韓国における食農教育に関する研究
―学校給食と酪農教育ファームの日韓比較を中心としてー
日本大学大学院生物資源科学研究科生物資源経済学専攻 博士後期課程
徐 美朗
2013
目次 第1章 序論
第1節 研究の背景と目的 第 2 節 研究の内容
第 3 節 研究の方法
第 2 章 食育と栄養教師制度 第 1 節 食育の定義
第 2 節 食育の現状 1)食育の変遷
2)食育関連の法律 3)栄養教師制度 4)食育推進政策 第 3 節 食育の実態
1)栄養教諭に対する訪問調査の概要 2)事例結果
3)考察
第 4 節 栄養士(栄養教諭)の意識調査 1)アンケートの目的と方法
2)アンケート結果 第 5 節 総括
第 3 章 学校給食・牛乳給食制度と食育 第1節 学校給食・牛乳給食の背景 第2節 学校給食・牛乳給食の歴史
第 3 節.学校給食と牛乳給食の実施状 況としくみ
1)学校給食・牛乳給食実施率の推移 2)無料牛乳給食
3)学校給食用牛乳供給事業のしくみ 第 4 節 学校給食と食育
第 5 節 総括
第4章 酪農教育ファームと食農教育 第 1 節 展開過程
第 2 節 酪農教育ファーム現状 1)酪農教育ファームの認証制度 2)韓国の酪農体験観光事業 第 3 節 酪農教育ファーム調査
1) 酪農教育ファーム訪問調査 2)酪農教育ファーム運営者に対する 意識調査
3)考察 第 4 節 総括
第 5 章 結論
引用文献 謝辞
統計データ
1
第1章 序論第1節 研究の背景と目的
韓国は経済成長による国民所得の増加、女性の社会進出による外食産業の発達とイン スタントフードの増加など、ライフスタイルが急速に変化している。こうした変化に関 連して、過去にはほとんど問題視されなかった肥満児童の増加[1]や食の崩壊などが社会 問題化している。しかし、現在の共稼ぎ夫婦の増加などにより、食習慣や食生活・礼儀 などを含んだ栄養教育を家庭で実施することが難しくなったため、従来は家庭で担当し ていた子どもたちの栄養教育(食育)を、学校が遂行しなければならない現実になって いる[2]。
人間の発達段階の中で小学生の時期は身体的な成長とともに情緒的、社会的、心理的 発達にとっても非常に重要な時期であることは広く知られた事実である。特に食生活と 関連してみると、小学生の時期は栄養素の要求量が増加して一生の健康に影響を及ぼす 食生活の行動が形成される時期である[3]。したがって、この時期に正しい食習慣を形成 することが大変重要と言える。食習慣は反復学習によるものと言えるので、価値観が完 全に確立されていない状態で、持続的に栄養教育をすることが最も効果的である[4]。
児童の性格形成、成長促進と健康のために、学齢期に栄養教育(食育)を通じた偏食 是正と正しい食習慣確立は大変重要である。児童期に形成された食習慣は一生持続でき るし、特に児童期に、給食が提供されている学校の栄養士による栄養教育(食育)は、
偏食習慣を是正するのに効果的であることが知られている[5,6]。
一方、食品安全に対する消費者の関心は日増しに増加している。食品の安全性向上の ための社会的な努力にもかかわらず、食品に関連した事故が続発している。Pack の研究 によると 1998 年 1 月から 2009 年 10 月までに韓国で発生した主な食品に関する事件・事 故は、合計 1206 件であった。このうち重複しているものや純粋な食品事件・事故と関連 がない部分を除けば、約 11 年間に合計 569 件の食品事故が発生した。年度別で見れば平
2
均 51.7 件、月別に見れば平均 4.9 件が発生していることになる。全体として食品事件・
事故は増加の傾向を見せていると言える [7] 。
日本においても、 「食の安全ブーム」ともいえる現象がみられるが、その原因として は、 O-157 や BSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザなど、新しい食品由来の問題が 登場したことと、食品産業の成長による消費者意識の変化と指摘できる[8]。
このように両国とも、消費者の食に対する関心が社会的に高くなりつれ、食習慣の問 題は個人の選択に任せるのではなく、国家的次元で扱わなければならない課題として、
体系的な対処方法を模索するようになっている[9]。その結果、韓国では、2009 年 11 月 に「食生活教育支援法」を、日本では韓国より 4 年早く 2005 年 6 月に「食育基本法」を 制定した。
両国の「食育」に関連する研究論文のレビューとしては、日本では「食生活教育領域 における「食育」研究の動向」[10]、韓国では、“A Study on the Trends of Researches on problems related to Eating Behaviors of Elementary School Students” [11]が 挙げられる。日本では 1993 年国民栄養調査において食生活調査が行われた時から 2003 年までの 11 年間の食育関連論文数は、94 年、98 年、01 年にそれぞれ前年比約 1.5 倍の 増加を示している。川口は論文の主な食育の内容を、食生活、食事、習慣、意識、調理、
献立、栄養、食行動、食文化・伝統、教育、社会的責任の 12 項目に整理し、これから食 生活に関わる生理的影響、心理的影響、社会的影響、社会文化的影響、人間形成、経済 の 5 視点を抽出している[10]。韓国において 1980 年~2008 年に主な学会誌に発表された 食育に関する研究論文数は、256 編で、期間中に徐々に増加している。特に 1990 年代後 半から論文発表数が急増したが、これは食生活の変化にともなう研究主題の変化を反映 している[11]と考えられる。
