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ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法

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ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法

著者 松平 光男, 久保 昌彦

雑誌名 金沢大学教育学部紀要 自然科学編 = Bulletin of

the Faculty of Education, Kanazawa University.

Natural science

巻 42

ページ 57‑73

発行年 1993‑02‑28

URL http://hdl.handle.net/2297/20090

(2)

57

ふとん地の基本風合い及び総合P風/合い値客観評価法

松平光男・久保昌彦*

ObjectiveEvaluationMethodofPrimaryHandand

TotalHandValueofFutonCloth MitusoMATsuDAIRA・MasahikoKuBo*

Abstract

lnordertoevaluatefabrichandleofFutonclothobjectively,primaryhandsforFutoncloth wereselectedanddefinedfromtheopinionsofexpertswhowereengagedinalliedindustries ofFutoncloth、Fiveprimaryhandssuchas“SOFUTOSA'',“KOSHI-F'',“NUMERI-F'',

"FUKURAMI,'and“GASATSUKI”weredefinedforFutonclothandtheycouldexplain83%

ofthedescriptionsusedforhandleevaluation、Objectiveevaluationequation(DM-02)ofFuton clothfromthebasicmechanicalcharacteristicsofthatwasdevelopedbythestepwiseblock residualregressionmethodwithhighaccuracyandsmallerrors・Theequationforevaluating TotalHandValueofFutonclothobjectively(DM-ll)wasalsoderivedfromsevenparameters,

namely,fiveprimaryhands,airresistanceandwaterregainbythestepwiseblockresidual regressionmethodTheequationobtainedshowedhighaccuracy,smallerrorsandusufulness

inpracticalapplication.

1緒ロ かつた。そこで本論文では,まずふとん地に長

年接してきた熟練者によってふとん地の風合い 評価に用いられる基本風合い用語を定義し,次 にKESシステム5)によって計測される布の基 本力学的特性値を用いて基本風合いの客観評価 式を開発した結果を報告する。更に,ふとん地 としての総合的な品質を表す総合風合い値

(TotalHandValue=THV)を客観評価可能

な評価式の開発について報告する。

布の風合いを基本的な力学特性から客観評価

する方法が川端,丹羽らにより開発され'’2),現 在では紳士用スーツ地,婦人用スーツ地,婦人 用薄手布,外衣用ニット地,肌着用ニット地,

等,用途別の風合い客観評価式が広く一般に用 いられるようになっている3,4)。しかしながら,

これら既存の風合い評価式は衣料用途が中心で

あり,例えばふとん地やカーテンのように要求 される風合いの基準が異なる布に適用した場 合,それらの力学特性が衣料用途とは大幅に異 なるため,必ずしも満足できる結果は得られな い。また世間一般においても,ふとんの中綿に 関する圧縮特性や快適性については-部で検討

されているが,ふとん側地の風合いに関しては 今までは全くと言ってよい程検討されていな

2方法 2-1ふとん地用基本風合いの定義

日本繊維機械学会内に組織された,川端らを 中心とする風合い計量と規格化研究委員会

(HESC)では,紳士用スーツ地(冬用,夏用)

及び婦人用薄手布の基本風合いを定義し,それ

平成4年6月30日受理

*大和紡績㈱美川研究所

(3)

第42号平成5年 金沢大学教育学部紀要(自然科学編)

58

以外の衣料用布地についても両者で用いられる 基本風合いを使用して評価している。しかし,

ふとん地に長年接してきた経験者数名を対象に

事前調査を試みたところ,①HESCで定義され

ている基本風合いだけでは物足りない点,及び

②同一の風合い用語であるにも拘らず,HESC

の定義とは異なった使われ方がされている点が

認められた。そこでまず,ふとん地に長年(5

年以上)接してきた熟練者(染め工場仕上げ,

技術開発,営業,問屋の各担当者)20名を選び,

ふとん地の風合いを評価する基本的な用語の抽 出を試みた。ここではアンケート用紙による自

由記述方式を採用し,①ふとん地の風合いを評

価する際に用いる基本的で重要な用語,及び,

②その用語の意味する内容の2点を記述して頂 いた。次にこれら経験者のうちから各分野2名

以上づつ計10名に一同に会して頂き,筆者らと 共に出現頻度の高い用語の選択及び統一を計

り,ふとん地用の風合いを評価するための必要 最小限度の用語を基本風合い(PrimaryHand)

として定義した。

辰亙]回団と堅し 可□□ロロロ□□回LLL|巴

RatingO12345678910

FiglProcedureforsubjectiveevaluationof

fabrichandofFutonclothsamples.

ふとん地総合風合い(THV)の主観評価も HESCと同様な方法')で等級付けを行なった。

その過程をFig.2に示すが,まず,良い,中く らい,悪い,使用不可(問題外に悪い)に分け,

次に良い及び悪いグループから,極めて良い,

及び極めて悪い試料を分離し,最終的にゼロか ら5点までの6段階で等級付を行なった。ふと ん地の総合的な品質については,熟練者の間で は,基本風合いだけでは不十分であり,ふとん として使用する時にふとん側地に要求される重 要な性質である,保温性及び快適性も考慮する べきであるという意見が多かった。それ故,熟 練者による判定の際には,自分が今触っている ふとん地で作られたふとんに寝ることを予想し てふとん地としての総合的な評価を行なった。

