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財政の自動安東装乱 今 川

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(1)

t ほしがき 二 目動安定装置の定義 三 日動安   

定装置の概念の発展  四 現在備っている自動安定装置   

七 むすび   五 自動安定装置の限界  六 自動安定装置の故老  

岬 はしがき   

現代はエレクトロニクスの時代であるとよくいわれる︒そし  

てつぎのような驚異すべき事実もよく知っているぐ室温を一定  

にたもつておく装置︵サーモスタット︶︑パイロットが居ねむ  

りをしていても飛行機の安定をたもっておくことができる自動  

操縦装置︑激動している軍艦から飛行機を撃ち落すことができ  

る自動照軽装琴敵の飛行機を追跡することができるミサイ  

ル︑それを迎撃するミサイル︒これだけではない︒今日の経済  

には︑国民総生産︑雇用などが大幅に変動するときにはそれに  

抵抗して安定を推持しょうとする自動安定装置がある︒畳も夜  

も︑総理大臣が官邸にいるときにも︑休んでいるときにも経済  

の安定を推持するように作用している装置がある︒仮りに議会   財政の自動安東装乱  

今 川   第三十四巻 第四号  

の休会中紅斎気のひどい後退をひき起すような衝撃が加って  

も︑自動的隼すなわち委員会を開いたりそのための措置を少  

しもとらなくても︑作用する装置がある︒この魔法のような自  

動安定装置というのほ何か︒   

ここでは︑この自動安定装置の定義︑つづいてこの概念の由  

来紅ついて述べる︒その後で現在そなわ︵′ている自動安定装置  

についてみよう︒つづいてその限界︑可能と思われる自動安定  

装置を概観しょぅ現   

り ここにかかげたものの原理については拙稿﹃サイバネテ  

ィックスー一・オートメインヨンの原理﹄香川大学経済論  

設 参照︒これとここで考えている自動安定装置の原理  

とには全く異なった面がある︒それについては稿を改め  

て述べ論ずることにする︒   

封 自動安定装置をとりあげた書物にはつぎのものがある︒  

林栄夫﹃ピルト・イン・スタビライザー﹄一九六〇  

ニ 自動安定装置の定義   

自動安定装置の定義について人々の意見ほまだ一致していな  

い︒またそれについてほいくぶん混乱がみられる︒この点ほ︑  

同じ事柄を表わすのに用いる言葉が非常に沢山あることによっ  

てもみられる︒自動安定装置を示す︵あるいは示すためのもの  

と恩ほれる︶言葉は︑ちよっと数えあげてもつぎのものがあ  

る︒自動的補整的調節︑自動伸縮性︑自動的反作用︑自動的安  

定強化︑舶込み伸縮性︑組込み緩衝器︑制度的安定装置などが   

(2)

それである︒いま自動安定装置の意味を明らか紅するために安  

定強化のための鹿葱般分類しておこう︒それほつぎの四つに  

分けることができる︒  

闇自由裁量の政策 たとえば議会で相税体系を変哀したり政府  

支出を追加することをきめること︑また日本銀行の公定歩合の  

変更︑準備予金の率の変更︑国債の売オペ︑買オぺなどがこれ  

である︒これほある機関がその権限にもとづいて︑そのときの  

経済状勢を見て適当と思う措置をとることである︒これほ単に  

景気変動の凹凸を埋め合わすにすぎない補整政策と︑よび水政  

策とがある㌔この後者ほ不況に直面したとき︑それほ血時的な  

坐折である︑経済紅貨幣を注入すると︑経済ほそれ自身の力で  

繁栄に向?てゆくことができるという考えにもとづく政策であ  

る︒   蘭自動安定装置 個人税︑法人税︑社会保証のための政府支  

出︑農産物価格支持のための政府支出などがこれである︒これ  

ほ経済に組み込まれており︑いつでも作用しており︑沈滞のと  

きには国民総生産の低下をやわらげ︑好況のときにほ上昇を押   3   さえる傾きのあるものである︒  

爆走式安定装置 たとえば市中銀行が日本銀行から借入れてい  

る額︵オーバーローン︶が或る予め決められている額を超える  

七きには︑日銀からの憎入れ利子率が自動的に高くなるように  

定めた高率適用制度がこれである︒また失兼率が︵たとえば︶  

八パーセントを超えるときにほ個人所得税の基礎控除を山○パ  

財政の自動安定装置   ーセント引上げるように仕組むこともできるであろう︒   ㈲ 制度的安定装置 年間賃金保証制が多くの労働者紅ついて   設けられれほ︑総需要の減少をやわらげることができるであろ   う︒また米国における連邦予金保険の制度もそうである︒これ   ほ重要であるのでくわしく説明しておこう︒   

中央銀行ほ市中銀行から支払準備金を予っているが︑これほ  

銀行経営が失敗したとき預金者を保護するためのものでほな  

い︒金融政策の失敗転よる損害を預金者に及ぼさないという機  

能さえ果さないこともあった︒ところがこの預金保険は市中銀  

行の預金を中央銀行の紙幣に換えることを政府が保証するもの  

である︒この保険のために預金者が損害をうけることほほとん  

どなくなった︒そしてこのために銀行取りつけの原因ほ取除か  

れた︒取りつけほ銀行預金を紙幣と換えることに不安を感じる  

ためにおこる︒この不安が克服できたため取りつけほはとんど  

起らなくなった9この制度ほ極めて重要である︒このため銀行  

の破産ほ起らなくなった︒今後は政府当局︑銀行検査官によっ  

て銀行が閉鎖されることがあるかもしれないが︑預金者の行動  

によって閉鎖されるという事態は起らないであろうとさえいわ  

れている︒︒   

自動安定装置であるためにみたさなければならない条件は何  

か︒イーグルほ自動安定装置︑定式安定装置︑自由裁鼠の政策  

について敬譲蕃を香いているが︑彼ほそこで自動安定装置の基  

■○ 準としてつぎの三つをあげている︒  

︵こ九一︶ 三九   

(3)

第三十四巻 第四号  

仙恒久的に取りつけられてい隻倒その規定および目標がはっ   きり定められている︒㈲景気変動を機敏に示す指標とむすびつ   い′ている︒そしてその指標が必要であることを示すとすぐにそ  