多くの研究では食育の意義と教育的な効果とともに、家庭科目に限定された教育の現 状の問題点を指摘している。食生活教育の必要性が国家的次元で提起されているが、食 生活教育は一度だけや数回の教育によっては効果が現れないということは、栄養教育に
3
関する多くの研究ですでに指摘されている「先行研究リスト:50」。したがって、初等 教育で食生活教育が効果を上げるためには、実科目と体育などの関連授業時間を通じて 実施するとともに、担任教師の児童に対する持続的な観察と指導が切実に要求される [11]。本研究では、食育について学校給食と酪農教育ファームの現状と課題の考察を行 うこととする。
第 2 節 研究の内容
本研究では図1のような分析方法による研究を行った。その内容は次のとおりである。
図1. 食農教育に関する分析方法
1、韓国で問題視されている食生活の変化パターンを時代別に区分して分析した。
2、食育に関する定義、目的、および現在行っている食育の制度、カリキュラムや栄養教 諭・栄養士の役割を把握し、栄養教諭・栄養士に対する意識調査を行い、食育の現状を 分析した。
食生活変化パターンを 時代別に区分して分析
食育の現状と 学校給食の役割
分析
栄養教諭と酪農教育ファ ームの実態分析 分析
食育に関する政策の 課題
食育の改善のための 課題と方向
4
3、食育の一環である学校給食政策を時代別に区分して、政策と変遷過程を分析するとと もに、小学生の意識調査によって学校給食の役割と課題を検討した。
4、食育の一環としてある酪農教育ファームの現状と牧場主の意識調査を実施し、分析し た。
5、以上の研究で導き出された問題を分析して、食育の取り組みの進展に向けた課題の考 察を行った。
第 3 節 研究の方法
本研究では文献などによる先行研究を踏まえ、各種研究機関のデータと変遷過程分析 のため新聞記事を収集し、課題への接近を行う。これと共に食育の実態を把握するため に、現場で仕事をしている栄養教諭と栄養士を対象にアンケート調査およびインタビュ ー調査、酪農教育ファームを運営する牧場主にアンケート調査およびインタビュー調査、
さらに小学生を対象に牛乳に対する意識調査を実施し、日本との比較を行った。このよ うな接近方法を通じて韓国の食育の問題と課題を提示した。
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第 2 章 食育と栄養教師制度第1節 食育の定義
韓国では食育を食生活教育と呼んでいる。食生活教育支援法(2009 年)で意味する「食 生活」とは、「食品の生産、料理、加工、食事用具、食膳、食習慣、食事礼儀、食品の 選択と消費など食物の摂取と関連した有形・無形の活動を言う。そして「食生活教育」
とは個人または、集団にとって正しい食生活を自発的に実践することができるようにす る教育をいう」としている。日本では「食育」を「生きる上での基本であって、知育、
徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置付けるとともに、「様々な経験を通じて「食」
に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人 間を育てることである」(食育基本法:2005 年)と定義している。
以上のような「食生活教育」と「食育」とは大差ないものとすることができよう。し たがって、以下では一般的に「食育」という用語を用いる。また、食育は韓国の食生活 教育の定義にあるように、消費段階のみならず食料の生産段階に関する理解も包括する 定義となっている。しかし、一般に食育という場合に消費段階に限定した活動を指す場 合も多く、広義と狭義の食育を区別する意味合いもって、特に生産段階も包括する食育 を「食農教育」と呼ぶこととする。
第 2 節 食育の現状 1)食育の変遷
本節では、韓国の 1945 年解放以後の教育課程における食育を検討した論文を検討した。
解放以後から 2007 年の改正教育課程までの初等食生活教育内容を分析すると、時代の変 化にともない生活様式も変化していることが確認できる[12]。実科目教育は 1895 年の小 学校令公布により、制度として初等教育の開始とともに始まった[13]。
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表 1.解放以後の韓国教育過程の変化
教育過程時期 特徴
学年(時間) 教育需要
(1945~1955) 解放直後 調理技術、各種食べ物作る方法 1 次教育課程
(1955~1963)
初等教育課程 農作業、料理、計画的な食生活 4(2),5(2), 6(2) 2 次教育課程
(1963~1973)
経済開発計画時期 農作業、料理 5(2),6(2) 3 次教育課程
(1973~1981)
セマウル運動展開 栄養学的な理論、実習、料理実習、
食生活教育の科学的接近、礼儀
4(2),5(2), 6(3) 4 次教育課程
(1981~1987)
近代化 基本的な料理、献立作り、合理的な 食品選択、楽しい生活の重要性強調
4(2),5(2), 6(2) 5 次教育課程
(1987~1992)
4 次教育過程とほとんど変わりない 4(2),5(2), 6(2) 6 次教育課程
(1992~1998)
実科目教育縮小時 期
簡単な果物食膳を作り、卵をゆでる こと、ご飯とスープを選択して献立 作り、授業時間不足で栄養的基礎知 識関連の内容は最初から削除
3(1),4(1), 5(1),6(1)
7 次教育過程 (1998~2007)
基礎栄養知識、簡単料理、
簡単メニューの食べ物作り、
