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<論文>経営者に対するボーナス制度の構造と実態(1) 利用統計を見る

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(1)

著者

菅野 康雄

著者別名

Kanno Yasuo

雑誌名

経営論集

16

ページ

37-62

発行年

1980-10-20

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005839/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

37

経営者に対 する ボT ナ ス制度め構造 と実態 (1 )

菅  野 康  雄

1. 2. 3. 4. 5. 目   次 序 普 及 状 態 目的 と設定 受 給資格者の範 囲 基金の算定

1.

序 

今日, ア メリカに おい て, 経 営 者報 酬に占 め るボ ーナ ス給(bonus award )

の 比率は 非常に 高 く, また ボ ーナ ス制 度を 採用 してい る 企業 数 も近年 急激に

増 加し て きてい る

○  

■ 

ボー ナス給 は, 本来 ,直 接企 業 収益 の増 減に ともな っ て変 動 す る報 酬であ

り,かつ経 営 者 の企業 に対 す る短 期的 貢献を 反 映し て支 給 され る利 潤 分配的

付 加報 酬であ る。つ ま りそ れ は,一 定 の会 計期 間に 獲得 され た 企業利 潤を 源

泉 とし, そ して そ の利 潤獲 得に 影 響をIもた ら す 意 志 決 定 (profit-affectingdecisions

) を 行い , かつ 利 潤 の創造 に直接 重要 な 役割を 担 う経 営 者 の執行を

刺 激す るた めに , 彼等 の固 定的 俸給 構 造(a fixed salary structure

)に 臨時に

付 加さ れ る報酬 であ る とい うこ とが で きるであろ う。 

した が って,この制 度に 対 す る用語 も, executive bonus plan, executiveincentive compensation plan,

management incentive plan,

officers'and key employees' compensation

plan , profit incentive plan, profitsharing bonus, profit

participation plan, incentive bonus plan, incentive

contribution plan, accomplishment incentive plan

, contingent compe-nsation plan, supplemental compensation plan, additional compensa-tion plan

(3)

バ ラエ ティに富んでいるのが実情である。これは,企業に よって,その目的

と設定,参 加資格者の範囲,利潤の配分に関する諸条 件,支給方法や支給形

態等 の構造的諸条件が一様ではなく,それに加えて,成果配分に関する諸制

度が非常に多種多 様な形態をもって利用されていることと密接な関連を有 し

でいるからであるo 

そこで本稿においては,経営者の報酬バ ッケー

=ジのなかで もとりわげ重要

な制度として注目されてい るところ の,経営者(executive )に限定して設定

せられてい る固有のボーナス制度を取上げ,その実態を明らかにするととも

に,この制度の構造的特質や機能につい て吟味することにしたい と思う。

2.

普 及 状 態 

ボー ナス制 度 の普及は ,歴 史的に は , 国民 経 済 の変 動や企 業 収益 の増減を

反 映し て,一 般に か な り大 きな 変化を 示 し なが ら今 日にい た ってい る。 と り

わけ, 1929年以 降 の30 年代に おけ る不 況期 や第2 次大 戦の戦中 ・戦後 の時 期レ

に は , ボーナ 不制度 の利用 企業 は著 し く減 少 してい る。 しか しそ の後 ,全 般

的 な企 業 収益 の増大 を 背景 とし て, ボ ーナ ス制 度を採 用す る企業 は着実 に 増

加 の傾向を 辿 り,近 年に おけ る普及 状 況 は, 特に 大規 模企業 にお い て著 し く。

また各業 種 に わた って急 速に 拡大 す る傾 向を示 してい る。 

最近 の ボーナ スの利 用率は ,企業 規 模 と の相 関関 係 が殆 ど 目立 たない 小売

業 を 除け ば ,一 般に 企業 規模 が大 き くな るに つ れて高 ぐな る傾向を示 してい

る。 た とえ ば, 最 も普及 率 の高い製 造業 に つい て,1967 年 のNICB

の調査

結果を 示 す と第1 表 の通 りであ る。 10億 ド ル以 上 の年 間 売上 高を もつ 会社 は。00

% の 高い 利 用 率を 示 し てい るのに対 して ,5 千万 ド ル未満 の会社 のそれ はoO

% にす ぎず , 企業 規模に よる利 用率 の格 差 は かな り 顕著であ る。 さ らに ,

同 じ く製 造業 につい ての1975 年 のThe Conference Board

の調 査結果に よ

る と,年 間 売上 高5 億 ドル未 満 の会 社り ボ ーナ ス利 用 率がnoo/ であ った のに

対 し 七,5 億 ドル以 上 の会社 の 利 用 率 は(:30

億ドルまたはそれ以上の年間売上

1)

高をもつ会社の利用率95ガを含む),86 %であ った。 

また ,1970 年 と1976 年 とに おけ る産業 別 の ボー ナス 制度 の普 及状 況につい

て, 同 じ くThe Conference Board

の 調査 結果 を示 す と第2 表 の通 りであ

(4)

経営 者に対 す る ボー ナス制 度 の構 造 と実 態 (1) 第1 表  ボ ーナ ス制度の企業規模別普及状況 (製 造業 )1967 年 の年間売上高(100 万ド ル)  全会社数  利 用会 社数  利 用率( %)

1000 以  

500 − 999 200 

− 499 100 

− 199 50 

−  99 50

未満以下

合  計

43858427746377    1 1 1    ≪D 57061216519722    1     4 88481038775536

Harland Fo χ, Top Eχecutive Compensation, Studies in Personnel Policy,No. 213, National Industrial Conference Board, 1969,p. 13.         

第2 表  ボ ー ナ ス 制 度 の 産 業 別 普 及 状 況 産 業

険 

ガ スお よび電気事業 全会社数 712  90 175 275 106 1976 年 春-利 用 率

786231308

1970 年 春-利 用 率 % 654018196 39 ・

Harland Fox, Top E χecutive Compensation, Report No. 706. The Con-    ference Board, 1976,

p. 4. し て急 速 に 拡 大 し て き て い る こ と が わ か る。 ち な みに ,1963 年 の ボ ー ナ ス制 度 の産 業 別 普 及 状 況 に つ い て ,NICB の 調 査 結 果 を み る と ,製 造 業 の利 用 率 は49 %, 商 業 銀 行 の そ れ は ■\oq/で あ っ て , ガ ス お よび 電 気 事 業 に お い ては 全 2) く利 用 さ れ て い な か っ た 。 1

)Harland Fox, Top Executive Compensation, Report No. 706, The Con-  ference Board,

1976 ,p. 11. 2 )1963 年におけ るボ ーナス制度の産業 別普及状況は 次の通 りであ る。ニ 産  業 ガ スお よび 電気 事業 生 命 保  険 商 業 銀  行 火 災・ 海上 お よび 傷害 保険 製   造   業 小   売  業 全 会 社 数-107144 471n  ! >-24271 7 利 用 率-− 62591  l! >a ■* LO

Harland Fo χ,Top Executive Compensation, PersonnelPolicy Study No. 193

,The National Industrial ConferenceBoard, 1964, p. 5.

