スロベニア国際私法の法典化について (平成16年度
退職記念号 浅野 裕司 教授 水野 勝 教授)
著者名(日)
笠原 俊宏
雑誌名
東洋法学
巻
48
号
2
ページ
257-289
発行年
2005-03-25
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000573/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.jaスロベニア国際私法の法典化について
笠
原
俊
宏
目 次東洋法学
六五四三二一
︵参考資料︶ 緒 緒言 法典化の経緯 新立法の概要 総則規定の内容および特徴 各論規定の内容および特徴 結語 スロベニア国際私法 言 スロベニア共和国においては、新しい国際私法および国際民事訴訟法︵﹁国際私法および手続に関する法律﹂︶ が公布︵スロベニア共和国官報一九九九年第五六号︶され、一九九九年七月二八日から施行されている。近年に 257スロベニア国際私法の法典化について おける政治的変動を経た多くの東欧諸国に見られる法体系の改革として、一九九一年、同共和国がユーゴスラ ヴィア社会主義連邦共和国から分離・独立した結果、固有の国際私法・国際民事訴訟法典が立法化されるに至っ たものである。これにより、同共和国において施行されてきたコ定の関係における外国法規との法律抵触の解 決に関する法律﹂︵ユーゴスラヴィア国際私法︶は廃止されることとなった。但し、新立法は、抵触規定の他、国 際的裁判管轄権、外国裁判所裁判および外国仲裁裁判所判断の承認・執行について規定している点において、ユー ゴスラヴィア法と同様である︵Ω餌鼠一曽園&oヌ腔o矩⑦巳Φ巨ZΦ器ω冒8旨蝕8巴8ギ貯寧巨αギ・器ω霞8耳箋嚢。り 魯ω﹄ミ鳴ミ爵§ミ§、嵐ミト§織隷さミ§簑§蕊︵以下、冤嚢として引用︶8。ρψ扇。 。宍︶。因みに、右ユーゴスラ ヴィア国際私法は、現在も、いわゆる﹁新ユーゴ﹂を構成するセルビア・モンテネグロにおいて施行されている と見られる。 以下においては、スロベニア共和国国際私法︵以下、新法とする︶の法典化の経緯の概略に言及した後、同法 の内容について、スロベニア共和国国際私法としては旧法となるユーゴスラヴィア国際私法︵以下、旧法とする︶ との比較を中心として検討することとし︵ユーゴスラヴィア国際私法の解説としては、井之上宜信﹁ユーゴスラヴィア の国際私法典︵一九八三年︶について﹂法学新報九二巻三・四号二一一頁以下参照。尚、この小稿におけるユーゴスラ ヴィア国際私法条文の邦訳としては、便宜上、拙訳編﹃国際私法立法総覧﹄︵冨山房、一九八九年︶三八四頁以下に拠るこ ととした︶、また、同時に、最近における諸国国際私法立法に顕著に見られる諸傾向がスロベニア国際私法におい ていかように発現しているかを確認することにより、スロベニア国際私法の特徴を明らかにすることを目的とす 258
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るが、それとともに、同国国際私法規定の中、 も言及することとしたい。 比較立法的に新規性を有すると認められる幾つかの規定について 二 法典化の経緯 一九九一年六月二五日、スロベニア共和国がユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国から分離・独立した後、その 国際私法はスロベニア共和国法として引き続いて適用されたが︵勾且o拝勲鉾ρの嵩。 。●︶、﹁国際私法および手続 に関する法律﹂という名称が提案され、それが採用された︵言3ω冨毒OΦ墜因08警p9Φ寄8同日8ωω一〇藷巳ω魯雪 H導①旨象一g巴窪零一奉梓・琶αくR貯ぼ①昌霞8拝ω¢且ω①営①>暮器ω§閃き量ω勾8拝αΦH国弩o冨一ω9窪d巳op 肉&蕩浴謎魯蕊鳶\“§駁ミ箋砺魯串§駄﹄ミ笥ミ婁§&題、嵩ミ誉§ミ︵以下、肉息霧Nとして引用︶8寅ψ謡。矯︶。そ の後、一九九三年一二月二三日、スロベニア共和国はその最初の憲法を可決したが、その第一条は、憲法公布時 に効力を有する法規および他の一般規定は発展させなければならず、それらの法規の中、新憲法との整合性を有 していないものは、遅くとも一九九三年一二月三一日までに廃止されなければならない、と規定していた︵○Φ墜 国08警pp騨ρψ醤N’︶。従前の国際私法の廃止および新しい国際私法の法典化もその方針に沿って実行された ものである。しかし、新憲法に対する全ての法規の見直し作業は現在も終了しておらず、その期限は守られてい ないのが実情のようである︵O①墜内9縁8﹂び律参照V。 259スロベニア国際私法の法典化について 三 新立法の概要 スロベニアの新法は、全体で六章一一九か条をもって構成されている。すなわち、基本規定︵総則規定︶に関 する第一条ないし第一二条︵第一章︶、準拠法︵各論規定︶に関する第二二条ないし第四七条︵第二章︶、管轄お よび手続に関する第四八条ないし第九三条︵第三章︶、外国裁判の承認および執行に関する第九四条ないし第一一 一条︵第四章︶、特別規定︵在外スロベニア共和国国民の身分行為︶に関する第一一二条ないし第一一七条︵第五 章︶、最終規定︵経過規定︶に関する第一一八条および第一一九条︵第六章︶がそれらである︵○。墜国08誇p鉾鉾 ρψβG 。。︶。その構成は旧法を踏襲している。 260 四 総則規定の内容および特徴 新法の内容が旧法に大きく負っていることは、次に見られる通り明らかである。しかし、部分的には、今日の 国際私法の流れに沿って改革されている点も散見される。 まず、第一条第一項および第二項は、新法に含まれる抵触法規定および国際民事訴訟法規則の種類、すなわち、 本法の適用範囲について定めている。これは旧法第一条第一項および第二項と同一である。 次に、第二条第一項は、当面の法律関係のために指定された準拠法よりも密接な関連性を有する法秩序が存在 するときは、同法の適用が斥けられるべきとするいわゆる例外規定である。また、同条第二項は、当事者自治の
