日本小児循環器学会雑誌 8巻2号258〜264頁(1992年)
若年者における運動負荷時のカテコラミンと乳酸閾値
(平成4年2月12日受付)
(平成4年5月15日受理)
横浜市立大学小児科学教室
南沢 享 新村 一郎 柴田 利満 真下 和宏 安井 清 小林 博英
key words:乳酸閾値,カテコラ ン,ファP一四徴症,運動負荷
要 旨
若年者の多段階運動負荷時の血中乳酸値と血中カテコラミン値の変動を調べた.さらにカテコラミン の上昇と乳酸閾値との関連につき検討した.自覚的最大負荷が可能であった30例(男16,女14,年齢6
〜19歳,平均13.7歳)を対象に,Bruce法によるトレッドミル多段階運動負荷を施行し,負荷前,負荷 時1分30秒毎,負荷直後,負荷後3分での静脈血中乳酸値とカテコラミン値を測定した.
1)血中ノルエピネフリソ値,乳酸値は,1例を除いて,軽度の負荷では無変化か,緩やかな直線状の 上昇をし,ある負荷強度を越えると急激に上昇した.一方血中エピネフリン値は16例(53%)が同様の 変化を示したが,14例(47%)は明らかな変曲点が求められなかった.
2)血中ノルエピネフリン値,乳酸値の変曲点での値はそれぞれ0.33±0.12ng/ml,12.7±3.7mg/dlで あり,変曲点に至る負荷時間は,5.6±1.7分,5.7±1.4分,運動耐容時間の55±13%,57±10%であっ
た.変曲点での心拍数は150±20bpm,146±19bpm,最高心拍数の80±9%,78±9%であった.
3)血中ノルエピネフリン値と乳酸値の変曲点は14例(47%)で一致した.一致しない例でも12例が1 採血点(1分30秒)の相違であった.ノルエピネフリンと乳酸の変曲点における各心拍数には有意な相 関関係が認められた(r=O.75,p<0.01).
4)ファロー四徴症開心術後患者は最高心拍数が健常群に比して有意に低値であった(180±12bpm vs 193±10bpm, p<0.01)が,負荷直後の血中ノルエピネフリン値には有意差を認めなかった(1.55±0.53 ng/ml vs 1.25±0。56ng/ml, NS).
若年者の検討で,多段階運動負荷での血中乳酸値とノルエピネフリン値は非常に類似した変化を示し た.乳酸閾値を越えた運動では,交感神経系の活性が高まっていることが示唆された.またファロー四 徴症開心術後患者では運動中の交感神経活動は正常であるが,反応性が低下している可能性が示唆され
た.
動的運動負荷を漸増させた時の乳酸値は,ある負荷 強度を越えると急激に増加し,乳酸閾値や嫌気性代謝 閾値などと呼ばれ,注目されている1)2).また動的運動 時の血中カテコラミン値,特にノルエピネフリン値の 変動パターンは,乳酸値のそれに類似していることが 知られている3) 5).しかし若年者で同時に測定した報
別刷請求先:(〒162)東京都新宿区河田町8−1 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所 循環器小児科 南沢 享
告はない.そこで若年者でのトレッドミル運動負荷時 の血中カテコラミン値からみた交感神経活動の変化を 検討し,さらに乳酸閾値との関係につき検討した.
対 象
当科外来経過観察中の19歳以下の患児で,自覚的最 大負荷のトレッドミル運動負荷試験が可能であった30 例(男16,女14,年齢6〜19歳,平均13.7歳)を対象 とした.その内訳は運動と関連性のない不整脈患児7 例(発作性上室性頻拍5例,洞徐脈1例,完全右脚ブ
ロック1例),川崎病既往者11例(心臓後遺症のない4 例,冠動脈障害7例),ファロー四徴症開心術後12例で あった.疾患による影響を調べるため,以下の3群に 分類した.不整脈患児と心臓後遺症のない川崎病既往 者は心機能に異常がなく,日常運動制限もされていな いため,1群とした.川崎病冠動脈障害はII群とし,
ファロー四徴症術後患児はIII群とした.交感神経β遮 断剤が投与されている患児は対象から除外した.
