事業令(船25政5−3〕が制定され、行政法学上0)公企業の(特許)
とも関係する(後述)。地方公営企業法(昭2ア法292〕地方公営企業労働関係法(昭2ア法289)
は公営企業の語を用いている。これらの用例はいずれも公企業の概念に包まれるがその範囲が限定 されたものである。なお竹中竜雄、地方公営企業論.公益事業学会編、公益事業経営.蟻山政道、
公益企業.国.策企業などはこの用例によっている。
(5〕竹中竜雄、官公企業経営論(昭和14年〕東1洋出版社は官公企業と特殊公企業(現在の公企業の 許可(特許〕)とを区別して論じている。P.2 7以下参貝員。なお・汐見三郎・専売及官公業論、参照
(6)山田準次郎、行政法(昭和28年〕F.31ア以下は行政企業体として・公共企業体、公社二公団 .公庫.その他の国家の利益となる各種の企業を一括して名称づけている。
(7〕例えば・]≡u]⊃ユiCUti■ity工awがペンシルバこア州で制定されており・ζ1の下に王enn6sy1揃1ia Pu1b■iCUtuityn㎝lisSi㎝が規制措置を講じている。鵬ユ]」ユO血& 取Sθ,Ad血inistrat土YeLaw,
1954,2P.105ff.また、聯邦では1955年に王u1⊃1iC Utiユity H帆d−iI」g n㎝脾VACt,(
一4一
(19ヨ5,江S〕が制定されている。SGhwaれz,B,乃=帥。]ユAd皿inistratveLawar血the O㎝mO卜 功wWOrユa,1954,R正。l1口ffには証券取引委員会(S.E.O)の規制権限を同法の下で論述 している。
(8〕 Amユ量 d−e Lau]⊃ad−e re. 0コ≡。 ci1二。, To工追 ユ■工P. 559θt sui汎 539. et suiv。 ;工。m已 ユエ。 貝 88−89, 249.et Suiv. Ma工CeユWa■ine, Trait6 画ユementai工e d一θ DrOi1二Adninis1二ratiゴ=, 占 ed一.1952,「。4 4自t S血V.63,309.θt8山Te一一富沢俊義「Sθn村CθP口σurの概念につい て」法協56巻5号p−1以下神谷昭、フランス行政法の研究王.121以下。野村敬造、フランス 憲法。行政法r.215以下参照.山田幸男「行政法の展開と市民法」、同「公企業法」などにも細 しい論述がある。
(9) 山田準二郎、「公企業及其の特許に就て」法学新報49巻2号はこの説であり、公企業の許可(
特許)を否定する。同E24以下参照。
㈹ 美濃部達吉、上掲書P。ヨ40。同、行政法撮要下巻王。185。織田萬、上掲書P.ヨ40,田中二郎 行政法旧王.4占9,4アロ.柳瀬良幹、行政法教科書P.202,E日上穣治、「公企業の概念」公法雑 誌5巻1号,原竜之助、行政法概説R2ヨ9,など。
O O,M醐er,a.a.O.S.工。彼の定義はフランスのSer吋。e Wlb■iOに対応するものとして営造 物理論の修正だとして批難されている。原竜之助、企業行政法r.28.29参照。
⑫ この点は公企業の許可(いわゆる特許)とも関連するので、その際に論述を譲ってご〜では省略す る。
㈹ この点についても疑問があるので後述する項目で改めて検討することにしよう。
㈹ 表現は多少異るが、大要同趣である主な書を掲げる。渡辺宗太郎、全訂日本国行政法要論下巻王.
