はじめに−これまでの発表と本について考える単元(系統)− 本誌第 28・30 号において、本について考える単元「日常の読書生活を見つめ直そう」「本 や文章を主体的に読み、読書会で読みを広げる子どもの育成」を報告をした。そこでは、読 書論を読むことが読書論を書くことにつながり、書くことで自分の読書生活を見つめ直すこ とができる、読書会をしたことで、読書会自体と読書意欲が高まったという成果が上げられ た。一方、読書会をしたことで、話す・聞くことを通した交流は十分できたが、話す内容が 稚拙だったり会が深まらなかったりした点が反省として挙げられた。 今回は、これまでの課題も踏まえて、本について考える単元を構想し、第 5・6 学年で実 践したものを報告する。本を読み、紹介するときに引用することのできる子どもの育成に取 り組んだ。 光村図書平成 27 年度版の教科書には、本自体を取り上げ、本そのものについて考える単 元「本は友達」が全学年に位置付けられている。5・6 年だけ紹介すると以下のようにな る(注 1)。 (平成 23 年度版の教科書も同様である)
引用して伝記や写真絵本を紹介しよう
―付けたい力を明確にした、第 5 学年「広がる、つながる、わたしたちの読書」
(千年の釘にいどむ)第 6 学年「私と本」(森へ)の複式学級における実践を通して―
船 津 啓 治
第 5 学年「広がる、つながる、わたしたちの読書」内藤誠吾「千年の釘にいどむ」[著 作権について知ろう]帯やポップなど読書広告の仕方を知り、友達に本を薦 める。 第 6 学年「私と本」星野道夫「森へ」[施設を利用して、本の世界を広げよう]これま での本との出会いや関わりを振り返り、自分の読書傾向を掴み、心に残る一 冊を文章にまとめる。1 単元 引用して伝記を紹介しよう 2 子どもの実態 本学級の子どもたち(5 年 4 名、6 年 4 名)の半数は、伝記や説明文を読むこと、書くこ とが少し好きになってきている(①⑦)。好きな理由としては、「前より読めるように・書け るようになった」「書き方が分かった」が挙げられる。好きではない子どもは 2 名おり、そ の理由としては、「難しいから」「文章が長いから」が多い。4 月に比べると、説明文の学習 に興味が高まっており、筆者の伝えたいことの理解や全体構造を把握することはできるよう になっている(②③)。しかし、全ての項目で苦手意識を持っている子どもも一人いる(J)。 個人差があることは顕著である(①)。 5 月実施(◎…とても ○…まあまあ △…あまり ×…ぜんぜん) ①−⑧自己評価 単元 引用して伝記を紹介しよう 【教材】−第 5 学年「広がる、つながる、わ たしたちの読書」− ⑴ 教科書教材「広がる、つながる、わたし たちの読書」内藤誠吾「千年の釘にいどむ」 光村図書、2015.2 ⑵ 白鷹幸伯『鉄、千年のいのち』草思社、 1997.6、その他の伝記 ⑶ 谷川俊太郎『いっぽんの鉛筆の向こうに』 福音館書店、2006.2 単元 引用して写真絵本を紹介しよう 【教材】−第 6 学年「私と本」− ⑴ 教科書教材「私と本」星野道夫「森へ」 光村図書、2015.2 ⑵ 星野道夫『森へ』福音館書店、1993.12 ⑶ 星野道夫『アラスカたんけん記』福音館 書店、1986.11 ⑷ 星野道夫『クマよ』福音館書店、1998. 3 項目 学年 5 年 6 年 ◎ △ 名前(ランダム) A B C D E H I J ○ × ①ノンフィクションや伝記を読むのは好きか。 × ◎ ○ △ ◎ ◎ ◎ × 5 3 ②筆者が伝えたいことが分かるか。 ◎ ◎ ○ ○ ○ ◎ ◎ △ 7 1 ③冒頭・展開・終結に分けることができるか ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ◎ △ 7 1 ④その本と関係のある本を読むか。 △ ○ ◎ ◎ ○ ○ ○ △ 6 2 ⑤段落相互の関係をとらえながら読めるか ○ ○ ◎ ○ ○ ○ ◎ △ 7 1 ⑥文章を図や表、写真と関連付けて読めるか。 ○ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ○ △ 7 1 ⑦説明文を書くことができるか。 ○ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ △ 7 1 ⑧引用することができるか。 ○ ◎ △ ○ ○ ○ ◎ △ 6 2