食生活教育、学校給食、肥満予防
5(2),6(2)
随時改正体制 (2007~)
基礎栄養知識、簡単料理、
簡単メニューの食べ物作り、
食生活教育、学校給食、肥満予防
5(2),6(2)
随時改正体制 (2009~)
道徳・実科・音楽・
美術と併合
食生活教育が萎縮する危機
出所:Kim「14」
それまでの一般的な食生活教育が緑色食生活教育によって、栄養中心だった教育に対 して環境、配慮、感謝の部分が追加された。環境と食生活が相互補完関係にあることを 認知されるように教育するようにされた。関連分野も栄養のみだったのが農漁業、食品 栄養、料理教育など全分野を合わせて教育をするようになった。推進体系も政府主導で なく、民間が主導し、自発的汎国民運動としての体系に変えられた。政策体系も基本体 系の下、部署別連係を行うように変えられた。
7
2)食育関連の法律韓国では食育に関連した法律として学校給食法(1981 年)、子供食生活安全管理特別法 (2008 年)、食生活教育支援法(2009 年)、国民健康増進法(2009 年)、国民栄養管理法(2010 年)、食品安全基本法(2012 年)が挙げられる。一方日本では、学校給食法(1954 年)、食
育基本法(2005 年)、健康増進法(2002 年), 食品安全基本法(2003 年)が挙げられる。
韓国では食育に関連して 2009 年 5 月 27 日に「食生活教育支援法」が制定され、2009 年 11 月 28 日から施行された。食生活教育支援法の目的は、「食生活に対する国民的認 識を高めるために必要な事項を定めることによって、国民の食生活改善、伝統食生活文 化の継承・発展、農漁業および食品産業発展を企てて、国民の生活の質向上に寄与する」
としている。
一方、日本では「食育基本法」が 2005 年 6 月に公布された。この法律の目的は、「近 年における国民の食生活をめぐる環境の変化に伴い、国民が生涯にわたって健全な心身 を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進することが緊要な課題となっている ことにかんがみ、食育に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明ら かにするとともに、食育に関する施策の基本となる事項を定めることにより、食育に関 する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたる健康で文化的な国 民の生活と豊かで活力ある社会の実現に寄与すること」となっている。
韓国の食育の法律は五章および附則によって構成され、日本のものは四章からなって いる。韓国は第一章総則として第十条、日本は総則第十五条で構成されている。
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表 2.韓・日「食育」に関する法比較
韓国 日本
法律名 食生活教育支援法 食育基本法
制定 2009 年 11 月 2005 年 6 月 目的 国民の食生活改善、伝統食生活文化
の継承・発展、農漁業および食品産 業発展を企てて国民の生活の質向上 に寄与する
在及び将来にわたる健康で文化的な 国民の生活と豊かで活力ある社会の 実現に寄与する
第一章 総則 総則
第二章 食生活教育の基本方向 食育推進基本計画等
第三章 食生活教育基本計画等 基本的施策
第四章 食生活教育基盤造成 食育推進会議等
第五章 補則 なし
附則 ○ ○
出所: 筆者が両国のデータを基にして作成
3)栄養教諭の制度
韓国では 2007 年に教育人的資源部(現在は教育部、日本の文部科学省)が、より安全 で質の高い学校給食運営と学校給食に対する児童・生徒の満足度向上をめざし、学校給 食運営システム全般に対する総合的な改善対策を打ち出し、学校給食を教育福祉施策の 中心として定着・発展させようとした。具体的には、学校給食に「教育の一環として運 営し、偏食是正および正しい食生活習慣形成など健康の基盤確立に寄与する」との意味 を付与することになった。これをベースに栄養管理および食生活指導強化、学校給食運
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営の充実を重点として、学校給食専門担当職員である栄養士の役割の重要性を高めた。
2007 年 3 月から小学校を中心に栄養教諭を本格的に配置し始め、ようやく「学校給食は 教育の一環として運営し、偏食是正および正しい食生活習慣形成など健康の基盤づくり に寄与する」との意味を付与することになった。栄養教諭制度の施行で栄養教諭の役割 と職務において食生活指導と栄養相談の内容が追加された。
さらに同年第 15・16 代大統領の公約として、小学校を中心に栄養教諭が本格的に採用 され、全国で 1,500 人が配置された。2012 年現在では 3 倍の 4,533 人が配属されている
(表 3)。表 4 は、2012 年配置されている割合を表したものである。ちなみに日本では 栄養教諭が韓国より 2 年早く 2005 年に 34 人が配属され、2013 年現在では 4,624 人が配 置されている(表 5)。
表 3.韓国の年度別栄養教諭の現状
2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 小 1,275 3,381 3,416 3,434 3,447 3,457 中 146 476 505 518 532 542 高 79 273 282 311 301 534 計 1,500 4,130 4,203 4,263 4,280 4,533 出所:教育科学技術部、学生健康安全と主要業務統計資料
