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第 1 章 Chapter 年度の中小企業の動向 2010 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan 我が国経済は アメリカ発の金融危機に端を発する景気後退から着実に持ち直してきているが 自律的な回復といえる状況には至って

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(1)

2010 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan

(2)

急速な景気後退からの緩やかな持ち直しの動き

2007年夏以降、アメリカのサブプライム住宅

ローン等の問題が金融市場の混乱を招き、2008

年9月には大手投資銀行リーマン・ブラザーズが

破綻した。それを契機として、世界経済は急速に

悪化し、主要国の実質GDPは、2008年10-12月期

から2009年1-3月期にかけて総じて大幅に減少し、

世界同時不況の様相を呈した。その後、実質

GDP成長率は、中国では、インフラ投資や消費

拡大等を中心とする景気刺激策

2

の効果もあって、

2009年1-3月期以降、前期比で年率10%近い伸び

率を記録するようになり、日本及び韓国において

も、景気刺激策や中国を中心とするアジア向け輸

出により、日本では2009年4-6月期に、韓国では

2009年1-3月期に、前期比でプラスに転じるなど、

アジアでは持ち直しの動きが見られた。他方、欧

米でも、実質GDP成長率は、景気刺激策等によ

り、ドイツ、フランスでは2009年4-6月期に、ア

我が国経済は、2002 年 1 月を景気の谷と

して底を打って以来、息の長い緩やかな景気回

復が続いていたが、2007 年 10 月を山として

景気後退局面に入った

1

。その後、サブプライ

ム住宅ローン問題等を巡るアメリカの金融不安

は、2008 年 9 月に大手投資銀行リーマン・

ブラザーズが破綻したこと(以下「リーマン・

ショック」という)を契機に、世界的な金融危

機へと拡大した。こうした金融危機に伴い世界

経済は急速に悪化し、我が国経済も輸出の大幅

な減少により、輸出型の製造業を中心に大きな

打撃を受けた。本節では、急速な後退から持ち

直してきている 2009 年度における内外経済

の動向を見ていく。

内外経済の動向

Section 1

1

我が国経済は、アメリカ発の金融危機に端を発する景気後退から着実に持ち直して

きているが、自律的な回復といえる状況には至っていない。その中で、中小企業の業

況は、持ち直しの動きが見られるが、その水準自体は依然として低く、厳しい状況が

続いている。

第 1 節では、2009 年度の内外経済の動向を総括し、我が国経済は、急速な景気後

退から着実に持ち直してきているが、自律性に乏しく依然として厳しい状況にあるこ

とを示す。第 2 節では、2009 年度の中小企業の動向を概観し、総じて業況及び生産

に持ち直しの動きが見られるが、業種や規模によってはその動きに違いがあること、

資金繰りや雇用については依然として厳しいこと、円高やデフレ等先行きにリスクが

あることなどを示していく。

1

1

Chapter 1

2009年度の中小企業の動向

2010 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan

1 景気循環の山・谷を示す景気基準日付は、内閣府経済社会総合研究所で開催される景気動向指数研究会の議論を経て設定される。2009年1月29日に開催された 同研究会の議論を経て、2002年2月から拡張を続けた景気の山として、2007年10月が暫定的に設定された。

2 2008年末から2010年末までに、約4兆元(約53兆円)のインフラ建設投資等が実施され、2009年には農村部での自動車及び家電の普及策である「汽車下郷」 及び「家電下郷」並びに都市部も含めた自動車及び家電の買換促進策である「以旧換新」等の景気刺激策が実施された。このような景気刺激策の効果もあって、 中国は、2009年に新車販売台数、自動車生産台数ともに世界第1位になった。

(3)

メリカでは2009年7-9月期に、イギリスでは2009

年10-12月期に前期比でプラスに転じた(第1-1-1

図)。

国際通貨基金(IMF)

「World Economic Outlook

Update January 2010」によれば、世界経済は、

中国を始めとしたアジアを中心に回復の動きが広

がり、先進国の景気も緩やかに持ち直していく見

込みである(第1-1-2図)。

第 1-1-1 図

主要国の実質GDP成長率

資料:内閣府「海外経済データ」、中国人民銀行資料より作成 (注)中国人民銀行の試算は 2008 年 10-12 月期以降のみ公表。 ∼世界経済は、リーマン・ショック後に急速に悪化したが、足下では景気刺激策等の効果もあって、アジアを中心に緩やかに持ち直し てきている∼ 日本 アメリカ ドイツ フランス イギリス 日本 中国 韓国 (前期比年率、%) (季節調整値) (季節調整値) 20.0 (前期比年率、%) 15.0 10.0 5.0 0.0 ▲ 5.0 ▲ 10.0 ▲ 15.0 ▲ 20.0 ▲ 25.0 ▲ 30.0 10.0 5.0 0.0 ▲ 5.0 ▲ 10.0 ▲ 15.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 07 08 09 (年期) Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 07 08 09 (年期) Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

第 1-1-2 図

主要国の実質GDP成長率(2009年及び2010年の見通し)

▲10.0 ▲8.0 ▲6.0 ▲4.0 ▲2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 ▲10.0 ▲8.0 ▲6.0 ▲4.0 ▲2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 世界全体 3.0%

資料:国際通貨基金(IMF) 「World Economic Outlook Update January 2010」、内閣府「海外経済データ」より作成

(注) 1. 図の横軸及び()内は、2008 年の各国・地域の世界経済に占める名目 GDP の割合を表している。    2. ASEAN5 とは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの 5 か国。    3. 世界経済の見通しには、図中の国のほか、中東、アフリカ、南米、ロシアを除く CIS 諸国等合計約 140 か国が含まれる。    4. 上記の数値は、市場レートベース。

2009 年実質経済成長率

2010 年実質経済成長率の見通し

インド (2.0%) ブラジル (2.6%)(2.8%)ロシア アメリカ (23.7%) (30.2%)EU (8.1%)日本 NIEs (2.8%) 4.8% 中国 (7.1%) ASEAN5 (2.1%) 4.7% インド (2.0%) ブラジル (2.6%) ▲0.4% ロシア (2.8%) ▲9.0% アメリカ (23.7%) ▲2.5% EU (30.2%) ▲3.9% 日本 (8.1%) ▲5.3% NIEs (2.8%) ▲1.2% ASEAN5 (2.1%) 1.3% 8.7% 5.6% 中国 (7.1%) 2.7% 1.0% 1.7% 10.0% 7.7% 4.7% 3.6% (前年比、%) (前年比、%) 世界全体 ▲2.1% ∼世界経済は、中国を始めとしたアジアを中心に回復の動きが広がり、先進国の景気も緩やかに持ち直していく見込み∼

(4)

我が国の実質GDP成長率を要因分解したもの

が第 1-1-3 図である。リーマン・ショック後の

2008年10-12月期には、実質GDP成長率の前期比

2.7%減少に対する外需の寄与度は、2.7%減少に

達した。2009年1-3月期には、内需も冷え込み実

質GDP成長率の前期比3.6%減少に対する家計部

門(民間最終消費支出+民間住宅)の寄与度は

1.0%減少、民間企業設備投資の寄与度は1.3%減

少となった。2009年4-6月期には、輸出が前期比

で増加に転じ、景気刺激策

3

等により家計消費が

前期比で増加したことから、実質GDP成長率は

前期比で増加に転じた。実質GDP成長率は7-9月

期にはわずかにマイナスとなったが、10-12月期

には再び前期比プラスに転じた。

他方で、名目GDP成長率を見てみると、2008

年4-6月期以降、マイナスが続いていたが、2009

年10-12月期に7四半期ぶりに前期比でプラスに

転じている

4

(第1-1-4図)。

第 1-1-3 図

実質GDP成長率の伸び率の要因分解(前期比寄与度)