またハートはつぎの二つの条件をあげている︒  

棚不景気のときに政府予算に赤字を生み好景気のときに黒字を  

生む︒闇特別の政策決定なしに作用しほじめる︒   

ここに紹介した説明においてほ︑そのどちらにおいても日動  

安定装置の中に後で述べる定式安定装置を含むことができるも  

のである︒イーグルほその自動安定装置を更に不動方式と可動  

方式︵定式安定嚢藍︶に分けてこれを解決している︒またハー  

トほその文中において不動方式の例について述べでいるだけ  

で︑定式安定装置の例については述べていない︒いつも作用し  

ている装置と或る予め定められた水準に経済活動の水準が到達  

してはじめて効力を発揮する装置との間にほある程度の差があ  

る︒この二つを区別して前者だけを自動安定装置とよび︑後者  

は安式安定装置とよんで区別することにしよう︒   

自動安定装置について起?ているもう一つの混乱は︑自動安  

定装置の項目として安定強化の力が実際上ないもの︑あるいは  

安定強化の効果ほあるが自動的でないものを含むことである︒  

この点を注意して区別をしなければならないことほいうまでも  

ない︒   

叫 ﹈誉maゴ句け只eiseご=TheDe邑名ment OftFe   の装置が作用しほじめる︒   ︵二九二︶︑r四〇   

COnCept OfでA已Omatic Stabi−i語rS﹀∴↓訂盲§莞〜   

Qヽ慧喜莞勺︸December−誤の︸ぎー・H:︐20・ふ−℃・缶A︸  

参照︒  

h ヒ=﹂−⁝−主・︑∵・・︑こミ†=ごこ︑ご・︑︑∵⁚   

C琶︑屯わ︸pp.NのナーN監.参照︒  

引 これについては第四節﹁現在備っている自動安定装置﹂  

においてくわしく述べる︒  

射 なお経済の自動的作用についてほ価格の市場における働   

きを想い起させる︒そこでほ完全競争が行なわれ︑価格   

が財貨の生産交換分配を支配しており︑しかも利用でき   

る生産資源の完全利用︵雇用︶を保障するものと考えら   

れてきた︒︑そしてたとえば需要が急激に増加した財貸   

の価格ほ自動的に上昇し︑生産者に大幅の利潤増加をも   

たらし︑生産の増大をもたらし︑価格がふたたび落付   

く︒︵たとえばシふソぺ一夕ーの革新の理論︶︒これと︑  

ここで考えている自動安定装意の考えと共通のものがあ  

ることを見ることは困難でない︒このどちらもきまった  

ルールに従って作用しており議会や政府の自由裁量によ  

っていない︒このように考えてくると︑自動安定装置  

ほ︑市場の自動作用の考えから一つの理論的通産をうけ  

ついでいるとも想像できる︒  

引 Wa−terP.Eg−eLぎ真幸ぎ芋蔓寮邑ぎ警○ざ邑ぎ謡   

Rミ謡.§q竃采雷獣わSわ.−誤N.p.㌫−   

(4)

勘 A−bert G・HartaロdPeterB・只enenT旨冒挙ご︑h蒜監  

会中内へ箋もS訂Ac叫賢≠ゝⅥUrd ed.﹂︸況の.p● 血盟●なお  

第二版においてほ︑この他に貨幣数盈についての条件が  

述べてある︑Nnded●−拐u一p・㌫N∴参照︒  

三 日動安定装置の概念の発展   

自動安定装置についての文献をしらべてみると︑この考えは  

決して一人の力によって発展したものでないことがわかる︒他  

の経済概念もそうであるが︑これほ大勢の人々の努力によつて  

次第に発展して釆たものである︒   

ここでこの起源について展望しよう㌣それをつぎの二つに分  

けてみてゆく︒Ⅲ最近の財政理論の発展︒闇経済学劇般におけ  

る貢献︒   

自動安定褒毘の概念の一つの源は︑完全展用を達成するのに  

赤字予算を利用する試み︑安定強化を目的とする財政政策の発  

展紅もとめられる︒昔の財政学者ほ政府の収入支出が国民総生  

産に与える影響を無視する傾きがあ︵一た︒わずかに租税の帰着  

やそれが生産や消費ぬ与える拶響に.ついての研究がその例外を  

なしていた︒そして一般に均衡予算の原則が受け入れられ国民  

総生産︵所得︶の変動に敏感でない租税の方がよいと考えられ  

ていた︒しかしながら二九三〇年代になって︑景気変動︑特に  

不況に対する対抗策として財政政策が強調されるようになっ  

た︒これほ不況の克服にあたって金融政策が失敗したためであ  

るといわれており︑また理論的にほケインズの影響によること  

財政の自動安定装語   ほ靡いがない︒彼の完全雇用均衡の批判︑予算編成の古典的原   所得の再分配︑金融政策︑ハンセンの試みた国債や予算政策︑   理に対する攻撃の影響である︒ケインズほ彼の書物の中で補整   的な金融財政政策によって経済安定を達成することができるで   あろうといっている︒けれどもくわしい提案ほはとんど述べて   いない︒それほ彼の後継者ハンセンやラーナーがなした︒その   責献ほよく知られているのでここで詳しくくりかえすことほし   ない︒重要な項目を列挙するにとどめよう︒ケインズの提案しだ  

︵あるいほ提案しょぅと思っていた︶政府による投資の統制︑   

補整支出の分析︑ラーナーの提案した機能財政の概念などが主  

なものである︒これらほ多くほ自由裁蛍の措置であるがその後  

自動化するように試みている︒いいかえるとここに示された多  

くの方策ほ自由裁量の段階から自動的に作用する段階へ移すよ  

うに試みられた︒この方向に極端にまで進んだものにほフリー  

ドマンの提案がある︒   

現在米国の経済に備つている日動安定装置は一九三〇年代の  

立法にその源を発している︒それが可決されたときの目的ほ自  

動的にすることにあったのでほなかった︒それほ当障二般に支  

持されていた理論にもとづいて安定を強化することを目的にし  

ていた︒それを自動的にすることは最近叫○カ年間に試みられ  

たことである︒   

多くの経済学者は自動安定装置の考えの重要な源としてつぎ  

の四つをあげる︒経済開発委昌会︑フ‖ノt・ドマン︑ハート︑マ  

︵二九三︶ 田山   

(5)

