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諫早湾の底泥環境変化

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Academic year: 2022

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(1)九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository. 諫早湾の底泥環境変化 上枝, 健人 九州大学総合理工学府大気海洋環境システム学専攻. http://hdl.handle.net/2324/1938015 出版情報:Kyushu University, 2017, 修士, 修士 バージョン: 権利関係:.

(2) 平成 29 年度 九州大学大学院総合理工学府 大気海洋環境システム学専攻修士論文. 諫早湾における底泥環境変化. 氏名. 上枝. 健人. 指導教員名. 松永. 信博. Eljamal Osama. 教授 准教授.

(3) 目次 第 1 章 序論. .. . . .. . .. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . ...1 1.1 1.2 1.3. 研究の背景..... ......................................................1 研究の目的..... ......................................................2 本論文の構成... ......................................................2. 第 2 章 諫早湾における底泥環境の経年変化. .. . .. . .. ... .. . .. . .. . ..4 2.1 2.2 2.3 2.4. 緒言......... .. ......................................................4 九州農政局の諫早湾底質データ.........................................4 経年変化. ...... ......................................................4 結言........... ......................................................6. 第 3 章 諫早湾潮受け堤防付近の底泥環境.. . .. . .. . .. .. . .. . .. . .. . .12 3.1 緒言........... .....................................................12 3.2 現地観測と実験方法..................................................12 3.2.1 2009 年の観測. ...................................................12 3.2.2 2013 年の観測. ...................................................12 3.2.3 2017 年の観測. ...................................................13 3.2.4 実験方法...... ...................................................13 3.3 結果........... .....................................................15 3.3.1 観測結果...... ...................................................15 3.3.2 過去観測との比較.................................................17 3.4 結言........... .....................................................18. 第 4 章 結論. .. . . .. . .. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . ..39 参考文献. .. . .. . .. .. . .. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . ..41 謝辞. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . .. . .. . .. .. . .. . .. . ..42.

(4) 第1章 1.1. 序論. 研究の背景. 諫早湾は有明海西部に位置し,長崎県に属する内湾である.図 1-1 に有明海の地形 を示す.諫早湾周辺では昔から,集中豪雨が発生しやすいことや,台風の常襲地帯で あることから,洪水による被害や高潮の被害を受けてきた.また,長崎県は地形的に 平坦な農地が少ない.こうしたことから,農林水産省は防災機能の強化と農地拡大の 二大目的とした諫早湾干拓事業を進めた.1986 年 12 月に事業計画が決定.1992 年 10 月に潮受け堤防と排水門工事に着手.1997 年 4 月には潮受け堤防が閉め切られ, 1999 年 12 月に潮受け堤防が完成した.この,有明海の諫早湾奥部を 7km の潮受け 堤防で閉め切った干拓事業によって,諫早湾奥部に存在していた干潟は消滅し, 35.5km2 の浅海域が消滅した.その後,2000 年 12 月に有明海でノリの色落ち問題が 発生した.これが発端となり,諫早湾干拓事業による有明海の環境悪化がささやかれ, 社会問題となった.諫早湾干拓事業と有明海の環境悪化の因果関係として,潮受け堤 防締め切りによって有明海の潮汐振幅が減少し,潮流速が弱まり底泥からの巻き上げ が減少し,海の透明度が上がった.その結果,植物プランクトンが増殖して赤潮が発 生し貧酸素化につながったという説と干拓事業によって諫早湾の干潟の水質浄化能 力が失われ,汚濁物質が分解されないまま有明海奥部に流れ込み赤潮発生と貧酸素を 引き起こしているという説が有明海の水質環境悪化の主な原因と指摘されている.も し,有明海の環境悪化が諫早湾干拓事業によるものならば,潮受け堤防と直結してい る諫早湾内(特に潮受け堤防付近)に一層影響が出るはずである.また,諫早湾は閉 鎖性内湾であるため,その水質環境特性は底泥環境と密接に関係していると考えられ る. 以下に,これまでの諫早湾の底質環境に関する研究を紹介する.佐々木(2003)は, 1997 年に諫早湾奥を締め切って作られた調整池から諫早湾へ排出される COD・全窒 素・全リンの排出量を検討し,締め切り後は COD が 3000~4800t/年,全窒素が 430 ~550t/年,全リンが 20~70t/年増加したと推定した.また,ボックスモデル解析に よって締め切り以前の干潟浄化力も推定し,諫早湾は干拓事業によって浄化源から負 荷源へ変化したと指摘した.松岡(2004)は諫早湾内の地点(32°53′00″N,130° 11′22.1″E)から堆積物の柱状試料を採取し,210Pb 濃度測定から得られる平均堆積 速度に基づいて,諫早湾内の平均堆積速度は 0.58cm/年と推定した.岡村ら(2006)は 2002 年および 2003 年の夏季に有明海の奥部・中部域および諫早湾において,表層堆 積物の特性を測定した.クロロフィル色素量及び δ13C の分布様式から,諫早湾では 植物プランクトン起源の有機物が高濃度で堆積していることを 推察した.Hodoki・ 1.

