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日本語版IPANAT 作成の試み

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Academic year: 2021

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(1)

感情研究の進展に伴い,感情や気分を測定するため の様々な尺度が開発され,多くの研究で用いられてき た。これら自己報告型の感情尺度は,生理指標などに よる感情測定とは異なり,特別な実験器具を必要とせ ず,紙とペンのみで容易に感情を測定できること,快 ―不快のみならず,抑うつなどの特定の感情状態につ いても測定することができるといった利点がある。し かし,回答者の社会的望ましさ傾向や要求特性などの 影響によって,回答者が意識的に回答を歪めてしまう 可能性があり,そうした要因の影響が予測される状況 下での感情測定には適さないという問題がある。 近年,Quirin, Kazén, & Kuhl(2009a)によって開発 された Implicit Positive and Negative Affect Test(IPANAT) は,こうした回答者の意識的歪曲の影響を受けず,紙 とペンのみで容易に感情測定が可能な測度である。 IPANAT では,回答者の本来の感情を無意味綴りに反 映させる手法を用いて感情測定を行う。すなわち,“人 工的に様々な気分を表わすように作成された単語”と 称された無意味綴りを回答者に提示し,それらがどの ような気分を表わすものであるのかを評定させること で,間接的に感情を測定するのである。具体的には,  種類の無意味綴り(SAFME, VIKES, TUNBA, TALEP, BELNI, SUKOV)に対し, 項目の感情語(ポジティ ブ感情語 3 項目:“happy”, “cheerful”,“energetic”; ネ ガティブ感情語 3 項目:“helpless”,“tense”,“inhibited”) をセットにした計 3 項目で構成された測度を用いて, それぞれの単語(無意味綴り)がどのような気分を表 わすのかを,“1. 全くあてはまらない”から“4. とて もあてはまる”までの 4 件法で評定する。IPANAT で

日本語版 IPANAT 作成の試み

1

下田  俊介

2 

大久保  暢俊

 

小林  麻衣

 

佐藤  重隆

 東洋大学 

北村  英哉

 関西大学

An attempt to construct a Japanese version of the Implicit Positive and Negative Affect Test (IPANAT) Shunsuke Shimoda, Nobutoshi Okubo, Mai Kobayashi, Shigetaka Sato (Toyo University),

and Hideya Kitamura (Kansai University)

The Implicit Positive and Negative Affect Test (IPANAT) is an instrument for the indirect assessment of positive and negative affect. A Japanese version of the IPANAT was developed and its reliability and validity were examined. In Study 1, factor analysis identified two independent factors that could be interpreted as implicit positive and negative affect, which corresponded to the original version. The Japanese IPANAT also had sufficient internal consistency and acceptable test–retest reliability. In Study 2, we demonstrated that the Japanese IPANAT was associated with explicit state affect (e.g., PANAS), extraversion, and neuroticism, which indicated its adequate construct validity. In Study 3, we examined the extent to which the Japanese IPANAT was sensitive to changes in affect by assessing a set of IPANAT items after the presentation of positive, negative, or neutral photographs. The results indicated that the Japanese IPANAT was sufficiently sensitive to changes in affect resulting from affective stimuli. Taken together, these studies suggest that the Japanese version of the IPANAT is a useful instrument for the indirect assessment of positive and negative affect. Key words: implicit affect, indirect assessment, Implicit Positive and Negative Affect Test (IPANAT), positive affect, negative affect.

The Japanese Journal of Psychology

J-STAGE Advanced published date: July 1, 2014 Correspondence concerning this article should be sent to: Shunsuke Shimoda, Institute of Human Sciences, Toyo University, Hakusan, Bunkyo-ku, Tokyo 112-80, Japan(e-mail: shimoda.s.re@gmail. com) 1 日本語版作成にあたり,原著者の許可を得た。本論文の研 究結果の一部は日本社会心理学会第 3 回大会で発表された。 2 日本語版作成の許可と本研究に有益なコメントをいただき ました Markus Quirin 先生(University of Osnabrück)に,記して 感謝申し上げます。また,研究 3 の実験実施にあたり,昭和女 子大学人間社会学部の藤島 喜嗣先生に多大なご協力をいただき ました。記して感謝申し上げます。