3 単元について ⑨ 5 年:伝記のどんなことを知っているか。(歴史上の人物・昔の人が何かを達成したことが書いてある③・ 昔のことが漫画のように書いてある)心に残る伝記(エジソン・マザーテレサ・アンネフランク・ベートー ベン・ライト兄弟) ○数字は人数。 ⑩ 6 年:写真絵本のどんなことを知っているか。(絵を使って分かりやすくなっている・写真と一緒にあるの で伝えたいことが分かる・写真と比べ読むができる。)心に残る写真絵本(葉っぱの赤ちゃん) 第 5 学年の単元について 中核教材「千年の釘にいどむ」は、白鷹幸 伯の釘作りを成し遂げたことに、古代の釘の 説明を交えた伝記である。白鷹幸伯の著作 『鉄、千年のいのち』がベースになっている。 テレビ番組の制作者である内藤誠吾が「にん げんドキュメント」(NHK)の内容を基に 5 年生の読者を対象として書き下ろした。 この教材を学習することで 5 年生である読 者は、白鷹が釘作りに真摯に取り組む姿勢、 ものの見方・考え方に惹かれるであろう。自 身の作業の仕方や姿勢、仕事に対する心構え を見つめ直すことの大切さについて考えてく れるだろう。また、複数の伝記を読み進め、 それぞれの人物に共通する思いや考え方、仕 事内容の違いに気付くことに期待したい。 白鷹幸伯が釘作りを任されたことを冒頭 に、白鷹の印象的な会話を終結に置き締めく くる。展開部では、古代の釘の材質、抜けに くさ、硬度が説明してある。ある人物の一生 を描いた伝記ではないが、対象人物の追体験 をしている気持ちで頁をめくっていくであろ う。 第 6 学年の単元について 中核教材「森へ」は、写真絵本『森へ』の 前半部分をそのまま教科書に使用している。 その『森へ』の後半部分は、トーテムポール のことについて書かれており、教科書には全 て省略されている。1993 年に出版され、元々 は『かがくのとも』(福音館書店)の中の 1 冊であり、それが『かがくのとも傑作集』と してハードカバーで登場した。アラスカの森、 海、川、そこに住む動物たちの姿が生き生き と写真として紹介されている。 この教材を学習することで 6 年生である読 者は、アラスカの世界へ、星野道夫の世界へ と引き込まれていくであろう。大自然のすば らしさを考えながら読み、身近な屋久島の自 然を見つめ直すことの大切さについて考えて くれるであろう。また、自然に関する写真絵 本や紀行文的な文章やエッセイを幅広く読ん でいくことも期待したい。 構成はアラスカの紹介、ザトウクジラ、森 の中、川、木の物語と探検した場所を基に捉 えやすい。全て筆者が体験したことであるこ とから、子どもたちは筆者の視点で探検して いるような気分で頁をめくっていくであろう。
4 単元構想の留意点 以下の点に留意して、読書指導を重視した単元を構想した。※【 】は広い意味の読書行 為を表す。 ⑴ 読書旬間の活動からつながり、日常の読書生活に還る【読書イベントと日常の読書生活】 第 5 学年「本をすすめるための方法を知ろう」や第 6 学年「どんな本に出会ってきたか」「自 分と本との関わり」は、読書旬間中に 1 時間学習しておく。 ⑵ 身近な人物のよさを見直す【実生活に生 きる読書】 屋久島の一湊地区は漁港として栄え、海か らの恩恵が深い。子どもたちは、主体的にそ こで活躍されている人物を紹介したり、記録 したりすることは少ない。そこで、今回発展 的な学習として身近なさば節工場の人や自分 の保護者、鹿児島県の先人に焦点を当て、伝 記的な文章を書かせることで、自分が住んで いる屋久島、一湊地区の人々のすばらしさに 再確認させたいと考えた。 ⑶ 写真と文章を結び付けて読む【メディア リテラシー】 「千年の釘にいどむ」には、釘の写真が 5 枚使われている。その写真は、文章だけでは 理解しにくい段落に使われている。写真を削 除して読ませることで、写真の読みを助ける 役割に気付かせたい。その写真を基に説明す る活動も仕組みたい。 ⑷ 白鷹幸伯に惚れる【対称人物に注目した読み】 白鷹幸伯の鉄作りに懸ける思いを捉えさせ るために、中核教材以外に、彼自身が書いた 自伝の中から 3 編紹介する。中核教材と比べ て読むことで、これまでの読みを深めたい。 また、釘作りをしている動画視聴も関連付け る。 ⑵ 身近な自然のよさを見直す【実生活に生 きる読書】 屋久島は、世界自然遺産に登録されている ように自然豊かな島である。子どもたちは、 これまでに日常生活や学習の中でこれらの身 近な自然には気付いている。しかし、そのこ とを詩や作文などの表現生活に生かそうとす る姿は少ない。そこで、今回発展的な学習と して身近な自然を、紀行文的な体験文を書か せる題材に取り上げることで、自分が住んで いる屋久島の自然のすばらしさを見直させた いと考えた。 ⑶ 写真を読む【メディアリテラシー】 星野道夫写真展は、アラスカの自然が目の 前に広がり、被写体である動物が今にも出て きそうな迫力が感じられた。心が大きく揺り 動かされた。それらの写真に誘発されるよう に文章が生まれてくるようにも思える。子ど もたちにも、写真と文章との照合のよさを感 じさせたい。 ⑷ 星野道夫に憧れる【作者に注目した読み】 星野道夫は、森に入るときに銃を持たな かった。クマなどの動物と同等に自分の身を 置き、自然の上では皆平等であることを身を もって示していた。だからこそ、星野道夫の 撮る写真には、動物への愛情が深く感じられ