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場合には、右規定の適用がないことを定めている。これらは旧法には存在しない規定であり、明らかに、一九八 七年のスイス国際私法第一五条に倣っているとみられるものである。 第三条は、準拠法選定の規定が存在しない場合に関して定めている。これは旧法第二条と同一である。そこに いう国際私法の原則とは、例えば、密接関連性や弱者保護の原則である︵国&o拝卑鉾ρψ嶺ε。 第四条は、他の法令および条約との関連における適用関係について定めている。これは旧法第三条と同一であ る。スロベニア共和国憲法第八条第二項もまた、﹁批准され、かつ、公布された国際法上の条約は直接的に適用さ れる。﹂と定めている︵○Φ墜囚08警P斜pρω知一ε。 第五条は公序について定めている。旧法第四条に相当するが、新法と旧法とは、その公序概念において異なっ ている。すなわち、旧法が、より限定的に、﹁ユーゴスラヴィア連邦共和国憲法によって確立された社会秩序の基 本に反すること﹂を公序概念としているのに対して、新法は、より一般的に、﹁スロベニア共和国の公の秩序と矛 盾すること﹂をそれとして定めている。なお、補充法については規定されていない。 第六条は反致に関する規定である。その第一項においては、指定された外国法が抵触規定を含むものであるこ と︵総括指定︶が明言され、また、その第二項においては、狭義の反致が認められている。これらの規定は、そ れぞれ、旧法第六条第一項および第二項と同一である。同条第一項は転致をも認めているように見えるが︵井上・ 前掲二一四頁参照︶、同条第二項との関連において、転致は認められていないと解すべきであろう。それに対して、 新設されたその第三項においては、当事者自治の規則の下に準拠法が選定されているときは、選択された法の適 261スロベニア国際私法の法典化について 用が優先することが明らかにされている。これは、準拠法指定の趣旨を考慮することにより、反致が禁止される 場合として定めている一九八六年のドイツ国際私法第四条第二項や一九九五年のイタリア国際私法第二二条第二 項a号に倣っているとみられるものである。 第七条は法律行為の方式に関する規定であるが、選択的連結をもって取引保護主義が実現されようとしている 点において、旧法第七条と同一である︵○Φ墜図03警。﹄﹄.ρω知一ε。なお、方式に関する特別規定は、契約︵第 二三条︶、婚姻締結︵第三五条︶、養子縁組︵第四六条第四項︶、遺言︵第三三条︶について定められている。 第八条は時効に関する規定であるが、旧法第八条と同一である。間題とされる法律関係の準拠法に包括的連結 されるべき点から、それが実体法上の制度として取扱われていることを窺い知ることができる。 第九条は不統一法国法の指定に関する規定である。その第一項においては、間接指定主義の立場が採用されて おり、また、その第二項においては、そこに準国際私法に関する規則が存在しない場合に、密接関連性の原則を 基準とすることが定められている。これは、旧法第一〇条第一項および第二項において採用されていた立場と同 一である。なお、そこにおいて想定されている不統一法国法は本国法に限られてはいない。 第一〇条は、重国籍者の本国法の決定について、その第一項においてスロベニア国籍の優先、第二項において 住所の基準、そして、第三項において密接関連性の基準を定めている。これらの規定は、旧法第一一条第一項な いし第三項と同一である。その場合の決定基準として住所の採用が継続されている。 第二条は、無国籍者の本国法の決定について、その第一項において住所の基準、その第二項において居所の 262
基準、そして、その第三項においてスロベニア法の適用を定めている。これらの規定は、旧法第一項ないし第三 項と同一の立場に拠るものである。ここにおいても、住所の採用が継続されている。 第一二条第一項ないし第三項は外国法の内容の確定に関する規定であり、旧法第一三条第一項ないし第三項に 相当するものである。但し、新法第四項においては、いかなる方法によっても外国法の内容が確定されることが できないときは、スロベニア法が適用されるべきことが定められている。これは、旧法上には存在しない規定で ある。いかなる類似法も援用されることはない。因みに、同様に法廷地法に依るとしながら、新たな連結のため の規則が存在しないときに限り、それに依拠すべきとするのが右イタリア国際私法第一四条第二項である。 以上において見られたように、新法はより一歩進んだいくつかの規定を新設していることが看取される。しか し、法律回避を無効とする旧法第五条、並びに、外国法の適用の際の解釈において、外国法に依拠すべきことを 定める旧法第九条に相当する規定は新法には見られない。 五 各論規定の内容および特徴
