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大学ボランティア関連組織による学生ボランティア 活動の実際

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(1)

活動の実際

著者 箭内 任, 今井 誠二, 上村 静, 田島 裕之, 内田  龍史, 菅原 真枝, 濱野 道雄, 新田 貴之, 濱崎 雅

雑誌名 尚絅総研論集

2

ページ 11‑28

発行年 2020‑02‑28

URL http://id.nii.ac.jp/1575/00000457/

(2)

大学ボランティア関連組織による学生ボランティア活動の実際

箭内  任 *・今井 誠二 *・上村  静 *・田島 裕之 *・内田 龍史 **・

菅原 真枝 ***・濱野 道雄 ****・新田 貴之 *****・濱崎 雅孝 ******

The actual status of student volunteer activities by university volunteer organizations

Yanai Makoto, Imai Seiji, Uemura Shizuka, Tajima Hiroyuki, Uchida Ryushi, Sugawara Sanae, Hamano Michio, Nitta Takayuki, Hamazaki Masataka

 東日本大震災から現在に至るまでのこの期間(研究期間 [2016−2017 年 ])、この震災 について大学教員が大学生にどのように語ってきたのか、また大学の教学システムは学生 にどのような影響を与えてきたのか、十分に検討されてきたとは言えない状況であった。

 本研究では、ボランティアに関する大学教育のあり方を大学組織の立場から検討するこ とを目的とし、震災ボランティアに学生を派遣している各大学のボランティアステーショ ン・スタッフへの調査をもとに、その活動の実態把握を行った。結果、ボランティア関連 組織を設立していた大学においては、学生にとってのボランティアの有用性が意識されて おり、自治体との連携や大学間連携が進みつつある現状が明らかとなったが、学内の体制 整備、移動費など費用の工面、学生ボランティアの安全確保、被災地域となった場合のボ ランティアコーディネート能力の向上などが課題として認識されていた。

キーワード:学生ボランティア・災害

はじめに

 本稿は、尚絅学院大学共同研究「東日本大震災ボランティア参加大学アンケートからみる大 学教育〜教学体制の構築へ向けて〜」(2016 〜 2017 年度)で実施した調査結果について、計 量的に把握が可能なものについて分析を行うことを目的としている。

 今日、多くの大学が学生のボランティア派遣活動を行なっているが、その活動から大学の教 学体制を再構築するには、まずボランティアに参加した学生の意識を分析し、次に彼らの活動 を支援する大学のボランティア関連部署についてあわせて調査する必要がある。つまり、大学 の教学体制をボランティアという側面から考察していくためには、大学、学生双方の視点が不 可欠である。

2020 年1月8日受理   * 尚絅学院大学 教授   ** 関西大学 教授   *** 東北学院大学 准教授   **** 西南学院大学 教授   ***** 尚絅学院大学 非常勤講師

  ****** 神戸松蔭女子学院大学 非常勤講師

(3)

 はじめの課題に対応するものとして「東日本大震災後の思想的言説が大学生の体験形成にお よぼした影響に関する基礎研究」(2014 年度〜 2015 年度)という共同研究を行った

。その成 果は、「尚絅学院大学震災ボランティアから考える大学教学システム再構築プロジェクト編,

2017『東日本大震災ボランティア参加大学生からみる大学教育』」(2017)にまとめられている が、そこでは、東日本大震災の被災地に赴いたボランティア学生の参加意識について調査を行 い、定量的解析の手法を用いることによって大学教学システムの質的内容を再帰的に解明し、

最終的に学生がボランティアに参加した要因は何か、学生はボランティアに参加したことに よってどのような影響を受けたのか、また彼らが今後大学に期待する教育等は何かなど、具体 的な内容について多様な回答を得た。

 以上の先行研究を踏まえ、本共同研究は、大学教育のあり方を大学組織の立場から検討する ことを目的とし、その内容は、震災ボランティアに学生を派遣している各大学のボランティア ステーション・スタッフへの質問紙調査をもとに、その活動の実態把握を行った。

