NII-Electronic Library Service
エ
コ
デ
ザ
イ
ン
と
材 料
一 材料計 画
か ら の ア プ
ロ
ー
チ
Ecological
Design
and
Materials
−
Approach
from
Materials
Planning
View
Point
青 木
弘行
AOKI
Hiroyuki
千 葉 大 学 大 学 院工学 研 究 科
Design
Science
DMsion,
Graduate
School
ofEngineering
,
デザイ ン科 学 専 攻
Chiba
University
1 .
材 料 に よ る問
題解
決人 工 物 に 代 表 さ れ る モ ノ を デ ザ インす る た め に は 材 料 が 必
要
と な り、
モ ノ の形 態
や構 造
、
機 能
は そこ に使 用
され
る材 料
に よっ て規 定
される こ と にな
る。
使
用 する材 料
が変
わ れ ば その性
質
も異 な
るた め に、
モ ノが 果 た す機 能
は自ず
と変化
せざ
る を 得 な い。
こ の こ と は、
モ ノ のデ ザ インに は、
材 料に関 す る さ まざ
ま な体 験
や知 識 が 必
要 不 可欠
と な ること を意 味
し ている。
と こ ろ で
、
デ ザ イン行 為に おい て さ まざま な材 料の可 能 性 を検討
す る 場合
に は、
デザ
イン対象
が すでに決
まっ て い る 場 合 と決
まっ て い ない場 合の 二つ を 想 定 す る 必 要 が あ る。
デ ザ イン対
象
が すでに 決 まっ ている場 合 に は、
(
1
)
その内 容 を 実 現 す る た め に 最 適 な 材料
や代
替材 料
適 用の可 能性
を検 討
する 場 合 と、
これ と は 逆 に、
最
適 な材 料
が 存 在 し ない場合
に は、
その内容
に 合 わ せ た新
た な材 料
を創
り出
して い く場 合
の 二通
り に 分類
する こと ができる。 こ れ ら両者
は、
材 料
がヒ ト の生 活に どのよ う に 有 効 に利活 用
で きる のか、
換 言
す れ ば、
そ の価 値
づ けを行
う行為
であ
る ために、
デザ
インオ リエ ンティ ッド・
ア ブ ロー
チ と し て位
置 づ け ることができ る。
これ に
対
して、
科学 技
術 の成
果 を背
景 と して新
た に 開 発 さ れ た新 素 材 を 対 象とす る 場 合 に は、
その素 材 が どの よ う なモノ に応
用 で き る か を検 討
す る こ と に な り、
素
材 が 有 して いる 卓 越 し た 機 能 や 性 能 を よ り 積 極 的 に 活 用 して い くこ と が 要 求 さ れる。 こ の よ う にモ ノの内容
が 決 まっ ていない場 合 に は、
素 材の観 点 か らモ ノの 創 出 可 能 性 を検 討
してい くこと に な る た め、 マ テ リ ア ルオリエン ティ ッ ド・
アプロー
チ と い う こ とがで きる。ど ちら の アプロ
ー
チ も 「適 材 適所
」 と いう考
え方
がそ の基 盤
にあ り、
モ ノ を実現
す る デザイ ン行 為のなか で重
要 な 位 置 を 占 め て い る[
1
]
。2
.