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表 4.韓国 2012 年度の栄養教諭の配置状況
小 中 高
計 女 計 女 計 女
T F T F T F
全体 3,457 (197) 3,442 (197) 542 (30) 535 (30) 534 23 526 23
国立 14 - 14 - 1 - 1 - 6 - 6 -
公立 3,437 (197) 3,422 (197) 514 (30) 507 (30) 465 20 457 20
私立 6 - 6 - 27 - 27 - 63 3 63 3
ソウル 480 (44) 479 (44) 53 (5) 53 (5) 33 2 33 2
国立 2 - 2 - 1 - 1 - 2 - 2 -
公立 474 (44) 473 (44) 47 (5) 47 (5) 16 2 16 2
私立 4 - 4 - 5 - 5 - 15 - 15 -
プサン 214 (14) 214 (14) 7 - 7 - 19 3 19 3
国立 1 - 1 - - - - - 2 - 2 -
公立 212 (14) 212 (14) 7 - 7 - 17 3 17 3
私立 1 - 1 - - - - - - - - -
テグ 184 (5) 183 (5) 4 - 4 - 10 1 10 1
国立 2 - 2 - - - - - - - - -
公立 182 (5) 181 (5) 4 - 4 - 10 1 10 1
私立 - - - - - - - - - - - -
インチョン 166 (14) 166 (14) 9 (1) 9 (1) 26 2 26 2
国立 - - - - - - - - 1 - 1 -
公立 165 (14) 165 (14) 9 (1) 9 (1) 25 2 25 2
私立 1 - 1 - - - - - - - - -
クァンジュ 115 (4) 115 (4) 2 - 2 - 4 - 4 -
国立 1 - 1 - - - - - - - - -
公立 114 (4) 114 (4) 1 - 1 - 3 - 3 -
私立 - - - - 1 - 1 - 1 - 1 -
テジョン 99 (2) 99 (2) 2 (1) 2 (1) 6 1 6 1
国立 - - - - - - - - - - - -
公立 99 (2) 99 (2) 2 (1) 2 (1) 5 - 5 -
私立 - - - - - - - - 1 1 1 1
ウルサン 54 (1) 54 (1) 19 - 19 - 25 - 25 -
国立 - - - - - - - - - - - -
公立 54 (1) 54 (1) 19 - 19 - 25 - 25 -
私立 - - - - - - - - - - - -
キョンギ 513 (47) 513 (47) 143 (13) 142 (13) 105 6 105 6
国立 - - - - - - - - - - - -
公立 513 (47) 513 (47) 127 (13) 126 (13) 74 5 74 5
私立 - - - - 16 - 16 - 31 1 31 1
カンウォン 239 (6) 236 (6) 8 - 8 - 24 - 24 -
国立 1 - 1 - - - - - - - - -
公立 238 (6) 235 (6) 8 - 8 - 23 - 23 -
私立 - - - - - - - - 1 - 1 -
(続き)
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小 中 高
計 女 計 女 計 女
T F T F T F
チュンブク 144 (2) 142 (2) 11 - 9 - 18 1 17 1
国立 1 - 1 - - - - - - - - -
公立 143 (2) 141 (2) 11 - 9 - 18 1 17 1
私立 - - - - - - - - - - - -
チュンナム 220 (13) 217 (13) 38 (1) 37 (1) 79 3 78 3
国立 1 - 1 - - - - - - - - -
公立 219 (13) 216 (13) 33 (1) 32 (1) 68 2 67 2
私立 - - - - 5 - 5 - 11 1 11 1
チョンブク 148 (8) 146 (8) 60 (2) 60 (2) 46 1 45 1
国立 1 - 1 - - - - - 1 - 1 -
公立 147 (8) 145 (8) 60 (2) 60 (2) 45 1 44 1
私立 - - - - - - - - - - - -
チョンナム 275 (14) 275 (14) 5 - 5 - 11 - 11 -
国立 1 - 1 - - - - - - - - -
公立 274 (14) 274 (14) 5 - 5 - 11 - 11 -
私立 - - - - - - - - - - - -
キョンブク 256 (15) 253 (15) 101 (5) 98 (5) 54 1 50 1
国立 1 - 1 - - - - - - - - -
公立 255 (15) 252 (15) 101 (5) 98 (5) 54 1 50 1
私立 - - - - - - - - - - - -
キョンナム 298 (8) 298 (8) 57 (1) 57 (1) 56 2 56 2
国立 1 - 1 - - - - - - - - -
公立 297 (8) 297 (8) 57 (1) 57 (1) 54 2 54 2
