電線共同溝技術マニュアル(案)
第 4.3 版
令和 3 年 3 月
◇◇◇◇
目 次
◇◇◇◇第 1 章 総 論
1-1 適用範囲 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 1-2 用語の定義 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 1-3 低コスト化のための比較検討の徹底 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 1-4 電線共同溝構造方式の選定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4
第 2 章 概 要
2-1 単管路方式電線共同溝 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9 2-2 複数管路方式電線共同溝 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10 2-2-1 共用FA管・ボディ管・1管セパレート管 ‥‥‥‥‥‥ 11 2-2-2 柱状機器 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 13
第 3 章 計 画
3-1 設計計画 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 14 3-1-1 設計の流れ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 14 3-2 設計内容 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15 3-2-1 事業者打合せ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15 3-2-2 地元連絡会の開催 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15 3-2-3 配線計画図の依頼 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15 3-2-4 現地調査 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16 3-2-5 埋設合せ図作成 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16 3-2-6 設計条件整理 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16 3-2-7 構造形態の設定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 17 3-2-8 管路部および特殊部断面等の設定 ‥‥‥‥‥‥‥‥ 17 3-2-9 平面・縦断計画 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 17 3-2-10 特殊部等の現地確認 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 17 3-2-11 移設計画平面図の作成 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 18 3-2-12 細部設計 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 18 3-2-13 施工計画書作成 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 18
第 4 章 単管路方式電線共同溝の設計
4-1 位置および線形 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 19 4-1-1 位置 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 19 4-1-2 平面および縦断線形 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 19 4-1-3 埋設深さ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 21 4-2 管路部 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 27 4-2-1 管路材の仕様 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 27 4-2-2 管路部の計画 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 28 4-2-3 共用FA管 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 29 4-2-4 ボディ管および1管セパレート管 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 33 4-2-5 さや管 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 34 4-2-6 電力用管路 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 35 4-2-7 連系管路・連系設備・仮連系管路 ・‥‥‥‥‥‥‥‥ 35 4-2-8 管路の離隔 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 36 4-2-9 管路の配列 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 37 4-2-10 管路の伸縮しろ長 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 38 4-3 特殊部 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 39 4-3-1 特殊部の配置計画、構造の選定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 39 4-3-2 断面寸法設定時の基本条件 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 40 4-3-3 地上機器部 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 44 4-3-4 接続部 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 51 4-4 各種桝 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 53 4-4-1 各種桝の配置計画 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 53 4-4-2 各種桝の内空寸法 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 53 4-4-3 柱体接続桝 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 54 4-4-4 通信接続桝 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 55 4-4-5 柱体の仕様 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 56 4-4-6 蓋の構造 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 57