(5) Murakami(2006)は,諫早湾内に分布する軟泥の厚さを調べ,底泥中の含有有機物 量は潮受け堤防に向かって増加していることを指摘した.横山・ 石樋(2009)は, 有明海奥部と諫早湾の 48 地点において 底泥環境調査を行い,諫早湾の奥部では Mdφ>8 の値となっており,底泥が細粒化していることを明らかにした.李・松永(2010) は九州農政局によって測定された 1989 年~2008 年までの 20 年間のデータを用いて, 諫早湾内の底質環境の経年変化を調べ,諫早湾内の底質環境は湾口から湾奥に向かう につれて悪化していることを明らかにした.また,2008 年諫早湾内の 22 地点 にお いて未攪乱底泥コアを採取し,底質環境の空間分布 特性を調べることによって,南 部排水門背後の底泥環境 が北部排水門背後より悪化していることを示した.. 1.2. 研究の目的. 本研究では九州農政局の 1989 年~2015 年までの底質環境データを用いて,諫早湾 内の底質環境の経年変化を明らかにする.また,諫早湾潮受け堤防付近で現地観測を 実施し,底泥分析を行うことにより,諫早湾における潮受け堤防付近の底質環境の現 状の把握と変化を明らかにすることを目的としている.. 1.3. 本論文の構成. 本論文は 4 章で構成されている.各章の内容は以下のとおりである. 第 1 章では研究背景と先行研究と研究目的について述べた. 第 2 章では九州農支局によって測定された 1989 年~2015 年までの底質環境データ を解析し,諫早湾の底質環境の経年変化を明らかにした 第 3 章では 2017 年 9 月 22 日に諫早湾潮受け堤防付近の 5 地点から未撹乱底泥コ アを採取して分析を行い,結果を過去の観測結果と比較することで,諫早湾の潮受け 堤防付近の底泥環境の現状と変化を明らかにしている. 第 4 章では,以上の結果を総括し,本論文の結論としている.. 2.

(6) 福岡県. 佐賀県 有. 熊本県. 干拓農地. 明. 潮受け堤防. 諫早湾. 長崎県. 調整池 図 1-1. 有明海の地形(一部 Google Earth より引用). 3. 海.

(7) 第2章 2.1. 諫早湾における底泥環境の経年変化. 緒言. 李・松永(2010)は閉鎖性内湾の水質環境特性は底泥環境と密接に関係していると いう視点に立ち,九州農政局によって測定された 1989 年~2008 年までの 20 年間の 諫早湾における底質環境データを用いて,諫早湾内の底質環境の経年変化を調べ,諫 早湾内の底質環境は湾口から湾奥に向かうにつれて悪化していることを明らかにし た. 本章では,さらに 2008~2015 年までの 8 年間のデータを追加して,諫早湾内の底 質環境の経年変化を調べた.. 2.2. 九州農政局の諫早湾底質データ. 本節では,九州農政局によって測定された,諫早湾における底質環境データの解析 方法について述べる. 九州農政局は 1989 年から諌早湾の 11 地点において底質環境調査をおこなっている. 図 2-1 に観測地点,表 2-1 に観測地点の経緯度を示す.底泥のサンプリングは,一年 に 4 回 行わ れて い る. 11 地点 の観 測 地点は 湾奥 部( S1,S6,S7,S8 ), 湾央部 (S12,S13,B3),湾口部(S10,B4,B5,B6)に分類される.観測項目は,粒度組成, 含水率,強熱減量(IL),COD,硫化物濃度,全窒素(TN),全リン(TP)である. 今回のデータ解析期間は 1989 年 5 月から 2015 年 1 月までである.湾奥部の値として S1,S6,S7,S8 の 4 地点で得られた観測値の平均が,湾口部の値として S10,B4, B5,B6 の 4 地点で得られた観測値の平均とした.湾央部の値としては S12 と S13 地点における観測データが少ないため,湾央部の値として B3 地点の値のみを用いた. 図 2-2~2-8 に湾奥部,湾央部,湾口部における底泥環境特性の経年変化が示され ている.図中の赤い線は諫早湾が締め切られた年の 1997 年,李・松永(2010)によ ってまとめられた期間の 2008 年を示している.表 2-2 に諫早湾奥部が締め切られる 前(1989~1997 年)と締め切られた後(1997 年~2015)の底質特性量の平均値を 示す.. 2.3. 経年変化. (1)粒度組成の経年変化 粒度組成の経年変化を図 2-2 に示している.シルトと粘土の占める割合が高い順に 4.

(8) 湾奥,湾央,湾口となっており,湾奥から湾口に進むに従って,平均粒径は大きくな ることが予想される.湾奥と湾央ではシルトが約 50%以上,湾口部では砂が約 50% 以上の割合を占めている.表 2-2 より,諫早湾締め切り前後における粒度組成の変化 を見てみると,礫は湾奥と湾央で減少し,湾口で増加している.砂の占める割合は湾 奥では減少し,湾口では増加する傾向にある.シルトの占める割合は湾奥,湾央,湾 口で増加しているが,粘土の割合が減少している傾向にある. 2008 年以降も明確な 変化は読み取れなかったが,2013 年から 2015 年にかけて若干,粘土の占める割合が 減少しシルト,砂の割合が増加している. (2)含水率の経年変化 含水率の経年変化を図 2-3 に示している.含水率が高い順に湾奥,湾央,湾口とな っており,これはシルトと粘土が占める割合が高い場所に関係して,含水率も高くな っている.表 2-2 より含水率は諫早湾締め切り後,湾全体で増加傾向にあり.2008 年以降も増加する傾向にあった. (3)強熱減量(IL)の経年変化 IL の経年変化を図 2-4 に示している.湾奥と湾央で湾口よりも高い値を示している. これはシルトの占める割合が高いことと,有機物の供給は主に諫早湾奥からされるた めである.締め切り後,IL の経年変化はほとんど認められず,2008 年以降も値の変 動はほとんど認められなかった.表 2-2 より,諫早湾締め切り後湾全体で IL は減少 する傾向にある.締め切り前は湾奥と湾央で大きな違いは見られず,若干湾央で高い 値を示した.締め切り後は湾奥の方が若干高い値を示している. (4)COD の経年変化 COD の経年変化を図 2-5 に示している.湾奥と湾央で湾口よりも高い値を示して いる.これはシルトの占める割合が湾口よりも高く,有機物量も増加するためである. 締め切り前は湾奥と湾央で大きな違いは認められなかったが,締め切り後は,湾奥の 方が増加する傾向にある.COD は 1997 年から増加し始めたが,2002 年以降減少傾 向にあり,また 2011 年以降増加傾向にあった.表 2-2 より,諫早湾締め切り前後で COD の変化を比較すると湾全体で増加する傾向にある.李・松永(2010)は IL の経年 変化は認められないにも関わらず COD が増加する理由として,易分解性有機物の堆 積が進んだためと考察している. (5)硫化物濃度の経年変化 硫化物濃度の経年変化を図 2-6 に示している.湾奥と湾央で湾口よりも高い値を示 している.締め切り後の 1997 年以降増加傾向にあったが,2008 年以降減少する傾向 にある.表 2-2 より,締め切り前は湾奥と湾央で大きな違いは見られなかったが,締 め切り後,湾奥で増加する傾向にあり,湾奥で還元状態が進んでいる. 5.