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新法の内容が旧法に大きく負っている点は、各論規定においても認められる。また、部分的に、今日の国際私 法の流れに沿って改革されている点も、総則規定に見られたと同様である。 まず、第一三条第一項ないし第四項は自然人の権利能力ないし行為能力に関する規定であり、旧法第一四条第 一項ないし第四項と同一である。それらの第二項が本国法上無能力であることを斥けるのは、内国取引保護のた 263スロベニア国際私法の法典化について めではなく、取引の一般的保護のためである。 第一四条は氏名に関する間題について本人の本国法主義を定めた規定である。これは、旧法に存在しない新設 された規定である。氏名の変更に関する特別規定が置かれることにより、一切の身分変動に伴うそれについても 本条が規律するものと考えられる。 第一五条第一項ないし第三項は行為無能力者に対する保護措置に関して定めている。これらは旧法第一五条第 一項ないし第三項と同一の規定である。なお、スロベニアに在る外国国民または無国籍者に対する属地的後見は 暫定的なものに止まる。一方、在外スロベニア国民の後見事務については第一一三条が定めている。 第一六条は行方不明者の死亡宣告に関する規定であり、旧法第一六条と同一である。 第一七条第一項ないし第三項は法人の準拠法に関する規定であるが、法人の法的地位に関して新設された同第 一項を除いて、旧法第一七条と同一である。右新設規定が依拠するのも設立準拠法である。 第一八条第一項ないし第三項は物権の準拠法に関する規定である。その第一項は動産、不動産を区別すること なく、目的物の所在地法に依るべきことを定めている。また、その第二項は運送中の物に対する物権について仕 向地法主義を採用している。さらに、その第三項は輸送手段に対する物権についてその帰属国法に依るべきこと を定めている。これらは旧法第一八条第一項ないし第三項と同一である。 第一九条第一項は、一定の留保の下に、契約について当事者自治の原則を明言した規定である。旧法第一九条 に相当する規定である。新法においては、さらに、当事者意思の明臼性を求める第二項、および、契約の効力に 264
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関する第三項の規定が新設されている。 第二〇条は、契約当事者による法選択がない場合において、契約と最も密接な関係がある法に依るべきとして、 契約に最も特徴的な給付そのものではなく、その給付を行なう一方当事者の住所もしくは本拠が所在する地の法 をもってそれに当たることを定めている。旧法第二〇条においては個別契約類型ごとにその準拠法について詳細 に定められているが、新法における規則はより一般的なものになっている。 注目されるべき規定として、契約の中、労働契約および消費者契約については特別な規定が新設されている。 すなわち、労働契約に関する第二一条第一項ないし第四項、および、消費者契約に関する第二二条第一項ないし 第五項がそれらである。それらの規定の中、労働者の権利保護のための第二一条第四項、および、消費者の権利 保護のための第二二条第五項等、強行規定の特別連結理論を表現しているそれぢの諸規定が一九八○年の﹁契約 債務の準拠法に関するEC条約﹂︵いわゆるローマ条約︶に倣っていることは明らかである。 不動産に関する契約については、第二三条が常にその所在地法に依るべきことを特別に定めており、当事者に よる法選択は排除されている︵国邑o拝騨聾ρψ屋。h︶。これは旧法第二一条と同一である。 第二四条は、果実の取得および危険負担に関する規定であり、それらの間題について物権準拠法ではなく、契 約準拠法が適用されるべきとする点において旧法第二三条と同一である。 第二五条は、物の引渡しおよび受領拒否に関して、引渡地法の適用が原則であることを定めている。これは旧 法第二三条と同一である。 265スロベニア国際私法の法典化について 第二六条は、債権譲渡および債務引受の効力、例えば、債権の譲渡性、債務者の責任免除、債務者の抗弁権等 について債権もしくは債務それ自体の法を準拠法とする。これは旧法第二四条と同一である。 第二七条は、従たる法律行為に関して、原則として主たる法律行為の準拠法に従うべきことを定めている。こ れは旧法第二五条と同一である。それに対して、第二八条は、一方的法律行為に関して債務者の法に依るとする 規定であり、旧法第二六条と同一である。 第二九条は、その第一項において不当利得について、その第二項において事務管理について、そして、その第 三項において、事務管理を欠いた物の使用、および、不法行為以外の契約外債権について定めている。これらの 規定は旧法第二七条第一項ないし第三項において同様に定められているものである。 第三〇条第一項は、不法行為に因る損害賠償責任について、原因事実発生地法を原則とし、それと結果発生地 法とが異なる場合には、被害者にとってより有利な法の適用を定めている。これは旧法第二八条第一項と同様な 立場である。但し、新法においては、加害者が結果発生地を予見することができたか、または、予見すべきであっ たことが結果発生地法の適用の要件として付加されている。これは一九七三年の﹁生産物責任の準拠法に関する ハーグ条約﹂上の立場を連想させるものである。しかし、なお、密接関連法の優先を謳っているのが新法第三〇 条第二項である。旧法における不法行為としての違法性の認定のための準拠法に関する規定は、新法上、密接関 連法に吸収されているということができる。 第三一条は公海上の船舶および航空機における不法行為に関する規定であり、旧法第三一条と同一である。 266