 これにより、震災ボランティアが大学の教学全体にどのような影響を及ぼしているのか理解 することができるとともに、大学における教学システム全体を再構築する手がかりが得られる と考えた。

1.調査内容と回答を得た大学の概要 1−1 調査の目的

 東日本大震災において学生ボランティアを派遣した各大学の活動の実態について、質問紙調 査を実施することによって明らかにすることであった。

1−2 調査の方法

 調査対象は、東日本大震災において学生ボランティアを派遣したと考えられる大学である。

これら全国 448 校の大学に調査票を配布し、その結果、144 校から有効な回答を得た。

 調査期間は 2017 年9月1日〜9月 30 日である。

 調査内容は、①ボランティア関連組織、②東日本大震災の学生ボランティア対応、③災害ボ ランティア活動への対応の状況などである。

1−3 有効回答を得た 144 校の概要

①大学の所在地

 大学の所在地は、「近畿」が 22.9%、「関東甲信越(東京を除く)」が 15.3%、「九州」が 14.6%、「北陸・東海」が 12.5%、「東京」が 11.8%、「中国・四国」が 7.6%、「東北」「北海道」

ともに 6.3%、「不明」が 2.8%となっている。

②設置区分

 国立・公立・私立の設置区分は、「私立」が 66.7%、「公立」が 17.4%、「国立」が 16.0%となっ ており、「私立」が全体の3分の2を占める。

 先行する共同研究ならびに本共同研究は、尚絅学院大学を主幹として、東北学院大学および西南学 院大学の協力を得て行われた。

(4)

③在学者数(2016 年(平成 28 年)5月1日現在)

表1−1 在学者数

度数 最小値 最大値 平均値 標準偏差 在学者数 139 85 34625 4647.90 5724.366

 表1−1は「無回答」を除く在学者数の最小値・最大値・平均値・標準偏差を示している。

最小値は 85 人、最大値は 34,625 人、平均値は 4,647.9 人であった。

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図1−1 在学者数(N=144)

 図1−1は在学者数を「2000 人未満」 「2000 人以上 6000 人未満」 「6000 人以上」にカテゴリー 化した結果を示している。「2000 人未満」が 41.7%、 「2000 人以上 6000 人未満」が 29.9%、 「6000 人以上」25.0%となった。

2.調査結果①ボランティア関連組織について 2−1 ボランティア関連組織の有無

 ボランティア関連組織が「ある」と回答したのは 95 校(66.0%)であった。

2−2 設置区分

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図2−1 大学の所在地別ボランティア関連組織の設置率

(5)

 図2−1は、大学の所在地別のボランティア関連組織の設置率を示している。「ある」とす る割合が高いのは、「九州」(85.7%)、「東北」(77.8%)、「近畿」(72.7%)などであった。

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図2−2 大学の規模別ボランティア関連組織の設置率

 図2−2は、大学の規模別ボランティア関連組織の設置率を示している。統計的には有意な 差は見られないが、「6000 人以上」の大規模大学で 77.8%と、やや割合が高くなっている。

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図2−3 設置区分別ボランティア関連組織の設置率(χ2=13.756、p<0.01)

 図2−3は、設置区分別のボランティア関連組織の設置率を示している。ボランティア関連 組織は、 「私立」で 75.0%が設置されているのに対し、 「国立」は 60.9%、 「公立」で 36.0%と、 「私 立」で設置されている割合が高くなっている。

2−3 ボランティア関連組織の設立年

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図2−4 ボランティア関連組織設立年

 図2−4は、ボランティア関連組織がある大学における、ボランティア関連組織が設立され た年の分布を示している。

 最も古いのは 1973 年であるが、次の設立年は 1997 年であり、突出して設立が早い。1990 年

代後半までで6校(6.7%)、2010 年までで 46.3%(44 校)である。東日本大震災が発災した

2011 年度以降で 47.4%(45 校)であるので、東日本大震災前後でおおよそ二分できる。

(6)

