73 変の鳶職的な拡がりや血管構築との関係の点では不確 実さを免れなかった.そこで吾々は巣状肺炎および小 巣状肺出血例の連続切片から立体的な像の再構成を行 い,上記の聞題を検討した。 その結果からみる.と上の説明にはおおむね矛盾がな いように考えられる。なおこの再構成によつて肺胞な
らびに血管構築に関し,従来MillerやHeyckの著
書に載せ.られているシェーマに比べて多少と.も立体的 な実状を彷彿たらしめうるよ.うな関係図を得,これら は各種の肺内病変の考察に有力な基礎を与えると考え られるのでそれを併せて供覧する。 2..ストレプトマイシン未使用者におけるスFレ プトマイシン1000γ耐性菌排出の一例 (中山内科)松本帖子・斎藤文子 近時結核に対する化学療法が普逓化すると共に,抗 結核剤耐性菌の出現が多数にみとめられ,これが結核 の治療その他に関して問題となっている。一方抗結核 剤未使用者における抗結核剤耐性菌の排出に関する報 告も散見されている。このことは,結核の重感染の問 題解決に何らかの示唆を与えるものと考えられる。当 科におても,ストレプトマイシンが広く一般に使用さ れる以前にヅベルクリン反応の陽性転化をみ,本年5 月肺結核症の発病をみ,全くス}レプトマィシンを使 用していなかったにも拘ず,ス}レプ}マ/シン1000 7耐性菌を排出していた一例に遭遇したので,ここに 報告する。 u 5pヨ才の幼児にみられた踊状態に就㌣て (精神科)南沢茂樹・田口孝源 小児期の内因性精神疾患としては,今次大戦後アメ リカにおいて急激に小児分裂病が取り上げられて,我 国でも少数の追随者があるが,それは概念さえ未だ明 らかでない。これに対し小児躁欝病の研究,報告は欧米 ともに甚だ乏しく,症例報告的断片のものは既にクレ ペリンが,やや纏ったものとしてはF.G. v. Stockert (1949),J.D. Campbell(1953)らfosi挙げられる程度で, 大部分趨勢としては小児期のそれは問題の外におかれ ている実情である。 我々は最近,2才6ヵ月の幼児に,食思不振,睡眠障. 害,画論嫌で長泣きする状態がはじまり約5ヵ月続い た後に略回復,その後約半年の聞は軽度の元気のない 状態であったが,ついで発病より満1年後の3才6カ 月のときからは,上機嫌で,運動衝動の充進によると考 えられる動きの多い状態(Hyperkinese)がはじまっ た。その動き振舞は自然で, bizarrな点はなく,明らか に躁状態であって,分裂病らしいところは全然なかっ た。この躁状態の経験によって,我々は最初の2才6カ 月のときから5ヵ月つづいたものは欝状態であり,そ の後の6ヵ月は軽欝状態と考えるのが最も蓋然性の多 い診断であ.ろうと思はれるのであ.る。さらに今後の経 過観察により,我々の知見をさらにたしかなものとし たいと,患って:いる。 4.最近における府県別死因分類別心臓疾患死亡 に関する研究 (衛生)妥山城元 国際死因簡単分類にしたがい,全心臓疾患を,「慢 性リュウマチ性心臓疾患」,「動脈硬化性及び変性性心 臓疾患」ならびに「その他の心臓疾患」に分類し,こ の三型についで人口動態統計によって昭莉26年より昭 和29年までの期間について観察を行った。. 1)「慢性リュウマチ性心臓疾患」についてみると, 男女とも各年次の本型死亡率は三病型中最低で,死亡 率は人口10万に対し,男子では4.0前後,女子では5∼ 10をしめし6また男女とも多数の府県で年次とともに 低率となる傾向をしめす。男女死亡率を比較すると, 各年次とも,女子が男子より高率である府県が多数と なっている。