69,杉村敏正,行政法講義(各論)P,12彗.広岡隆.高山義影共著,行政法要論(各論〕P.191
㈹ この点につき、渡辺宗太郎博士は、「公企業と私企業とを本質的に区別せしめる特徴は、一は行 政的作用に属するも、他は然らざること、換言すれば、その作用の出発する管理意思に性質上の差 黒あることにおいてのみこれを索めることができる一.・公企業たる経済的活動にあっては、それは、
原則として、専ら公共の福利増進のためにする行政的役務意思に出発する。公企業の施設は、寧ろ 経済的利得を重要視しない需要充足の施設であり、その作用においては、仮令或る程度の収益意思 を伴うことがあっても、常に一般福利のたのにする行政的役務意思がこれと併存する。単なる利潤 的効果のみを意欲するものでない点に公企業の特質がある。黙るに私企業にあっては、これと異り、
原則として、常に専ら企業者自身の利潤目的の追求をその目的とし、その管理は唯経済的利得を得 ることによってのみ支配せられ、一般に、それは公企業にみる行政的役務意思を欠如する」(上掲 書見ア0,ア1.〕と説明せられて、公企業と私企業とを区別すべき基準として行政的役務意思を指 捕されている。このような行政的役務意思によって説明されるにしても、われわれが述べる公共的 福利目的による説明にしても、そこにいう意思および目的は、企業者が主観的に有する意思ないし 目的ではなくして、事業の性質およびそれに関する法的規制から考察してその事業に客観的に認識 される意思および目的であらねばならない点で、両者はほぼ一致するとみてよいであろう。
㈹ 渡辺宗太郎,上掲書王.ハ.なお同旨のものに、福田徳三、経済学全集旦122ア以下、凡皿一 θ];皿砒1・一阯θ皿1悔皿ユ昌1㎝皿喝昌for鵬n,4.A雌.・1928,S.241ff.;北村五良,「公企業に関す る若干野間」公法雑誌4巻1号,同「スターデルマイヤーの公企業概念」公法雑誌5巻1.2号.
一5一
凡S枷・ユ卿θr,Di・雌自工・tユi・h・S脾ka・・e,193・,S。・・ff・,u.U肺mθh・・n加ばfθ卜
t■iChθS Uh1二e rnehmen, Ve工waユ1二ur]9Sa工Ohiv, Bユ。 41, S.121ff.カ{ある。
二、公企業と営造物(公の施設)について
1.公企業と営造物とは概念上異るものである。ドイツでは、前者に相当する概念がdffentliche Un七erne㎞ung であり、後者にあたる概念がbffθn土1iche Ans七a■tと称され、(1)ま
たフランスでも大体において、Sθrvice=publicが前者に相当していて。後者に類似するのが (2)
Eta1っユisSement pu1っユicといえよう。
2.ところで、公企業の概念定義については、百花畑漫の感があるので、その定義次第で両者を識別す 臼)
る基準が異ってくる。学者によっては、例えば佐々木博士、磯崎教授および杉村章三郎教授 らは、
行政法学上で公企業法理論を体系づけて構成することに消極的な立場をとられる。それの理由を推察 すれば、従来の通説(主体目的説)的概念による公企業は営造物と作用的、内容的にほぼ同じである (4)
ゆえに、営造物理論の構成だけでよいという主張のように解されよう。 また、これと反対に、営造 物概念の内で公物を除いて営造物理論構成の体系づけを否定する立場がある。その主な学者には、柳 瀬良幹教授、高橋貞三教授、和田英夫教授らがある。その理由を柳瀬教授は、r営造物は、一・・その
本来の意味に歯いては、物の外、人をも含み、それを一体と考えた抽象的観念であるが、しかもなお これを設備として見るものであるため、その内容において有体物自身を指す公物の観念と重複すると ころあるを免れず、従って叉、これに関する問題も互に重複する点あることを免れない。故に公物に 対立する観念としては主として作用を意味する公企業を以て精確適当とすぺきで………この理由から、
専ら公企業としてこれを観察することにする。」〜説明されているし、他教授も同旨と解してよいで あろう。なお、営造物が実定法上の概念である観念から行政法学上両者を併せて理論体系づける立場 が通説的見解として支持されている。
両者の区別と性質 公企業の概念定義については、上述した公共的福利目的説に従う立場からその 説明を繰返さないが(一参照)、ここに営造物とは、行政主体によって直接に公共目的に供用された 人的物的施設の綜合体をいう。そして、この営造物という概念はわが実定法上も使用されている用悟 であり(例、地方自治法10条2里24條の2,225条、国家賠償法2条1項など)それは、公共目的 に供用される方法の差異によって公用営造物(例、官公衙、試験所、測候所)と公共用営造物(鉄道、