第三十四巻 第四号  

スグレイプとミラー︒これらがこの概念について詳細に研究し  

た最初のものであることほ疑いはない︒しかし下に′示すよう  

に︑この考トえの発展ほ彼らの力だけ紅よるのでほない︒   

上で指摘したように自動安定装置ほ盈気変動を克服するため  

の提案と関連をも︵一ている︒これほずつと以前から論じられて  

来ているものである︒そのうえ安定装置の多くのものほ実際上  

白動安定装置となった︒失菜保険が経済学上考えられたのほ最  

近になってからでほない︒その考えほ少なくとも二七八九年に  

までさかのばることができる︒︑失業を救済するための計画とし  

ての公共事発としてほエジプトのピラミッドの建設さえそうで   シ   あるといわれている︒そしてそのうえにケインズ以前紅景気対   8  

策として注目されている︒また公共事業や失業保険を経済安定  

のために用いるような提案の例ほこのはかにミッチェルの書物  

にみられる︒またそのため把租税を用いる提案と思われるもの  

ほスプレイグの書物にみられる︒  

一九三〇年代には多くの安定計画が提案された︒種頬もいろ  

いろあった︒ダグラスの計画したものにおいてほ公共事業と失  

業保険および救済を一体として用いて﹁生産財消費財双方にお  

ける雇用と需要を安定させる﹂ ことを主張した︒これは非常に  

詳細に述べている︒また一九三〇年代に自動安定装置に近い提  

案が貨幣の分野に現われた︒︵サイモン︑B・グラハム︑F・  

D・グラハム︑ワトキンス︶これらの提案ほ特に重要である︒  

そこでの自動性の概念のつかいかた︑および自動性対自由裁慶   ︵二九四︶ 四二  

の問題についての議論のしかたほ現代の書物にみられるものに  

よく似ている︒しかしながらこれらの自動性の提案ほおもに貸  

弊問題を取扱うことに局限された︒その言葉の適用範囲を拡げ  

ることにほ後の人々の貢献紅よる︒   

また景気変動に対する方策としては貨弊以外のもの財政の領  

域のものも提案されたことがある︒しかしそれについてほ自動  

他の考えほなかった︒ハスプレイグの阻税とインフレについて  

の堤秦ほ例外である︶ここでその概念の適用が拡大され洗れん  

され︑仙般に研究されるようになった経過についてみておこ  

シ︒関連のある文献を年代順にとりあげよう︒   

山九三七年ブレザートンは租税制度の基準軋おける鳳知のリ  

ス・﹁のはかにもう山つのものー経済安定の方策として租税を用  

いることーを主張した︒自動性へのあゆみで重要なものほ山九  

三〇年の︑\\ユルグールの﹃景気変動と財政政策﹄である︒そ己  

で彼ほ制度を改良して伸縮性を増すこと︵失業救済︑農業助  

成︑公共事業の分野に率いて︶︑不況時にほ赤字を好況時には  

黒字を目的とした財政政策をとること︑および長期の ︵すなわ  

ち景気変動の期間を越えての︶均衡を達成するが︑年々の伸縮  

性は保持するような予算の自動的構造をつくることについて主  

張している︒そのうえ彼ほつぎのように提案した︒われわれは  

貸弊についてと同じように︑財政についてもかなりの程度の自  

動性へ伺ってゆくよう試みなければならない︒これらの自動装  

置を作り社会の必要に応えるようにしなければならないと︒失   

(6)

美保険正二九二〇年代および一九三〇年代に広く考察されてい   るけれどもそれが短期の景気変動に適した重要な補整方法であ  

ると考えたのほJ・M・クラークである︒重要なことほをの考  

えの新しさでほない︒それが繁栄のときに資金を積みたて不況  

のときにそれを粘い出すという組込まれた安定強化の方策とし  

てそれを強調したことであるバ   

J●M●アンゼルほ︑山九四〟年に御税制度を用いて循環的  

失菜を克服すべきであると主張する人々に加わった︒またハン   センほ寮気変動を最小にすることをねらった租税政策について  

特別の提案をしている︒彼ほ源泉で徴収する給与税︑振動する  

給与税︑販売税︵これほ現在の定式的な伸縮的提案と似ている  

︶を提案しており︑また失業保険の自動的安定強化の効果︵も $  

つともこの言葉ほつかってほいない︶を分析し七いる虻   

ハンセンの分析たついで説気変動疫対抗する効果をもつ和税  

政策をあつかった多くの論文があらわれた︒ウィルスンとギル  

バートほ︑さらにこの問題を強調した︒ハートほ特にインフレ  

との関係においてそれを述べ︑自由裁巌の権限の問題を強調  

し︑更に定式安定装置︵とのように呼んでいないが︶を展開し  

ている︒そしてスウィー汐イは︑その問題を更に分析し︑それ  

をその他の安定政策との制圧上の関連において位置づけをし  

た呵   

仙九四四年に︑租税構造ほ確立しておいて寮気変動に応じて  

財政の自動琴定装簡㌣   変えるぺきでない︑租税収入のカが自動的に変わるようにして   おくべきであると主張する報告書が全米企画協会から提出さ   れた︒それによると予算は高い雇用水準虹おいて均衡すること   ができるであろう︒︵毎年でほない︒というのは赤字と余剰が   許されているのであるから︶これに関して指摘しておかなけれ   ばならないのはつぎの点である︒付この研究には自動性につい   ての推論と意図がある︒また︑②そこに述べられている原則ほ   自動安定装唐紅ついての基本的文献である経済開発委員会の   ﹃租税と予算﹄の中心部を構成する︒    伸縮的あるいは泉気変動に対して感応的な税率に対してほ︑   この間じ期間にこの他にも岩手の考察が払われているがヮルネ   ッーとハートは自動安定装置の概念の現代的適用の説明につい   てこれまでのところもっとも進んだ主張をのぺている︒ワルネ   ットほつぎのように指摘している︒   

﹁財政赤字の大きさほ︑いうまでもなく租税と支出の大きさ  

紅よって決まる︒ある程度までほ予算の赤字は特別の財政上の  

行為がなぐても自動側に増減し時にほ黒字になることさえあ  

る︒すなわち事業活動が低下すると租税収入ほ︑税率ほ少しも  

変更しないのに減少する︒それと同時に失業のための支払は上  

昇するであろう︒これほ率を少しも変えなくてもそうなる︒そ  

れは失菜者の数が増加するためである︒   

財政の赤字あるいほ黒字のこのような自動的振動を︑ある穣  

の支出を状況に応じて変えることによ︵′て補足することはおそ  

︵二九五︶ 四三   

(7)

第三十四巻 第四号  

らく望ましいことであろう︒﹂   

はとんど同じときにハートほ︑つぎのよ㌢紅述べて自動安定  

装置と同じように定式安定装置を強調している︒   

﹁当初の規定に︑短期の予想外の出来事に財政制度の基本的  

構造を調整する前に︑あるいはわれわれの経験しているデフ  

レ的あるいほインフレ的傾向紅ついて︑その根が本当に深く  

て︑このような調整をするのがよいものであるかどうかを見き  

わめる前に⁝:・対処できるために︑伸縮性についてとりきめを  

しておくべきである︒   

システム内に自動安定装置凌︵現行の租税あるいほ失業保険  

を拡張して︶仕組むことがどれはど望ましいか︑あるい偲租税  

徴集︑租転支払あるいほ公共事業を敏速に変化させるための機  

構を設置する.ことがどれはど望ましいか︑これらのことは全力  

をかたむけた将来についての予想がほずれる程度についてのわ   Op   れわれの見積り紅よって左右される︒﹂   

ワルネソトとハートの上述の塊案につづいてはとんど同時に  

つぎの研究論文が出版された︒そしてそれほ自動安定装置のそ  

1D 

の彼の議論と分析の基礎となっている︒それはハ一寸の論文や  

経済開発委員会の出版物である︒最初にハートの論文をとりあ  

げる︒自動性の概念や自動安定装置という言葉の厳格な用法で︑  

これについての一般的な考えをぼんやりと述べたものでないも  

のが︑それまでのものの中で一番詳細に分析されている︒   ︵二九六︶ 四四   

﹁自動性︒よい政策で︑失菜保険︑貨弊準備案のように︑そ  

れ自身で経済の安定を強化し︑変動をやわちげる自動安定装置  

の作用にどれはど近いことが出来るものがあるであろうか︒   

必要な適応をするための伸縮性は︑ある桂皮までほ政府の構  

造の中に鵜込まれているであろう︒しかし時にほ意識的に適応  

することが必要である︒金融財政政策を立案するにあたハノてほ  

双方のタイプの適応を考慮に入れなけれほならない︒   

自動安定装置の側においてほ︑可能性はかなりある︒しかし  

それだけで経済安定にとって十分であるのでほない︒自動安定  

装置をつくることほ︑政策の範鋼外のもので総需要を鍼める傾  

きのあるもの︑それ自体が︑︵租税収入の減少︑あるいほ政府  

支出の増加のように︶総需要を強める傾きのある政策をひきお  

こすようにとりきめをすることを意味する︒また政策の領域外  

の出来事で総需要窒向める傾きのあるものほ逆の効果をもつよ  

うなとりきめをすることである︒このようなとりきめで将来性  

のあるものほ失業保険︑源泉徴収の租税︑不況において高かま  

ハ〆てくる要望紅応じての政府支出の増大︑そのはかいろいろの  

貨弊上の方策であるご   

現在の制度紅自動性を除々に適用したことは︑ハートの功将  

によることほ明らかである︒けれどもおそらく彼はこの功廣を  

彼自身もそのメンバーである経済開発委員会の会員と分かつぺ  

きであろう︒彼らはハーーが一九四五年の論文紅おいて行った  

0  

よりも︑特別の自動安定装置を更に立入って分析している︒彼   

(8)

