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(紅色植物門,ウシケノリ目)の遺伝連鎖地図

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Academic year: 2021

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     博士(水産科学)飯塚 学位論文題名

AFLP マ ー カ ー を 用 い た ス サ ビ ノリ

(紅色植物門,ウシケノリ目)の遺伝連鎖地図

学位論 文内容の要旨

  海産紅藻アマノリ属植物は重要な水産植物であり,高品質株や病害抵抗性株の作出など,

育種へのニーズが高まっているが,海藻類の遺伝育種に関する研究は,魚介類等他の水産 生物と比較して十分ではなく,その基盤技術の確立は緊急の課題である.近年,DNAマー カーは多くのモデル生物で遺伝地図作成の際のランドマークとして利用されており,多く の家畜,農作物,水産生物の遺伝育種研究にもその威カを発揮している.アマ丿リ属植物 において も,効 率的な遺 伝地図作 成のた め,DNAマーカーの研究開発が強く望まれる・

DNAマ ーカ ー の1つ で あ るAFLP (Amplified Fragment Length Polymorphism)マー カ ーは,DNAを2つの制 限酵素で 切断し ,その断 片に付加塩基のアダプターを接合し2回の PCRに よっ てDNA多 型 を検 出 す る方 法 で あ り,分 離型は主 として 優性を示 す.AFLPマ ーカーは,1回のスクリ一二ングで多重座位や多くの多型を検出可能である.また,コス トも低い こと, 迅速に解析可能であることから,多くの生物でAFLPを用いた遺伝地図の 作 成 , ま た は , 集 団 遺 伝 学 や 系 統 解 析 な ど に 多 く 用 い ら れ て い る ・   本論文は ,5つの章よ り構成さ れ,第1章で は,全体における緒言を示し,第2章にお いて海産紅藻スサピ丿リ(Porp轟珊,開勿eロs尚の遺伝地図作成の一環として純系株を作 出 し ,AFLPに よ るDNA多型 解 析 を行 な っ た. 第3章お よ ぴ 第4章 で は ,純 系2株の 交 配実験を 行い, 得られた 交配家系 のAFLPマー カーによる遺伝地図を作成した.第5章で は,研究の総括を行い,遺伝地図作成における今後の課題ならぴに研究方針について論じ た.

  第2章 におい て,スサピノりの純系株の作出を行い,この純系株TUH.25は野生型純系 株TU.1と比較すると,赤色型の色素変異体であり,成長速度は速く,単胞子の放出量は 同様であ った. 葉状体は縁辺が激しく波打つ形態を呈した.本研究で作出された純系株 TUH.25と 以 前に 純系化 が行わ れていたTU‐1,TU‐2の3株 を用い ,各々のDNAを 抽出 し,AFLPによ るDNAの多型解 析を行 なった. その結 果,総パ ンド数は227本検出され,

3株間 において 多くのDNA多型が見られた.このため,自殖や単胞子による増殖以外の他 殖(他家受精)が起きていることが示唆された・

  第3章 におい て,スサ ピノりの 純系株TU.1お よぴTU・2の葉状配偶体を用いて性成熟 を誘導し,交配実験を行なった.TU.2の未受精卵形成細胞(造果器)とTU^1の雄性細胞

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である精子嚢(造精器)部分を切り出し,最適な交配期間を特定するために3日,5日,7 日間の通気培養による交配実験を行なった.その後,糸状胞子体の色彩およぴ多型解析か ら交配株を単離し,殻胞子放出誘導を行なった.殻胞子放出後,発生したキメラ葉状体の 色彩 を指標に 分割を 行い,分割した葉状体から単胞子を放出させた.この単胞子世代20 株の純系化を行なうと共に,表現形質の確認およぴ凍結保存も行なった.この結果,スサ ピノりの交配に関しての効率化を行うことが可能になり,受精は,通気培養5日目に起こ りやすいことが示唆された・