材 料 計 画 と
いう視 点
材 料 科 学 (
Materials
Science
)
の領
域 に おい ては、
金 属
、 セ ラ ミックス、
プラ スチックスな どの各 種 材 料
を対 象
と し て、
固 有 特 性 (形 態 的 特 性、
物
理 的特 性
、
化 学
的特性 )
の探 究 や
その 向 上 策 が 検 討 さ れて い る。 し か し ながら、
デザイ ン の領 域に お い ては、
モノの構
成要 素
である材 料
それ 自体
を、
単 な
る物 質
と い う次
元の み で取
り扱
って い て は自ず
と限 界 が生
じて く る。
物質
と い う次元 と同時
に、
モ ノ を使
用 する ヒトやモ ノが 使 用 さ れ る環 境 との関 連 に おい て材 料 問 題 を 検 討し て いか ない と、
問題 解 決の糸
口 を 見いだ すこと ができ ない。
換 言
す れ ば、
材 料特 性
を [
モ ノ・
ヒト・
環 境 ]
の 三者 間
に介 在
す る インタ
フェー
ス と して位
置 づ け、
ヒ トや 環境
の視 点
か ら有 機 的 かつ総 合 的 に 把 握 して いく姿 勢が 必
要 と な る。
デ ザ インにお け る 材 料 問 題 を 体 系 的 に 把 握 し よ う と する こ の よ う な枠
組 み は、
材
料 計 画(
Materials
Planning
) とい う名 称
で表 すこと が で きる [2
]。
そ して、
この材 料 計画
という視 点
に 立 脚 す る と、
材 料 が 有 する歴 史 的 意 味 合いや、
社 会 的、
経 済 的、
生 理 的、
心 理 的特性
な ど を、
工学 的 諸特 性
との関 連
におい て検 討 してい くことにな り、
デザイ ン と技 術の か か わ り を材 料
を 通 して捉
え 直 すこと に なる(
図
1
)
。 エ コ デザ イン と関連
さ せ ると、
新 技 術
や各 種
理論
を応
用し たエ コ マ テ リア ルの開 発 や用 途 開 発
、
材 料 特性
に配 慮
した廃 棄 物 処
理 問 題 や 資 源・
環境
保 全 問 題な どは、
材 料
計 画とい う視
点が欠 如 して い る と 解 決 す る のが困 難
で あるといっ ても 過 言では ない[
3
]
。
本 稿
に おいて は、
材 料 計 画 という 視 点 か らエ コ デザ インに関
して検 討 し た 事 例の一
端 を 紹 介 する。
使 用 開 発 設 計 図1
選 択 環 境 廃 棄1
歴史的 性
社会
「
材 料 計画の枠組み18
デ ザ イン掌 研 究特集号specieL issue ofjapanese society fOrthe science ot design
Vol
.
18−
3No
.
712011NII-Electronic Library Service
3 .
環 境
負
荷 改
着
策
の検 討
環 境にや さ しいという キー
ワー
ドのも と、
資 源・
環 境 保 全 に 向 け た様
々 な 方策
が検討
さ れて いる。
し か し な が ら、
何 が どの よ うにや さ しい のか を 問 題 に する場 合、
あ る一
つ の側 面だ け を 取り上 げて判
断 する こ とがで き ない こと は 自 明である。
換
言 す れ ば、
原 料
の採 取
か ら材 料
の製
造 加工→製 品
の加工 → リサ イ ク ル→ 廃棄
に至る トー
タ ル な視 点
に立脚
し た議 論
がな さ れ な い と、
問 題 の本 質
を 見落
と すこ とにな
る。 環境
領域
● 環 境
か ら製 品
への投 入
物 質 エネルギー
水 固 形 廃 棄 物 固 形廃 棄物 図2 製品のラ イフ サイクル品
か ら環 境
への排 出
大 気 汚 染 物 質 水 質 汚 染 物 質 固形廃 棄物 廃 熱 副生成 物 丿サ イクルの種 類 Material Recycle(1st) Materia[ Recycle {2nd) Chemlcal Recycle Thermal Recycleこの よ う な
、
製 品 の ラ イ フ サ イ ク ル(
図2
)
に対
し て トー
タ ル な視
点 か らア プロー
チ し よ う と す る 試 みの一
つにLCA
(
Life
Cycle
Assessment
)
と い う手 法 が ある。
こ の手 法 は、
(
1
)
製 品 間
で の比較
を目的
と した[
環 境 負 荷 評価 ]
と、
(
2
)
影 響の大き な負荷
要 因を特
定し、
そ の要 因に対し て負荷 低
減 策
を検 討
す る[
改 善 分析 ]
と に大別
する こ とがで き る。前 者
におい て は、
排 出
される汚 染
物 質種 (
i
)
に対
して、 そ の排 出
量(
ai)
に環 境
へ の影 響 度
を 考 慮 し た重
み付 け係 数 (
bi
)
を乗
じ た総和
量Wie
=
Σ(
aixbi)
の 比 較 に よ り、
負荷
の度 合
いが 評価
される。著 名
な重
み付
け係
数 と しては、
環境 負 荷
ユ ニ ッ ト(
ス ウェー
デ ン)
、
エコ フ ァク ター
/ 限 界 値 (ス イ ス)
、
限 界 係 数(
ドイ ツ)
、
環境
基準 (
日 本 ) な ど が ある。
これ に 対 して、
僕 者の改 善 分 析 は、
ラ イフサ イ ク ル に お け る汚 染物 質 排 出過 程
が複 雑
す ぎて、
満
足 な評 価
手法
が確
立 さ れて い ると はい い難い。
そ こ で、
飲料 容
器を ケー
ス ス タ デ ィ と し て、
改 善 分 析
に向
けた手 法 構築
を試
みた。3
.
