小 学 校 英 語 活 動 に お け る 語 葉 ・ 表 現 の 選 択 及 び 指 導 方 法 に 関 す る 研 究 教科.・領域教育専攻 言 語 系 ( 英 語 ) コ ー ス 岩 井 美 香 l.研究意義と目的 平成 23年度から小学校に導入される外国語 活動のねらいはコミュニケーション能力の素地 の育成であり,いわゆるスキル面の定着や向上 を目指してはいないが,様々な語葉・表現にふ れる機会を与えることが小学校英語の役割であ るという考えは数多く聞かれる。そこで,どの ような語葉・表現をどのような方法で指導する ことが最も効果的であり, liつ児童にとってプ ラスに働くのかを明らかにすることは重要なこ とであると考えた。本研究では,小学校外国語 活動において,英語の音声や表現に慣れ親しむ 過程を通して自然に定着がすすみやすい語葉・ 表現及びその指導方法とはどのようなものかを 実践を通して明らかにし,小学校における効果 的な英語活動の在り方について提案することを 目的とした。 2. 研究の概要 まず,語葉習得,語葉学習及び指導方法に関 する先行研究を概観した。語葉を「習得するJ とは「その語の音声,綴り,意味,使用,他の 語との関連など様々な側面の知識を持ち,出会 っ た と き に 単 語 を 認 識 し 意 味 を 思 い 出 せ た り (受容語葉能力),必要な時に書くことや言う ことができること(発表語葉能力)Jを意味す る。語葉習得の過程はいくつもの段階に分かれ ており,音声面とその限られた意味を中心に語 葉・表現を取り扱う小学校外国語活動は語葉習 得過程の最も初期の段階といえる。 日本国内に おいては,小学生を対象にした英語教育,英語 語葉学習に関する調査研究は数少ないが,小学 校で取り扱った語藁・表現の音声と意味が記憶 に保持され,後の語葉学習においてプラスに働 指 導 教 員 兼 重 昇 き,習得あるいは定着を進める結果を招くこと は大いに考えられる。また,初級学習者では, 偶発的学習は不可能といわれているが,英語学 習者が特に意識していない語や表現を結果的に 記憶していることがよくあるように,小学校外 国語活動においても繰り返しの練習を行わなく とも児童の記憶に自然に保持される語があるこ とは期
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寺できることである。 次に,小学校学習指導要領の理論を解釈し, 小学校外国語活動における語葉・表現の選択方 法とその指導方法についてまとめた。小学校外 国語活動において取り扱われるべき基本的な表 現(語葉)を 4点(①児童の興味・関心にあっ た表現(語葉)であること,②児童の発達段階 を考慮した表現(語葉)であること,③特有の 表現がよく使われる場面と児童の身近な暮らし にかかわる場面で使用される表現(語葉)であ ること,④コミュニケーションの働き(役割) を実感できるような表現(語葉)であること) にまとめ,指導者にはこれらの語葉・表現を選 定することが求められていることを示した。そ して,w
英語ノート』で取り扱われている語葉 ・表現について,国際理解の視点から英語圏以 外の国の文化を表す語や日本の文化を表す語が 多く取り扱われているという特徴があることか ら,外国語活動では児童の自然なコミュニケー ションを引き出し,児童がコミュニケーション の楽しさを体験するために必要な語葉・表現の 選択が重要であり,そのような語が児童にとっ て意味のある語であると考えた。指導方法につ いては,学習指導要領に示されている「外国語 の音声や基本的な表現に慣れ親しませるJ指導 方 法 と は 歌 や チ ャ ン ツ , ゲ ー ム , コ ミ ュ ニ 円 ︿ U つ 山 つ 山ケーションや自己表現を目的とした活動jを取 り入れた指導であるとした。また,小学校外国 語活動において取り扱われる語嚢・表現は,① 『英語ノート』の語葉・表現,②教師が児童の 発達の段階を考慮し地域の実情や児童の実態を 踏まえて選定した語葉・表現,③児童自身がコ ミュニケ}ション活動を行う際に必要な語葉・ 表現 のいずれかに当たるものとした。 そして,具体的な3つの課題を設定し授業実 践と調査を行い,児童の語嚢・表現の保持,英 語活動への意識などの観点からその影響を考察 した。課題(1)については,時間の経過(約 2ヶ月後)とともに語葉・表現の選択方法の違 い(①『英語ノート』から選択した語葉・表現, ②教師が選択した語葉・表現,③児童自身が選 択した語葉・表現の3タイプ)は児童の記憶の 保持にはほとんど影響しないという結果が得ら れ た 。 課 題 (2) については,児童の記憶に保 持されやすい語と保持されにくい語があり,繰 り返しの練習を行わなくても児童の記憶に保持 される語葉・表現があることが分かつた。課題 ( 3 )については,外国語活動におけるコミュ ニケーションや自己表現を目的とした活動を通 して,児童の意識には,意欲の向上,達成感・ 満足感,新たな発見というプラスの効果がある ことが分かつた。 3. 教育的示唆 小学校英語活動における語糞・表現の選択と 児童の学習過程について図に示し,授業中に取 り扱った語葉・表現は,結果として児童の記憶 に蓄えられていると考えた。本研究のまとめと して,効果的な語葉・表現の選択とその指導方 法について3つの提案を行った。 (1)児童中心の語葉・表現の選択 外国語活動の指導者には,児童の発達の段階 を考慮して語葉・表現を選定し,地域の実情や 児童の実態を踏まえ複雑にならないように示す ことが求められているが,児童自身が本当に言 いたいこと,伝えたいことは実に様々であり, 児童の実態を把握している担任教師の予想をも 超えている。定着を目的としない外国語活動で あるからこそ,児童にとって意味のある語葉・ 表現の選択,つまり児童中心の語葉・表現の選 択がされるべきである。 ( 2 )コミュニケーションや自己表現を目的と した活動 外国語活動では,歌やチャンツ,ゲーム等を 通して慣れ親しんだ語葉・表現を使い,コミュ ニケーション活動や自己表現をしたくなるよう な場を設定することが効果的である。このよう な指導や活動を通して,児童の意識には,英語 活動そのものへの意欲や次時への活動への意欲 の向上が見られ,達成感や満足感を感じること ができ,英語表現だけに限らず今まで知らなか ったことを新たに発見する喜びも感じることが できる。児童の感情や意思など情緒的な部分に 働きかける小学校の学習活動が,中学校以降の 英語教育において学習者の意識にプラスに働く ことが推察される。 ( 3 )語葉・表現の指導方法 児童自身が発する音声と実際に聞く音声が違 うことのないように注意