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評定された得点は,2 段階を経て得点化される。まず, 各無意味綴りに対する  種類の感情語の個人内平均値 を算出することで,感情語得点が算出される。例えば, “happy”の感情語得点は,六つの各無意味綴りに対す る“happy”評定値の個人内平均値で求められる。次に, 算出された感情語得点をポジティブ,ネガティブの感 情価別に個人内平均値を算出することで,ポジティブ 感情得点(“happy”,“cheerful”,“energetic”の感情語 得点の平均値:IPANAT positive affect),ネガティブ感 情得点(“helpless”,“tense”,“inhibited”の感情語得 点の平均値:IPANAT negative affect)が算出される。 このように,IPANAT は回答者の本来の感情を異なる 対象(無意味綴り)に反映させる手法を用いることで, 従来の自己報告型の感情尺度で問題となる回答の意識 的な歪みの影響を排除した測定を可能としているので ある。 IPANAT で測定された感情は,状態的感情と特性的 感 情 を 反 映 し て い る と 考 え ら れ て い る。Quirin et al.(2009a)は,自己報告型の感情尺度と IPANAT で の感情測定の違いについて Figure 1 のように図式化し ている。Figure 1 の下部で示されているように,個人 内および環境からの刺激によって活性化される状態的 な潜在的感情(状態的感情)と,慢性的なアクセスし やすさとして活性化される特性的な潜在的感情(特性 的感情)の二つの様相が存在する。これらの潜在的感 情は,回答者の信念や社会的望ましさなどの様々な認 知,動機づけ要因による影響を受けた結果,自己報告 の形で表明される(Figure 1 の経験的アクセスのルー ト)。このように,従来の自己報告型の感情尺度を用 いた感情測定では,回答への意識的な歪みの影響を受 けるのである。それに対し,IPANAT では,感情測定 という本来の目的を回答者に意識させずに,無意味綴 りに対して潜在的な感情を反映させる方法を用いるた め,認知,動機づけ要因の影響を受けずに,感情を測 定することができると考えられている(Figure 1 の感 情プライミングのルート)。なお,IPANAT での感情 測定において,無意味綴りに対する主観的連合の度合 いは,誤差である。例えば,“SEMOW”という綴りは, 基本的に多くの人々にとっては,無意味な文字の並び であり,他の事物との連合の度合いが低いかもしれな い。しかし,ある特定の人々(例えば,社会心理学者) に は,“ 構 造 方 程 式 モ デ リ ン グ(Structural Equation Modeling: SEM)”と連合しやすいかもしれないし,他 の特定の人々(例えば,医学,生物学者)には,“走 査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)” と連合しやすいかもしれない。このように,個人は経 慢性的なアクセシビリティ (特性) 状況手がかり (状態) 潜在的感情 感情の前概念的表象 (ポジティブ,ネガティブ) 自己報告による感情測定 活性化 IPANATでの無意味綴りの評定 認知要因: 信念,内省,感情と関連 した情報へのアクセシビ リティ 動機づけ要因: 社会的望ましさ,自己呈示, 抑圧,認知的一貫性,など 無意味綴りに対する 主観的連合 経験的アクセス 感情プライミング Figure 1. IPANAT による潜在感情測定のモデル(Quirin, et al., 2009a, p.01, Figure 1 を基に作成)

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験的に,特定の文字の並びに対して,特定の事物と連 合しやすい場合がある。そのような連合のしやすさが, 主観的連合の度合いである。ある個人が IPANAT で用 いられている特定の無意味綴りに対し,主観的連合の 度合いが高かった場合,その無意味綴りに対する感情 の反映を妨害する可能性がある。このように,無意味 綴りに対する主観的連合の度合いが,誤差として想定 される。以上のように,IPANAT で測定された得点は, 状態的感情,特性的感情,および,無意味綴りに対す る主観的連合(誤差)を反映していると想定されるの である3 Quirin らの一連の研究において,IPANAT の信頼性, 妥当性が確認されている(Quirin et al., 2009a; Quirin, Kazén, Rohrmann, & Kuhl, 2009b)。 例 え ば,Quirin et al.(2009a) の Study 1 で は, 再 検 査 法 に よ っ て IPANAT の信頼性を検討した結果,内的一貫性,再検 査信頼性は,十分な値を示していた。また,IPANAT と自己報告型の尺度で測定された顕在的感情状態や, 感情と関連する特性(例えば,外向性,情緒不安定性) との関係を検討した研究において,基準関連妥当性が 検討されている(Quirin et al., 2009a)。さらに,実験 操作(画像提示)による気分誘導後の IPANAT の測定 (Quirin et al., 2009a)や,生理指標(コルチゾール) と の 関 連(Quirin et al., 2009b) な ど が 検 討 さ れ, IPANAT の妥当性が確認されている。このように, IPANAT は,従来の自己報告型の感情尺度との相関を 示しつつ,認知,動機づけ要因の影響を受けない測度 との関連も示されている。 以上のように,IPANAT は紙とペンのみで容易かつ 短時間に感情を測定でき,従来の自己報告型の感情尺 度で問題となるような回答の意識的歪曲の影響を受け ない測度である。こうした測度は感情研究の更なる発 展に貢献するものであると考えられる。そのため, IPANAT の日本語版を作成し,日本での感情関連の研 究で用いられることは非常に有用であると考えられ る。 これに関し,及川・及川(2012)は,感情抑制が後 の感情状態に及ぼす影響について自覚される顕在レベ ルと自覚されない潜在レベルから検討し,自覚されな い潜在レベルの測定として IPANAT を用いた検討を 行っている。及川・及川(2012)は,オリジナル版(Quirin et al., 2009a)のアルファベットの無意味綴りを使用し, 3 IPANAT の測定結果は,状態的感情と特性的感情の両方を反 映しており,測定の性質上,それらを明確に区別することがで きない。ある程度区別する方法として,Quirin et al.(2009a)は, 同一対象者に一定の時間間隔をあけて 2 回測定することを提案 している。2 回の測定結果の個人内平均値は,特性的要素をより 反映していると考えられる。また,実験操作後の状態的感情を 測定する場合,実験操作を行っていない測定時の得点で統制す ることでより状態的要素を捉えることができる。 感情語として,“楽しい”,“嬉しい”,“幸せな”,“憂 うつな”,“不愉快な”,“悲しい”を用いた。 その結果, 事前に想起した感情的出来事について感情抑制するよ うに求められた参加者は,抑制を求められなかった参 加者と比べ,顕在感情尺度では,事前に想起した感情 的出来事と一致した気分状態が報告されなかったが, IPANAT による測定では,感情抑制の有無にかかわら ず,一致した気分状態が示されている。この結果は日 本でも IPANAT を用いた検討が有効であることを示唆 する知見の一つである。しかし,及川・及川(2012) は IPANAT の日本語版の作成自体を目的としたもので はないため,その因子構造や信頼性,妥当性の検討は 行われていない。 IPANAT の日本語版作成を試みた研究として,下田・ 小林・佐藤・大久保・北村(2010)がある。下田らは, ひらがなで作成された無意味綴りと感情語(“楽しい”, “喜び”,“幸せ”,“不安”,“悲しい”,“不愉快”)を組 み合わせた日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を 検討した。その結果,IPANAT で測定されたポジティ ブ,ネガティブ感情と基準変数(顕在感情尺度)との 間にある程度予測された関連がみられた。しかし,オ リジナル版とは異なり,IPANAT のポジティブ感情と ネガティブ感情の間に正の相関がみられた。オリジナ ル版では,そのような相関はみられておらず,直交構 造であることが示唆されている。この問題に対処する ため,無意味綴りの追加や教示の変更などの修正を行 い再度検討しているものの,一貫して正の相関関係が みられている。下田他(2010)の日本語版は,オリジ ナル版とは感情語が異なるなどの幾分の変更が加えら れている。そのため,オリジナル版との結果の違いが 文化的なものであるのか,測度自体の問題であるのか を検討することが困難である。このような結果の違い を検討するためには,なるべくオリジナル版に忠実な 日本語版を作成する必要があると考えられる。 以上のように,日本でも IPANAT を用いた研究は行 われているが,標準化された日本語版の作成について は十分に行われていないといえる。今後,IPANAT が 日本人を対象とした様々な研究で利用されるために も,標準化された日本語版を作成することは重要であ る。そこで,本研究では新たに IPANAT の日本語版を 作成し,その信頼性と妥当性を検討する。本研究では, 下田他(2010)の結果を踏まえ,なるべくオリジナル 版に忠実な日本語版を作成し,検討を行う。 研 究 1 目 的 日本語版 IPANAT を作成し,因子の再現性,内的整 合性,再検査法による信頼性の検討を行う。

