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地域の遺伝相談に対する住民のニーズ: 遺伝相談事業における臨床遺伝専門医の経験から

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Academic year: 2021

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要旨 目的 本研究は、臨床遺伝専門医による地域の遺伝相談事業の経験から、住民の遺伝相談 に対するニーズとその意義を明らかにし、看護職との協働体制と住民への看護のあり方 を検討することを目的とした。 方法 遺伝相談事業に関わる臨床遺伝専門医であり、機縁法で研究協力の承諾を得られた 3 名を対象者としインタビュー調査を行い、質的記述的方法を用いて分析した。本研究 に際しては聖路加国際大学研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した[承認番号:18 -A018]。 結果 住民の遺伝相談に対するニーズとして【遺伝医療・ゲノム医療の変遷に伴い予想さ れるニーズ】【時代に関わらず存在するニーズ】が明らかになった。その背景には【遺伝 医療・ゲノム医療システムの変遷に伴う遺伝相談の場の変化】【遺伝相談件数の減少理由 と課題】【匿名に対する行政の対応と課題】がある。また、遺伝相談事業の意義としては 【医療機関とは質が異なる地域の遺伝相談の特徴】【セカンドオピニオンとしての相談】 【素朴な疑問と切実な悩みを話せる場】【周囲には言えない遺伝に関する悩みを話せる場 所】【医療機関につなげるかの見極め】【医療機関への効果的なつなぎ方】【地域住民の受 け皿としての意義】【臨床遺伝専門医にとっての地域遺伝相談事業の意義】が明らかとな った。これには遺伝相談事業が【遺伝相談事業の対象】である市民へのサービスであり 【住民にとって手の届く相談場所】という意義が影響している。本研究対象者は遺伝相 談に対する住民の潜在的ニーズを引き出すのは保健師であると評価していた。こうした 保健師との協働について【地域の遺伝相談の潜在的ニーズを顕在化する保健師】【保健師 業務の多忙化】【地域遺伝相談後は保健師がフォロー】【保健師が遺伝相談に関わる意 義】の 4 つのカテゴリが抽出された。本研究対象者の視点から、保健師が遺伝相談に関 わる意義があるなかで保健師業務の多忙化により潜在的ニーズを引き出すための労力を 割けなくなった状況が明らかになった。こうした状況に対し【遺伝相談事業に関わる保 健師の限界と課題】が抽出され、保健師や地域で遺伝相談に関わる看護職に【潜在的ニ ーズに気づくために必要な遺伝の基礎的知識】【地域看護職の横のつながりと遺伝に関す る勉強会】の重要性が示された。 結論 住民のニーズに対し事業としての遺伝相談だけでなく、地域看護活動のなかで潜在 的ニーズを顕在化していく必要性が示唆された。そのためには保健師に限らず地域看護 職の遺伝に対する意識を高めていく必要がある。臨床遺伝専門医と遺伝教育という側面 で協働し、遺伝相談に関わる看護職の横のつながりと定期的な勉強会の実施、遺伝看護 専門看護師の地域での活動も期待される。

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