1
環境
影響
量の股定
評
価
手法 構築
に際
し て は、
そ の前 提
とし て、
汚染物 質 排 出過
程に お け る複雑
さ の度 合
い を定 量化
し てお く必 要 が ある。 そ こ で、
個
々の負荷 要 因
にお ける排 出
量の割 合pi
=
ai/
t
(
t
は全 汚染 物 質 排
出量)
に 情 報エ ン トロピー
の概 念 を 適 用 す る と、
改 善 策 を 検 討 す る 際 に 必 要 と なる負 荷 要 因 数 はHie=一
Σpi
’092pi一
つの負荷
要 因 に よっ て どの程 度の改 善 が 期待
できるか という 改 善 期 待 量はEie
;
Σ〔
pixai
)
と表
すこ と が で き る。
し たがっ て、
こ れ ら両 者の比の値 は、
1g
当
たり
の汚染 物 質量 を改 善 す
るた
め に必
要 と な る負 荷
要 因 数 を 表 すこ とに な り、
すべ て の汚染 物 質
排 出 量 を 改 善 す る た め に必 要 と なる要 因 数 は
Die=
(Hie
/Eie
)×t
と 表 すこと ができる
。
このDie
値 は 環 境負
荷 に 対 する改 善の し や す さ を 表 してお り、
環 境への影 響 度 を 意 味 す る 重 み 付 け 評 価 値 (Wie
) と は 異 なっ た 特 質 を 有 して いる。
し た がっ て、
よ り 総 合 的 な 観 点 か ら環 境負
荷 を 評 価 す る 場 合 に は、
これ ら 両 特 性 を 考 慮に 入れ た 指 標 [環 境 影 響 量 ]Die
xWie
の設 定
が必 要
と なる。3
.
2
環 境 負荷 改善 策
の検 討
設 定
した環 境 影 響 量
を構 成 す
るDie
値 (
縦 軸 )
とWie
値 (
横
軸)
を用いて、
ど の よ う な環境 負 荷 改 善
策が必 要となる の か、
飲料 容
器製 造
の際
に生
じ る大 気
お よび水 質 負 荷
に対
し て検 討
し た 結 果 を 図3
に 示 す。
布 置 さ れ た 結 果 よ り 改 善 策 を 検 討 す る と、
↑
Φ δ↓
抑 制く一一一
Wie
値一一一
レ 回 避巨 ヨ
プ ラ ス チ・
ク 朴 ・■
ス チー
・缶■
… ク … ラ ミ・圃
駒 ク ・・ ル・ラ・・鬮
ア ル ミ 缶匚コ
… ぴ ・ A :大気負荷 W:水 質 負 荷 図3
環 境 影 響 量 に よ る 飲 料 容 器 製 造の改 善 策 デ ザ イ ン 学 研 究特 集号sp
i釦issueotiapanese
society
torthe
seience
Ot
deslgn
Vol
.