2-2ふとん地用基本風合い及び総合風合い の主観評価

上記で定義されたふとん地の基本風合いを用

いて,評価のために収集したふとん地試料を

HESCと同様な方法')で主観的に等級付けし た。その過程をFig.1に示すが,ここでは2段 階で評価している。例えばある基本風合いにつ

いて,その強弱より3段階の群に分け,次に各々

の群を再度3段階に分ける。その際,最高と最

低の群の中から,とりわけ極端な布を別の群と

して最終的に11群とし,基本風合いが最も弱い 群の布を0,最も強い群の布を10として各々の 群の布に点数を与える。この操作によって布の

基本風合い値(PrimaryHandValue=PHV)

を主観的に数値化できる。評価者は基本風合い

の定義に参加した熟練者10名に,ふとんの小売

りに長年(30年以上)携わっている熟練者2名 を加えた合計12名である。

2-3試料

評価のために収集したふとん地を素材及び布 構造別にTablelに示す。これら107点の試料は 現在(1988-1991年)の日本でふとん地用とし て製造・販売されている代表的な布であり,風 合い的には極めて硬い布から極めて柔らかい布

=。座E□EHL二_壁」

雨国F司厄四四匹三_壁」

THV543210

Fig2Procedureforsubjectiveevaluationof TotalHandValueofFutonclothsam ples.

(4)

松平・久保:ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法 59 TablelMaterrialandStructureof

FutonClothSamples る布の基本力学特性及び各特性値をブロックご

とにTable2に示す。またブロック間残差回帰 方式は以下のように要約される。

1)主観評価値yと各ブロックの力学特性値と の間の重回帰式Yを求め,各回帰式を用いて

回帰値寸を全ての試料について計算する。

Y,=CO+ClX,+C2X2+C3X3(1)

Y2=Co+C4X4+C5X5(2)

Number MaterialNumberofSample Structureof

Sample CottonlOO%

Cotton/Silk Cotton/Polyester SilklOO%

Cotton/Wool Cotton/Rayon

90943271

Plain Satin Twill Dobby

426554

Total lO7 Total 107

Y6=CO+C15X15+C16Xl6(3)

2)yと了,との相関が最も高いブロックを第1 ブロックと決定し,その回帰式をY(1)とする。

3)yと第1ブロックとの残差y-T(1)を全て

の試料について計算し,これと残るブロック との重回帰式を求め,各回帰式を用いて回帰

値▽を全ての試料について計算する。

4)yとfr(1)+inとの相関が最も高い第2ブ

ロックY(2)を決定し,全体の回帰式をY(1)+

Y(2)とする。

5)以下同様に第6ブロックまで決定し,最終 的に次式を得る。

まで,幅広く分布している。なお,大和紡績㈱

で製造・販売しているふとん地の市場占拠率は 約30%である。

2-4ふとん地用基本風合い及び総合風合い の客観評価

2-4-1PHVの客観評価

上記の試料107点についてKESシステム5)に よって布の基本力学的特性値を求め,2-2で 得られる主観評価値との間の重回帰分析を行う

ことにより,回帰式を求める。力学特性値につ いては,圧縮特性のみ高感度条件6,7)で測定した 値を用いた。この理由としては,ふとん地の厚 みが婦人用薄手布の厚みに近い値であり,その ふくらみ感を判定するには,婦人用薄手布同様 わずかな荷重で布を圧していると考えら れ6,7),圧縮特性の測定には高感度条件(最大圧 力が標準条件の%)の方が適していると判断し たからである。婦人用薄手布の場合,引っ張り 特性にも高感度条件を採用しているが,ふとん 地では標準条件を採用した。この理由は,ふと ん地の場合,布表面を主にウレタン系の樹脂で 加工しているため,布は伸びにくくなり,最大 張力が標準条件の妬の高感度条件では布はほ

とんど伸びなかったためである。

回帰式を求める際には,基本力学的特性の基 本風合いへの寄与を明確化するため,また多重 共線性(Multi-collinearity)の問題8)を避けるた め,川端らによって開発されたブロック間残差 回帰方式')を採用する。KESシステムで得られ

Y=CO+二CiXIi=1l6 (4)

力学特性値については,母集団の平均値と標 準偏差で規格化した次式を用いた方が便利で ある。

l6XI-Xi Y=CO+ZCii=1

(5)

但し,Y;客観的に評価される基本風合い CO,Cl;定数(i=1~16)

Xi;i番目の力学特性値 Xi;Xiの母集団の平均値

句;Xiの母集団の標準偏差 2-4-2THVの客観評価

主観評価と回帰する変数としては,(5)式を 用いて客観的に算出される基本風合い値(3-

1の結果で示されるが,5個)の他に,保温性

(5)

第42号平成5年 金沢大学教育学部紀要(自然科学編)

60

また,快適性に対応する量としては,布の素材 固有の公定水分率'0)(20℃,65%RH)を採用し た(単位:%)。例えば,ポリエステル/綿混紡 糸(20%/80%)の場合,各々の水分率を2:

8に加重平均して算出した。これら7つの量が THVに寄与するわけであるが,その際これら 変数の最適値の存在を明らかにするため,

HESCと同様,これら変数の二乗の値も用いる ことにした。それ故,14個の客観評価値と主観 評価値との回帰を求めることになるが,回帰の に対応する量として,布の通気抵抗を採用した。

これはフラジール法で求めた通気量から,定義 に従って以下の式で算出した通気抵抗である。

R=12.45/x (6)

但しR:通気抵抗(kPa.s/、)

x:フラジール法で測定される通気量

(cmf/cmP/s)

最近川端によって開発された通気度試験機,)