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日本語版 IPANAT の作成 無意味綴りは,オリジナル版のアルファベットの綴 りを用いた。無意味綴りを評定する感情語は,オリジ ナル版に基づき,ポジティブ感情語として“楽しい”, “元気な”,“幸せな”の 3 項目,ネガティブ感情語と して“憂うつな”,“無力な”,“緊張した”の 3 項目と した。これら  種類の無意味綴りに  項目の感情語を セットにした計 3 項目の尺度(回答形式は,各項目 に対して,“1. 全くあてはまらない”から“4. とても あてはまる”までの 4 件法で評定)を作成し,これを 日本語版 IPANAT とした(付録)。日本語版 IPANAT で用いられた教示文は以下の通りである。 “次のページには,アルファベットで構成された語 が記載されています。これらの語はすべて人工的に作 成されたもので,さまざまな気分をあらわすように作 られています。どんな言語でも,何らかの気分をあら わすように聞こえる語の組み合わせがあります。(例 えば,‘シーン’という語は,‘穏やかな’気分をあら わすように聞こえることが学問的に知られています。) これらは心理言語学などで研究されています。次の ページ以降のそれぞれの人工語が,どのような気分を あらわしているかを評定してください。深く考えずに 直感的に評定するようにしてください。” 方 法 調査対象者および手続き4,  大学生 7 名を対象に “人工的に作成されたアルファベットに関する調査” と称して日本語版 IPANAT を実施した(Time 1)。再 検査法による信頼性を検討するため,その 2 週間後に 同一対象者に対して再度同じ日本語版 IPANAT を実施 した(Time 2)。Time 1 と Time 2 の両方に回答した 70 名(男性 42 名,女性 28 名,平均年齢 19.19 歳,標準 偏差 1.1)を分析対象とした。すべての調査が終わっ た後,回答者に研究の真の目的について説明し,デブ リーフィングを行った。 結果と考察