方 法
全例,Bruce法によるトレッドミル多段階運動負荷 試験を施行した.負荷方法,心拍数,心電図記録は以 前に報告した方法6)に準じた.血圧測定は旭光物産社 製自動血圧CM4001を用い,1分毎に計測した.負荷 前,負荷中1分30秒毎,負荷直後,負荷後3分に,前 腕肘静脈に留置したカニューレから約4ml採血し,3 mlはEDTA−Na管に入れ,カテコラミン測定用とし,
lmlは同量の除蛋白液と混入させ,乳酸測定用として,
直ちに氷水中に保存した.試験終了後遠心分離した検 体を,凍結保存した.血中カテコラミン値は高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)による蛍光法7),乳酸値 は酵素法8)でそれぞれ測定した.
統計学的手法は平均±標準偏差で表示し,1群とII 群,III群をそれぞれ対応のないt検定で比較検討した.
p<0.05を有意とした.
結 果 1)対象群の特徴
表1に各群の年齢,男女比,身長,体重,運動耐容 時間,最高心拍数を示した.年齢においてII群は1群 に比して低かった(p〈0.05)が,身体的特徴や運動耐 容時間,最高心拍数には,有意差を認めなかった.1 群とIII群とでは運動耐容時間に差はなかったが,最高 心拍数がIII群で有意に低かった(p<0.01).
2)多段階運動負荷時の血中ノルエピネフリン,エピ ネフリン,乳酸値の経時的変化
血中ノルエピネフリン値(以下NEP),乳酸値は,
1例を除いて,軽度の負荷ではほとんど無変化か,ま たは緩やかな直線状の上昇をし,ある負荷強度を越え ると急激に上昇した.この急激な上昇の開始点を変曲
表1 対象群の特徴
症例数 年 齢 男/女 身 長 体 重 運動耐容時間 最高心拍数 最高血圧
1群 II群 III群
11
712
13.8±3.411.5±3.5*14.9±2.8 6/5 3/4 6/6
154±13 143±15 159±11
47.9±11.4 37.5±11.9 53.9±12.8
10.4±1.7 9.7±0.9 9.4±1.2
193±10 188±3 180±12#
144±14 155±18 154±13 全体 30 13.7±3.5 15/15 154±14 48.2±13.6 9.9±1.4 187±11 150±15
*1群vs II群 p〈O.05#1群vs III群 p〈0、01
表2 乳酸,ノルエピネフリン値の変曲点における各パラメーター
1 群 II 群 III群 全 体
LAT(mg/dl) 12.9±3.3 12.7±2.3 12.6±4.7 12.7±3.7
LATtime(min) ・ 6.0±1.7 5.5±1、1 5.5±1.1 5.7±1.4
LAT%ET(%) 56.8±10.5 57.4±12.5 58.6±7.7 57.1±10.2 LATHR(bpm) 156±13 144±24 138±17 146±19 LAT%HRm。x(%) 80.9±5。5 76.5±12.5 76.7±8.8 77.8±9.2 NEPT(ng/ml) 0.267±0.099 0.384±0.099 0.367±0.129 0.328±0.124 NEPTtime(min) 5.9±2.1 5.8±0.6 5.1±1.6 5.6±1.7 NEPT%ET(%) 54.8±14.5 60.2±9,2 53.6±13.2 55.4±13.0
NEPTHR(bpm) 159±20 145±18 143±18* 150±20 NEPT%HRm。x(%) 82.2±8.4 77.0±9.9 79.2±7.6 79.9±8.6 LAT:lactate threshold, LATtime:LATに至る時間, LAT%ET:運動耐容時間に 対する割合,LATHR:LATでの心拍数, LAT%HRmax:最高心拍数に対する割合 NEPT:norepinephrine tresho】d, NEPTtime:NEPTに至る時間, NEPT%ET:
運動耐容時間に対する割合,NEPTHR:NEPTでの心拍数, NEPT%HR,n。.:最高心拍 数に対する割合
*1群vs HI群 p<O.05
260−(28)
点と定義した.一方血中エピネフリソ値(以下EP)は 16例(53%)が同様の変化を示したが,14例(47%)
は明らかな変曲点が求あられなかった.図1に負荷中 における各値の変化を図示し,代表例を図2に紹介し
mg/dl 100
90 80 70 60 50 40 30 20 10
LACTATE
0
0 1.5 3
m
/
n9
3日㊤a之2溜﹄42 2222 1111
4.5 6 7.5 9 10.5 12
EX.TIME NOREPINEPHRINE
0 .5 3
ng/m]
コ
2 ﹂19876543210
●◆0乙 ︑//︐/シ
4,5 6 7.5 9 10.5 12
EX,TIME EPlNEPHRlNE
///〆///////◇/
0 1.5 3
護
姦﹂
min.