(5)

3. 目 的 と 設 定     犬  経 営 者 に 対 す る ボ ー ナ ス制 度 の 目的 は ,NICB の 調 査 結 果 に よ る と, 62 制 度 の うち54 制 度 に 明 確に 述 べ ら れ てい る。 そ の一 般 的 目的 は ,「 有 用 な 経 営 者 の 貢 献 に 対 し て 刺 激あ るい は 報 奨 (reward )を 与 え る こ と」 で あ る と さ れ 1) て い る。 また , 製 造 業327 社 の ボ ー ナ ス制 度 の 目的 に つ い て , 同 じ くNICB の 調 査 結 果 に よる と ,「大 部 分 の ボ ー ナ ス 制 度 の主 た る 目的 は , 会 社 の 利 潤 を 増 大 す るた め に , 主 要 な 経 営 者 に 対 し て 刺 激 を 与 え る こ と で あ る」 と述 べ 2) ら れ て い る。 そ し て , 他 の い くつ か の 制 度 は , 次 の 事 項 に 役 立 つ こ と を 目的 と し て 設 定 さ れ て い る。 す な わ ち ,(a), 忠 実 で , 誠 実 で , 勤 勉 な サ ー ビ スを 確 保 す るた めに イ ン セ ン テ ィ ブを 与 え る こ と ,(b), イ ェ シ ャテ ィ ブ , 機 略 の 豊 か さ お よび 能 率 を 高 め る こ と ,(c), 有 能 な 被 傭 者 を 誘 引 し 保 持 す る こ と , (d), 会 社 の利 益 を 保 護 し , 増 進 さ せ る た め に 刺 激 を 与 え る こ と ,(e), 功 績 の あ る サ ー ビ スに 対 し て 報 奨 す る こ と , な ど で あ る。 さ らに , そ れ ら の大 部 分 の 制 度 は , そ の 構 造 も し く は 形 態 の 相 違 に か か お りな く, 共 通 し て 株 主 の 利 3) 益 と 保 護 とを 強 調 し てい る 。 そ れ は , 明 ら か に , 株 主 の投 資 を 保 護 す るた め に , ボ ー ナ ス 制 度 と の 関 連 に おけ る 企 業 業 績 の一 層 の 向 上 を 通 じ て , そ の 投 資 に 対 す る 付 加 的 利 潤 と 会 社 の 維 持 ・ 発 蔓 とを 彼 等 の た め に 保 証 す る とい う こ と が , 良 好 な 株 主 関 係 を 維 持 す る た め に 極 め て 重 要 な 問 題 で あ る と み て い るか ら で あ ろ ‰  次 に な お わ れ わ れ は , ボ ー ナ ス 制 度 の 目 的 に つ い て具 体 的 に 説 明 し てい る 典 型 的 な 事 例 と し て , 以 下 若 干 の 制 度 を と りあ げ て み る こ と に し よ う。  E.

I. du Pont de Nemours and Company では, 次の ように説明してい る。

「当 社のボ ーナス制度 の目的は,(a), 被傭者に よって提 供 された サービ スに対して, 定期的 俸給に 付加す る報酬を もって報い ることに より, 彼等が会社に 対してたえず

最善 の努力をす るよう, より大 きな イン セン ティブを提供す るこ とであ る。(b),傑

出した能力 の所有者を 誘引し 保持するこ とであ る。(C), さ らに , 広く会社の株主 と

彼等 との利 害を一致 させ るこ とでも乱 。The American Sugar Refining Company 

では,「 イン セン ティブ報酬制 度の 目的 は, 会社 の好成果に実 質的に 貢献する管理 職位お よび他の重要な 職位にあ る被傭者に より大きなイン セソ テ4 ブを 提供するこ 5)   とであ る」と述べてい る。    さらに, あ る食品 メーカ ーは,「会 社の収益力に最も貢 献する人 々に イソセソ テ ィブを提供することに よって, 株主の利益 と被傭者の安 泰を 促進す ること」を 目的

(6)

経 営 者 に 対 す る ボ ー ナ ス 制 度 の 構 造 と 実 態  田 41 と し , あ る 化 学 品 メ ー カ ー は , 「 被 傭 者 の 発 明 , 能 力 , 勤 勉 お よ び 忠 誠 心 に よ っ て 会 社 に 好 成 果 を も た ら し た り , 会 社 内 の 被 傭 者 の 利 益 を 一 層 増 進 す る た め に 顕 著 な 貢 献 を し た 者 に 対 し て , 普 通 株 か 現 金 と い う 形 で 報 奨 す る こ と に よ り , そ れ ら の 被 傭 者 に 付 加 的 報 酬 を 与 え る こ と 」 を 目 的 と し て い る 。 ま た , あ る 航 空 機 メ ー カ ー は , 次 の よ う に 説 明 し て い る 。 「 以 下 の 意 図 の も と に , 優 れ た サ ー ビ ス に 対 し て 特 別 の 報 酬 を 支 払 う こ と に よ っ て 好 成 果 を も た ら し , そ し て 会 社 内 利 潤 を 増 大 す る よ う 被 傭 者 に 一 層 の イ ン セ ン テ ィ ブ を 供 与 す る こ と 。 す な わ ち , ㈲ , 経 営 者 グ ル ー プ に 対 し て 利 潤 志 向 を つ よ め る こ と 。(b), 組 織 間 に 協 力 を も た ら す 態 度 を 醸 成 す る よ う 刺 激 す る こ と 。(c ), 有 能 な 人 材 が 会 社 に 定 着 す る よ う 鼓 舞 す る こ と 。(d ), 新 し い 有 能 な 経 営 者 を 惹 き つ け る た め に , 会 社 の 機 会 を 改 善 す る こ と 工 さ ら に , あ る 薬 品 メ ー

カ ー は,「 会 社 の 業 務 の 躍 進 と 収 益 力 に 最 も 貢 献 す る 経 営 者 や 管 理 者 達 (executivesand managerial personnel ) に 刺 激 的 報 酬 を 支 払 う こ と に よ っ て 株 主 の 利 益 を 増 進 す る こ と 」 を 目 的 と し て い る ○      −     。  し か し な が ら , 多 く の 制 度 は , そ れ ぞ れ 固 有 の 広 範 な 規 定 を 有 し て お り , 会 社 は , そ の 制 度 の も つ 固 有 の 機 能 に よう て , そ の 目 的 に お い て 明 ら か に 指 摘 し て い る こ と よ り も よ り 広 い 影 響 力 を 被 傭 者 に 与 え る こ と を 期 待 し て い る 。 た と え ば , あ る 重 機 メ ー カ ー は , こ の 制 度 へ の 参 加 は , 会 社 の 組 織 図 で 示 さ れ て い る 特 定 の 職 位 に 対 し て の み 許 さ れ る こ と を 明 ら か に し , そ れ に よ っ て , 被 傭 者 が そ の 特 定 の 職 位 に 昇 進 す る よ う つ よ く 剌 激 さ れ る こ と を 期 待 し て い る 。 ま た 他 の 会 社 は , 営 業 費 の 節 約 が ボ ー ナ ス 基 金 の 規 模 を 大 き く す る こ と を 指 摘 し , 効 率 的 管 理 の 必 要 性 を 強 調 し て い6 ) る 。

以上において明らかな ように, ボーナス制 度を採用す る企業は,経営者に

特別な刺激的報酬を与えることに よって,彼等をいかに モチベートするかに

最大の関心を よせてい るといって よいであろ う。そして,同時に企業は,必

らずし も固定的な俸給の調整や長期 のサ ービスに対する報奨を 意図するもの

ではなく,経営者の年度毎の短期的貢献を 評価す ることに よって,企業利潤

の配分に彼等を参加させ,究極的には,企業 と経営者との一体化を 増進する

ことを狙ってい るものと考えられる。もと よりそめことに よって,この制度

の目的や制度自体に内在する誘引・刺激・定着・報酬等 の諸機能に関連する

広範な効用もしくは影響を期待してい ることはい うまで 屯ないことである。

ところで ボーナス制度は,一般に取締役会においてそ の設定が決議され,

同時にそ の主要な構成や内容,すなわち,ボーナス0 種 類,基金の算定方法,

受給者の資格,支払形態,運営機関等が決定される。 しかし,ごく少数では

(7)

あるが,この制度 の基本的な構成内容が会社の附随定 款に規定 され,もしく

は,経営者の個別的な雇用契約の締結条件としてすでに取 締役会において設

定されてい るものもある。 

ボーナス制度の運営は,通常,取締役会が取締役の中から任命した委員に

ょって構成 される委員会一 普通は俸給とボーナス委員会,報酬委員会,ある

いは執行委員会 (executive committee

) などとよばれている一に よって行わ

れる。この委員会は,委員会の運営手続きや業務の遂行に必要な規定を時に

応じて設定 もしくは改廃し,さらに。受給資格者の中から受給参加者を選抜

し,個人に対 する支給額,支給時期・方法等を決定す るかな り強力な権限を

委 譲 さ れ て い る が , 会 社 に よ っ て は , そ の 業 務 が 確 定 し 次 第 取 締 役 会 に 報 告 7)

し承認を 求 める こ とが必 要 とさ れ てい る。 委員会 は, 通 常 ボ ー ナス の受 給に

8)

全 く参加 し ない2 人 以上 の者に よって構成 さ れる。 

ところ で,取 締 役会は ,大 部分 の州の制定 法に おい て ,基 本定 款 お よび肛

随定 款に特 別 な規 定 が ない 限 り,取 締 役であ るか否 かに 関係 な く役員お よび

従業 員 の報 酬を 決 定 す る権 限を与 え られ てお り,特 に 株主 の承 認を 求 める必

9)