(カトーテック㈱製KES-F8-AP1)を用いた場 合,布の通気抵抗を直接求めることが出来る。

Table2DescriptionsofMechanicalCharacteristicValues

Apparatus Descriptions Unit

B1ockProperty Parameter

KES-FB1 lTensile LTLinearityofload-extensioncurve none

gf.c、/cm9 WTTensileenergy

RTTensileResilience

句一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

2BendingBgf・cnP/cmBendingrigidity KES-FB2 2HBHysteresisofbendingmomentgf。cm/cm

 ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄● ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄---- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄------ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--

GShearstiffnessgf/c、/deg KES-FB1

3Shesring

HysteresisofshearforceatO5deg・ofgf/cm shearangle

2HG

2HG5Hysteresisofshearforceat50deg・ofgf/cm shearangle

----------------------口---句--------- ̄ ̄--- ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄------宇一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

KES-FB3

4CompressionLCLinearityofcompression-thicknesscurvenone gfcm/cmP WCCompressionalenergy

RCCompressionalresilience

●-------- ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄- ̄ ̄● ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄---- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄■ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄● ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄---

5SmfaceMIUCoefficientoffrictionnone kFS-FB4

MMDMeandeviationofMIU none

SMDGeometricalroughnessル1m

■---------------------------------------------------------- ̄ ̄-口- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--口 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--- ̄ ̄ ̄ ̄・ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄--- ̄ ̄ ̄ ̄

6Thickness TFabricthicknessmm KES-FB3

mg/cnf Balance WeightWFabricweightperunitarea

(6)

松平・久保:ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法 61

方法は上記基本風合いの場合と同様な理由かふとん地に長年接してきた熟練者によって定 ら,各基本風合い,通気抵抗,水分率の7つの義されたふとん地用基本風合いをTable3に示 ブロック間残差回帰方式を採用した。す。自由に記述された風合い用語の出現率も記 最終的なふとん地の総合風合い値(THV)客しておいたが,これら5個の基本風合いで全体 観評価式は以下のように求められる。の83%を占めている。“ソフトさ,,及び"ふくら み,,に関しては衣服地用のHESCの定義と同様

7Yl-Yl

THV=Coo+二G,一であるが,“こし-F,,(衣服用の基本風合いと

i=1oiI

区別するため,ふとん地のFを用いた)や“ぬ

7Yl2-YI2

+ZC2lob,

i=1

(7)めり-F"はHESCの定義とは異なっていた。

“こし-F,,については,HESCで定義された

但し,Coo,Cl,,C2,;定数(i=1~7)KOSHIとHARIの両者を含んで定義した。こ Y,;i番目の基本風合いの値の理由としては,ふとん地の場合は衣服地とは Y,;Y,の母集団の平均値異なり横たわった状態で使用するため,夏用 Y12;Y,の母集団の2乗の平均値スーツ地に要求されるHARIの必要性が少な oii;Y,の母集団の標準偏差〈,またふとん地に長年接して来た熟練者も の,;YI2の母集団の標準偏差KOSHIとHARIの差を理解できずJ両者を含

めて判断してきた人が多かったことによる。更

3結果に,KOSHIの高い布はたいていHARIも高

く,逆にHARIの大きい布は必ずと言ってよい

3-1ふとん地用基本風合いの定義程KOSHIも大きくなっているため,両者を一

Table3TermsandDefinitionsofPrimaryHandsofFutonC1oth

No Telm Definition Remark Frequency

1SOFUTOSA

(ソフトさ) Softfeelingwithflexible,smoothand bulkytouch

(曲げ柔らかさ、なめらかさ、かさ高さ の混じった柔らかい感覚)

Stifffeelingwithspringyproperty・

(弾力性を伴った適度に曲げ硬い感覚、

充実した反発力)

SamedefinitionasHESC

(HESCと同じ定義) 26%

2KOSHI-F

(こし-F) Afeelingofthefabrichaving

compactweavingdensity・Anti-drape stiffnessiaalsoincludedinthisterm.

(適度の芯のある高密度織物の持つ感 覚、張る性質も含む)

Asurfacefeelingcomefromcalender treatmentwithresin(polyurethane).

(樹脂(ウレタン)を用いたカレンダー加 工によって得られる表面感)

SamedefinitionasHESC (HESCと同じ定義)

19%

3NUMERIF

(ぬめり-F) Smoothandmoistfeeling,alittle stickytohand

(表面がなめらかで、湿った感覚、しっ とりと手に付く感覚)

Afeelingcomefrombulky,richand wellformedfeeling、Springyincom pressionwithwarmfeeling.

(かさ高さで、圧縮に弾力性があり、ふ んわりとした暖かみを伴う感覚)

Adryrustlingfeeling.

(布を握ったときガサガサ音がするよう な、乾いた感覚)

13%

4FUKURAMI

(ふくらみ) 13%

5GASATSUKI

(がさつき) Afeelingofthefabrichavinghard

androughtouchwithrustlingsound (粗雑で、がさつな硬い布が持つ感覚)

12%

(7)

第42号平成5年 金沢大学教育学部紀要(自然科学編)

62

採用した。5つの基本風合いの熟練者同志の主 観評価の相関係数をTable4~8に示す。

熟練者12名によるふとん地のTHV判定値の 互いの相関係数をTable9に示す。B(小売り 担当者)のみ他者との相関が若干低かったが,

平均値との相関は高〈(有意水準;0.1%),こ

の平均値をTHVの主観評価値として採用し

た。

つの用語に統一した方が便利であるという皆の 一致した意見があったからである。“ぬめり-

F,,については,HESCのNUMERIとは若干

異なった内容を定義した。ふとん地の場合,一 般に通気性を減らすため樹脂によるカレンダー 加工が施されている。この樹脂に起因する布表 面の湿ったなめらか感から受ける手触り感を

