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―設備計画・洗浄工事編―

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Academic year: 2022

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高圧ジェット水を用いた変圧器絶縁油汚染土壌の洗浄(第 3 報)

―設備計画・洗浄工事編―

東京電力㈱(正) 佐藤 博 (正)矢野 康明 小林 治男 東電設計㈱(正) 司代 明 木村 應志 ハザマ (正)○一ノ瀬 広樹 山口 修一

㈱土壌環境プロセス研究所 藤井 忠広 志方 洋介

1.はじめに

新潟県中越沖地震により変圧器から漏洩した絶縁油で汚染した土壌を、高圧ジェット水を使用した洗浄方法で 洗浄したところ、洗浄性能、処理期間、コストともに十分に所期の目標を達成することができた。ここでは第3 報として、使用した洗浄設備および洗浄工事の概要について述べる。

2.洗浄設備の概要

高圧ジェット水を用いた土壌洗浄のフローを、

図-1に示す。第2報で述べた室内洗浄実験では、

バッチ式に汚染土を投入して性能確認等を行って きたのであるが、実際に実汚染土約35,000t を洗 浄するには、バッチ処理に替えて、大量の土を迅 速かつ連続して処理する必要がある。大量処理への 対応として、洗浄装置を大型化(細管径65mm、長さ

2,660mm)するとともに並列して2台設置した。これにより24t/時間の処理が可能となった。連続処理への対応と して、汚染土や洗浄土の運搬にベルトコンベアを用い、洗浄土の分級に水平バケット式分級機(ハイメッシュセ パレータ)等を用いた。実規模大の試験機を用いた実証実験を経て、洗浄システムを構築した。

汚染土

ジェット洗浄

洗浄後 スラリー 分級

粗粒分

濁水

濁水処理

処理水 細粒分

洗浄済み土 (埋戻に利用)

脱水後処分 (セメント原料化) 循環再利用

図-1 高圧ジェット水を用いた土壌洗浄のフロー

洗浄済み土の油濃度の目標値は、「油汚染対策ガイドライン」(中央環境審議会、平成18 年3 月)において油臭・

油膜が無いこととされていることから、その一般的な目安値である1,000mg/kg(GC-FID 法にて)としたが、それ を達成するためには、室

内実験結果を踏まえる と、2回洗浄する必要が あった。このため、洗浄 装置、分級機を直列に2 段配置し、濁水処理設備 は1段、2段で共用した。

実際の洗浄工事におけ る洗浄システムの配置 を図-2に、全景を写真

-1に示す。

ジェット洗浄装置から 排出されたスラリーは、

まず分級装置で粗粒分と

濁水に分ける。ここで分離した粗粒分はそのまま洗浄済み土となり、掘削箇所の埋戻しとして再利用する。分級 装置で粗粒分を取り出した後の濁水は濁水処理設備によって、洗浄に再利用可能な処理水と、細粒分に分ける。

細粒分は脱水後、産業廃棄物等として処分することになる(今回の工事では外部のセメント工場においてセメン ト原料としてリサイクルした)。

13.8m

23.5m 13.4m

19.1m

25.6m

13.8m

23.5m 13.4m

19.1m

25.6m 投入スクリーン

ベルトコンベ

分級機

分級機 高圧ジェット水を用 いた土壌洗浄装置

洗 浄

図-2 工事で採用した洗浄システム配置図

キーワード 新潟県中越沖地震,高圧ジェット水,絶縁油,汚染土,洗浄

連絡先 〒105-8479 東京都港区虎ノ門 2-2-5 ㈱間組技術・環境本部環境事業部 TEL:03-3588-5792 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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(2)

写真-1 洗浄システム(プラント)全景 また、洗浄前の仮置き土等の雨水排水には油が含まれるリス

クがある。今回の工事では、発電所内排水溝に流れ出る時点で 公共水域や下水道に用いられている排水基準(n-hex 抽出物質 5ppm以下)を適用した。油が含まれる雨水排水の排水系統への 流出や地下浸透を防止するため、洗浄ヤード等の基礎にシート とコンクリートによる遮水構造を設けた。集水した雨水排水の 処理に関しては、豪雨時の水量を一旦貯留し、徐々に処理する ことにした。排水処理設備(油分除去設備)は、浮上分離+活 性炭吸着方式とした。図-3に施設全体配置図を、写真-2に 活性炭吸着槽設置状況を示す。

受変電設備 現場詰所 洗浄プラント 保管ヤード②

保管ヤード① 運転室 濁水処理設備 洗浄設備

水切ヤード 雨水貯留池

雨水処理設備

洗車設備

駐車場

洗浄済土仮置ヤード

3.洗浄工事の概要

汚染箇所から掘削され、保管ヤードに仮置きされた汚染土を 順次上記洗浄システムにより表-1の洗浄条件で洗浄した。

項目 内容

ジェット水圧力 ジェット水量 洗浄土量速度

3.5 Mpa

65リットル/分(1台あたり)

12t/時間×2台=24t/時間 表-1 洗浄工事の洗浄条件

図-3 施設全体配置図

洗浄は、2008 年9 月4 日に始まり、1 年後の2009 年8 月27 日に完 了し、約35,000tの汚染土を洗浄した。写真-3に油汚染土掘削除去の 状況を、写真-4に汚染土の洗浄前後の状況を示す。

洗浄においては、計画通り、すべての洗浄済み土を埋め戻しに再利用 し、洗浄水は全量を循環再利用した。脱水ケーキも全量をセメント原料 化したため、今回の洗浄ではすべての物質をリサイクルできた。

写真-2 活性炭吸着槽設置状況 4.まとめ

室内試験で効果を確認した、高圧ジェット水を用いた洗浄装置を 2 段に配置した洗浄システムを構築し、35,000t の汚染土の洗浄を1年 間で完了した.また

このシステムは,洗 浄済み土,洗浄水,

脱水ケーキを全量リ サイクル利用するも ので,環境に優しい 技術と評価できる。

(a)汚染土 (b)洗浄済み土 (c)脱水ケーキ

写真-4 汚染土の洗浄前後の状況 写真-3 油汚染土掘削除去の状況 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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