郵便、電信、電話、ガス、水道、図書館など)に分類でき、前者は直接に行政主体自らが使用する場 合のそれであり、後者は。直接に行政客体の使用のために供用された場合のそれである。また営造物 はその管理主体の差異によって、国の営造物と公共団体の営造物(占)とに分れ、さらに利用関係の任意 性と強制性に着目して任意的営造物(鉄道、一般病院、大学だと)と強制的営造物(例、伝染病院、
小中学校、刑務所など)に分類できる。(ア)
3.オットー マイヤーは「営造物(6ffent■ichθAnsta■t)は、公の行政の担有者によっ て特定の分目的に継続的に奉仕すべく設定された人的 物的手段の綜合体である。そして、それは公 企業たる一般的概念に包含され、公企業と同様に特定の目的によって限定された公の行政の一部を意 味する。しかしながら、それは継続的な施設として現われる点で、公企業よりも狭い内容の概念であ る。ということは公企業が特定目的の達成によりて終了するところの一時的(Vorulっθrgさhend一)
な作用としても観念できるからである。例えば、沼の竣工、荒野の植林は、公企業であるがそれは決 一6一
して営造物ではなく、また鉄道は、公企業もしくは営造物でもあるが、鉄道工事は公企業だけに属す るのである。…・・・…営造物は、公の安全と秩序を維持することによりて、公共の福祉を直接に増進で きる、例えは国家最大の営造物たる軍隊であるごとく。また、それは、一般的 文化的な目的にも奉 仕しうる、例えば天文台やアカデミーのごとし。さらに、営造物は、公衆や、多数の個人へ利益を賦 与し役務を提供して公共目的を達成できる、例えば学校、貯蓄銀行、病院、郵便、鉄道などである。
この最後の部類の営造物を普通にわれわれが営造物と称して考察するものであり、かような営造均と 個人間の関係をば営造物利用関係と言い、その利用関係が問題となるのである。」(・)と述べていら。
4.田中二郎判事は、 「営造物の概念の代りに、ときに、公企業の観念が用いられる。しかし,両者は そのよって立つ観念を異にする。営造物は、静的に、行政主体により一定の行政目的の継続的遂行に 向けられた人的物的施設の総合体を指す観念として用いられるのに対し、公企業は、動的に、行政主 体により行政目的の遂行のために経営される企業そのものを指す観念として用いられるのが通例であ る。その結果として、次のような差異が生ずる。(「)第一に、公企業というときは、特定の目的のため
に計画を定めて、継続してなすところの行為の連続を意味し、営造物というときは、特定の目的のた めに存する人的物的施設の全体を意味する、(2)第二に、公企業の語は、主として営利的に経営され、
少くとも収支相償うことをうぺき経済的財貨の生産に関する事業の意味に用いられる傾向があるのに 対し、営造物の語は、収支相償うことの予期されない精神的文化に関する事業の意味に用いられる傾 向がある。(3)第三に、公企業の観念は、必ずしも継続的な事業であることを要素とせず、一時的の事 業(例えば道路河川の改築、港湾の建設)をも包含するのに反して、営造物の観念は、継続的の存在 たる施設を指す意味に用いられ、一時的事業を包含しない。(4)第四に、公企業の観念は、人民に役務 を供し、叉は人民をして利用することをえしめることを要素となさず、社会公益のために国又は地方 公共団体の行なう一切の非権力的事業を含むのに反して、営造物の語は、狭義においては、人民の利 用に提供される施設のみを指す。」(9)と両者の差異を説明され、さらに「右に述べたように、営造物 と公企業とは、それぞれ、その観点を異にするために、その観念の喰い違いはあるが、大体において は同一の内容をもつ。そして、営造物又は公企業という固有の観念を構成する必要があるのは、それ らが、その目的、その管理経営の態様、特にその利用関係の性質及び規制等に関し、他の私的施設又 は私的企業と異なる法律的特色をもつことに着目し、それを明らかにする必要があるからである。」
㈹と論述されている。
5.渡辺宗太郎博士は、公共的福利目的説の立場から、「公企業の意義は・・…・一応、これを、一定の対 価を得て労力叉は財貨を供給することにより直接に一般に行政客体の生活需要を充足する福利行政活 動であると定義するときは、それは、ある範囲において、営造物の管理作用と概念上重複するもので ある。公企業は、本来専ら利潤的効果を意欲する私企業と異り、それの経営は行政的役務意思に出発