“ぬめり-F,,と定義した。細いカシミヤ繊維 からもたらされるNUMERI感はふとん側地 ではあまり必要ないと言う熟練者が多かった。

“がさつき”は今回新しくふとん地用に定義し た基本風合いであるが,布同志が接触したとき に生じるどちらかというと不快な音に関連する 用語である。これはHESCで婦人用薄手布に定 義したKISHIMIに対応する用語と思われる が,KISHIMIの場合,絹織物からもたらされる

心地よい音に関連しておりⅡ人間への効果とし ては逆に作用すると思われる。ふとん地には高

密度な綿製品が多いため(Tablel参照),“がさ つき”は重要な基本風合いであると主張する熟

練者が多かった。

これら5個の基本風合い以外の用語として

は,肌触りや`快適`住,等の熱・水分特性に関す る用語(7%),及び光沢やドレープ性,等の布

の外観に関する用語(5%)が挙げられていた。

3-3ふとん地用基本風合い及び総合風合い の客観評価

3-3-1PHV算出のための客観評価式

‘`ソフトさ",‘`こし-F",“ぬめり-F,,,“ふ くらみ,,,及び``がきつき”を布の基本力学特性 ブロックによって段階的に回帰した様子を各々

Fig.3-7に示す。回帰精度は主観評価値と客観

評価値との相関係数(R)で示したが,回帰を繰

り返す毎に回帰精度は増している。‘`ソフトさ,,

にはせん断特性が一番効いており,次に曲げ特

性,表面特性となっている。“こし-F"には曲

げ特性,せん断特性の順番で効いており,“ぬめ り-F,,には表面特性が最も強力に効いていた。

“ふくらみ,,には表面特性,厚み・重さ,引っ 張り特性,圧縮特性の11頂番で効き,がさつきに はせん断特性,引っ張り特性,表面特性の順番 で効いている。第六段階まで回帰して得られた

最終的な(5)式(DM-O2式と名付ける)の係数

を各力学的特性値の平均値や標準偏差と共に TablelOに示す。ここで,力学特性値のうち対 数化している特性値はその分布が平均値の周り

に対称的に分布するよう対数変換したものであ る。5個の基本風合いの主観評価値と客観評価 値との相関係数(R)及び回帰誤差(RMS=

RootMeanSquare)をTablellに示すが,い ずれの風合いも相関は高く誤差は小さくなって いる。特に,‘`ソフトさ,,,“こし-F",“がさつ き,,で高い回帰精度が得られている。主観評価 者12名による評価値の標準偏差を全試料に対し て平均して求めた平均標準偏差もTablellに 示したが,客観評価による回帰誤差は全ての基 3-2ふとん地用PHV及びTHVの主観評

上記で定義された各基本風合いの観点から,

熟練者12名が107点のふとん地に対して主観評 価を行ない,数値化された主観評価値を得た。

収集した試料の結果は全ての基本風合いで0

~10点の間に正規分布的に分布していた。また

熟練者12名の個々の熟練者同志の主観評価値の

相関及び平均値との相関は極めて高く,全ての

基本風合いで一致した主観評価値が得られた。

このことは熟練者12名から得られた主観評価値

の信頼性が高いことを意味している。各々の熟

練者と平均値との相関は極めて高〈(有意水

準:0.1%),各々の平均値を主観評価値として

(8)

松平・久保:ふとん地基本風合い及び総合風合い値客観評価法

63

Table4ColTelationCoefficientsBetweenEachPanelforEvaluatingSOFUTOSA

ofFutonCloth*

PanelABCDEFGHI JKLMean

A1.0000.5540.578 B10000.729 CLOOO

Mean

0.343 0.535 0.421 1.000

0.755 0.700 0.791 0.386 1.000

0.713 0.749 0.762 0.404 0.819 1.000

0.580 0.839 0.700 0.562 0.746 0.714 1.000

0.703 0.619 0.746 0.417 0.806 0.704 0.607 1.000

0.741 0.610 0.565 0.380 0.686 0.702 0.614 0.619 1.000

0.698 0.617 0.697 0.381 0.722 0.715 0.661 0.640 0.701 1.000

0.720 0.745 0.753 0.418 0794 0.816 0.697 0.734 0.661 0.703 1.000

0.705 0.706 0.701 0.376 0.768 0.698 0.723 0.690 0.709 0.747 0.775 1.000

0.811 0.844 0.863 0.531 0.904 0.891 0.845 0.826 0.807 0.834 0.885 0.866 1.000 on=107;0.1%significantlevelifr>0.319

Table5ColTelationCoefficientsBetweenEachPanelforEvaluatingKOSHI-Fof

FutonC1oth.