第 5 章 複数管路方式電線共同溝の設計
5-1 位置および線形 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 58 5-1-1 位置 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 58 5-1-2 平面および縦断線形 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 58 5-1-3 埋設深さ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 59 5-2 管路部 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 65 5-2-1 管路材の仕様 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 65 5-2-2 管路部の管径 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 66 5-2-3 管路部の計画 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 67 5-2-4 連系管路・連系設備・仮連系管路 ‥‥‥‥‥‥‥ 69 5-2-5 管路の離隔 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 69 5-2-6 管路の配列 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 69 5-2-7 管路の伸縮しろ長 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 70 5-3 特殊部 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 71 5-3-1 特殊部の配置計画、構造の選定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 71 5-3-2 断面寸法設定時の基本条件 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 73 5-3-3 地上機器部 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 78 5-3-4 接続部 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 85 5-3-5 Ⅰ型の内空寸法 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 89 5-3-6 官民境界桝(分岐桝) ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 92 5-3-7 蓋の構造 ・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 93
第 6 章 細部構造
6-1 電線引き出し部の構造等 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 94 6-2 道路横断部の構造等 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 94 6-3 引込み管路 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 96 6-4 妻壁部の構造 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 96 6-5 ダクト口の防護 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 97 6-6 基礎の構造 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 98 6-7 施錠の構造 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 98 6-8 排水等 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 98 6-9 付属設備 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 99 6-10 既設占用施設の活用 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 101
第 7 章 施 工
7-1 仮設設計の基本 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 102 7-2 土工 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 102 7-2-1 掘削 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 102 7-2-2 埋戻し ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 104 7-3 特殊部の施工 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 105 7-3-1 基礎 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 105 7-3-2 特殊部設置 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 105 7-4 管路部の施工 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 106 7-4-1 管の配列 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 106 7-4-2 配管手順 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 106 7-4-3 管の接続 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 106 7-4-4 曲線敷設 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 107 7-4-5 管路の表示 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 107 7-5 仮復旧 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 110 7-6 橋梁添架部 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 110 7-7 施工品質管理 ‥‥‥‥‥‥‥‥・‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 111
第 8 章 参考資料
8-1 電線共同溝の資産譲渡の検査方法(案) ‥‥‥‥‥‥‥‥ 114
第 1 章 総論
1-1 適用範囲
本マニュアル(案)は、北海道内における電線共同溝の計画、調査、設計および施工に適用 する。
[解説]