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第三二条第一項は相続について、そして、同条第二項は遺言について、被相続人の本国法に依るべきことを定 めている。これらは旧法第三〇条第一項および第二項と同一である。 第三三条第一項および第二項は遺言の方式に関する規定であり、旧法第三一条第一項および第二項と同一であ る。選択的連結の規則を採用するこれらの規定が、方式の面における遺言保護を図った一九六一年の﹁遺言の方 式の法律抵触に関するハーグ条約﹂に倣ったものであることは明らかである。 第三四条は婚姻の実質的要件について配分的適用を定めており、旧法第三二条第一項と同一である。なお、旧 法が定めていたユーゴスラヴィア法上の婚姻障害に基づく特別公序の規定は、新法には置かれていない。 第三五条は婚姻の方式について婚姻挙行地法主義の立場を定めており、これは旧法第三三条と同一である。 第三六条は婚姻の無効に関する規定であり、それについては婚姻の実質的要件および方式の準拠法に従うべき とされている。これは旧法第三四条と同一の規定である。 第三七条第一項ないし第四項は、離婚について、夫婦の共通本国法、夫婦双方の本国法、スロベニア法の段階 的連結の規則を定めている。共通本国法がない場合に夫婦の本国法を累積的に適用すべきとされている点に特徴 があるが、それとともに、その結果、離婚できないときにはスロベニア法を適用すべきとされている点も、段階 的連結の規則に実質的判断を導入するものとして注目されるべき立場である。もっとも、これらの諸規定上の立 場は、すべて、旧法第三五条第一項ないし第四項においてすでに採用されていたものである。 第三八条第一項ないし第四項は、夫婦の身分的法律関係および法定財産関係について、夫婦の共通本国法、共 267スロベニア国際私法の法典化について 通住所地法、共通居所地法、密接関連法の段階的連結の規則を定めている。この規則は、法廷地法であったユー ゴスラヴィア法に代えて密接関連法を採用した点を除いて、旧法第三六条第一項ないし第四項と同一である。 第三九条第一項においては、夫婦財産契約について、身分的法律関係および法定財産関係の準拠法によること が原則とされながら、同条第二項においては夫婦に当事者自治が許容されている。その場合において連結される 法の範囲については制限は定められていない。これらは旧法第三七条第一項および第二項と同一である。 第四〇条第一項および第二項は、婚姻が無効であるか、または、取消しうべき場合における夫婦財産関係につ いて定めている。これらは旧法第三八条第一項および第二項と同一である。 第四一条第一項ないし第三項は、内縁関係者の財産関係について、夫婦の場合と同様に、共通本国法、共通住 所地法の段階的連結の規則を定めている。これらは旧法第三九条第一項ないし第三項と同一の規定であるが、比 較立法的には、そのための特別規定が置かれていることは特異である。 第四二条第一項ないし第三項は、親子間の法律関係について、共通本国法、共通住所地法、子の本国法の段階 的連結の規則を定めている。これらは旧法第四二条第一項、第二項、第四項と同一である。旧法第四二条第三項 は、共通本国法および共通住所地法がないとき、一定の要件の下にユーゴスラヴィア法の適用を認めていたが、 そのような規定は新法上には置かれていない。子の法に重きが置かれる趣旨であろう。 第四三条は、父子関係および母子関係の成否について、子の本国法主義を採用している。これは旧法第四一条 と同一である。 268
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第四四条は、親子間の扶養義務を除き、親族問のそれについて扶養義務者の本国法主義を採用している。親子 間の扶養義務については、親子間の法律関係として、第四二条が規律すべきものとみられる。旧法第四二条もほ ぼ同様の規定であるが、そこでは、姻族問の扶養義務についても、同条による規律の範囲からは外されている。 第四五条第一項および第二項は、準正について、父母の共通本国法、準正を有効とするその一方の本国法の段 階的連結の規則を定めている。旧法第四三条第一項と同一である。しかし、同第二項は、それによっても準正が 認められないときは、一定の要件の下にユーゴスラヴィア法によって準正保護が顧慮されているが、新法にはそ のような規定は置かれていない。なお、子の本国法を部分的に累積的に適用すべきとする保護条項は、新法第三 項および旧法第四項において共に定められているところである。 第四六条第一項および第二項は、養子縁組について、養親と養子の共通本国法、両者の本国法の累積的適用の 段階的連結の規則を定めており、また、第三項は、夫婦による養子縁組について、養子および養親の本国法の累 積的適用を定めている。養親の本国法主義と養子のそれの併用の立場である。前者に依拠しつつ、養子の保護を 徹底することがその趣旨であるとみられる。さらに、第四項は縁組の方式に関する規定である。これらの規定は 旧法第四四条第一項ないし第四項と同一である。 第四七条第一項ないし第三項は、養子縁組の効力について、養親と養子の共通本国法、その共通住所地法、養 子の本国法の段階的連結の規則を定めている。これは、旧法第四五条第一項、第二項、第四項と同一である。同 条第三項は、共通本国法および共通住所地法がないとき、一定の要件の下にユーゴスラヴィア法の適用を認めて 269スロベニア国際私法の法典化について いたが、そのような規定は新法上には置かれていない。 六 結 語 以上においてみられた通り、スロベニア国際私法の基盤となっているのはユーゴスラヴィア国際私法である。 同国際私法が拠り所とされた理由としては、次の二点が考えられる。まず、スロベニアにおける法秩序の継続性 の要請である。ユーゴスラヴィア連邦から分離・独立したことにより、形式的には別個の法律の施行が求められ るとはいえ、可及的に同一の内容の法律を施行することが、法的安定性に資することになることはいうまでもな い。