  第4章にお いて, 第3章 により 作出され たスサピ ノリTU‑1( 父)お よぴTU‑2(母)の 交配 家系20個 体(野生 型10個体 :緑色型10個体) を用いて ,遺伝連 鎖地図の作成を行 なっ た.この 純系株 の表現形 質やDNAマーカ ーを用いて連鎖解析を行うことで遺伝形質 を特 定し,遺 伝子座 を決定す ること が可能に なる.DNAマーカーには,AFLPマーカーを 用いて行なった.電気泳動結果より,母型・父型優性に現れたバンドと色彩の形質を振り 分けた.また,電気泳動図から父型・母型バンドが近接的に存在し,相同なバ夕一ンを示 した ものを単 一遺伝 子座と判断した.連鎖解析の結果,父型(TU‑1)の144マーカーと母 型(TU‑2)の143マ ーカーに よる2つの遺 伝連鎖地 図が作 成された .作成 された遺伝地図 は,3つの連鎖群により構成され,スサピノリ染色体の本数は同じであった.また,父型 と母型のマーカー数に違いが現れ,それそれの連鎖群の距離においても違いが現れた.父 型, 母型とも に連鎖 群1は主に父型のバターンが多く,単一遺伝子座と判断したものが1 つ存 在し,連 鎖群2には色彩遺伝子座が載っており,連鎖群3に倣単一遺伝子座の数が多 いも ので構成 されて いた.父 型の連 鎖群1の地図距離の全長は113.5 cMとなり,母型は 68.3 cMであっ た.父型 の連鎖 群2の 地図距離 の全長は509.6 cMとなり,母型は122.1cM であ った.父 型の連 鎖群3の地図 距離の全 長は187.6 cMとなり,母型は529.3 cMであっ た. 父型の1連鎖 群あたり の地図 距離の平 均は270.2 cMとなり,母型は239.9 cMであっ た.父型の全連鎖群には,5.6 cMに1つのマーカーが存在し,母型の全連鎖群では,5.0 cM に1つのマ ーカー が存在し た.父 型と母型 の1連 鎖群あたりの地図距離の平均は255.1cM であ った.連 鎖解析 により,色彩の形質は父型TU‑1由来のマーカーと多く連鎖し,母型 TU‑2由来の連鎖したマーカーは少ない結果とナょった.これは色彩遺伝子座が,TU‑1染色 体由来であることが予想され,TU‑2の色彩に関する遺伝子は,何らかの影響により,欠損 または欠失し,劣性遺伝した結果であると考えられる.

  本研 究によ り開発されたAFLP解析による遺伝連鎖地図は,大型藻類では世界に先駆け たものであり,スサピノりの遺伝学の発展に大しヽに貢献するであろう.また,AFLP等の DNAマーカー を利用 した遺伝 連鎖地 図は他の 有用海藻類でも育種を進める上で有望であ ると思われる.スサピノりは,日本発でありながら国際的に通用する初のモデル植物と詮 る可能性を秘めており,水産植物の研究領域にモデル植物という強カな実験系を導入する ことにより,その益々の活性化が期待される.

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学位論文 審査の要旨

学 位 論 文 題 名

AFLP マ ー カ ー を 用 い た スサ ビ ノ リ

(紅色植物門,ウシケノリ目)の遺伝連鎖地図

  海産紅藻アマノリ属植物は重要な水産植物であり,高品質株や病害抵抗性株の作 出など,育種へのニーズが高まっているが,海藻類の遺伝育種に関する研究は,魚介 類等他の水産生物と比較して十分ではなく,その基盤技術の確立は緊急の課題であ る.近年 ,DNAマーカー は多くのモデル生物で遺伝地図作成の際のランドマークと して利用されている.アマノリ属植物においても,効率的な遺伝地図作成のため,

DNAマ ー カ ー の 研 究 開 発 が 強 く 望 ま れ る .DNAマ ー カ ー の1つ で あ るAFLP (Amplified Fragment Length Polymorphism)マー カ ー は,DNAを2つ の制 限 酵 素で 切 断 し, そ の 断片 に 付 加 塩基 の ア ダプ タ ー を接 合し2回のPCRに よってDNA 多型を検出する方法であり,1回のスクリーニングで多重座位や多くの多型を検出可 能である・