日本語版 IPANAT の得点化 Time 1 と Time 2 の各 データに対し,オリジナル版と同じ手続きによって日 4 研究 1,2 で実施された日本語版 IPANAT は,無意味綴りと 感情語の提示順序による順序効果を考慮し,無意味綴りと感情 語の提示順序の異なる 4 種類を作成してランダムに配布した。  質問紙の最終ページで,“過去に日本語版 IPANAT(実際には, ‘人工語に関する調査’と表記),もしくはそれに類似した調査 に回答したことがあるかどうか”の回答と,“日本語版 IPANAT の回答中に何か考えたことや思ったこと”の記述を求める質問 項目を設けた。その回答から真の目的(日本語版 IPANAT が感 情の間接測度であること)に気づいていたと判断された者のデー タを分析から除外した。 本語版 IPANAT の得点化を行った。まず,各無意味綴 りに対する  種類の感情語の個人内平均値を算出する ことで,感情語得点を算出した。次に,算出された感 情語得点をポジティブ,ネガティブの感情価別に個人 内平均値を算出することで,ポジティブ感情得点 (IPANAT PA),ネガティブ感情得点(IPANAT NA)を 算出した。 因子の再現性の検討 上記で算出した六つの感情語 得点に対し,因子分析(主因子法,バリマックス回転) を行った。その結果,Time 1 と Time 2 ともに,オリ ジナル版と同様に 2 因子構造が確認され,第 1 因子(無 力な,憂うつな,緊張した)を IPANAT NA,第 2 因 子(楽しい,元気な,幸せな)を IPANAT PA とした(Table 1)。IPANAT PA の平均値は,Time 1 で 2.19(SD = 0.38), Time 2 で 2.1(SD = 0.37)であり,IPANAT NA の平 均値は,Time 1 で 2.00(SD = 0.37),Time 2 で 2.01(SD = 0.4)であった。Time 1 と Time 2 ごとに,I-T 相関(項 目―合計得点相関)および感情語得点間の相関の算出 を行った(Table 2)。その結果,各ポジティブ感情語 得点(楽しい,元気な,幸せな)と IPANAT PA との 相関係数の範囲は .83 から .88 であり(ps < .001), 各ネガティブ感情語得点(憂うつな,無力な,緊張し た)と IPANAT NA との相関係数の範囲は,.82 から .91 の範囲であった(ps < .001)。また,同じ感情価同士 の感情語得点は,互いに中程度から強い正の相関がみ られ(rs = .3 ─ .70, ps < .001),異なる感情価同士の 感情語得点は,有意な相関はみられないか,弱い相関 で あ っ た(rs = –.20 ─ .27)。 ま た,IPANAT PA と IPANAT NA との間に有意な相関は示されなかった。 これらの結果は,オリジナル版の結果(Quirin et al., 2009a)と類似しており,ほぼ妥当な数値であると解 釈した。 内的整合性および再検査信頼性の検討 内的整合性 について確認するため,信頼性係数(Cronbach’s α) を算出した結果,Time 1,Time 2 ともに .80 以上であり, 十分な値を示していた(Time 1 IPANAT PA: α = .81, IPANAT NA: α = .82; Time 2 IPANAT PA: α = 83, IPANAT NA: α = .84)。再検査信頼性は,IPANAT PA で r = .2(p < .001),IPANAT NA で r = .9(p < .001) であった。オリジナル版での再検査信頼性は,1 週間 間 隔 と 4 週 間 間 隔 で 検 討 さ れ て お り, そ れ ぞ れ IPANAT PA で r = .72, .73,IPANAT NA で r = .7, .7 の値が得られている。これらの値と比べると本研究で 示された値は幾分低いといえる。しかし,状態的感情 と特性的感情の両方を反映すると想定される IPANAT の性質を考慮すれば,Time 1 と Time 2 での回答者の 状態的感情の違いが,再検査信頼性の値に影響を及ぼ す要因の一つとなり得ると考えられる。そのため,本 研究での再検査信頼性の値は許容範囲であると解釈し た。

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研 究 2 目 的  研究 2 では,日本語版 IPANAT の妥当性の検討とし て従来の自己報告型の尺度で測定された顕在的感情状 態や感情と関連する特性との関係を検討する。基準変 数として,本研究では顕在的感情状態に加え,外向性, 情緒不安定性の指標を用いる。これらの指標は,オリ ジナル版でも特性的感情と関連した基準変数として用 いられており,外向性と IPANAT PA,情緒不安定性 と IPANAT NA にそれぞれ正の相関が示されている (Quirin et al., 2009a)。 方 法 調査対象者および手続き 大学生 78 名を対象に集 合調査形式による質問紙調査を実施した。回答方法に 不備のあった 1 名と IPANAT の真の目的に気づいてい たと判断された 2 名を除いた 7 名(男性 0 名, 女性 2 名 , 平均年齢 19.19 歳 , 標準偏差 1.11)のデータを 分析対象とした(脚注 )。 質問紙構成 最初に日本語版 IPANAT への回答を求 め,その後,基準変数に関する尺度に回答を求めた。 本研究で回答を求めた基準変数に関する尺度は,以下 の通りであった。(a)顕在的感情状態:日本語版 PANAS(佐藤・安田, 2001)(1 項目  件法)と簡易 Table 1 Time 1 と Time 2 の因子分析の結果 Time 1 Time 2 F1 IPANAT NA F2 IPANAT PA F1 IPANAT NA F2 IPANAT PA 無力な .86 –.01 .79 .17 憂うつな .79 .08 .88 –.01 緊張した .68 .09 .74 .08 楽しい –.24 .89 .01 .83 元気な .19 .79 .0 .76 幸せな .1 .67 .19 .75 寄与率(%) 32.2 31.18 32.93 31.11 Table 2 調査時点ごとの I-T 相関(項目―合計得点相関)および感情語得点間の相関 Time 1 2 3 4   7 8 M SD 1. IPANAT NA .88 *** .87 *** .82 *** .09 –.1 .23 † .18 2.00 0.37 2. 無力な ─ .70 *** .9 *** .02 –.20 .11 .1 1.91 0.39 3. 憂うつな ─ .3 *** .10 –.12 .22 † .1 1.9 0.47 4. 緊張した ─ .10 –.11 .2 * .13 2.12 0.44 . IPANAT PA ─ .87 *** .8 *** .83 *** 2.19 0.38 . 楽しい ─ . *** .7 *** 2.21 0.4 7. 元気な ─ . *** 2.09 0.44 8. 幸せな ─ 2.2 0.4 Time 2 2 3 4   7 8 M SD 1. IPANAT NA .8 *** .91 *** .8 *** .1 .07 .11 .23 † 2.01 0.4 2. 無力な ─ .9 *** .0 *** .23 † .13 .19 .27 * 2.00 0.4 3. 憂うつな ─ . *** .07 .03 –.02 .17 1.99 0.7 4. 緊張した ─ .14 .0 .13 .17 2.04 0.0 . IPANAT PA ─ .88 *** .8 *** .8 *** 2.1 0.37 . 楽しい ─ .3 *** .3 *** 2.18 0.43 7. 元気な ─ .7 *** 2.03 0.44 8. 幸せな ─ 2.2 0.43 † p < .10, * p < .0, ** p < .01, *** p < .001