また、その場合、依拠されたユーゴスラヴィア国際私法そのものが、全体的に、その内容において決して古 くなっていないという点も指摘されるべきであろう。勿論、その後のハーグ国際私法条約を始めとする数々の国 際私法条約や、ドイツ、スイス、イタリア等の近時の国内立法における発展はスロベニア国際私法にも相当に影 響を与えているものとみられ、その意味において、同国国際私法典に対しては、比較立法的にもかなり進歩した 諸規則を内容として有する立法であると評することができる。 次に掲げるのはスロベニア国際私法の試訳である。訳出に際しては、鰭§8。ρω﹂8律に掲載されている独 語訳に依拠した。なお、独語訳は、それぞれ異なる翻訳者によるものとして、肉§塾N8。ρψ置・ 。斥さらに、部 分的には、︸ωΦお日餌目\]≦■問R昼一暮R量賦9巴8国冨−⋮α困&零冨津巽9算にも掲載されている。 270
︵参考資料︶スロベニア国際私法
国際私法および手続に関する法律︵ス・ベニア共和国官報一九九九年第五六号︶第一章基本規定
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第一条 ω 本法は、国際的関連を有する身分的、家族法的、労働および社会法的、財産法的、並びに、その他の民事法 的関係に適用されるべき法秩序規定のための規則を含む。 ㈹ 本法は、本条第一項において引用された法律関係に関する裁判のためのスロベニア共和国裁判所および他の 機関の管轄に関する規則、手続規則、並びに、外国裁判所および伸裁裁判所の裁判および他の機関の裁判の承 認および執行に関する規則をも含む。 第二条 ω 本法の規定が送致する法秩序は、法律関係がその法秩序と主要な結び付きを有しないが、他のいずれかの法 秩序とのより密接な主要な結び付きが存在することが、事件の全ての事情を考慮して明らかであるときは、例 外的に適用されないものとする。 271スロベニア国際私法の法典化について ⑧ 当事者が法秩序を選択するときは、その規定は適用されないものとする。 第三条 本法が準拠法に関する規定を含んでいないときは、本法の規定および原則、スロベニア共和国法秩序の原則、 並びに、国際私法の原則に準じて適用されるものとする。 第四条 本法は、他のいずれかの法律または国際条約によって規律される法律関係には適用されないものとする。 第五条 本法の規定が送致する法秩序は、その適用の結果がスロベニア共和国の公の秩序と矛盾することとなるときは 適用されないものとする。 第六条 ω 本法に従い、他のいずれかの国の法が適用されるべきであるときは、その準拠法に関する規定が考慮される ものとする。 ω いずれの法が適用されるべきかを決定する他のいずれかの国の規定がスロベニア共和国法秩序へ反対に送致 するときは、スロベニア共和国法がその送致規定を除いて適用されるものとする。 ㈹ 本条第一項および第二項は、法選択が当事者に帰属するときは適用されないものとする。 第七条 272
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法律が別段に定めない限り、法律行為および法的行為は、それらの行為が締結されたか、もしくは、法的行為 が行なわれた地の法に従うか、または、法律行為もしくは法的行為の内容へ適用されるべき法に従って方式上有 効であるときは、方式上有効である。 第八条 時効については、法律行為または法的行為の内容に適用される法が適用されるものとする。 第九条 ω いずれかの国の法が適用されるべきときであって、その法秩序が統一されておらず、かつ、本法の規定が同 国の一定の部分法秩序へ送致しないときは、準拠法はその国の法秩序上の規定に従って決定されるものとする。 の 法秩序が統一されていない国の準拠法が、本条第一項に従い、探知されることができないときは、法律関係 との最も密接な結び付きを呈示する同国の部分法秩序が適用されるものとする。 第一〇条 ω スロベニア共和国の国民が他の国の国籍をも有するときは、本法の適用のため、その者はスロベニア共和国 の国籍のみを有するものと見倣される。 ㈹ スロベニア共和国の国民でない者が二つまたはそれ以上の外国国籍を有するときは、本法の適用のため、そ の者は、その者が国民であり、かつ、その者がその住所をも有する国の国籍を有するものと見倣される。 ⑥ 本条第二項の意味における者が、その者が国民である国にその住所を有しないときは、本法の適用のため、 273スロベニア国際私法の法典化について その者は、その者が国民であり、かつ、その者が最も密接に結び付けられている国の国籍を有するものと見倣 される。 第[一条 ω いずれかの者が無国籍であるか、または、その国籍が確定されることができないときは、その住所地法が適 用されるものとする。 の 本条第一項の意味における者が住所を有しないか、または、それが確定できないときは、その居所地法が適 用されるものとする。 ⑬ 本条第一項の意味における者において、居所地も確定できないときは、スロベニア共和国法が適用されるも のとする。 第=一条 ω 裁判所または他の所轄官庁は、職権により、準拠外国法の内容を確定しなければならない。 ⑧ 本条第一項の意味における官庁は、司法について所轄する省に外国法に関する情報を求めることができると ともに、その内容に関し、他の然るべき方法をもって知識を入手することができる。 ㈲ 手続においては、当事者は、外国法の内容に関する外国所轄官庁または機関の公文書または他の文書を提出 することができる。 ㈲ 具体的な法律関係のための外国法の内容がいかなる方法をもっても確定することができないときは、スロベ 274