  本論文 は,5つの章よ り構成 され,第1章で は,全 体におけ る緒言 を示し, 第2 章において海産紅藻スサピノリ(Porp轟円瑠開勿ens瑚の遺伝地図作成の一環として 純 系 株 を 作 出 し ,AFLPに よ るDNA多 型解 析 を 行な っ た .第3章 およ ぴ 第4章 で は,純系2株 の交配実 験を行 い,得ら れた交配 家系のAFLPマーカ ーによる 遺伝地 図を作成した.第5章では,研究の総括を行い,遺伝地図作成における今後の課題ナょ らびに研究方針について論じた・

  第2章 におい て,スサ ピノり の純系株 の作出 を行い,この純系株TUH.25は野生 型純系株TU‐1と比較すると,赤色型の色素変異体であり,成長速度は速く,単胞子 の放出量は同様であった.葉状体は縁辺が激しく波打つ形態を呈した.本研究で作出 された純 系株TUH―25と以 前に純 系化が行 われて いたTU‐1,TU・2の3株を用い,

各 々 のDNAを抽 出 し ,AFLPによ るDNAの 多 型解 析 を 行な っ た .そ の 結 果, 総 バ ンド数は227本 検出され ,3株間にお いて多く のDNA多型が見 られた .このた め,

自殖や単胞子による増殖以外の他殖(他家受精)が起きていることが示唆された.

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恆 俊 彦 肇 直 克 彰 峨 井     井 嵯 荒 原 安 授 授 授 授        

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教 助

査 査

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主 副

副 副

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  第3章 に お い て ,ス サピ ノり の純 系株TU‑1およ ぴTU‑2の 葉 状配 偶体 を用 いて 性 成熟 を誘 導し ,交 配実 験を 行な った .TU‑2の未 受精 卵形 成細 胞( 造果 器)とTU‑1 の雄性細胞である精子嚢(造精器)部分を切り出 し,最適な交配期間を特定するため に3日,5日,7日間 の通 気培 養に よる 交配 実験を行なった .その後,糸状胞子体の 色彩および多型解析から交配株を単離し,殻胞子放出誘導を行なった.殻胞子放出後,

発生したキメラ葉状体の色彩を指標に分割を行い ,分割した葉状体から単胞子を放出 させ た. この 単胞 子世代20株の純系化を行なうと共に,表 現形質の確認およぴ凍結 保存も行なった.この結果,スサピノりの交配に 関しての効率化を行うことが可能に な り , 受 精 は , 通 気 培 養 5日 目 に 起 こ り や す い こ と が 示 唆 さ れ た ・   第4章 にお い て,第3章により作出されたスサピノリTU‑1(父)およびTU‑2(母)

の交 配家 系20株を 用いて,遺伝連鎖地図の作成を行なった .連鎖解析の結果,父型   (TU‑1)の144マ ー カ ー と 母 型(TU‑2)の143マ ー カ ー に よ る2つ の 遺 伝 連 鎖地 図 が作成された.作成された遺伝地図は3つの連鎖群により構成され,スサピノリ染色 体の 本数 と同 じで あった.色彩の形質は父型TU‑1由来のマ ーカーと多く連鎖し,母 型TU‑2由 来の 連鎖 したマーカーは少ない結果となった.こ れは,TU‑2の色彩に関す る遺 伝子 は, 何ら かの影響により,欠損または欠失し,劣 性遺伝した結果であると 考えられた.

  主 論 文 は 平 成15年1月29日14時か ら15時ま で第 二研 究棟 特 別講 義室 にお いて , 審査員およぴ関連教官8名およぴ一般聴講18名出席のもと発表された.一般聴講にお いては,交配の株の選定理由について質疑・応答がなされた.また,審査員およぴ関連 教官においては,父型・母型の連鎖地図の違い,交配の定義や今後の展望について質疑・

応答がなされた.スサピ丿りの遺伝連鎖地図は,大型藻類では世界に先駆けたものであ り,スサピノりの遺伝学の発展に大いに貢献すると判断し,博士(水産科学)の学位を 授与される資格のあるものと判定した.

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要旨 目的

審査結果の要旨

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