本マニュアル(案)は、「電線共同溝 試行案(財団法人 道路保全技術センター)平成 11 年 11 月」(以下、「電線共同溝試行案」という)を補足するものであり、積雪寒冷地に配慮 した電線共同溝の計画、調査、設計、施工の標準を示すものである。適用にあたっては、本 書の意図するところを把握し、現地状況を勘案して、柔軟な運用を行うものとする。
なお、本マニュアル(案)の適用に伴い「電線共同溝技術マニュアル(案)」(平成 18 年 10 月)は廃止するものとする。
1-2 用語の定義
電 線 共 同 溝 -電線の設置および管理を行う 2 以上の者の電線を収容するため、道路管理者が 道路の地下に設ける施設をいい、管路部と特殊部からなる。
単管路方式電線共同溝
-商店街や住宅地等のケーブル条数が少ない地域や歩道幅員の狭い地域の整備に 適用したコンパクト型の電線共同溝である。
複数管路方式電線共同溝
-複数管路方式電線共同溝は、単管路方式では適用が困難な場合に適用とし、従 来型の構造形式(電線共同溝 試行案(財団法人 道路保全技術センター)を 基本に、コンパクト化・コスト縮減を考慮した方式である。
(1)共通用語
管 路 部 -電線を管路材に収容する部分をいう。
特 殊 部 -接続部ならびに地上機器部等を総称していう。
地 上 機 器 部 -変圧器や多回路開閉器等の機器を、地上に設置するために設ける部分をいう。
接 続 部 -電線を接続・分岐するために設ける部分をいい、電力線と通信線を一体に収容 するものをⅠ型、各々に収容するものをⅡ型という。
官 民 境 界 桝(分岐桝)
-再掘削防止等のため、官民境界に設ける部分をいう。
地上用変圧器 -高圧を低圧に変換するため、地上に設ける機器をいう。
多回路開閉器 -高圧幹線ケーブルを高圧準幹線ケーブルおよび高圧分線ケーブルに変換するた めの機器のことをいう。
低圧分岐装置 -低圧需要家への引込みのための分岐を行う地上機器をいう。
ク ロ ー ジ ャ -情報通信ケーブルの接続や分岐するための接続体をいう。
ガ ス ダ ム -ガス(圧縮空気)充填ケーブルに付属するもので、ガス(圧縮空気)を接続部
タ ッ プ オ フ -有線放送(ケーブルテレビ、音楽放送等)の接続や、分岐するための接続体 をいう。
配 線 計 画 図 -電力・通信事業者が、対象地区の電力、通信需要を想定しケーブルの種類、径、
条数および特殊部の種類、位置等を記述した図をいう。
ダクトスリーブ -地震時の地盤ひずみによる特殊部内への管の突出や抜け出しを防ぐために特殊 部と管路部の接続点に設置するスリーブ管をいう。
ノックアウト -特殊部等の電線引出し部は、打ち抜き等により容易に開口できる構造(無筋コ ンクリート)をいう。
(2)単管路方式電線共同溝にて用いる用語
柱 体 機 器 -柱体に柱状変圧器等を設置する機器方式をいう。
柱 体 接 続 桝 -柱体と電線共同溝を接続する部分をいう。
柱 体 -柱状変圧器等の電力設備、照明器具等を添架する柱をいう。
柱 状 変 圧 器 -柱体に設置される変圧器をいう。
共 用 F A 管-各電線管理者の情報通信・放送系の引込みケーブルを共用FA管 1 管に多条敷 設し、需要家に対し任意な箇所から直接分岐を行う構造もしくは構造を有する 管をいう。また、フリーアクセス方式については、電線管理者毎で、1 管に通 信・放送系の幹線および引込みケーブルを多条敷設し、需要家に対し任意な箇 所から直接分岐を行う方式をいうが、原則として採用しないものとする。
ボ デ ィ 管 -さや管を収容したボディ管から構成され、道路管理者および情報通信・放送系 幹線ケーブル等を収容する外管をいう。
1 管 セ ハ ゚ レ ー ト 管 -1つの管をセパレータで分割し、上部に引き込みケーブルを多条収容し、下部の さや管5条内に各企業の幹線ケーブルを収容する管をいう。
さ や 管 -ボディ管内に収容する情報通信・放送系幹線ケーブル等の分離、保護、張替を 目的とした内管をいう。
通 信 接 続 桝 -情報通信・放送系ケーブルを接続・分岐する機器を収容する部分をいう。
1-3 低コスト化のための比較検討の徹底
(1)電線共同溝の設計にあたっては、品質を確認したうえで「低コスト手法」を含めたコス ト比較を必ず行い、最適な手法を採用すること。
(2)整備コストを抑制する視点で設計を実施するとともに、経済性に優れた材料を優先して 使用すること。
(3)コスト削減につながる新材料・新工法を積極的に導入すること。
(4)電線共同溝の施工計画にあたっては、施工性に優れる工法を採用することにより、コス トの削減、工期の短縮に努めること。
(5)設計・施工計画にあたっては、関連する事業者と調整し、コスト削減に努めること。
[解説]
(1)電線共同溝の整備手法については、浅層埋設方式や小型ボックス活用埋設方式等について検討が行わ れてきており、「道路の無電柱化低コスト手法導入の手引き(案)-Ver.2-(平成 31 年 3 月国土交通 省道路局環境安全・防災課)」(以下、「手引き(案)」という。)が示されているところ。電線共同溝の 設計にあたっては、手引き(案)を参考とし、浅層埋設方式等の低コスト手法を含めたコスト比較を 行い、最適な手法を採用することとする。
(2)電線共同溝に使用される管路材・特殊部等の材料や工法等については、民間等により新技術が開発さ れることが想定されるため、従来まで慣例的に使用してきた材料にとらわれることなく、NETIS 等を 活用し、所要の要求性能を有している材料や施工可能な工法の中から比較検討し、より経済性に優れ た材料を使用する。
(3)特殊部のコンパクト化は、材料・施工の両面でのコスト削減や軽量化等による施工性の向上等が図ら れるため、関連する事業者と調整し可能な限り小型の特殊部を採用する。
(4)使用する材料によって現場での施工性が変わってくることがあるため、使用する材料の検討にあたっ ては、材料の単価のみでなく、施工性も考慮した経済性の比較を行うこととする。
(5)管路の曲げ等により、支障物件を回避することで、効率化・スピードアップが図られるケースがある が、支障物件の移設等によりコスト縮減が可能となるケースもあるため、移設の有無による経済性の 比較検討も実施すること。
(6)設計・施工計画にあたって、引込み管の同時・一体的な施工は、効率性が向上しコスト削減や工程の 短縮が期待できることから、引込管路の近接化や共用引込方式の活用、同時施工における工事工程等 について、関連する事業者と調整し、コスト削減に努めることとする。
(7)低コスト化に向けた取組みの方向性
北海道無電柱化推進協議会低コスト WG の設立目的の下、道路管理者および電線管理者双方が低コスト 化や施工効率化に積極的に取り組み、トータルコスト低減に努めることとする。
1-4 電線共同溝構造方式の選定
(1)電線共同溝の構造方式は、需要形態や歩道幅員等の現地状況に対応した構造とし、単管 路方式または複数管路方式を選択する。
(2)単管路方式電線共同溝(以下単管路方式)の構造は、管路部、特殊部(接続部、地上機 器部等)からなり、通信管路における構造形式がボディ管(幹線)・共用FA管(引込管 路)・1管セパレート管(幹線・引込管路)の採用などコンパクト型の電線共同溝である。
(3)複数管路方式電線共同溝(以下複数管路方式)の構造は、管路部、接続部、地上機器設 置の特殊部からなる電線共同溝である。
(4)需要家への供給方式については、基本的には直接、管路により引込む形式とする。
[解説]
(1)これまでの電線類地中化は、比較的ケーブル条数が多い地域や歩道幅員が広い幹線道 路を中心に整備されてきたが、今後は、比較的ケーブル条数が少ない地域や歩道幅員 が狭い非幹線道路への整備も重点的に実施することから、このような現地状況に適応 するような構造形態である単管路方式または複数管路方式を選択する。
(2)単管路方式の構造は、共用FA管およびボディ管(または1管セパレート管)による 集約化、またケーブルの接続作業の路上での工事等の工夫により特殊部のコンパクト 化を図ったものである。