するものではあるが、しかし、それは概念上常に或る程度の収益意思を伴うものであり、交換経済の 基調の上に立っ経済的活動たる性質をもつものであるから、原則として、一般行政客体をして全然無 償に使用せしめる道路、港湾、下水、公園などの管選は、公企業の概念から除外せられる。しかも、
これらその管理に経済的意義を認め得ないものにあっても、それが、特定の行政目的のために一般行 政客体の使用に供せられる設備の一体としての、営造物の概念に属することは争われない。かくして、
営造物と観念せられるものの中、それの管理にある程度の収益意思を伴う営造物にあってのみ、その
.概念は事実上公企業と重複する。例えば、郵便、電信、電話などによる通信事業、電車、乗合目動車、
一7一
鉄道、運河などによる運輸事業などの場合がこれである。」りと説明されている。
6.要するに、営造物という概念は、広岡隆教授がほどよく指摘するところを掲げれば、「施設に着目 して静態的に観察した組織的概念であり、公企業という概念は施設を通じて行なわれる計画的活動に 着目して動態的に観察した作用的概念である。また、営造物は、行政主体によって公の目的に供用さ れる施設をいうが、公企業は、行政主体によって行なわれる事業のみならず、許可を受けた私人によ って行なわれる事業をも含む。」(⇒ものといえよう。ゆえに、営造物の中、杉村敏正教授は「公企業 の概念と公共用営造物の概念とを比較すると、前者は、直接には公共の利益の実現の目的以外の目的 に供される一体としての設備(例、刑務所のような行刑施設)及び行政客体に無償でその使用に供さ れる一体としての設備(例、国立公立の義務教育諸学校)を含まない点において、後者より狭く、他 面、前者は、行政主体のみならず、私人によって経営されるものを含む点において、後者よりも広い。
したがって、直接に公共の利益の実現を目的とする営造物の中、使用料を徴収するものは、ここにい う公企業に該当する。㈹」と明解に両者の異同における基準を述べている。
ア 公企業と営造物の範囲に関する問題点 上述のごとく、公企業と営造物については、その概念によ る区別および性質が一応明らかにされたと思う。そこで、問題は、山田幸男博士が名著、公企業法(
法律学全集)において述べられている渡辺宗太郎博士の所説への多少の誤解に基づく公企業の概念定 立とも関連する範囲の問題をまず取上げねばならない。山田博士は、公企業の概念定立につき、通説 的見解を支持され、最近における公社 公団 公庫 金庫などの新しい組織形態の発展を注目されて 商学的 経済学的な視野をも力□味して、それらが収支適合の原則に立脚する独立採算制をとる点に企 業的性格を把握して、これに主体性、目的性の観点を加えた公企業概念を定立されている。この立場 は誠に優れた立論といわねばならない。㈹ただ、田中二郎判事も、行政法上に公企業概念を定立する 必要性を実益にっき、r営造物の語は、収支相償うことの予期されない精神的文化に関する事業に用 いられる傾向がある。」と両者の比較分類で指摘され、「公企業の語は、主として、営利的に経営さ れ、少くとも収支相償うことを得べき経済的財貨の生産に関する事業について用いられる傾向がある
」といわれる論は、われわれからすれば、単なる広義の公企業と狭義の公企業概念の分類でしかあり えないし、それらの傾向的概念は肯定しても、それは両者での利用関係における対価支払の有無に着 冒しないものといえよう。私見によれば、山田幸男博士のいう収支相償うという厳密な収支適合の原
員■」までも限定して公企業を狭く解釈する必要はないように思われる。要は対価を得るという交換経済 性とそれに伴う収益性があればよく、独立採算制をも公企業概念に必須要件とすれば、かえって社会 公共の利益に反する事態も発生が予測されよう(例、最近における公社経営住宅の利潤追求施策によ る不当な高額料金を考えよ。)法の下の平等・比例原則をも考えれば、収支適合の強調は、かえって 権力便乗の弊害を喚起する底なしもいえない点に注意する必要がある。
つぎに、公共的福利目的説ないしは行政的役務意思説にいう、公企業.営造物の論旨をもってする 立場では、山田博士の指摘されるような「特言午企業を公企業に包摂されないのであるから、渡辺博士 ㈹の公企業(広義)は、営造物の概念よりもはるかに狭い。 」という論は遺憾ながら疑問が生ずる。
われわれは、山田博士の御指摘のように公企業の概念定立について、勿論一時的事業も含み主体を限 定していない。それは当然に公企業の許可(いわゆる特許)事業をも予測するゆえに、主体を限定づ けないで前掲の広義の公企業の概念定義を定立しているものである。もっとも、公企業の言午可(いわ ゆる特言午)事業が国の公権としての国家独占企業経営権を私人に形成するものであるとの立場をもつ.
