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保険会社 ERM の現状と金融行政の動向 2014 年 3 月 14 日日本保険学会 関東部会 キャピタスコンサルティング植村信保

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2014年3月14日 日本保険学会・関東部会

キャピタスコンサルティング 植村信保

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自己紹介

植村 信保(うえむら のぶやす)

 キャピタスコンサルティング マネージングディレクター  アナリストや行政官として保険会社経営を約20年間ウォッチしてきた経験を 踏まえ、主に保険会社の経営コンサルティングを実施  格付投資情報センター(R&I)では生損保を中心に金融機関の経営分析 を担当 (1997-2010年)  金融庁では「統合リスク管理専門官」として 監督局保険課と検査局で勤務 (2010-12年)  検査・モニタリングの支援  ソルベンシー規制の見直し  保険検査マニュアルの全面改定  国際対応 など  中堅生保の破綻研究で博士号を取得(2008年) ⇒

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本日の内容

1.はじめに(前回発表の概要)

2.わが国保険会社ERMをめぐる動向

3.保険会社の資本規制の進展

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1.はじめに

前回発表(2011年10月)の概要

H23年度全国大会・共通論題「保険事業とERM」で発表

テーマは「保険会社のERMと監督当局の関係」

 当時は金融庁に所属し、監督局および検査局で、統合的リスク管理 (≒ERM)の普及・促進を担う 

一般的なERMのイメージを示し、わが国保険会社の現状に

触れたうえで、金融庁の取り組みを紹介

 当局がERMに注目するのは、企業価値の安定的な向上が契約者保 護に資するという考え方があるため  大半の保険会社においてERM構築は初期段階 

パネルディスカッションでは、「リスク管理部門担当役員や監

査役・内部監査部門の関わり方」「ERMが付加価値につなが

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2.わが国保険会社ERMをめぐる動向

ERM (Enterprise Risk Management)

企業が直面する全てのリスクを対象に、リスクを統合的に把握

し、企業のリスク選好に応じて事業全体として管理することで、

自己資本等を確保しつつ企業の戦略目標を達成し、企業価値

の持続的向上をはかる

欧州大手保険グループが先行

日本の大手生損保でも、経営戦略の中心にERMを据える動き

が目立つ

 例えば東京海上は「リスクベース経営(ERM)」を標榜  生保でも第一生命やT&D(太陽生命、大同生命)が中期経営計画の柱 としてERM推進を掲げている 

保険行政は「ERM重視」を明確に打ち出す

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ERMと従来型リスク管理の違い

ERM 従来型リスク管理 リスク管理の 目的 自己資本等を確保しつつ、戦略目標を達成 損失の回避・抑制 対象とする リスク 全てのリスクが対象 (計量化が困難なもの、潜在的なものも) 特定したリスクが対象 対応する 組織 特定の部門ではなく、事業全体で管理 (経営トップを含む、全社的な活動) リスク管理部門などの専門組織が管理 リスクの 捉え方 あらゆるリスクを統合的に捉える リスクの種類ごとに捉える (個別のリスク管理活動) リスクへの 対応 継続的な活動 必要があるときに対応

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わが国保険会社ERMをめぐる動向

上場保険グループはERM関連情報を積極的に開示

内部管理上の資本十分性の定量的な開示を実施

 Economic Solvency Ratio(ESR)、すなわち、経済価値ベースの必要

資本(リスク量)とサープラス(経済価値ベースの純資産)を対比した開 示が一般的  規制資本をはじめ、現行会計に基づいた情報では資本十分性や効率性 などを判断できないため 

ERMそのものに関する説明も目立つ

 中期経営計画の柱としてERM推進を掲げる会社が増えている (第一生命、T&D、東京海上など)  従来のリスク管理とは違い、「リスク・資本・リターンの一体的な管理」に ついて説明  ERMやALMを推進した結果について示す事例も

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「キャピタスERMサーベイ2013」から

<ERMの推進体制> 【リスクガバナンス】

 ERM(または金融庁検査マニュアルの「統合的リスク管理態勢」)の担当部 署について、最も近いものを1つお選び下さい  回答の半数が「主にリスク管理部門が担当し、必要に応じて関連部門と連携」 ⇒ インタビューで確認したところ、関連部門との連携状況は様々 (実質的にリスク管理部門だけが推進していると思われる会社も多かった)  国内系の場合、ERM構築を積極的に進めている会社で「複数の部門が共同で担当」という 回答が多く、インタビューによると、経営企画部門が深く関与するようになる傾向を確認 1 主にリスク管理部門(=リスク管理を統括する部門)が担当 22% 2 主にリスク管理部門が担当しているが、必要に応じて経営企画部門、収益管理部門(収 益管理部、経理部、主計部など)等と連携を図っている 51% 3 リスク管理部門と経営企画部門、収益管理部門など複数の部門が共同で担当 24% 4 主に経営企画部門が担当 3% 5 資産運用リスク管理部門、保険引受リスク管理部門など、個別リスクの管理部門が担当 0% 6 個人保険部門、企業保険部門など、各事業部門のリスク管理機能が担当 0% 7 その他 0%