また、単管路方式は、商店街や住宅地等のケーブル条数が少ない地域での整備に適 した構造であるが、現地の状況により、適切な構造を設定する必要がある。
(3)複数管路方式は、単管路方式の採用による管路の集約化・コンパクト化が困難な場合 に適用となる。
また、複数管路方式は、ケーブル条数が多い地域での整備に適した構造であるが、
現地の状況により適切な構造を設定する必要がある。
(4)需要家への供給方式については、既設管路との接続が必要な箇所、直接ケーブルの引 込みが困難な箇所、の場合には、官民境界桝(分岐桝)の設置を検討することとする。
【通信管路における構造方式】
単管路方式 複数管路方式
電線共同溝方式選定フロー
※1 さや管φ50 の最大収容条数は 9 条以下(P4-13 参照)
また、通信需要の低い地域において、さや管φ30×5 条で収容できる場合には 1 管セパレート
管も検討すること。
※2 歩道幅員が 2.5m以上であっても、地上機器が除雪作業の支障となるなど維持管理上の問題が 想定される区間においては、別途検討が必要。
※3 共用FA管について、1 管に引込ケーブルを収容できない場合(占有率が 32%以上となる場合)
には、共用 FA 管を増設する。
占有率:管路の内断面積と電線・ケーブル(被覆絶縁体を含む)の断面積の比率
※4 ②-1、②-2 の選定については、P4-18、③-1、③-2 の選定については、P5-10 参照 START
①
【通信】
ボディ管 (幹線) 共用FA管 (引込)
【電力】
1 管 1 条構造 柱状機器
④
【通信】
1 管 1 条構造 (幹線) 共用FA管 (2 管以上) (引込)
【電力】
1 管 1 条構造 地上機器 単管路方式電線共同溝(※5) 複数管路方式電線共同溝
Yes No
No
No
③-1
【通信】
1 管 1 条構造 (幹線) 共用FA管 (引込)
【電力】
1 管 1 条構造 地上機器Ⅰ型
③-2
【通信】
1 管 1 条構造 (幹線) 共用FA管 (引込)
【電力】
1 管 1 条構造 地上機器Ⅱ型 通信管路幹線条数
(※1)ボディ管1管
+単管φ50×2 条 で収容可能
(※2)歩道幅員
2.5m未満 (※3)共用 FA 管 1 管
に収容する場合 占有率 32%以下
(※4)特殊部の 配置計画フロー
(※4)特殊部の 配置計画フロー Yes
Yes
②-2
【通信】
ボディ管 (幹線) 共用FA管 (引込)
【電力】
1 管 1 条構造 地上機器Ⅱ型
②-1
【通信】
ボディ管 (幹線) 共用FA管 (引込)
【電力】
1 管 1 条構造 地上機器Ⅰ型
単管路方式電線共同溝の概要
①【通信】ボディ管・共用FA管
【電力】1管1条構造・柱状機器
②【通信】ボディ管・共用FA管
【電力】1管1条構造・地上機器
複数管路方式電線共同溝の概要
③-1【通信】1管1条構造・共用FA管
【電力】1管1条構造・地上機器Ⅰ型
③-2【通信】1管1条構造・共用FA管
【電力】1管1条構造・地上機器Ⅱ型
④【通信】1管1条構造・共用FA管(2管以上)
【電力】1管1条構造・地上機器
第 2 章 概要
2-1 単管路方式電線共同溝
(1)単管路方式電線共同溝は、管路部、特殊部 (接続部、地上機器部等)からなる。
(2)管路部は、電力・通信事業者の幹線ケーブル・引込みケーブルを収容する管路であり、
通信においてはボディ管(または1管セパレート管)・共用FA管を採用する。供給方式 としては、電力が地上機器部等より、通信が共用FA管により需要家へ供給する。
(3)特殊部は、幹線ケーブルを接続・分岐する接続部、電力の地上用変圧器などの機器を設 置する地上機器部がある。
[解説]
この方式は、歩道幅員が狭い地域や需要密度が比較的低い地域に適している。
2-2 複数管路方式電線共同溝
(1)複数管路方式電線共同溝は、管路部、特殊部(接続部、地上機器部等)からなる。
(2)管路部は、電力・通信事業者の幹線ケーブル・引込みケーブルを収容する管路であり、
供給方式としては、電力が地上機器部より、通信が共用FA方式により需要家へ供給す る。
(3)特殊部は、幹線ケーブルを接続・分岐する接続部、電力の地上用変圧器などの機器を設 置する地上機器部がある。
[解説]
この方式は、需要密度が比較的高い(ケーブル条数が多い)地域に適している。
2-2-1 共用FA管・ボディ管・1管セパレート管
(1)情報通信・放送系ケーブルは、共用FA管、ボディ管(または1管セパレート管)を用 いてケーブルを集約する。
(2)民地への情報通信・放送系ケーブルの引込みは、共用FA管を基本とする。
(3)情報通信・放送系幹線ケーブルは、ボディ管(または1管セパレート管)を基本とする。
(4)情報通信・放送系のクロージャやタップオフ等を設置する通信接続桝を設ける。
[解説]
(1)共用FA管には、通信ケーブル、CATVケーブル、音楽放送ケーブル等の情報通 信・放送系の引込みケーブルを多条収容しコンパクト化を図る。
(2)ボディ管(さや管)には、情報通信・放送系の幹線ケーブルを集約して、共用FA管 の下に敷設することを基本とする。
(3)通信需要の低い地域の場合には、共用FA管とボディ管を一つにした構造である1管 セパレート管を検討する。
(4)通信接続桝での接続作業等は、路上で行うことを基本とし、コンパクト化を図る。通 信接続桝には、情報通信クロージャ、有線放送タップオフ等を収容し、ケーブルの接 続・分岐を行う。
共用 FA 管引込み部拡大図 ボディ管断面図
1管セパレート管断面図
2-2-2 柱状機器
(1)地上機器(変圧器、多回路開閉器、低圧分岐装置等)は、歩道に設置することを標準と する。ただし、地上機器を設置すると歩行空間が確保できない場合もしくは冬期除雪作 業の支障となる場合には、地上機器のうち柱状変圧器等を柱体に設置する。
(2)柱体に設置できない機器は、道路外や支道部架空設備等の活用を検討する。
[解説]
(1)歩道幅員が 2.5m未満の場合には、変圧器や低圧分岐装置等柱体への設置が可能な機 器は柱体に設置する。ただし、歩道幅員が 2.5m以上でも、冬期の除雪車による歩道 除雪やバリアフリー等の現地状況により、地上機器の設置が困難な場合においては、
柱状機器の採用についても検討を行うものとする。尚、柱状機器の採用については、
協議会及び電線管理者との調整の上、決定するものとする。
(2)多回路開閉器は、構造的に大きく柱体へ設置することは、技術的に極めて困難である ため、歩道以外での設置場所を確保することも検討する。
(3)柱状機器(低圧分岐)の民地への引込みは地下引込みを原則とする。
第 3 章 計画 3-1 設計計画
3-1-1 設計の流れ
電線共同溝の設計に際しては、発注機関(道路管理者)、参画事業者(各電線管理者)、公 安委員会及び道路占用事業者(ガス、上水道、下水道等)との打合せにより、設計を進める ものとする。
[解説]
設計業務は以下の順序で行う。
計画路線の決定
事業者打合せ
現地調査 設計条件の整理
構造形態の設定
管路部、特殊部断面 の設定
参画事業者 との調整
(既設占用施設の 活用の可否など)
埋設合せ図作成
参画事業者の確認
平面、縦断図の設定 支障埋設物件の有無
参画、埋設占用事業 者との調整
特殊部等の位置の現地確認
移設計画平面図作成
細部設計 施工計画書作成 埋設図の提出
埋設占用事業者の確認
(試掘の必要性の確認)
参画、埋設占用事業者のとの最終確認 地元連絡会の開催 配線計画図の提出
3-2 設計内容
3-2-1 事業者打合せ
詳細設計に入る前に、電線管理者(参画事業者)を含めた道路占用事業者を召集し、電線 共同溝事業の理解を求め、速やかな業務の進行を図る必要がある。
[解説]
(1)第1回打合せ時には、電線共同溝の趣旨について説明を行う。