(9) (6)全窒素(TN)の経年変化 TN の経年変化を図 2-7 に示している.TN は湾奥と湾央で湾口よりも高い値を示 している.締め切り後,湾全体で増加しており,さらに 2013 年以降急激に増加して いることが認められる.表 2-2 より,締め切り後,TN は湾全体で増加する傾向にあ り,湾奥において増加率が最も大きくなっている.このことから,諫早湾全体で有機 物汚濁が進行し,湾奥で有機物汚濁が最も進行していると考えられる.. (7)全リン(TP)の経年変化 TP の経年変化を図 2-8 に示している.締め切り前は湾奥,湾央,湾口で明確な違 いは見られないが,締め切り後,TP は湾全体で若干増加しており,TN と同様に 2013 年以降急激に増加している傾向にある.表 2-2 より,締め切り後,TP は湾全体で増 加しており,湾奥において増加率が最も大きくなっている.このことから,諫早湾全 体で有機汚濁が進行し,湾奥で有機物汚濁が最も進行していると考えられる.. 2.4. 結言. 九州農政局によって観測された 1989 年~2015 年のデータを用いて,諫早湾内の底 質環境の経年変化を調べた.得られた結果は以下のとおりである. 1)李・松永(2010)が示したとおり,依然として諫早湾内の底質環境は湾口から湾 奥に向かうにつれ悪化していた.2008 年以降においても,IL の変化はほとんど認 められなかったが,含水率,COD,TN,TP は増加する傾向にあった.TN,TP は 2013 年以降に急激な増加が認められた.しかし,2008 年以降,硫化物だけは 減少する傾向にあった.諫早湾締め切り前後における底泥環境の変化を締め切り 前(1989~1997 年)と締め切り後(1997~2015 年)の平均値で考えると,諫早湾締め 切り後は諫早湾全体で底質環境は悪化しており,その増加率は湾奥で最も大きく, 湾奥での環境悪化が顕著であった.. 6.

(10) 湾奥部 図 2-1 表 2-1 地点. 湾奥部. 湾央部. 湾口部. 湾央部. 湾口部. 九州農政局観測地点. 九州農政局観測地点の経緯度 東経. 北緯. S1. 130°09′40″. 32°53′46″. S6. 130°11′30″. 32°51′29″. S7. 130°10′43″. 32°53′46″. S8. 130°12′00″. 32°52′14″. S12. 130°11′55″. 32°55′07″. S13. 130°13′50″. 32°52′43″. B3. 130°12′59″. 32°53′48″. B4. 130°13′45″. 32°56′14″. B5. 130°16′44″. 32°53′53″. B6. 130°15′29″. 32°56′08″. B10. 130°15′39″. 32°54′44″. 7.

(11) 100%. 90% 80%. 70%. 粘土[%]. 60%. シルト[%]. 50%. 40%. 砂[%]. 30%. 礫[%]. 20% 10%. 0% 1989. 1991. 1993. 1995. 1997. 1999. 2001. 2003. 2005. 2007. 2009. 2011. 2013. 2015. (a)湾奥部 100% 90%. 80% 70%. 粘土[%]. 60%. シルト[%]. 50%. 40%. 砂[%]. 30%. 礫[%]. 20% 10%. 0% 1989. 1991. 1993. 1995. 1997. 1999. 2001. 2003. 2005. 2007. 2009. 2011. 2013. 2015. (b)湾央部 100% 90%. 80% 70%. 粘土[%]. 60%. シルト[%]. 50%. 40%. 砂[%]. 30%. 礫[%]. 20% 10% 0% 1989. 1991. 1993. 1995. 1997. 1999. 2001. 2003. 2005. 2007. (c)湾口部. 図 2-2. 粒度組成の経年変化 8. 2009. 2011. 2013. 2015.

(12) 80. 含水率(%). 70. 60 50. 40 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016. 湾奥部. 図 2-3. 湾央部. 湾口部. 含水率の経年変化. 16. 強熱減量(%). 14 12. 10 8 6 4. 2 0 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016. 湾奥部. 図 2-4. 湾央部. 湾口部. IL の経年変化. 25. COD(mg/g-dry). 20. 15 10. 5 0 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 湾奥部. 図 2-5. 湾央部. 湾口部. COD の経年変化. 9.

(13) 硫化物濃度(mg/g-dry). 1 0.8. 0.6 0.4. 0.2 0 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 湾奥部. TN(mg/g-dry). 図 2-6. 湾央部. 湾口部. 硫化物の経年変化. 4 3.6 3.2 2.8 2.4 2 1.6 1.2 0.8 0.4 0 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 湾奥部. TP(mg/g-dry). 図 2-7. 湾央部. 湾口部. TN の経年変化. 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 湾奥部. 図 2-8. 湾央部. 湾口部. TP の経年変化. 10.

(14) 表 2-2 礫(%). 底泥環境特性の平均値 砂(%). シルト(%). 粘土(%). 1989-. 1997-. 1989-. 1997-. 1989-. 1997-. 1989-. 1997-. 1997. 2015. 1997. 2015. 1997. 2015. 1997. 2015. 湾奥. 1.4. 1.1. 9.2. 8.6. 56.7. 65.5. 32.7. 24.8. 湾央. 2.1. 0.9. 16.4. 16.4. 54.4. 61.9. 27.1. 20.8. 湾口. 1.0. 1.1. 53.0. 53.7. 28.4. 32.2. 17.5. 13.0. 含水率. IL. COD. (%). (%). (mg/g-dry). 1989-. 1997-. 1989-. 1997-. 1989-. 1997-. 1997. 2015. 1997. 2015. 1997. 2015. 湾奥. 64.8. 71.3. 11.5. 11.1. 13.6. 17.6. 湾央. 64.0. 67.1. 12.1. 10.4. 13.8. 15.6. 湾口. 47.0. 50.3. 7.9. 7.2. 7.4. 8.9. 硫化物. TN. TP. (mg/g-dry). (mg/g-dry). (mg/g-dry). 1989-. 1997-. 1989-. 1997-. 1989-. 1997-. 1997. 2015. 1997. 2015. 1997. 2015. 湾奥. 0.348. 0.511. 1.612. 2.121. 0.626. 0.698. 湾央. 0.344. 0.324. 1.555. 1.951. 0.620. 0.668. 湾口. 0.178. 0.172. 0.941. 1.195. 0.575. 0.599. 11.