⑹ 引用するために読む【本校の重点目標:身に付けさせたい国語力② 本を引用する 】 読む目的をもたせる 1 つの方法として、引用するために読ませるようにする。引用するこ とで、自分が書き、紹介する文章が分かりやすくなることを感じさせる。また、5・6 年生 である読者は、それぞれに引用箇所が違うことが予想される。そこにも、一人一人の読みの 違いが表れることを実感させたい。 5 単元の指導目標 ⑴読書の契機や目的、ジャンルに関する自身の読書生活を振り返り、心に残る一冊を紹介す るために、文章と図、写真と結び付けて読み、必要な部分を引用することができる。また、 日常生活の幅広い読書につなげることができる。 12 月に学習予定の「百年後のふるさとを 守る」にもつなげられるように、子どもが使っ た学習資料は保存させておく。 ⑸ 「読むこと」における語彙指導と「書くこ と」との関連を図る【読み・書きの関連指導】 「千年の釘にいどむ」で使われている「人 物を紹介、説明する言葉」や「釘の材質・形・ 硬さを説明する言葉」を整理し、子どもたち のよいお手本にさせる。読んだ後に書き、書 いた後に読む、読みながら書き、書きながら 読む活動をその場や状況に応じてさせる。 る。星野道夫の自然観、人間観、人生観など、 生き方にもふれさせることができればと考え る。 ⑸ 「読むこと」における語彙指導と「書くこ と」との関連を図る【読み・書きの関連指導】 星野道夫の文章は、子どもたちのよい手本 でもある。読むことによって、書くことへの よい動機付けにする。文章のモデルは「森へ」 だけでなく、他の作品もモデルとし、子ども たちには、自分に合った作品を参考に書かせ るようにする。 第 5 学年の単元指導目標 ⑵伝統工芸に懸けた人物の本を読むことで、 人物の生き方やものの見方・考え方に思い を馳せることができる。 ⑶伝記に多く触れ、評伝や自伝を比べて読み、 両者の書き表し方の違いを捉えることがで きる。 ⑷伝記を読むときや書くときに使う文章に は、筆者の特徴が表れることを理解するこ とができる。 ⑸自分のお気に入りの人物を対象として、評 第 6 学年の単元指導目標 ⑵同一筆者の作品を読んだり、自然に関する 写真絵本を読んだりする中で、身近な自然 のよさを見つめ直すことができる。 ⑶筆者の優れた叙述を味わいながら読み、擬 人法や音を表す言葉を自分の表現にも生か すことができる。 ⑷紀行文的な文章を読むときや書くときに使 う語句には類別があることを理解すること ができる。 ⑸自分のお気に入りの自然を舞台として、写
伝の一部を書くことができる。(発展学習) 真と照合した紀行文的な体験文にまとめる ことができる。(発展学習) 6 単元の指導計画(全 7 時間) 次 時 ○番号 学習活動(第 5 学年) ○番号 学習活動(第 6 学年) ○指導上の留意点[ ]学習資料【 】身に付けたい力 読 朝の読書等で扱う関連図書 第 一 次 1 ① 読書旬間に書いた「心に残る一冊」を読ん だ後、自主教材「私の一冊「千年の釘にいどむ」」 を読み、感想を交流させる。 [自主教材] ② 中核教材「千年の釘にいどむ」や『鉄、千 年のいのち』の一部を読み、伝記の特徴を捉 えさせる。 読『鉄、千年のいのち』 ① 読書旬間に書いた「心に残る一冊」を読ん だ後、教科書教材「私の一冊「森へ」」を読み、 感想を交流させる。 [原稿用紙 100 字] ② 『森へ』(前半部分)、写真集『アラスカ』『ク マよ』の読み聞かせ(摘読)を聞き、アラス カの自然にふれ、写真の持つ効果を捉えさせ る。 読『クマよ』写真 4 枚 ○読書旬間の読書活動とつなげ、自分がどのような本の紹介をしたのか自覚化を図る。 ○ 5・6 年合同で、どんな観点で紹介しているか確認させる。 【本の紹介を自覚する力】 2 ③ 『鉄、千年のいのち』の一部を読み、伝記を 読んでいきたいという意欲を持ち、学習課題 「伝記の本を読み、引用しながら紹介しよう」 を設定する。その後、学習計画を協議させる。 [学習計画表] ③ 中核教材「森へ」や『アラスカたんけん記』 の写真を見て、これまでの一連の学習を受け て学習課題「星野さんの本を読み、引用しな がら紹介しよう」を設定する。その後学習計 画を協議させる。 [学習計画表] ○写真集や写真絵本、伝記の一部を使った教師の読み聞かせを聞いて高まった意欲を、学習課題へ と結びつける。 【本のジャンルを捉える力】【課題設定力】 第 二 次 3 ④ 中核教材「千年の釘にいどむ」を、白鷹さ んの生き方と釘の説明部分を区別して読み、 全体構造を捉えさせる。 [ワーク①] 読『木に学べ』 ④ 中核教材「森へ」を読み、擬人法や自然、音、 状態を表す言葉を見つけ、小見出しをつけて 全体構造をつかませる。 [ワーク①] 読「トーテムポールを探して」 ○それぞれの言葉に色分けして線を引かせ、言葉の巧みな使われ方に気付かせる。 【全体構造を捉える力】【言葉を類別する力】 ⑤ 写真絵本や伝記を並行読書し始める。 読推薦図書 4 ⑥ 「千年の釘にいどむ」と『鉄、千年のいのち』 の一部を比べて読み、評伝と自伝の違いを捉 えさせる。 [ワーク②] ⑦ 展開部の釘の写真を取り上げ、写真の役割 を理解させる。 