要 はない とされ てい る。 しか しな が ら, 通常 ,取 締役役 員 が ボー ナス の受 給

資 格者に 特定 さ れ てい る場 合 が多 く,委員会 の ダンパ ーもそ の 例外で はない。

委 員会 の ノソバ ―が受 給資 格者 であ る場 合 は,そ の アン バ ーであ る限 りに お

い て受 給 す る権利 を 放棄 し, もし くはそ の権利を 停 止 され てい るに 過ぎ ない。

したが って ,委 員 会に おけ る受 給 参 加者 の決定 に 際し て, 利 害関係 者であ る2

人以上0 メ ンバ■

―が ,委 員 の年 度別交 代に よって 自己 以 外 の 決定を 行い,

結 果的 に 相 互に 助力 し合 うとい う交 互の議決(cross voting)を 行 うこと もあ

りえ ない こ とで はない 。 そ の場 合 ,取 締役会 もし くは委 員 会 が, 役員 の役務

に 対す る公 正 な判 断や 相 当 性を欠 き, または 過大 な ボ ー ナス の決定 に よって。

会社資 金 の贈物 (corporate funds gift

) を 与え るとい う 可 能 性 が生 じ ること

に な る。 事実 , こ れ まで ボ ーナ ス給 決定 の不 当性や不 合 理 性 が 株主に よって

10)

し ずしば 指 摘せ ら れ,一 般 株主 が 提 訴し た事 例はあ まりに も多 い 。 モ れ故 ,

「 非常に 優れた 立 派 な ボ ーナス制 度を 有 してい る会社 は , 通 常 , そ の制 度を

設定 し, また はあ る変 更を す る場 合に は, まえ もって 株主 と の関 係に 最 も細

U )

心 の注 意を は ら ってい る」 とい われ てい る。 

しかし なが ら, 他方, 1933年 と1934 年 の証 券取 引所法 に よれ ば, 株主 に対

(8)

経営者に対するボーナス制度の構造と実態 田  43 す る ボ ー ナ ス 制 度 の 情 報 は , あ る一 定 の 方 法 で 明 示 す る こ と が 規 定 さ れ て い る0 で あ る。 ア メ リ カ の 証 券 取 引 所 の い ず れ か に 上 場 し て い る 株式 会 社 は ,1933 年 法 また は1934 年 法 の 規 則 の も と で , 経 営 者 報 酬 の 諸 制 度 や 約 定 (arrangements )に つ い て , 証 券 取 引 所 な ら び に 証 券取 引 委 員 会 に そ れ ぞ れ 提 出 す る 登 録 書 に 記 載 す る こ と が 求 め ら れ て い る 。 そ れitt> 取 締 役 お よび 役 員 の報 酬や , 一 定 額 以 上 の支 給 を うげ る 被 傭 者 の 報 酬 と 約定 , ボ ー ナ ス, 利 潤ミ 分 配 , ス ト ッ ク ・ オ プ シ ョ ン 等 の 諸 制 度 の 約 定 な ど で あ る。 こ の よ うな 経 営 者 報 酬 の 提 示 は , さ ら にSEC 委 任 状 規 則 に よ り 株主 か ら 白 紙 委 任 状 を 求 ぬ る た め のproxy statement に お い て も要 求 さ れ , 経 営 者 報 酬 のす べ て の 重 要 な 事 実 を 明 ら か に す る こ と が 規 定 さ れ て い る の で あ る。  こ の よ うに み て く る と , 経 営 者 報 酬 は , 一 方 で , 大 部 分 の 州 の 制 定 法 に お い て取 締 役 会 の 権 能 の も と で 決 定 さ れ , 他 方 , 証 券 取 引 所 法 に お い て は , モ の報 酬 に 関 す る重 要 な 事 実 が 株 主 に 明 示 さ れ る とい う関 係 に あ るあげ て , い ず れ に せ よ, 報 酬 の基 本 的 事 実 の 隠 蔽 を 防 止 し, 株 主 関 係 の 良 好 な 維 持 に つ い て大 き な 関 心 が は ら わ れ て い る こ と は 明 ら か で あ る 。

1)Nicholas L. A. Martucci, Incentive Bonuses for Executives, Management Record, March, 1956, p. 82.2

)Dales s. Beach, Personnel バThe Management of People at Work, 1965,, p. 692.3

)Nicholas L. A. Martucci, ibid・,p. 82.4

)G. T. "Washington and V. H. Rothschild, Compensating the Corporate Executive,

vol. 1, 1962, p. 377・(Appendix X )・5

)G. T. Washington and V. H. Rothschild, ibid・, p. 398. (Appendix Z )・6

)Nicholas L. A. Martucci , ibid・, pp. 82−83.7

)G. T. Washington and V. H. Rothschild, ibid ・, pp. 355 −450.8

)Nicholas L. A. Martucci , ibid・,p. 84. サ ンプル62 制度 のうち57 制度は, ボ`

−ナスの受給に 参加しない2 人 以上の取締役に よって委 員会 が構 成 されてい る と い う。

9)G. T. Washington and V. H. Rothschild, ibid ・, pp. 225一226・10

) 拙稿,経営者報酬 と株主関 係に おけ る諸 問題(2),経営 論集第6 号,1977, 3. 19

一38 頁 参照 。11

(9)

July-August, 1959, p. 74

4.

受給資格者の範囲 

ボーナス制度の目的については,大部分の企業におい てかな りの類似匪が

み られたが,受給資 格者の範囲につい ては,制度に よってかなり大きな違い

がみられる。 たとえば,定款に よって,受給資格者を社長 と5 人 の副社長に

特 定してい るあ るタバコ製造会社のケースと,主要な経 営者 グル ープから,

工 場や販売地区 のス ーパーバイザー,専門職,技術 者等を含む約9700人の被

傭者に まで受給資格者を拡大してい るあ る農業機器製造会社の ケースとの間

1)

に は,かなり大 幅な相違がみられる。

このように,受給資格者の範 囲は企業に よってさ まざ まであ り,必らずし

も少数 の経営者グループに限定されているとはいいがたい。 これについてク

リストル(Graef s. Crystal

)は, 企業目的の達成に重要なインパクトを与え

るところの機会を提供された,義務と責任のあ る者 が受 給者 として適格であ

るとしながら 乱 その範囲を明確に区分することは容易ではない と指摘して

い る。しかし彼は,職務の違いや従業員の規模に よって受給資格の有無を区

分するおお まかな一定のガイドラインがあることを主張 してい る。その点に

つい て,彼の所説を要約すると次の通りである。 

まずその一つは,職務上の責任が,企業目的達成上二方向のイ ン パ ク ト

(two-way impact)に よって生じる者と,一方的なインパクトに よって生じる

者 とに区分することができるとい う。つ まり前者 のタイプは,企業 目的 の達

成にづい ての意志決定が,企業 の損益の増減に直接 重要な影響力を もち,企

業 の盛衰に大 きな責任を もつ職務であ る。そして後 者のタイプは ,最善の意

思決定を行い,一定 の職務にベストを尽す限り,企業に対 してなんらの損失

を与え ることはないとい う,一方的なインパクトをもつ職務である。企業は,

二 方向 めインパクトに責任を もつほんの若干名の被傭者 と,一方的なインパ

クトについ て責任を もつ大多数 の被傭者とに より構成されてい る。 前者が,

い わゆる受給資格を もつ典型的な被 傭者である。 

次の ガイドラインは,被傭者数に よる企業規模から,機械的に受給資格者

の範囲を設定することである。あ る調査結果に よれば,企業規模が拡大する

払つれて受給資格者の数もまた増加するが,しかし,企業 の仝被傭者に対す

(10)