4.5 6 7.5 9 10.5 12
EX.丁IME 図 1
mln,
min.
日本小児循環器学会雑誌 第8巻 第2号
た.
変曲点を認めた例での各値と負荷時間,心拍数との 関係を表2に示した.血中NEP値の変曲点に至る負 荷時間は,5.6±1.7分であり,運動耐容時間の55±13%
であった.運動耐容時間との間に正の相関関係を認め た(r=0.77,p<0.01).この時点の心拍数は150±20 bpmであり,最高心拍数の80±9%であった.最高心 拍数との間に正の相関関係を認めた(r=0.60,p〈
0.01).一方乳酸値の変曲点に至る負荷時間は,5.7±
1.4分であり,運動耐容時間の57±10%であった.運動 耐容時間との間に正の相関関係を認めた(r=0.42,p〈
0.05).この時点の心拍数は146±19bpmであり,最高 心拍数の78±9%であった.最高心拍数との間に正の 相関関係を認めた(r=0.44,p<0.05).
変曲点における個人差の原因を検討するため,
NEP,乳酸値の変曲点での心拍数,運動時間,実測値 と年齢,身長,体重との相関関係を調べた.NEP,乳 酸とも変曲点での心拍数と体重に弱い逆相関がみられ
た(NEP:r=−0.37, p〈0.05,乳酸:r=・ −O.47, p〈
O.Ol).各実測値と年齢,身長,体重との間に有意な相 関は認められなかった.
各群間の比較では,NEP変曲点における心拍数はIII 群が1群に比して低値であったが,最高心拍数との割 合でみると差がなかった.その他の指標には差を認め なかった.
血中NEP値と乳酸値の変曲点は14例(48%)で一致 した.不一致例では12例が1採血点(1分30秒)の相 違であり,3例が2採血点(3分)の相違であった.
10例(34%)が乳酸値の変曲点が早く,5例(17%)
はNEPの変曲点が早かった.この傾向は各群間に差 はみられなかった.
運動中の心拍数とNEP,乳酸にはそれぞれ正の相関 がみられた.そこでNEP,乳酸の変曲点での心拍数関 係を図3に示した.r=0.75(p〈0.01)で両者には有 意な相関関係が認められた.
表3に安静時,各ステージ終了前,負荷終了直後,
負荷後3分での血中NEP値, EP値,乳酸値を示した.
運動負荷中各ステージ終了時における血中NEP値
は,III群が1群に比較して有意に高値を示した(p<0.05).しかし負荷終了直後の比較では有意差を認めな かった.
運動負荷終了直後に血中NEP値, EP値とも,全例 最高値となり,負荷後3分で速やかに低下した.血中 NEP値, EP値は,負荷終了直後にそれぞれ安静時の
T.N. 10yr s
male
mg/dl ng/ml ng/m1
60
19日765432iOE
50
40
30
20
10
0U 2日642186420E N
E
−v/
/
ng/ml ng/ml mg/dl
60
2114141﹂1 nOPD42 1^ °°⁝0 9日7654321
・0
nO642
7.5 9 io.5
min、
50
40
30
20
10
O t.5 3 4.5 6
time 図 2
0
㎜ 佃
㎜
m
㎜ 佃 珊 団
㎜ ⁝⁝
(
匠工︶トエ﹈Z bpm
LAT−NEPT RELATION
bpm
11〔工120 130 14D 150 160 170 180 190 2〔〕O
LAT(HR)
図 3
● 1
◆ II
■ III
3.3〜20.4倍(平均7.9倍),1.1〜11.8倍(平均4.6倍)
に増加した.負荷後3分での血中NEP値は,負荷終了 直後と比して平均55%の減少であり,安静時の平均3.5 倍まで回復していた.負荷後3分の血中EP値は,負荷 終了直後と比べ平均65%の減少であり,安静時の平均 1.3倍まで回復していた.
一方静脈血中乳酸値は負荷終了直後に安静時の 2.0〜20.5倍(平均6.4倍)に増加した.77%の例では 負荷直後から負荷後3分にさらに上昇した.負荷直後 と比べると平均37%の上昇であった.