(15) 第3章 3.1. 諫早湾潮受け堤防付近の底泥環境. 緒言. 第 2 章では,九州農政局によって観測された 1989 年から 2015 年の諫早湾におけ る底質環境データを用いた解析を行い,2008 年以降も,諫早湾では湾口から湾奥に 向かって底泥環境は悪化しており.湾奥で底泥環境の悪化が一層顕在化していること が明らかとなった. そこで,本章では 2017 年 9 月 22 日に諫早湾潮受け堤防付近の 5 地点から未撹乱 底泥コアを採取して分析を行い,過去の観測結果と比較することで,より詳細に潮受 け堤防付近の底質環境の現状の把握と変化を明らかにすることを目的としている.. 3.2 3.2.1. 現地観測と実験方法 2009 年の観測. 2009 年 8 月 26 日に行われた現地観測の地点を図 3-1 に,観測地点の経緯度を表 3-1 に示す.試料採取は潜水夫によって行われた.長さ 50cm,直径 11cm の透明な円 筒形のアクリルパイプを,コアの高さが 10cm 以上になるように海底に突き刺し,両 端をゴム栓で蓋をして採取された.各地点において,4 本ずつ計 16 本未撹乱底泥コ アを採取した.ゴム栓とアクリルパイプにはビニールテープを巻きつけ試料がこぼれ ないようにし,さらにコアが崩れないよう収納箱に立てかけて入れ,周りを氷詰めに して研究室に持ち帰った後,各分析を行った. 3.2.2. 2013 年の観測. 2013 年 9 月 6 日に行われた現地観測の地点を図 3-2 に,観測地点の経緯度を表 3-2 に示す.2009 年とは観測地点を変更し,採取箇所も 4 地点から 5 地点になっている. 2009 年の観測地点より若干,潮受け堤防に近い位置となっている.北排水門付近を 地点 1 として,等間隔になるように地点 2,地点 3,地点 4 とし南排水門付近を地点 5 とした.2009 年と同様の手順で,各地点から未撹乱底泥コアを 4 本ずつ計 20 本採 取し,氷詰めにして実験室に持ち帰り,各分析を行った.. 12.

(16) 3.2.3. 2017 年の観測. 2017 年 9 月 22 日に行われた現地観測は 2013 年 9 月 6 に行われた観測と同地点で ある.2009 年と同様の手順で,未撹乱底泥コアを 4 本ずつ計 20 本採取し,氷詰めに して実験室に持ち帰り.各分析を行った.未撹乱底泥コアの採取時の様子を図 3-3 に, 採取されたコアサンプルの写真を図 3-4 に示す.. 3.2.4. 実験方法. 持ち帰った未撹乱底泥コアサンプルのうち 3 本を実験に使用した.残りの一本は予 備のサンプルとして冷蔵保存した.実験に使用する 3 本の底泥コアを表層から深さ 3cm までは 5mm 間隔で 6 層に切り,深さ 3cm から 6cm までは 1cm 間隔で 7 層に切 り分けた.各層に切り分けた底泥試料を同じ層ごとに容器にいれよく混合したものを 底泥試料とし,酸化還元電位(ORP),酸揮発性硫化物(AVS),クロロフィル a(Chl.a) 濃度,フェオフィチン(Pheo.)濃度,強熱減量(IL),中央粒径値(Mdφ),間隙水 中の栄養塩濃度[アンモニア態窒素(NH4-N),亜硝酸態窒素(NO2-N),硝酸態窒素 (NO3-N),リン酸態リン(PO4-P)]を測定した. ORP は ORP 計(Toko,TPX-90Si)を切り分けた底泥の試料の中に直接挿入して, ORP の値を測定した.同時に温度の値も読み取ることにより,以下の式を用いて補 正を行った. ORP(補正)=ORP(測定値)+206-0.7×(温度-25) AVS は以下のようにして測定された.ガス発生管に底泥試料 0.5~2g を秤とって入 れ,蒸留水 5ml を流し込んだ.その後,ガス検知管(GASTEC,GV-100S)の両端を 折り取り,ガス発生管とガス採取器に接続し 18N 硫酸 2ml をガス発生官に添加した. 気体採取機のハンドルを引き,発生する硫化水素をサンプリングし,検知管の目盛り を読み取った.測定した湿潤底泥中の AVS 値は以下の式を用いて乾燥重量に対する 値に換算した. AVS(mg/g-dry)=検知管値/(Ag×含泥率) Chl.a と Pheo.の濃度は以下のようにして求められた.底泥試料 5g 以上を秤とって ガラス瓶に入れ,90%アセトン 30ml を添加した.ガラス瓶の中の試料をガラス棒で 充分にすりつぶした後,蓋をして冷蔵庫の中に入れ 12 時間以上放置し,試料を沈殿 させた.沈殿物が巻き上がらないように冷蔵庫から取り出し,上澄み液をマイクロピ ペットで 10ml 採取し,吸光度計専用セルの中に入れた.吸光光度計(HACH ,DR3900) に上澄み液を入れたセルをセットし,波長 750nm ,665nm の 2 波長で吸光度を測 13.