私立 - - - - - - - - 2 - 2 -
チェジュ 52 - 52 - 23 (1) 23 (1) 18 - 17 -
国立 1 - 1 - - - - - - - - -
公立 51 - 51 - 23 (1) 23 (1) 17 - 16 -
私立 - - - - - - - - 1 - 1 -
出所:教育科学技術部、学生健康安全と主要業務統計資料
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表5.日本の2005年~2013年度の栄養教諭の配置状況
都道府県名 ’05年 ’06年 ’07年 ’08年 ’09年 ’10年 ’11年 ’12年 ’13年
北海道 10 67 194 263 328 362 404 414 426
青森県 6 6 18 21 23 29 31
岩手県 17 32 43 59 74 74 90
宮城県 3 12 25 35 44 54 62 65
秋田県 1 4 8 15 21 25 29 33
山形県 1 5 12 17 34 49 56 55
福島県 12 20 28 27 27 26 23
茨城県 10 20 36 42 47 45 47 90
栃木県 9 22 34 43 43 42 54
群馬県 6 14 19 18 27 34 41
埼玉県 5 10 15 65 115 138 165 187
千葉県 5 10 15 23 38 58 85 130
東京都 5 16 27 36 44 49
神奈川県 8 12 26 40 52 164 163
新潟県 2 32 73 100 119 122 132
富山県 1 4 8 10 20 25 25 27
石川県 4 11 20 30 41 49 55 54
福井県 10 32 30 32 32 32 32 32 32
山梨県 5 5 5 13 21 24 27
長野県 5 20 23 43 41 62 59
岐阜県 4 4 81 97 112 116 116
静岡県 3 5 28 36 46 53
愛知県 10 10 68 73 117 144 161 182
三重県 11 48 72 98 112 115 111 104
滋賀県 4 11 15 20 27 30 35 39
京都府 58 91 122 131 154 156 167 176
大阪府 9 9 20 140 270 385 442 423 420
兵庫県 51 285 312 322 338 331 331
奈良県 10 20 27 30 32 33 37
和歌山県 3 3 10 12 15 20 24
鳥取県 3 3 11 15 19 19 19
島根県 14 29 49 62 61 60 53
岡山県 3 9 21 26 34 41 53 81
広島県 10 10 10 26 26 50 66
山口県 7 16 32 48 63 78 82 89
徳島県 9 17 25 25 25 35 44 49
香川県 5 5 19 41 54 71 74 75
愛媛県 16 41 57 77 85 91 96 98
高知県 5 11 15 19 23 31 41 44 47
福岡県 9 40 70 115 177 213 253 283
佐賀県 3 5 10 17 27 34 42 48
長崎県 12 33 51 68 77 90 104
熊本県 15 30 42 51 67 76 87
大分県 7 14 20 20 23 23 24
宮崎県 6 11 16 22 26 28 26 44
鹿児島県 69 144 161 163 162 155 156 167
沖縄県 4 14 14 24 31 40 40
合計 34 359 986 1,897 2,663 3,379 3,853 4,262 4,624
出所:文部科学省
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2003 年 7 月 25 日に児童・生徒の健康管理と正しい食習慣のための栄養教育を実施する 目的で栄養教諭制度が導入され、2007 年に栄養教諭が配置された。小・中等教育法(第 21 条 2 項)および学校給食法(第 7 条)改正法律案が公布され、2006 年に直営給食を原則 とするよう学校給食法が改正され、2010 年から義務教育機関である小・中等学校の給食 が直営給食形態に切り替えられるようになった。
栄養士とは、大学校(日本の大学)および専門大学(日本の短大)で「食品学または、
栄養学」を専攻して関連科目で指定の単位以上を履修した後、栄養士国家試験に合格し て保健福祉部長官の免許を受けた者である。栄養教諭(2 級)は、①大学校および専門大 学で食品学または、栄養学関連学を卒業して、在学中に所定の教職の単位を取得して栄 養士免許証を持った者、②栄養士免許証を持って教育大学院または、教育科学技術部長 官が指定する大学院の教育科で栄養教育過程を履修して修士学位(5学期)を受けた者 である。栄養教諭(1級)は栄養教諭 2 級資格証を持った者として 3 年以上の栄養教諭 の経歴を持って資格研修を受けた者である。
栄養教諭資格証取得者は、小・中等教育機関、特殊学校および外国人学校などに就職 して学校給食と栄養管理分野を担当することができる。 国公立学校で栄養教諭として勤 めるためには栄養教諭資格証を取得した後、別に教員採用試験に合格しなければならな い。教員採用試験は各市道教育庁で施行されている。教員採用で合格した者は、教育公 務員になる。しかし栄養教諭(2 級)資格をもっていても公務員採用としてではなく、学 校との契約で採用された場合は「会計職(学校内の司書や調理員・行政実務社など)の 栄養士」となる。