2−4 ボランティア関連組織設立理由

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 図2−5 ボランティア関連組織設立理由(複数回答、N=95)

 図2−5は、ボランティア関連組織がある大学(95 校)の、ボランティア関連組織が設立 された理由を示している。

 最も割合が高いのは「2.ボランティア活動が学生にとって有意義であると判断したから」

であり、82.1%となっている。以下、 「4.社会の要請に応えるため」53.7%、 「1.建学の理念・

建学の精神に一致していたから」47.4%、 「5.大きな災害があったから」30.5%、 「6.その他」

13.7%、「3.大学の広報・宣伝のため」6.3%となっている。

 なお、設置区分別でみると、「1.建学の理念・建学の精神に一致していたから」は国公立 あわせて 17.4%、私立で 56.9%となっており(χ

2

=10.939、p<0.001)、私立大学における「1.

建学の精神」が、ボランティア関連組織の設立に一定の影響を与えていることがわかる。

 「5.大きな災害があったから」と回答した大学の、災害の内容は、「東日本大震災」が 19 校と多数を占めており、ほか、「阪神(淡路)大震災」が6校となっている。また、「6.その 他」の具体的な内容は、地域連携や学生の要請などがあげられていた。

2−5 大学ボランティア関連組織が扱ったことのある分野

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図2−6 大学ボランティア関連組織が扱ったことのある分野(複数回答、N=95)

(7)

 図2−6は、大学ボランティア関連組織が扱ったことのある分野(複数回答)を示している。

「災害復旧・復興」が 75.8%と最も割合が高く、ほか、7割を越えているのが「11.教育」

73.7%と「16.まちづくり」72.6%である。以下、「3.高齢者福祉」「5.障がい者(児)福祉」

がともに 66.3%、「13.スポーツ」61.1%、「2.子どもの健全育成」60.0%、「14.国際交流」

56.8%、「4.児童・母子福祉」「6.社会福祉一般」「12.文化」がそれぞれ 51.6%、「17.地 域安全活動」50.5%、「1.子育て・育児サポート」48.4%、「9.自然環境保全」46.3%、「7.

健康づくり」38.9%、「8.保健・医療」37.9%、「15.国際協力」31.6%、「20.人権擁護・平 和推進」23.2%、「21.男女共同参画」14.7%、「19.消費者保護・消費者啓発」7.4%、「10.公 害・エネルギー」5.3%、「22.その他」7.4%となっている。

 これらのボランティア分野の1〜 21 の項目をもとに、大学のタイプを分類するためにクラ スター分析(K-means 法)を行った。結果、クラスタ1を多分野型、クラスタ2を災害特化 型として大学のタイプをふたつに分類した(表2−1)。

表2−1 大学ボランティア関連組織が扱ったことのある分野の最終クラスタ中心 クラスタ

1 2

1. 子育て・育児サポート 1 0

2. 子どもの健全育成 1 0

3. 高齢者福祉 1 0

4. 児童・母子福祉 1 0

5. 障がい者(児)福祉 1 0

6. 社会福祉一般 1 0

7. 健康づくり 1 0

8. 保健・医療 1 0

9. 自然環境保全 1 0

10. 公害・エネルギー 0 0

11. 教育 1 0

12. 文化 1 0

13. スポーツ 1 0

14. 国際交流 1 0

15. 国際協力 1 0

16. まちづくり 1 0

17. 地域安全活動 1 0

18. 災害復旧・復興 1 1

19. 消費者保護・消費者啓発 0 0

20. 人権擁護・平和推進 0 0

21. 男女共同参画 0 0

(8)

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図2−7 大学の規模別大学タイプ(複数回答、χ2=13.758、p<0.01)

 図2−7は、大学の規模と大学のタイプとのクロス集計結果である。6000 人以上の大規模 大学では「多分野型」が 82.1%であるが、2000 人未満の小規模大学ではその割合が 36.1%と低 くなっている。逆に小規模大学では「災害特化型」が 63.9%と割合が高く、6000 人以上では その割合は 17.9%と低くなっている。大規模大学ではそのスケールメリットを活かして、様々 な分野にボランティアを送り出していることがわかる。