(2)電線管理者には、設計区間について、配線計画図( ケーブル種類・径・条数、クロー ジャの種類・個数、共用FA区間の可否、特殊部・各種桝の種類・位置等 )の作成を 依頼する。また、地上機器設置の可否(地上機器もしくは柱体の設置)について基本方 針を決定する。
(3)埋設占用事業者には設計区間の埋設図の提出を依頼する。
3-2-2 地元連絡会の開催
電線共同溝の設計に際して、必要に応じて地元連絡会等を開催して、機器設置場所等の諸 条件を整理して設計に反映するものとする。
[解説]
電線共同溝の整備は、道路管理者、電線管理者に加え、地元(地方公共団体等)の3者に よる協力により推進するものであり、必要に応じ、連絡会を開催し、計画段階から地元と協 議内容を設計に反映するものとする。
3-2-3 配線計画図の依頼
収容するケーブル種類・径・条数、クロージャの種類・個数、共用FA区間の可否、特殊 部・各種桝等の種類・位置、地上機器または柱体位置等を記載した配線計画図を参画事業者、
公安委員会に依頼する。
[解説]
配線計画図は、電線共同溝の構造(管路の径、管種、分岐方式、特殊部・各種桝の内空寸 法、機器および柱体位置等)を決定する上で重要な要素となるので、速やかに電線管理者、
公安委員会に提出するよう依頼する。
3-2-4 現地調査
設計および施工に必要な現地の状況を把握することを目的とした、現地調査を行う。
[解説]
(1)現地調査により、道路台帳図または測量平面図を基に歩道幅員、官民境界、既設占用物 件等の位置の確認を行うとともに、切下げ位置の変更等の歩道状況および建物の建替え、
植樹帯の設置状況等の沿道状況を把握する。
(2)マンホール、仕切弁等埋設物の位置、大きさの確認を行う。
(3)電柱の有無、標識等の路上施設(基礎構造を含め)を確認し、電線共同溝の線形等を決 定する上での資料とする。
(4)歩道切下げ部を平面図に表示し、自動車の乗り入れ状況を把握する。
(5)整備区間がJR線(電化)半径 500m以内に位置しているかを把握する。
3-2-5 埋設合せ図作成
占用事業者から提出された資料、または埋設管理台帳を基に埋設合せ図を作成する。
[解説]
(1)各占用事業者の埋設管理台帳を基に埋設合せ図を作成する。
(2)作成した埋設合せ図を再度占用事業者に配布し、図面の確認を行う。
(3)埋設状況が不明な場合は、試掘を行うことも検討する。
3-2-6 設計条件整理
参画事業者が作成した配線計画図を基に、ケーブル条数、径等を区間別に整理する。また、
将来の道路計画について把握しておき、問題点を整理する。
[解説]
(1)配線計画図には、参画事業者の要望するケーブル種類・径・条数、クロージャ(ガスタ ム含む)の種類・個数、共用FA区間の可否、特殊部・各種桝の種類・位置、地上機器 または柱体位置等が記入してある。設計は、この配線計画図によって区間ごとの管の割 付や特殊部等を集約したうえで配置を行う。また、難視聴ケーブルについても確認を行 うこと。
(2)将来の道路計画について以下の事項を把握しておく必要がある。
①景観整備(植樹の形態、街路灯等の計画、舗装の形式)
②道路の将来計画はあるのか。
3-2-7 構造形態の設定
電線共同溝の構造形態の設定は、需要形態や歩道幅員等の現地状況に対応した構造とし、単 管路方式または複数管路方式を選択する。
[解説]
電線共同溝の整備区間におけるケーブル条数の状況や、歩道幅員等の現地状況に適応した 構造を設定するものとする。尚、構造形態の設定方法としては、原則、電線共同溝構造形態 選定フロー(P 1-4 )により設定するものとする。
3-2-8 管路部および特殊部断面等の設定
配線計画から得られたケーブルの収容条件を基に、管路部、特殊部・各種桝の断面を設定 する。
[解説]
(1)各種管材について比較検討を行うとともに、配線計画図に示されたケーブル条件を考慮 し、管路部の断面(管路数、管の配置等)を設定する。
(2)特殊部には、接続部、地上機器部等があり、それぞれについて、参画事業者と調整を行 いながら配線計画を満足する内空断面を設定する。
(3)各種桝は、柱体接続桝、通信接続桝等があり、それぞれについて参画事業者と調整を行 いながら配線計画を満足する内空断面を設定する。
3-2-9 平面・縦断計画
歩道状況と参画事業者の要望する特殊部等の位置を照らし合せ、平面・縦断計画を行う。
[解説]
(1)配線計画、地下埋設物件、歩道状況を考慮し、平面・縦断線形および特殊部等の位置等 の計画を行い、これらについては、参画事業者の確認を取る。
(2)支障となる埋設占用物件を抽出し、移設後の占用位置等を提案する。
3-2-10 特殊部等の現地確認
平面・縦断計画完了後、現地立会い等を行い、特殊部、各種桝、地上機器および柱体の設 置位置を確認する必要がある。
[解説]
平面・縦断計画完了後、道路管理者(発注者)、設計者、参画事業者、埋設占用事業者の立 会いのもと、平面計画図を基に特殊部・各種桝、地上機器および柱体位置を現地に落とし、
設置位置を確認する。
3-2-11 移設計画平面図の作成
現地立会いおよび試掘結果等に基いて特殊部等の位置確定後、移設計画平面図・横断図を 作成し、地下埋設物件の支障箇所を明らかにする。
[解説]
現地立会い等において、特殊部・各種桝・柱体等の設置位置を確定し、既設埋設物件の支 障箇所を明らかにする。これにより設計者は、支障する埋設物件の種類、範囲等を記入した 移設計画平面・横断図を作成し、各埋設事業者に移設箇所、位置等の確認を行う。
3-2-12 細部設計
線形計画が確定後、細部設計を行い電線共同溝の構造を確定する。
[解説]
細部設計の項目として、以下のものがあげられる。
①妻壁の検討(管路部の取付け位置、マンホールや支道への連系管の有無)
②蓋版の検討(構造、材質)
③柱体の検討(構造、材質、基礎等)
④車道横断管路の設計等
3-2-13 施工計画書作成
設計内容、現場状況を把握した上で、施工計画書を作成する。
[解説]
現場状況に即した仮設工法(土留め、覆工)を提案し、施工手順等について計画書を作成 する。項目として、以下のようなものがあげられる。
① 舗装切断・撤去 ② 掘削
③ 土留め・覆工
④ 特殊部・各種桝設置(必要に応じて柱体の設置)
⑤ 管路敷設 ⑥ 埋戻し ⑦ 仮復旧 ⑧ 本復旧
第 4 章 単管路方式電線共同溝の設計 4-1 位置および線形
4-1-1 位置
電線共同溝は可能な限り歩道に設置するものとするが、幅員の狭い歩道での整備等を踏ま え、車道等の利用も考慮する。
[解説]
(1)電線共同溝は可能な限り歩道等(歩道、自転車歩行車道、自転車道等)に設置するも のとするが、幅員の狭い歩道での整備および既設占用物件の支障を回避するため、車 道等の利用も踏まえた現場の状況に適応した柔軟な設計を行うものとする。
(2)既設占用物件の位置、電線の引込み等を考慮して配置を計画するものとし、電力線は 車道側へ、通信線は民地側へ配置することを基本とする。
4-1-2 平面および縦断線形
平面および縦断曲線を設ける場合には、電線の敷設等を考慮して管路の曲線半径を定める ものとする。
電線共同溝の縦断勾配は、道路の縦断勾配に合わせることを原則とする。ただし、道路横 断部は水平としても良い。
[解説]
(1)平面および縦断曲線を設ける場合の最小曲線半径は、幹線部でR=5.0m、引込み部で R=1.0m以上とする。ただし、最小曲線半径が確保できない場合は、関連する事業者 と調整のうえ、管路の最小曲線半径を定めるものとする。
管路の最小曲線半径
事業者 タイプ 最小曲線半径(m)
電力 幹線部 5.0m以上
引込み部 1.0m以上
通信
幹線部 標準管 5.0m以上
ボデイ管 5.0m以上(標準は 10.0m)
引込み部 共用FA管 5.0m以上(標準は 10.0m)
引込み管 1.0m以上
(2)縦断線形は、基本的に片勾配線形もしくは凸型線形とし、管路内に滞水しない構造と する。ただし、やむを得ない場合については、原則として中だるみ線形を1/2径間で1 箇所まで可能とするが、通信において、中だるみ線形とする場合には、埋設深さを電 線管理者と協議の上、決定すること。