PanelABCDEFGHI JKLMean

ABCDEFGFITJKL胸

1.0000.6130.5090.551

1.0000.4990781 1.0000.496 1.000

0.488 0.671 0.594 0.712 1.000

0.553 0.727 0.540 0.684 0.664 1.000

0.535 0.718 0.428 0.671 0.671 0.746 1.000

0.664 0.709 0.392 0.677 0.579 0.636 0.707 1.000

0.632 0.661 0.433 0.582 0.526 0.546 0.525 0.536 1.000

0.549 0.750 0.630 0.704 0.766 0.702 0.691 0.613 0.544 1.000

0.286 0.501 0.440 0.548 0.580 0.562 0.479 0.310 0.313 0.525 1.000

0.287 0.490 0.424 0541 0.627 0.561 0.558 0.444 0.341 0.581 0.661 1.000

0.720 0867 0.692 0.845 0.837 0.846 0.820 0.776 0.725 0.857 0.654 0.694 1.000

.n=107;0.1%significantlevelifr>0.319,1%ifr>0.249

Table6CorTelationCoefficientsBetweenEachPanelforEvaluatingNUMERI-Fof

FutonCloth*

PanelABCDEFGHI JKLMean

A1.0000.5280.4340.385 B1.00005270.529 C10000.590 DLOOO

Mean

0.499 0.562 0.558 0.628 1.000

0.432 0.528 0.589 0.637 0.604 1.000

0.407 0.544 0.534 0.629 0.653 0.611 1.000

0.476 0.525 0.555 0.595 0.707 0.570 0.618 1.000

0.508 0.544 0.535 0.660 0.614 0611 0591 0.619 1.000

0.345 0.525 0.448 0.546 0638 0.661 0.676 0.518 0.548 1.000

0.356 0.368 0.348 0.514 0.621 0.458 0.600 0.504 0.487 0.578 1.000

0.338 0.334 0.343 0.414 0.518 0.447 0.619 0.383 0.423 0.580 0.601 1.000

0.620 0.713 0.703 0.781 0.844 0.778 0.824 0.788 0798 0.789 0.710 0.666 1.000

.、=107;0.1%significantlevelifr>0.319

(9)

第42号平成5年 金沢大学教育学部紀要(自然科学編)

64

Table7CorrelationCoefficientsBetweenEachPanelforEvaluatingFUKURAMI

ofFutonC1oth*

PanelABCDEFGHIJKLMean

0.817 0.339 0.396 0.221 0.441 0.271 0.289 0.387 0.273 0.208 0.331 0.638 1000 0.464 0.361 0.300 0.471 0.366 0.235 0.376 0375 0.301 0.326 1.000 0.581 0.660 0.523 0.545 0.646 0.532 0.610 0.599 0.516 1000 0.554 0.532 0.423 0.341 0.624 0.411 0.453 0.637 1.000 0.529 0.522 0.586 0.361 0.663 0.393 0448 1.000 0.603 0.616 0.504 0.548 0.512 0.548 1.000 0.663 0.415 0.362 0.493 0.491 1.000 0.659 0.672 0.609 0.472 1.000 0.611 0.512 0.407 1.000 0.517 0.549 1.000

602050

01

ABCDEFGHIJKL胸

0.784 0.705 0.695 0.814 0.663 0.757 0.748 0.695 0.795 0.483 0.441 1000

。、=107;0.1%significantlevelifr>0.319,1%ifr>0.249,5%ifr>0.189

Table8CorrelationCoefficientsBetweenEachPantelforEvaluatingGASATSU‐

KIofFutonCloth*

PanelABCDEFGHIJKLMean

0.5840.819 0.586

0.566 0.550 0.528 0.508 0.593 0.566 0.727 0.541 0.658 1.000 0.684 0.672 0.545 0.665 0.601 0.700 0.674 0.692 0.636 1.000 0.592 0.702 0.627 0.483 0.675 0.688 0.599 0.676 1.000 0.702 0.790 0.644 0.606 0.699 0.729 0.725 1000 0.544 0.723 0.353 0.615 0.509 0.656 1.000 0.708 0.685 0.615 0.529 0.733 1.000 0.687 0.693 0.748 0.552 1.000 0.563 0.541 0.491 1000 0.636 0.590 1.000 ALOOOO651 BLOOO

Mean

0.7010.864 0.5800.766 0.4490.724 0.6900.842 0.5950.852 0.4870.770 0.6560.892 0.5980.803 0.4920.823 0.5020.748 1.0000.763 1.000 巾、=107;0.1%significantlevelifr>0.319

Table9CorrelationCoefficientsBetweenEachPanelforEvaluatingTHVofFuton

Cloth*

PanelABCDEFGHIJKLMean

0.5910.681 0.544

0.324 0.659 0.542 0.553 0.670 0.655 0.644 0.636 0.665 1.000 0.627 0.476 0.565 0.437 0.545 0.512 0.580 0.490 0.613 1.000 0.433 0.142 0.754 0.610 0.580 0.595 0.722 0.673 1.000 0.471 0.198 0.725 0.711 0.560 0.703 0.610 1000 0.389 0.191 0.610 0.552 0.664 0.589 1000 0.546 0.255 0.640 0.711 0.594 1000 0.458 0.194 0.550 0.543 1.000 0.501 0.142 0.700 1.000 0.463 0.214 1.000 1.0000.267

16000

ABCDEFGHIJKL

0.2380.417 0.6480.826 0.6820.787 0.6210.740 0.7230.817 0.6020.783 0.6550.820 0.6330.805 0.5990.775 0.7110.827 10000.842 1.000 Mean

.、=107;0.1%significantlevelifr>0.319,1%ifr>0.249,5%ifr>0.189

(10)

松平・久保:ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法 65

Step

MエロMMDSMD R=0910 B,ZHB

R=0.875

BD2HB R=0.684

LT'WTpRT R=0.622

MエロMMDSMD R=0.758 MエUMMDSMD

R=0549

StepwiseblockresidualregressionfortheanalysisofPrimaryHand

"SOFUTOSA"、

23456

Fig.3

Step

G2HG2HG5 R=0.910

MエロMMDSMD R=0.921

TDW R=0.932

LCDWC,RC R=0.917

G2HG2HG5 R=0.595

MエロMMDSMD R=0.851

MエUMMDSMD R=0.221

Fig.4 StepwiseblockresidualregressionfortheanalysisofPrimaryHand

"KOSHI-F,'・

Z3456 Step

MエロBUMDSMD R=0715

G2HG2HG5 R=0.834

LC〃WCyRC R=0.835

G2HG2HG5 R=0.731

Fig.5StepwiseblockresidualregressionfortheanalysisofPrimaryHand

“NUMERI-F',.