資料:内閣府「国民経済計算」 (注) 1. 実質 GDP は 2000 年暦年連鎖価格 GDP。    2. 四捨五入の関係上、各項目の寄与度の合計は必ずしも実質 GDP 成長率には一致しない。 家計(消費+住宅) 民間在庫品増加 民間企業設備 公需 輸出 輸入 国内総生産 ∼実質 GDP 成長率は、リーマン・ショック後の 2008 年 10-12 月期、2009 年 1-3 月期に大幅に減少したが、2009 年 4-6 月期、 10-12 月期には前期比増となるなど、 輸出と景気刺激策を背景に持ち直してきている∼ ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 09 08 07 (前期比季節調整値、%) (年期) 3 定額給付金及びエコカー減税・補助金、エコポイント制度の導入等が実施された。 4 実質GDPと名目GDPの乖離は、物価の変動によるものであるが、物価については後に論じる。

(5)

第 1-1-4 図

名目GDP成長率の伸び率の要因分解(前期比寄与度)

資料:内閣府「国民経済計算」 (注) 四捨五入の関係上、各項目の寄与度の合計は、必ずしも名目 GDP 成長率には一致しない。 家計(消費+住宅) 民間在庫品増加 民間企業設備 公需 輸出 輸入 国内総生産 ∼名目 GDP 成長率は、2009 年 10-12 月期に、7 四半期ぶりに前期比でプラスに転じている∼ ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 09 08 07 (前期比季節調整値、%) (年期)

アジア向けを中心に増加する輸出額

実質GDPの変化に大きく寄与した輸出額の動

向を詳しく見ていく。我が国の貿易収支は、1月

を除き2008年8月に26年ぶりに赤字となり、9月

に一度黒字化した後、2008年 10月から 2009年 1

月まで4か月連続で赤字が続いた。2009年2月以

降、貿易収支は黒字に戻り、その後も輸出額は緩

やかに増加している(第1-1-5図)。

第 1-1-5 図

貿易収支

資料:財務省「貿易統計」 (注) 輸入額の値はマイナスで表示。 輸出額(左軸) 輸入額(左軸) 貿易収支(右軸) ∼貿易収支は、2009 年 2 月以降黒字に戻り、輸出額はその後も緩やかに増加∼ ▲ 10 ▲ 8 ▲ 6 ▲ 4 ▲ 2 0 2 4 6 8 10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 10 09 08 ▲ 1.5 ▲ 1.0 ▲ 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 (兆円) (兆円) (年月)

(6)

地域別の輸出額を見てみると、アジア向けの輸

出額は、リーマン・ショック後に大幅に落ち込ん

だが、中国向けの輸出額を中心に緩やかに増加

し、リーマン・ショック前の水準近くまで回復し

ている。北米及び西欧向けの輸出額は、2008年

から徐々に減少し、リーマン・ショック後に急減

した。2009年に入ると下げ止まり、足下の北米

向けの輸出額は持ち直しており、西欧向けの輸出

額にも持ち直しの動きが見られる(第1-1-6図)。

第 1-1-6 図

地域別の輸出額

資料:財務省「貿易統計」 ∼輸出額は、アジア向けを中心に緩やかに増加∼ 0 1 2 3 4 08 09 10 0 1 2 3 4 08 09 10 0 1 2 3 4 (兆円) (兆円) 08 09 10 0 2 4 6 8 10 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 08 09 10 (年月) 0 1 2 3 4 (兆円) (兆円)

総額

アジア 北米 西欧 その他 (兆円) 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 08 09 10 (年月) (年月) (年月) (年月)

製造業を中心に改善する生産・収益

鉱工業生産指数は、リーマン・ショック後に過

去に例のない大幅な減少を記録したが、2009年3

月以降、急テンポの回復ではないものの、2010

年1月まで11か月連続で上昇し持ち直している。

他方で、鉱工業在庫指数はリーマン・ショック後

に緩やかに上昇したが、2009年1月から低下が続

き、その後も横ばいで推移している。鉱工業在庫

5

指数は、2009年3月以降、急激に低下し、製

造業では在庫調整が進みつつあることが分かる。

また、第3次産業活動指数は、落ち込み及び回復

ともに鉱工業生産指数と比較して緩やかであった

(第1-1-7図)。

5 在庫率とは、出荷数量に対する在庫数量の比率をいう。

(7)

次に、企業の収益について見ていく。売上高

は、リーマン・ショック後、特に製造業において

前年同期比で大幅に減少し、2009年1-3月期にそ

の程度に歯止めがかかっているものの、いまだ前

年同期比増に転じていない(第1-1-8図)。

第 1-1-7 図

鉱工業生産・在庫・在庫率指数及び第3次産業活動指数

∼ 2009 年春以降、鉱工業生産指数は上昇し在庫調整も進展したが、第 3 次産業活動指数は製造業と比べて緩やかに回復∼ 65.0 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 95.0 100.0 105.0 110.0 115.0 90.0 100.0 110.0 120.0 130.0 140.0 150.0 160.0 (2005 年=100、季節調整値) 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12345678910111212345678910111212345678910111212 34567891011121 10 09 08 07 06 05 (年月) (2005 年=100、季節調整値) 鉱工業生産指数(左軸) 鉱工業在庫指数(左軸) 第 3 次産業活動指数(左軸) 鉱工業在庫率指数(右軸) 資料:経済産業省「鉱工業指数」、「第 3 次産業活動指数」

第 1-1-8 図

売上高

資料:財務省「法人企業統計季報」 ∼売上高は、リーマン・ショック後、特に製造業において大幅に減少し、2009 年 1-3 月期に減少の程度に歯止めがかかっているものの、 いまだに前年同期比増に転じていない∼ 0 50 100 150 200 250 300 ▲ 35.0 ▲ 30.0 ▲ 25.0 ▲ 20.0 ▲ 15.0 ▲ 10.0 ▲ 5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 07 08 09 (前年同期比、%) (兆円) (年期) 製造業(実額・右軸) 製造業(前年同期比・左軸) 非製造業(実額・右軸) 非製造業(前年同期比・左軸)

(8)

また、経常利益についても、2008年10-12月期

以降、特に製造業において前年同期比で記録的に

減少し

6

、2009 年 10-12 月期には前年の水準が低

かったこともあり大きく増加したが、いまだリー

マン・ショック以前の水準には戻っていない(第

1-1-9図)。

第 1-1-9 図

経常利益

資料:財務省「法人企業統計季報」 ∼製造業の経常利益は、2008 年 10-12 月期以降、記録的に減少し、いまだリーマン・ショック前の水準には戻っていない∼ 製造業(実額・右軸) 製造業(前年同期比・左軸) 非製造業(実額・右軸) 非製造業(前年同期比・左軸) ▲ 16.0 ▲ 12.0 ▲ 8.0 ▲ 4.0 0.0 4.0 8.0 12.0 ▲ 160.0 ▲ 120.0 ▲ 80.0 ▲ 40.0 0.0 40.0 80.0 120.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 07 08 09 864.7 (前年同期比、%) (兆円) (年期)

依然として厳しい状況が続く雇用情勢

雇用情勢は、リーマン・ショック以降急速に悪

化し、2009 年 7 月には完全失業率が過去最高の

5.6%を、8月には有効求人倍率が過去最低の0.42

倍を記録した。完全失業率は8月以降低下し、有

効求人倍率も9月以降上昇したものの、雇用情勢

は依然として非常に厳しい状況にある(第1-1-10

図)。

6 製造業の経常利益は、2009年1-3月期に1954年4-6月期以来、初めてマイナスとなった。

(9)