2−6 大学ボランティア関連組織の所属部署

 大学ボランティア関連組織の所属部署については、「部」「課」「係」の名称に加え、「上記に あてはまらない場合」にはその部署を記述してもらった。

図2−8 所属部署の共起ネットワーク

 これらの情報を KH コーダーで処理した結果、10 回以上出現する語彙は、「学生」77 回、「支

(9)

援」53 回、「センター」25 回、「連携」20 回、「地域」17 回、「事務」13 回、「ボランティア」

12 回、 「組織」10 回、である。これらの結果から、大学ボランティア関連組織は、 「学生」や「支 援」と名のつく部・課・係に所属していることが多いことがわかる。

 図2−8は、KH コーダーを用いた共起ネットワーク分析の結果である。「学生」「支援」「ボ ランティア」「センター」などが共起していることが読み取れる。

2−7 大学ボランティア関連組織運営スタッフ

表2−2 大学ボランティア関連組織運営スタッフ

度数 最小値 最大値 平均値 標準偏差 Q9 常勤専従 90 0 173 3.86 18.362

Q9 常勤兼任 89 0 13 2.10 2.837

Q9 非常勤専従 90 0 8 0.68 1.270

Q9 非常勤兼任 88 0 18 0.43 1.976

Q9 合計 90 0 173 7.04 18.266

 表2−2は、大学ボランティア関連組織運営スタッフ数を示している。

 平均 7.04 人であり、その内訳は、 「常勤専従」3.86 人、 「常勤兼任」2.10 人、 「非常勤専従」0.68 人、「非常勤兼任」0.43 人となっている。

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図2−9 大学規模別平均スタッフ数

 図2−9は、大学の規模別の平均スタッフ数を示している。大学ボランティア関連組織のス タッフは、中規模校で多く(11.04 人)、大規模校(5.81 人)・小規模校(5.40 人)で少ないこ とがわかる。おそらく、6000 人以上の大規模大学では、ボランティア担当職員を専門化でき るだけの体制整備ができており、中規模校では兼務職員が多く、小規模校ではそもそもの職員 数が少ないことの反映だと思われる。

2−8 2016 年度学生ボランティア延べ人数

表2−3 2016 年度学生ボランティアの延べ人数

度数 最小値 最大値 平均値 標準偏差 ボランティア延べ人数 84 0 9800 687.40 1494.429

 表2−3は、ボランティア組織を通じて 2016 年度に活動を行った学生ボランティアの延べ

(10)

人数を示している。平均は 687.40 人である。

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図2− 10 大学規模別平均ボランティアの延べ人数

 図2− 10 は、大学の規模別の平均ボランティアの延べ人数を示している。ボランティア参 加延べ人数は大規模校で 1387.1 人と最も多く、小規模校では 311.6 人と最も少なくなっている。

2−9 学生ボランティア募集情報配信手段

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図2− 11 学生ボランティア募集情報配信手段(複数回答、N=94)

 図2− 11 は、学生ボランティア募集情報配信手段(複数回答)を示している。「1.学内掲 示板」が 90.5%と最も割合が高く、ほか、「2.募集チラシの配架場所」60.0%、「10.窓口で の呼びかけ」47.4%などの割合が高くなっている。以下、「6.全学的な学生向け配信機能配 信」38.9%、「5.学内メーリングリスト」34.7%、「4.ボランティア関連組織ホームページ」

24.2%、「3.大学のホームページ(大学全体のホームページ)」23.2%、「11.その他」21.1%、

「7.フェイスブック」13.7%、「8.ツイッター」11.6%、「9.ライン」7.4%となっている。「11.