読『鉄、千年のいのち』 ○伝記の様式として、自伝と評伝があることを 知らせる。 ⑥ 写真絵本『森へ』だけに掲載されている写 真を探して、「森へ」と『森へ』を比べて読ま せる。 [ワーク②] ⑦ 冒頭部を例に、写真と文章の照合関係を捉 えさせる。 読『ナヌークの贈りもの』 ○教科書には、絵本の後半部分が削除されてい ることに気付かせる。 ○筆者の考えと事実とを色分けして線を引かせ、段落相互の関係を矢印で結ばせる。 【冒頭部や展開部のはたらきを把握する力】【写真と文章を照合する力】 5 本時 ⑧ 「千年の釘にいどむ」を読み、心に残った部 分を引用して紹介させる。 [ワーク③] ⑧ 「森へ」を読み、文章の特徴が表れる部分を 引用して紹介させる。 [ワーク③] ○同一対象を引用した 2 つの文章を比べることで、文章の特徴が分かりやすく引用することの大切 さを捉えさせる。 【文章を読んで引用する力】 第 三 次 6 ・ 7 ⑨ 『鉄、千年のいのち』や『一本の鉛筆のむこ うに』などを再読し、自分の文章に必要な部 分を引用させる。 [ワーク④] 読『一本の鉛筆のむこうに』 ⑨ 『森へ』『クマよ』『アラスカたんけん記』な どを再読し、自分の文章に必要な部分を引用 させる。 [ワーク④] 読『アラスカたんけん記』 ○これまでの学習を生かして、本の特徴が表れ、分かりやすく引用させる。 【引用する力】 ⑩ 「私の一冊」を書き、発表させる。その後、単元全体の感想を話し合い、自己評価・相互評価 させる。 ○発表会だけの感想にならないように、単元全体を通して、自己評価、相互評価させる。 【他の文章を自分の文章に生かす力】
7 学習の実際 ⑴ 一次の展開 学習の動機付け、課題設定、学習計画の協議 事前に 5 月の読書旬間期間中に、「心に残る一冊」を書かせた。第 1 時は、自分が書いた その「心に残る一冊」と教科書に掲載されている「私の一冊」を比べて読み、感想を交流さ せた。6 年生は、教科書教材「私の一冊「森へ」」を読み、感想を交流させた。5 年生は、教 材として「私の一冊」がないため、教師自作のものとした。 6 年生は、『森へ』(前半部分)を読み聞かせした後、写真集『アラスカ』『クマよ』の読 み聞かせ(摘読)を聞き、アラスカの自然にふれ、写真の持つ効果を捉えさせた。 5 年生は、中核教材「千年の釘にいどむ」の朗読 CD を聞かせ、『鉄、千年のいのち』の 一部を読み、伝記の特徴を捉えさせた。 これらの活動から、読書旬間の読書活動とつなげ、自分がどのような本の紹介をしたのか 自覚化を図ることができた。また、モデル文に対応させて、自分の文章を振り返った感想と しては、「僕のは、読んでどんな気分になるのか、どうして心に残ったのかが書いていなかっ た」と反省していた。 第 2 時は、中核教材を読んだ感想を交流し、学習課題を設定し、学習課題を解決するため ⚾ ࡢ ୍ 助 ༓ ᖺ ࡢ 㔥 ࠸ ࡴ 努 ࣭ භ ᖺ ⯪ ὠ ၨ ձ 㔥 ୍ ᮏ ே ⏕ ࢆ ᠱ ࡅ ࡿ ே ࡀ ࠸ ࡓ ࢇ ࡔ 劤 ⚾ ࡀ ࡇ ࡢ ᮏ ࢆ ㄞ ࢇ ࡛ ࠾ ࢁ ࡁ 劣 ࡎ 勂 ᚰ ṧ 勂 ࡚ ࠸ ࡿ 劤 ෆ ⸨ ࡉ ࢇ ࡢ 助 ༓ ᖺ ࡢ 㔥 ࠸ ࡴ 努 ࡔ 劤 ⚾ ⣡ ᚓ ࠸ ࡃ ࡲ ࡛ 㡹 ᙇ ࡿ ࡇ ࢆ ᩍ ࠼ ࡚ ࡃ ࢀ ࡓ 劤 ղ 助 ༓ ᖺ ࡢ 㔥 ࠸ ࡴ 努 ࡣ 劣 ࡌ ⫋ ே ࡢ ⓑ 㮚 ᖾ ࡉ ࢇ ࡀ ༓ ᖺ ࡶ ࡘ 㔥 ࢆ స ࡿ ࡓ ࡵ ◊ ✲ ࡋ 劣 స ࡾ ⥆ ࡅ ࡚ ࠸ ࡿ ጼ ࡀ ᥥ ࢀ ࡚ ࠸ ࡿ 劤 ⓑ 㮚 ࡉ ࢇ ࡢ 㔥 స ࡾ ࡢ ᵝ Ꮚ ࢆ ぢ ࠸ ⾜ ࡁ ࡓ ࡃ ࡞ 勂 ࡓ 劤 ճ ෆ ⸨ ࡉ ࢇ ࡣ 助 ⓑ 㮚 ࡉ ࢇ ࡣ 劣 ⣡ ᚓ ࡢ ࠸ ࡃ 㔥 ࢆ ᡂ ࡉ ࡏ ࡿ ࡲ ࡛ 劣 ఱ ᮏ ࡶ ఱ ᮏ ࡶ స ࡾ ┤ ࡋ ࡓ 劤 努 ㄒ 勂 ࡚ ࠸ ࡿ 劤 ⚾ ࡣ 劣 ⩦ Ꮠ ࡛ 劣 ඵ ᯛ ᭩ ࠸ ࡚ ࠺ ࡲ ࡃ ࠸ ࡞ ࠸ ࡁ 劣 ࡶ ࠺ Ṇ ࡵ ࡼ ࠺ ࠸ ࠺ Ẽ ᣢ ࡕ ࡞ ࡿ ࡇ ࡀ ࠶ ࡿ 劤 ࡋ ࡋ 劣 ఱ ᯛ ࡶ ఱ ᯛ ࡶ ᭩ ࠸ ࡚ ⣡ ᚓ ࡢ ୍ ᯛ ࢆ ୖ ࡆ ࡼ ࠺ ᛮ ࠺ 劤 մ ⚾ ࡣ 劣 ຮ ᙉ ࡣ ⩦ Ꮠ ࡣ ኚ ࡔ ࡞ ᛮ ࠺ ࡁ ࡇ ࡢ ᮏ ࢆ 㛤 ࡃ 劤 ࡍ ࡿ 劣 ⓑ 㮚 ࡉ ࢇ ࡣ 劣 ⚾ ࢆ ඖ Ẽ ࡉ ࡏ ࡚ ࡃ ࢀ ࡿ 劤 助 ◊ ✲ ດ ຊ ࢆ ࡎ 勂 ⥆ ࡅ ࡿ ࢇ ࡔ 努 ບ ࡲ ࡋ ࡚ ࡃ ࢀ ࡿ ୍ ࡞ ࡢ ࡛ ࠶ ࡿ 劤