(11)

金沢大学教育学部紀要(自然科学編) 第42号平成5年 66

Step

G2HG2HG5 R=0.B21 MエロMMDSMD

R=0.597

StepwiseblockresidualregressionfortheanalysisofPrimaryHand

"FUKURAMI''、

23456 Fig.6

Step

MエUMMDSMD R=0.897

MエロMMDSMD R=0.831 MエUMMDSMD

R=0700

Fig.7StepwiseblockresidualregressionfortheanalysisofPrimary Hand“GASATSUKI',.

10

frLJFLJJ

①シーーリの{□。

/百

2468I0 Subjective

Thecorrelationbetweensubjectiveandobjectivevaluesof FutonclothPrimaryHand“SOFUTOSA”calculatedfrom equationDM-02.

0.

Fig.8

(12)

松平・久保:ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法 67

10

jWJ三〉 jLWJ三〉

のシ一一U①{□。

D

Fig9

2468l0 Subjectlve

Thecorrelationbetweensubjectiveandobjectivevaluesof FutonclothPrimaryHand“KOSHI-F',calculatedfromequa‐

tionDM-02.

10

のシ一一。①{ロ。

LD

0。246810 Subjective

FiglOThecorrelationbetweensubjectiveandobjectivevaluesof FutonclothPrimaryHand“NUMERIF',calculatedfrom equationDM-O2.

10

ijFi、JiJJ

のシーーリの[□。

/。

0246810 Subjectlve

FigllThecorrelationbetweensubjectiveandobjectivevaluesof FutonclothPrimaryHand“FUKURAMI',calculatedfrom equationDM-O2.

(13)

金沢大学教育学部紀要(自然科学編) 第42号平成5年 68

10

riJHJJ riJHJJ

①シーーリの一C○

0246810

Subjectlve

Figl2ThecOrrelationbetweensubjectiveandobjectivevaluesof FutonclothPrimaryHand“GASATSUKI',calculatedfrom equationDM-02.

TablelOMechanicalParametersandCoefficientsforDMO2EquationUsedfor ObjectiveEvaluationofPrimaryHandofFutonCloth

NUMERI-FFUKURAMIGASATSUKI iC,iC,iCI Mean SDISOFUTOSAI.

ParametertyXI I1 C,

KOSHI-F CI Block

5.0280 0.8696 0.7047 1.6299 -0.4209 -0.8217 0.1059 0.2761 -0.3988 0.1125 -0.1091 0.1244 -0.0072 0.1368 0.1479 -0.1373 0.0577

023445123678901561111111

5.0215 -0.2830 -0.0147 -1.2405 -0.8679 0.2412 -0.0368 -0.2624 -0.4315 0.0079 -0.1234 0.0277 0.0369 -00665 -0.1323 -0.0568 0.0603

023456123901678451111111

4.4776 0.4189 -0.8658 -0.4546 0.2567 0.3598 -0.3091 -0.1422 -0.3187 -0.1717 0.0984 -0.0977 0.1728 0.0711 -0.3302 -0.0434 0.1159

067812323445901561111111

5.0234 1.7118 0.5743 -0.8761 04572 -0.5463 0.4194 0.1690 -0.2746 0.5061 0.3038 -0.0528 0.2188 -0.2544 -0.1255 0.0660 -0.0632

067845

4.4028 -1.4701 -0.6265 0.7338 -1.2073 0.2999 -0.0927 0.0141 -0.4526 0.0390 0.1211 -0.2617 -0.1230 0.1390 -0.0578 0.0994 0.0024

045678234901123561111111

0.04941 0.11171 5.72491 1LT

21ogWT 3RT

0.6848 0.8084 50.0617

0.143610

0.17221 logB-1.1491

1og2HB-1.1672

45

0.1845112 0.2144113 0.1502114

2HG 2HG5

0.3969 0.5945 0.9105

gR}(凶o00。’01Cl

678

0.04231 0.14221 7.06531 9LC*

l01ogWC*

11RC*

0.6261 -1.6844 56.8907

123

0.0114115 0.1813116 0.145419 MIU

MMD SMD

0.1177 -1.9834 0.2130 12

13 14

log log

0.0892110 0.0706111 logT

logW

-0.5357 1.1317 15

16

心measuredathighsensitivityconditions

TablellCorrelationCoefficients(R)andRegressionErrors(RMS)BetweenObjective andSubjectiveEvaluationofFabricHandofFutonCloth

SOFUTOSAKOSHI-FNUMERIFFUKURAMIGASATSUKI 0.927

0.743

0.932 0.680

0.836 1.029

0.823 1.052

0.916 0.793

RMS DM-O2

1.490 1.687 1.393 1.854 1.484

MeanStandDev.