らは個人所得税や法人所得税︑農夫退役軍人に対する援助ある  

いは失菓保険に偏っている自動安定性について述べている︒そ  

のうえに︑自動安定装置を改良するための最初のしかも論理的  

具体的提案を述べている︒この文戯を吟味してみると︑この論  

文およぴハートの論文によって自動安定装置のその彼の研究の  

基本的な骨組が作られたということがほっまりわかる旬   

これ紅追加される意義のあるものほ︑マスグレイプと︑︑エフー  

の﹁自動安定装置﹂︑およぴフリードマンの﹁経済安定のため  

の金融財政組織﹂である︒マスグレプとミラーの分析は極めて  

狭い領域の分析ではあるが︑主として組込みの租税をとりあつ  

かつている︒︵したがってその結論の範囲も限られている︒︶  

フリードマンは現在備っている自動安定装静をそれほど深くは  

扱っていない︒彼は経済組織全体にわたる全般的な自動性をつ  

くりあげることを目的として提案をしている︒これはバッハに  

よって﹁もっとも簡潔で完全な理路整然とした提案である﹂と  

評されている  

り 舛eiserほこのはか紅二つのものをあげている︒前節の   3   り︼  

注ユの文献pp.缶∽−缶?を参照︒   

勾 lOFn M.只eynes−↓訂=㌘ぶ雫ま∴コ訂篭ヾやヽbぎ与号¥  

S勾已−旨き学芸︑9象∵宣告ぶさ一票の一pp.一望t∽山○︶  

uM∽u uあ.U顔u Uりり.ぃり∞.u讐.を参照︒   

封 旨叫札こ p.UNL  

財政の自動安定装置   4   5   6   ﹁′▲  

﹁L   ﹁⊥  

封一   l   旨叫札・﹀pp・−の瓜︸−拐−−浣−NONiN畠︶0∽ト≠Uり∞・   A−まn戸Hansen∵ざ歪こまぎこ邑這きざ望   CkC︑空.pp.−u∽−NNN.録丁:U8・   Abba P.Lerner∵︷句∈岩tiOロa−句inance and the   Federa−Debt∴︶   Mi−tOn Fried日aP︒A MOnetO責and﹃iscal Framel   wO旨fOr EcOnOmic Stabi≡y㌧\ぎ慧5ぎ彗∴野道宍琶卦   知亀鼠亀等Wく0−.国対舛≦IHLune−澄∞.pp・N翁−試△・   Reprintedin慧恵美かこざ資誉ふざ導温串 この提   案を批判したものとしてほ BacF∵蛮Onetary−句i宍a−   PO−icyRecansidered小︶︑甘雫喜︑Qヽ箸︑叫叫㌢単向c箋QS㌍   く○−.LくHHI︶OctOber−監00.を参照︒   MaryB.Gi訂On㌧Unemp−OymentIns彗anCe∵﹀軸莞害︑?   誉慧Q Qヽ芸屯∽Qヘ音㌣哲訂莞屯﹀↑監瓜■ p・㌫U・   C−ay甲AndersOn㌔︐−.heDe諾−OpmentOftFePロmp−   priming TFeOry㌔甘弓喜〜もヽ苫︑叫叫訂已洩cQ璧喜さ   LIH.Lune−盟心︸pp.一合−ト∽P   Gunnar Myrda−∴トFiscai PO−icy in tFe B宏ぎess   Cyc−e㌔A屈等岩§内c璧S訂和寒訂等︵Supp−ement︶い   舛H−舛.Ma岩F︒﹁の∪の.pp.忘u−忘u.Reprinted in   知芸急送gわ温句冴c已℃Q︑訂¥   こうして彼ほ資本投資予算の制度を提案している︒   J.M.C−ark㌧AnApprais㌢Oft訂WOrkabi−ityOf  

︵二九七︶ 四五   

(9)

句    ユ  

4  

1   第三十四準欝四号   CO壱enSatOry営まc2S㌧A莞1訂§哲芸眉訂知箋叫昌   ︵Supp−ement︶い舛巴ヂMarcb−8P′pp∵忘?ふ戸   A−まn H.Hansen⊥ざ雇=ま片言喜=g旨蔓   C琶︑屯クpp・N00∞−山渓・   TFO日aS Wi−sO首and DOna−d W Gi−bert● ︷.⊂se Of  

