8. LED水中灯実証試験
宮辺伸 目的
小型イカ釣漁船(20トン未満)の採算性を向上 させ、生鮮スルメイカの安定供給を図るため、LE D水中灯による操業の省エネ化(燃油削減等)の可 能性を検討する。
方法
試験船第一鳥取丸(199 トン)を使用して, 12 月 と 3 月に,隠岐島周辺で,LED 水中灯が釣獲及びイ カの行動に及ぼす影響を調査するため,釣獲試験及 び魚群反応調査を行った.
民間船を用船して,2 月に網代沖で,LED 水中灯の 海中での照度を把握するため,光学的測定を行った.
釣獲試験は,12 月 1,2,3 日と 3 月 17 日に 2000w 型青緑色 LED 水中灯 1 灯(拓洋理研,以下 LED)と 4kw 型メタルハライド空中灯 45 灯(以下メタハラ)
を使用し,LED を船首から水深 10~40mに垂下し、1 時間ごとに光量(0%~100%)、ストロボ発光(発 光間隔 1~5 秒に 1 回)を調節しながら釣獲試験を行 い、毎時または 30 分ごとの釣機 1 台 1 時間あたり漁 獲尾数を調査した.
魚群反応調査は,釣獲試験と同時に魚群探知機(古 野電気)及びソナー(古野電気)の映像を録画した。
12 月 1,2 日の釣獲調査終了後に LED を船首から水 深 20m、40mに垂下し、10 分ごとに光量(0%~
100%)、ストロボ発光(点滅間隔 0.1~1.0 秒に1 回)を調節し、魚群探知機及びソナーの映像を録画 した.
随時水中ビデオカメラ(広和)で海中を撮影した.
光学的測定は,JFE アレック株式会社から小型メ モリー分光光量子計(COMPACT-8LW)を借用して行っ た.LED 水中灯を水深 50m に設置し、分光光量子計 を水深 10,20,30,40m に移動させ,LED 出力を 5,
10,20,30,50,100%に調光し,測定した.
結果
12 月の釣獲試験では,操業開始時に LED 点灯のみ で集魚した場合、ほとんど漁獲はなかった(図 1,
図 3).メタハラで集魚し、メタハラを点灯したま ま LED を点滅させた場合、その直後は漁獲が減少ま たは横ばい傾向となるが、その後増加傾向になった
(図 1,図 2).メタハラで集魚し、メタハラを点灯
したまま LED を点灯させ、漁獲が減少していないこ とを確認し、1時間後にメタハラのみ消灯してみた が、漁獲は維持できず半減した(図 3).
釣獲試験と同時に行った魚群反応調査では,操業 開始時にメタハラで集魚すると水深60~70mに反応 が収束するが、操業開始時に LED を点灯させ集魚す ると反応が収束せず全体に薄く広がっていた.メタ ハラを点灯したまま LED を点灯、点滅させても反応 に大きな変化はなかった.メタハラで集魚し、メタ ハラを点灯したまま LED を点灯させ、1時間後にメ タハラのみ消灯すると水深60~70mの反応が拡散し た(図 6).
釣獲調査終了後の魚群反応調査では,点滅から点 灯、点灯から点滅に切り替えると水深 20~40mの反 応が消えるが、すぐに反応は元に戻った(図 8)。
水中カメラでも LED 周辺を遊泳するスルメを確認で きた(図 9)。
3 月の釣獲試験と魚群反応調査では,鳥取県沖合 にスルメイカの漁場が形成されていなかったため,
調査にならなかった.