その他」の具体的な内容としては、教職員からの声かけや、講義・授業などでの呼びかけなど があげられていた。

3.調査結果②東日本大震災の学生ボランティア活動への対応について 3−1 東日本大震災学生ボランティア活動対応

 東日本大震災学生ボランティア活動対応については、ボランティア関連組織がある大学 95

(11)

校のうち、76.8%が「対応した」と回答している。

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図3−1 大学の規模別東日本大震災の学生ボランティア活動対応(χ2=7.547、p<0.05)

 図3−1は、大学の規模別にみた東日本大震災学生ボランティア活動対応を示している。

6000 人以上の大規模校であれば 92.9%が「対応した」と回答しているが、2000 人未満の小規 模校では 63.9%にとどまっており、大学の規模が大きい方が「対応した」割合が高くなっている。

3−2 東日本大震災の学生ボランティア活動対応を行った地域

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図3−2 東日本大震災学生ボランティア活動対応地域(複数回答、N=73)

 図3−2は、東日本大震災の学生ボランティア活動対応を行った 73 校の、活動地域を示し ている。最も割合が高いのは「宮城県」で 79.5%、続いて「岩手県」が 54.8%、「福島県」が 45.2%、「その他」が 9.6%となっている。

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図3−3 設置区分別学生ボランティア活動対応地域(福島県)(χ2

=6.790、p<0.05)

 図3−3は、設置区分別にみた福島県での学生ボランティア活動対応を示している。福島県 では「国立」が 76.9%活動を行っており、「公立」の 50.0%、「私立」の 37.0%と比較して割合 が高くなっている。

 活動地域については市町村までたずねているが、福島県では、多い順に、いわき市と南相馬

(12)

市がともに9校、福島市と相馬市がともに6校となっている。宮城県では、多い順に、石巻市 が 28 校、気仙沼市が 25 校、南三陸町が 23 校、仙台市が 18 校、名取市が 14 校、山元町が 12 校、

亘理町が 10 校、女川町が9校、東松島市が7校などとなっている。岩手県では、多い順に、

陸前高田市が 25 校、釜石市と大槌町がともに 10 校、大船渡市が9校、宮古市が7校、遠野市 が5校などとなっている。

 宮城県での活動の有無については、大学の規模別、大学のタイプ別で有意な差が見られた。

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図3−4 大学の規模別学生ボランティア活動対応(宮城県)(χ

2

=14.904、p<0.01)

 図3−4は、大学の規模別にみた宮城県での学生ボランティア活動対応を示している。宮城 県では 2000 〜 6000 人未満の中規模校で 95.5%、6000 人以上の大規模校で 88.5%と割合が高く、

2000 人未満の小規模校で 52.2%と割合が低い。

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図3−5 大学タイプ別学生ボランティア活動対応(宮城県)(χ

2

=4.526、p<0.05)

 図3−5は、大学タイプ別にみた宮城県での学生ボランティア活動対応を示している。宮城 県では「多分野型」の大学が 88.1%と割合が高く、「災害特化型」では 67.7%とやや割合が低い。

3−3 東日本大震災の学生ボランティア活動に参加した学生の人数

表3−1 ボランティア参加学生数(年度)

度数 最小値 最大値 平均値 標準偏差

2011 年度ボランティア参加学生数 56 0 5000 287.61 784.046 2012 年度ボランティア参加学生数 56 3 1015 126.29 181.465 2013 年度ボランティア参加学生数 59 0 1758 136.32 283.884 2014 年度ボランティア参加学生数 57 0 764 89.33 137.722 2015 年度ボランティア参加学生数 57 0 1244 91.54 187.019 2016 年度ボランティア参加学生数 55 0 1300 84.40 190.750 2017 年度ボランティア参加学生数 49 0 710 42.06 106.660

(13)

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図3−6 ボランティア参加学生数の推移(年度・平均値)

 表3−1・図3−6は、ボランティア参加学生数の年度の推移を示している。平均値を見る と、2011 年度は 287.6 人と最も多く、2012 年度が 126.3 人、2013 年度が 136.3 人と 130 人前後 と減少し、さらに 2014 年度 89.3 人、2015 年度 91.5 人、2016 年度 84.4 人と、80 人台に減少、