第 1-1-10 図

完全失業率及び有効求人倍率

資料:総務省「労働力調査」、厚生労働省「職業安定業務統計」 ∼完全失業率は 2009 年 7 月に、有効求人倍率は 2009 年 8 月に過去最悪を更新するなど、雇用情勢は極めて厳しい∼ 完全失業率(左軸) 有効求人倍率(右軸) 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 (%、季節調整値) (年月) (倍、季節調整値) 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 91011121 2 3 4 5 6 7 8 9101112 10 09 08 07 06 05

円高による先行きへのリスク

これまで、我が国の景気は、輸出に牽引されつ

つ着実に持ち直してきているが、失業率が高水準

にあるなど依然として厳しい状況にあることを見

てきた。次に、我が国経済の先行きを展望するに

あたって、景気を下押しするリスクとなり得る為

替の動向について見ていく。

リーマン・ショック後、金融・資本市場の混乱

や、日本と欧米との金利差の縮小により、対ド

ル・対ユーロともに円高が進んだ。円相場は、

2009年春以降、対ユーロでは比較的安定した推

移を辿ったが、対ドルでは一度円安に振れた後、

アメリカの金融緩和の長期化の見通しや、ドバイ

首長国が政府系企業の債務返済延期を公表したこ

とから、円への逃避買いが続き、再び円高が進行

した。2009 年 11 月末には、1995 年 7 月以来の円

高水準となる一時1ドル84円台を記録し、その後

も90円前後で推移するなど、為替相場は、2009

年夏以降円高基調にある(第1-1-11図)。

(10)

次に、実質実効為替レートを用いて、物価変動

の影響を考慮した複数通貨に対する為替の水準を

見 て い く。 第 1-1-12 図 に よ る と、 リ ー マ ン・

ショック後に急激な円高が進行したが、2009年

春以降は円安方向に戻り安定的に推移している。

他方、ドルについては、2009年春以降にドル安

方向に振れており、円ドル相場で円高ドル安が進

行した背景には、世界的なドル安があったと考え

られる。

我が国経済が輸出を中心に持ち直してきている

ことを踏まえれば、今後とも急激な為替変動が我

が国経済に与える影響を注視していく必要がある。

第 1-1-12 図

実質実効為替レート

資料:国際決済銀行(BIS)のホームページより作成 (注) 1.数値は消費者物価指数(CPI)に基づいて算出されたもの。    2.数値は月平均。 ∼ 2009 年春以降の世界的なドル安を背景に、円ドル相場で円高ドル安が進行∼ 中国(元) EU(ユーロ) 日本(円) 韓国(ウォン) イギリス(ポンド) アメリカ(ドル) 60 70 80 90 100 110 120 130 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 05 06 07 08 09 10 (2005 年=100) (年月) 通貨安 通貨高

第 1-1-11 図

為替相場(円ドル・円ユーロ)

資料:日経 QUICK より作成 (注) 為替レートは日時のデータを採用している。 ∼ 2009 年春以降,安定していた円ドル、円ユーロ相場は、2009 年後半以降に円高ドル安が進行∼ 円ドル(左軸) 円ユーロ(右軸) (円/ドル) (円/ユーロ) (年月) 110 120 130 140 150 160 170 85 90 95 100 105 110 115 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 10 09 08

(11)

デフレによる景気下押しリスク

為替とともに、景気を下押しするリスクとして

留意すべきは、デフレの影響であろう。消費者物

価指数は、振れの大きい生鮮食品や石油製品等を

除くベース(内閣府の試算する生鮮食品、石油製

品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア))

では、前月比で 2009 年 4 月から 2010 年 1 月まで

10か月連続で緩やかに下落を続けており、我が

国経済は現在、緩やかなデフレ状況にあると判断

される

7

(第1-1-13図)。

第 1-1-13 図

消費者物価指数(コアコア)

資料:総務省「消費者物価指数」より内閣府作成 (注) コアコアとは、消費者物価指数の総合指数から、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除いたもの。 ∼消費者物価指数(コアコア)は、2009 年 4 月以降、緩やかに下落している∼ 98.0 98.5 99.0 99.5 100.0 100.5 101.0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 10 11 12 1 2 10 09 08 07 06 05 (2005 年=100) (年月) (季節調整値)

技術革新や国際分業の進展等による物価の下落

は、それが部分的な下落にとどまる場合には相対

価格の変化の問題であり、また、広範な商品の価

格低下が生じる場合も、原材料費の低下や消費者

余剰の増加となる。しかしながら、第1-1-14図が

示すとおり、主要国・地域の中で、日本において

のみ消費者物価指数が長期にわたって緩やかに下

落していることもあり、現在のデフレが技術革新

や国際分業の進展を主因とするとは考えにくい。

7 2009年11月から内閣府「月例経済報告」では、「物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある」としている。

(12)

日本のみに見られる恒常的な物価下落の原因と

して、供給に対する需要の不足が考えられる。価

格調整メカニズムが働けば、供給過剰、需要不足

の場合には、物価の下落を通じた価格調整が生じ

る。それでは、日本経済の需要と供給の水準はど

うであろうか。

内閣府の試算によると、1990年代以降、需要

( 現 実 の GDP) と 潜 在 的 な 供 給 力( 潜 在 的 な

GDP)の乖離を示すGDPギャップはマイナス基

調で推移し、特にリーマン・ショック後にGDP

ギャップのマイナス幅が拡大した(第1-1-15図)。

このように、大幅なGDPギャップが、我が国の

物価の下落圧力となっていることが考えられる。

デフレは、企業の名目の売上を減少させるだけ

ではなく、実質賃金の高まりによる労働需要の低

下、実質金利の高止まりによる投資意欲の減退、

実質債務負担の増加にもつながりかねない。こう

したことにより、我が国経済が、物価下落と景気

後退の悪循環が続く「デフレ・スパイラル」に陥

ることのないように、引き続き物価傾向を注視し

ていくことが必要である。

第 1-1-14 図

主要国・地域の消費者物価指数

資料:ブルームバーグより作成 ∼主要国・地域の中で、日本においてのみ消費者物価指数が長期にわたって緩やかに下落している∼ 日本 アメリカ EU 中国 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 1 7 1 7 1 7 1 7 1 7 1 7 1 7 1 7 1 7 1 7 1 2 (前年同月比、%) (年月) (2005 年=100) (季節調整値) 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00

(13)

第 1-1-15 図

GDPギャップ

資料:内閣府試算 ∼ 1990 年代以降、GDP ギャップはマイナス基調で推移し、リーマン・ショック後にマイナス幅が拡大∼ ▲ 10.0 ▲ 8.0 ▲ 6.0 ▲ 4.0 ▲ 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (%) (年期)

景況感

まずは、日本銀行「全国企業短期経済観測調

査」(以下「日銀短観」という)を用いて、大企

業と中小企業の景況感を見ていく(第1-1-16図)。

業況判断DIは、大企業・中堅企業・中小企業と

もに急速な景気後退により2008年末から急激に

悪化したが、大企業・中堅企業では2009年1-3月

期に、中小企業では1四半期遅れて4-6月期に底

を打った。

中小企業の動向

Section 2

2

前節では、2009 年度の我が国経済は、急

速な景気後退から着実に持ち直してきているが、

失業率が高水準にあるなど、依然として厳しい

状況にあり、円高やデフレ等の先行きへのリス

クがあることを概観した。本節では、こうした

状況下における中小企業の景況感、生産、資金

繰り、倒産等を確認しながら、2009 年度に

おける中小企業の動向を見ていく。

(14)