(17) 定した.その後,1N の塩酸を 0.1ml 添加して,3 分以上放置したのち,再び上記と 同じ 2 波長で吸光度を測定した.得られた値から次式 Lorenzen 法を用いてクロロフ ィル a とフェオフェチンの濃度を求めた.Lorenzen 法による式は次式である.. 但し, E665:665nm の吸光度から 750nm の吸光度を差し引き,1cm セル当たりに換算した値. E665a:1N 塩酸添加後の検液について,665nm の吸光度から 750nm の吸光度を差し引 き,1cm セル当たりに換算した値. V30ml: 添加したアセトンの量 30ml. m:入れた底泥試料の量. IL は以下のようにして求められた.底泥試料を磁器製のるつぼに入れて質量を測定 した.次に,乾燥炉(ASONE,DO-450A)の中にいれ,110℃で 2 時間乾燥させた後, デ シ ケ ー タ の 中 で 40 分 間 放 冷 し , 再 び 質 量 を 測 定 し た . そ の 後 , 燃 焼 炉 (ISUZU,STR-14K)を用いて,600℃で 2 時間強熱した後,デシケータ中で放冷し, 再び質量を測定した.次式により乾燥減量(%),含泥率(%),強熱減量(%)を算 出した.. 乾燥減量 含泥率 強熱減量. A:分取した湿試料の質量(g) B:乾燥後の試料の質量(g) C:強熱後の試料の質量 (g) ここで得られる含泥率は,AVS の計算に用いられた. Mdφは中央粒径(d50)をレーザー回路式粒径分析装置(HORIBA,SALD3100)で測 定した後,次式により求められた. Mdφ=-log2(d50) 粒径区分は d が 2mm(φ=-1)以上を礫,2mm(φ=-1)未満~1/16mm(φ= 4)以上を砂, 14.

(18) 1/16mm (φ= 4) 未満~1/256(φ= 8)以上をシルト,1/256(φ=8)未満の粘土に分けら れる. 間隙水中の栄養塩濃度(NH4-N,NO2-N,NO3-N,PO4-P)は以下のようにして求め られた.まず,底泥試料を遠沈管に入れ遠心分離機にセットし,2000rpm で 20 分間 かけ間隙水を抽出した.その後,間隙水を 0.45 m のメンブランフィルターでろ過し, オートアナライザー(BLTEC,SWAAT)を用いて各栄養塩の分析を行った.. 3.3. 結果. 3.3.1. 観測結果. 図 3-5~図 3-11 に 2017 年 9 月 22 日に行われた諫早湾における潮受け堤防付近の 底質環境の観測結果と過去の観測結果の鉛直分布を示す.横軸を各測定項目の値,縦 軸を底質表面からの深さとした.2009 年の観測だけ地点が異なるため,2013 年と 2017 年の観測地点と近い地点で結果を載せている.本項では 2017 年に行われた観測 の結果についてのみ述べる. (1)酸化還元電位(ORP) ORP の鉛直分布を図 3-5 に示す.ORP の値は-160mV から 88mV の範囲にあり, 表層からの深さが 0~3cm の層で酸化状態にあり,3cm よりも深くなると全層還元状 態にあった.底泥への酸素供給は鉛直混合などによって底質表層からされるため,底 質表層で最も ORP の値が大きく,下層に行くほど ORP の値は下がっていく傾向に ある.南北による大きな違いはみられなかった. (2)酸揮発性硫化物(AVS) AVS の鉛直分布を図 3-6 に示す.AVS は 0.1mg/-dry から 2.0mg/g-dry の範囲にあ り,南排水門側である 4,5 地点の表層から 5~10cm の層で高い値を示した.底質表 層付近を除く,全層で水産用水基準である 0.2mg/g-dry を大きく超える結果であり, 生物の生息,成長が困難な環境であると予想される.北排水門側よりも南排水門側の 底質中層から底層にかけて硫化還元反応が進行していた. 図 3-12 に AVS と ORP の関係を示す.ORP が増加すると AVS は減少する傾向に ある.酸化状態では好気性バクテリアによる有機物分解が,還元状態では嫌気性バク テリアによる有機物分解が進む.還元状態下で有機物を酸化する過程で硫酸が硫化物 化され,硫化水素として環境中へ排出された結果検出されるので,今回その関係が確 認できた. 15.

(19) (3)クロロフィル(Chl.a)とフェオフェチン(Pheo.)濃度 <Chl.a+Pheo.>濃度の鉛直分布を図 3-7 に示す.Chl.a 濃度は 0.2μg/g-wet~4.38 μg/g-wet の範囲にあり,Pheo.濃度は 11.11μg/g-wet~30.08μg/g-wet の範囲にあっ た.Chl.a よりも Chl.a の分解生成物である Pheo.の方が高い濃度を示している. <Chl.a+Pheo.>濃度は底質表層から底層に行くほど値が下がっていく傾向にある.こ れは堆積時間が長くなるほど分解が進むためである.南排水門側よりも北排水門側で ある 1,2 地点の底質表層で高い値を取った.これは多田ら(2009)によって報告され ているように,小長井沖では赤潮が頻繁に発生し,それが沈降堆積したためと考えら れる. (4)Mdφ Mdφの鉛直分布を図 3-8 に示す.Mdφは 5.50~7.36 の範囲にあり,諫早湾潮受 け堤防付近は全体的に 6.8 を超える値をとっており,細粒シルトから微粒シルトに属 する.李・松永(2010)は 2008 年に行った諫早湾の底質環境調査から,北排水門よ りも南排水門周辺で底質の細粒化が認められ,これは宇野木(2002)が指摘している ように潮受け堤防による潮流の変化率は北排水門周辺よりも南排水門周辺の方が大 きく,流速の弱化が著しいことに起因していると考えられるとした.しかし,今回の 2017 年 9 月 22 の観測結果からは北排水門周辺と南排水門周辺における Mdφの明確 な違いは認められなかった. (5)アンモニア態窒素(NH4-N) NH4-N 濃度の鉛直分布を図 3-9 に示す NH4-N 濃度は 1.94mg/L~21.83mg/L の範 囲にある.AVS の鉛直分布と類似した分布を示し,北側よりも南排水門側に近くなる につれて値は増加し,特に 4,5 地点の 5~10cm の層で高い値を示した.全地点にお いて深くなるほど値が増加する傾向にある.これは堆積時間が長いほど有機物分解が 進むためである. 図 3-13 に NH4-N 濃度と ORP の関係を示す.NH4-N 濃度は ORP の値が減少する ほど,増加する傾向にある.これは酸化状態(ORP の値が正)では NH4-N が硝化さ れることによって NO2-N,NO3-N が発生するが,還元状態(ORP の値が負)では有 機物分解が NH4-N の状態で止まっているためであると考えられる. (6)硝酸態窒素(NO2-N)と亜硝酸態窒素(NO3-N)濃度 <NO2-N+NO3-N>濃度の鉛直分布を図 3-10 に示す.<NO2-N+NO3-N>濃度は 0.0004mg/L~0.0211mg/L の範囲にある.< NO2-N+NO3-N>濃度は諫早湾全体の酸 化状態(ORP が正)にある底泥表層付近で生成が認められ,表層から底層へと深く なるにつれて減少する傾向にあった.また,<NO2-N+NO3-N>濃度の値は NH4-N 濃 度の値と比べると桁違いに低い値となっている.このことからも諫早湾潮受け堤防付 近では強い還元状態にあると考えられる. 16.