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ニァ共和国法が適用されるものとする。第二章準拠法
第=二条 ω 自然人の権利能力および行為能力については、その者が国民である国の法が適用されるものとする。 ③ いずれかの自然人は、その者が国民である国の法に従えば行為無能力者であったとしても、その者が義務が 成立している地の法に従えばその能力を有するときは、行為能力者とする。 ⑥ 自然人の行為能力の剥奪または制限については、本条第一項において示された法が適用されるものとする。 ㈲ 家族の法律関係および相続の法律関係については、本条第二項は適用されないものとする。 第一四条 人名の間題については、人名が決定されるか、または、変更される者が国民である国の法が適用されるものと する。 第一五条 ω 後見︵代理︶の命令および後見の終了、並びに、後見人と被保護者との間の法律関係については、被保護者 が国民である国の法が適用されるものとする。 ㈲ スロベニア共和国に在る外国国民または無国籍者のための暫定的保護措置は、スロベニア共和国法に従って 275スロベニア国際私法の法典化について 命令され、また、それについて管轄権を有する国が裁決し、かつ、必要な処分が行なわれるまで持続する。 ㈹ 本条第二項は、不在の外国国民または無国籍者のスロベニア共和国の領域に所在する財産の保護についても 適用されるものとする。 第一六条 行方不明者の死亡宣告については、行方不明者が、行方不明当時、国民であった国の法が適用されるものとす る。 第一七条 ω 法人の法的地位については、法人が帰属する国の法が適用されるものとする。 ㈹ 法人の帰属は、それが設立されている国の法に従って決定される。 ⑥ 法人が、それが設立されている国とは別の国にその主たる本拠を有し、かつ、それが、その別の国の法に従 い、その帰属をも有するときは、それはその別の国に帰属するものと見倣される。 第一八条 ω 所有権の法律関係および物に対する他の権利については、物が所在する地の法が適用されるものとする。 ⑧ 運送中の物に関しては、本条第一項に従った法律関係について、仕向地法が適用されるものとする。 ㈹ スロベニア共和国の規定が別段に定めない限り、輸送手段のための本条第一項に従った法律関係については、 その輸送手段が帰属する国の法が適用されるものとする。 276
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第一九条 ω 契約については、本法または国際条約が別段に定めないときは、契約当事者によって選択された法が適用さ れるものとする。 ㈲ 法選択に関する当事者意思は、明臼に宣言されることができるか、または、契約条項もしくは他の情況から 疑いなく明らかにならなければならない。 ⑥ 法選択についての契約の効力は、選択された法に従って判断されるものとする。 第二〇条 当事者が法選択を行なわなかったときは、法律関係と最も密接に結び付けられている法が適用されるものとす る。事件の特別な情況が他の法へ送致しないときは、各の契約について特徴的な給付︵注・履行︶を行なうべき ものと義務付けられている当事者がその住所もしくは本拠を有する国の法への最も密接な結び付きが存在するも のと認められる。 第一二条 ω 労働契約については、労働者が、契約に従い、平常その労務を行なう国の法が適用されるものとする。 ⑧ 労働者が一時的に他の国において働くときは、その者が同国において平常その労務を行なうものとは見倣さ れない。 ⑥ 労働者が、契約に従い、平常一国のみにおいてその労務を行なうのでないときは、使用者がその本拠もしく 277スロベニア国際私法の法典化について はその住所を有する国の法が適用されるものとする。 ㈲ 当事者は、法選択に関する契約をもって、当事者の法選択がなかったならば適用されるべきであった国の法 が含む労働者の権利保護に関する強行規定を排除してはならない。 第ニニ条 ω 消費者への動産または権利の譲渡に関する契約、および、消費者へのサービスの提供に関する契約は、本法 に従い、消費者契約と見倣される。 ⑧ 主として個人的使用または個人の家事における使用のために、物、権利およびサービスを取得する者は、本 法に従い、消費者と見徹される。 ⑥ 運送契約および消費者へのサービスの提供に関する契約は、それらが、契約に従い、全体として消費者がそ の住所を有する国の領域外において行なわれるときは、本法に従い、消費者契約とは見倣されない。 ω 本法の他の規定に拘わらず、次に掲げるときは、消費者契約について、消費者がその住所を有する国の法が 適用されるものとする。 ー 契約締結が同国における申込みまたは勧誘の結果であり、かつ、消費者が同国において契約締結に必要な 行為を行なったとき、または、 ー 消費者の相手方契約当事者またはその代理人が、同国において消費者の注文を受領したとき、または、 1 他の国における売買契約の締結を奨励するための旅行が売り主によって意図的に組織されている限り、か 278