第 1-1-16 図

規模別の業況判断DI

資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」 (注) 1. 調査対象は約 1 万社。    2. 業況判断 DI は、今期の業況が「良い」と答えた企業の割合(%)から、「悪い」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。    3. 大企業とは資本金 10 億円以上、中堅企業とは資本金 1 億円以上 10 億円未満、中小企業とは資本金 2 千万円以上 1 億円未満 の企業をいう。 大企業 中堅企業 中小企業 ∼中小企業の業況判断 DI は、大企業・中堅企業に 1 四半期遅れて 2009 年 4-6 月期に底打ち∼ ▲ 60.0 ▲ 50.0 ▲ 40.0 ▲ 30.0 ▲ 20.0 ▲ 10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (DI) (年期) Ⅰ

日銀短観では捕捉できない資本金2千万円未満

の中小企業も含む中小企業庁・(独)中小企業基

盤整備機構「中小企業景況調査」

(以下「中小企業

景況調査」という)によると、業況判断DIは2009

年1-3月期を底として、持ち直しの動きが見られる

が、水準自体は依然として低い。(第1-1-17図①)。

また、第1-1-17図②が示すように、業況判断DI

自体は上昇していても、業況が好転と答えた企業

の割合は少なく、中小企業の業況感が依然として

厳しいことを物語っている。

第 1-1-17 図①

中小企業の業況判断DI(前期比季節調整値)

▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 ∼中小企業の業況判断 DI は、2009 年 1-3 月期を底として持ち直しの動きが見られるが、依然として低水準∼ (DI) (前期比季節調整値) ▲60.0 ▲50.0 資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 1. 本調査は、全国の商工会・商工会議所の経営指導員、中小企業団体中央会の調査員が全国約 1 万 9千社に対し、四半期 ごとに聴き取りにより行っている調査。 2. 小規模企業以外の中小企業を中規模企業とする。 3. 業況判断 DI は、前期に比べて、業況が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を 引いたもの。 (年期) 中小企業全体 中規模企業 小規模企業 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

(15)

第 1-1-17 図②

中小企業の業況判断DI(前年同期比原系列)

資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 ∼業況が好転と答えた企業の割合は少なく、中小企業の業況感は依然として厳しい∼ 好転(左軸) 不変(左軸) 悪化(左軸) DI(右軸) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 ▲ 70.0 ▲ 60.0 ▲ 50.0 ▲ 40.0 ▲ 30.0 ▲ 20.0 ▲ 10.0 0.0 (%) (前年同期比原系列、DI) (年期)

次に、業種別の中小企業の業況感を見ていく

(第 1-1-18 図)。業種別の業況判断 DI は、電気・

情報通信機械・電子部品や輸送用機械器具では持

ち直しが見られるが、小売業、サービス業等の非

製造業では持ち直しは緩やかであり、また小規模

企業では、中規模企業

8

に比べて総じて業況判断

DIの水準が低いなど、業種及び規模によってそ

の動きに違いが見られる。

第 1-1-18 図

規模別・業種別の業況判断DI

▲100.0 ▲80.0 ▲60.0 ▲40.0 ▲20.0 0.0 20.0 (DI) (前期比季節調整値) 資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 1. 太線は中規模企業、細線は小規模企業。    2. 期間は 2005 年 1-3 月期∼ 2010 年 1-3 月期。 ∼業況判断 DI は、総じて持ち直しの動きが見られるが、業種及び規模によってはその動きに違いが見られる∼

製造業

パルプ・紙・紙加工品 電気・情報通信機械・ 電子部品 輸送用機械器具 機械器具 窯業・土石製品

非製造業

建設業 卸売業 小売業 サービス業 8 小規模企業以外の中小企業を中規模企業とする。

(16)

生産

第1節では、企業の在庫調整が進み、生産も持

ち直していることを示したが、ここでは、大企

業、中小企業別に、製造業の生産動向を見てい

く。第1-1-19図は、輸出割合が高い業種と低い業

種の規模別・業種別の生産指数を示したものであ

るが、大企業、中小企業ともに、輸出割合が高い

業種では、リーマン・ショック後の落ち込み及び

回復ともに急激であることが分かる

9

第 1-1-19 図

業種別・規模別の製造工業生産指数

40 60 80 100 120 140 160 精密機械 (輸出割合 50.7%) (季節調整値) 電子部品・デバイス (輸出割合 35.1%) 輸送機械 (輸出割合 26.4%) パルプ・紙・紙加工品 (輸出割合 3.5%) 金属製品 (輸出割合 10.1%) 窯業・土石製品 (輸出割合 13.7%) 製造業 ∼輸出割合の高い業種ほど、リーマン・ショック後の落ち込み及び回復ともに急激であった∼ (2005 年=100) 資料:経済産業省「鉱工業生産指数」、「生産動態統計調査」、中小企業庁「規模別製造工業生産指数」再編加工 (注) 1.太線は大企業、細線は中小企業。    2.2008 年 1 月∼ 2010 年 1 月の指数。    3.輸出割合は 2005 年の数値。    4.大企業の数値は「鉱工業生産指数」、「生産動態統計調査」、「規模別製造工業生産指数」を再編加工して試算。

第1-1-20図は、大企業と中小企業の製造工業の

生産指数の伸びを業種別に要因分解したものであ

る。大企業の生産指数は、2009年の春以降、輸

出割合の高い電子部品・デバイスと輸送機械が牽

引していることが分かる。他方、中小企業におい

ては、製造業における電子部品・デバイスや輸送

機械の占める割合が大企業と比較して低いことも

あり

10

、生産指数は輸出型の製造業によって引上

げられず、停滞していることが分かる。

9 輸出割合が高くとも、計測機械等を製造する精密機械工業を営む中小企業の生産指数は、いまだ持ち直しに至っていない。 10 製造工業全体に占めるウェイトは、大企業において、電子部品・デバイスで9.6%、輸送機械で22.0%、中小企業において、電子部品・デバイスで5.3%、輸送 機械で4.4%である(2005年、経済産業省「生産動態統計調査」)。

(17)

第 1-1-20 図

規模別の製造工業生産指数の伸び率の要因分解(前月比寄与度)

12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 10 09 08 (年月) 資料:経済産業省「鉱工業生産指数」、「生産動態統計調査」、中小企業庁「規模別製造工業生産指数」再編加工

【中小企業】

▲8.0 ▲6.0 ▲4.0 ▲2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 (%) (前月比季節調整値) ∼大企業では、電子部品・デバイス、輸送機械が生産指数を牽引しているが、中小企業では、こうした傾向が見られない∼

【大企業】

▲14.0 ▲12.0 ▲10.0 ▲8.0 ▲6.0 ▲4.0 ▲2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 10 09 08 (%) (年月) (前月比季節調整値) 一般機械 電気機械 情報通信機械 電子部品・デバイス 輸送機械 その他

売上高・経常利益

第1-1-21図が示すように、リーマン・ショック

後の急速な景気後退に伴い、我が国の中小企業の

売上高及び経常利益は、製造業を中心に急速に減

少した。中小製造業において、売上高及び経常利

益は、2009年1-3月期に前年同期比で35.0%減及

び132.3%減となった後、持ち直しの動きが見ら

れ、2009年10-12月期には、売上高は前年同期比

で2.9%減、経常利益は前年同期比で85.9%増と

なった。しかしながら、売上高及び経常利益を実

額で見ると、その水準は、リーマン・ショック前

の2008年4-6月期を下回っている。

(18)