一8一
てすれば、その意味の主体たる私人は原員1」的には、消極的に理解せねばならないが、なおも一歩を譲 ったとして、原則として、それらの事業を公企業の許可事業と理解する限り枯やはり主体をもって今 企業の概念を限定し狭少に解すると評されるのは、やや誤解されているのではなかろうか?われわれ の概念をもってしても、営造物の概念よりもはるかに狭くはならないと思われるし、むしろその広義 の公企業概念は他の説よりも最も広い概念ではなかろうかと考えるのが定義本来の自然な解釈である まいか。ちなみに、狭義の公企業概念をもって営造物とその範囲を比較しても両者の広狭は、他説と
同様に判定できない筈ではあるまいかと思われるのである。
美 公企業と営造物の利用関係 両者の利用関係における法的性質については間趨がある。け)これらの 関係を公法関係説によって、包括的に公法関係と解して、(もっとも、私人による公企業は除外して のことではあるが、それでも特言午企業が公権たる国家独占企業経営権を形成されたと解すれば国対当 該経営者間には特別権力関係を認めねばならないのであろう、この点後述)従来の営造物管理関係の
理論を適用する立場がある。㈹けだし、この論もそれらの利用関係につき実定法上に特別の規定が存 しない場合には、これを私法関係と解すべきであろう(例、損害賠償につき、郵便法68条〜75条 料金不納金額の強制徴収につき郵便法3ア条、地方自治法225条は例外)。(口)これに対して、特別 の規定があっても公法関係ではあるが、公権力による支配服従関係という特別権力関係はこれを認め ずに、公法上の管理関係または公法上の当事者関係というべきであるとの立場から、規定不存在の場 合は原則として私法関係とする立場がある。㈹ここでの問題点を細目にわたって詳論する紙数の余裕 がなく後日を期すが、簡単に一言すれば、営造物による公企業を行なう場合に限定して、私法関係説 によって国・公営事業および特殊公法人が行なう事業の組織法は公法であるも、その利用関係は、成 文法に前述のごとき特別の規定がない限り、原貝■」として私法関係であり、㈹その規定がある場合には 具体的に当該規定の性格を分析して、公法関係とするか私法関係と解するかを決すべきであろう。な お、この関係につき判例は、「京都市は電車を経営する公法人であり、その事業は公共の利害に関し その経営に必要な軌道は市に属する公の営造物であるが……市と乗客との権利関係は、私法の適用を 受ける・・…・。」(大正9年10月5日京都区判、新聞/768号16頁)と判決し、また、r個人が 郵便官署に郵便物の発送を託するのは、私法上の法律関係である。」(大正ア年ア月26日、東控民 二判、新聞1915頁)と判示している。これに対して、水道事業については、「水道事業は、水道 条例2条により原則として市町村のみが行なうことのできる一種の独占事業であり、その料金の支払 いについては国税滞納処分の例によって徴収することができることに徴すると、水道利用に関する市 町村と使用者との関係は一種の公法関係と解するを相当とする。」(昭和30年4月25日福岡地判、
隙⑪
行裁例集6巻4号1027頁)との判例がある。
8。公企業と営造物の利用関係の法的性質に関する独 仏の学説も公法関係説と私法関係説に大別でき る。㈹公法関係説・これには種々の見解があるが大要二種類に識別できる。その一は、オットー・マ イヤーの説で、公企業・営造物は公行政の一部(θin S七せ。k(6ffentlicher Verwa−
1I七ung)であることを根拠として、その利用関係は包括的に公法関係と解釈するが、私企業から国 営.公営に移された事業(例、海運事業 鉄道事業など)の法律関係については、それは私法関係と みて例外とする見解である。享づその二は、公企業・営造物または非営利事業と、私的施設・営利企業 (G・ewθr bliche Unte rneb血elユ)とを区分して、後者に属する法律関係をば例外的に私法 関係として、前者を 般的に公法関係なりと解する説である。叫B〕私法関係説.この説は公企業.営 一9一
造物は非権力的な私法的 私的な事業施設であって、その実体は、公行政であっても、私企業に類似 するゆえに、その利用関係の法的性質は利用規定(lBθnht乞u㎎渥。⑰d二五u皿g斗)が公法的性質を 定めない限り原則として私法関係であるとする論である。輔以上はドイツにおける学説を概要したも