句−e已b−c Ta諾S tO COmbert:nf−atiOn㍉AS屯aC§  

鴎へQ琶S訂短句e町屯軍国舛舛HH︶Marcb−澄N.p●00り●  

A−−ert G.Haユ㍉Ta誓tiOnandEcOnOmic Stabi−ityい︑︑  

曾§卓こざ邑蔓千野⁝風早一己 May忘∽N︶  

pp.合の−缶P  

A−anR.Sweezyりぺコ紆GO諾rnment︑s RespOnSibi−ity  

fOr句已−EmpIOyme邑一−︑ゝS屯ヽ音読鴎cQ璧S買短句e音声  

︵Supp−ement︶u舛舛巴ⅠⅠ﹀MarcF−澄uu pp・−∽−Nの・  

前節の注1の文献︑︑p●ぉ∽参照︒  

A−bertG㌧Hart∴︷MOdeTbui−ding and﹃i00Ca︻PO︸icy㌔  

≧≡5ざ冨山ざ重言きこ野草邑一︵S亡pp−ement︶舛舛舛<  

−誤∽︸p.∽∽−.Reprintedin知Q邑叫講叫こ誌3驚已箸︑肯¥  

A−bert G.#art∴↓he PrOb−em Of′﹃已−珂mp−Oy−  

ment川勺acts∵訂s完S﹀and PO−itic㌘︸﹀AS顎訂§内へQ〒  

冨邑こざま室︵警pp−ement︶Y舛㍍舛くH︸May−慧のu  

pp.N00L N00㌣  

Me−まn G.de ChaNeauu A−bert G.胃art.Gardiner  

C.MeaコS︸HOWard B.Myers︸H2rbert St2in﹀   四 現在偏っている自動安定装置   

ここでほ現在︑経済観他に備っている自動安定装置紅ついて  

展望しょもそのおもなものほ︑個人所得税︑事業所得税︵以  

上収入側︶︑および社会保障︑農産物価格支持︵以上支出側︶  

の四つである︒それを順にみてゆこう︒   

阜つ租税の自然増収あるいは減収に注目する︒所得に対して  

ほ租税がかけられている︒所得が減ると︑議会で税率を変えな  

くて隼租税収入ほ減少する︒往産物のうれゆきが不振になり  

生産活動が停滞すると︑議会︑政府が何んの措置をとらなくて  

も︑個人や事業の所得の低下につれて︑賃金︑利潤からの租税  

徴収額ほ自然に低下する︒これほ総需要の低下をさまたげ国民    つム   つム   ︵二九八︶ 四六 

TbeOdOre〇.Yntema.盲訂聖a∵迂首鼠董訂削龍宮eさ   ㌢鳶きミ豪富壷きざ富邑芸㌻貫こす邑昏一  

CED ResercF Study︸−望の.pp.の∽・−00N●  

Richad AM仁Sgra諾and MertOn戸Miue㌘=厨已岩−  

in句−e已bi−ity㌔串莞碁壷こぎ至さけ き敦賀∴ 率慧  

5ⅠⅠ︸March一望00.Reprinteβinき挙単票∴逮﹃を蛋  

ヽも︑︑へ七.  

うえの注フの文献を参照︒  

BacF∵トMOnetary Fisca−PO−icy RecOnSidered∵−  

せ軍票〜もヽき︑慧已.浮Q彗SさL巴HlOctOdeH−曾芯・  

p.U8.n.忘㌧  

(10)

総生産の減少をさまたげる傾きがある︒このようにして稲覗の  

減少ほ祭気の下降を自動的紅やわらげる傾きがある︒逆にイン  

フレ的傾向があらわれるときにほ税率を変えなくでも︑稚税収  

入は自然に増加し︑それによって総需要を減らし︑インフレの  

力を弱くする傾きがある︒   

このように現代の阻税制度ほ迅速に作用する安定装置であ  

り︑それが経将に観込まれている︒しかもそれはかなり強力に  

作用する︒このよう軋租税収入ほインフレの時には増え︑デフ  

レの時にほ減る傾きがあるが︑この増減ほインフレやデフレを  

少なくとも部分的にやわらげ︑それを埋めあわす作用をもって  

いる︒これほ経済の安定を強化する傾きがある︒一世紀前の経  

済学者ほ租税収入ほ変化しない方がよいと考え允︒国包総生産  

とともに上下する今日の租税体系をみてよいとほ考えないであ  

ろう︒今日でほ大部分の人がこの逆がよいと考えて小る︒   

ここで述べたことほつぎのよう紅いい換えることができる︒  

すなわち国民総生産の一部︵したがって追加されたものの仙部  

︶を租税として徴収することほ︑乗数の大きさを自動的にちぢ  

めることを意味する︒したがってそのとき投資の動揺が経済シ  

ステム軋与える汲及効果ほ小さくなる︒しかしそれを完全紅払  

拭してしまうというのではない︒このような動揺が国民総生産  

に対して仮りにその3倍の乗数効果をおよぼすときでも︑租税  

の自動的安定装置のために乗数効果ほ2倍ほどにとどまるので  

あろちノ︒  

財政の自動安定装置    以前にほ個人の賃金俸給に対する租税は額も少なかったし︑   またえた所得に対する租税ほつぎの年に四回に分けて徴収され   た︒︵現在でも所得割りの住民税ほ∴﹂の方式に近いものが多   い︒︶すなわち租税の徴収ほ平均して一年遅れた︒その後租税   の徴収方法が変り︑賃金俸給に対する租税ほその源泉において   徴収されるようになった︒またその他の所得についてはその年   の租税を予定申薯してその年のうちに四半期に分けて納付する   ようになつた︒   

このよう紅租税の徴収方法が変わると経済査定ほどのよう  

な影響をうけるであろうか︒仮りに不況がほぢまるとすると︑  

租税徴収額がただちに減るようになった︒国民総生産が減ると  

租税ほすぐ紅減る︒そのため支出にあてることができる可処分  

所得は︑以前にほ国民総生産︵所得︶に減少があると︑それと  

等しい額だけすなあも二〇〇%減つたが︑変更後にほ︵たとえ  

ば︶︑八〇%減るだけである︒また逆に景気の上昇期には個人の  

租税はすぐに増えるようになった︒以前のように仙年経︵ノてほ  

ぢめて増加するのでほない︒なお個人所得税は和税構造が累進  

的になっているためにその効果ほ山層強化されている︒   

和税の徴収方法をもと払戻した方がよいかどうかを誰かに尋  

ねてみなさい︒新しい方がよいと答えることほはとんど確実で  

ある︒その理由を尋ね︑ると︑貨幣をもっている間紅租税を支払  

う方が︑納税を延期してもらっても︑後で資金の工面にくるし  

むよりよいと答えるであろう︒これほ個人の観点からみた自動  

︵二九九︶ 四七   

(11)