学校給食法施行令第 7 条第 1 項の規定によって、学校給食施設と学校給食施設供給業 者に学校給食専門担当職員の配置が義務化され、第 5 条第 1 項の規定によって 1 回の給 食児童が 50 人以上である給食学校には食品衛生法第 37 条の規定により栄養士免許を受 けた者(以下栄養士という)、50 人未満の給食学校には栄養士または、文教部令が決めた 者の配置を定めた。小・中等教育法施行令第 40 条の 3(栄養教諭の配置基準)に、①学校
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給食法第 5 条の規定によって給食施設と設備を備えた学校には同じ法第 7 条の規定によ る栄養教諭 1 人を置く。 ただし、教師の需給状況などによって学校別に栄養教諭 1 人を 置くことができない場合は、管轄庁が決めるところによる。②第 1 項の規定にかかわら ず、給食施設と設備を備えた隣接した 2 つ以上の学校に給食対象が 12 学級を超過しない 範囲の中で栄養教諭を共同で置くことができる。としている。
2001 年現在の学校給食関係者の配置状況としては、栄養士は総給食学校の 70.1%に配 置されており、身分別では正規職が 75.1%、契約職が 24.9%となっている。2009 年の基準 教科部の統計資料によれば、総給食学校数 11,303 校中栄養教諭数は 5,718(62.7%)人とな っている。一方、日本においても、食生活を取り巻く社会環境が大きく変化し、食生活 の多様化が進む中で、朝食をとらないなど子どもの食生活の乱れが指摘されており、子 どもが将来にわたって健康に生活していけるよう、栄養や食事のとり方などについて正 しい知識に基づいて自ら判断し、食をコントロールしていく「食の自己管理能力」や「望 ましい食習慣」を子どもたちに身につけさせることが必要となっている。このため、食 に関する指導(学校における食育)の推進に中核的な役割を担う「栄養教諭」制度が創 設され、2005 年度から施行されている。職務は食に関する指導と給食管理を一体のもの として行うことにより、地場産物を活用して給食と食に関する指導を実施するなど、教 育上の高い相乗効果がもたらされることが期待されている。
食に関する指導とは、①肥満、偏食、食物アレルギーなどの児童生徒に対する個別指 導を行う、②学級活動、教科、学校行事等の時間に、学級担任等と連携して、集団的な 食に関する指導を行う、③他の教職員や家庭・地域と連携した食に関する指導を推進す るための連絡・調整を行う、ことである。
栄養教諭の資格は、普通免許状として専修、一種、二種が新設された。大学における 所要単位の修得により免許状を取得することが基本である。他方、現職の学校栄養職員 は、一定の在職経験と都道府県教育委員会が実施する講習等において所定の単位を修得 することにより、栄養教諭免許状を取得できるよう法律上特別の措置が講じられた。
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資格は「管理栄養士免許を有する者、又は管理栄養士養成課程を修了し、栄養士免許 を有している者」が基本である。一種免許状取得は、①他の教諭又は養護教諭の免許状 を既に所持している者は、それに加えて「栄養に係る教育に関する科目」2 単位を取得す る、② 学校栄養職員としての在職年数3年以上の者は、10 単位(「栄養に係る教育に関 する科目」(2 単位)と「教職に関する科目」(8 単位)教職の意義等、教育の基礎理論、
教育課程、生徒指導及び教育相談に関する科目、栄養教育実習(各1単位以上))の取 得が必要である。栄養士免許を有する者(二種免許状取得)は、①他の教諭又は養護教 諭の免許状を既に所持する者は、それに加え「栄養に係る教育に関する科目」2 単位、② 学校栄養職員として在職年数 3 年以上の者は、それに加えて8単位と教職の意義等、教 育の基礎理論、教育課程、生徒指導及び教育相談に関する科目、栄養教育実習(各1単 位以上)が必要である。配置される栄養教諭はすべての義務教育諸学校において給食を 実施しているわけではないことや、地方分権の趣旨等から、栄養教諭の配置は地方公共 団体や設置者の判断によることとされている。公立小中学校の栄養教諭は県費負担教職 員であることから、都道府県教育委員会の判断によって配置される。身分は公立学校の 栄養教諭については、採用や研修等について養護教諭と同様の措置が講じられる。
韓国学校給食法第 13 条と 14 条によれば、学校給食を通じて、正しい食習慣を形成 するために、食生活関連指導を実施しなければならず、栄養のアンバランスを是正して、
病気を未然に防ぐために成長不良、貧血、過剰体重および肥満を持つ児童生徒などを対 象に、栄養相談と必要な指導を実施しなければならないとしている。1981 年に学校給食 法が制定された後、1982 年から学校に正規保健職栄養士が任用され始めたが、栄養士が 体系的に教育を担当できる法的根拠がなく、栄養教育および相談は制限的に遂行されて きた[6]。学齢期児童の栄養の重要性に対する認識が高まる中で、政府も学校給食法(第 7 条栄養教師などの配置、2003.7.25 一部改正)と小・中等教育法(第 21 条教員の資格、
2004.1.29 一部改正)を改正して、学校栄養教師制度を導入した[4]。また、2006 年に学 校給食法が改正され、2010 年から義務教育機関である初等・中等学校の給食については、
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直営給食形態に切り替えることが義務化された。今後給食を実施している学校に栄養教 諭が継続的に配置される予定で、栄養教諭に対する需要は着実に増加すると予測される。