第 1-1-21 図

規模別の売上高及び経常利益

【売上高】

【経常利益】

製造業 非製造業 製造業 非製造業 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 ▲ 10.0 ▲ 20.0 ▲ 30.0 ▲ 40.0 50.0 0.0 ▲ 50.0 ▲ 100.0 ▲ 150.0 ▲ 200.0 20.0 50.0 0.0 ▲ 50.0 ▲ 100.0 ▲ 150.0 ▲ 200.0 10.0 0.0 ▲ 10.0 ▲ 20.0 ▲ 30.0 ▲ 40.0 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 07 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 08 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 09 (年期) Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 07 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 08 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 09 (年期) Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 07 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 08 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 09 (年期) Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 07 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 08 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 09 (年期) (前年同期比、%) 100.0 (前年同期比、%) 100.0 (前年同期比、%) (前年同期比、%) 50.0 40.0 30.0 20.0 150.0 2.0 1.0 0.0 ▲ 1.0 ▲ 2.0 ▲ 3.0 ▲ 4.0 5.0 0.0 ▲ 5.0 ▲ 10.0 145.0 140.0 135.0 130.0 125.0 120.0 115.0 110.0 105.0 100.0 (兆円) (兆円) (兆円) (兆円) ∼中小企業の売上高及び経常利益は、急速な景気後退に伴い製造業を中心に急速に減少し、その後持ち直しつつあるが、2009年10-12 月期でもリーマン・ショック前の水準を下回っている∼ 資料:財務省「法人企業統計季報」 (注) 1. 資本金 1 億円以上を大企業、1 千万円以上 1 億円未満を中小企業としている。    2. 大企業製造業では、2009 年 10-12 月期の経常利益の伸び率は、前年同期の経常利益が負数のため算出できない。 中小企業(実額・右軸) 大企業(前年同期比・左軸) 中小企業(前年同期比・左軸) 中小企業(実額・右軸) 大企業(前年同期比・左軸) 中小企業(前年同期比・左軸) 中小企業(実額・右軸) 大企業(前年同期比・左軸) 中小企業(前年同期比・左軸) 中小企業(実額・右軸) 大企業(前年同期比・左軸) 中小企業(前年同期比・左軸)

第1-1-22図は、製造業の経常利益の増減率を要

因分解したものである。中小企業は、大企業に比

べて、2008年4-6月期以降、売上高の減少が著し

い一方、人件費要因がプラスに働いている。これ

は、中小企業においては、大幅な売上高の減少

を、人件費を圧縮することによって相殺し、経常

利益の減少を食い止めてきたとも考えられる。ま

た、売上価格の下落による経常利益の伸び率の押

し下げは、大企業では2009年1-3月期に、中小企

業では2009年4-6月期から現れており、価格下落

圧力が大企業から中小企業へと及んでいることが

うかがえる。2009年10-12月期の中小企業の経常

利益は、前年同期比でプラスに転じたが、売上価

格の下落要因が依然として経常利益を押し下げて

おり、人件費等を削減せざるを得ない厳しい状況

が続いていることがうかがわれる。

(19)

第 1-1-22 図

規模別の経常利益の伸び率の要因分解(前年同期比寄与度)

資料:財務省「法人企業統計季報」、中小企業庁「規模別企業物価指数」より作成 (注) 1. 資本金 1 億円以上を大企業、1 千万円以下 1 億円未満を中小企業としている。    2. 大企業製造業の 2009 年 10-12 月期の経常利益の伸び率は、前年同期の経常利益が負数のため算出できない。 ∼中小企業では、売上価格の下落要因が依然として経常利益を押し下げており、人件費等を削減せざるを得ない厳しい状況にある∼

【大企業製造業】

200.0 150.0 100.0 50.0 0.0 ▲50.0 ▲100.0 ▲150.0 ▲200.0 ▲250.0 (%) Ⅰ Ⅱ Ⅲ 05 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 06 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 07 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 08 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 09 (年期)

【中小企業製造業】

200.0 150.0 100.0 50.0 0.0 ▲50.0 ▲100.0 ▲150.0 ▲200.0 ▲250.0 (%) Ⅰ Ⅱ Ⅲ 05 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 06 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 07 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 08 Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 09 (年期) 経常利益 売上高・価格要因 売上高・数量要因 変動費率要因 人件費要因 その他固定費要因

(20)

資金繰り

中小企業の資金繰りDIは、2009年1-3月期を底

として持ち直しの動きが見られるが、水準は依然

として低い。特に、小規模企業では厳しい状況に

ある(第1-1-23図)。

また、金融機関からの借入の難しさを示す中小

企業の借入難易度DIは下げ止まりつつあるが、

特に小規模企業で借入が困難である状況が分かる

(第1-1-24図)。

第 1-1-23 図

中小企業の資金繰りDI

資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 資金繰り DI は、前期に比べて、資金繰りが「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。 ∼中小企業の資金繰り DI は、2009 年 1-3 月期を底として持ち直しの動きが見られるが、依然として低水準∼ 中小企業全体 中規模企業 小規模企業 ▲ 40.0 ▲ 35.0 ▲ 30.0 ▲ 25.0 ▲ 20.0 ▲ 15.0 ▲ 10.0 ▲ 5.0 0.0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (DI) (前期比季節調整値) (年期) Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ

第 1-1-24 図

中小企業の借入難易度DI

資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 借入難易度 DI は、前期に比べて、金融機関からの借入難易度が「容易」と答えた企業の割合(%)から、「困難」と答えた企業 の割合(%)を引いたもの。 長期資金借入難易度・中規模企業 短期資金借入難易度・中規模企業 長期資金借入難易度・小規模企業 短期資金借入難易度・小規模企業 ∼中小企業の借入難易度 DI は、下げ止まりつつあるが、特に小規模企業で借入が困難∼ ▲ 25.0 ▲ 20.0 ▲ 15.0 ▲ 10.0 ▲ 5.0 0.0 5.0 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 (DI) (前期比季節調整値) (年期) Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ

(21)

倒産動向

中小企業の倒産件数は、2008年後半に増加傾

向が強まったが、2009年後半に入ると緩やかに

減少した(第1-1-25図)。

これは、「緊急保証制度」や「セーフティネッ

ト貸付」といった資金繰り対策等が一定の効果を

あげたほか、リーマン・ショック以降に急激に増

加した上場企業の倒産が2009年後半に一服した

ことによるものと考えられる。他方で、とりわけ

従業員数4人以下の企業の倒産件数は、依然とし

て高水準であり、小規模な企業を巡る環境が厳し

いことが分かる(第1-1-26図)。

第 1-1-25 図

中小企業の倒産件数

資料:(株)東京商工リサーチ「倒産月報」 倒産件数(左軸) 前年同月比(右軸) ∼中小企業の倒産件数は、2008 年後半には増勢を強めていたが、2009 年後半以降に緩やかに減少∼ 800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 1,500 1,600 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 05 06 07 08 09 10 ▲ 30.0 ▲ 20.0 ▲ 10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 (件) (%) (年月)

第 1-1-26 図

規模別及び上場企業の倒産件数

資料:(株)東京商工リサーチ「倒産月報」 ∼上場企業の倒産は、2009 年後半に一服したが、4 人以下の企業の倒産件数は、依然として高水準∼ 上場企業の倒産(右軸) 4 人以下(左軸) 5 ∼ 49 人(左軸) 50 人以上(左軸) 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 10 09 08 07 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 (件) (件) (年月)

(22)