経営者に対するボーナス制度の構造と実態 (1) 45

る受給資 格者 の比 率はむ しろ 低下す る。そ れは ,主要 な経営 者 の数 が ,企業

規模の拡大 に対 して比 例的 に 増 加す ることはあ り得な いか ら であ る。 一般 的

にい うな らば , 被 傭者 数 が25,000 人以上 の大 規模 企業 は ,典 型的 に 全 被傭者

の約1 % の者 に受 給資 格を与 え ,そ して5,000 人か ら25,000 人 未 満 の規 模 の

企業 は, 通常 全 被 傭者 の1 ∼2 ガ の範 囲の者に受 給資 格を 与 え てい るとい う○

しかし, これ ら の比 率は ,以 下 の4 つ の諸条件に よっ て調整 され る必要 かお

る。 

その一つ は ,受 給資 格者 の 比率は ,一般 に資 本集約 的産業 より労働 集約的

産業に おい て より高 くな る傾 向があ る。 資本 集約的産 業 に おい て は , しば し

ば一時に 多 額 の資 金 規模に 関 す る意志決 定が ご く少数 の経 営 者に 任 せら れる。

第2 に, 受 給資 格者 の比率は , 世 俗的 製品(mundane products )を 生 産す る

企業 より も高 度 な科 学 技術を もつ企 業に おい て より高 い傾 向 かお る。 第3 に ,

分 権的 組織構 造 の会 社 は,一 般 に 集権的会 社 よりも受 給資 格 者 の比 率は 高い 。

これは ,労 働集 約的 産業 と密接 な 関連 かお り,経営 の 意志 決定 が多 数 の経 営

者に 拡散 す る 傾向 かお るから であ る。第4 に ,一般 に 好業 績 の会 社 は,業 績

不 振の会社 より も受 給 資 格者 の比 率は 高い。 クリ ストル は ,概 ね以 上 の よう

な一定 のガイ ドライ ンを示 した後 次 の よ うに 結 んでい る。 す な わ ち,受 給資

格者の決定に 対 す る一 つ の アプ ロ ーチは,上 述 した ガイ ドライ ン の一つ であ

る全被傭者数 に 対 す る比 率を 目標 とし,包 含さ れ る職 位を 選 択 す る と同時 に

必要とさ れ る ボ ーナ ス基 金を 算定 しなけ れば な らない 。そ して ,そ の基 金 の

算出に 必要 とさ れる基 金算 定 の定 式(funding formura)は , 他社 と比 較対 照

2)

して基 金の適正 規模を 慎重に 考 慮す る 必要 があ る と。 

ところ で,上 述 の ガイ ドライ ンに おいて は ,受 給資 格者 の範 囲が より具 体

的に どの よ うな 職位 また は階層 に特定 せ られ るかにつ い て は ,な お 明らか で

はない。 こ の点 につ い て , ス ミス(Richard c. Smyth )は ,「会 社全 体 の利 溝

から生 み出 され る ボ ーナ ス基 金は ,主 とし て,そ の意 志決 定 と行 動に より会

社 の利 潤を 創 り出す た めに 最大 の役割を 演 じる ことの で き る経営 者に 報い ,

そしてモチ ベ ー トす るた めに 用い ら れるべ きであ る。 イ ン セン テ ィブ制度 の

他 の タ イ プ は , よ り 低 い 管 理 階 層 , 現 場 管 理 者 , 専 門 職 , 販 売 員 等 を モ チ ベ 3)

・トす るために 拡 大 す るご とが で きる」 と述 べ, ま た , マ ート シ(NicholasL.

A. Martucci)は , ボ ーナ ス制 度へ の参加資 格 は,

「 最 高経 営 者,高級管 理T

(11)

者 お よび 他 の 幹部 従業 員 (top executives, high-level

でadministrators and other         

4)key employees

)に 限定 され る」 と指摘 してい る。  

さら に, ビ ーチ(Dales s. Beach)は,「 イン セ ンテ ィブ ・ ボ ーナス基金 の

規 模 は ,直 接会 社 の利潤 額に関 連 す るも のであ るか ら, こ の基金 の分配にあ

ず か る資 格あ る経営 者は ,利 潤獲 得に つ い て責 任あ る地 位を 占め ていなげ れ

ば な ら ない とい うことは当 然 の理 であ る。 さ らに ,本来 イ ン センテ ィブ ・ ボ

ー ナ ス制度 は, 最 高経営 者(top management people )を対 象 としてお り, モ

してあ る程 度 まで中 間経営 者を 含 め てい る。 だ が実 際上 は,企業 に よって受

給 資 格者 の範 囲が一 定 してい るわけ では ない・

。 若 干の制 度は,一 定 額以上 の

年 俸を 取 得す る者を すべ て受 給資 格者に 特 定 し, 他 の制 度 は, 俸給構 造の低

位 の階 梯に 一定 の資 格 ライ ンを 設 定 し, そ してな お 他の 制 度は, 役員 お よび

事 業 部 長 (division heads ),・ ま た は 社 長 , 副 社 長 お よ び 部 長 (department     

5)

“heads

)を受給資格者として定めてい る」 と述べている。 

以上 のような説明からみて 乱 受給資格者の範囲は,事実上制度に よって

かな り大きな差異のあることがわかる。そこで次に,マ ートシに よる具体的

な調査結果を 亀とに,制度に よる受給資格者の範囲およびそれについての決

定基準についてみることにしよう。 

まず,マートシの調査した62制度のうち8 制度は,以下のように,役職名

に よる特定の職位を受給資格者に指定している。 a

……社長と5 人の副社長          び労使関係担当の社長のア

b ……取締役会会長,取締役会副会      シスタ ソト    

長,社長および 執行副社長   f ……複数の 執行役員 c

……社長お よび複数 の副社長    g ……12人の 役員 d

……執行役員および14人の部長   h ……社長を 除いた取締役と役員

e ……複数の副社長,秘書役お よ 

これらの制度 の中には,あらかじめ会社の附随定款に 役職名を規定してい

た り,委員会の運営に関する規定を設けてい ない ものが5 制度含まれている。

また上述 の制度のうちe とh は,社長を除外してい るが, かし雇用契約に う

たってあ れば社長もボーナス報奨を受け ていることにな る。 

残りの54制度は,すべて委員会に よって運営され,受 給資格の範囲は,上

述 の8 制度よりかなり広い階層に まで及んでい る。い くつかの制度は,資格

(12)

経営者に対するボーナス制度の構造と実態 剛  47 の 範 囲 に つ い て 明 確 な 基 準 が 決 め ら れ てい な い も の もあ る が , 大 部 分 の 制 度 は , 役 員 か ら 現 場 管 理 層 に 至 る 管 理 的 被 傭 者 や 一 定 の 俸 給 等 級 を 基 準 と し て 7) 決 め ら れ て い る 。 し か し , そ れ ら の 制 度 の な か に は , 勤 続 年 数 を 受 給 資 格 の 付 加的 要 件 と す る も の , 勤 続 年 数 を 唯 一 の 基 準 と す る も の , 自社 株 の所 有 を 要 件 と し てい る も の な ど特 異 な 制 度 も含 ま れ て い る。 制 度 の 受 給 資 格 範 囲 の 決 定 を 分 類 す る と12 の カ テ ゴ リ- に 分 け る こ と が で き る (第3 表 参照)。   第3 表 54 のボーナス制度における受給資格範囲  受給資格0 範 囲        制度数 役員,エ クゼキ ュテ ィブお よび幹部従業 員 役員とエ クゼキ ュテ ィブ, アド ミニストレ ーテ ィブ,監 督, 技術お よ び他の責任あ る地位にい る従業 員 月給の等級 年俸の等級 主要マネ ジメント と役員 役員,ヽエクゼキ ュ尹 イブお よび マネジメン ト候補者 役員お よび委員会に よって 選抜 された取締役でない従業員 役員,部長,職長お よび 監督  「価値あ る」従業員 役員お よび最低1 年 の勤続年 数 のあ る俸給従業 員 最低2 年 の勤続年 数のあ る従業員 役員お よび普通株を 所有す る従業員 CO CO 1   1 t o       1 に o LQ l-H I I 1 1 1 1

Nicholas L. A. Martucci, Incentive Bonuses for Executives, Management Record,March, 1956, p. 83.