① 片勾配線形
② 凸型線形
③ 中だるみ線形
4-1-3 埋設深さ
(1)管路の区分
管路方式に用いる管路材は、下記に示す管種、管径によるものとする。
(2)一般部の埋設深さは、管種及び管径により以下に示す値以上とする。
【歩道部の埋設深さ】
(a)表1の凡例AまたはBに該当する管種、管径については舗装厚さ(路盤、凍上抑制層を含 む)に10cm加えた値以上とする。
(b)表1の凡例Cに該当する管種、管径については舗装厚さ(路盤、凍上抑制層を含む)に 20cm加えた値以上とする。
凡例
C
角型多条電線管(角型FEP管)※ 2,4 JIS C 3653
付属書3同等 -
表1 管路材の分類
管種 JIS 管径
A
鋼管、強化プラスチック複合管(PFP,CPFP) JIS G 3452
JIS A 5350 φ150未満 耐衝撃性硬質塩化ビニル管(CCVP) JIS K 6741 φ130超φ150未満
φ130以下※ 1 硬質塩化ビニル管(PV,VP)※ 1 JIS K 6741 φ150未満
φ150以上φ300※ 3以下 硬質塩化ビニル管(PV,VP)※ 1 JIS K 6741 φ150以上φ175※ 3以下 合成樹脂可とう電線管※ 1 JIS C 8411 φ28以下 波付硬質ポリエチレン管(FEP)※ 1 JIS C 3653
付属書1 φ30以下
※1 当該管は路盤への設置を可能とする
※2 「同等以上の強度を有するもの」として証明されたもの
※3 呼び径で表示されているものとする
注) 上表に掲げる管種(規格)以外のものであっても、上表に掲げるものと同等以上の強度を有す るものについては、上表に掲げる径を超えない範囲内において適用することができる。なお、「同 等以上の強度を有するもの」とは、無電柱化低コスト手法技術検討委員会と同等の試験を行い、埋 設に使用可能な管種と同等以上の強度があり、舗装への影響が基準を満たすことを公的機関等にお いて証明されたものなどをいう。
※4 角型多条電線管(角型FEP管)の扱いについては「5-2管路部」を参照すること。
角型多条電線管(角型FEP管)※ 2,4 JIS C 3653
付属書3同等 -
その他(上記以外) - -
B
鋼管、強化プラスチック複合管(PFP,CPFP) JIS G 3452
JIS A 5350 φ150以上φ250※ 3以下 耐衝撃性硬質塩化ビニル管(CCVP) JIS K 6741
【車道部の埋設深さ】
(C)表 1 の凡例 A または B に該当する管種、管径については舗装厚さ(路盤、凍上抑制層を 含む)に 10cm 加えた値以上とする。
(d)表 1 の凡例 C に該当する管種、管径については舗装厚さ(路盤、凍上抑制層を含む)に 30cm 加えた値以上とする。
(3)埋設深さは、(2)に示す埋設深さを基本とする。しかしながら、乗入部が連続する等の沿 道状況に応じて、一定の区間を一定の深さで管路敷設することを妨げるものではない。ま た、歩道部における共用 FA 管及び 1 管セパレート管の埋設深さは、電力引込管を踏まえた 深さとする。
(4)共用 FA 管及び 1 管セパレートの埋設深さは凍結の影響を考慮して設定すること。
(a)凡例A及びB (b)凡例C
表2 歩道部の埋設深さ
(a)凡例A及びB (b)凡例C
表3 車道部の埋設深さ
[解説]
(1) 一般部の必要埋設深さは、管種及び管径により異なるため、それぞれ設定した。
【参考:管路の埋設イメージ】
(2)歩道部に関しては、沿道には人家や施設等が連担し、乗入部も一般部と大型車両乗入 部では舗装構成も変化する。乗入構造の種別にあわせて埋設深さを変化させた場合、曲 管を多数使用することとなり経済性の面でも好ましくない。また、将来の乗入部の発生 の予測が難しい区間も多い。ケーブルの導通性や経済性等も総合的に勘案して、標準的 な乗入部の舗装厚さに合せて一定の深さで管路を敷設することを妨げるものではない。
その際、標準とする埋設深さは、現状の乗入構造や将来の沿道開発により想定される 乗入構造を基準とし、整備対象地区毎に設定する。なお、学校、公園等で乗入部が少な く将来的にも乗入の発生が考えにくい区間については、歩道一般部を基準とする。
【参考:一定の深さで管路を埋設する場合のイメージ(側面)】
歩道 車道
【参考:沿道状況を踏まえた土被りの設定例】
(3)歩道部における共用 FA 管及び 1 管セパレート管の埋設深さは、電力引込管を踏まえた深さと する。また、大型車両乗入部では、原則、電力引込は行わない。
【参考:電力引込管を考慮した通信管の土被り設定例】
※電力引込管と通信幹線の交差を考慮して、通信幹線の土被りを 20cm 電力引込管より下げるこ とを標準とする。
(4)北海道は積雪寒冷地であることから、共用 FA 管および 1 管セパレート管は「冬期の管路凍結を考慮 した土被り」を確保する。
・冬期の管路凍結を考慮した土被りの値(暫定値)
冬期の管路凍結を考慮した土被り・・・・・・・・・・・・・60cm
理由:北海道の中でも寒冷な地域の一つである美深町(置換厚 120cm、下図「置換厚図」参照)での 浅層埋設試験施工において、実測の凍結深さが 60cm 付近であったため。ただし、「置換厚図」
において、120cm より深い箇所についてはその置換厚を用いることとする。
図-北海道開発局が道路設計で用いる 20 年確率置換厚全道図「北海道開発局 道路設計要領 第 2 集参考資料」より引用
※置換厚:凍上対策として凍上性の路床土を非凍上性材料で置き換えた場合の厚さで、設計期間 20 年を考慮し、20 年確率凍結指数から置換率 70%として算出された深さ
なお、暫定値としたのは浅層埋設の検証を令和 3 年度以降も継続し、全道各地のデータ集積を行い、
場所に応じた深さ設定を進めていく予定であるため。
【参考:置換厚が 120cm より深くなる主な地点】
地点 置換厚
名寄 130cm
占冠 130cm
糠平 140cm
留辺蘂 130cm
境野 130cm
陸別 140cm
阿寒湖畔 130cm
川湯 130cm
(5)基本とする埋設深さを確保できない場合は、鋼板、コンクリート板等により防護を施すものと する。
4-2 管路部
4-2-1 管路材の仕様
(1)管路部に使用する管路材は、日本工業規格 JIS C 3653 に示す管路材、またはこれらと同 等以上の性能を有し、かつ、継手部を含め電線の敷設、防護等に必要な諸性能を有する ものとする。
(2)さや管は、継手部を含め電線の敷設、防護等に必要な諸性能を有するものとする。
(3)電線共同溝に使用する管路材は、管路設計、施工性、経済性等を考慮して比較検討を行 い決定すること。また、必要に応じて、各種管材を組み合わせて使用する。
[解説]
(1)電線共同溝では、JIS 規格の管路材、または、これらと同等以上の性能を有する管路 材を使用する。なお、管路材の選定にあたっては、継手部を含め以下に示す諸性能を 有する管路材を使用するものとする。
導 通 性:突起等がなく、所要の内空が保たれており、電線の布設および撤去に支 障とならないこと。
強 度:地中埋設時及び埋設後の車両等の重量、土圧等に対して長期にわたり所 要の強度が確保できること。
水 密 性:管内に土砂、水等が浸入しないこと。
耐衝撃性:運搬、施工時等に受ける衝撃に対して所要の強度を有すること。
耐 久 性:長期にわたり劣化しないこと。
耐 震 性:十分な耐震性を有すること。
不当沈下:不当沈下に耐えうること。
耐 熱 性:不燃性または自消性のある難燃性であること。
耐 熱 性:電線の発生熱又は周囲の土壌の影響による温度変化によっても所要の強 度が確保できること。
(2)さや管は、ボディ管や小型トラフに収容され、土圧などが直接作用することが考えに くいことから、「導通性」「耐久性」「耐熱性」の諸性能を有するものとする。