なお本型死亡の全型死亡中に占める割合 は各年次男女とも最低率をしめしている。 2)「動脈硬細頚及び変性性心臓疾患」による死亡 は,男女とも三病劇中で最高死亡率をしめし,死亡率 は30∼60をしめしている。男子では多数の府県が年次 とともに上昇する傾向をしめすが,女子では過半数の 府県で低下する傾向をしめす。男女を比較すると,昭 和28年をのぞく他の各年次いずれも,女子が男子より 高率である府県が多数となっている。しかしその府県 数は年次とともに逓減する。本型死亡の全型死亡中に 占める割合は男女とも高率で60∼70%をしめし,全心 臓疾患死亡の主因となっている。 3)「その他の心臓部息」についてみると,本型死亡 率は男子では約15∼25,女子では15∼20をしめし,三 朝草中で中間に位している。なお男女とも多数の府県 で年次とともに低下する傾向をしめしている。男女を 比べると,各年次ともほぼ全府県において,男子が女 子より高率となっている。本型の全型死亡中に占める 割合は,男子では30%前後,女子では約20∼30%をし めしている。 5.心臓疾頻々老の扁別例の臨床統計的観察 (耳鼻科)鈴木千鶴子 本学附属心臓血圧研究所に入院中の患者623名につ いて心臓手術前に耳鼻咽喉を検査し,そのうち病歴及 び扁桃の精査によって慢性扁桃炎の所見ある者に対し て,将来の禍根を芥除する目的で心臓手術後体力の恢 復をまって81例に留別を行ったので,その統計的観察 を行った。 既往にアンギ・・一ナ,.関節ロイマチス,腎炎,心内膜 一一 70q 一74 炎,咽頭ジフテリアなどに罹患した者が多い.。扁捌を 行ったのは先天性心疾患々者14名,後天性心疾患々者 67名計81例。扇易iJは心臓に及ぼす負荷を少くするため に,平均9日の間隔をおいて片側宛笹木式により慎重 に行った。癒着が一般に強く剥離困難なもの,扁桃床 に突起のあるものが多かった。 偶発症とみられるべきものは28例で,その中特に顕 薯な症状を呈した、ものが3例あったが,術後特に重:大 な悪影響を与えたものはなかった。 6.鼻咽腔炎について (耳鼻科)池香子 鼻口因腔(上咽頭)は明視困難な部位であるため,該 部の病変に関する詳細な研究は余り行われていない現 況である。演者は最近,後鼻鏡検査を行い得た鼻咽腔 炎患者20数例について,其の臨床症状を観察し,特有 の症侯群の存在することに興味を抱き,一部の組織所 見とを併せてその成因につき考察した。 1 自覚症状:数回問診を行った結=果を括めると, 頭痛(必発症状),頭重或いは圧迫感,眩量,肩擬,微 熱,耳閉塞感,眼底部圧迫落痛感などの順である。重症 のもの程神経症状つよく,まつ内科,精神科を訪れる 者が多い。■ 鼻咽腔所堤、:局所の強い発赤は著明で 魔欄状,乾燥様,または粘液にて被われているごとが多 い。発赤の部位は天蓋部に強く更に鼻腔天蓋にも及ぶ ものが多い。形態的に天蓋部の階段状,天蓋側壁移行部 の深い轡入,または狭小などが見られた。皿 アレルギ ー素質との関係:患者及びその家系に可成り高度に認 められた。Thofnゲストを行い陽性と判断するものも 少数例あった。IV アデノイド及側索の組織像:幼年 者(比較対照)は豊富な淋巴組織を示すのに反し,青年, 中年特に49才女手のものは高度の炎症像を示す。.V 治療:鼻及び咽頭の両方向より鼻咽腔の周壁全体に薬 液を塗布すると云う一語に尽きるが,腔が広いので手 技上容易でない場合がある。塗布が充分であれば自覚 症状の頓挫的軽減又は消槌をみる。また補助薬剤とし てビタミンKが認むべき効果があった。以上を総括し 最後に類症鑑別について私見を述べた。 74