(20) 図 3-14 に<NO2-N+NO3-N>濃度と ORP の関係を示す.<NO2-N+NO3-N>濃度は ORP の値が増加するにつれ増加する傾向にあった.これは前述したように還元状態 では有機物の分解が NH4-N で止まっているが,酸化状態では硝化され NO2-N や NO3-N が生成されるためである. (7)リン酸態リン(PO4-P)濃度 PO4-P 濃度の鉛直分布を図 3-11 に示す.PO4-P 濃度は 0.003 mg/L~4.466 mg/L の範囲にある. AVS と NH4-N の鉛直分布と類似した分布を示し,表層から底層へ と深くなるにつれ増加する傾向にあった.PO4-P 濃度は北側よりも南排水門側の地点 4,5 で高い値を取った.還元状態で有機物が分解されるのに伴い PO4-P も発生して いると考えられる. 図 3-15 に PO4-P 濃度と ORP の関係を示す.ORP の値が減少するにつれ PO4-P 濃 度は増加する傾向にあった.還元状態で PO4-P が溶出していると考えられる.. 3.3.2. 過去観測との比較. 本項では 2009 年,2013 年,2017 年に行われた観測結果の比較を行った. (1)酸化還元電位(ORP) ORP 値は 2009 年,2013 年,2017 年のいずれの期間においても,底質表層から深 くなるにつれ減少していく傾向は一致していたが,値の明確な変化は認められなかっ た. (2)酸揮発性硫化物(AVS) AVS 値は 2009 年,2013 年,2017 年のいずれの期間においても,北側よりも南排 水門周辺で AVS 値が高くなる傾向は一致していた.北排水門周辺では値の明確な変 化は認められなかったが,南排水門周辺では年々増加する傾向にあり,硫酸還元反応 が進行していると考えられる. (3)クロロフィル(Chl.a)とフェオフェチン(Pheo.)濃度 <Chl.a+Pheo.>濃度は 2009 年,2013 年,2017 年の全地点で,底質表層から深く なるにつれ,濃度が減少する傾向は一致している.<Chl.a+Pheo.>濃度は 2009 年よ りも 2013 年と 2017 年のほうが全地点で高い傾向にあり,植物プランクトンの堆積 が進んでいることがわかる. (4)Mdφ Mdφは 2013 年の測定が行われていないため,2009 年と 2017 年の観測結果を比 17.

(21) 較すると,若干の底質の細粒化が認められる. (5)アンモニア態窒素(NH4-N) NH4-N 濃度は AVS の鉛直分布と類似しており,いずれの期間においても北側より も南排水門周辺で高い傾向にある.北排水門周辺では明確な値の変化は認められなか ったが,南排水門周辺では年々増加する傾向にある. (6)硝酸態窒素(NO2-N)と亜硝酸態窒素(NO3-N)濃度 <NO2-N+NO3-N>濃度はいずれの期間,地点において,NH4-N の濃度よりも桁違 いに低い値となっていた.このことから,諫早湾潮受け堤防付近の底泥環境は嫌気状 態にあり,硝化が進んでいないことがわかる.年代による,明確な値の変化は認めら れなかった. (7)リン酸態リン(PO4-P)濃度 PO4-P 濃度は AVS と NH4-N の鉛直分布と類似しており,いずれの期間においても 北側よりも南排水門周辺で高い傾向にある.北排水門周辺では 2017 年の観測結果は 2009 年,2013 年の観測結果の値よりも同等か以下の値となっており,南排水門周辺 では同等の値となっている.. 3.4. 結言. 本章では,2017 年 9 月 22 日に諫早湾潮受け堤防付近の 5 地点から未撹乱底泥コア を採取し,諫早湾内の潮受け堤防付近における底質環境特性の鉛直分布特性を調べた. さらに,2009 年 8 月 26 日と 2013 年 9 月 6 に行われた過去の観測結果から底質環境 特性を比較した.得られた結果は以下のとおりである. 1) 諫早湾潮受け堤防付近における 2017 年の底質環境特性調査から ORP の値は -160mV から 88mV の範囲にあり,底質表層付近を除く全層で嫌気状態にあった. AVS は 0.1mg/-dry から 2.0mg/g-dry の範囲にあり水産用水基準 0.2mg/g-dry より 大きな値をとった.Chl.a 濃度は 0.2μg/g-wet~4.38μg/g-wet の範囲,Pheo.濃 度は 11.11μg/g-wet~30.08μg/g-wet の範囲にあり,Pheo.濃度のほうが高い値を 取 っ た . 底 質 は細 粒シ ル ト で 構 成 され てい た . NH4-N 濃 度は 1.94mg/L ~ 21.83mg/L の範囲にあった.全体的に嫌気状態であるため<NO2-N+NO3-N>の濃 度は NH4-N 濃度に比べ低い値となった.嫌気状態における底質から PO4-P の溶 出が示唆された.. 18.