光学的測定は,LED 水中灯の光量が 10m 以遠では
測定限界以下であったため,測定できなかった。
12月1日
灯数 消灯 19灯/45灯 45灯/45灯
船上作業灯 点灯
出力 100%
点滅間隔 平均
4.9
(尾
/ 台
・ 時
) 釣 機 1 台 1 時 間 漁 獲 尾 数
LED水深 40m
釣機1台1時間漁獲尾数
100%
5s 1s
船上MH灯
LED出力 30%
LED点滅
- 0.0 0.3 3.7 7.5 6.0 9.0 9.0 17.0
17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 1:00 2:00
17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 1:00 2:00
120 100 80 60 40 20 0
凡例 常灯 点滅
※高さで出力を表示
図 1 12 月 1 日釣獲試験
12月2日
灯数 45灯/45灯
船上作業灯 点灯
出力
点滅間隔 平均
69.2 LED水深 20m
船上MH灯
(尾
/ 台
・ 時
) 釣 機 1 台
1 時 間 漁 獲 尾 数
30%
92.2 122.7 126.0 釣機1台1時間漁獲尾数
LED出力 100%
LED点滅
100%
5s 1s 5s 1s
30%
42.7
- - 28.0 15.0 23.7 103.2
120 100 80 60 40 20 0
18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00
18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00
図 2 12 月 2 日釣獲試験
12月3日
灯数 消灯 45灯/45灯 消灯
船上作業灯 点灯
出力 100% 100%
点滅間隔 平均
0.0 1.0 0.0 0.0 0.5 1.5 1.5 25.0 11.2 37.2 50.0 50.0 58.0 25.0 27.5 16.5 10.3
30m 10m
船上MH灯
(尾
/ 台
・ 時
) 釣 機 1 台
1 時 間 漁 獲 尾 数
釣機1台1時間漁獲尾数 -
LED水深 10m
- LED出力
LED点滅
18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00
120 100 80 60 40 20 0
18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00
図 3 12 月 3 日釣獲試験
時刻 0m
200m
メタハラ off off
LED off off
水深 40m 40m
試験
内容 -
LED、メ タハラを 消灯
魚探の 反応
60~70m に反応 あり
反応が 拡散 釣機
1台 1時間
漁獲 尾数
-
釣獲終 了 100m
LEDの集魚効果 を確認するため 釣獲開始
20:00 0:00
LED点滅の効果 を確認するため、
LEDを出力100%
で5秒間に1回点 滅 100%
45灯 45灯
22:00
40m 17:30
LED出力を30%に 下げて、スルメが 寄ってくるか確認
60~100mに幅広 く反応が広がる 19:00
off 40m 18:00
off
100mに反応が現 れた
1:00
LEDを出力100%
で1秒間に1回点 滅
60mの反応が強 まる 45灯 100% 5s
2:00
45灯 100% 1s 釣果があがらな
いため、メタハラ を全灯点灯し集 魚を図る メタハラを半数点
灯し、集魚してい るか確認
40m 30%
大きな変化なし 60m以深に幅広
く反応が広がる
40m
引き続き収束
大きな変化なし 反応が70m、
100m付近に収束 引き続きメタハラ
で釣獲
100m付近に反応 がない部分が広 がる
23:00
40m
off 40m
off off
40m 21:00
off 19灯
40m off
100%
40m 水深40m、出力 100%で点灯し集 魚開始
19灯
引き続きメタハラ で釣獲
17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 1:00 2:00
0.0 0.3 3.7 7.5 6.0 9.0 9.0 17.0
0.0 100.0
図 4 12 月 1 日魚群反応調査
時刻 0m
200m
メタハラ off off
LED off off
水深 20m 20m
試験
内容 -
LED、メ タハラを 消灯
魚探の 反応
60mに 反応あ り