の学習計画を協議するようにする。 6 年生は、中核教材「森へ」や『アラスカたんけん記』『森へ還る』『オーロラの彼方へ』『ア ラスカ風のような物語』を見て、星野さんの写真の魅力に惹き付けられていった。そこで、「星 野さんの写真絵本を読んでいこう」という学習課題を決めた。また、I 児の「引用して書い てあると分かりやすかった」を受けて、「星野さんの本を引用して紹介しよう」と付け加えた。 5 年生は、全員が自分の「心に残る 1 冊」の不十分さを感じていた。教師のモデル文を読 んで、「先生のは詳しく書いていた」「自分の心の中をしっかり書いていた」「先生は自分の ことと比べていた」「先生は白鷹さんを尊敬していた」と感想を発表した。これらの意見を 基に、「心に残る一冊を書こう」と学習課題を設定した。それに、「伝記を読んで、引用しな がら」という条件を付け加えた。 その後、学習計画を協議させた。教材以外に、5 年生は伝記を、6 年生は星野道夫さんの 写真絵本を合計 10 冊は提示し、第三次の学習までに数編を読んでおくことを共通課題にした。 ⑵ 二次の展開 ノンフィクションや伝記を目的に応じて読む。 第 3 時は、文章の全体構造を捉える時間にした。「森へ」が紀行文的なノンフィクション である。その文章の特徴は、無駄がなく、情景描写が効果的に使われている。そこで、「自 然を表す言葉」「音」「例えている言葉」から分析して読むようにした。 6 つの小見出しを書く際には、冒頭部と展開部Ⅰは教師が作り、後の 3 つを作らせた。A 児は、「森の中の自然」「クマとサケ」「森は動いている」と作った。授業後の感想として、 A 児は「こうやって読むと、星野さんが工夫していることがよく分かった」と述べた。 「千年の釘にいどむ」は、内藤誠吾が、白鷹幸伯の釘作りについて書き表したものである。 一生を取り上げてはいないが、伝記として考えてよい。 5 年生は、各形式段落を「年代・時代」「中心になる言葉・文」からまとめていった。① 段落は、「千年先・人間の作ったもので千年以上残っているものを見つけるのはむずかしい」 ②段落は「古代・古代の職人は千年たつ建物を作り上 げた」などである。 第 4 時は、中核教材と他の文章を比べて読み、特徴 を捉える時間である。6 年生は、第 1 時にも読んだ「森 へ」の原典である写真絵本『森へ』の読み聞かせから 始めた。比べて読むことで、全員が「教科書には、絵 本の後半部分が削除されていること」に気付くことが 5 年生の学習課題「伝記の本を読み、引用しながら紹介しよう」 6 年生の学習課題「星野さんの本を読み、引用しながら紹介しよう」
できた。後半には、子どもたちからのリクエストとして、並行読書してきた本の写真を使っ て、星野さんのような文章を書く活動を取り入れた。これは、朝の読み聞かせのときに、卒 業生が写真を使って書いたものを紹介したことから、子どもたちも書きたいという欲求が高 まったことに起因する。 冒頭部を例に、写真と文章の照合関係を捉えさせた後、各自が気に入った本を基に、写真 を選択して、それに合う文章を作っていく。A 児は、『クマよ』の 4 枚の写真を使って、「ク マとともに」という文章を書いた。ちょうど 800 字におさめた。 5 年生は、「千年の釘にいどむ」で紹介されている 白鷹幸伯の自伝『鉄、千年のいのち』と比べて読み、 評伝と自伝の違いを捉えさせた。自伝『鉄、千年のい のち』が小学生には難しいことから、解説しながら読 み聞かせた。「自伝の方が詳しく書かれている」とい う程度にとどめた。 その後、展開部の釘の写真を取り上げ、写真の役割 【6 年 A 児の「クマとともに」】
を理解させるために、4 枚の写真を貼ったワークシートを作成し、文章を補わせた。2 名の 子どもには難しく、数行書いただけだった。B 児は、300 字程度で的確に写真の説明ができ ていた。書けるということは、筆者の説明の仕方が理解できており、写真と文章の照応関係 も捉えていると言えよう。 ⑶ 本時の展開 ノンフィクションを段落相互の関係に気を付けて読む。 ② 本時の実際 ① 本時の目標 「千年の釘にいどむ」の中の好きな文章 を分かりやすく引用することができる。 ① 本時の目標 「森へ」の文章のよさや特徴が相手に分 かるように、引用することができる。 過程 第 5 学年 番号…主な学習活動 ○…指導上の留意点 ※…評価 位置時間 第 6 学年 番号…主な学習活動 ○…指導上の留意点 ※…評価 つかむ みとおす 考える 1 係の紹介をする。(司会・進行、黒板、タ イムキーパー) ○ 子どもたちに係を分担することで授業に 主体的に関わらせる。 2 「鉄、千年のいのち」を対象にした 2 つの 引用部分を読み、分かりやすい方を選ぶ。 ○ 同一対象を引用した 2 つの文章を比べる ことで、分かりやすく引用することの大切 さを捉えさせる。その実感を課題設定に結 び付け、本時の学習に意欲を持たせる。 ※ 2 つの引用部分を比べて読む学習を生か して学習課題を立てている。(課題設定時の 発言) 3 本時の学習課題を設定する。 (「引用のルール」を使って)、心に残っ たことが分かるように引用しよう。 4 学習の方法を確認する。 ① 「引用のルール」を確認する。 ② 引用する場所を決め、引用する。 ③ 引用した原稿用紙を読み合う。 5 「引用のルール」を確認する。 【資】ワークシート「引用のルール」 6 引用する場所を決め、引用する。 ○字数は 200 字程度とする。 ○書き進められない子どもには、教師が 1 つ の例を示し、参考にさせる。 ※ 観点や字数を意識して引用している。(原 稿用紙への記述) ○ 「つかむ」段階で使った引用のモデルを例 にとって、自分の考えと引用部分が区別で きるように書くことを説明する。 ○ 形態は個人→グループ→全体とする。 ○ 黒板を使って、全体で観点を構造的に整 理させる。 1 係の紹介をする。(司会・進行、黒板、タ イムキーパー) 2 既習教材の引用部分を読み、何の作品かを 当てる。 3 本時の学習課題を設定する。 「森へ」の文章の特徴がよく分かるよう に引用しよう。 ○ 既習教材の引用部分を比べることで、引 用する部分によって、作品の印象が違って くることを捉えさせる。その実感を課題設 定に結び付け、本時の学習に意欲を持たせる。 ※ 2 つの引用部分を比べて読む学習を生か して学習課題を立てている。(課題設定時の 発言) 4 学習の方法を確認する。 ① 「森へ」の特徴を生かして、引用する 部分を選ぶ。 ② 引用部分を発表し、引用する。 ③ どんな観点で引用したか話し合う。 【資】小黒板「学習の進め方」 ※ 学習の見通しをもって聞いている。 (聞いている反応) 5 「森へ」の特徴を生かして、引用する部分 を選ぶ。 【資】「森へ」の全文 6 引用部分を発表し、引用する。 ○ 字数は 200 字程度とする。 ○ 書き進められない子どもには、教師が 1 つの例を示し、参考にさせる。 ※ 観点を意識して簡単な説明文を対比しな がら書いている。(原稿用紙への記述) ○ 「つかむ」段階で使った引用のモデルを例 にとって、「引用のルール」を確認させる。 10 10 5 5
第 5 時は、中核教材の特徴が分かるように、引用する時間である。授業の流れは、前頁か らの本時の指導案を参照してほしい。 本時の授業のゴールとしては、5 年生は、「引用の ルールを使って引用できる」6 年生は、「(ルールを使っ て)、引用する理由まで言えること」に重点を置いた。 5 年生の授業では、2 つの文章 AB を比べて読む活 動からスタートした。A は引用文が分かりにくいも ので、B は、引用文が分かりやすい対照的な文章にし た。そこで生まれた問題意識を学習課題「心に残った ことが分かるように引用しよう」の設定に結びつける ことができた。その後、「引用のルール」を確認した後、D 児が引用した文章は次の通りで ある。 私は、白鷹さんの言葉が心に響いてきました。特 に気に入った文は、「釘と木材の関係だ。古代の建 物に使われているのは、樹齢千年をこえるヒノキだ が、ヒノキの繊維には圧縮された元の形に戻ろうと する性質がある」のところです。白鷹さんはかじ職 人として、木の性質まで知っているなんてすごいと 思ったからです。この原理を生かして釘を作ってい ると思うと、やっぱり職人さんは偉いと思います。 まとめる ふりかえる 7 引用した原稿用紙を読み合い、使われた観 点を整理する。 ・ 事前予告 ・ 「 」で囲む ・ 要約 など ○ 引用の内容面にも目を向けさせる。 8 自分で書いた引用文を 6 年生に発表し、分 かりやすい引用の条件を考える。 ○ 応用問題として、6 年生の問題に挑戦さ せる。(時間に余裕があれば) 9 自分や友達の発言の中で、自分の考えに影 響を与えたものを発表する。 ※ よい点と改善点を自己評価・相互評価し、 自分や友達のよさに気付いている。(発言内容) 10 次時の学習内容を知る。 ○ 次時は他の伝記を読むことを知らせる。 7 どんな観点で引用したか話し合い、使われ た観点を整理する。 ・ 筆者・星野道夫の自然観・命観 ・ 動植物への畏敬の念・音のリズム ・ 情景・心情描写の巧みさ ○ 筆者の思いを中心にまとめさせる。 8 自分で書いた引用文を 5 年生に発表し、分 かりやすい引用の条件を考える。 ○復習問題として、既習した問題に取り組ま せる。(時間に余裕があれば) 9 自分や友達の発言の中で、自分の考えに影 響を与えたものを発表する。 ※ よい点と改善点を自己評価・相互評価し、 自分や友達のよさに気付いている。(発言内容) 10 次時の学習内容を知る。 ○ 次時は星野道夫の他の作品を読むことを 知らせる。 5 5 5 【子どもによる板書】 【6 年生の引用した文章の発表】
引用した文章を書いた後、発表し合った。その後、引用する場合には、白鷹さんの思いが よく伝わるところを引用すればよいというまとめになった。 6 年生は、事前に予告する引用の仕方に挑戦し、短時間で好きな箇所を中心に引用してい た。特に、「筆者・星野道夫の自然観・命観」に関する文章を引用している子どもたちが多かっ た。 授業の最後には、5・6 年合同で互いの引用文を 発表し、評価し合った。このような活動が複式(少 人数)学級のメリットになろう。異学年で共通して みんなで認め合う(特に「つかむ」「まとめる」段 階で効果的)、集団の中で発表する力が身に付く、 個人の意見をもれなく言える、聞いて考えを深める 力が付きやすい点も挙げておこう。 ⑷ 三次の展開 伝記や写真絵本を引用して紹介する。 第 6・7 時は、自分で紹介したい本を決めて、引用して紹介する時間である。教科書教材 を読んだ後に最後にする言語活動では、5 年生は「読書広告(ポップ)」を作ること。6 年生 【5・6 年生の交流】 【本時のワークシート・5 年生の引用文】