のである。フランスでは、かの公法関係説を代表するオットー.マイヤーが公企業 営造物概念につ いて影響を受けたといわれる公役務(se rvicθpu1oユic)理論の展開による古典的公役務理論 きっが、公法関係説を代表していた。それの歴史的背景を細説する余裕はないが、コンセイユ・デタ(
ユθOonsθi1♂1田七at)の判例法として成立し発展したフランス行政法における公役務概念で の組織 作用に関する争訟はすべて行政裁判所の管轄に服するものであって、公役務と行政制度の全 般は常に公法関係として理解されてきた、いわゆる行政法の「自律性」(Autono皿ie)とそれこ当 然め帰結としての公役務。と普通法外制度(蜘④①血廿疵)の等式関係や公役掛ど行政裁判駅機関 脇£『亨銅靭コト ディヴォワール事件判決(ユ arrθ七〇〇tθd 1.voire)、1932年
のクーン事件判決(1 arre七Kuhn)によって修正をみて、最近においても私的管理の概念(
1a n〇七ion d・e gθs七ion lprioee)が認められている。別言すれば、私法関係説が判例 上採用されたものである。ここにおいてドイツ的な権力説たる公役務概念は、最近の国有化企業(例
44年のノールとパ.ド カレの炭坑、45年ルノー自動車製造会社、グノームとローヌの発動機会 会社など)には商人性(qualite d−e co㎜θrc,ant)が認められ、それは公益に資するた めの行政とする公益説による私法(管理)関係説ないしは折衷説阜⇒が大勢を占めているとみてよいで あろう。これに対して、行政法の自律性の危機を観察して、全く新しい観念をば、公役務の利用関係 がすべて公法関係とする無用を力説して、憲法学者ヴデルは、「公役務観念は行政法体係から消滅す るほかはないだろう。なぜなら、それは混乱し、曖昧となって理解しがたくなっているのであり、さ らにまた、終局的にはより明確な概念によって、例えば、公権力の観念を新しく構成し現代化するこ とによって代えられるからである輔」と論ずる立場である。
(1〕 O.M町er,組utsches Vewaユt㎜g臼蝸。ht,3A増,趾.■1.1924,S.エ.U.一S.268〜269;原竜之助、
企業行政法,P.28−29;山田幸男、公企業法、F.1;.18以下
(2) W.1ヨ山ユer,艶gr廿fu工姐FOnnθnder6ffentユiCh−reChtliOhenAnstaユtεユsVb工waユ加Jユ9SreGh1ニュ=一 iChe8工nStitut,S.n;は、「公営造物の概念は、フランスで公役務といわれるものに歴史的に由 来する。……公役務の表現に代ったのが公営造物であった」説明しておる。原前掲同頁、山田前掲 書P.l00;神谷昭、フランス行政法の研究王.285.参照。
(5)佐々木博士・日本行政法論(総論)P.2εヨ以下;磯崎辰五郎、行政法総論p.255以下;同行 政法(総論)王.30以下;また杉村章三郎、行政法要義p.12では、「営造物によって国家父は 公共団体がなそうとする事業は必ずしも鉄道、通信簿の如き経済的企業に限らない。学校、図書館 等の如き文化的事業である場合もある。営造物の役務はその内容が経済的企業にあるかどうかにあ るのではなくして直接公衆の利用に供せられ公共の利益を増進するにある。従って法律関係の中心 はその利用関係に存する」と説かれる。なお、HH㎜s Z8ChtはDiθ6ffθntユiChθArユStaユt Wan肛卜 ㎎en㎜agθgen始れ壇θSt地ur,1963において、もつぱら営造物理論を採用して論述されてい
る。
(4) 同じ皿場からであろうと推察できるが、山田準次郎博士、王.51ア以下は別に行政企業体による 各種企業の経営を論述されている。
一10一
(5) 柳瀬良幹・行政法正.226;同行政法教科書p.204.さらに保育行政の一端として、高橋貞三、
行政法論正.250以下;和田英夫・行政法講義正.252以下は説明する。 なお山内一夫、営造物と その利用関係(行政法講座第6巻)王.150以下も同旨である。
(6Xア) 杉村敏正・行政法講義(各論〕王.11E.116参照。公企業と営造物とを併せて論述される通説 的見解を支持せられていると解せよう。山田幸男・公企業法王.18以下には公企業と営造物の諸問 題を明解に説明されている。原竜之助、公物営造物法王.109以下参照。
(8〕 0.Mayθr,a.a.O.S.269。
(9)㈹ 田中二郎、新版行政法下工全訂第一版P.22ト22 ;同、行政法中巻P.443−444。 なお 同、行政法大意王.552および公共企業法王. 一5をも参照。