60mの 反応が 拡散 釣機
1台 1時間
漁獲 尾数
-
釣獲終 了 100m
18:00
メタハラでで集魚 開始
20:00
45灯 off 20m
70m付近の反応 が太くなってきた
引き続きメタハラ で集魚
70m付近の反応 が強くなってきた
21:00
メタハラを点灯し たまま、LED点滅 に対するスルメ の反応を確認 45灯
off 20m
22:00
20m 45灯
30% 5s
大きな変化なし
点滅間隔を1秒 にしてスルメの反 応を確認
45灯 30% 1s
大きな変化なし
20m 20m
60mの反応が強 くなってきている 45灯
23:00
出力を100%にし てスルメの反応 を確認
100% 5s
60mの反応が強 くなってきている
0:00
点滅間隔を1秒 にしてスルメの反 応を確認
60mの反応が強 くなってきている 45灯
100% 1s 20m
2:00
LEDを出力30%
で点灯し、スルメ の反応を確認 60mの反応が強 くなってきている 45灯
off 20m 1:00
LEDをいったん消 灯
LEDを出力100%
で点灯し、スルメ の反応を確認 変更直後に60m の反応がとぎ れ、その後やや 拡散 45灯
30%
20m 20m
4:00
45灯 100%
3:00
5:00
1:00 2:00 3:00 4:00
23:00 0:00 19:00 20:00 21:00 22:00
18:00 17:00
28.0 15.0 23.7 42.7
92.2 122.7 126.0 103.2
0.0 100.0
図 5 12 月 2 日魚群反応調査
時刻 0m
200m メタハラ off
LED off 水深 10m 試験
内容 -
魚探の 反応
60mに 反応あ り
釣機 1台 1時間
漁獲 尾数
-
17:35 20:00 21:00
LEDを水深10m、
出力100%で点灯 し集魚開始
100%
45灯 45灯
2:00
off 100%
100m
22:30 23:30 1:00
4:00 釣獲終了 3:00 4:20
off off off
10m メタハラで集魚し たスルメをLEDだ けで維持できる か確認
引き続きLEDだ けで維持できる か確認
LEDを消灯
60m以深に薄い 反応が拡大
大きな変化なし 大きな変化なし 70mの細い反応 は水中カメラ
60mに反応が出 始めるも釣れな い LEDの集魚効果
を確認するため 釣獲開始
釣獲があがらな いので、LEDを水 深30mに移動
60m付近に反応 は見られるも釣 獲につながらず 60mの反応が太
くなり、漁獲につ ながった メタハラを全灯点 灯し、LED点灯中 でも集魚するか 確認
集魚したスルメ の反応を確認す るためLEDを点 灯 LED点灯では集 魚しないので、
LEDを消灯
100%
100%
30m
off 10m
消灯直後は60m の反応が消えた が、15分後には また反応が現れ た
60mの反応がや や薄くなる
60mの反応が少 しずつ拡散し漁 獲も半減
10m 10m
100%
45灯
10m 10m 30m 30m
off
off off
100%
100%
0:00
17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00
0.0 1.0 0.0 0.0 0.5 1.5 1.5 25.0 11.2 37.2 50.0 50.0 58.0
25.0 27.5 16.5 0.0
100.0
図 6 12 月 3 日魚群反応調査
12月1日
灯数 消灯
船上作業灯 点灯
0m
20m
40m
60m
80m
100m 船上MH灯
出力 点滅間隔
LED水深 40m
10% 20% 30% 50% 100%
LED出力 LED点滅
2:40
2:30 2:50 3:00 3:10 3:20 2:40
2:30 2:50 3:00 3:10 3:20
図 7 12 月 1 日釣獲調査終了後の魚群反応調査
12月2日
灯数 消灯
船上作業灯 点灯 消灯
0m
20m 40m 60m
80m 100m
0.1s 1s
100%
100% 30% 100%
船上MH灯
LED出力 LED点滅
出力 100%
点滅間隔 0.1s 0.5s 1s 0.5s
LED水深 20m
4:20 4:10
4:00 4:30 4:40 4:50 5:00 5:10 5:20 5:30 5:40 5:50 6:00 6:10 6:20 6:25 4:20
4:10
4:00 4:30 4:40 4:50 5:00 5:10 5:20 5:30 5:40 5:50 6:00 6:10 6:20 6:25