18−
3 No.
71 2011NII-Electronic Library Service
(
1
)
回 避策
:Wie
値
が 大き い場 合は環 境に大 き な 影響
を及ぼして い る た め に
、
リサ イ クルや
リユー
スを導
入す
るこ と によっ て既
存
のプロ セ ス を回避
する(
2
}
抑 制
策 :Wie
値
が 小 さい場合
は 環境
への影 響度 が 小
さい の で、
既 存 プロセス の効 率 化 を 図 ること に よっ て排出
量 を さ ら に抑 制
する(
3
)
変 更 策
:Die
値
が 大 きい場 合
は負 荷 要 因
の改 善
が困難
である こ とを 意
味
し て い るため に、
既存 プロ セ スを 別のプロセスに
変 更
する〔
4
〕
処理策
:Die
値
が 小 さい場 合は負 荷 要 因 が 改 善しや すい こと
を意 味
しており
、
無 害 化処 理
プロ セ スを追
加す
る な どし て 汚
染 物質
の無 害 化を さ ら に促
進 する と いっ た4
種 類
の基 本 改善 策
が浮
かび 上 がっ て く る。
し た がっ て
、
当該
の 飲料 容
器 が 図3
のど
の 領域
に 布 置 さ れ て い るか によ り、
環 境 負 荷 改 善 策 を 考 慮に入 れた飲 料 容 器の設 計 指 針 を 導 出 す ること が 可 能 と な る。
LCA
は 製 品の ラ イフ スタ イ ル を 対 象 と して構 築 さ れ た 手 法 で、
そのデー
タの算 出 根 拠 は [エネ ルギ
ー
消 費 量、
大 気 汚 染 物質
排 出 量、
水質
汚染
物質
排 出 量、
固
形 廃棄 物 排 出
量]
とい う4
つ の指標
である。
しか し な がら、
デザ イン とい う観 点
か ら する とこ の4
指標
の み で評価
する ことは不十
分である。製 品
の安
全性
や 生 活科
学技術
、
コ ス トやニー
ズ な ど、
経 済
的、
機 能
的、
文化
・
社 会
的側 面
を も考慮
に 入れ た、
よ り総 合 的
な指標
が 必要
と な る こ と は い う ま で もない[
3
]
。4
.
台 所 用 洗 剤 容 器
の検 討
包装 容
器 は、
その使 命
を負
え る とす ぐ に ゴ ミ と 化 す 短寿
命 製 品であ る。
した がっ て、
パ ッケー
ジ デ ザ インを 行 う 際 に は、
[
無 包 装 化、
簡 易 包 装 化、
容 器の圧 縮 化、
容 器の大 型 化 と詰 替 用 包 装、
過 剰 包 装の廃 止、
繰 り返 し使 用]
とい っ た3R
(
Reduce,
Reuse
,
Recycle
) を 考 慮 し た 設 計 指 針 が 検 討 さ れている。
この 設 計 指 針 を 受 けて
、
家 庭 用品
に おい ては詰
め替
え を前 提
とした製 品
が数 多
く提 案
され
て いる。 し か しなが
ら、
詰
め替
え製
品に は、
使
い勝 手や異 種液
体 混 合に よ る危
険 性 などが 指 摘 さ れて おり、
これ ら の欠 点
を克
服 す る 目的
で、
[
カー
ト リッジ 容 器の使
用、
量 り売 り、
リ ター
ナブ
ル 容 器の使 用、
詰 め 替 え 用 容 器 の使
用]
といっ た 方法
が 検 討 されている。
前2
者 は すで に 実 用 化に至っ て い る が、
後2
者 は 未検 討
の 段 階 に ある。 こ こ で、
内
容物
を 洗 剤 に 限 定 す る と、
リ ター
ナブ
ルの実現 可 能性
は極
め て低い。
そこ で、
詰 め 替 え 用 容 器 を そのま ま使
用 する台
所 用 洗 剤 容 器の設 計 を 試みた。
検討
に際
しては、
ニー
ズ[
購
入時
:使用 時
に残
量が
わ か る/
商
品 とし て の陳
列 可能性
、
使
用 時 :片 手で スポ
ンジを 持っ て使 用 可能 /
700
回程 度
の使
用 に 耐 え ら れ る、
廃棄
時 :体 積 を 小 さ20
デ ザ イ ン 学 研 究 特 集 号sPeciel issue otjaPanese amidy tDrthe sc嚠6nce of design
Vol
.