最後に ,管 理階 層 の側面 か ら受 給資 格 の範 囲に 関 する 最近 の一 般的 傾向を

み るこ とに し よ ‰ 受 給資 格を もつ 階 層は ,本来 ポリシ ー・ メー キ ン ダ。

・ ダ

8)

ル ープと しての 最 高経営 者 層に かな りの ウェ イ トが おか れ てい た ので あ るが,

近年にい た って ,一 般に 中 間管 理者 層に 拡大 す る傾向を つ よめ ,さ らに 現場

管 理者層を も包含 す る企業 が多 く見 られ る ように な って きた。 そ し て,単に

最 高経 営 者階層 に 限定 す る企業 は ます ます 減少す る 傾向を 示 してい る。 この

よ うな事 実 は, NICB

が1947 年 と1959 年に 調 査 した ,そ れぞ れ の ボ ーナス制

度 のグル ープを 対 比す る場 合に 一 層明 らかであ る。 すな わち ,「1947 年に 調

査 された 制度に お い て,そ の30 % は ト ップ・マ ネジ メン トに 限定 さ れ,40 %

が ミドル・ マネ ジ メン ト まで拡大 し, そ して残 り のoU % は, す べて の マネジ

(13)

ボ 第4 表  経 営 者 に 対 す る ボ ー ナ ス 制 度74 の 主 要 な 規 定

−  ナ  ス  の  公  式

利 潤 に 連 結 し た  ボ  ー  

ナ  ス

資本に対する控除をしないで適用 し た 公 式

資本に対する控除をした後に適用 し た 公 式

配 そ

連 結 し

ボ ー ナ ス

合 の ボ ー ナ ス の 受 給 ト ト μ ツ プ ・ ブ  ネ ツ ー

他 計 格 者 メ レ  ト  の  み プ ・ マ ネ ジ メ ン ト と ミ ド ル ワ  一 合 マ ネ ジ メ ン ト ボ  ー  ナ  ス  の  配  分

マネ ジ メ ン ト

を も 含 め る

ボ  ー  ナ  ス  委  員  会  の  任  意 基  本  給  を  基  準  と  す  る 混合(部 分的には 委員会 の任意, 部 分的に は基本給) そ       の       他 合      計 ボ ー ナ ス の 支 給 方 ボ 賦 p 目 口 L U K       t n s

-George

据 法 ナ ス の 支 給 形 態

金 と 株

支 計

払     い     支w. Torrence ,Trends in E χecutive

給 Bonus 制  度  数 70 8 2 1 lO 1 34    7 5 8 14  5 1 7 8 2 7 7 45       7 7   7   4 i n t H I > -54 0 4 0 (M t C ^ 比率 (%) 94 40 2 7 24 100 7 8   7 15 100 8 4 9 9 7 100 7 37 2 100 3  707 7  202       1 Plans, Management Record ,9 )

February,

1960,

p.

13.      

9)

メン ト階 層(all management level)を 包含 してい た」 とい う。つ ま り, 受 給

資 格 の範 囲を ミドル と= − ワー・ マ ネジ メン ト階層に まで 拡げ た制度 は,全

体 の70% に 達し ていた わけ であ る。 

(14)

経営者に対するボーナ轟 竣 の構造と実態 (1) 49

ワー・マ ネジ メ ントに 拡げ られ , ト ップ ・マ ネジ メン トに 特定 す る制度 は 僅

10)

か に7 % にす ぎなか った(第4 表参照)

。 要 す るに , ト ップ・ マネジ メン トに

の み受 給資 格者を 特定 す る制度 の比 率は , ます ます低下 す る傾 向を示 してい

る のに対 して, 他 のマ ネジ メン ト階 層に対 す る制 度 のそ れは, 1947年 の70 %

か ら1959 年 の93 %に上 昇 して き てい る のであ る。

1)Nicholas L. A. Martucci, ibid ・, p. 83.2

)Graef s. Crystal, Financial Motivation for Executives, 1970, pp. 129−132.3

)Richard c. Smyth, ibid・,p. 69.4

)Nicholas L. A. Martucci ,Computing the E χecutive Bonus Fund, Man

α-gement Record, October, 1955, p. 390. ’5

)Dales S レ Beach, ibid., pp. 692 −693.6 )Nicholas L, A. Martucci, ibid., p. 83.7

) 第3 表に おい ても示 されてい るように, 俸給がボ ーナスの受給資格の基準とし て用い られ るケースは 決して少な くないo ス ミスは,「 私が知っているすべての 制度の約20 %は,受 給資格の決定におけ る一つの基準として俸給を用いている」 1)  と述べてい る。   また, クリストルは,俸給を含 めた 一定 の受給資格基準を 明白に示している若 干 の制度について説 明してい る。 それらの基準は,通常4 つ の型に分け られる。 す なわち,  1. Salary cutoff : 年 間20, 000 ドル, またはモ れ以上 の基本給を 取得する者。

2. Salary grade cutoff : 俸 給構造の職級18 またはそれ以上 の職級に 格付け さ

れた者。   ま Organizational cutoff : 社長の直接下位にあ る2 つ の階層に従業し てい る 者。  4.Combination cutoff : 職級16 またはそれ以上 の職級に 格付け され, かつ 組 織のト ップから2 つ 下の階層 までに従業し てい る者 は すべて含 まれる。   これらの型 のうち,1 ∼3 の型は, 個別的に 適用する場 合に種 々の問題かおる 2)  た め,最善の アプロ ―チは4 の型であ ると述 べてい る。   さ らに一定 の俸給額 と勤続期間を基準 とす る典型的な 事 例 と し てGeneral Electric Company の ボーナス制 度があ る。同社の報酬委員会が, 1958年に決定 した インセンテ ィブ報酬制度の管理 規則に よると,受 給資 格者 の選考基準を 次の ように 規定し てい る。 a . 当 該年 度末に,年 俸15, 000ドル または それ以上の俸給 を取得してい る従業 員。

(15)

b. 当 該年 度 の12月31 日までに ,少なくとも12 ヶ月勤続してい る従業 員。c. 12ヶ月 の勤続期間にみたない 場合で 乱 取締 役会の報酬 委員 会に よって特に 許可 された従業 員。  以上の規 則は,一定 の最低俸給額 と勤続期間を 基準 とし て受給資 格を定めたも のであ るが, 規則は さらに,こ の資 格に もとづいて, ボ ーナ ス制度に 参加する職 位を 次 のように規定してい る。a. 取締 役会会長, 社長 または 経営者(executives ) グル ープ の職 位にあ る従業 員。       しb. 取 締役会会長,社長 または 経営 者 グル ープに 直接報告 する職位に あ る 従 業 員。 C 。 俸給構 造の職級24 以上 の職位lノベルの従業員。 3)d. 会 社 の 役 員で あ る 他 の す べ て の 従 業 員 。 1)Richard c. Smyth, ibid., p. 69.   2

) Graef s. Crystal, ibid., p. 132・   3

)G. T. Washington and V. H. Rothschild, ibid・, p. 416.8

) ベ ーカ ーは, ボ ーナ ス制度の受給資 格者の範 囲につい て, 1935年に サンプル22  社の調査結果を発表してい る。それに よると,22 社 のうち7 社は,management control group, すなわち社長, 副社長お よび会社 の政 策決定に 対して責任のあ る役員を 含む1 人か ら6 人 まで の経営者に受給資 格を限 定していた とい う。そし て15 社は,それ らの経営者 のほかに多数 の被傭者を含め てお り,そ のうちの1 社 は, 150人以上 の被傭 者を包含していた といわれ る。ちなみに, これ らの会社の 受給資 格に 関する規則は, 通常 次の ように規定し ていた とい う。 すな わち,「受 給資格者は, 取締役会 お よび役員に よって決定 される被傭者で なけ れ ば な ら な い 」と。   John c. Baker,

Incentive Compensation Plans for E χecutive, Harvard Business

Review, Autumn, 1936, p. 47.9

)George w. Torrence, Trends in E χecutive Bonus Plans, Management Record,

February, 1960, p. 13.10

)犬トレソ スはに 彼 の分 析した サン プル74flJ度の受給資 格対 象者をofRcers and other key employees と特定して よんでい るが, それに つい ての具体的な管理階 層別職位を 次 のように説 明してい る。    ト ップ・ マネジメン トー経営 のトップの階梯に属す る役員で,社長,執行副社 長,副 社長がこれにあた る。      <    ミドル・ マネジメソトー トップの次の階梯にあ ってト ップに報告す る階層を 指 し, これには,職能部門の長(functional heads ) を含み, 部長(ないし 課

(16)

経営者に対するボーナス制度の構造と実態 剛 51 

長 )お よび工場長(department heads and plant manager )が 属する。大

規模企業 の場合には, ミドル・マネジメントもし くは 職能部門 の長に対す る 主 要な アシ スタン トを も包含 する。

ロ ーワ ―・ マネジッ ン トー 職能部門の長 の下 の階梯に あ る管理 職員 (supervi・ sary personnel ) を 指し, これには, 管 理者, 総 括職長お よび現場監督者 superintendent, general foremen and first-line supervisors) が含 まれ, そし て, そ の他の重 要な管 理職員お よび 専 門 的 職 員 (important admini ・ strative and professional personnel) もまたこの グル ープに含 まれる。George w.