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版感情尺度(沼崎・北村・工藤, 1993)(20 項目 4 件法) の二つの尺度を用いて,それぞれ“現在の気分状態” について回答を求めた。(b)外向性および情緒不安定 性 : 和田(199)の性格特性用語を用いた Big Five 尺 度の外向性因子項目と情緒不安定性因子項目(各 12 項目 7 件法)を用いた。 すべての調査が終わった後,回答者に研究の真の目 的について説明し,デブリーフィングを行った。 結果と考察 研究 1 と同様に,日本語版 IPANAT の感情語得点を 算出し,因子分析を行った(主因子法,バリマックス 回転)。その結果,研究 1 と同様の 2 因子構造が確認 されたため,IPANAT PA と IPANAT NA の値を算出し, 基準変数との間の相関係数を算出した。Table 3 で示 されるように,IPANAT PA は,顕在的ポジティブ感 情状態(PANAS PA: r = .3, p < .01, 簡易版感情尺度 PA: r = .43, p < .001),外向性(r = .28, p < .0)との 間に有意な正の相関が示された。IPANAT NA は,顕 在的ネガティブ感情状態(PANAS NA: r = .34, p < .01; 簡易版感情尺度 NA: r = .31, p < .01),情緒不安定性(r = .29, p < .0)との間に有意な正の相関が示された。 これらは予測と一致しており,また相関係数の値も, オリジナル版とほぼ同様の結果であると解釈できる。 オリジナル版でも言及されているように,このような 低から中程度の相関係数は,潜在測定と顕在測定の間 の相関係数として適切な値であることが指摘されてい る(Hofmann, Gawronski, Gschwendner, & Schmitt, 200)。 一方で,オリジナル版とは異なり,IPANAT PA と 情緒不安定性(r = –.21, p = .07)に負の相関(有意傾 向),IPANAT NA と外向性(r = –.29, p < .0)に有 意な負の相関が示された。オリジナル版では,この ような負の相関はみられず無相関であることが示さ れている。この結果が生じたことの解釈として,本 研究では外向性と情緒不安定性との間に有意な負の 相関(r = –.40, p < .001)があることが指摘できる。 Big Five 尺度の各因子は基本的には独立であると想定 されるが,因子間には若干の相関がみられ,斜交構 造をもつことも指摘されている(和田, 199)。特に 本研究で示された負の相関係数の値は,Big Five 尺度 の先行研究(和田, 199)と比べても,若干高かった。 つまり,各因子の負の関連それ自体が IPANAT PA, NA のそれぞれの反対の感情価と負の関連を高めたの かもしれない。しかし,オリジナル版では外向性と 情緒不安定性との相関の値は報告されていないため, これら結果の違いに関しては推測の域を出ない。今 後は特性的感情と関連した他の基準変数を用いた検 討も行う必要がある。 以上のように,特性的感情については若干予測と異 なるものの,日本語版 IPANAT が自己報告尺度で測定 された感情と予測された方向で相関することが示さ れ,構成概念妥当性が確認された。研究 3 では,日本 語版 IPANAT の妥当性の更なる検討として,気分誘導 操作による実験的検討を行う。 研 究 3 目 的 研究 3 では,Quirin et al.(2009a)の Study 4 を参考 に,気分誘導画像提示後に日本語版 IPANAT への回答 を実施することで,日本語版 IPANAT が状態的感情を 十分に測定できているかどうかを確認する。 方 法 実験参加者 私立女子大学の学生 43 名を対象に実 験室実験を行った。そのうち,コンピュータの不具 合によって実験実施に不備のあった 1 名のデータを除 いた 42 名(平均年齢 18.88 歳,標準偏差 1.09)のデー  研究 3 の参加者は,事前に本研究の内容とは関連しない他 の研究の実験に参加していた。 Table 3 日本語版 IPANAT と各基準変数の相関係数と平均値,標準偏差 Measure 2 3 4   7 8 M SD 1. IPANAT PA(α = .84) .13 .35 ** –.08 .43 *** –.0 .28 * –.21 † 2.17 0.44 2. IPANAT NA(α = .70) ― –.10 .34 ** –.11 .31 ** –.29 * .29 * 1.98 0.39 3. PANAS PA(α = .8) ― –.07 .80 *** –.08 .37 ** –.19 2.4 0.90 4. PANAS NA(α = .80) ― –.20 † .75 *** –.34 ** .56 *** 2.8 1.0 . 簡易版感情尺度 PA(α = .89) ― –.17 .37 ** –.39 *** 2.30 0.70 . 簡易版感情尺度 NA(α = .90) ― –.27 * .45 *** 1.8 0.9 7. 外向性(α = .91) ― –.40 *** 4.0 1.19 8. 情緒不安定性(α = .92) ― 4.80 1.17 † p < .10, * p < .0, ** p < .01, *** p < .001