○ 渡辺宗太郎、新版日本国行政法要論P.198、 さらに博士は、「唯、一般用語の上においては、
営造物というときには、行政客体の生活需要の充足のために供用せられた物、叉は物と人とより成 る設備の一体として、いわぱこれを静的に定義するに対し、公企業というときには、寧ろかかる設 傭によって行なわれる行政客体の需要充足のための計画的活動の連続として、いわばこれを動的に 観念する意味の観点の差異がある」(同書p.193−199)と説明されている。
⑫ 広岡隆.高山義影共著、行政法要論(各論)正.195。
㈹ 杉村敏正、行政法講義(各論)王.124−125。
㈹ 山田幸男・上掲書p.49,なおこの優秀性を指摘するものに今村和成、公企業及ぴ公企業の特許 (行政法講座第六巻〕王.168−1 9を見よ。
㈹ 山田幸男、上掲書}.14,15,2;以下参照。
㈹ 渡辺宗太郎博士は、「営造物たる設備によって行なわれる作用の総ては、鼓に日ふ公企業に属し ないが、併し公企業が行政主体によって行なわれる限り、それによって公企業の行なわれる設備の 一体は、原則として、営造物としての性質を有するが故に、公企業によって生ずる行政主体と一般 人民との間の法関係の理論は、・・・…営造物における行政主体と一般人民との間の法関係の理論と合 致する。即ち・一般入氏が公企業によって労力叉は財貨を供給せられる関係は公法関係に属し、そ の対価を支払う行為は一般人民に課せられた公法上の負担を履行する行為であり、また、人民はか かる対価を支払うことによって特定人の権利としてカ)かる供給を請求し得る地位を取得するもので はない。更に、人民が公企業の管理によって違法に損害を加えられた場合には、その賠償問題は、
営造物の管理に関する損害賠償の理論によって解決せらるべきものである」(日本国行政法要論r.
72−75.)と説明し、また・「営造物の普通使用関係における使用者の営造物使用の地位の法上の 性質は、行政主体の営造物管理行為によるいわゆる反射的利益を受け得る地位であるに止まる。…
但し・営造物の管理に暇疵があって、そのために・単に行政客体の使用を妨げるに止まらない程度 の知書行為があった場合に・それに原因する損害賠償の問題を生じることは、ここにいう反射的利 益の問題とは別個の問題である」(新版日本国行政法要論p.211〕と論じている。
ω 田中二郎、公共企業法王.1口7以下1同行政法総論王.235,237,山田幸男、公企業法P.44,
2口2参照。柳瀬良幹・行政法p.256.原竜之助、企業行政法p。日5,同公物営造物法p.131−132 などがある。
{8)杉村敏正、上掲書P.118i119.広岡隆、高山義形上掲書P.198柳瀬良幹、行政法王.25台.原 竜之助・企業行政法p.85,同公物営造物法}.151−132などがある。
一「1一
㈹ξ⑪ 杉村敏正、同書王.119−122参照、これらの利用関係を一般的に特別権力関係と解する1日来 の学説はほとんど退潮しているが、なおも学校.病院などではこの関係が存続すると実定法上解釈 してよいであろう。
ξう 0.Mayθr,Deutschθs Vbエwaユtur]g日エecht,工、Auf■。,1895,S.2フ5f.U.ユ■,2.AufIユ.,191ア,S.49ff.
塩野宏、オットー マイヤー行政法の構造王.243参照。
毫2, Vg■.F.F■θinG r,工ns1:itutionθn de s ]=膚ut臼。hθn Vefwaユtuエコgsエ邊。hts,S.325f.,Gエ号1ユin6k§vst眉m der位fθn1ニュichen鴉。h†弓,S.325f.w.B㎞ユer,Begrピf una Fo皿θnαθr㎡fθnt■ichθn An8taユt aユs Vθ州aユt㎜9s花Ght工ichen工nstitutiOn,S.5f。なおウエルテンベルヒ行政法草案(Eエg虹町ngsbana 皿rVθ抑a■加工1g昌工eChtso血n㎜gf㎜Wirttem相エ9,㎜tm宜θineSOe日θtzesmit毘g皿1au㎎,1936 )では、149条1項において、営造物の利用者とその関係を一般的に公法関係と規定しているの である。
卑尋 Hans;丁、WO]ゴ,Vθ工waユtu]!gSrecht工,工.A1コfユ.,195占,S.12 ,;II,S.27口,U■,3Auf■.,1959,S.
148,H,Schne iαe r,zur且ゴtu口gαer Geme inαen fir i]ユ鴉 6ffent■iC]ユen A口staユten,NコW1962,S.