Torrence, ibid., p. 14,

5.

基金 の算 定 

ボ' ナス基 金 の規 模は ,一 般に 会社 の年問 純利 益に も とづ い て決定 され る

が ,制 度に よって は ,配当 金,売上 高な どを 基 準 とし て行 わ れ る。 NICB

調 査結果に よる と, サン プル74 の制度 の うち7o 制 度(94 %)が, ボ ーナス基

金算定 の基 礎額を 企業 利 潤に 求め てい るこ とが 明らか に され てい る

( 第4 表参

照)

。 そ して, ボ ーナ ス基 金の算定 は , そ の大部 分 の制 度が , あ らかじ め定

め られた一 定 の定 式(formula)に よっ て行 われ る。 ス ミスに よる と,

( 現在,

経 営者 のイ ンセ ンテ ィブ ・ ボー ナス制度り 約3 分 の2 は ,一 定 の定式を 規 定

1)

してお り, そ して そ れは 増加 す る傾向にあ る」 とい う。

: ボーナス基 金算定 のた め の定式 は,多 くの場合 ,あ らか じめ 会社り 附随 定

款 に規定 さ れ, また は取 締 役会 の ボーナ ス委員 会 もし くは 報 酬委員 会等に お

い て決定 さ れる。 他 の若 干 の企業に おいて は,定 式を あ ら か じ め規定す るこ

とな く, そ の都度 取 締役 会 の任 意で ボ ーナス基 金を 決定 し , また は 株主総 会

の決議に よって 毎年 決定 す る。定 式を 設定 し ない 制 度 の場 合に は ,基 本的 に ,

会社 の利益 ,経 営状 態 ,同業 他 社 の活 動状 況 ,将来 の 展望 な どを そ の都度考

慮 して決定 す るこ とが でき , また予 知で きない 将来 の 不測 の 事態に 対 処す る

弾力的 な措 置を 可 能に す る とい う長 所を 有 してい る とい われ てい る。 しか し

な がら,一 方 で, ボー ナス制度 に 参加す る受 給資 格者 に 対し て は,定 式をあ

ら かじめ設 定し てい る方 がは るかに 強力 な イ ンセン テ ィブを 準 備す るこ とが

2)

でき るとい われ てい る。 け だ しそ れは, 積 極的に 企業 に 貢献 す る経 営者に と

って,不 確実 な 報奨に 対 す る より も,事 前に 告知 され てい る報奨を より確実

にす るた めに,一 層 つ よい 刺 激 とな るであ ろ うとい うこ と が考え ら れるか ら

(17)

である。 

ボーナス基金を算定する定式は,一般に会社 のproxy statement

や時に

は営業報告書に記載され,その内容が常に株主に対 して明示 されているのが

実情であ る。定式は,一定会計期間の利益が会社に ょってすべて違っている

ように,そ の内容についてぱ どれ一つ として同じものは見当らない。しかし。

定式 の基本的な原則的事項は全く類似している。それは,典型的には,会社

の純利益の増加が少なくとも一定 の基準額を上回り,かつ特定 の比率で株主

と受給参加者とに配分される金額に達するまで基金の算定が行われることは

ない とい う点てあ る。その基準額とは,正味財産,使用資本,株主持分もし

3)

くは他の会社業績の一定額の比率として限定される。

ところで,基金の算定は,定式の利用目的との関連でかなり複雑な種々の・

問題をかかえ てい る。たとえば,純利益の性格とそ の確定,会社と株主に対

する利益の留保 と定式 との関係, ボーナス基金の制限規定,利益の変化と定

式 との関係,塞 金の算定と課税問題等の諸問題であ る。そこで,以下それら

の問題を中心 として順次検討を加えるこ とにしたい。 

まず,定式 の利用目的であるが,それはお よそ次の三つにまとめることが

4)

できる。

・ 

(1) 当該年度におけ る会社 の業績を測定すること。 

(2) 会社の業績に加えて,部門や個人の業績を配慮し,当該年度にインセ

ンティブ制度の参加者に対 して報奨するために十分な基金を確保するこ

と○ 

(3) インセンティブ報酬が経営者に支払われる以前に,株主持分に対する

正当な利益を確認 し,そして株主と経営者間の公正 な配分を 求めること

に よって株主の利益を保 護すること。 十 

以上の目的を 達成するための定式は,株主と経営者との利潤分配関係をめ

ぐってすでにさまざまな態様において争われてきたとい う歴史的 背景のもと

に,経験的 ・実践的な所産として発達してきたものであ る。 

定式 の第1 日的は,会社の業績を測定することであ るが,それは換言する

と,会社の利 益(earning)を明確にすることを意味する。 基金の規模は,会

社の利益に 屯とづいて算定 されるのであるから,その利 益の確定は,基金を

算定す る定式に とって不可欠な問題であ る。しかしながら,その「利益上概

(18)

経営者に対するボーナス制度の構造と実態(1) 53

念 の定 義につ い ては, 会社に よって 必 ず し も一定 してい る訳 では ない。 そ れ

は ,利 益 の発 生に関 して経営 者 が直接 コン トp ―ル で き る場 合 と,全 くで き

ない 要 因に よって影 響 され るこ とがあ る。 た とえ ば ,価 格 変動 期に おけ る原

材料や 製 品 の在 庫 の決定 ,売上 高 の周期的 変 動, 投 資利 益 率 の変化 ,子会 社

の 利益 等 であ る。 こて)

よ うな状 況 のも とでは ,経 営者 の努力 に よって うみ出

さ れた 利 益 の部分 と,経営 者 の コン ト=・―ル以 外 の要 因に よって実 現した利

益 とは , 基 金 の算 定 基礎 とな るべ き会社 の利益 の なかに 混在 してい るこ とに

5)

な り, 事実 上 ,両 者を 区別 す るこ とは非 常に 困難 であ る。 そ れ故 ,企業 に よ

っては利 益 の 発生に 関す る要 因を 無視 し て会社 の利 益を 基 金算定 の対 象と し

てい る。 しか しな が ら, 本 来, ボーナ ス制度の 契 約 の 目的 は ,丁経 営者 自身

6)

の 努力に よ

っ て産 み出 され た利 益 の分 前を経 営者 に与 え るこ とであ る」 とい

う観点 か ら みれ ば, 会社 の経 常的 な営業 活動 か ら得 られ ない 資 本利 得 また は

他 の利 益 の分 前を 経 営 者に 報奨 と して与 え ること は, 正 当 性を 欠 く行為 であ

るとい わ ざ るを えない 。 と もあ れ ,基 金算定 め対 象 とな る利 益 の確定 は, 会

社 , 株主 お よび経 営者 との間 の利 潤分配 関 係に おい て, 非 常に 複雑 であ り,

また 議論 のあ る問 題であ る とい え よう。 

第2 の 目的 は,特 定年 度 の業績 に関 す る種 々の局面 を 考 慮 す ると ともに,

受 給参 加者 に対 して適疋 に 報奨 でき る よ う十 分 な規 模 の 基金を 準 備す ること

で ある。 もし, 定式 に よらず 雇用 契約 に よっ て報奨 額 が 自動的 に 決定 される

とい うヶ ― スを 含 める とす るな らば, 基金総 額は, 会社 , 部 門お よび個人 の

そ れぞ れ の業 績 か ら得ら れた も のであ る とはい え ,個 人 に対 す る報 奨の総 額

と なる。 

第3 の 目的 は ,株主 持分 に対 す る正 当 な利益 を ボ ー ナス支 払以 前に 確認す

る ことが うた わ れてい る。 これ は, 換言す れば ,基 金 の 決定に 際 して ,利益

に 対 し て定式 を 適用す る以 前に, まず 資 本に必 要 とせ ら れ る金 額を 利 益か ら

控 除 す るこ とに より, 株主 の利 益を 擁 護す る とい うこ とを 意 味 してい る。 ボ

ーナス基 金の 決定以 前に 資 本に対 す る利益 の一 定 率 も し くは一定 額を 事 前留

保 す るとい う方 式 は,経 営 者 の諮意的 な ボーナ スの取 得 を め ぐ る過去 の多数

の 不 祥事 件を 背景 と して,最 近一 層重 視 され る よ うに な って きた。 NICB

の 調査 結果に よる と,かか る制 度は ,1947 年 に 全調 査対 象制 度 の36

% であ った が, 1959年に は ,そ れが65 %に上 昇 し てい た こ とが 明らかに さ れ

(19)