しかし、2009 年に栄養教諭が配置された学校は全国で半分程度であったので、2009 年 1 月 2 日の学校給食法施行令一部改正令立法予告で、栄養教諭が配置されなかった学校の 場合には、栄養士が栄養教諭の職務を準用できるようにした[15]。なお、2009 年 5 月 27 日に制定された「食生活教育支援法」ができるまでは、「栄養教育」として栄養に対す る教育だけに限定されていたが、改正後はより幅広い教育が実施できるようになった。
このように韓国では食生活教育(食育)が、小学校から高等学校まで各学校で自律的に 実施されている。
4) 食育推進政策
韓国では、2009 年 11 月「食生活教育支援法」に基づき食生活教育委員会が設置され、
2010 年から 2014 までの 5 年間の「食生活教育基本計画」を発表した。日本では、内閣府 に設置された食育推進会議が「食育推進基本計画」を作成すことになっており、韓国よ り早い 2005 年 7 月から施行されている。2006 年から 2010 年間の「第 1 次食育推進基本 計画」が実施され、2011 年 3 月に第1次計画の取組の成果と課題を踏まえ、「第 2 次食 育推進基本計画」が決定された。この計画は 2011 年から 2015 年までの 5 年間を対象と し、食育の推進に当たっての基本的な方針や食育の推進に当たっての目標値を掲げると ともに、食育の総合的な促進に関する事項として取り組むべき施策等を提示している。
韓国の推進課題として、①食生活教育のインフラ構築、②環境親和的な食生活の基盤 構築、③韓国型の食生活実践、④体験を基に、配慮と感謝の食生活、の4つが挙げられ ている。日本は基本的な方針として、新たに 3 つの重点課題、①生涯にわたるライフス テージに応じた間断ない食育の推進、②生活習慣病の予防及び改善につながる食育の推 進、③家庭における共食を通じた子どもへの食育、が定められている。
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図 2 は、韓国の食育推進体制を表した図である。政府だけではなく、民間組織が主に 主催して食育が進められている。
図 2. 韓国の食育推進体制 出所:2010-2014 年食生活教育基本計画
食生活教育支援法第 18 条の規定により農食品部長官を委員長にする「国家食生活教育 委員会」は、関連部署長次官、関連機関・団体長、農漁業・栄養・保健・医療などの専 門家を含む、民・ 官合同で 20 人以内に構成する。
政府は 9 つ部の農林畜産食品部(農村振興庁)、企画財政部、教育科学技術部、行政 安全部、文化体育観光部、保健福祉家族部、環境部、女性家族部である。機関・団体は 農協、農水産物流通公社、韓国農村経済研究院、韓国食品研究院である。民間は、農漁 業、教育、栄養、医療、食品、消費者など関連団体代表で構成している。
政府機関の推進分野は下記の通りである。
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農林畜産食品部、食生活教育総括、基盤構築、国民運動組織支援、広報、環境親和的 農食品消費促進、地域農水産物使用活性化を担当する。
企画財政部は、食生活教育必要予算支援する。 教育科学技術部は、学校教育過程の中 に食生活教育強化する。 行政安全部は、地域推進体系確立(委員会構成、条例制定、予 算など)支援する。文化体育観光部は、伝統食文化拡散推進する。 保健福祉家族部は、
国民の栄養管理および栄養改善教育、関連情報提供する。環境部は、食品ゴミを減らす 対策総括を担当する。女性家族部は、家庭で食生活教育運動拡散推進する。他に農業振 興庁では、伝統食生活・食文化継承教育及びプログラム研究開発する。食品医薬品安全 庁では、栄養表示教育および広報、子供食品安全・栄養教育および広報などを推進する。
地方自治体は地域特性を反映した食生活教育推進のために地方自治体食生活教育委員 会を構成した。民間は民間主導の食生活汎国民運動展開のために民間連合団体の発足を 推奨して政府は早期定着を積極支援する。2009 年 12 月には農業業、食品栄養、保健医療、
教育、消費者、言論、学界など 200 余団体および個人が参加した「食生活教育国民ネッ トワークを発足」した。
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図 3.日本の食育推進体制 出所:食育白書
日本の食育推進体制は、図 3 にまとめた通りである。
内閣府は、食育推進会議の庶務を含め、食育の推進を図るための基本的な施策に関す る企画、立案及び総合調整の事務を担っている。そして、食品安全委員会、消費者庁、
文部科学省、厚生労働省、農林水産省等の関係各省庁等との連携を図り、政府として一 体的に食育の推進に取り組んでいる。食育を国民運動として推進していくためには、国、
地方公共団体による取組とともに、学校、保育所、農林漁業者、食品関連事業者、ボラ ンティア等の様々な立場の関係者の緊密な連携・協力が極めて重要である。
日本は国が計画を作成し、地方公共団体は政策の立案や主な実施先になる。国民の健 康のための食育を推進することを目指している。
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第 3 節 食育の実態韓国の小中高校で実際に行われている食生活教育の内容は、以下の通りである。これ は、多くのレビューから分析したデータで、実施の食育は、 各学校で自律的に実施され ている。