18−
3No
、
71 2011 く で きる (減 容 化)
] と、
これ ら に対 する デザイ ン要 件 [購入時
:内 容 量
が直感 的
に把 握 可 能 / 自
立可 能
、使 用 時
:量の調
整 が片 手
で容
易に で き る/丈 夫
な構 造
、
廃 棄 時
:減 容
しや すい構
造]
を 設定
し た。 これと同時
に、
使
用材 料
は詰
め替
え 用容
器材
料の 中で エ ネ ル ギー
消 費 量と二酸 化 炭 素 排 出 量の少 ないパ ウ チ フィル ム を 採 用 すること と した。
容器
形状
の検 討
は、
予 備 的検 討
の結
果、
底面
3
種 類 [
正 方 形(
一
辺80mm
>、
六 角 形 (一
辺40mm
)
、
長 方 形 (120x80mm
)]、
蛇腹
段 数5
種 類 [
4
〜8
段]
の機 能
モ デル を 試作
し、
座屈
と ね じり座 屈 実 験 を 行っ た。
そ の結 果、
安 定 性 や 弾 力 感に問 題 が なく
、
微 調 整 可能
で耐 久性
が あ り、
厚
さ が気
に な ら ない6
段 / 長
方 形 が 最 適条 件
である こと が 判明 し た。
そ こ で
、
図
4
に示 す機 能
モ デ ル2
種 類
を考 案
し、
使 用 実 験
を 行っ た。
そ の結
果、
モ デ ル2
に おいて、
洗 剤 が
見 え る の で 量 が 把 握しや すい、
注 出 ロ 付 近が汚 れ ない、
手の 甲 を 使っ て押 すこ と ができ るの で使いや すい といっ た、
モ デ ル1
で指 摘 され た 欠 点 を 克 服で き ること が 明 ら か と なっ た [4
]。
図4
機 能 モ デ ル5 .
包 装
用
緩衝 材
の検 討
包 装 用 緩 衝
材
を開発
する際
に は、
[
保 護 機 能
・
輸 送 性
・
商
品 性・
環
境 適性]
な どが検 討
さ れ る が、
これ ら要 因 問の 関 係は明 一 _糧
NII-Electronic Library Service
確
で あ ると はい い難
い。 そこ で、
現状
の包 装
用緩 衝 材
の種
類、
特 徴、
問 題 点 などを 構 造モデル によ り検 討 す ると、
(
1
)
環 境 適 性 を 改 善 目 標 と する場 合 に は、
同 時 に[
経 済 性、
作 業
性、
保 護 性 ] を 考 慮 す る必 要 が あ る環
境 適 性 を 向 上 させ るた めには、
[使 用 量の削 減、
梱 包体
のコ ン パク ト
化
、
リター
ナ ブ ル化
、
廃棄
処 理性
、
リサ イ クル性
に
優
れ た材 料
の選 択、
製 品 条 件、
物 流 条 件]
を 把 握し、
設計
条 件
に反 映
さ せる包 装 材
の使
用量 削 減 や 輸 送 /保 管 性
は[
環 境 適 性
、経 済 性
、
作 業 性
]
を向上 さ せ る が、
反 面、
保護 性 (
緩 衝性 )
を低 下さ せる とい った知 見 を 得 るこ と がで き る。
そこで
、
これ ら の 知 見 を踏 ま えて、
現 行の緩 衝材 事
例 を 対 象 と して、
問 題 点 を 改 善 す る た めの対応
策 や改 善
目 標 を整
理 す る と 図5
のよ う に 表 すこ と ができ る。 こ の 図から 分か るこ と は、
緩 衝 材の主 目 的で あ る 保 護 性 (緩 衝 性 )と環 境 適 性とが 両 立で きて いない こと に ある。
そ して、
こ の問 題 点 を克
服 するた め に は、