考 察
動的運動時の乳酸値の変化に関しては,既に多くの 知見が得られている1)2)6).一方血中ノルエピネフリン
値は軽度の運動ではほとんど無変化か,わずかに上昇 し,中等度以上(最大酸素摂取量の約70%以上)の運 動で急激に上昇するとされる3)〜5)9)12).血中エピネフリ ン値は高度ないし長時間の運動時にのみ上昇すると報 告されている9)〜11).Lehmannらは,血中ノルエピネフ リン値の変化は乳酸値の変動に類似していることを報 告した3).さらにMazzeoらは高度に訓練された自転 車競技者とクロスカントリー走者を対象に,血中カテ
コラミンの変曲点と乳酸閾値は有意の相関関係がある ことを示した4).しかし若年者での検討は著者らの知 る限りみられない.今回著者らの若年者における検討 でも,血中乳酸値とノルエピネフリソ値は非常に類似 した変化を示した.若年者においても乳酸閾値を越え る運動では,交感神経系の活性も高まっている可能性 を示唆し,興味深い.これは一種の適応反応と考えら れるが,心疾患患者ではカテコラミンの上昇やアシ
ドーシスの進行が好ましくない場合がある.心筋梗塞 後のリハビリテーションでは嫌気性代謝閾値レベル以 下の運動処方がなされることが推奨されている13)が,
交感神経系活性の点からも理にかなっている.小児領 域でも先天性心疾患患者の術後や川崎病心筋梗塞既往 者などに対して,今後運動処方をする機会が増加する
と思われ,より適切な指導をするには,循環系の異常 のみならず,代謝系,交感神経系活動にまで配慮して おく必要があろう.
従来の報告では乳酸閾値は,性,年齢,体格により,
個人差が認められる.小児では成人に比べ,乳酸閾値 が高いレベルで現れるとされる.本研究ではノルエピ
262−(30) 日本小児循環器学会雑誌 第8巻 第2号 表3 各ステージでの乳酸,ノルエピネフリン,エピネフリン値
1 群 II 群 III群 全 体
安静時
LA NEP
EP8.9±2.9 0.162±0.056 0.063±0.038
92±1.1 0.270±0.082 0.057±0.039
9.0±3.1 0.177±0.047 0.040±0.021
9.0±2.7 0.188±0.072 0.053±0.034
STAGE 1
LA NEP
EP9.0±2.6 0.223±0.103 0.042±0.030
9.5±1.4 0.327±0.075 0.049±0.047
10.3±4.3 0.316±0.102*
0.033±0.018
9.7±3.3 0.280±0.110 0.041±0.032
STAGE 2
LA NEP
EP13.7±4.5 0.320±0.168 0.071±0.048
12.4±3.0 0.398±0.099 0.075±0.062
15.1±7.4 0.476±0.206*
0.057±0.040
14.2±5.7 0.394±0.187 0.068±0.050
STAGE 3
LA NEP
EP(24例)
25.6±8.6 0.529±0.216 0.121±0,080
32.8±20.8 0.809±0.288 0.199±0.203
29.0±10.6 1.077±0.553*
0.106±0.095
28.7±13、0 0.783±0.466 0.132±0.125 負荷直後
LA NEP
EP55.5±19.3 L252±0.564 0.210±0.110
41.5±17.4 1.242±0,703 0.312±0.448
45,6±19.9 L554±0.531 0.150±0.139
48.4±19.7 1.357±0.599 0.209±0.237
負荷後3分 LA (29例)
NEP(22例)
EP (22例)
64.2±22.1 0.616±0.224 0.070±0.037
55.5±20.2 0,571±0.361 0。104±0.113
63.1±19.0 0.761±0.354 0.041±0.023
62.8±20.6 0.643±0,318 0.075±0.072
*1群vs III群 p<O.05
ネフリン,乳酸の変曲点での心拍数は,体重と弱い逆 相関を認め,変曲点までの負荷時間と運動耐容時間と は正相関があった.ノルエピネフリンの変曲点も乳酸 閾値と同様,体格,運動能に影響されると考えられた.
しかし本研究では症例が少なく,心疾患の既往者が多 いため,個人差を来す原因に関しては,今後健常例を 増やし,検討する必要がある.