・小学校(5.6 学年)
家庭・技術の時間を利用して、栄養、料理体験、伝統食文化教育について年間 68 時間 学習する。全体の教育時間中家庭・技術の食生活教育の比重は 1.1%水準である。しかし、
実態は料理体験が中心になっている。
・中学校
家庭・技術の時間に栄養、食事マナー、料理体験などの内容を含め教育する。しかし、
食生活に関連した教育時間の比重は小さいものでしかない。
・高等学校
食生活教育として、食品と栄養、給食管理、韓国料理を選択科目として実施している。
1 学年の家庭科では、食生活の変化、世界の食生活についても学習している。
1)栄養教諭に対する訪問調査の概要
調査は 2011 年 8 月に、ソウル市内小学校の栄養教諭を対象に訪問によるインタビュー 調査で行った。ソウル市内の小学校の栄養教師を対象にしたのは、栄養教師が大部分の 小学校に配置されているからで、その中でも一番よく運営されていると言われている3 校を対象として訪問インタビュー調査を実施した。
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2)事例結果事例1.ソウル P 小学校
2006 年は栄養士が栄養教諭に一部準用された時期であり、2005 年に市の予算で食生活 文化体験室および料理体験室を運営することになった。1~6 学年まで料理体験を行うこ とが、カリキュラム化された。前期には主食を 2・3・4 時間目を利用して作り、昼食時 に食べ、後期はおやつを作っている(写真1)。低学年は安全性の面から 6~7人の父母 が参観および支援している。この授業は栄養教諭が担当して、最初の 2 年間は1週間 20 時間で、1 時間目は理論を、2 時間目は実習を行う。この時に市では栄養士を派遣し、栄 養教諭が授業に集中できるようにサポートしている。
体験室は児童生徒が使わない夏・冬休みには地域の人々に開放して、栄養教諭が授業 を行う。こうした活動によって、地域の人々の食に対するイメージの向上や、学校への 興味喚起が行われた。
写真1.料理教室の様子
出所:ソウル P 小学校の栄養教諭
事例2.ソウル S 小学校
1 年次は、正月や御盆などに食べる伝統餅を、2 年次は味覚教育として五つの味がする 五味子を利用した飲料を作る実験を行った。3 年次には伝統菓子作り、4 年次は加工食品
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について、5 年次の実科(家庭科)の時間に、簡単な調理を行う。6 年次にも実科の時間 に簡単な料理を作る(写真 2,3)。この授業は 1 年 1 回実施することが、カリキュラム化 されている。
写真 2.理論授業の様子 写真 3.伝統料理体験の様子 出所:ソウル S 小学校の栄養教諭 出所:ソウル S 小学校の栄養教諭
事例3.ソウル D 小学校
学校給食で発生する残飯は一日平均 600kg 程度で、その処理費用は年間 500 万ウォン に達する。そこで、環境汚染の防止と児童の偏食の矯正を目的に、残飯を減らす取組を 始めた。2010 年の目標を 200kg/日とし、学校給食室に残飯が少ない優秀クラスの残飯箱 の写真を掲載して動機付けしたり、教科目と連係して偏食をやめるポスターを描かせて、
優秀作を表彰したりしている(写真 4)。また、毎週水曜日を残飯のない日に定めて、偏 食矯正と残飯を減らす活動を行っている。
写真4.給食室に掲載されたスローガン 左:給食をもらう時は、食べるだけもらう。
右:お腹いっぱいじゃなくでも、残す習慣があるから 残す。
出所:ソウル D 小学校の栄養教諭
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3)考察韓国の食育は、まだ緒についた段階である。小学校の場合は、栄養教諭やクラスの担 当教師が分担して教育を行う学校もあるが、その数は少ない。高校では、栄養教育を実 施する学校はほとんどない。高校の場合、給食室の掲示板を利用した食育だけにとどま っているケースが多い。小学校の場合は、食事時の礼儀と食習慣、栄養素と衛生(手を 洗う仕方や食に対する衛生の全般)教育、伝統料理、残飯に関する食品と関連した教育 が主に実施され、実習する場合でも伝統料理作りに限定されていた。
2007 年の栄養教諭導入により、食育に対する関心は高まったが、5 年が過ぎた現在、
食育は職級の変化だけで、現実的には授業時間の配分を受けて授業を行っている栄養教 諭は極めて珍しい。インタビュー調査によると、ほとんどの小学校栄養教諭の食生活教 育方式は、リーフレットの配布と、一年に2回程度の授業であった。正式な教育体系が ないことや、教育資料を作る時間が不足している点も、食生活教育実施に際しての問題 点である思われる。
専門家養成と、より一層質の高い水準の教育を授けるための制度転換が栄養教諭制度 導入の目的であったが、その効果が疑われる実情であった。今後は栄養教諭と栄養士の 役割分担の明確化と、実効性ある食生活教育の実施が必要であると考える。
第 4 節 栄養士(栄養教諭)の意識調査 1)アンケート調査の目的と方法
事例調査を基にして食育の運営実態を把握するとともに食育に関する意識を知るために、
先行研究(Chun2010、Min2006、Oh2004、戸田 2004[16]、Pack2002 など)を参考にして本研 究の目的に合致するように研究者が修正・補完してアンケート項目を作成した。
ソウル市内の小・中・高等学校に勤めている栄養教諭や栄養士を対象にメールを利用して 行った。調査は 2013 年 8 月から 9 月までに実施し、有効回答数 18 部を得た。