は「心に残る 1 冊」を書くことになっている。5・6 年の活動内容が違うので、複式学級に おいて第 3 次の活動を揃えた方が取り組みやすいと考え、共通して「私のお気に入りの一冊」 を書くようにした。 子どもたちが選び、引用した本は、次の通りであ る。 【5 年】「千年の釘にいどむ」『鉄、千年のいのち』『ク レオパトラ女王』『雪の写真家ベントレー』 【6 年】『森に還る日』『クマよ』『オーロラの彼方へ』 『アラスカ風のような物語』 発表後の感想をいくつか紹介する。 ◇長い文が書けるようになって、言いたいことがよく伝わるようになった。 ◇説明するときに理由をよく言えるようになった。理由を言うと、分かりやすく、納得がで きる。 ◇「森へ」を引用することができて、それを文章にして発表ができてよかった。友達の発表 も聞けて、5 年生もがんばっていていいなと思った。友達も詳しく書いて、引用している のがよかった。 ◇「森へ」の他にも、星野さんが書いている『クマよ』なども好きになった。1 つの本を読 むと、どんどん読む世界が広がっていくことも分かった。これからももっと読んで知って いきたい。 ただ、600 字程度の文章に 3 度引用した子どもは、何度も引用すればよいということでは ないことを実感したようだ。字数に応じて、引用する回数も考慮することを書くという経験 から学んだ。 8 実践の成果と課題 単元の学習後に実態調査を行った。(対象:5・6 年生 8 名、左 2018 年 5 月・右 7 月調査) 【心に残る 1 冊の発表】 項目 学年 5 年 6 年 ◎ △ 名前 A B C D E H I J ○ × ①ノンフィクションや伝記を読むのは好きか。 ×△ ◎◎ ○○ △○ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ×○ 5 ⑦ 3 ① ②筆者が伝えたいことが分かるか。 ◎◎ ◎◎ ○○ ○○ ○○ ◎◎ ◎◎ △○ 7 ⑧ 1 ⓪ ③冒頭・展開・終結に分けることができるか。 ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ○○ ○○ ◎◎ △○ 7 ⑧ 1 ⓪ ④その本と関係のある本を読むか。 △○ ○○ ◎◎ ◎◎ ○○ ○◎ ○○ △△ 6 ⑦ 2 ① ⑤段落相互の関係をとらえながら読めるか。 ○○ ○○ ◎◎ ○○ ○○ ○○ ◎◎ △△ 7 ⑦ 1 ① ⑥文章を図や表、写真と関連付けて読めるか。 ○○ ◎◎ ○◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ○○ △○ 7 ⑧ 1 ⓪ ⑦説明文を書くことができるか。 ○○ ○○ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ △○ 7 ⑧ 1 ⓪ ⑧引用することができるか。 ○○ ◎◎ △◎ ○◎ ○◎ ○◎ ◎◎ △○ 6 ⑧ 2 ⓪
⑴ 読書やノンフィクション、伝記が好きになる子どもの増加 実態調査をして、意識面で少しの成果を得られた。それは、読書やノンフィクションや伝 記が好きになっている子どもが増えたことである。他の項目でも、わずか 2 か月の間である が、全て 5 月よりも伸びている。中でも、引用することができる子どもが、ほとんど全員に なったことは、大きな成果である。 A 児の感想が文章様式の特徴をよく表している。 「私が、「森へ」の学習でできるようになったのは、 筆者の考えを知ることができたり、引用して発表し たりすることだ。星野さんが思ったことや体験した ことを書いた文章を読んでいると、そこに私がいる ように感じたり、そうだなと共感したりした」。 ⑵ 図や写真と合わせて読み、特徴を捉える 「森へ」は音を表現していたり、例えがあったり して、詳しいなと思った。それが分かると、「森へ」がもっと好きになった」と、6 年生が 気付いた。 「白鷹さんは、写真を使って説明しているから分かりやすい。暑い夏も釘を作っているから、 すごく感動した」と、5 年生が感じていた。このように、各学年の教材の特徴を捉えること ができた。 ⑶ 引用という汎用的な能力の育成 ほぼ全員が、文章を読んで引用することができた。引用する箇所はそれぞれであるが、自 分の伝えたいことに応じて選択していた。筆者の伝えたいことを引用すると、その文章の特 徴が伝えやすい。 「引用の仕方を先生が詳しく教えてくれたので、引用の仕方がよく分かった。これまでは あまり長く書けなかったけれど、引用をして長い文章が書けた」「引用をすると、相手に何 を伝えるかがよく分かる。僕は、白鷹さんの思いが強いところを引用した」という授業後の 感想が、引用の効果をよく表している。図書室で借りた本から引用したり、説明文・読書指 導での「引用する力」を授業につなげていく。 「他の勉強のときにも引用したい」(5 年)という発言は、国語から他教科へのつながりの 可能性を感じさせてくれる。同時にそれは、「引用」という行為が、汎用的な能力であるこ とを再認識することができた。「最初はあまり引用していなかったけれど、今では、話して いて自然に本の一文を引用している」(6 年)という発言は、読書活動と国語、言語力とが つながっている表れでもある。 引用する力を身に付けさせるために、国語科の授業を中心に他教科でも引用することを位 【関連図書】