こうした状況の中、2009年における我が国の

自殺者数は、2009年12月末の暫定値で前年を504

人上回る3万2,753人となっており、1998年以降

12年連続で年間自殺者数が3万人を超える水準で

推移している(第1-1-27図)。月次で見ても、こ

こ数年毎月2千~3千人の自殺者が発生しており、

特にリーマン・ショック発生後の2008年10月に

おいては、前年同月比で18.7%増を記録するなど

自殺者数は高い水準で推移している(第 1-1-28

図)。

第 1-1-27 図

自殺者数(年次)

資料:警察庁 HP、「平成 20 年中における自殺の概要資料」 (注) 2009 年の数値は 12 月末暫定値。 ∼ 1998 年から 2009 年まで 12 年連続で年間自殺者数が 3 万人を超える水準で推移している∼ 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 99 98 97 96 95 94 93 92 91 90 89 (人) (年) 32,753

第 1-1-28 図

自殺者数(月次)

資料:厚生労働省「人口動態統計月報(概数)」 自殺者数(左軸) 前年同月比(右軸) ∼自殺者数は、リーマン・ショック後の 2008 年 10 月に前年同月比で急増∼ 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 09 08 07 ▲15.0 ▲10.0 ▲5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 (人) (前年同月比、%) (年月)

(23)

このうち、小規模な企業の経営者の代替指標と

も考えられる自営業・家族従事者の自殺者は、こ

こ数年3千~4千人規模で発生している(第1-1-29

図)。

また、第1-1-30図は、「経済・生活関連」を理

由とした自殺のうち、自営業・家族従事者におけ

る自殺者数を理由別に示したものであるが、2007

年から 2008 年にかけて、「事業不振」や「負債

(多重債務)」等を理由とした自殺は増加してい

る。

第 1-1-29 図

職業別の自殺者数

資料:警察庁「平成 20 年中における自殺の概要資料」 (注) 2007 年に自殺統計原票を改正し、職業の分類が改められているため、2006 年までの数値について、「自営業・家族従事者」は 「自営者」、「被雇用者」は「管理職」及び「被雇用者」の合計、「無職」は「無職者」及び「主婦・主夫」、「学生・生徒」の合計を用いている。 自営業・家族従事者 被雇用者・勤め人 無職 不詳 ∼自営業・家族従事者の自殺者数は、3 千∼ 4 千人の規模で発生している∼ 3,858 3,700 3,567 3,278 3,206 8,547 8,941 8,790 9,154 8,997 18,937 18,975 18,956 19,863 19,251 983 936 842 798 795 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 08 07 06 05 04 (人) (年)

第 1-1-30 図

自営業・家族従事者における自殺の原因・動機

資料:警察庁「平成 20 年中における自殺の概要資料」 (注) 1. 自営業・家族従事者における自殺者数について集計している。    2. 遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに理由を推定できる自殺者数について集計しているため、自営業・家族従事者の 自殺者数の合計と一致しない。    3. 自殺の原因・動機を自殺者 1 人につき 3 つまで計上可能であるため、原因・動機特定者数の原因・動機別の和と原因・動機 特定者数は一致しない。 07 年 08 年 ∼ 2007 年から 2008 年にかけて、「事業不振」や「負債(多重債務)」等を理由に自殺する自営業・家族従事者数が増加∼ 24 783 8 3 111 358 21 395 27 48 29 14 826 6 1 104 368 22 359 22 47 48 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 (人) 倒産 事業不振 失業 就職失敗 生活苦 負債︵多重債務︶ 負債︵連帯保証債務︶ 負債︵その他︶ 借金の取り立て苦 自殺による保険金支給 その他

(24)

この結果は、現下の厳しい経済情勢が、事業不

振や負債を苦にした自営業・家族従事者の自殺を

増加させる一因となっている可能性があることを

示唆していると考えることができる。

こうした状況を踏まえて、政府は、2009年11

月に「自殺対策100日プラン」を、2010年2月に

「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を取りまと

め、関係省庁が一体となって自殺対策の強化を図

るため各種対策に取り組むこととした。

経済産業省としては、内閣府等との連携の下、

中小企業経営者向けに経営相談の充実・強化を図

るべく、①商工会・商工会議所等の経営安定特別

相談室における資金繰り、債務返済の相談対応、

②全国52か所の「地域力連携拠点」における「経

営者のための法律相談」、③中小企業団体

11

に対

し、多重債務相談に関する地方公共団体の相談窓

口との連携・協力の要請といった取組を実施して

いる。

この他、①景気対応緊急保証の実施やセーフ

ティネット貸付の延長・拡充

12

、②公的金融によ

る条件変更の目標の引上げ、③金融に特化したワ

ンストップの相談窓口として「中小企業金融合同

相談会」の開催(全国186か所)等の資金繰り対

策にも万全を期している。

さらに、各都道府県に設置されている「下請か

けこみ寺」(全国48か所)において、中小企業か

らの取引に関する各種相談に対し、弁護士が無料

で対応するなどの取組も実施している。

こうした自殺者問題を社会問題としてとらえ、

社会全体で自殺対策に取り組んでいくためにも、

政府が主導的な役割を担いながら、国民運動とし

て、自殺対策を総合的に推進していく必要がある。

相談事例

・過重債務による借金の返済問題を抱えていることから相談。主な支払いだけでも資金が不足してしまう状況の中、法 人部分は破産させ、個人部分は個人再生13を用いることにより自宅は残すよう指導を受けた。 (岐阜県 建設業、地域力連携拠点「経営者のための法律相談」にて相談) ・現在の債務が非常に厳しく、保証人に迷惑をかけないような廃業の方法を模索していたことから相談。弁護士から法 的整理・任意整理等に関する具体的なメリット、デメリット、費用、手順等について回答を受け、現実的な廃業の手 順が明確になったことで、再建に向けての意欲を持つようになった。 (大分県 酪農業、地域力連携拠点「経営者のための法律相談」にて相談) ・代表取締役として経営していた会社が倒産し、信用保証協会による代位弁済に伴い、その返済について相談。自宅任 意売却による信用保証協会への返済のアドバイスを受けるとともに、信用保証協会に同行して状況説明をしてもらった。  (兵庫県 製造業、商工会議所・商工会「経営安定特別相談室」にて相談) ・民間の金融機関にプロパーの融資14を申し込んだが、信用保証協会から既に相応の保証を受けており、断られたため 相談。公的金融機関からの追加融資を模索している。 (東京都 製造業、公的金融機関「中小企業金融合同相談会」にて相談) ・外部からの借入は行っていなかったが、売上減少により4期連続して欠損を計上し、資金不足となったことから相談。 公的金融機関からの資金調達を模索している。 (岐阜県 小売業、公的金融機関「中小企業金融合同相談会」にて相談) ・取引先に開発製品を納品したところ、「発注元の社内方針が変更になったため、納品物を返品し代金を支払わない。」 との通知を受けたことから相談。迅速かつ穏便に解決を図るため、裁判外紛争手続15(ADR)の制度を利用するよう アドバイスを受けた。 (東京都 情報サービス業、「下請かけこみ寺本部」にて相談) 11 日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会をいう。 12 詳細は、第1部第2章第2節第1項を参照。 13 個人債務者のみを適用対象とする簡易迅速な再生手続。 14 信用保証協会等の保証機関による債務の保証を受けない融資。 15 訴訟手続によらずに民事上の紛争を解決しようとする紛争当事者のために、公正な第三者が関与してその解決を図る手続。

(25)