(22) 2) 諫早湾潮受け堤防付近における 2017 年の底質環境特性調査から,北排水門周辺の 底泥環境と南排水門周辺の底泥環境は異なることがわかった.AVS の値は特に南 排水門周辺 の中層 か ら底層にか けて 高 く , 硫化還元 反応が 進 行していた. <Chl.a+Pheo.>濃度は北排水門側で高い値を示した.Mdφの南北での明確な違い は今回は認められなかった.NH4-N 濃度,PO4-P 濃度は AVS と類似した分布を示 し,南側で高い値を取った. 3) 2009 年,2013 年,2017 年に観測された潮受け堤防付近の底質環境特性を比較し た結果,ORP 値の明確な変化は認められなかったが,AVS 値は南排水門周辺で 年々増加する傾向にあった.全地点で植物プランクトンに関係した有機物の堆積 量の増加が認められた.また,底質の若干の細粒化も認められた.このことから, 2017 年の諫早湾内の潮受け堤防付近の底泥環境は 2009 年,2013 年の底泥環境よ りも悪い状態にあり,特に南排水門周辺の底泥環境が北側に比べ悪化しているこ とがわかった.. 19.

(23) 1 2 3 4. 地点. 図 3-1. 2009 年の観測地点. 表 3-1. 観測地点の経緯度. 経度. 緯度. 1. 130°10′3″. 32°53′55″. 2. 130°10′42″. 32°53′8″. 3. 130°11′19″. 32°52′20″. 4. 130°11′59″. 32°51′34″. 20.

(24) 竹崎. 小長井 北排水門. 1 2 3 4. 潮受け堤防. 5. 瑞穂. 国見 km. 南排水門 図 3-2. 表 3-2 地点. 2013 年と 2017 年の観測地点. 2013 年と 2017 年の観測地点の経緯度 経度. 緯度. 1. 130°10′3.48″. 32°53′59.42″. 2. 130°10′32.83″. 32°53′31.14″. 3. 130°11′4.35″. 32°52′59.75″. 4. 130°11′3.21″. 32°52′27.83″. 5. 130°12′4.24″. 32°51′46.83″. 21.

(25) 図 3-3. 採取の様子. 図 3-4 採取された底泥コアサンプル. 22.

(26) (a). (b). (c) 23.

(27) (d). (e). 図 3-5. ORP の鉛直分布. 24.

(28) (a). (b). (c) 25.

(29) (d). (e). 図 3-6. AVS の鉛直分布. 26.

(30) (a). (b). (c) 27.

(31) (d). (e). 図 3-7. <Chl.a+Pheo.>濃度の鉛直分布. 28.

(32) (a). (b). (c) 29.

(33) (d). (e). 図 3-8. Mdφの鉛直分布. 30.

(34) (a). (b). (c) 31.

(35) (d). (e). 図 3-9. NH4-N 濃度の鉛直分布. 32.

(36) (a). (b). (c) 33.

(37) (d). (e). 図 3-10. <NO2-N+NO3-N>濃度の鉛直分布. 34.

(38) (a). (b). (c) 35.

(39) (d). (e). 図 3-11. PO4-P 濃度の鉛直分布. 36.

(40) 2.5. AVS(mg/g-dry). 2009 2. 2013. 2017. 1.5 1. 0.5 0 -300. -200. -100. 0. 100. 200. 300. ORP(mV). PO4-P(mg/L). 図 3-12. AVS と ORP の関係. 5 4.5 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0. 2009 2013 2017. -300. -200. -100. 0. 100. ORP(mV) 図 3-13. PO4-P と ORP の関係 37. 200. 300.

(41) 25. 2009 NH4-N(mg/L). 20. 2013. 2017. 15. 10 5 0. -300. -200. -100. 0. 100. 200. 300. ORP(mV) 図 3-14. NH4-N と ORP の関係. 0.07 2009. NO2-N+NO3-N(mg/L). 0.06. 2013. 0.05. 2017. 0.04. 0.03 0.02 0.01 0 -300. -200. -100. 0. 100. ORP(mV) 図 3-15. NO2-N+NO3-N と ORP の関係 38. 200. 300.

(42) 第4章. 結論. 各章で得られた結論を以下に示す. 第 1 章では研究の背景と先行研究についてまとめ,本研究の目的と論文の構成につ いて述べた. 第 2 章では九州農政局によって観測された 1989 年~2015 年のデータを用いて,諫 早湾内の底質環境の経年変化を調べた.得られた結果は以下のとおりである. 1) 李・松永(2010)が示したとおり,依然として諫早湾の底質環境は湾口から湾奥 に向かうにつれ悪化していた.2008 年以降においても,IL の変化はほとんど認 められなかったが,含水率,COD,TN,TP は増加する傾向にあった.TN,TP は 2013 年以降に急激な増加が認められた.しかし,2008 年以降,硫化物だけは 減少する傾向にあった.諫早湾締め切り前後における底泥環境の変化を締め切り 前(1989~1997 年)と締め切り後(1997~2015 年)の平均値で考えると,諫早湾締め 切り後は諫早湾全体で底質環境は悪化しており,その増加率は湾奥で最も大きく, 湾奥での環境悪化が顕著であった 第 3 章では,2017 年 9 月 22 日に諫早湾潮受け堤防付近の 5 地点から未撹乱底泥コ アを採取し,諫早湾内の潮受け堤防付近における底質環境特性の鉛直分布特性を調べ た.さらに,2009 年 8 月 26 日と 2013 年 9 月 6 に行われた過去の観測結果から底質 環境特性を比較した.得られた結果は以下のとおりである. 2) 諫早湾潮受け堤防付近における 2017 年の底質環境特性調査から ORP の値は -160mV から 88mV の範囲にあり,底質表層付近を除く全層で嫌気状態にあった. AVS は 0.1mg/-dry から 2.0mg/g-dry の範囲にあり水産用水基準 0.2mg/g-dry より 大きな値をとった.Chl.a 濃度は 0.2μg/g-wet~4.38μg/g-wet の範囲,Pheo.濃 度は 11.11μg/g-wet~30.08μg/g-wet の範囲にあり,Pheo.濃度のほうが高い値を 取 っ た . 底 質 は細 粒シ ル ト で 構 成 され てい た . NH4-N 濃 度は 1.94mg/L ~ 21.83mg/L の範囲にあった.全体的に嫌気状態であるため<NO2-N+NO3-N>の濃 度は NH4-N 濃度に比べ低い値となった.嫌気状態における底質から PO4-P の溶 出が示唆された. 3) 諫早湾潮受け堤防付近における 2017 年の底質環境特性調査から,北排水門周辺の 底泥環境と南排水門周辺の底泥環境は異なることがわかった.AVS の値は特に南 39.