ア05ff.K6ttgθn,鵬ut・・heVθ叩alt㎜g日脚ht,1936,S.1色2−163usf。
剛 この代表者はジエースであり、彼は「公法および行政法は公役務に関する規制の総体である」(
Le a rOit pu1⊃ユiC θt aO血ini8t工atif e St エθnSem1⊃ユθ ae s 工もgユθs 工目■ati098 aux SerサiCθ一 P吐一
」b■iC)度るze,略s刀れ「Oi工eS96n6戦㎜duむOit a砒iniSt「at廿,3.組。,t.■.p.■.〕と定義したの であった。この当時の詳細な論述が宮沢教授「SeWiGepubユiCの概念について」法一臨56巻5号に ある。なおそれに弓1用されたP,αθ工a王棚θユ■,LanOtiOnae8er杜。e P皿b■iC(地v鵬O血tiqluθae ■egis!atiOn et de ju血spエ個enCθ,1934,}.516et SuiV)を参照。また現在、公益務概念にも つとも忠実な学者にローバデールがある;加a治αe Laubaa6冊,Trait66■6mentai鴉αθdrOit aaminiSt工atif,195ア,P.5340
的 私法(管理)関係説と折衷派に属するものにユイリイ〔Oη、。.Hti■■ier,A prOpos ae!a o血sθ與 d−elanOtiOnde serれOe pu1⊃1iC(Da−110Z,1955,C1ユrOniquθ,血II)〕,ベルチミイがあり、ベルチ ミイは「権威とはそれは公権力、力であり、管理とはそれは公役務である」(エautO血t6ご eSt
ユa pUis富a n=o pu1⊃■iquθ,ユe ];ouvoir;1a ge s「=ion o e8t ■e 臼θr牡。e public ) と H.]ヨeエth6ユθ血y,
鴫■1㎎θ・M.H・・批・lD・・g・・臨・i・θ・d・ユ…t地α 6t・bユi・・θmθ・t帥uい・叫P.巧・jで 述べて反駁している。なお山田幸男上掲書P.111以下参照。
ξづ Ge0エge8 Ved−e1,La teOhnique d一θS natiOna工iSatiOn8.1946,r.97;Lau1コaa6]=θ,O王.Oit.,1955,
P.5 なおVθde1,DrOit a血inistrat廿,P.U.F.,19占1,P.アア参照、なおまた、この立場を支持す るシュノー(B.Ohenot,工anotiondθsewicθpLL1⊃工i0J ・αEmsユaj耐spn1d・ence6cOn㎝iq1ue auOα1Seild 肺at,〔OOnsei■a肺at,肺uユθsetD㏄㎜θntS,1950,P.アア〕,モランジュ(G.MOエ』
㎜gθ,工e a6c■in aθ■a Noti㎝ju且dique ae昌θroioe pユ1⊃工ic,Dauo磨,194ア,Ohroniq㎎,x■■)があ
る。
10、公企業 営造物の利用関係に関する私見要するに、営造物の中で公企業を経営する施設に限定 し、そして公企業には公企業の許可(いわゆる特許)事業を包含せしめて(この包含された事業の設 備が営造物であるか否かの問題は依然として残るが、それは営造物法の問題であってここでは論述し ない)、その結論を要約すれば、これらの利用関係の法的性質が公法関係であるか私法関係であるか 一12一
は第一に利用者が公企業主μつとの間に、その利用関係にっき特別権力関係(特別服従関係ともいう
)に服するかどうか、第二にはその利用関係から生ずる種々の争を処理する訴訟法上の取扱いが公法 上の法律関係に関する訴訟たる当事者訴訟(行政事件訴訟法第4条)となるか、通常の民事訴訟に該 当するかの理論上の分岐点となる意味で重要性を帯びている。そこで、上掲の二点から派生する諸種 の問題点を現行法上とのように解釈するかが法治国家(Re ch七s s七aat)・福祉国家(Weユfarθ
Sta。七θ・Woh■fa1ユr七s staa七)・社会国家(S oc ial Statθ・Sozials七aa七)その他 の国家観との関連性をももって現行憲法下で、公企業の利用関係をとくに公法関係および私法関係に 分別せしめる実益がどこにあるかを探究せねばならないのであるが、制限紙数の都合上、また不要に 諸種の文献を掲載した関係もあって充分に意に満たない点を残念に思いつつ後日を期したい。
(1)公企業の許可(いわゆる特許〕事業の経営者と利用者との関係、および当該事業経営者と許可(
特許)者の関係を包接的と解文かどうかの問題である。明治憲法下では包括的に特別権力関係にあ ると通説は述べていたが現行法上では異説となっている。
あ と が き
本稿の論題は極めて重要な諸種の問題を含んでいるので、許されれば以下続刊を念願することにして 一応むすびとするものである。
一13一