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ような契約が他の国において締結されたか、もしくは、消費者が他の国においてその注文を出したとき ㈲ 前諸項の場合においては、当事者は、法選択により、消費者がその住所を有する国の法が含む消費者の権利 保護に関する強行規定を排除することはできない。 第二三条 不動産に関する契約については、不動産が所在している領域が属する国の法が常に適用されるものとする。 第二四条 当事者の契約関係については、当事者の異なる合意がないとき、次に掲げる決定のため、本条第一九条および 第二〇条に従った法も適用されるものとする。 一 動産の取得者ないしは譲受人がいつからその生産物および果実に対する権利を有するかの時期の決定 二 取得者ないしは運送人がいつから物に関する危険︵リスク︶を負担するかの時期の決定 第二五条 契約当事者による異なる合意がない限り、物の引渡し方法、および、物の受領の拒否の際に必要な措置は、物 が引渡されるべきである地の法に従って判断されるものとする。 第二六条 債権譲渡または債務引受の効力については、譲渡もしくは引受に関与しなかった債務者もしくは債権者のため、 債権もしくは債務が判断されるべきである国の法が適用されるものとする。 279スロベニア国際私法の法典化について 第二七条 異なる規定がない限り、従たる法律行為については、主たる法律行為について適用される法が適用されるもの とする。 第二八条 一方的法律行為については、債務者がその住所ないしは本拠を有する国の法が適用されるものとする。 第二九条 ω 不当利得については、成立しているか、期待されるか、または、推定された法律関係であって、かつ、それ に基づいて利得が生じているものが判断されるべき国の法が適用されるものとする。 ③ 委任を欠いた事務管理については、管理者が行為した地の法が適用されるものとする。 ⑥ 事務管理を欠いた物の使用に因る債務、および、損害賠償責任からは生じない他の契約外の債務については、 債務の原因となっている事実が発生している地の法が適用されるものとする。 第三〇条 ω 契約外の損害賠償責任については、行為が行なわれている地の法が適用されるものとする。但し、惹起人が 結果発生地を予見することが可能であり、かつ、予見すべきであったときに限り、それに代えて、結果が発生 している地の法が被害者にとってより有利であるときは、同法が適用されるものとする。 ⑭ 本条第一項に従って決定された法が法律関係とのより密接な結び付きを有せず、他のいずれかの法との明白 280
な結び付きが存在するときは、同法が適用されるものとする。 第三一条 損害賠償の原因となる行為が公海上における船舶または航空機中において行なわれたときは、船舶が帰属する 国の法、もしくは、航空機が登録されている国の法が、損害賠償の原因となる行為の地を意味する。 第三二条 ω 相続については、被相続人が、その死亡の当時、国民であった国の法が適用されるものとする。 ③ 遺言能力は、被相続人が、遺言作成の当時、国籍を有した国の法に従って判断されるものとする。 第三三条 ω 遺言は、方式が次に掲げる法秩序の中の一つによれば有効であるとき、その方式に関して有効とする。 一 遺言が作成された地の法
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二 被相続人が、遺言による処分の当時またはその死亡の当時、国民であった国の法 三 遺言による処分の当時または被相続人の死亡の当時のその住所地法 四 遺言による処分の当時または被相続人の死亡の当時のその居所地法 五 スロベニア共和国法 六 不動産の際には、さらに、それが所在する地の法 ㈲ 遺言の撤回は、その方式が、本条第一項に従い、遺言が有効に作成されることができる法のいずれかによれ 281スロベニア国際私法の法典化について ば有効であるときは、その方式に関して有効とする。 第三四条 婚姻締結の要件は、各の者について、その者が、婚姻締結の当時、国民である国の法に従って判断されるもの とする。 第三五条 婚姻締結の方式については、婚姻締結地法が適用されるものとする。 第三六条 婚姻の無効は、本法第三四条および第三五条に従い、婚姻が締結された実質法のいずれかに従って判断される ものとする。 第三七条 ω 離婚については、夫婦の双方が、訴訟提起の当時、国民である国の法が適用されるものとする。 ③ 夫婦が、訴訟提起の当時、異なる国の国民であるときは、離婚については、それらの者が国民である双方の 国の法が累積的に適用されるものとする。 ⑥ 婚姻が本条第二項に従った法によれば離婚されることができないときは、離婚については、夫婦の一方が、 訴訟提起の当時、スロベニア共和国に住所を有したとき、スロベニア共和国法が適用されるものとする。 ㈹ 婚姻が本条第二項において定められた法によれば離婚されることができず、かつ、夫婦の一方がスロベニア 282
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共和国に住所のないスロベニア共和国国民であるときは、離婚については、スロベニア共和国法が適用される ものとする。 第三八条 ① 夫婦の身分的法律関係および法定財産関係については、それらの者が国民である国の法が適用されるものと する。 ③ 夫婦が異なる国の国民であるときは、それらの者がその住所を有する国の法が適用されるものとする。 ㈹ 夫婦が同一の国籍を有せず、また、同一国にその住所をも有しないときは、それらの者がその最後の共通居 所を有した国の法が適用されるものとする。 ㈲ 準拠法が本条第一項または第二項または第三項に従って決定されることができないときは、法律関係が最も 密接な結び付きを有する法が適用されるものとする。 第三九条 ω 夫婦間の約定財産関係は、契約締結の当時、その身分的法律関係および法定財産関係について基準とされた 法に従って判断されるものとする。 ③ 夫婦が、本条第一項に従う法により、夫婦間の財産契約についての準拠法を選択することができるときは、 それらの者によって選択された法が適用されるものとする。 第四〇条 283スロベニア国際私法の法典化について ω 婚姻が無効であるか、または、取消されるものであるときは、身分的法律関係および法定財産関係について は、本法第三八条において定められた法が適用されるものとする。 ⑧ 夫婦間の約定財産関係については、本条第一項のような場合には、本法第三九条において定められた法が適 用されるものとする。 第四一条 ω 婚姻していない生活共同体において生活する者達の財産関係については、それらの者が国民である国の法が 適用されるものとする。 ③ 本条第一項のような者達が同一の国籍を有しないときは、それらの者がその共通住所を有する国の法が適用 されるものとする。 ⑥ 婚姻していない生活共同体において生活する者達の問の約定財産関係については、契約締結の当時、その財 産関係について基準とされた法が適用されるものとする。 第四二条 ω 親子間の法律関係は、それらの者が国民である国の法に従って判断されるものとする。 ㈲ 父母と子が異なる国の国民であるときは、全ての者がその住所を有する国の法が適用されるものとする。 ⑥ 父母と子が異なる国の国民であり、かつ、それらの者が同一国に住所も有しないときは、子が国民である国 の法が適用されるものとする。 284
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第四三条 父子関係もしくは母子関係の認知、確認または否認は、子が国民である国の法に従って判断されるものとする。 第四四条 親族間の扶養義務ー親子については除くーまたは姻族間の扶養義務は、扶養が求められる親族が国民であ る国の法に従って判断されるものとする。 第四五条 ω 準正は父母が国民である国の法に従って判断されるものとする。父母が同一の国籍を有しないときは、準正 が有効である父母の一方の国の法に従うものとする。 鋤 子または他の者または国家官庁の準正に対する承諾は、子が国民である国の法に従って判断されるものとす る。 第四六条 ω 養子縁組の要件および養子縁組の終了は、養親および養子が国民である国の法に従って判断されるものとす る。 ⑧ 養親および養子が異なる国の国民であるときは、養子縁組の要件およびその終了については、それらの者が 国民である双方の国の法が累積的に適用されるものとする。 ⑥ 夫婦による共同養子縁組の際には、養子縁組の要件およびその終了については、養子が国民である国の法の 285スロベニア国際私法の法典化について ほか、夫婦の一方および他方が国民である国の法秩序も適用されるものとする。 ㈲ 養子縁組の方式は、養子縁組が行なわれる国の法に従って判断されるものとする。 第四七条 ω 養子縁組の効力は、養親および養子が、養子縁組の実行の当時、国民である国の法に従って判断されるもの とする。 ω 養親および養子が異なる国の国民であるときは、それらの者がその住所を有する国の法が適用されるものと する。 ㈹ 養親および養子が異なる国の国民であり、かつ、それらの者が同一国に住所を有しないときは、養子が国民 である国の法が適用されるものとする。 第三章 管轄および手続 第四八条−第九三条 ︵省略︶ 第四章 外国裁判の承認および執行 第九四条−第一一一条 ︵省略︶ 286
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第五章 特別規定 第一ロニ条 ① スロベニア共和国国民は、スロベニア共和国領事館が所在する国が反対しないか、または、国際条約によっ て規定されているときは、スロベニア共和国領事館により、外国において婚姻を締結することができる。 ω 外務所轄大臣は、スロベニア共和国国民間の婚姻締結がいずれのスロベニア共和国在外公館において行なわ れることができるかを決定する。 第一一三条 後見事務は、スロベニア共和国領事館が所在する国が反対しないか、または、国際条約によって規定されてい るときは、在外スロベニア共和国国民のため、スロベニア共和国領事館によって処理される。第二四条
スロベニア共和国領事館は、外国において、法定遺言について適用される法規に従い、スロベニア国民に遺言 を作成することができる。第二五条
ω スロベニア共和国領事館は、国際条約および法規に一致して、受入れ国の署名、自筆供述書および謄本を認 証することができる。 287スロベニア国際私法の法典化について の 外務所轄大臣は、本条第一項のような事務の処理を詳細に規定する。 第一一六条 ①スロベニア共和国において行なわれているか、または、行なわれた法規、および、いずれかの外国の機関に よって適用されるべきである法規に関する報告文書は、法務大臣が交付する。 ⑧ 本条第一項のような報告においては、法規の名称、法規の施行日若しくは廃止日、および、その法規の然る べき規定の条文が引用されるものとする。 第一一七条 スロベニア共和国代表部は、スロベニア共和国領事館が存在しない受入れ国の領域において、また、それがそ の本拠を有する地にスロベニア共和国領事館が存在しないときは、本法に従い、スロベニア共和国領事館の任務 を処理することができる。 288 第六章 最終規定 第一[八条 本法の発効日をもって、一定の関係における外国法規との法律抵触の解決に関する法律 会主義連邦共和国官報一九八二年第四三号および第七二号︶は適用されないものとする。
第二九条
︵ユーゴスラヴイア社本法は、スロベニア共和国官報における公布後第一五日目に施行される。