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令和元年(二〇一九年)一二月二一日(土)に、国際シンポジウム「外国人材育成と敬語・敬語教育」が首都大学東京言語研究会の主催により首都大学東京・南大沢キャンパスにおいて行われた。
この国際シンポジウムは、外国人材の育成における日本語教育という観点から行われたもので、日本語母語話者の日本語敬語研究者と、かつての日本語学習者であり現在は高等教育機関で日本語教育に携わる研究者とのコラボレーションの形で行われた。日本語教育において種々の問題を内包する敬語の日本語の敬語と敬語教育についてシンポジウム形式で検討するという趣旨で開催された。
別掲する七名の招待講演者による講演が行われ、講演ののち、質疑応答と全体討議が行われた。
会場参加者から、招待講演者に対して「外国人日本語学習者として日本語の敬語をどうやって習得したのか」という質問があった。外国人の招待講演者からは、「私はまだ勉強中なのでその質問にはお答えできない。聞いて真似をする。試行錯誤の繰り返し」とか、「外国語は真似をして学習するもの。私は日本のドラマを見て真似をした。それを日本人に使ってみた。私は日本でアルバイトをしていたので、そこで自分の間違いを修正していった」、「いまだに日本語の敬語を正しく使っている自信がない。日本でアルバイトをしているとき、アルバイト先で日本語の敬語を聞いて勉強した。敬語の論文を見たり、他人の誤用を聞いたりして学習した」、「(自分は)骨格に肉付けをするタイプの学習者だった」のように日本語学習者としての体験に基づいた応答がなされた。
また、日本語母語話者の招待講演者からも回答があり、母語話者が敬語を身につける機会として、「中学校のときの人間関係、社会人研修、必要に迫られて身につけた」、「子どものときに本をたくさん読んだ。本で敬語を勉強した。実践的には大学事務員として働いていた経験があり、年上を相手に電話の応答をする機会が多かったので敬語を使う機会が多かった。」、「親が学校の教員だったので親から敬語を教えられた。社会人になったときに敬語を使わなければならない環境に置かれた」という体験が示された。
また、招待講演者の多くが、共通して「お/ご」の問題を採りあげていたことは偶然の産物ではなく、接辞の「お/ご」が外国人の日本語学習者が共有する日本語敬語の学習上の困難点のひとつであることが窺われた。 () 『言語の研究』六号二〇二〇年三月
国 際 シ ン ポ ジ ウ ム
「 外 国 人 材 育 成 と 敬 語 ・ 敬 語 教 育 」 に つ い て
浅 川 哲 也
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全体討議を経て、外国人材育成の成否は日本語教育にかかっていると言っても過言ではないこと、さらに、日本語教育の指導者の責任は大きいことがシンポジウムにおいて確認された。しかし、日本語教育の指導者は教科書・教材を用いて日本語の授業をするので、教科書・教材の責任はいっそう重大であるといえる。敬語教育に限ってみても、日本国内で出版されている敬語指南書、中国国内の日本語教科書、韓国国内の日本語教科書、ロシア国内の日本語教科書、それぞれにさまざまな問題点のあることが招待講演を通じて具体的に指摘がなされた。
万能で完璧な日本語教科書は存在するはずもないが、日本語の敬語に特化して、このシンポジウムで指摘された問題点を克服できる日本語教育の教科書は、日本語母語話者と日本語学習者の経験を有する指導者の協力があれば、開発が可能なのではないか。首都大学東京言語研究会では、そのような敬語教科書の開発を目標としていきたいという認識を共有して国際シンポジウムを閉会とした。
本誌に掲載されている七本の論文は国際シンポジウムの招待講演の内容を活字化したものである。
なお、この国際シンポジウムは、「二〇一九年度首都大学東京傾斜的研究費(全学分)学長裁量枠(研究環)」(研究課題「外国人材育成のための敬語教材の開発と研究」、研究代表者:浅川哲也)の支援を頂いて開催されたものである。
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国際シンポジウム「外国人材育成と敬語・敬語教育」
1.日程 二〇一九年一二月二一日(土)一三:三〇〜一六:五〇2.場所 首都大学東京 南大沢キャンパス・1号館一二〇教室3.次第一三:三〇〜一三:五五 趣旨説明・外国人材育成における敬語教育の意義とその問題点………浅川 哲也(首都大学東京)一三:五五〜一四:二〇 敬語指南書にみられる敬語解説の問題点………竹部 歩美(静岡県立大学)一四:二〇〜一四:四五 敬語学習のどこが学習者にとって難しいのか ─学習者自らの振り返りを通して─………劉 志偉(埼玉大学)
「お・ご〜おき下さい」をどう教えるか………井上 直美(埼玉大学大学院生)一四:四五〜一四:五五 休憩(コメントシート回収)一四:五五〜一五:二〇 中国語を母語とする日本語学習者に対する敬語教育の問題 ─学習者の立場から─………馬 雲(中国・江西農業大学)一五:二〇〜一五:四五 韓国の日本語の教科書における敬語の問題について ─初級の教科書を対象に─…………李 譞珍(韓国・嶺南大学校)一五:四五〜一六:一〇 ロシアの日本語教科書における待遇表現に関する一考察………グリブ ディーナ(名古屋大学)一六:一〇〜一六:二〇 休憩(コメントシート回収)一六:二〇〜一六:五〇 全体討議・質疑応答
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【国際シンポジウム 開式】
【国際シンポジウム 全体討議・質疑応答】