i:〉

てい る。 同 じ くNICB

の調 査結 果に よる と,サ ンプ ル70 制度 の うち52 制 度

(74. 3%)が資 本に 必要 とさ れ る金 額を , 定式 が 適用さ れ る以 前に 利 益か ら控

除 す るこ とを 規定 し ,他 の18 制 度(25.7%)は,定式 が 適用さ れた 後の利 益

か ら資 本に 要 す る金 額を 控 除 し てい る。 そ して , ボー ナス基 金に 割当 てら れ

る利 益 の比率 は, 最高 が25 %であ るが大 部分 の制度 は4 ∼i-O% に 集中し ,最

も多い 制 度数 は10 % となってい る。 そ して, 前者 の方式 の グル ープにおい て>

ボー ナス基金に 割当 て られ る利益 の 比 率が 高 くな る 傾向を示 し て い る( 第5

表参照)

。 な お,定式 が 適用さ れ る以 前に ,課 税 前純利益 から資 本に 必要 とさ

第5 表 利潤に対する基金の比率

利潤に対するボー

ナス基金の比率

利潤から資本

に対する控除

をしない制度

数1)

潤から資本

に対する控除

を す る 制 度

数1 )

制 度 数

制度の比率

1    

2    

3    

4    

5   

・ 6    

皓    

7    

8   

10   

12   

肘   15 

20   

25

次第に低下する

次第に上昇する

モ  の  他

1

1

2

3

2

2

1

− 

3

一 

1

− 

2

一 

I 

5 

1

− 

3 

2

15

4

2

3

1

1

4

6

4

1 

1 

2 

4 

7 

3 

1 

3 

2

18 

4 

2 

4 

1 

1 

4 

8 

4

1.4 

1.4 

2.9 

5.7

10.0 

4.3 

1.4 

4.3 

2.9

25.7 

5.7 

2.9 

5.7 

1.4 

1.4 

5.7

11.5 

5.7

合   計

18

52

70* )

100.0

( 注)1 ) ボ ー ナス基金 の 決定に おい て。       十    *) 残 さ れたA% \\度 の うち,1 制 度は配 当 金 と連 結さ れ,他 の3 制度 は取 締役 会 の任意 に よって ボ ー ナス基 金 が決 定さ れた。 

(20)

経営者に対するボーナクヽ制度の構造と実態 田  55 れ る金 額を 留保 す る 比 率 は , 大 部 分 の 制 度 に お い て お お む ね5 ∼10 % であ り , そ の純 利 益 の 残 額 の7 ∼-10% の 範 囲 が 平 均 的 な ボ ー ナ ス基 金 で あ る とい わ れ 8) てい る。  と ころ で ,そ れ ら の方 式 は ,い うな れ ば 株 主 持 分 の正 当 な 利 益 を 保 護 す る と と もに , 経 営 者 に 対 す る イ ン セ ン テ ィ ブ の手 段 を い か に 合 理 的 に 決 定 す る か とい う利 潤 分 配 の 適正 化 の 問 題 に 帰 着 す る も の とい え る。 した が っ て , 制 度 に よ っ て さ ま ざ ま な 方 式 の 違 い は あ っ て 乱 そ れ ら の 方 式 の 目的 に は 自 ら か な り の 類 似│生か あ る と み な け れ ば な ら な い 。 そ こ で , 以 下 か か る方 式 に 関 す る実 態 に つ い て , マ ー トシ の 調 査 結 果 を 手 が か りに さ らに 詳 し ぐ 検 討 す る 9 ) こ と に し よ う 。

マー斗 シによると,ボーナスの基金規模は,会社の財務方針,資本構造,

制度の実施目的,個人 のボーナス額に対して特に設定されている上限額等に

よって策定されるが, それは上述のNICB

の調査結果に みられたごとき二

つの方式に よって算定される。すなわち,(1),当該年度の会社 の純利益から

資本に必要とされる金額を控除した後 の残額から基金を算定する方式 と,(2),

資本に必要とされる金額を控除する以前の会社の純利益から基金を算定する

方式であ る。サンプル62制度のうち45制度は,(1)の方式に 属し,残りの17制

度は,(2)の方式に 属してい る。 

ところで,(1)の方式に属してい る諸制度は,資本に必要とされる金額を算

定する際に使用される計算基準を 明確にしている。資本に必要とされる金額

とぱ,社外発行優先株に対す る配当金,投下資本に対する利益,剰余金勘定

の利益,社外発行普通株に最低限必要な配当金等を まかなうために要する金

額であ る。そして,資本に必要 とされる金額はニ株主 と会社の利益を擁護す

るために,次のような明確な計算基準に よって確保され る。すなわち,ボー

ナス基金は, 会社の正味財産(net worth), または会社 の資産総額, または

会社の市場価値, または株主め投資額,もしくは連結生産資本額(consolidatedmanufacturing capital)

等のそれぞれに要する定率部分を利益から控除した後

の余剰額がある場合に のみ定式 が適用され決定されるのであ る。 しかし,制

度によっては,かかる計算基準が極端に簡素化され,特定の利益額が獲得さ

れた場合に のみ資本に対す る額を一部留保するとだけ規定してい るケースや,

社外発行株式i 株当りの一定額が,定式 適用以前に利益から控除されなけれ

(21)

ば な ら な い と 規 定 し て い る 制 度 も み ら れ る 。 以 下 ,(1)の 方 式 に 属 す る 典型 的 な 若 干 の制 度 に つ い て そ の 実 態 を み る こ と に し よ う。   ㈲, 消費者用 のソフト商品 /− カー。この会 社の制度は,1938 年 に採択 され,1952  年に 改正 された。 ボーナス基金は。社外発行優先株の配当 金総 額,普通株 の額面 額 合 計の5 柘 %お よび会社 の剰 余金額 の5 循 %の総 合計額を ,資 本に 必要 と さ れ る 金 額とし て利益か ら控除した後 の残 りの利益 の10 %を 限度 とする 旨規定し てい る。 (b),銅採 掘会社。 この会社 の制度は, 1951年に採 択 された 。 ボーナス基金は,社外 発 行株式1 株当 り1. 50 ドルの金額を, 連結純利益か ら控除 した 後 の残 額の10% まで の範 囲であ る。(c),波形紙 器メ ーカ ー。こ の会社 の制度は, 1940年に 採択され,そ の後変更す ることな く今 日に至 ってい る。イン セン テ ィブ基金は, 連邦所得税 と超 過所得税(excess profit tax) を課 され る以前 の連結純利 益 か ら, 発 行 済 株 式 (capital stock) の60%に等しい 額を控除した後 の残額 の15 % とし て算定 され る。 (d), 航空 機の装置とエ レクト1==・ニ クスの組立 メーカ ー。こ の会社 の制度は, 1952年 に 採択 された。 イッ セソテ ィブ基 金は,使 用資本 のO /o, 社外 発行優先株に対 する 未払配当金お よび連邦所得税と超過所得税 の引当金総 額とを控除 した後 の荒利益 の b Toを 限度 とす る旨規定し てい る。 ㈲, タバ コ製品 メ ーカ ー。 この会社 の制度は, 1912 年 に採択 され,1951 年に 改正 された 。イン センテ ィブ基金は ,純利益から資本 に 必要と され る金額1500万 ドルを 控除した後の残額に価 格変動率(sliding percen ・ tage scale) を 乗じた 額とな る。(f),基 礎鋼 材メ ーカ ー。 この会 社 の制度は,1917  年 に採 択 され,1936 年に 改正された。資 本に 必要 とされる金 額は い金庫株を除 く社 外発行優先 株に対 する配当 金に限 定されてい る。 ボ ーナ ス基金は ,これ らの配当金 を 控除 し, さらに一定 の減価償却費を 引当てた後 の連結純 利益 の5 %とし て算定 さ れ る。なお, マ ートン が例示 した 以上 の諸制度 の他に,た とえば ,フ ォード・モ ー タ ー社は, 使用資本の10 %を 課税前の純利益か ら事前に 控除し, 残額の6 %を ボー 10)  ナス基金 とし てい る。 また, ジェネ ラル・モ ータ ーズ社は ,自己 資 本(net capital)  の5 %を 純利益 から控除した 後の残 額の12%を ボーナス基 金 とし てい る。ただしそ れは ,当 該年 度中に 会社の普通株に配当金 とし て支払 われ る金 額を 超過してはな ら 11)  ない と規定してい る。 また, コンテナー社 の制度は,純利 益か ら当 該年 度の期首の