設備投資

(株)日本政策金融公庫「中小製造業設備投資

動向調査

16

」によれば、中小製造業の設備投資は、

2009年度の修正計画(2009年9月)では、前年度

実績比 37.1%減と 1970 年度の調査開始以来、最

大の下げ幅を記録した。これまでの実績が、修正

計画と同水準に落ち着いていることを考えると、

2009年度の設備投資の実績も大幅に減少するこ

とが考えられる(第1-1-31図)。

16 2009年9月に「中小製造業設備投資動向調査(2009年4月)」の回答先10,015社を対象に実施したアンケート調査。回収率75.4%。

第 1-1-31 図

中小製造業の設備投資額(当初計画→修正計画→実績)

資料:(株)日本政策金融公庫「中小製造業設備投資動向調査」 ∼ 2009 年度の設備投資修正計画は、前年度実績比 37.1%減と、過去最大の下げ幅を記録∼ 当初計画 修正計画 実績 ▲50.0 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (前年度実績比、%) (年度)

2009年度の設備投資の修正計画を業種別に見

ると、設備投資額は、「紙パルプ」、「窯業」、「食

料品」において増加している又は減少幅が小さい

が、「非鉄金属」、「はん用機械」、「電気機器」等

の多くの業種においては、設備投資額が前年度実

績比で大幅に減少することが見込まれる(第1-1-32図)。

(26)

また、設備投資の目的では、「能力拡充」投資

が大幅に低下する反面、「更新・維持・補修」投

資が7年ぶりに最も大きな構成比になるなど、中

小製造業が積極的な設備投資を控えていることが

分かる(第1-1-33図)。

第 1-1-33 図

設備投資の目的別構成比

資料:(株)日本政策金融公庫「中小製造業設備投資動向調査」 (注) 2009 年度は修正計画、その他は実績。 能力拡充 省力化 新製品・新規事業・研究開発 公害防止 更新・維持・補修 省エネ その他 ∼「更新・維持・補修」目的の投資が 7 年ぶりに最も高い構成比になるなど、中小製造業は積極的な設備投資を控えている∼ 25.0 28.4 26.9 23.8 31.1 30.8 34.4 34.8 33.5 30.4 18.2 18.9 18.1 17.9 16.8 14.7 15.2 14.7 13.5 13.3 14.3 14.0 17.5 17.8 18.8 19.8 17.4 16.8 15.8 14.7 15.7 16.9 20.2 29.7 25.9 27.7 30.5 29.8 29.4 28.4 28.9 30.2 30.2 39.1 1.1 1.3 1.3 1.7 1.0 1.1 1.1 1.3 1.1 1.5 0.8 0.9 0.7 0.7 0.7 0.5 0.6 1.0 0.7 0.9 1.1 6.9 7.6 6.6 6.6 4.7 6.3 5.0 6.1 5.4 6.4 6.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 99 (%) (年度) 1.6

第 1-1-32 図

業種別の設備投資額(2009年度修正計画)

資料:(株)日本政策金融公庫「中小製造業設備投資動向調査」 (注) 横軸は、2008 年度実績による業種別構成比を表す。 ▲20.0 ▲40.0 ▲60.0 ▲80.0 0.0 20.0 40.0 (前年度実績比、%) 全産業 ▲37.1 その他 ▲31.3 プラスチック ▲37.2 印刷・同関連 ▲30.6 食料品 ▲3.2 木材・木製品 ▲42.8 繊維・繊維製品 ▲41.9 窯業 15.9 紙パルプ 21.5 化学工業 ▲35.4 輸送用機械 ▲47.9 電気機器 ▲57.4 業務用機械 ▲26.7 生産用 機械 ▲53.3 はん用機械 ▲68.0 金属製品 ▲46.6 非鉄金属 ▲69.8 鉄鋼業 ▲49.7 ∼設備投資額は、「非鉄金属」、「はん用機械」、「電気機器」を始め、ほとんどの業種で前年度実績比で大幅に減少することが見込まれる∼

(27)

雇用情勢

第1節では、有効求人倍率及び失業率が過去最

悪の水準を記録したことを見たが、ここでは中小

企業の雇用情勢を概観しよう。中小企業景況調査

の従業員過不足DIによれば、2009年1-3月期に全

産業で急速に高まった過剰感は、その後も解消さ

れるに至っていない。業種別に見ると、特に製造

業、卸売業、建設業で依然として雇用の過剰感が

強い(第1-1-34図)。

第 1-1-34 図

従業員過不足DI

資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 従業員過不足 DI は、今期の従業員数が「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。 ∼ 2009 年 1-3 月期に急速に従業員が過剰となり、特に製造業、卸売業、建設業で依然として雇用の過剰感が強い∼ 全産業 製造業 建設業 卸売業 小売業 サービス業 ▲10.0 ▲5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 10 09 08 07 (DI) (年期) (季節調整値)

完全失業率及び有効求人倍率が改善せず、従業

員の過剰感が解消されない中、我が国で雇用創出

を図るためには、創業を支援し起業を増加させる

ことが重要である。経済産業省では、創業を支援

するために、

①全国の商工会や商工会議所等において、創業に

向けて具体的な行動計画を有する者を対象に、

創業に必要な実践的能力を習得させる「創業

塾」

(約30時間の短期集中研修)の開催

(1999年度(制度創設)~2008年度末に延べ約

7万8千人が受講)

②(株)日本政策金融公庫が、新たに創業する者

又は創業して税務申告を2期終えていない者を

対象に、事業計画(ビジネスプラン)の審査に

より、貸付限度額1千万円、開業資金1/3以上

の自己資金を条件として、無担保・無保証人

(本人保証無し)での融資

(2001 年 7 月(制度創設)~2010 年 2 月末に累

計約7万2千件、約2,389億円を融資)

③全国の信用保証協会において、新たに創業をす

る者等を対象に、運転資金及び設備資金に対す

る保証制度として、自己資金の範囲内で1,500

万円を上限として支援する「創業等関連保証

(旧新事業創出関連保証)」と、1千万円を上限

とする「創業関連保証」を実施。

(1999 年 2 月(新事業創出関連保証創設)~

2010 年 2 月末の累計約 8 万件、約 4,710 億円を

保証)

を実施するなど、各種の起業支援策を講じてい

る。

(28)

輸出入

第1節では、我が国経済の先行きへのリスクと

して、円高の進行を取り上げたが、為替動向は中

小企業にどのような影響を与えたのだろうか。

(株)日本政策金融公庫「中小企業景況調査」に

よると、2009年を通じて、輸出を行う中小企業

のうち、円高によりマイナスの影響があるとする

中小企業の割合は半数近くに上った(第 1-1-35

図)。

また、2008年末以降、為替レートは対ドルで

中小企業の想定為替レートを越えて円高が進行

し、輸出を行う中小企業は収益を圧迫されたと考

えられる(第1-1-36図)。

第 1-1-35 図

円高の影響

資料:(株)日本政策金融公庫「中小企業景況調査」より作成 (注) 1. 対象は輸出を行っている中小企業。 2.「業種柄影響を受けない」と回答した企業を除く。 プラスの影響 マイナスの影響 相殺 3 ヵ月以内に影響 今のところ無し ∼輸出を行う中小企業は、2009 年を通じて半数近くが円高によりマイナスの影響を受けている∼ 5.0 5.4 5.8 8.6 8.0 6.0 6.2 6.5 4.4 7.9 5.3 6.1 5.2 6.6 6.3 6.2 4.6 5.0 5.2 5.5 4.5 4.7 6.7 4.5 4.2 4.3 30.8 30.8 26.1 30.8 35.2 35.5 36.3 35.4 36.4 32.5 32.7 38.8 43.4 50.0 53.8 52.7 48.8 49.5 49.0 46.5 45.3 46.0 48.1 49.7 44.3 51.6 47.4 7.5 8.6 10.1 5.7 6.5 8.5 7.7 8.7 9.7 7.9 5.3 5.6 3.6 8.0 7.7 8.5 7.7 7.0 7.5 9.0 5.6 6.8 6.3 6.7 8.0 5.1 7.6 7.0 10.4 7.2 10.0 5.5 8.5 5.6 5.4 6.3 7.5 18.2 10.1 10.4 6.1 4.8 3.3 4.1 4.5 5.2 6.0 6.6 7.3 4.2 10.8 7.0 4.2 5.7 49.5 46.2 44.5 40.8 42.9 47.1 43.9 32.5 34.8 30.7 25.5 28.5 33.2 34.0 34.5 35.7 34.3 37.4 35.4 35.1 31.4 34.9 35.1 2.4 49.7 49.8 45.1 30.7 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 10 09 08 (%) (年月) 40.5

