神 奈川大学大学 院経営学研究科 F研究年報』 第9号
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年3月1 3 1
『 修士論文要 旨
中国の自 動車市場と 外国自 動車メ ーカ ーの中国戦略車の問題点に関する 研究
TheRe s e a r c ho fl s s u e si nChi na ‑ SAu t o mo b i l eMa r ke ta n di nt heSt r a t e gi cMo d e l f o rChi naMa r ke t s l n t r o d u c e db yFo r e i gnAu t oMa n u f a c t u r e r s
神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程
劉 亦 陽
Yi y a n guu
■キーワー ド
中国市場、 自動車 メーカー、 自動車市場、生産 システム、マーケテ イング
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年 のWT
O加盟 の実現 によって、 中国の 自 動車市場が一気に活気づいてきた。 そ して外国 自 動車 メーカー各社による市場争奪戦の幕が開かれ、大競争の時代 に突入 してきた。かつての売 り手市 場か らやがて買い手市場へ と移行 しは じめた。 そ のため、技術や品質など製品自体にのみ競争優位 を求めていた自動車 メーカー各社は、次第に顧客 価値 の創出 と増強に競争優位 を求めるマーケテ イ ングに視点 を移 しつつ あり、高い技術力のみな ら ずマーケテ イングとい う総合戦力に競争の勝利 を かけていることになっている。
特 に市場 開放 されてか らわず か二十 数年 しか 経 ってい ない中国 において、 どの よ うなマ ーケ テイングを展開 してい くかは、中国に進 出 してい る外国自動車 メーカー各社にとって新 たな課題 と なるもの といえる。その理由 としては、①中国 自 動車市場の不安定 さ、⑦中国自動車市場の新 しさ、
③ 自動車購買行動における中国文化の影響 とい う 文化認識研究の新 しさの三つが挙 げ られ る。その ため、成長期 に入 った中国自動車市場で競 うどの
外国自動車 メーカーにとって も、今の中国自動車 市場でのマーケテ イング展開はまだまだ探索の段 階に過 ぎず、新たに重要 な課題 となっているわけ である。
中国自動車市場でマーケテ イング展 開の重要性 の高 ま りを理解 した上で、本論文では、 コ トラー の刺激一反応 モデルに基いて、消費者の購買意思 決定 に影響 を及ぼす要素 を分析 した。具体的には、
中国の自動車市場環境や自動車 マーケテ イング環 境、外国 自動車 メーカー各社によるマーケテ イン
グ、中国消 費者の特性 などである。
まず、第一章では、中国 自動車市場の現状 につ いて述べている
。5 0
年余 りを歩んで きた中国自動 車産業 は、最近の十数年間において著 しい成長 を 収 めた。2 0 0 3
年 に 自動車総生産 台数4 4 5
万 台、 う ち乗用車 は2 0 2
万 台で、 アメ リカ、 日本、ドイツ に次 ぎ世界第4
位 となってお り、総販売台数は4 3 9
万台、 アメ リカ と日本 に次 いで世界第3
位 となっ ている。 そ して、中国国家統計局の統計によると、電子 ・情報産業 と電力産業、鉄鋼業、化学工業 に
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続 き、史上初めて中国の工業 を支 える五つ 目の柱 となった。
次の第二章 は、中国 自動車市場環境 に関す る内 容 である。主 に道路整備問題や駐車問題、環境汚 染問題、資源エネルギー問題 などのような自動車 普及に影響や制約 を与 える要素 について述べてみ た。 この中に、環境汚染や資源エネルギー問題は 近年世界 に注 目され ることになった。巨大 な利益 が もた らされ る魅力的な市場であると同時に、地 球環境 と世界の経済 を脅かす存在に もなっている。
このよ うな問題の解決は、中国にとって も外国自 動車 メーカー各社 にとって も、将来へ とつ ながる 持続的な経済発展の前提である。
そ して第三章では、 自動車 メーカー各社のマー ケテ イング ・マネジメ ン ト能力に影響 を及ぼす中 国のマーケテ イング環境について述べている。 こ の章では、マーケテ イング環境の中のマクロ環境、
とくに政治 ・法的環境 と文化的環境 を注 目してい る。10年ぶ りに改正 された中国 「自動車産業発展 政策」 による自動車市場への影響 は如何 になるか、
それに今 まで多少見落 とされた中国文化による車 購買 と消費に与 え得 る影響 などを分析 してみた。
少数 の メーカーを除 いて、 中国国 内の 自動車 メーカ ーはほ とん ど自動車先進 国の 自動車 メー カーと組んで事業 を展開 している。それゆえに生 産 している自動車 もほ とんど外国側 に提供 され る モデルである。中国の消費者のニーズに応 えるた めに地場の事情 に合 わせて、マイナーチ ェンジや モデル改良など、 さまざまな工夫 を加 えた。 しか し、 これ らの工夫は決 してすべてが合理 的とはい えない。第四章では、ボデ ィータイプとモデル改 良、 ブラン ドのネー ミング三つの角度 か ら各社の
"中国戦略車"にある問題点 を分析 してみ た。
最後の第五章では、 日系 自動車 メーカーの課題 について述べた。近年、中国 と日本の政治関係の 冷 え込みによる中国国民の対 日感情 は悪化 してい く一方 であ り、それによる影響が自動車市場 に も 及 んで しまってい る。 この章 で は2003年末 に起 こった 「トヨタ広告事件」の経緯や原 因を紹介 し、
この事件 を通 じて外国 自動車 メーカー、 とくに 日
系メーカ‑に何 らかの啓示 が もた らせ るかを分析 してみた。 また、古 くか らある問題に新 しい変化 が見 えた知的財産権問題 に も注 目した。
中国 自動車市場への製品導入の難 しさは、単純 に中国の市場環境やマーケテ イング環境、中国文 化、消費者の購買行動 が他国 と異 なってい ること だけではない。中国 自動車産業発展の遅れによっ て、外国 との大 きな格差 があるとい うこともその 要因のひ とつである。 その格差の大 きさと追い上 げをはか る中国自動車産業の成長の速 さ、そ して それに伴 う消費者の 自動車購買 に対する信念や態 度、経験 などの変化の速 さに外国自動車 メーカー 各社 は悩 まされている。特 に一般家庭向 きの小型 車 には、 この間題がよ り尖鋭に現れているといえ る。 そこにおける製品の導入モデルの選択やマイ ナーチェンジの実施 が適切かつ効果的に行われて いけば、中国消 費者 を喜ばせ ることにつ ながるわ けであ り、成果 が上 げ られれば中国マイカー市場 の市場拡大 とさらなる需要獲得 とにつなげてい く ことが期待で きる。。
中国で市場展 開 してい る外国 自動車 メーカ‑各 社は、様 々な局面 において急激 な市場変化が進展 す る中、実に広範 な課題 を抱 えている。中国の自 動車市場では、かつての低 コス ト高収益の時代 は すでに過 ぎて しまった。今後、外国自動車 メーカー 各社がどのよ うな経営方針 を示 しどのようなマー ケテ ィング戦略 を展開 して中国 自動車市場での大 競争 を制す るか、興味深い ところである。