自 己 資 本 と 剰 余 金 (capital stock and surplus ) の 合 計 額 の6 % に 等 七 い 金 額 を 控

12)

・ 

除した後の残額の15%がボーナス基金となる規定している。 

ボー ナ ス基 金 の算定 方式 は,上 述 の諸 制度を み て もわ か る よ うに ,制度に

よっ て かな り大 きな違 い があ る。 そ の理 由に つい て, パ ットン

(Arch Patton)

は ,そ れ は 事業 固有 の経 済状 態 , ボー ナス制度 の 参 加者 数お よび俸 給構造 の

相対 的 妥 当 性に もとづ い てい る ものであ り, 結果 とし て「 正 常」 な ボ ーナ ス

(22)

経営者に対するボーナス制度の構造と実態 倒  57  13) の 定式 に つ い て の 一 般 化 は , 実 際 に 無 意 味 で あ る と 述 べ て い る。  次に ,(2)の 方 式 に 属 し て い る 諸 制 度 は , ボ ー ナ ス 基 金 の 算 定 前 に 資 本 に 必 要 とさ れ る 金 額を 控 除 し な い とい う ヶ − スで あ る。 し か しな が ら , ボ ー ナ ス 基 金 の算 定 方 法 と会 社 の利 益 に つ い て の 定 義 は , 株 主 に 対 す る利 益 の 不 均 衡 な 配分 を 防 止 し , 株 主 の 利 益 を 確 実 に 擁 護 す る こ とを 意 図 し てい る 。 また , そ れ ら の17 制 度 に お い て は , 資 本 に 必 要 と さ れ る 金 額 に つ い て 特 別 な 説 明 や 基 準 は 省 略 さ れ てい る が , 算 定 方 法 に お い て 間 接 的 に そ れ ら が 留 保 さ れ る こ とを 規 定 し てい る。 以 下 ,(2)の方 式 に 属 す る 若 干 の制 度 の 実 態 に つ い て み る こ とに し よ う。   ㈲, ボーナス基 金は, 減価償却費を 控除し,そして連邦 所得 税と州所得税を 控除 する以前 の荒利益が300 万 ト レを超過した場合に,そ の超 過部分 の3 凭 % までに限 定してい る。(b), イン セン テ ィブ基金の総額は,年 間利益 の15 %を超え るものでは ない。社 外発行株式に対す る配当金が√現金もし くは財産 で支払 うこ とがで きない 年度におい ては,い かな るイン セン テ ィブ基金も支給は見 合わさ れる。(C),会社 の 利潤 が投下 資本のO %を超えなければ,いかなるインセン テ ィブ基金も支 給されな い。そ の基金は, 参加者の基 本給に関 連して算定される。 すなわ ち,利益が投下資 本の8 %以上13 % 未満であ る場 合ぱ,各人 のパーセンテ ージ・ ポイントで計算され る俸給の2 % の率で算定 され,利益が投下資本 の13%以上 の場 合に は,各人のパ ー セソ テージ・ ポイントで計 算される俸給 の3 %で算定され る。そ の基金総額は,参 加者全員に 支給 され る年 間の基本給総 額の50%を超えては ならない 。(d), ボーナ ス 基金は,連邦所得 税を 控除 した後の年 間利 益の7 %であ ると規定してい る。(e), ボ ーナ ス基金は,所得 税額控除 以前の粗利益の3 循 までが限 度であ り,粗利益は, 減 価償却費と売上 高調整に 必要な額を 差引いた 額で300 万ド ルを 超え る額であ ると規 定してい る。(f), 所得税を 差し 引いた後 の利益が社外発 行普通 株式1 株当 り1 ドル 以下にな る場 合には,い かな るイン セン ティブ基金も支 給 されない 。その基金は , 課税後 の1 株当 り利 益に関 連し て算定される。すな わち, 1 株当 り1 ドル以上2 ド ル未満 の利益に対 しては12 セント,2 ドル以上3 ドル未満 の利 益に対 しては8 セソ ト・3 ド ル以上4 ド ル未 満の利益に対し ては5 セント,4 ドルを 超え る利益に対 し ては1 ド ル毎に3 セント の率で計 算され る。その基金は, 課税前 の年間利益総額の 0 7oを 超えては ならない 。  以上 述 べ た 諸 制 度 の方 式 は , そ れ ぞ れ ボ ー ナ ス 基 金 の最 高 限 度 額を 定 め , また , 純 利 益 , 粗 利 益 , 基 本 給 ,1 株利 益 等 と の関 連 に お い て そ の 基 金 の算 定 を 行 な っ て い る。 し か し こ の な か で ,(f)の ヶ − ス は, 1 株 当 り利 益 額 の 増

(23)

加に対 してボーナス基金額は逓減する関係にある。利益に対 するボーナス基

金算定 の比率または定額が一定ではな く,利益 の増加にっ れてそれが増減す

るとい う定式は決して珍しい訳ではない。第5 表についてみると,全体の17.2

%の制度がこのよう な定式を用いてい る。そこで次に,上述のケースと同じ

くマ ートシのあげてい る3 つの典型的な ケースについ てみることにしよう。

(a), インセンティブ基金は,課税前の年間利益が230 万ドルを下回る場合

には支給されない。会社は次の ような定式を適用してその基金を算定する。

年間利益が300 万ドル未満の場 合はそ の7 %

年間利益が300万ドル以上350

万ドル未満の場合はそのQ O/ 年間利益が350 万ドル以上 の場合はその9 が。

インセンティブ基金は,所得税引当 金を控除する以前 の利益から算定される。(b),

1550万ドルの資本に必要とされる金額を控除した後に,インセンティブ

基 金は次の比率で算定される。 最初の600 万ドルに対 してはc; 0/

次の270

万 ドルに対 しては4 %, 次の270 万ドルに対しては3 %i また次の270 万ド

ルに対してはO 0/ そ して年間純利益との差額に対しては1 %。(-),インセ

シティブ基金は,資本に要する金額,すなわち, 優先株の配当金額と普通株1

株当 り最低6 ドルの合計額を年間純利益から控除した後,次の定式で算定

される。社外発行株式1 株当り6 ∼6.99 ドルの場合は利 益 の2 植%, 8∼8.99

ドルの場合は利益 の3 晦% ,9 ∼9.99ドルの場合は4 %,10 ∼10.99ド

ルの場合は利益の4 凭 %,11∼11.99 ドルの場合は利益 の5 %,12 下ル以上

Ja

14) の 場 合 は 利 益 のO /o 。

ところで,大部分の制度は,会社の利益に一定の定式を適用することに よ

うてボーナス基金総額を確定し,同時にそ の上限を設定しているが,制度に

ょっては,さらに特別 の規定を設け て受給参加者に対す る支給額に一定の制

限を設げ てきびしく規制してい るケースがみられる。 マートシに よると,サ

ンプル62制度の うち36制度がその ような特別規定をもってい るとい う。以下。

その典型的な二つ のケースについ てみることに しよう。 1

つは,ある中規模の鉄鋼加工会社のケースであ る。 ボーナス基金は,資

本に要する金額を控除した後の課税前利益の10%に制限されている。 しかし

この会社の特色は,受給参加者に対す るボーナスの支給額に関しても特別な

制限規定が設げ られてい ることであ る。この規定によると,受給参加者は,

各人 の俸給の60% を超えるボーナスは支給されず> また各参加者に支給され

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