第三十四巻 第四号  

安定装置の効果の⊥面である︒   

この個人所得税は現在最大の租税であり︑それだけ効果も大  

きい︒つぎに大きな所得税事業所得に対する租税の支払いほ所  

得がえられたときより少し遅れる︒しかし事業はすぐに支払う  

のと同じように反応するものと侶じられている︒というのほ事  

業は発生主義にもとついて活動することが多いからである︒ま  

たこの租税も国民総生産の変化より大きい割合で変化する︒と  

いうのは事業所得は国民総生産よりずっと激しく変動するから  

である︒その他の租税が自動安定装置とよペるであろうか︒す  

べての租税は与えられた税率において︑国民総生産とともに増  

減する傾きがある︑そのうち国戌生産に比列以上に変化するも  

のは所得税だけである︑消費税︑物品税︑売上税の所得弾力性  

ほも︵一と小さい︑財産税︑資産税にほ弾力性ほはとんどない︒  

したがって租税体系のり土イトが所得税のカへ移ることほ自動  

安定装置の効果を強化することになる︒   

つぎに政府支出の側面に注目する︒そのうら自動安定装置の  

効力をもでているものとしてほ失業保険その他の厚生のための  

枝番支払いがある︒戦後失業保険制度が確立されたが︑労幼者  

が失業すると保険料の払い込みは止まり︑失業保険金の支払い  

がほぢまる︒労働者がふたたび仕事につくと︑その支払いは止  

められ保険料の払込みがほぢまる︒これは失業が増加したため  

であって︑当局者が経済情勢に関する報告軍営琴牽 ある種の  

活動をするように決定したからそうなるのでない︒それほ自動   ︵三〇〇︶ 四八  

的に起る︒失業保険の勘定からみると︑その収入は雇用︑国民  

総生産の水準の高いときに増加する︒したがって不況のときに  

ほ矢巣保険の勘定ほ資金を払い出し︑そうして総需要の低下を  

ささえ︑倉気の下降をやわらげる︒反対に好況のときにほ︑こ  

の基金は民間から資金を吸収し︑安定を強化すぞような力をお  

よぼす︒その他の厚生のための支出も自動的紅泉気変動をやわ  

らげる作用をもっている︒老令鑑金にほ失米保険のように厨気  

変動に応じての伸縮性というものほない︒しかしこれについて  

も︑もし市場の様子によって年とった労働者の退職をほやくし  

たりおそくしたりする傾きがいくぶんでもあるとすると︑それ  

だけ伸縮性があることになる︒   

つぎに農産物の価格支持の政策に注目しよう︒政府が農業を  

援助するにあたっては種々のプログラムがあるが︑それにはい  

づれも自動安定装置としての働きがある︒総需要がさがり農産  

物価格がさがるとき政府は農産物を買いあげ農家に貸弊を支払  

う︒逆に価格があがるとき紅ほ政府ほ保管倉庫から農産物を売  

り出して民間から貨弊な吸収する︒このような政府安出の増減  

はどちらの方向の景気変動に対してもクッションをあてる働き  

をしている︒しかしながらつぎのような側面のあることも忘れ  

てはならない︒たとえばパリティ方式によって支持価格を決め  

るときのように︑好況時に現実の農産物価格よりも高い水準に  

支持価格を決めることがある︒もしこのようなことがあれば価  

格支持政策は安定撹乱装置となる︒   

一t  

(12)

ここでは政府財政の自動安定装置に注目している︒けれども  

民間の制匿檻も自動安定装置が組み込まれていることに簡単に  

注目しておくのがよいであろう︒事菜会社は好況不況にかかわ  

らず配当を維持しておこうとする習慣がある︒こrのため会社の  

利益が一時的に変るとき留保利潤︵サなわら事業貯蓄︶の方を  

増減するであろう︒これは安定装置として作用する︒しかしも  

し事菜貯蓄と投資が結びついておれほその限り紅おいて︑こ  

の安定瞼化の力ほ失なわれる︒また個人は所得が劃時的にきが  

るとき紅もこれまでの生活水準を維持しておこうとするため消  

費水準の変動は所得の変動よりゆるい︒その限りにおいて安定  

の強化灯役立つ︒   

民間の自動安定装露転ついて述べ′るとき︑欠かすことができ  

ないものは銀行の自動的安定撹乱装置としての働きである︒こ  

れは自動安定装置と反対のものである︒すなわち不沈のとき人  

々の手持貸弊数量︵流動性︶を減らしたり租税を増し︑好況の  

とき軋その反対に変えるものである︒銀行信用は一般に好況の  

とき匿社会の流動性を多くし︑不況のときに少なくする傾きが  

ある︒また国債の価格支持政策を取るとき紅は︑人々ほ一定価  

格でいつでも国債を現金に変えることができるが︑これほイン  

フレをひどくする要因である︒安定概乱装置紅ほ金融的なもの  

が多く︑財政的なものは少ない︒   

これらの自動安定装置は全体でどの程度の効果を経済におい  

て発聯しているであろうか︒この問題については米国経済につ  

財政の自動安定装置   いてハ一千の推計がある︒彼は国民総生産が劇00倍ドル低下   するとき政府予算が赤字の方にどれだけ変動するかについて概   略の計算をしている︒それについて述べておこう︒   ⊥ 個人所得税︵国および地方の︶としてほ好況時にほ国民総   生産の8%ぼどが徴収されている︒しかし課税所得したがって   所得税の変動の幅は国民総生産のそれよりも大きい︒それで個   人所得税の変動ほ国民総生産の変動の少なくとも10%である︒   それは15%以上であろう︒   2 啓発の利偶に対してははぼ50%の所得税がかけられてい   る︒そしてこの利潤は好況のときにほ国民総生産の約ェ0%であ   る︒それでもし事業利潤が国民総生産に比例して変動するなら   事楽所得税の変動は国民総生産の約5%であろう︒しかし利潤   の変動は国民総生産の変化の割合よりも大きい︒それで利潤に   対する租税の変動は国民総生産の一変勘の8%から10%はどであ   ろちノ︒   3 闇路税︵財産税は除く︶は国民総生産の6%紅なってい   る︒しかし所得弾力性はかなり低い︒それでその振動は国民総   生産の2%から4%と考えられる︒   4 社会保障負担金は国民総生産の.5%を占めており︑はば比   2   例して変る︒この変動ほ国民生産の2%あるいほ3%である︒   5 失業保険金の支払いは︑国民総生産が一〇〇億ドル低下す   るときいくら増えるか︒それに答えるため紅はその低下の構成   に注目しなければならない︒すなわち就業入時数の削磯が主に  

︵三〇こ 四九   

(13)

第三十四琴 第四号  

労働時間の縮少によるか︑あるいは解雇によるかによって結果  

ほ変ってくる︒まず上の眼界をみる︒その削減が解雇釘みによ  

って行なわれるとすると︑一〇〇倍ドル︵山九六〇年の価格で  

︶の国民総生産の低下は約小七五万人の雇用の減少と︑約一二  

億ドルの失業保険金の支払い増加をともなう︒つぎに下の限界  

をみる︒もし就業時間の短縮のみによって行なわれるとすれ  

ば︑失業保険の支払いにほ何の影響もない︒この幅をいくぷん   狭くすると︑失米保険金の変動ほおそらく国民総生産臥変動の  

4%から8%であろう︒   

これらの数字を加えると︑国民総生産の変動の26%から亜%  

という結果をえる︒その他の安定装置︑農家に対する支払など  

を考慮すると︑この自動安定装置のために︑国民総生産が劃定  

額だけ低下するとき︑租税収入ほその三分の叫はど減り︑それ  

だけ政府の赤字ほその三分の山だけ増える︵あるいほ財政の黒  

字がそれだけ減る︶であろう︒国民総生産が増えるとき紅も同  

様である︒そのうえにこれらの効果は政府支出の自生的変化に  

ょって強化される︑上で述べたように国民総生産が低下する  

と︑そのたびに政府支出ほ引きあげられ︑それが増加すると引  

■ きさげられたり繰り述べられたりする傾きがある︒  

一九五七から五八にかけての米国の泉気後退のときの経験に  

敬してみると︑この数値ほひかえ員のものであった︒当時︑国  

の所得税についてほ税率の引きさげほなかった︒けれど滝個人  

所得税および法人所得税の租税徴収額ほ一九五七年の滞3四半   ︵三〇二︶ 五〇  

期から︑五八年 第⊥四半期にかけて︑︵季節変動について調  

整して年率で︶六三億ドルだけ低下した︒同じ年に国︑地方自  

治体の移転支払ほ︵年率で︶二六億ドル増加した︒この増加ほ  

政府のとった政策︑とくに山九五六年初題における失業保険の  

引きあげによる彩響もうけている︒しかしそれほ主として自動  

安定装置のためである︒租税収入と移転支払払おける変化をい  

っしよにすると︑政府財政を︵統合した勘定で︑また年率で︶  

八九億ドルだけ赤字にした︒しかしながら同じ時期に国民総生  

産ほ︵年率で︶一六三億ドルだけ低下している︒自動安定装置  

の作用のために︑政栢財政ほ︑国民総生産の低下の55%だけ赤  

字のカへ移っている︒   

り ある政策を採用するにあたって︑それが自動安定装置で  

あるという理由のために採用されたものほない︒これほ  

この節の後半で述べる自動的安定撹乱装置についても同  

じである︒このどちらも︑しらぬまに︑安定の問題とほ  

関係なしにそうなったのである︒   

胡 米国でほ一九四三年に変えられた︒   

勾 A−bert Gai−Ord Hartand Peter B・只enenⅥ 竜Q莞七  

9蛍串邑ふど竃き行き法ミさu d●ed.u P渓r pp.  