以 下の2
点 が 重 要 と な ること が 理 解でき る。
図5 環 境適性と緩衝 性 両立のた めの改 善 策 達 用(
1
泡 装 材 使
用 量削 減
と緩 衝 性
の両 立使 用 量 削 減 は [経 済 性
、
作 業 性、
環 境 適 性]
を 向 上 させる が、
[
保 護性 (
緩 衝性 )
]
を低
下 さ せ ると いう相
反 す る特 質
を 有 して い る。
した が っ て、
この問 題を改善
する ためには、
使 用 方 法の 「リ ター
ナ ブ ル 化 」 が 有 効 策 と な る。
繰 り返 し使 用 を 可 能 と す るこ とで使 用 量の大 幅 削 減が期 待で き、
衝 撃 吸 収 性 を 維 持 可 能 な 材 料 を 選 択 す ることに よ り、
両者
の両立
が 可 能とな る。1丿サ イ ク ル 性
・
廃棄
処 理 性 と 緩 衝 性の両 立[
保 護性 (
緩 衝 性 )]
の良 さ と[
リサ イ ク ル性
・
廃 棄処
理性 ]
の良 さ を両
立 させ る緩 衡 材
は現存
し て いない。 し か し ながら、
グラ スウー
ル という 素材
に着
目 すると、
空 気層
による緩衝 性 能
が 期待
できるだけ でなく、
高
回収 率
のガラ ス瓶
と同じ組成
を持 つ こと から リ サ イクル性
の問題
も克服
で きる。そ こ で
、
こ れ ら の条 件
を踏
ま え て、
緩 衝 材
の設 計を試 みた。
5 ,
1
リタ
ー
ナ ブ
ル緩衝 材
リ
タ
ー
ナブ
ル緩 衝 材
の改 善
要 因として、
[
回 収 や 積 み重
ね 時 の形 状・
機 構 等の 工 夫 ユがポ
イン トとな り、
解 決 策の一
例 と し て、
形 状 記憶 樹
脂 の 採 用 が考
え ら れ る(
図6
)。
形 状 記 憶 樹 脂 には 様々な 種 類 が あ る が、
衝 撃 吸 収 性 能に優 れ る とい う 点で、
ポ
リエ チ レンと シ クロペンタ ジエ ンか ら 得 ら れ る ノ ル ボ ル ネ ン・
ポ リマー
〔室 温 状 態で任 意の形 状 を保
ち、
40
℃ 以 上の温 度 範 囲で弾 性 率 が 大 き く低 下 し形 状 が 復 元 ) が 候 補 と なる。
加 熱◇
成 形 形状 記憶樹脂合
… 矩 収や
解 梱・
加 熱◇
冷 却 固 ・国
Q
や
儲 輸 送一
」
昌
L
▲
亠
図6 形状 記 憶樹 脂を利用し た リター
ナブル緩 衝 材一
方、
回 収の し易 さに配 慮 す ると、
図7
に 示 す 緩 衝 材 を 提 案 す ること がで き る。
緩 衝 材 に は、
繰 り返 し使 用 に 対 す る 耐 久 性 の高い低 発 泡 倍 率 樹 脂(
EPS
:発 泡ポ
リスチ レン、
EPE
:発 泡ポ
1 丿エチ レン、
EPP
:発泡 ポ
リ プロピ レンな ど)
を使
用 し、
緩 衝 材 同 士 をス トッパー
付 き 巻 き込 み 式ベル ト/
ひもで連 結 す る。
これ らの緩 衝 材 を 経 済 的 に 適 し た もの とするた め に は
、
繰
り 返 し使 用 を 可 能 と する性
能 を 持 た せ、
使 用 回 数
を増
や し た り回
収率
を 向 上 さ せる こと が 必 要 と なる こ と は い う ま でも ない。 輸送 時 図7 回 収のし 易 さ に 配 慮 し た リター
ナブル緩衝 材 回収 時 デザイ ン学研究特集号spocial issue otjapanese society forthe sc
)
ence et deslgnVol
.