2017 年には 42.1 人とさらに減少している。

3−4 東日本大震災のボランティア活動にかかった経費

表3−2 東日本大震災のボランティア活動にかかった経費の概算(年度)

度数 最小値 最大値 平均値 標準偏差

2011 年度活動経費 36 0 8773182 2252813.42 2362942.621 2012 年度活動経費 40 0 9260000 2190058.90 2235289.313 2013 年度活動経費 42 0 8211934 1983860.26 2210853.990 2014 年度活動経費 43 0 7200000 1835334.40 1965292.464 2015 年度活動経費 45 0 7160000 1627752.84 1914489.664 2016 年度活動経費 44 0 9770000 1411382.30 1974774.521 2017 年度活動経費 34 0 9607000 1151238.68 2157969.339

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図3−7 東日本大震災のボランティア活動にかかった経費の概算(平均値)

 表3−2・図3−7は、東日本大震災のボランティア活動にかかった経費の概算の推移を示 している。平均値を見ると、2011 年度は 2252813.42 円と最も多く、以降、右肩下がりに減少 しており、2017 年度には 1151238.68 円となっている。

(14)

表3−3 東日本大震災のボランティア活動にかかった経費の概算(外部資金)

度数 最小値 最大値 平均値 標準偏差

2011 年度活動経費(外部資金) 15 0 3716000 990255.40 1150718.458 2012 年度活動経費(外部資金) 17 0 7276000 1465760.94 1664905.832 2013 年度活動経費(外部資金) 19 0 8028000 1304408.95 1860185.901 2014 年度活動経費(外部資金) 18 0 7035000 992442.22 1690881.377 2015 年度活動経費(外部資金) 18 0 6381000 966055.56 1556015.177 2016 年度活動経費(外部資金) 16 0 3000000 811000.00 986123.724 2017 年度活動経費(外部資金) 13 0 2936000 450076.92 830407.577

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図3−8 東日本大震災のボランティア活動にかかった経費の概算(平均値)

 表3−3・図3−8は、東日本大震災のボランティア活動にかかった経費のうち、外部資金 の推移を示している。平均値を見ると、2012 年度が 1465760.94 円と最も多く、以降、右肩下 がりに減少しており、2017 年度には 450076.92 円となっている。2011 年度の外部資金が少ない のは、東日本大震災の支援にかかる外部資金の募集が、予算としては 2012 年度から本格化し たためだと考えられる。

3−5 学生ボランティア受け入れ先

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図3−9 学生ボランティア受け入れ先(複数回答、N=73)

 図3−9は、学生ボランティア受け入れ先を示している。最も割合が高いのは「6.民間非 営利団体(NPO 組織等)」で 46.6%、続いて割合が高いのが「1.学校」42.5%、「2.自治体

(15)

(都道府県、市町村)」38.4%、「4.社会福祉協議会」35.6%などである。以下、「3.自治会 や町内会等」23.3%、「8.その他」21.9%、「7.宗教団体」17.8%、「5.民間営利団体(企 業)」17.8%などとなっている。

3−6 今後の東日本大震災学生ボランティア活動についての意向

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図3− 10 今後の東日本大震災学生ボランティア活動についての意向(N=73)

 図3− 10 は、東日本大震災学生ボランティア対応を行っていた 73 校の、今後の東日本大震 災学生ボランティア活動についての意向を示している。最も割合が高いのは「2018 年度以降 も継続する予定である」であり、54.7%と過半数を占めている。ほか、「未定」が 16.4%、「す でに中止(休止)した」が 15.1%、「その他」が 11.0%、「2018 年度から中止する予定である」

が 1.4%などとなっている。

 「3.すでに中止(休止した)」11 校については、最後に活動した時期をたずねているが、

2015 年が5校と最も多く、以下、2017 年が2校などとなっている。

4.災害ボランティア活動への対応について

4−1 災害ボランティア活動に関する外部組織との連携

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図4−1 災害ボランティア活動に関する外部組織との連携(N=95)