Mazzeoらの報告4)では,エピネフリソもノルエピネ フリン同様,乳酸閾値と有意の相関があったとしてい るが,本研究でのエピネフリン値は,約半数で変曲点 そのものが認められなかった.この相違をきたす原因 は明らかではない.山口ら14)もエピネフリン値の上昇 を認めており,成人と若年者での相違の可能性もある.
またエピネフリンは高度の運動でのみ上昇するといわ れるように,Mazzeoらの対象が優れたスポーッ選手 であったことも考慮しなければならない.すなわちエ ピネフリンが上昇するまでの高度な運動が可能で,し
かも乳酸閾値が高いレベルにあったために,両者が一 致した可能性が考えられる.
ファロー四徴症開心術後患者では,多くの報告者が 本研究同様,運動中の心拍数上昇不良を指摘してい る15)16)が,原因は明らかにされていない.本研究ではそ の原因として運動時の交感神経活動を血中カテコラミ ン値から検討した.ファロー四徴症開心術後患者では 運動に伴う血中ノルエピネフリン値の上昇が健常群と 比較して,早期から生じている.これは心不全患者の 反応に似ている5)14)が,心不全患者では負荷終了時の 血中カテコラミン値は健常者より低値である5)14)のに 対し,ファロー四徴症開心術後患者では有意差が認め
られなかった.本研究からは最大負荷時において血中 カテコラミン値からみた交感神経活動には差がなく,
刺激伝導系を含めた心血管系の交感神経刺激に対する 反応性低下の可能性が示唆され,今後の検討課題と考
えられた.
本研究ではMazzeoら4)と同様,乳酸値,カテコラミ ン値を静脈血採血で求めた.これは小児では動脈血採 血が困難であるためである.乳酸値に関しての研究で は動脈血採血が多く,静脈での乳酸値の上昇は動脈に 比して遅れるといわれる17}.静脈血で乳酸閾値を求め た他の報告同様18)19),本研究でも1例を除き,変曲点を 確定出来た.したがって乳酸値の変化を調べる場合,
採血部位を明記すれぽ,静脈血乳酸閾値も運動時の指 標に成り得ると考えられた.
一方ノルエピネフリン値は運動時は動脈血の方が静 脈血に比べ,高値であるという12).Euler2°)は全身のノ ルエピネフリソ分泌を調べるのには,動脈血の採血が 望ましいとしている.しかし全身が交感神経緊張状態
にある場合の両者の相関は良いと考えられてお
り20)21),トレッドミルの様な全身性の運動の場合,多く の報告同様,静脈血ノルエピネフリン値での変化をみ ることは妥当であると考えられた.
おわりに
若年者における多段階運動負荷時の血中乳酸値とノ ルエピネフリソ値を調べた.両者は,ある負荷強度を 越えると急激に上昇する類似した変化を示した.乳酸 閾値を越えるような運動では交感神経系活動が高度に 働いていることに留意する必要があると考えられた.
またファPt一四徴症開心術後患者では運動中の交感神 経活動は正常であるが,反応性が低下している可能性 が示唆された.
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The Relation between Lactate Threshold and Plasma Catecholamines During
Graded Exercise
Susumu Minamisawa, Ichiro Niimura, Toshimitsu Shibata, Kazuhiro Mashimo,
Kiyoshi Yasui and Hirohide Kobayashi Department of Pediatrics, Yokohama City University
To examine the relation between anaerobic threshold and plasma catecholamines during exercise,
agraded treadmill exercise testing was performed in thirty children or adolescences(16 boys,14girls,
6−19years old)using Bruce protocol. We measured venous lactate and catecholamines before exercise, every ninety seconds during exercise, and immediately and three minutes after exercise.
The results were as follows:
1) The levels of plasma lactate and norepinephrine in venous blood showed a little increase during mild exercise, whereas both levels demonstrated abrupt increases near the points of anaerobic threshold in all cases except one.
Plasma epinephrine increased in a similar pattern to that of norepinephrine levels in 16 cases
(53%).Fourteen cases(47%)did not show a marked epinephrine threshold.
2)The onset of nonlinear increment of plasma lactate coincided with that of plasma nor・
epinephrine in 14 cases(47%). A close correlation was recognized between heart rates at the onset of abrupt increase of plasma lactate and plasma norepinephrine levels(r=0.75, p<0.01).
We concluded that a close relationship existed between the lactate threshold and the level of plasma norepinephrine. .
The present study suggested that the sympathetic activity was acutely increasing beyond lactate threshold.