(14)

松平・久保:ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法 69 本風合いで主観評価の平均標準偏差よりも小さ

く,高い回帰精度が得られていることを示して いる。各基本風合いの客観評価値と主観評価値 との相関図を‘`ソフトさ”から‘`がさつき,’ま でFig.8~12に示した。

ためであり,多重共線性の問題が解決されてい ることを意味している。

最終的に得られた(7)式(DM-11と名付け る)の係数を,各基本風合いの母集団の平均値 や標準偏差と共にTablel2に示す。本式を用い て算出したふとん地THVの客観評価値と主観 評価値との相関図をFig.14に示す。

3-3-2THV算出のための客観評価式 各基本風合い,通気抵抗,水分率をブロック として段階的に回帰した様子をFig.13に示 す。回帰の精度を主観評価値と客観評価値との 相関係数(R)で示したが,回帰を繰り返す毎に 回帰の精度は増している。ふとん地の総合風合 いには“ソフトさ,,が最も強力に効いており,

次に水分率,‘`ふくらみ",“こし-F,,の順で効 いている。しかしながら,“がさつき"や通気抵 抗,“ぬめり-F,,の効果は極めて小さくなって いる。第一段階で``がさつき”との精度が“ソ フトさ”に次いで高くなっているにも拘らず,

その後効いて来ない理由は,“ソフトざ,と“が さつき,’との逆相関が極めて高い(R=-0.9)

4考察 4-1PHV客観評価式

ふとん地に長年接してきた熟練者より収集し た基本風合いの客観評価法について,ブロック 間残差回帰方式により検討したが,回帰精度が 高く,回帰誤差の小さな客観評価式(DM-02)

を誘導出来た。力学特性の基本風合いへの寄与 では,“ソフトさ”,“こし-F",“ぬめり-F",

“がさつき,,に関しては各々せん断特性,曲げ 特性,表面特性,せん断特性が第一ブロックと

して現れており,これは予想される結果であっ

step

KOSHエーP R=0.832

ハエRRES.

R=0.061

Figl3StepwiseblockresidualregressionfortheanalysisofTotalHandValueof

Futoncloth.

(15)

第42号平成5年 金沢大学教育学部紀要(自然科学編)

70

熟練者といえどもふくらみの判定は難しいと思 われる。ふとん地は例えば紳士用スーツ地に比 べ布の厚みが小さいことも主観評価を難しくし ている要因となっているであろう。またFig.6 で,第一段階では相関係数は表面特性,引っ張 り特性,せん断特性,厚み・重さの順番になっ ているが,第二段階で最も効くブロックとして 厚み・重さがあがってくるのは,共線性の問題6)

が生じているからである。即ち,引っ張り特性 やせん断特性と表面特性との相関が厚み・重さ た。しかし,“ふくらみ,,については予想に反し,

表面特性,厚み・重さ,引っ張り特性の順番で 現れ,圧縮特性は4番目のブロックになってし まい(Fig.6参照),その寄与もそれ程大きなも のではなかった。熟練者数名にその理由を尋ね た所,彼らには“ふくらみ”を表面特性で判定 しているという実感は全く無く,定義通り

(Table3参照),圧縮柔らかさや厚み感で判定 していると主張した。“ふくらみ,,の主観評価の ばらつきは他に比べて大きく(Tablell参照),

Tablel2PrimaryHandValuesandCoefficientsforDM-11EquationUsedfor ObjectiveEvaluationofTHVofFutonC1oth

YI YI2

ClI C2I Oil 021

Y,

16.3196 18.5645 15.0368 14.7355 21.3372 96.6415 22.0296 1.9180

17867 1.6731 1.7490 1.8965 4.4223 15484 23.0668

28.4811 28.0147 22.6690 28.8327 102.485 72.0343 4.4032

5.0288 5.0215 4.4283 5.0236 9.1065 8.3449 0.0858

-0.1136 0.0144 0.7045 0.1237 -0.0101 -0.9569 0.6035

0.1623 -0.0319 -0.6571 -0.1434 0.0424 0.9811 1SOFUTOSA

2KOSHI-F 3NUMERI-F 4FUKURAMI 5GASATSUKI 6AIRRES 7WATERRE

Coo=2.8907

jTffiiiliirJ JTffiiiliiD

(更U、/』①シ一一。⑩{□。

O〆012m45

Subjective

Figl4Thecorrelationbetweensubjectiveandobjectivevaluesof FutonclothTotalHandValuecalculatedfromequation DM-1L

(16)

松平・久保:ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法 71 と表面特性との相関に比べて大きいためであ

り,第一ブロックとして表面特性を決めると残 差の中にはそれと関連する部分が除かれること になる。それ故,ブロック間残差回帰方式では 基本風合いに寄与する各基本力学特性間の相互 関係もより明らかとなる。

でも以下でもTHVを大幅に下げることにな る。

保温性や`快適性の対応する量として,各々通 気抵抗及び水分率を用いているが,これらが必 ずしも適切な指標になるとは限らない。保温性 については,例えばサーモラポIIu)で計測され るq-max(布に接触した時の温冷感に関係する 量で,この値が大きい程布接触時に冷たく感じ る),布の見かけの熱伝導率,及び布を通しての 熱遮断率(保温率)などがあり,これらについ ても検討した。しかしながら,これらの物性値 には測定者の経験や測定環境(温度,湿度,風 速)の影響が大きく,短時間で再現性の良い結 果が得られなかったため,今回は見合わせた。

また,現在では,ふとん地として製造,販売す るためにはフラジール法による通気量を求めて 置くことが義務づけられているため,入手が容 易な通気抵抗を採用した。,快適性に関しては,

今の所最適な物性値が見あたらないため,仕方 なく水分率を採用した。これらの物性値につい ては今後検討するべき課題は多いと考えられ る。主観評価値とのブロック間回帰において,

``ソフトさ”や“がさつき”については第一段 階で既に回帰精度は高くなっており(R>0.8),

これら基本風合い1つだけでも近似的にTHV を予測可能であることがわかる。即ち,“ソフト さ”が高い布や“がさつき”が低い布はたいて いふとん地としてのTHVが高いと判断して,

その後の話を進めることが出来る。大ざっぱな ふとん地の風合い評価に役立つと考えられる。

今回開発したふとん地基本風合い客観評価式

(DM-O2)及び総合風合い客観評価式(DM-11)