 図4−1は、災害ボランティア活動に関する外部組織との連携を示している。「2.連携し ている」が 41.1%と最も割合が高く、以下、「1.連携していない」が 36.8%、「3.過去に連 携したことがある」が 9.5%となっている。

(16)

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図4−2 災害ボランティア活動に関する外部組織との連携開始時期

 「2.連携している」と回答した 39 校には、連携開始時期をたずねており、図4−2に連携 を開始した大学数を示しているが、2011 年以降が8割弱を占める。

4−2 災害ボランティア活動で連携している外部組織

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図4−3 災害ボランティア活動で連携している外部組織(複数回答、N=39)

 図4−3は、災害ボランティア活動で連携している 39 校の、外部組織を示している。最も 割合が高いのは「2.自治体(都道府県、市町村)」51.3%で、以下、「1.学校」48.7%、「4.

社会福祉協議会」41.0%、「6.民間非営利団体(NPO 組織等)」30.8%、「5.民間営利団体(企 業)」と「8.その他」がともに 20.5%、「7.宗教団体」12.8%、「3.自治会や町内会等」

10.3%となっている。

表4−1 連携協定の有無

1.学校

2.自治体

(都道府県、

市町村)

3.自治会や 町内会等

4.社会福祉 協議会

5.民間営利 団体(企業)

6.民間非営 利団体

(NPO 組織等)

7.宗教団体 8.その他

度数 度数 度数 度数 度数 度数 度数 度数 結んでいる 6 31.6 11 55.0 2 50.0 5 31.3 3 37.5 2 16.7 5 62.5 結んでいない 13 68.4 7 35.0 2 50.0 10 62.5 4 50.0 10 83.3 5 100.0 2 25.0 無回答・不明 2 10.0 1 6.3 1 12.5 1 12.5

合計 19 100.0 20 100.0 4 100.0 16 100 8 100.0 12 100.0 5 100.0 8 100.0

 表4−1は、災害ボランティア活動で連携している外部組織との連携協定の有無を示してい

(17)

る。連携協定を結んでいる割合が高いものから「8.その他」62.5%、「2.自治体(都道府県、

市町村)」55.0%、「3.自治会や町内会等」50.0%、「5.民間営利団体(企業)」37.5%、「1.

学校」31.6%、「4.社会福祉協議会」31.3%、「6.民間非営利団体(NPO 組織等)」16.7%、

「7.宗教団体」なし、となっている。

4−3 学生ボランティア受け入れに際して可能な対応

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図4−4 学生ボランティア受け入れに際して可能な対応(N=144)

 図4−4は、全 144 校の学生ボランティア受け入れに際して可能な対応を示している。最も 割合が高いのは「3.支援物資の一時的な保管場所の提供」で 66.7%、以下、「1.駐車場の 開放」61.1%、「2.教室等の宿泊場所としての提供」46.5%、「6.教職員による当該災害に 関連する専門的知識の提供」32.6%、「5.被災地域のニーズの収集とボランティアのコーディ ネート」31.3%、「7.その他」12.5%、「4.バスの運行(乗車定員数および台数」10.4%な どとなっている。

5.調査のまとめと考察

 最後に、大学のボランティア関連組織、東日本大震災の学生ボランティア対応、災害ボラン ティア活動への対応について、調査から明らかになったことをまとめておきたい。

5−1 ボランティア関連組織について

 ボランティア関連組織は 95 校で整備されている。私立大学で設置割合が高い。半数が東日 本大震災以前、半数が東日本大震災後に整備されている。

 ボランティア関連組織設立理由は「ボランティア活動が学生にとって有意義であると判断し たから」82.1%と最も割合が高い。以下、「社会の要請に応えるため」53.7%、「建学の理念・

建学の精神に一致していたから」47.4%、「大きな災害があったから」30.5%などとなっている。

東日本大震災をきっかけとしたとするのは 19 校である。

 大学ボランティア関連組織が扱ったことのある分野は、「災害復旧・復興」が 75.8%と最も 割合が高く、ほか、7割を越えているのが「11.教育」73.7%と「16.まちづくり」72.6%、

