Title 低酸素負荷における神経細胞内カルシウム濃度変化に対する一酸化窒素のおよぼす影響( はしがき ) Author(s) 安藤, 隆 Report No. 平成6年度-平成8年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)(2) 課題番号06671381) 研究成果報告書 Issue Date 1996 Type 研究報告書 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/229 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
D.研究成果 ラット海馬スライスを用いて海馬CAl錐体細胞内カルシウムイオ ン濃度の経時的変化を測定するモデルを作成し、低酸素無グルコー ス負荷やNMDAに対する細胞内カルシウムイオン濃度変化及び各 負荷に対する低温や各薬剤における変化について検討した。 1)低酸素無グルコース負荷により細胞内カルシウムイオン濃度は 一定の潜時の後急激で過剰な持続的上昇を認めたが抑制されたこと により神経細胞死の一因として細胞内カルシウムイオン濃度の過剰 な上昇が推察された。細胞障害作用を有するMDAを含む人工脳脊 髄液で潅流すると、細胞内カルシウムイオン濃度の一過性上昇がみ られたことより、興奮性伝達物質の細胞内カルシウムイオン濃度上 昇との関連が示唆され、またNMDAによる細胞内カルシウムイオン 濃度の上昇は興奮性伝達物質の受容体を示していると考えられ、海 馬スライスによる実験で経時的変化やさらに受容体の分布を推察す ることも可能と思われた。 2)10分負荷後の再潅流で細胞内カルシウムイオン濃度は急激に安 静時まで下降したのに対して、15分負荷後再潅流では安静時までの 下降はみられなかった。また潅流液の温度を310Cに下げると15分 負荷後再潅流でも急激に安静時まで下降した。過剰な細胞内カルシ ウムイオン濃度上昇の持続時間が長いほど、再潅流後の細胞内カル シウムイオン濃度の安静時までの回復が見られなかったことより細 胞内カルシウムイオンの過剰な上昇時間と細胞障害との関連が推察 された。 3)ある程度の保護効果が報告されている低温やチオペンタールは、 細胞内カルシウムイオンの過剰な上昇を抑制することはできなかっ たが、、過剰な上昇を遅延させる作用がみられた。 4)NO様作用を有するSNPは、NMDAによる細胞内カルシウムイ オン濃度の上昇を濃度依存性に抑制したが、SNPの100倍NO様作 用を有するとされるSNAPや括抗性抑制剤であるL一肌の前投与 は細胞内カルシウムイオン濃度の上昇を抑制しなかった。このこと により、SNPの細胞内カルシウムイオン流入抑制作用は、NOを介 さない別の機序が推測され、NO様物質としてSNPを用いることに は注意が必要と思われた。