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タを分析対象とした。 実験計画 3(気分誘導操作:ポジティブ画像 vs. ニュートラル画像 vs. ネガティブ画像)× 2(日本語 版 IPANAT:IPANAT PA vs. IPANAT NA)の 2 要因混 合計画(気分誘導操作が被験者間要因)であった。参 加者は,気分誘導操作の 3 条件のいずれかにランダム に割り当てられた。 手続き 事前に,実験への参加は任意であること, 実験の参加中に気分が悪くなった場合や途中で辞めた くなった場合にはすぐに実験参加を中止して良いこ と,また実験への不参加や実験途中での中止による参 加者の不利益はないことを参加者に伝えた上で,実験 参加への同意を確認した。同意が得られた参加者を対 象に実験を実施した。 実験は直感的判断課題と称して 1 名ずつ個室で実施 した。まず,コンピュータの前に座り,画面に提示さ れる課題の説明をよく読むように参加者に伝えた。具 体的には,以下の文章を提示した。 “画面の中央にアルファベットで構成された語が表 示されます。これらの語はすべて人工的に作成された もので,さまざまな気分をあらわすように作られてい ます。どんな言語でも,何らかの気分をあらわすよう に聞こえる語の組み合わせがあります。(例えば,‘シー ン’という語は,‘穏やかな’気分をあらわすように 聞こえることが学問的に知られています。)これらは 心理言語学などで研究されています。これから表示さ れる人工語(アルファベットの語)が,どのような気 分をあらわしているかを評定してください。深く考え ずに直感的に評定するようにしてください。また,写 真も一緒に表示されますが,写真の影響は受けないよ うに,客観的に人工語を評定してください。” 参加者が画面の文章を読み終わった後,練習試行を 実施した。練習試行では,すべての参加者に対して同 じニュートラル画像を 1 枚提示した後,“人工語”と して“FILNU”を提示した。ここで提示した画像と人 工語は本試行では使用しなかった。練習試行の後,参 加者に課題内容が理解できたかを確認した上で,本試 行を実施した。本試行では,最初に 1 枚の画像を 3 秒 間提示した後,画面が切り替わり,画面の中央に日本 語 版 IPANAT の“ 人 工 語 ” を 一 つ 提 示 し た( 例: VIKES)。参加者に,この“人工語”について,どの ような気分をあらわしているものであるかを日本語版 IPANAT の六つの感情語(楽しい,元気な,幸せな, 憂うつな,無力な,緊張した)で評定を求めた。この ように,1 枚の画像提示後に一つの“人工語”を提示し, その“人工語”を参加者が評定するまでを 1 試行とし た。第 1 試行が終るとすぐに次の試行を開始した。試 行数は,日本語版 IPANAT の“人工語”の全  種類分, すなわち,全  試行であった。各試行で異なる種類の 画像を提示したが,それらは条件ごとに同じ感情価の 画像を用いた7。例えば,ポジティブ画像条件では, 最初に 1 種類のポジティブ感情を誘発する画像を提示 した後,日本語版 IPANAT の“人工語”を一つ提示し, その人工語がどのような気分をあらわすものであるか を六つの感情語で評定を求めた。どの感情価(ポジティ ブ,ニュートラル,ネガティブ)の画像を提示するか は,被験者間要因として,ランダムに割りあてた。す べての試行が終わった後,操作チェックとして,“現 在の気分”について,“1. 不快”から“7. 快”までの 7 段階で回答を求めた。 課題の終了後,実験についての質問と人工語の評定 (日本語版 IPANAT)について何か疑問に思ったこと や気づいたことがあるかどうかを確認した。日本語版 IPANAT および実験の真の目的に気づいたものはいな かった。その後,デブリーフィングを行い,日本語版 IPANAT の真の目的について説明した上で,再度,真 の目的に気づいていたかどうかを確認したが,気づい ていたものはいなかった。また,本実験に対する苦痛 や不満を訴えるものはいなかった。 結果と考察 まず,操作チェックとして実施された“現在の気分” の評定値を従属変数とし,気分誘導操作(ポジティブ 画像 vs. ニュートラル画像 vs. ネガティブ画像)を独 立変数とした 1 要因 3 水準の被験者間計画の分散分析 を行った。その結果,主効果が有意であり(F (2, 39) = 3., p < .0, ηp2 = 0.1),Bonferroni 法による多重比 較検定の結果,ポジティブ画像条件の参加者(M = 4.80, SD = 0.94)は,ネガティブ画像条件の参加者(M = 3.92, SD = 1.04)よりも有意に快気分が高いことが示された (d = 0.92)。ニュートラル画像条件(M = 4.4, SD = 0.7) とポジティブ画像条件(d = 0.19),ニュートラル画像 条件とネガティブ画像条件(d = 0.83)に有意差は示 されなかったが,ポジティブ画像条件とネガティブ画 像条件で有意差がみられたこと,平均値のパターンで は,ポジティブ画像条件,ニュートラル画像条件,ネ ガティブ画像条件の順で,快気分が高かったため,気 分誘導の操作は成功していると解釈した。 次に,研究 1,2 と同様に IPANAT 得点を算出し, その値を従属変数として,3(気分誘導操作:ポジティ 7 本実験で用いた画像は,予備調査で選定されたものを用い た。具体的には,本実験の参加者ではない女子大学生 12 名(平 均年齢 20.3 歳,標準偏差 0.1)を対象に,各 3 条件すべての画 像 18 枚を含む計 2 枚の画像をランダムに 1 枚ずつ提示し,そ の画像を見て快―不快に感じる程度を“1. 不快”から“7. 快”ま での 7 件法で回答を求めた。本実験で用いた画像の条件ごとの 平均値は,ポジティブ画像条件で,.7(SD = 0.39),ニュート ラル画像条件で 4.42(SD = 0.1),ネガティブ画像条件で 2.03(SD = 0.71)であった。Bonferroni 法による多重比較検定の結果,す べての条件間で有意差が示された(ds = 3.8 ─ 7.92)。

