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遠隔共有仮想空間における多人数歩行システム

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Academic year: 2021

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遠隔共有仮想空間における多人数歩行システム

藤田 欣也

下地 崇

東京農工大学工学部情報コミュニケーション工学科

同大学院工学研究科

‡ 1. はじめに 計算速度の向上により3次元仮想空間の構築が容易に なったことや,高速ネットワーク環境の普及をうけ,共 有仮想空間内でコミュニケーションを行うシステムが開 発されている[1].さらにネットワークを介した歩行感覚 の共有などが報告されている[2].歩行可能な共有仮想空 間の応用としてと,高齢者のための在宅歩行訓練装置な どが考えられるが,従来のシステムは歩行運動を相殺す る大型の装置を使用しているため,在宅での使用や多人 数での空間共有には適していなかった.本研究では,簡 便なハードウェアで仮想空間内での円滑な移動を実現す る足踏み式空間移動インタフェース”WARP”を使用し,予 測によって低頻度の通信による円滑なアバタ歩行を実現 した,多人数空間共有歩行システムを開発したので報告 する. 2. システム設計 2.1 通信モデル 地理的に離れているユーザ同士で仮想空間を共有する には,様々な情報を互いに共有する必要がある.本研究 では,図1のように全ユーザの状態を管理するサーバを 介して,各クライアントがデータをやり取りする,サー バ/クライアント方式を使用し,トラフィック軽減のため に,仮想環境の情報は各ユーザに予め配布しておき,位 置や速度等のユーザ情報のみの通信をおこなった. 視点移動+ アバタアニメーション サーバ 位置・速度等 他ユーザ情報 ・・・・ ・・・・ 図 1 通信モデル.サーバは各ユーザの位置や速度情報を 収集配信し,クライアントは遠隔ユーザのアバタを表示. 2.2 クライアント・システム クライアントでは,1)歩行インタフェースを使用して, 仮想空間を移動し,2)通信時刻になっていれば,その情 報をサーバに通知し,3)遠隔ユーザの情報を獲得する. そして,4)受信した情報から遠隔ユーザの位置・方向・ 速度を予測,5)アバタの歩行アニメーションを含め仮想 空間を描画する.以後,この一連の処理を反復する. 仮想空間を移動するときに,より現実感を高めるため には,操作のための動作が実際の歩行に類似しているこ とが望ましい.そこで本研究では,雨宮らが提案した足 踏式空間移動インタフェース“WARP”[3] に方向転換機 能を追加した改良型 WARP を使用し,実際の歩行動作に近 い仮想空間移動を実現した(図2). 図2 足踏み式空間移動インタフェース WARP と遠隔共有 仮想空間内アバタ歩行アニメーション 通信には TCP/IP を使用し,位置,速度,曲率等1ユー ザあたり 30 バイトのデータを送受信した.歩行アニメー ションは,支持脚と体重心の位置関係から,あらかじめ 各関節角度を定めておくルールベースで生成した. 2.3 遠隔ユーザの状態予測と補間 インターネット等においては,通信遅延の補償が無く 変動も大きいことから,遠隔空間共有において,アバタ の位置や方向に誤差が発生し,ユーザに違和感を与える 可能性がある.不自然さを与えてしまう.そこで本研究 では,次のデータ受信時刻におけるアバタの状態を予測 し,現在の状態と予測状態の間を補間することで,アバ タの遠隔なアニメーションを実現した. 2.3.1 遠隔ユーザの状態予測 (1)直進予測法 図2のように,遠隔ユーザは,サーバから送信された 速度,方向のまま直進すると仮定し,次の受信時刻にお けるアバタの状態を予測する方法である. (2)曲率予測法 直進予測法の場合,他ユーザが曲がりながら歩行する と位置や方向の誤差が増加する.そこで,図2にように アバタの移動経路の曲率を用いることで,遠隔ユーザの 位置,方向を予測する.曲率を使用することで,予測誤差 の軽減が期待されるが,歩行や足踏みは全身運動である ため,身体方向の計測誤差による変動は避けられず,逆 に予測誤差が増大したり,ユーザに違和感を与えたりす る可能性もある. 2.3.3 遠隔ユーザの状態補間 低頻度での通信で,誤差を減少させ円滑なアバタアニ メーションを行うには,次の通信時間までアバタの状態 を補間し描画する必要がある.本研究では,以下の 3 つ の補間法について比較検討を行った. 図4において,p をデータ受信時刻0 t における遠隔ユ0 ーザ位置, ˆp を1 p から予測した時刻0 t における位置とす1 る.さらに,時刻t における遠隔ユーザの実際の位置を1 1 p ,次のデータ受信時刻t における予測位置を2 ˆp する.2 Multi-user walk-through system in shared virtual space over

network

†‡Tokyo University of Agriculture and Technology

4−7

(2)

