院42期 副修士論文題目・修士論文要旨
雑誌名 学芸地理
号 65
ページ 85‑86
発行年 2010‑12‑24
その他の言語のタイ トル
Abstracts of Master's Theses, 2009
URL http://hdl.handle.net/2309/110331
-23- 学 会 記 事
院 42 期 副修士論文題目
2010 年3月卒業
青柳 典子: 生涯学習活動の特徴と「自地域学」学習プログラム案の提案-東京都小金 井市を事例に-
和泉 光 : 地理教育における日系移民学習導入の提案
近代期のガイドブックにみる観光地「横浜」の 地域的特徴
青柳 典子
本研究は近代期の横浜を対象とし,ガイド ブックに取りあげられた場所・施設の特徴やガ イドブックでの記述内容を分析することによっ て,ガイドブックからみる近代期の観光地「横 浜」の地域的特徴を明らかにすることを目的と した.近代期のガイドブックに描かれた観光地「横 浜」の場所・施設は,近代期を通して開港場と なった波止場周辺に多く分布していた.また,
それらは主に「開港~明治期」に開設された場 所・施設や,「近代的建造物・施設等」,「通り・
街」といった性格をもつ場所・施設であった.
近代期を通してみられた記述内容の特徴とし ては,「近代的建造物・施設等」が「壮大さ・
壮麗さ」で表現されていたことであった.なか でも,工場などの産業施設が観光対象とされ賛 美する表現で記述されていたことは特筆すべき 点である.これらの背景には,ガイドブックの 作成者や同時代の日本人の欧米や欧米文化への あこがれがあったと考えられる.
変化した記述内容の特徴は,以下のとおりで ある.観光地「横浜」全体の記述では明治期に「に
ぎやかさ」が多くみられたのに対し,昭和戦前 期では異国性や国際性を表す「独特さ」が最も 多かった.一方,波止場周辺の各場所・施設では,
明治期に「にぎやかさ」が多く描かれていたの に対し,昭和戦前期の「独特さ」は限られた場所・
施設のみで描かれていた.そのような記述の変 化の背景には,関東大震災や昭和恐慌による外 国人の減少や産業・貿易の停滞によって「にぎ やかさ」の記述が減少したこととともに,1920 年代以降の他の観光地の台頭による観光地「横 浜」独自の地域的個性への追求があったと考え られる.
一方,現在の観光地「横浜」では,近代期と は異なる場所・施設が観光対象とされ,中華街 や近代遺産に対して新たなイメージが付与され ている.観光地「横浜」は,開港以降,欧米人 や欧米文化受容の窓口としての役割を果たした 波止場周辺の場所・施設が中心的な観光対象と 位置づけられ,実態やイメージの変化を経つつ も,現在まで都市観光地としての地位を築いて きたといえる.
院 42 期 修士論文要旨
2010 年3月修了
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学 芸 地 理 第 65 号 (2010)
東北地方北部における葉たばこ農家の経営規模 の大規模化と持続性
和泉 光
第二次世界大戦後,わが国のたばこ産業をめ ぐる環境は,時代とともにめまぐるしく変化し ている.葉たばこ栽培は社会的,経済的な要因 を背景として衰退の一途を辿ってきた.また,これに伴い,葉たばこ産地の立地も時代ととも に大きく変化している.葉たばこ産地について の地理学的研究は,横田 (1962,1972) をはじ め,1970 年代まで日本各地で盛んに行われた が,それ以前や現在の葉たばこ産地の立地や展 開,葉たばこ栽培農家の経営形態や課題に関し て論じたものは少ない.そこで本研究では,特 に日本専売公社が民営化後の 1980 年代以降の 我が国における葉たばこ産地の分布を概観し,
現在の主要産地である青森県三戸郡三戸町にお ける農業経営の変化と持続性を明らかにするこ とを目的とした.
まず,戦後のわが国の葉たばこ栽培の動向を みると,葉たばこ栽培は社会的背景のもとで生 産量は大きく変動し,農家にとってはきわめて 不安定な農家経営が強いられ,全国的に離農が 相次いだ.2008 年現在では,葉たばこ産地は 東北地方北部,九州地方,島嶼部に集中してい る.葉たばこ産地の特色をみると,東北地方北 部と九州地方では,農家の経営規模の拡大がみ られる.しかし,葉たばこの共同生産と複合経
営を中心に大規模化を実現した九州地方に対し て,東北地方では個別農家が他の産業を淘汰す る形での大規模化が進展した.その結果,東北 地方北部の葉たばこ産地では,地域の産業が単 一化し,農家のみならず,地域全体が葉たばこ 栽培に依存するようになった.研究対象地域で ある三戸町は,まさにこうした葉たばこ栽培に 依存する地域の典型である.
三戸町では,更なる規模拡大と作業の省力化 を目指した農業経営が行われている.その中で,
JT の効率的な経営によってある程度の成果を 出すことができているが,今後の更なる安定し た経営のためには克服すべき課題が山積してい る.その多くは,個別農家および行政によって 解決されるべき問題であり,葉たばこ栽培農家 は今後より一層の経営対応が求められる.
山梨県富士吉田産地における機屋の経営革新と 革新的風土
小俣 秀雄
(※本号の学会記事 p.92 を参照のこと)
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