受電−△の00.   

卵 白動安定装置の効果ほ景気の変動に反応してとられる議  

会︑政府の活動によって補足されるだけでなく妨げられ  

ることもある︒国民総生産が増加したと定仮して︑取税の   

(14)

自然増収があるため︑収入が政府支出を超過するのをみ  

て︑税率を引きさげたり︑向うみずに政府支出を増すと︑   自動安定装置の反インフレ的効果はうち消されるであろ  

う︒同じように不況時紅租税収入が減るのをみて︑支出  

を削減したり税率を引きあげるときにほ︑自動安定装置   の反デフレ的効果は失なわれるであろう︒したがっ七均  

衡予算の原則に固執するとき紅ほ︑自動安定装置の効果  

を意地悪ノ︑打ち消すような活動をすることになる︒予算  

を年々均衡させるときにほ︑それと同時に経済安定を目   標とする財政政策をとることほできない︒この点紅つい  

てほはとんどすぺての経済学老の意見が劇致している︒  

五 日動安定装置の限界    自動安定装置についての議論を閉ぢるまえに︑それほ防衛の  

筍一線であるにすぎず︑それだけで経済転十分に安定になると  

いうのでないという点を強調しておこう︒そうであるとすれば  

それだけに聴ることはできない︒それが作用する前にあるいほ   作用してもそれよりももっと強力なインフレあるいほ失業がお   そってくるかもしれない︒それほインフレやデフレをある程度  

緩和するだけでそれを阻止してしまうことはできない︒現在の  

ところ一組の法制上の手続きでもって︑自由裁量の政策決定に  

まったく代えてしまうことができるような段階にはまだ到凄し  

ていないJ︒要するに︑自動安定装置ほ経済における変動か二部だ  

け減少するように作用しているが︑その変動のすべてを取り去  

財政の自動安定装置   るのでほない︒そこに残された控乱が財政金融当局の自由裁鼻   の課題となる︒   

経済学老の中には︑自動安定装置にまったぐ頗る人も少数あ  

る︒彼らほこの装置ほ経済の変動を我慢のできる程度紅減らす  

熟でぁり︑政府活動の不確実性ほ安定摸乱的な効果をもって簸   であろうと信じており︑政府の自由裁畳の活動は害はあっても   益はないであろうというおそれをいだいている︒予想能力ほ未   

り︑また特定の利害関係者を有利にしようという政治的圧力が  

加わるための幣害の方が大きいであろうとおそれでいる︒実際  

適当な自動安定装置を案出し︑経済木安定の問題は解決出来た  

と断言できたとしたら愉快であろう︑しかし︑たいていの経済  

学者ほ︑自動安定装置を利用できる可能性の極めて大きいこと  

は認めているが︑またそれだけに煉ることほ慎重でないとも考  

えている︒失業やインフレがある限度を超えるなら︑追加的に  

安定強化の政策をとるのがよいと考えている︒   

自動安定装置だけでほ︑ひどい潜累変動を克服できないと考  

えられている︒そのため経済の不安定の問題の解決は決して容  

易でない︒その理由として考えられるものをつぎに列挙してお  

こちノ︒   

⊥ 自動安定装置の効力は︑国の予算に依存している面がか  

なり大きい︒国の政府の支出が国民総生産に占める割合が非常  

に大きいことが︑日勤安定装置の作用の支点となつにいる︒し  

たがってもし政晰の財貨用役に対する支出が相対的に低下する  

︵三〇三︶ 五山   

(15)

なら︑国民総生産が変化するときの自動安定装置の効力は低下  

するであろう︒   

2 自動安定装置ほ不寮気に対して底を設けることはできる  

が︑それ自身で回復をもたらすことはできない︒それでこの安  

定装置紅のみ頼ることほ大きな危険をともなう︒それに頼るこ  

とほつぎのどちらかを信ずることを意味する︒   

廟 不景気の底ほ非常に高いので︑そこ紅かなり長持閥そこ  

紅留りているとしても︑資源をひどく浪費することもなく︑︑ま  

た不粛気によってもっともひどい打撃をうける人もたいして苦  

しまない︒あるいほ   

㈱ 自発的な回復が作用して拾いあげてくれるので︑長く底  

の水準にとどまっていることはない︒   

この二つの仮定はどむらも無理のない望みであるかもしれな  

い︒しかしその仮定はどちらも誤っていることもある︒それで  

それ紅あまり重きをおいてはならない︒自由裁最の政策によっ  

て祭気の不振にあらかじめ備えておくか︑あるいほ少なくとも   それが起ったあとで︑確実ぬ︑機敏にそれをなおさなけれはな  

らない︒   

3 政府支出の変動紅ついてほ大きな不確実性がともなう︒  

とくに現在のように国際状勢の繋張が考えられるときにはそう  

である︒それで自動安定装置を設けるとしても︑それの作用す  

る基準はかなりしぼしば︑しかもかなり短期間のぅち紅変えな  

ければならない︒そして政府支出の変動が雇用や価格を大幅に   ︵三〇四︶ 五二  

動揺させることを避けなければならない︒   

自動安定装置だけでうまく作用する経済は政府支出︑外国貿  

易が予想可能な動きをしており︑安定レている社会である︒不  

規則な嚢革支出︑輸出の変動などの影響を克服できるようにほ  

経済機構はできていない︒それで危急な事態がつぎつぎに起る  

かもしれない︒そのときにほ政府は即席に対策をたてねほなら  

ない︒自動安定装置に頼りすぎるときにほ︑それによって避け  

ようとした弊害そのものをつくり出すこと紅なる︒すなわち将  

来の政竃についての不確実性︑自由裁蛍の領域が明確でないこ  

と︑性急紅つくった安定撹乱的な新攻策によって事業の確信を  

ゆりうどかすこと紅なる︒   

4 自動安定装置のみに頼る政策を考えることが伐りに可能  

であるとしても︑それは必ずしも最良の政策ではない︒自動安  

定装置におくウエイトを少なくし︑自由裁巌におくウエイトを  

多くすることから︑社会が利益をえる可能性があることも認め  

なけれぼならない︒自由裁量の政策は自動安定装置よりも瀞気  

停滞︑あるいほプームの具体的事情に適応することが馴屑容易  

である︒たとえば貴気の停滞は特定の産巣︑特定の地域紅集中  

する傾向がある︒またひきつづいて起った二つの不況について  

も︑.々の動き方ほ非常に罫つているであろう︒それが同じであ  

るということほめったにない︒祭気停滞の篠類と地域あるいほ  

投資機会の性質などに適応した政策をとることは良識である︒   

租税収入や政府支出における自動安定装置がすぐれている点   

(16)