(43) 排水門周辺 の中層 か ら底層にか けて高 く ,硫化還元 反応が 進 行していた. <Chl.a+Pheo.>濃度は北排水門側で高い値を示した.Mdφの南北での明確な違い は今回は認められなかった.NH4-N 濃度,PO4-P 濃度は AVS と類似した分布を示 し,南側で高い値を取った. 4) 2009 年,2013 年,2017 年に観測された潮受け堤防付近の底質環境特性を比較し た結果,ORP 値の明確な変化は認められなかったが,AVS 値は南排水門周辺で 年々増加する傾向にあった.全地点で植物プランクトンに関係した有機物の堆積 量の増加が認められた.また,底質の若干の細粒化も認められた.このことから, 2017 年の諫早湾内の潮受け堤防付近の底泥環境は 2009 年,2013 年の底泥環境よ りも悪い状態にあり,特に南排水門周辺の底泥環境が北側に比べ悪化しているこ とがわかった 第 4 章では各章で得られた結果をまとめて示し,結論とした. 本研究を通して諫早湾内の底泥環境の経年変化と潮受け堤防近傍の底質環境の現 状と変化を明らかにすることができた.本研究が微力ながらも,諫早湾環境問題に対 して貢献できるときがくることを願って本論文を締めくくる.. 40.

(44) 参考文献 1) 宇野木早苗(2002):有明海における潮汐と流れの変化-諫早湾干拓事業の影響 を中心にして-,海と空,Vol.78,No.1,pp.19-30. 2) 岡村和麿,田中勝久,木元克則,清本容子(2005) :有明海奥部と諌早湾における表 層 堆 積物 中の 有機 物の 分 布と 有機 炭素 安定 同 位体 比 , 海の 研究 ,15 (2 ), pp.191-200. 3) 佐々木克之,程木義邦,村上哲生(2003) :諌早湾調整池からの COD・全窒素・全 リンの排出量および失われた浄化量の推定,海の研究,12 巻 6 号,pp.573-591. 4) 多田彰秀,阿部和也,中村武弘,竹之内健太(2009):2008 年夏季に諫早湾で発生 した赤潮および青潮と水質動態の関連について¸土木学会論文集 B2(海岸工学)¸ 56 巻 1 号,pp.961-965. 5) 松岡數充(2004):有明海・諫早湾堆積物表層部に残された渦鞭毛藻シスト群集 からみた水質環境の中長期的変化,沿岸海洋研究,Vol.42,pp.55-59. 6) 松川 康夫,佐々木 克之,羽生洋三(2014):有明海奥部の貧酸素と諌早湾干拓 事業の因果関係の検証,海の研究,23(3),pp.87-110, 7) 李洪源,松永信博(2010):諫早湾の底泥環境特性,土木学会論文集 B,Vol.66, pp.321-334 8) 横山寿,石樋由香(2009) :底質の主成分分析による有明海 奥部海域の区分,日本 水産學會誌,Vol. 75,pp. 674-683. 9) Hodoki,Y. and T. Murakami (2006): Effect of tidal flat reclamation on sediment quality and hypoxia in Isahaya Bay, Aquatic Conservation:Marine and Freshwater Ecosystems, Vol.16, pp. 555-567.. 41.

(45) 謝辞 本研究は,九州大学大学院総合理工学研究院環境理工学部門 松永信博教授のご指 導の下に行われたものです.松永教授には,本研究の遂行と論文作成にあたり熱心か つ懇切丁寧なご指導ご鞭撻を頂きました.人生や研究について松永教授の考えや哲学, 体験談などを混じえながらゼミ室で熱心にお話してくださったことは一生の財産に なりました.また,研究面以外においても,我々,大気海洋環境システム学専攻の学 生の就職担当教員として多くのサポートをいただきました.ここに記して深く感謝の 意を表します. 九州大学大学院総合理工学研究院 IFC 部門 Eljamal Osama 准教授には,ゼミで の貴重なご助言や,実験において様々なサポートをして頂きました.ここに記して深 く感謝の意を表します. 九州大学大学院総合理工学府環境流体科学研究室の有墨康子秘書,久田由紀子研究 員には,研究室での生活において多大なるご支援をいただきました.心より感謝申し 上げます. 損保ジャパンの李洪源氏には,実験方法に関する様々な知識や技術をいつも親身に なって丁寧にご指導いただきました.ここに記して深く感謝の意を表します. 農林水産省九州農政局からは諫早湾の底質環境データなどの貴重なデータを多数 ご提供いただきました.感謝申し上げます. 株式会社測研の皆様には実験に際し多くのご支援をいただきました.ここに記し, 厚く感謝の意を表します. 修士 2 年の井上裕己氏,能塚寛紀氏,羽多正吾氏には観測や実験の際に多くのご助 言と力添えを頂きました.また 2 年間,学生生活を共にする中で,多くの楽しい時間 や経験を共有することができ,とても充実した時間を過ごす事ができました.ここに 記して深く感謝致します. 修士 1 年の大塚崇寛氏,新宅祐貴氏,高見誠也氏,平川祐基氏には観測や実験の際に 多大なる御協力を頂きました.深く感謝致します. 最後に,長い学生生活を経済的,精神的に支援してくれた家族に心より感謝いたし ます.. 42.

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参照

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