18−
3 No、
71 2011NII-Electronic Library Service
5
.
2
グラ スウー
ル製 緩
衝 材グ
ラ スウー
ル の製 造 / 廃 棄 処
理費 用
は、
ポ リスチ レン の約
1
/4
、
段
ボー
ル の約
1
/2
で、
経 済 的
に優
れた材 料
で ある こと が指摘
され
て いる。 そこ で、
空気 層
を含
ん だ構 造
が衝 撃 吸 収
を可
能にする という仮 定の も と、
緩 衝 性 能に関す る衝 撃
圧縮 実
験を行
っ た。検 討
は、
実 際
の製 品包 装 (
テレビ)
を想 定
して、
対 象
重 量10
/ 形 状
40
×40
×40
と し、
緩 衝 保 護 形 態 は8
ピー
ス コー
ナー
パ ッ ド と した。
な お、
比較
のた め に緩衝 材
と して多
用 さ れて いるEPS
の検 討 も 合 わ せて行っ た 〔図8
)。
口
EPS グ ラ ス ウー
ル EPS と同 受 圧 面 積 100 100△ 勁國
團
グラ ス ウー
ル EPSと 同重量∈
彡
鬱
503x 100 (E 製 品 緩 衝 材 {8ピー
ス コー
ナー
パ ッド》 製 品 形 状 40x40x40 m品 − 量 10 Sを100と し た 場 し鬮
自
1DO 42x42x國
目
空 間 容 積 率 使 用 重 量 使 用 容 積 耐 圧 性 図8 実製 品を 想定し たグラ スウー
ル とEPS の比較そ の
結 果
、
(
1
)
EPS
と同 受
圧面 積
の場 合
は、
空間 容 積 率
は半
分近 く に縮 減さ れ るが、
重 量 が 約5
倍と な る こ とや 厚さが薄
い こ と に起 因
する内容物
の底つ き が懸 念
され
る結 果
と なっ た。
こ れ に対
し て、
〔
2
〕
EPS
と 同重 量
の場 合
は、
空
間容 積 率
は等
しい も の の、
使
用容
積が さ ら に縮
減される という 結 果と なっ た。
こ のこと よ り、
実際
の 使 用 を 想 定 し た 場 合 に は その厚 さ を5 〜8
とす るこ と が望 ま し く、
さ ら に は密 度の調節
や 受圧面 積 を 広 く す る 必 要 が あ ること が 示 唆 さ れ る [5
]。
5.
3
減容 性
と作 業 効 率 を両
立 さ せ る包 装 用
エア バ ック
市
場 調 査、
文 献調査、
特
許 調 査 から包 装用緩 衝 材に求め ら れ る要件
を検 討
する と、
減 容 性
と作 業効 率
が2
大
要 因であ
る こ と が 明らかとなる。
そ こ で、
(
1
機 能性
を損
な う こ と な く、
(
2
)
包 装
材
と し て使
用しな
い場合
に は極 力減 容
で き、
な おかつ、
包 装
作 業 性に優 れた (可 能 な 限 り少 ない操 作で包 装 可 能 )パ ッケー
ジ
を検 討
し た。
使 用 材 料と しては
、
前 述し た内 容 を 実 現 す る 目 的で、
環
境性
能 に 優 れ たポ
リエチレ ン フィル ム と し た (厚 さ :0.
02 、
0
.
04
、
0.
06mm
の3
種 類 )
。
フィル ム を 用い て緩 衝 機 能
を実 現
するた め には、
エ アパ ック 構 造 が 考 えられる。
そ こ で、
エ ア パ ック 内部
の空気
を 包装 物
重 量 に よって移 動
さ せる ア イ デ アを考 案
し〔
図22
デ ザ イ ン学研 究特 集号special issue oflapanese society torthe sclence et design
Vol
.