はつぎの通りである︒すなわちわれわれの予想能力ほ極めて貧  

弱である︒予想した通りに進展してくれるかどうかははっきり  

してい止い︑そのために自動安定装置ほ重要である︒それが安  

定強化の効力を発揮するにあたって︑粛気変動を不可能なはど  

正確に予測することや︑財政上の決定やその行動を起すことが  

不可能であるはど迅速にすること紅は依存していない点であ  

る︒もしそれを他の領域での適当な措置でもって補うなら泉気  

変動は緩和されるであろう︒しかしわれわれがひどい経済危  

機︑ひどい不況に直面するかもしれないという可能性を無視す  

ることは無理である︒もしこのような危機に直面するときには  

特別の活動をしなければならない︒議会が緊急に税率を経滅し  

たり引きあげることが︑︵おそらく透る定められた日に自動的  

に終了する︐︺とをきめておいて︶用いることのできるもののう  

ちもつとも効果のあるものであろう机   

り 違済開発委員会の提案を批判したものはA−まnH・  

Hansen−≧官等訂ご1コざご=芸軋h丼ち乳〜ざざG−澄∽・  

pp●−づ㌣−−∞u・A・H・Hansen・寧監き声岩C駕〜勺叶§軋  

≧已叫箋已旨cQS屯一pp.∽心の−翌∞.Pa已A.Samue−sOnu  

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聖邑∴撃ぢ更責卦∵p占学芸一−∽∽L pp.㌫の−−8.E.E●  

Hagen∴.SOme:mp−icatiOnOf t訂CED︸s Stabi−iz・  

ing B一乙get PO−icy﹀∴守駕篭恕讃望Qヽ蒜恥宅已叫表札  

づ聖Aわ篭h註訂㌣−思00ーpp.ぁーー怠−を参照︒  

財政の自動安定装置   数学的に分析したものにほつぎのものがある   R.句BrethertOn∴︿The Sen裟iまty Of Ta駕∽tO   句−uctuatiOnOf Trade㌔hざ茎首藁ぎきごd.P8P E一   謬ryBrOWn∵爪Ana首sis Of C昌SumptiOn Ta駕S in   Terms Of tFe T訂Ory Of甘cO日e Detemi置tin㍉  

ゝS顎町c各軸cQ璧S訂知箋軋屯宅Ⅵ舛L﹀Mach−渓○◆ pp・  

りふ−∞P5ctOr E計−berg∴竜訂盟bi≡y Of tFe Yie−d  

Ofヰa舛atiOn−SOme EcOnOmetric ln諾r乳igatiOnS㍉  

智慧邑eニざ象り註をざ乳哲註き CHH−ⅦPart  

H−L澄〇一pp.ヒ照T⊥b甲  

なお﹈Zト句Ⅵ只ei篤ru Oやc叫㌻p・△撼ラ00∽を参照︒  

そこにほ自動箕定装置の効果について近く五〇の論文が  

紹介されている︒   六 自動安定装置の改善   

大多数の経済学者はつぎのように考えている︒自動安定装置   は経済安定を助長するのに都合のよい望ましい発展である︒そ  

してそれを改善することが好ましい︒    現在偏っている自動安定装置の機能を強化する余地ほかなり  

ある︒ほぢめに租税収入︑つづいて政府支出に関するものにつ  

いて述べよう︒個人所得税の自動安定装露としての効果を増す  

一つの方法は納税者の所得が変化しているとき︑その所得を数  

年にわたって平均したものについて租税をかけるようにするこ  

とである︒このよノに租税制度を変えると︑納税者が数年問に  

わたって負担する平均の租税額が︑彼がその数年間に受取る平  

均所得に比例するようになる︒このシステムにするときには︑  

︵三〇五︶五三   

(17)

第三十四巻︑欝四号  

納税者の今年の所得が近年の平均より下にあをときには︑租税  

の払戻し︵あるいほ今年の和税の免除︑軽減︶をうける権利が  

ある︒   

しかしながらその効果が安定的であるためにほこの払戻しの  

時期に注意しなければならない︒ある人の所得がいま低下する  

として︑この払戻しをうける時期がいまであるなら︑個人所得  

税の自動安定装置としての効果ほよいであろう︒しかしある人  

の所得がいま低下しても︑払戻しをうける時機が来年になるな  

ら︑安定強化の効果ほ弱くなる︒実際ある人の所得の時間的経  

路を線で示すとき︑もしそれが年々規則正しい鋸の歯のように  

なっているなら︑この払戻しの遅れほ安定撹乱装置となるであ  

ら︑とくに失業者に対するものを速くするなら︑自動安定装置   ろう︒個人所得税の払戻しについては︑その時期を速くするな   

としての効果ほもっと大きくなるであろう︒   

個人所得税の基礎控除︑扶養控除の規定を変えることによっ  

て安定を強化すること紅ついてほハートほつぎのように主張し  

ている︒源泉徴収にあたって控除の額ほ五二週にわたって按分  

されている︒それである期間仕事につかなかったときにほ︑こ  

の控除の利益ほ失なわれる︒安定強化の観点からすると︑すべ  

ての人に︵源泉においてあるいほ申告鱒もとづいて︶その所得  

全額に租税をかけ︑彼自身およびその扶貴家族についての控除  

をしないでおき︑控除に相当する税額だけ月々家族手当の形で  

支給するのがよいであろう︒失職すると租税の徴収ほただち紅   二ニ〇六︶︑五四  

止まる︒しかし基礎控除に相当する税額だけほ手当としてつづ  

いて入って来る︒こうすると消費支出を減らす効果を軽減する  

ことができる︒   

法人税の分野においてほ所得を平均にして租税驚かけること  

はある程度行なわれている︒けれどもこの方向で安定強化の効  

果を増加する余地ほまだ殆∵ている︒しかし払戻しの時期を変  

えることはそれはど重要でない︒というのほ会社ほ発生主義に  

もとづいて経営していることが多いからてある︒   

社会保障の分野においてほどうであろうか︒ここでほ安定を  

挽乱するようなとりきめがなされてい渇ことを指適しておこう  

︒それほ米国の多ての州払おいてほ︑使用者どとに勘定口座を  

設け納入された保険料積立の状況を記録するようになっている  

︒そして失業が発生して保険金の支払いがほぢまるとその勘定  

から払うように記録する︒こうして勘定の積立金の顎が支払賃  

金額にくbぺて大きくなれば使用者の負担の歩合を軽くするよ  

う忙してある︒それでもしひどい失業があるとすると︑準備し  

ていた積立金ほ流出し負担の歩合ほ引きあげられる︒このよう  

な仕組みになっておれば︑厨気変動住ひどくなる傾きかある︒  

ほ失業保険脚度ほ自動安定装置であると述べたが︑このような  

前に仕組があればその安定強化の効果を打ち消してしまうこと  

はないであろうが︑それをいくぶ弱くする︒   

このように︑解雇者が比較的多いとき高い失業保険料を負担  

しなければならないとりきめについてほハートほつぎのように   

参照

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