(8)

ブ画像 vs. ニュートラル画像 vs. ネガティブ画像)× 2 (日本語版 IPANAT:IPANAT PA vs. IPANAT NA)の 2 要因混合計画の分散分析を実施した。その結果,交互 作用のみが有意であったため(F (2, 39) = 13.79, p < .001, ηp2 = 0.41),単純主効果検定を行った結果, ニュートラル画像条件における IPANAT の単純主効果 を除いたすべての単純主効果が有意であった(Figure 2)。ポジティブ画像条件では,IPANAT PA が IPANAT NA よりも有意に高く(d = 2.23),ネガティブ画像条 件では,IPANAT NA が IPANAT PA よりも有意に高かっ た(d = 0.97)。また,Bonferroni 法による多重比較検 定の結果,IPANAT PA において,ポジティブ画像条 件(M = 2.27, SD = 0.40)とネガティブ画像条件(M = 1.9, SD = 0.1)(d = 1.31),ニュートラル画像条件(M = 2.0, SD = 0.43)とネガティブ画像条件(d = 0.78) の評定値に有意差がみられた。ポジティブ画像条件と ニュートラル画像条件に有意差はみられなかった(d = 0.)。また,IPANAT NA においては,ポジティブ 画像条件(M = 1.44, SD = 0.34)とネガティブ画像条 件(M = 2.20, SD = 0.3)(d = 1.80),ニュートラル画 像条件(M = 1.92, SD = 0.0)とポジティブ画像条件(d = 1.18)の評定値に有意差がみられた。ネガティブ画 像条件とニュートラル画像条件に有意差はみられな かった(d = 0.)。 以上の結果から,本研究の参加者は画像提示によっ てネガティブ気分に誘導された場合よりも,ポジティ ブ気分に誘導された場合に,日本語版 IPANAT の評定 において IPANAT PA が高く,IPANAT NA が低いこと が示唆された。この結果は,日本語版 IPANAT が個人 の気分状態を十分に測定できていることを示すもので あると解釈される。ニュートラル画像条件とポジティ ブ画像条件における IPANAT PA の評定,およびニュー ト ラ ル 画 像 条 件 と ネ ガ テ ィ ブ 画 像 条 件 に お け る IPANAT NA の評定に有意差は示されなかったが,こ れら平均値のパターンはそれぞれ予測された順であ り,標本効果量(Cohen’s d)はともに中程度である と判断できることから(Cohen, 1988),これらの結果 が日本語版 IPANAT の妥当性に問題があることを示唆 するものはないと解釈できる。しかし,より適切な ニュートラル画像を用いた検討や,データのサンプル 数について十分に考慮した検討(鈴川・豊田, 2012) を行うことも重要である。 総 合 考 察 本研究の目的は,Quirin et al.(2009a)の IPANAT の日本語版を作成し,その信頼性,妥当性を検討する こ と で あ っ た。 研 究 1,2 の 結 果 か ら, 日 本 語 版 IPANAT はオリジナル版と同様に,ポジティブ,ネガ ティブ感情の 2 因子構造が確認された。内的整合性や 再検査法による検討から信頼性が確認され,また,自 己報告型の尺度で測定した感情状態や外向性,情緒不 安定性といった感情と関連した特性との関連から,構 成概念妥当性が確認された。さらに,研究 3 では,気 分誘導操作による実験的検討を行い,画像提示によっ て 誘 導 さ れ た 実 験 参 加 者 の 気 分 状 態 を 日 本 語 版 IPANAT で測定できることが示され,構成概念妥当性 が確認された。 今後は,生理指標や他の潜在測定法による測定結果 との関連の検討,また,社会的望ましさなどの要因に よる自己報告型の尺度での測定に歪みが表出しやすい 場面での検討を行うことも重要である。例えば, Payne, Cheng, Govorun, & Stewart(200)は,感情誤 帰属手続き(AMP: Affect Misattribution Procedure)に よる態度の測定結果と自己報告式の尺度による測定結 果の相関が,偏見を統制するように教示された参加者 では相対的に低いことを示し,AMP の有効性を主張 している。本尺度でも顕在的に感情を統制しようとす る状況を実験的に操作した上で検討することや, AMP などの他の潜在測定の結果との関連を検討する など,他の観点から妥当性を検討することも重要であ る。 以上のように,本研究は日本語版 IPANAT を作成し, その信頼性と妥当性を検討した。IPANAT は,回答の 意識的歪曲の影響を受けず,容易に感情測定が可能な 測度である。それゆえ,これまで顕在尺度で測定され てきた感情研究に追加的に用いるなど,今後様々な研 究で利用されることで,新たな知見が得られ,今後の 感情研究の更なる進展に役立つことが期待される。 引 用 文 献