を使い,新しいふとん地用試料30点について求 めた客観評価値を,熟練者に判定してもらった ところ,主観評価との対応は極めて高〈(全て の基本風合い及び総合風合いでR=0.9以上),

両式の有用性が確認でき,かつ客観評価法の威 力が示された。現在大和紡績㈱内で,より多く の試料についての信頼性の検討を続行してお

り,併せて基本風合い及び総合風合いの客観評 4-2THV客観評価式

ふとん地の総合風合い値(THV)を客観的に 評価する式(DM-11)を誘導出来たが,ここで THVへの各基本風合いの寄与について検討す る。今(7)式を次のように置く。

THV=COO+zZIi=1

但し,Z!=CmY1三!Y,

(8)

+C2IY12=Yi2

ObI

本式における7つの変数のうち,他の6つは一 定(母集団の平均値)条件下で,1つの基本風 合いのみを変数として算出した結果がFig.15 である。例えば実線の“ソフトさ,’は他の4つ の基本風合い,通気抵抗及び水分率を一定とし て求めた値である。“ソフトさ"が最も強力にZ,

に,即ちTHVに効いており,“ソフトさ"の値 は,本図の範囲内では大きければ大きい程有利 であることを示している。“こし-F"について はTHVへの影響は少ないが,低い方でTHV を下げることがわかる。“ぬめり-F,,について は,本図の範囲内ではほとんど影響しない。“ふ くらみ,,についてはTHVを最も小さくする領 域(約3.9)の存在が示されており,それ以上で も以下でもTHVを向上するが,どちらかとい うと大きい方が有利である。“がさつき,,につい てはTHVへの影響は小さいものの,低い方が 有利である。

通気抵抗と水分率の影響をFig.16に示す。

通気抵抗については,THVへの効果は決して 大きくはないが,その値が大きい程THVを高 くする。水分率については,本図の範囲内で明 らかに最適値が存在し,その値が6~9%程度 であればTHVへの影響は小さいが,それ以上

(17)

第42号平成5年 金沢大学教育学部紀要(自然科学編)

72

ふとん地の総合的な品質を表す総合風合い値

(THV)についても,客観評価式の誘導を試み た。得られた結論は以下の通りである。

1)ふとん地の基本風合いとして,“ソフトさ",

‘`こし-F",“ぬめり-F",‘`ふくらみ,,,”

がさつき,,の5個を定義することが出来た。

2)熟練者の主観評価値と力学特性値とをブ ロック間残差回帰方式で回帰することによ

り,回帰精度が高く,回帰誤差の小さな基本 風合い客観評価式(DM-O2)を導くことが出 価法の普及をはかっている。将来的にはふとん

地の取引に客観評価法で求める基本風合いや総 合風合いが用いられることになると考えてい

る。

5結 奎諏

ふとん地の風合いを客観評価すべく,ふとん 地に長年接してきた熟練者から基本風合い用語 を抽出し,布の基本力学的特性値から客観的に

基本風合いを算出する式の開発を試みた。また, 来た。

可、Ⅲ△1K_】

、=Z、690

トI

】卜L」四

PrimaryHandValue

Figl5ThecontributionofeachPrimaryHandtoTotalHandValue

ofFutoncloth

00=Z・BUU

I、」

Rep二

Figl6ThecontributionofairresistanceandwaterregaintoTotal

HandValueofFutoncloth.

p」

、“」

00

足11-1几『---刈汁‐111肌Ⅷ’11.門Ill100n〃」11。。11、”し一一一

IOUロ

THV(FutonC1oth)

00=2.8907

AirResistance

---ラーーーーミー ̄ ̄

/、

〆、

/、/、.

/、

′、

Water、、Regain

'

′、

′、

■0

(18)

松平・久保:ふとん地の基本風合い及び総合風合い値客観評価法 73 3)上式で算出した基本風合いに,保温性に関

する量として通気抵抗を,快適性に関する量 として水分率を加え,これら二乗の値も変数 として,各基本風合い及び物性値毎のブロッ ク間残差回帰方式によって卯熟練者による主 観評価値と回帰することにより,回帰精度が 高く,誤差の小さな総合風合い客観評価式

(DM-11)を導くことが出来た。

80(1),19(1989).

3)川端季雄:“衣服布地の客観的性能評価法とその応 用..,日本繊維機械学会,p、1(1986).

4)川端季雄:“繊維材料京都基礎コース,(第1回)衣 服用布地の力学物`性と風合い,,,繊維材料研究会,p、

9(1988).

5)川端季雄:繊維機械学会誌(繊維工学),26(10),

P721(1973).

6)松平光男,川端季雄,丹羽雅子:繊維機械学会誌(論 文集),37(4),T49(1984).

7)川端季雄,丹羽雅子:繊維機械学会誌(論文集),37 (7),Tll3(1984).

8)M、Kendall:"MultivariateAnalysis,2ndEd'';

CharlesGriffin,London,p95(1980).

9)川端季雄:繊維機械学会誌(論文集),40(6),T59

(1987).

10)繊維学会編:``繊維便覧原料編,,,p966,丸善(1984).

11)川端季雄:繊維機械学会誌(論文集),37(8),T130 謝辞:本研究の遂行に当たり,ふとん地の基

本風合い用語の抽出・選定及び主観評価に御協 力頂いた大和紡績㈱関連の染め工場仕上げ,技 術,営業,問屋各担当者の方々に深謝申し上げ ます。

文献

1)川端季雄:“風合い評価の標準化と解析,第2版爾,

日本繊維機械学会,(1980)

2)SKawabataandMasakoNiwa:J・Text・Inst., (1984).

参照

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