1 p と ˆp のように,アバタの状態と他ユーザの実際の状態1 に誤差が生じた場合,誤差を修正しながら,アバタを移 動させる必要がある. (1)線形補間法 誤差を修正する方法として,最も単純な方法は図4(a) のように,アバタを現在位置 ˆp から,次の時刻1 t におけ2 る予測位置 ˆp に到達するように直進させる線形補間法で2 ある.この方法では,アバタは確実に予測位置に到達す ることができ,位置の誤差を減少できる反面,アバタは 急激な方向転換を伴う折れ線状の移動経路をとる. (2)エルミート補間法 2つ目の補間法として,エルミート曲線を利用する.曲 線の始点を現在の位置座標,終点を予測位置座標,始点 の接線ベクトルを現在の速度ベクトル,終点の接線ベク トルを予測速度ベクトルとし,次の受信時刻までに予測 位置,方向に一致するようにアバタの移動経路を描くもの である.エルミート補間法では,データ受信時刻t にお2 いて,アバタの位置と方向は予測状態と一致するので, 位置と方向の両方の誤差を修正できるが,移動経路は3 次の曲線となるため,アバタは蛇行する. (3)方向一致法 さらに図 3(c)のように,次のデータ受信時刻t におけ2 る予測方向と一致するようにアバタを回転させる,方向 一致法を考案した.この方法では,状態p と1 ˆp のよう1 にアバタの位置と実際の遠隔ユーザの位置に誤差が生じ た場合,次のデータ受信時刻t において遠隔ユーザの予2 測方向と一致するように,アバタの方向を回転させて方 向誤差を修正する.さらに,ユーザが違和感を感じない 範囲でアバタの位置を徐々に平行移動することで,位置 誤差も漸近的に解消する方法である. 3. 評価実験 3.1 通信負荷の検証 CPU に Xeon-1.5GHz を2台使用したサーバならびに, 100Base-T を用いた LAN で接続された計算機 10 台を用い て,多数ユーザ接続時の負荷を検討した.クライアント 用計算機 1 台につき,OpenGL による描画部分のみを削除 したクライアントソフトウェアを通信時間間隔 0.8 秒で 10 同時実行し,100 クライアント同時接続時のサーバ試 験をおこない,サーバの正常動作を確認した. 3.2 予測法と補間法の評価 WARP を用いて仮想空間を歩行し,アバタの様子を直進 予測法と曲率予測法補間法の 2 種類の予測法と,単純位 置合わせ法,エルミート補間法,方向一致法の 3 種類の 補間法を組み合わせて表示する.ここで,どの組み合わ せが実際の動作をより再現しているかを調べた.実験環 境は,通信環境は 100mbps で,通信間隔は 0.05 秒∼3.2 秒まで段階的に変化させた.試験用歩行路は下記のよう なものである. ・全長 90m,道幅4m ・カーブ:90°x3,30゜45゜120゜135゜150゜各 x2 図 4 は曲率予測法を使用した時の各補間法での位置と 方向の誤差の平均値である.通信間隔 1.6 秒以上では位 置誤差が 0.3mを越えるため,通信間隔はトラフィック 軽減の観点から 0.8 秒程度が適しているものと見られる. このとき,線形補間ではやや位置と方向の誤差が大きく, し,エルミート補間,方向一致法で誤差が小さい傾向が 見られた.また,線形補間よりも曲率補間で,若干誤差 が小さい傾向が見られた. 曲 率 予 測 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.05 0.1 0.2 0.4 0.8 1.6 3.2 通 信 時 間 間 隔 (s) 位 置 誤 差 (m ) 曲率予測 0 5 10 15 20 0.05 0.1 0.2 0.4 0.8 1.6 3.2 通信時間間隔(s) 方 向 誤 差 (d eg .) 線 形 補 間 方 向 一 致エルミート 線 形 補 間 方 向 一 致 エルミート 図5 曲率予測時の各補間法での位置誤差と方向誤差 また,別途おこなった心理物理実験においては,アバ タの歩行経路が蛇行するエルミート補間よりも方向一致 法の方が,以上より,自然なアバタ歩行アニメーション のためには,予測誤差の低減だけでなく,進行方向の変 動の抑制が重要であることが示唆された. 4. まとめ 足踏型移動インタフェースとネットワークを利用し, 遠隔共有仮想空間における多人数歩行システムを試作し た.適切な予測・補間をおこなうことで,1秒程度の体 頻度通信でも自然な歩行アニメーションが可能であるこ とが示された.よりコミュニケーション性の高いシステ ムとすることが今後の課題である.なお本研究の一部は 総務省戦略的情報通信研究開発推進制度によるものであ る,ここに記して感謝する. 参考文献 [1] 野間,矢野,宮里,岩田,“ネットワーク接続され た歩行感覚提示装置による協調歩行感覚の提示”,イ ンタラクション 2000 論文集, 147-148(2000) [2] 矢野,葛西,斉藤,岩田,“ロコモーションインタ フェースによる歩行感覚の共有”,ヒューマンインタ フェース学会論文誌,4(2), 27-34(2002) [3] 雨宮,八木,塩崎,藤田,渡部,“足踏式空間移動 インタフェース(WARP)の開発と評価”,日本バーチ ャルリアリティ学会論文誌,6(3),221-228 (2001) 図3 線形予測法と曲率予測法 図4 (a)線形補間法,(b)エルミート補間法,(c)方向一致法,による アバタ位置の補間(

ˆp

1

から

ˆp

2

までを補間) C C P1 P1L 0 P 0 P :時刻  における遠隔ユーザ位置t0 :時刻  における線形予測位置 L P1 t1 :時刻  における曲率予測位置t1 C P1 C :時刻  における曲率円t0 ^ ^ ^ ^ 予 測 位 置 に直 進 させ る 0

P

1

P

0

P

1

P

(a) (b) (c) エル ミート曲 線 により補 間 方 向 を 一 致 させ る さらに平 行 移 動 で 位 置 を修 正 2

P

^ 1

P

^ 2

P'

2

P''

0

P

1

P

0

P

1

P

2

P

^ 1

P

^ 0

P

1

P

0

P

1

P

2

P

^ 1

P

^

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参照

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