(3)使用する管路材の内径は、現在、使用実績のある各種製品の規格は必ずしも統一され ていないことから、経済性を考慮して内径が多少前後する製品も使用できるものとす る。
(4)角型多条電線管(角型 FEP 管)ついては、現地での検証結果を踏まえ拡大を図る段階 にあるため、活用する場合は、北海道無電柱化推進協議会低コスト WG において策定さ れた「角型 FEP 管を用いた電線共同溝の手引き(案)」に従い行うこと。
4-2-2 管路部の計画
(1)管路部は、特殊部間を結ぶ幹線部と特殊部と需要家を結ぶ引込み部からなる。
(2)管路部の計画にあたり、管路材および管数は、関連する事業者と調整を図り決定するも のとする。
(3)道路管理者として、電線共同溝の将来的な利用も考慮し予備管を設置することができる。
[解説]
(1)幹線部および引込み部の管路数、管路径は配線計画図によるケーブル条件(敷設する 電線の太さ、条数等)により設定する。
(2)配線計画の中でメンテナンス管の要望があった場合には、道路管理者は電線系及び通 信系のそれぞれで 1 管まで整備することができる。また、電力系及び通信系において、
複数者の希望があった場合でも電力系及び通信系のメンテナンス管路はそれぞれ 1 管 までとする。ただし、メンテナンス管は配置を固定して運用するため、複数者が利用 する場合には配置について考慮すること。
(3)予備管(占用予定者以外の者の占用のための管路)を整備する場合は、地域の実情を 踏まえた将来需要を厳格に判断すること。
4-2-3 共用FA管
(1)共用FA管に各情報通信・放送系の引込みケーブルを多条敷設しコンパクト化を図る。
(2)分岐管はφ75 を用いて複数事業者の引込みケーブルを多条敷設することを原則とする。
[解説]
(1)共用FA管は、各情報通信・放送系の引込みケーブルを多条敷設により直接管内に収 容するものであり、さや管は使用しない。
(2)共用FA管では、分岐管にφ75 を用いて、複数事業者の引込みケーブルを多条敷設す ることを原則とする。ただし、引込設備を分岐する場合(凍結防止パイプを採用した 場合、需要家の要望等により民地側立上管の分岐・縮小(φ50 以下)を必要とする場 合等)には、現地状況、電線管理者と協議の上、引込分散継手を採用する。
また、分岐管φ75 の採用が物理的に困難な場合等については、電線管理者と協議の 上、分岐管φ50 の採用を可能とする。
○分岐管(基本形)
○引込管を分岐する場合(引込分散継手の採用)
(3)共用FA管の基本条件は以下に示す。
①通信接続桝(1 径間)における径間長は、線形(交角、曲線半径)、収容ケーブルの 種別、ケーブル許容牽引張力、施工性及び保守作業性等を考慮し、70m以下とする。
②分岐管は、ケーブルが共用FA管内で交差しないよう 1/2 径間において近い接続桝 側に設置する。
③分岐数は、片側接続桝(1/2 径間)から最大 6 箇所取出しとし、1 径間で最大 12 箇 所とする。
④1 本の分岐管に収容するケーブルは 5 本以下とする。
⑤最小曲線半径を 5m とし、曲線 5mR または 10mR を使用し、1/2 径間における交角の 総和は 60°以内とする。尚、1 径間内の平面・縦断面の交角の総和が 120°を越え る場合には、別途ケーブルの張力等を検討する。
⑥曲線部については分岐等を考慮し、曲管は 5mR または 10mR 相当品のアイブロー曲管
(EB 管)を標準とする。
⑦共用FA管内に専用の通線具を用いて多条敷設する。
⑧標準管種は、JIS K 6741・通信用を満足するとともに、施工時及び完成後の力学的 荷重、加工性、市場性等を総合的に勘案し、VP 管を標準とする。呼び径はφ150 と する。
⑨多条敷設したケーブルを収容する場合、占有率を 32%以下とする。ただし、屈曲部 が少なく、ほぼ直線と見なせる場合は占有率 48%以下まで許容できるものする。
⑩共用 FA 管に収容可能な引込ケーブルの最大外径は「26.5mm 以下」「単位重量 1.1kg/m 以下」とする。
⑪道路横断および支道横断等で明らかに分岐管の取付がない場合は、共用 FA 管を敷設 しない場合もある。
⑫1 径間内に支道または支障物がある場合および公園、学校等で将来とも供給が見込 めない場合で、共用 FA 管の連続性が不要となる区間は、分岐数を考慮して途中で切 断し、管止めとすることができる。なお、管止めを行う場合は管端が縦断的に水平 または上り勾配となるよう敷設する。
先行管止め(片側 3 分岐の例)
⑬共用 FA 引込管の径間長(特殊部内壁から引上管中心までの距離)は、最大 55m とし、
下記の条件をすべて満足することとする。
A.特殊部内壁から分岐管取付部までの距離は、35m 以内 B.分岐管取付位置から立上り引込管までの距離は、25m 以内
C.共用 FA 管内では、前後の特殊部から配線されるケーブルが交差しないこと。な お、このとき共用 FA 分岐管は 1/2 径間に 6 箇所まで取付けられる。
D.共用 FA 引込管および連系管は、立上部曲線を含め曲線箇所数は 3 箇所以内とし て、立上部の交角は 90°以上とする。
共用 FA 引込管長 35m
4-2-4 ボディ管および1管セパレート管
(1)ボディ管および1管セパレート管には、情報通信・放送系の幹線ケーブル各事業者別に さや管に 1 管 1 条で収容する。
(2)径間長は、管路の曲線半径およびケーブル敷設等を考慮し定める。
(3)1管セパレート管は、共用 FA 管とボディ管を一つにした構造で、通信需要の低い地域に 検討する。
[解説]
ボディ管および1管セパレート管の基本条件は以下に示す。
①通信接続桝(1 径間)における径間長は、線形(交角、曲線半径)、収容ケーブルの種 別、ケーブル許容牽引張力、施工性及び保守作業性等を考慮し、70m以下とする。
②曲線半径は10m以上を標準とするが、地下埋設物等によりやむを得ない場合の最小曲線 半径は5mとする。
③1径間における交角の総和は120°以下とする。
④ボディ管の管径はφ150、φ200、φ250を基本とする。1管セパレート管の管径はφ175 とする。管種はJIS K 6741・通信用を満足するとともに、施工時及び完成後の力学的荷 重、施工性、市場性等を総合的に勘案し、VP管を標準とする。
⑤1管セパレート管は、情報通信・放送系の幹線ケーブルがさや管φ30×5条で収容でき る場合に検討する。
⑥1管セパレート管の共用FA部は、ケーブル占有率を32%以下とする。
■ボディ管 ■1管セパレート管
4-2-5 さや管
(1)ボディ管および1管セパレート管には、情報通信・放送系の幹線ケーブルを収容するさ や管を使用する。
(2)さや管の適正化を図るため、さや管内径はφ50、φ30(SU 管)を標準とする。
[解説]
(1)情報通信・放送系の幹線ケーブルは、さや管に 1 管 1 条で収容する。
(2)さや管径の適用は、収容ケーブル外径の 1.5 倍以上とする。
(3)さや管はケーブルを敷設するための仕切りであることや、熱伸縮による引抜き防止等 を考慮し、SU 管を標準とする。
ボディ管および1管セパレート管におけるさや管の組み合わせ
管径 さや管径と条数 さや管
合計条数 備考 φ50 φ30
ボディ管φ150 2 3 5
ボディ管φ200
3 9 12
4 7 11
5 5 10
6 2 8
ボディ管φ250
4 17 21
5 15 20
6 10 16
7 8 15
8 6 14
9 2 11
1 管セパレート
管φ175 ― 5 5 通信需要の低い
地域に適用
※・φ150 は NTT が参画しない場合に適用
・予備管(占用予定者以外の者の占用のための管路)を整備する場合は、地域の実情を 踏まえた将来需要を厳格に判断すること。
・表の組合せは、ボディ管・1管セパレート管(VP 管)、さや管(SU 管)の場合を示す。
断面構造パターン(ボディ管径φ250)
4-2-6 電力用管路
(1)電力高圧管の管径は、ケーブル径に応じてφ130 またはφ100 を標準とする。