置付けた。全校で取り組む、読書スピーチ、ブックトーク、読書会の中や「総合的な学習の 時間」の中でも引用する力を生かすことができた。 子どもの発達段階に応じた基準を次のように定めることもできた。 ⑷ 語彙指導を充実させる比べ読み 関連指導がスムーズに行われるためにも、語彙指導を充実させなければ、空回りすること もある。「森へ」など、他の作品に使われている自然を表す言葉(熟語)や難語句を整理し ておく。 『クマよ』『ナヌークの贈り物』は、難語句が少ないことから、小学生にも読みやすい。『森 へ還る日』は、圧倒的に語句が多く、小学生には難しいことが分かる。「森へ」は、その中 間に位置し、第 6 学年には少し難しい語句もある。語彙を整理することで、身に付けさせる ことが明確になった。これらの語句を易しい言葉にしたり、難語句に変換したりして、語句 を習得させていった。 比べて読むことによって、書くことへのよい動機付けにする。文章のモデルは「森へ」だ けでなく、他の作品もモデルとし、子どもたちには、自分に合った作品を参考に書くことが できた。「他にも、星野さんが書いている『クマよ』なども好きになった。1 つの本を読むと、 どんどん広がっていくことも分かった。これからももっと読んで知っていきたい」という読 後感は、読みの広がりがよく分かる。 ⑸ 読むことから話すこと・書くことへ 最後の時間には、引用した文章を発表する場を位置付けた。そこでの発表後の満足げな表 ○低学年:私の好きなところは、「 」です。理由は、∼だからです。 ○中学年:「 」で包んで述べる方法を身に付ける。 ○高学年:「 」で包んで述べる方法に加えて、事前に予告して述べる方法を身に付ける。 『森へ』 原生林 海面 水面 谷間 海原 樹林 巨木 倒木 地衣類 氷河地表 大木 川底産卵 北極圏 気配 [削除場面] 密生 光景 異様 朽ち果てる 歳月 トーテムポール ハイダ族 インディアン 『クマよ』 倒木 谷間 原野 風景 存在 気配 ツンドラ 『ナヌークの贈りもの』 吹雪 狩人 暗黒 村はずれ 『森に還る日』 大海 原生林 太古 倒木 地面 川底 土壌 木立 初雪 雪溶け 若葉 新緑 入り江 夏草 大木 別世界 森一面 蘚類 樹上性蘚類 再生 夕暮れ 大気 流木 北極圏 極北 産卵 上 巨大 氷河 紅葉 天空 養木 氷河 海流 黄葉 針葉樹 木立ち 瞬間 無窮の時 神秘性 綿々と 静止 不可思議 水晶のように 暗黒 内包 逆光 全盛 無窮 母体 漠然とした 無数の 後退 新生 狩猟民 境界 採集 他者 燃焼 二酸化炭素 警戒音 侵入者 路傍の 壮大な 原野 自我 謙虚
情が印象的である。「長い文が書けるようになった。言いたいことがよく分かる」「最初はあ まり引用していなかったけれど、今では、話していて自然に本の一文を引用している」(6 年) 「引用した文を発表したときはとても楽しかった」(5 年)。 「「森へ」を引用することができて、それを文章にして発表ができてよかった。友達の発表 も聞けて、がんばっていていいなと思った。友達も詳しく書いて、引用していてよかった」 という感想も、学習の充実さが感じられる。 ⑹ 司書補との連携−学校図書館 読書指導を充実させるためには、司書補との連携 は不可欠である。今回は特に、環境整備の点で、大 変お世話になった。右の「世界読書紀行」は、伝記 に取り上げられている人物が紹介してあり、読んだ らシールを貼るようにしてある。5 年生の子どもた ちは、誰の伝記を読み、または読んでいないか確認 することができる。また、次への読書意欲にもつな がる。 注 ⑴ 本自体を取り上げ、本そのものについて考える単元「本は友達」第 1 − 4 学年 第 1 学年「ほんはともだち」学校図書館を利用し、好きな本を紹介する。 第 2 学年「お話クイズをしよう」きたむらさとし「ミリーのすてきなぼうし」[本の分 けかた・ならべかた]話を読んでクイズを作り、グループでクイズを出し合う。 第 3 学年「本を使って調べよう」今森光彦「里山は、未来の風景」[本の分類表]公共・ 学校図書館の工夫を理解し、辞典や図鑑を使って調べる方法を知る。 第 4 学年「「読むこと」について考えよう」ニコライ=スラトコフ「かげ」[読みたい本 の見つけ方]本の読み方を振り返り、目的や文章の種類(物語や図鑑)に応じて読 む。 (ふなつ けいじ・霧島市立牧之原小学校) 【世界伝記紀行】