Cohen, J. (1988). Statistical power analysis for the

behav-ioral sciences. 2nd ed. Hillsdale, NJ: Lawrence

Erlbaum Associates. Hofmann, W., Gawronski, B., Gschwendner, T., Le, H., & Schmitt, M. (200). A meta-analysis on the correlation 1.0 2.0 3.0 4.0 ポジティブ ニュートラル ネガティブ IP ANA T 得点 画像 IPANAT PA IPANAT NA Figure 2. ポジティブ,ニュートラル,ネガティブ画像 提示後の日本語版 IPANAT の測定結果 注) エラーバーは,標準偏差を示す。

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between the Implicit Association Test and explicit self-report measures. Personality and Social Psychology

Bulletin, 31, 139–138. 沼崎 誠・北村 英哉・工藤 恵理子(1993).広告の受 け手の心理状態が広告情報の処理スタイルに及ぼ す効果 平成 4 年度吉田秀雄記念事業財団助成研 究報告書   (Numazaki, M., Kitamura, H., & Kudo, E.) 及川 晴・及川 昌典(2012).感情抑制が顕在ムード と潜在ムードに及ぼす影響 社会心理学研究, 28, 24–31.   (Oikawa, H., & Oikawa, M. (2012). Effects of emo-tional suppression on explicit and implicit mood.

Japanese Journal of Social Psychology, 28, 24–31.)

Payne, B. K., Cheng, C. M., Govorun, O., & Stewart, B. D. (200). An inkblot for attitudes: Affect misattribution as implicit measurement. Journal of Personality and

Social Psychology, 89, 277–293.

Quirin, M., Kazén, M., & Kuhl, J. (2009a). When nonsense sounds happy or helpless: The Implicit Positive and Negative Affect Test (IPANAT). Journal of Personality

and Social Psychology, 97, 00–1.

Quirin, M., Kazén, M., Rohrmann, S., & Kuhl, J. (2009b). Implicit but not explicit affectivity predicts circadian and reactive cortisol: Using the Implicit Positive and Negative Affect Test. Journal of Personality, 77, 401– 42. 佐藤 德・安田 朝子(2001).日本語版 PANAS の作 成 性格心理学研究, 9, 138–139.   (Sato, A., & Yasuda, A. (2001). Development of the Japanese version of Positive and Negative Affect Schedule (PANAS) scales. Japanese Journal of

Personality, 9, 138–139.) 下田 俊介・小林 麻衣・佐藤 重隆・大久保 暢俊・北 村 英哉(2010).Implicit Positive And Negative Affect Test (IPANAT) 日本語版作成の試み 日本社会心理 学会第 1 回大会発表論文集, 484–48.   (Shimoda, S., Kobayashi, M., Sato, S., Okubo, N., & Kitamura, H.) 鈴川 由美・豊田 秀樹(2012).“心理学研究”におけ る効果量・検定力・必要標本数の展望的事例分析 心理学研究, 83, 1–3.   (Suzukawa, Y., & Toyoda, H. (2012). Effect sizes, sta-tistical power and sample sizes in “The Japanese Journal of Psychology”. Japanese Journal of Psychology, 83, 1–3.)

和田 さゆり(199).性格特性用語を用いた Big Five 尺度の作成 心理学研究, 67, 1–7.

  (Wada, S. (199). Construction of the Big Five Scales of personality trait terms and concurrent validity with NPI. Japanese Journal of Psychology, 67, 1–7.)

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付  録 日本語版 IPANAT 次のページには,アルファベットで構成された語が記載されています。 これらの語はすべて人工的に作成されたもので,さまざまな気分をあらわすように作られています。 どんな言語でも,何らかの気分をあらわすように聞こえる語の組み合わせがあります。 (たとえば,“シーン”という語は,“穏やかな”気分をあらわすように聞こえることが学問的に知られています。) これらは心理言語学などで研究されています。 次のページ以降のそれぞれの人工語が,どのような気分をあらわしているかを評定してください。 深く考えずに直感的に評定するようにしてください。 全く あて は ま ら な い 少し あて は ま る あて は ま る と て もあて は ま る 幸せな 無力な

SAFME

緊張した 元気な 楽しい 憂ゆううつな 幸せな 無力な

VIKES

緊張した 元気な 楽しい 憂ゆううつな 幸せな 無力な

TUNBA

緊張した 元気な 楽しい 憂ゆううつな 全く あて は ま ら な い 少し あて は ま る あて は ま る と て もあ て は ま る 幸せな 無力な

TALEP

緊張した 元気な 楽しい 憂 ゆう うつな 幸せな 無力な

BELNI

緊張した 元気な 楽しい 憂 ゆう うつな 幸せな 無力な

SUKOV

緊張した 元気な 楽しい 憂 ゆう うつな

参照

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