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「キャピタスERMサーベイ2013」から

<リスク選好の設定> 【リスクガバナンス】

 リスク選好を設定し、明文化している場合、次のうち貴社・グループの現状 に当てはまるものを全てお選び下さい  全体の6割がリスク選好として何らかの方針を定め、明文化しているとの回答 (格付の維持・向上や財務健全性の確保を主眼とした方針を含む) = おそらく、ここ数年でリスク選好を定めた会社が多いとみられる  ただし、インタビューによると、経営として従来のリスクのとり方を再認識しただけの会社も 多く、部門ごとの事業運営やリスクカテゴリーごとの管理などに必ずしも十分結び付いてい ないケースが目立った

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「キャピタスERMサーベイ2013」から

<経営におけるERMの活用> 【経営戦略とERM】

 ERMの活用に関して、最も近いものを1つ選び、ご記入ください。  最も自己評価が高かったのは「資産運用方針の決定・見直しプロセス」だった。ただし、判 断基準は会社により大きく異なっているため、例えば同じ「4」であっても違いは大きい 4:十分に組み込んでいる 3:ある程度組み込んでいる 2:部分的に組み込んでいる 1:組み込んでいるとは言い難い <ERMの活用状況> 平均値 1 資産運用方針の決定・見直しプロセス 3.1 2 保険引受や料率設定のプロセス 2.3 3 商品開発プロセス 2.2 4 出再保険スキームの決定・見直しプロセス 2.5 5 販売計画の策定プロセス 1.7 6 毎年度の予算策定プロセス 2.2 7 中期経営計画等の策定プロセス 2.5 8 大型新規投資案件の判断プロセス 2.1 9 経営陣の報酬決定プロセス 1.4 10 資本政策(株主配当を含む)の決定プロセス 2.5 11 契約者配当の決定プロセス 1.5

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保険行政の動向

2005/7 保険金等の不払事案について報告徴求(生保全社) 2005/11 付随的な保険金の支払漏れに関し業務改善命令(損保26社) 2007/4 「ソルベンシー・マージン比率の算出基準等について」公表 <2008/9- リーマン・ショック、AIG経営危機、大和生命破綻> 2010/4 ソルベンシー・マージン比率の見直し 2011/2 保険検査マニュアルを全面改定 <2011/3 東日本大震災> 2011/12 保険金等の支払漏れ等に関する定期報告義務の解除(生保10社) 2012/8 IMFがFSAP Japanの評価報告書を公表  「リスクとソルベンシーの自己評価(ORSA)」などを要請 2012/9 ERMヒアリングの結果を公表(直近は2013/9) 2013/6 金融審「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するWG」報告書 2013/9 「平成25事務年度 金融モニタリング基本方針」を公表 2013/12 監督指針等の改正案を公表

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「水平的レビュー」の実施

平成25事務年度 金融モニタリング基本方針

従来の「監督方針」&「検査基本方針」から一変

 オンサイト(検査)とオフサイト(従来は監督)のモニタリングを一本化  「リアルタイム」「ベストプラクティス」「業界横断」がキーワード 

「水平的レビュー」の実施(試行)

 SIFIs対応を充実(担当検査官チーム&専門チーム)  大手生損保も対象  検証項目ごとに専門チーム 

保険会社の検証項目としては、「経営管理(ガバナンス)」「法令

等遵守」「募集管理及び顧客保護」「統合的リスク管理及び資産

運用」「ITガバナンス」が挙がっている

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監督指針の改正(日本版ORSAの概要)

「保険会社向けの総合的な監督指針」等の改正

 統合的リスク管理(ERM)およびリスクとソルベンシーの自己評価(ORSA) に関する規定を整備  IAIS(保険監督者国際機構)が2011年10月に採択した保険コアプリンシプル (ICP)を受けたもの  ICP16は「ソルベンシー目的のERM」  現行監督指針の「リスク管理」を「統合的リスク管理態勢」としたうえで、記載内容 を全面的に見直し  監督指針の構成  統合的リスク管理態勢  リスクの特定およびリスクプロファイル(Ⅱ−3−2)  リスクの測定(Ⅱ−3−3)  リスク管理方針(Ⅱ−3−4)  リスクとソルベンシーの自己評価(Ⅱ−3−5)  グループベースの統合的リスク管理(Ⅱ−3−6)

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金融危機を受けた新たな国際交渉の枠組み

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参照

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