クラスター分析によって大学を分類すると、「災害特化」型と「多分野」型にわけられ、「多分 野」型は学生数 6,000 人以上の「大規模校」で多く、「災害特化」型は 2,000 人未満の「小規模校」

(18)

で多い。

 大学ボランティア関連組織は、「学生」や「支援」と名のつく部・課・係に所属しているこ とが多い。

 大学ボランティア関連組織のスタッフは、「中規模校」で多い。

 ボランティア参加延べ人数は「大規模校」で多い。

 学生ボランティア募集情報配信手段は「1.学内掲示板」が 90.5%と最も割合が高い。

5−2 東日本大震災の学生ボランティア対応

 東日本大震災の学生ボランティア活動に対応した大学は、73 校である。「大規模校」で「対 応した」割合が高い。

 活動地域は「宮城県」79.5%、「岩手県」54.8%、「福島県」45.2%となっている。「福島県」

で活動した割合は国立大学で高く、私立大学で低い。

 東日本大震災ボランティア数は、2011 年度が最も多く、近年ほど減少傾向にある。

 東日本大震災ボランティア活動経費は、2011 年度が最も多く、近年ほど減少傾向にある。

 東日本大震災ボランティア活動経費(外部資金)は、2012 年度に上昇した後、近年ほど減 少傾向にある。

 学生ボランティア受け入れ先は、「6.民間非営利団体(NPO 組織等)」46.6%、「1.学校」

42.5%、「2.自治体(都道府県、市町村)」38.4%、「4.社会福祉協議会」35.6%などである。

 今後の東日本大震災学生ボランティア活動については、「2018 年度以降も継続する予定であ る」が 53.4%、「未定」が 16.4%、「すでに中止(休止)した」が 15.1%などとなっている。

5−3 災害ボランティア活動への対応

 災害ボランティア活動に関する外部組織との連携については、「2.連携している」が 41.1%と最も割合が高く、以下、「1.連携していない」が 36.8%、「3.過去に連携したこと がある」が 9.5%となっている。連携開始時期は、2011 年以降が7割程度である。最も割合が 高いのは「2.自治体(都道府県、市町村)」51.3%で、以下、「1.学校」48.7%、「4.社会 福祉協議会」41.0%などとなっている。

 学生ボランティア受け入れに際して可能な対応については、「3.支援物資の一時的な保管場 所の提供」66.7%、「1.駐車場の開放」61.1%、「2.教室等の宿泊場所としての提供」46.5%などなっ ている。

5−4 考察

 ボランティア関連組織は回答のあった 144 校のうち 95 校で整備されている。ボランティア 関連組織設立理由は「ボランティア活動が学生にとって有意義であると判断したから」が 82.1%と最も割合が高く、学生にとってのボランティアの有用性が意識されている。

 本調査結果からは、自治体との連携や大学間連携が進みつつある現状が明らかとなったが、

自由記述などであげられていた組織の課題としては、学内の体制整備、移動費など費用の工面、

学生ボランティアの安全確保、被災地域となった場合のボランティアコーディネート能力の向 上などが認識されていた。これらに関する対応が、今後の大学ボランティアの活性化の鍵にな るのではないかと考えられる。

(19)

 本研究を行うにあたって、全国の大学にご協力いただきました。回答をお寄せ戴いた皆様、また、別途ケー スレポートの作成依頼に対しても快くお引受け下さった大学の関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。

尚絅学院大学震災ボランティアから考える教学システム再構築プロジェクト編,2019『東日本大震災ボランティ ア参加大学アンケートからみる大学教育〜教学体制の構築へ向けて〜』.

尚絅学院大学震災ボランティアから考える大学教学システム再構築プロジェクト編,2017『東日本大震災ボラ ンティア参加大学生からみる大学教育』.

謝辞

文献

参照

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