インプラント初期固定の術前予測に関する研究
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(2) 区分. 甲. 乙. 論文題目. インプラント初期固定の術前予測に関する研究. 論. 文. 氏. 名. 内. 容. 帆鷲. の. 要. 美織. 旨. インプラント治療の成功の可否は,インプラント埋入時の初期固定に大きな影響を受けるといわれてい る.過去の研究から,インプラント埋入部位の骨密度が低い場合には適切な初期固定が得られず,その 結 果,インプラントの生存率が低下することが報告されている.教室の先行研究(Isoda et al. 2011)におい ても,Cone-beam CT を用いて評価したインプラントの埋入予定部位の周囲骨の骨密度と初期固定値との 間には相関があり,術前の骨密度評価からインプラントの初期固定値を予測できることが示唆された.し かし,実際には様々なインプラントデザインや術式が用いられており,術者の主観的な骨密度の評価や手 指の感覚によって,治療プロトコールを選択しているケースがほとんどである. そこで本研究の目的は,客観的な方法で求めた骨密度を基に,インプラントの適切な初期固定を獲得す るための治療プロトコールを選択するための指標をつくることとした.そのために,Helical CT を用いて, インプラント埋入予定部位の CT 値を,またノギスを用いて皮質骨の厚さを評価し,インプラントデザイ ンや術式の違いによる初期固定への影響を検討した. 解析 1では,骨密 度および 皮質骨の厚さ と初期固 定(最大埋入 トルク値 , ISQ[Implant Stability Quotient],最大除去トルク値)との関係について,異なるインプラントデザイン間で比較 した.ストレ ートインプラント(S-S 群)とテーパーインプラント(T-S 群)を用いて,それぞれの推奨ドリルプロト コール通りにインプラントを埋入し,両者を比較した.さらに,解析2,解析3では,術式の違いによる 比較を行った.解析2では,テーパーインプラントを用いてインプラントと同じ幅径の埋入窩を形成する 術式(T-S 群)と,テーパードリルを用いてインプラントより小さい幅径の埋入窩を形成するアダプテー ションテクニック(T-At 群)とを比較した.解析3では,ストレートドリルによるアダプテーションテク ニック(T-As 群)を,解析2の T-S 群と比較した. その結果, S-S 群,T-S 群,T-At 群,T-As 群のすべてにおいて,埋入予定部位の周囲骨の CT 値(皮 質骨+海綿骨)と各初期固定値間に強い相関がみられた.しかし,皮質骨の厚さについては,T-S 群では, 一部の初期固定値(最大埋入トルク値,ISQ)との間に有意な相関が,T-At 群では,最大埋入トルク値と の間にのみ弱い相関がみられたのに対し,S-S 群,T-As 群では相関がみられなかった.これらの結果から, 術前の CT 値(皮質骨+海綿骨)を用いて算出した骨密度により,インプラント埋入時の初期固定を推測 できる可能性が示唆された..
(3) また,回帰分析の結果,S-S 群,T-S 群,T-At 群,T-As 群のすべてに,周囲骨の CT 値と各初期固定値 間に有意な直線関係が認められた.したがって,術前の CT 値から,回帰直線式を用いて初期固定値を予 測できることが示唆された.さらに,一般的に CT 値が低く適切な初期固定を得にくい部位とされるヒト の上顎大臼歯部の平均 CT 値である 200~400 HU の範囲について, 初期固定の推定値を算出し比較した結 果,解析1では,メーカー推奨ドリルプロトコール通りに埋入窩を形成した場合,テーパーインプラント はストレートインプラントよりも初期固定値を増大させることが示された.また,解析2,3より,CT 値が低い骨では,テーパーインプラントを用いてインプラントと同じ幅径の埋入窩を形成する術式( T-S 群)と比較した場合,テーパードリル,およびストレートドリルを用いたアダプテーションテクニック(T-At 群,T-As 群)の方が初期固定を増大させることを,術前に評価した CT 値から予測することができた。 以上より,異なるインプラントデザイン・術式において,埋入予定部位の CT 値から初期固定値を予測 し,比較することで,インプラント治療プロトコール選択の一助になることが示唆された..
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