(2)電力低圧管の管径はφ100 またはφ75(φ82)を標準とし、電力保安通信管の管径につ いては、φ50 を標準とする。
(3)電力保安通信管は、通信管路の管種とする。
[解説]
(1)高圧管および低圧管等の管路数については、配線計画図による。
(2)上記管径は、呼び径であり、管種によって実内径は異なる。
4-2-7 連系管路・連系設備・仮連系管路
連系管路・連系設備及び仮連系管路の管種、立ち上げ方法、立ち上げ部の最小半径等につい ては、各電線管理者と協議の上、決定すること。
電力ケーブル管路の必要内径
ケーブルの種類
ケーブル 外径 (mm)
ケーブル外径
×1.5 (mm)
必 要 内 径 (mm) φ130 φ100 φ75
高圧 CVT
325 85 127.5 ○ × × 250 78 117.0 ○ × × 150 65 97.5 ○ ○ × 60 52 78.0 ○ ○ ○
低圧 CVQ
250 64 96.0 ○ ○ × 150 52 78.0 ○ ○ ○ 100 44 66.0 ○ ○ ○ 60 36 54.0 ○ ○ ○
※ケーブル外径×1.5 は JIS 規格
4-2-8 管路の離隔
(1)管路の離隔は、基本的には 30mm以上を確保するものとする。
(2)共用FA管とボディ管の離隔は、70mm以上を確保するものとする。
[解説]
(1)管路相互の離隔は施工例等から 30mm以上を確保するものとし、管径、管条数、特殊 部妻壁での取り付け位置、または施工性等を勘案して設定する。
(2)共用FA管とボディ管の離隔は、分岐管取り付け時におけるバンド取り付けの作業性 および接続通信桝において、ボディ管ダクト口の確認およびケーブル操作性を容易に させるため、70mm以上を確保するものとする。
(3)管路材の敷設間隔を保つために、スペーサーまたは管枕等を設置する。
(4)電力管路とボディ管および共用FA管の水平離隔は、車道側への供給がある場合、作業 スペース等を考慮して設定すること。
4-2-9 管路の配列
管路部の配列は、電力の分岐および通信の分岐を考慮し、経済性、占用物件の位置を踏ま え設定するものとする。
[解説]
(1)管の配置は、電力管は車道側に、通信管は民地側に配置し、管路全体がコンパクトに なるようにする必要がある。
(2)管路材の配列は、施工性、経済性、占用物件の位置、歩道の幅員、特殊部における電 線の配置等を考慮して決定するものとする。
(3)凍上深が深い場合には、共用 FA 管とボディ管を並列に配置してもよいこととする。た だし、共用 FA 管は引込みを考慮し、民地側へ設置する。
標準配置
※1 共用 FA 管と電力管の水平離隔は、車道側への供給がある場合、作業スペース等を考 慮して設定すること。
凍上深が深い場合
※2 共用 FA 管とボディ管の水平離隔は、基本的には 70mm以上とするが、車道側への 凡 例
e :電力引込管 EL:電力低圧間
EH:電力高圧間 M1:電力系メンテナンス管 予:電力予備管
CN:キャンシステム幹線 Y :USEN幹線
J :ジェイコム幹線 T :NTT幹線
HT:北海道総合通信網幹線 R :道路管理者幹線
K :KDDI幹線
4-2-10 管路の伸縮しろ長
管路材と管路材の接続、管路材と特殊部の接続には、伸縮継手や離脱防止継手を用いて伸 縮しろ長を確保するものとする。
[解説]
(1)管路材と管路材の接続(継手部)、管路材と特殊部の接続(ダクトスリーブ)は、地震 時のずれを吸収する構造とする。
(2)伸縮しろ長は、地震時のひずみ量を 1/100 とし設定するものとする。
(3)継手部等の伸縮しろ長は、管の引抜きおよび圧縮を考慮し、管路材長の 1/50 を確保す ることを基本とする。
(4)継手部等の伸縮しろ長を、管路材長の1/50 を確保できない場合は、管の引抜きだけを 考慮し、管路材長の1/100の伸縮しろ長を確保する。但し、この場合、管材が圧縮応力
(管の押し込み ひずみ量1/100)に対して十分耐える構造であることを条件とする。
(5)さや管に使用する管については、現状を鑑み接着継手とする。
4-3 特殊部
4-3-1 特殊部の配置計画、構造の選定
(1)特殊部は必要な箇所に設置するものとし、できる限り集約した配置とする。
(2)特殊部構造の選定は、各参画事業者提出の配線計画をすり合わせるとともに、現地状況 を把握し設定しなければならない。
[解説]
(1)電線共同溝の配置計画にあたっては、関連する事業者と調整を図り、特殊部は、宅地 内ケーブル引込み、占用物件の位置等を考慮しつつできる限り集約した配置とする。
(2)各地点の具体的な特殊部の配置は、参画事業者が計画した配線計画図を基に設定する ものとし、現地の状況、既設埋設物の状況を踏まえ、特殊部の必要性についても検討 したうえで配置を行うものとし、参画事業者の確認を得ること。
(3)特殊部の配置計画は、ポット型クロージャー等(引上げ式)を使用することにより、
Ⅱ型を基本とする。ただし、車道横断部等については、必要に応じて、Ⅰ型の採用も 検討すること。(P5-10「特殊部の配置計画フロー」を参照)
(4)特殊部の入坑口は、作業の安全性に配慮し、原則として歩道上に設置するものとする。
(5)特殊部は、コンクリート二次製品が用いられることが多いが、一般的なセメントコン クリートとは異なる材質の製品を用いることにより、小型化や軽量化が図られ施工面 やコスト面等で有利になる場合がある。そのため高強度や軽量なコンクリート等の一 般的なセメントコンクリートとは異なる材質についても、所要の強度が得られること を確認したうえでそれらを使用できるものとする。
4-3-2 断面寸法設定時の基本条件
特殊部断面を設定する際には、各参画事業者の社内規定を参考にし、それに準ずる条件を 勘案する必要がある。
[解説]
特殊部断面寸法を設定する際には、各参画事業者がそれぞれに社内で規定している作業ス ペース、棚段数、棚間隔等諸条件を考慮し、コンパクトでありながら、しかも将来にわたっ て不都合を生じることのない断面を確保することが重要である。
特殊部の内空寸法の設定条件は、以下の寸法を基本条件とする。
① 棚巾
② 棚間隔
③ ケーブル最小曲げ半径
参画事業者 条 件 寸法(mm)
北海道電力 接続部 300
地上機器部 300
参画事業者 条 件 寸法(mm)
北海道電力
標準 200
低圧、高圧間 250 ケーブル接続 350
参画事業者 条 件 寸 法 北海道電力 CVT、CVQ 8D
通信・情報
光ケーブル 固定時 10D 光ケーブル 延線時 20D メタルケーブル 6D
④ 必要棚数
⑤ 作業幅
※ ( )寸法はマンホール形式の構造を示す。
⑥ ケーブル離隔
・高圧、低圧間 ―――――――――――― 150mm
・電力、通信・情報間 ――――――――― 300mm(100mm)
※( )内は、関連する事業者の確認が得られた場合の数値。
⑦ クロージャ、接続体径
⑧ 電力接続部Ⅱ型について、機器設備前方に設置される開口部の必要幅は 450mm
参画事業者 条 件 段数・列
北海道電力
地上機器部
4 段が基本 接続部
分岐部
参画事業者 条 件 寸法(mm)
北海道電力 接続部 ※ 600(700)
地上機器部 ※ 600(700)
参画事業者 条 件 寸法(mm)
北海道電力
CVT325 接続体径 205 CVT250 接続体径 205 CVT 60 接続体径 151
特殊部断面寸法設定時基本条件
○電力特殊部(Ⅱ型)
マンホール構造 蓋掛け式U型構造形式
電力特殊部(Ⅱ型)マンホール構造の変更について
○電力特殊部(Ⅱ型)マンホール構造
中間桝(首部)あり
中間桝(首部)なし
新型の変圧器(内空断面を侵さないタイプ)が完成した場合については、中間桝(首部)の 不採用及び内空高のコンパクト化について検討を行うこと。ただし、新型の変圧器の完成の有 無及び内空寸法等においては、北電と調整を行うこと。