(29)

物価

第1節において、日本経済が緩やかなデフレ状

態にあることを見たが、我が国の中小企業は、デ

フレによる影響を受けているのであろうか。中小

企業庁「規模別企業物価指数」によれば、2009

年以降の中小企業物価指数は、2008年の原油価

格高騰の反落の影響もあり、大企業物価指数と同

様に、前年同月比で下落していることが分かる

(第1-1-37図)。

第 1-1-36 図

規模別の企業の想定レート及び為替レート

資料:日本銀行 HP、「全国企業短期経済観測調査(短観)」 (注) 1. 為替レートは日本銀行が公表した月中平均値。  2. 大企業とは資本金 10 億円以上、中小企業とは資本金 2 千万円以上 1 億円未満の企業をいう。 ∼ 2008 年末以降、為替レートは対ドルで中小企業の想定為替レートを越えて円高が進行∼ 大企業・想定為替レート 中小企業・想定為替レート 為替レート 86 88 90 92 94 96 98 100 102 104 106 108 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 10 09 08 (円/ドル) (年月) 110

(30)

また、国内企業物価を素原材料、中間財、最終

財と需要段階別に示したものが第1-1-38図である。

これによると、素原材料価格が高騰しているにも

かかわらず、最終財価格は大きく変動せず、長期

的に下落傾向にある。これは、企業が、素原材料

価格の高騰を、最終財価格に転嫁することが困難

な状況に陥っていると推察される。

第 1-1-38 図

需要段階別の企業物価指数

資料:日本銀行「企業物価指数」 ∼企業は、素原材料価格の高騰を、最終財価格に転嫁することが困難な状況にあると推察される∼ 90 95 100 105 110 115 120 125 130 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 0 50 100 150 200 250 (2005 年=100) (2005 年=100) (年月) 最終財(左軸) 素原材料(右軸) 中間財(左軸) 3 1 5 7 9 111 35 7 9 111 35 7 9 1113 5 7 9 111 35 7 9 11135 7 9 111 35 7 9 111 35 7 9 111 35 7 9 111 35 7 9 1113 5 7 9 111

第 1-1-37 図

規模別の国内企業物価指数

資料:中小企業庁「規模別国内企業物価指数」 (注) 大企業物価指数及び中小企業物価指数は、日本銀行「国内企業物価指数」の品目ウェイトに、経済産業省「工業統計表」の品目 別の大企業(従業員 301 人以上の事業所)及び中小企業(従業員 300 人以下の事業所)の製造品出荷額の割合を乗じて規模別 の品目ウェイトを作成し、各品目の国内企業物価指数を加重平均したものである。 大企業物価指数 中小企業物価指数 ∼中小企業物価指数は、大企業物価指数と同様に前年同月比で下落∼ ▲15.0 ▲10.0 ▲5.0 0.0 5.0 10.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 10 09 08 (前年同月比) (%) (年月)

(31)

次に、日銀短観を用いて大企業と中小企業の価

格転嫁の度合いを見ていく。第1-1-39図が示すよ

うに、中小企業の販売価格DIは長期的に低迷し

ている。また、中小企業は大企業と比べて価格転

嫁の度合いを示す販売価格DIと仕入価格DIの差

が大きく、仕入価格の高騰及び販売価格の下落に

よって収益が圧迫されていることが推察される。

第 1-1-39 図

規模別の仕入価格・販売価格DI

資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」 (注) 1. 販売価格 DI は、前期と比べて、回答企業の主要製商品の販売価格又は主要サービスの提供価格が、「上昇」と答えた企業の 割合(%)から、「下落」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。    2. 仕入価格 DI は、前期と比べて、回答企業の主要原材料購入価格(外注加工費を含む)又は主要商品の仕入価格が、「上昇」 と答えた企業の割合(%)から、「下落」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。 大企業・販売価格 DI−仕入価格 DI 中小企業・販売価格 DI−仕入価格 DI 大企業・仕入価格 DI 中小企業・仕入価格 DI 大企業・販売価格 DI 中小企業・販売価格 DI ∼中小企業は、大企業と比べて仕入価格の高騰と販売価格の下落によって収益が圧迫されていることが推察される∼ ▲80.0 ▲60.0 ▲40.0 ▲20.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (DI) (年期)

デフレの影響の有無、程度、原因・理由を業種

別に分析するために、(独)中小企業基盤整備機

構と全国中小企業団体中央会が、2009年11月下

旬から12月初旬に実施した「中小企業の製品等

の価格と雇用の動向に関する調査

17

」の結果を見

ていく。第1-1-40図によると、業種にかかわらず、

約7割の中小企業が主力製品等の単価が前年比で

「下がっている」と回答しており、デフレの影響

が中小企業にも及んでいることが分かる。

17 都道府県中小企業団体中央会の会員組合に所属する5業種(製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業)の中小企業各100社、合計500社を対象に実施し たアンケート調査。回収率100%。

(32)

第 1-1-40 図

主力製品等の単価変動(2008年比)

資料:(独)中小企業基盤整備機構・全国中小企業団体中央会「中小企業の製品等の価格と雇用の動向に関する調査」(2009 年 11 月 ∼ 12 月) 上がっている 変わらない 下がっている 無回答 ∼中小企業の約 7 割は、主力製品等の単価が前年比で「下がっている」と回答∼ 1.1 6.5 9.4 6.1 4.9 5.6 28.4 23.4 20.8 22.2 33.0 25.6 69.5 70.1 67.7 69.7 61.2 67.6 1.1 0.0 2.1 2.0 1.0 1.2 0 100(%) サービス業 小売業 卸売業 建設業 製造業 全産業

次に、主力製品等の単価の低下割合を見ると、

特に小売業で単価が前年比で10%以上低下した

とする企業が半数を超えるなど、デフレの影響が

顕著である(第1-1-41図)。

第 1-1-41 図

主力製品等の単価の低下割合(2008年比)

資料:(独)中小企業基盤整備機構・全国中小企業団体中央会「中小企業の製品等の価格と雇用の動向に関する調査」(2009 年 11 月 ∼ 12 月) 20% 以上 15% 以上 20% 未満 10% 以上 15% 未満 5% 以上 10% 未満  3% 以上 5% 未満 3% 未満 無回答 ∼特に小売業で単価が前年比で 10%以上低下したとする企業が半数を超える∼ 14.7 6.2 7.2 6.3 7.4 10.6 16.0 6.2 11.6 9.5 10.9 13.6 24.0 16.9 15.9 11.1 16.6 27.3 26.7 38.5 26.1 38.1 31.1 36.4 12.0 23.1 29.0 23.8 24.6 10.6 5.3 9.2 7.2 11.1 8.6 1.5 0.9 0.0 2.9 0.0 1.3 0.0 0 100(%) サービス業 小売業 卸売業 建設業 製造業 全産業

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