1β一
3 No.
71 2011 図9
エ アバック を 使 用 し た 緩 衝 機 構と内 装 用エ アバッ ク9
)
、
厚 さ0
.
04mm
の フィル ム2
枚
を 重 ねる こ と に よっ て適度
な強 度
と柔軟 性
が実 現
でき
るこ とを見 出
した。
図
9
は、
エアバ ック
を容
器内 部
に使
用(
内装 )
す ること を 想 定 し た提 案で、
容
器 下 部に設 置 し たエア バ ック 容 積 は 上 部のそ れ よ り 大 き く、
両者
は 逆 止 弁 のつ い た シー
ト状 チュー
ブ
で連 結 されて いる。
これによ り、
容 器 下 部のエ アバ ック に包 装 物 を 置 くことで空 気 が 移 動 し、
上部
エアパック が 膨 ら むこと に な る。 こ の構造
を採
用 する こ と によ
り、
包 装
過程
を単 純 化
す るこ とが で き、
包装
の た め の労 力と時
間を 大幅
に低 減
す る こ と が可 能と なる。一
方
、
図10
は、
エア バ ック を 外装
用と して使 用 し た 事 例で あ る。 その構
造 は複 数
のチュー
ブ
状空 気 室
を 連 結 し、
持 ち 手 を 付 け た 構 造 と なっ て い る。
個 々の空 気 室 は 弁で連結
し てい るた め に、
ビン のよ う な 形 状 に も容 易
に追従
する。 ま た、
商 品
を包
装 する動作
が持
ち 手 を掴
んで運ぶ動 作
を兼
ねて い る た め に、1
回の動 作で必 要 な工程 が 完了 す る。 比較
的単 純
な構
造で あ る た め に、容易
に空 気 室
を増 減 す
ること ができ
、
多様 な包 装 形態
に 対 応す る こ とが可能である。従 来
の緩 衝 材
で は、
使
用 してい ない時
に減 容
す ること が 困 難 一 _紐
NII-Electronic Library Service
緲 飄 覊 羈 璽、
大
会概
要集
、
406
−
407
、
2006
5
) 青 木
弘行
・
久 保 光徳
・
寺 内 文雄
・
大塚
剛・
鈴 木 邁 :環
境 適性
を考 慮 した 包 装 用 緩 衝 材、
デ ザ イン学 研 究 特 集 号、
4
、
3、
16−21、
1997
6
) 寺 内 文 雄・
藤 井 史 雄・
久 保 光 徳・
青 木 弘 行 :作業
効率
と減
容 性 を 考 慮 し た 包 装 用エ ア バ ッ クの提 案、
第54
回 研 究 発表
大 会 概 要 集、
356 −357 、2007
7
)
山 本 良一
(編 著 ):エ コ マテ リアルのすべ て、
日本 実 業 出
版 社、
22
−
23
、
1994
図10
外装 用エ アパック であ る。
上 記二つ の提案
は、
緩 衝機
能 を 必 要と しない保 管 時・
回収 時
・
廃 棄 時
に は、
空気 を抜
い て シー
ト自体
の薄
さ に まで減
容 化 す ること が 可 能 な 構 造 と なっ て いる [6
]。
6 .
お わ り に本 稿におい て は
、
材 料
計 画 とい う視 点
か らエ コ デザイ ンへ の アプロー
チ事 例 を 紹 介
し た。従 来
の材 料 関 連 技 術
は、
Ad
−
vanced
Materials
,Functional
Materials
,
lntelligent
Materials
,
Smart
Materials
に代表
されるよう に、
・
軽
量化 [
材 料
コ ス ト減
、
輸 送機
器 の 燃費 低減 }
・
耐 久 性 向上 [メンテ ナンス コス ト減、
安 全 性 ]・
使
用条 件
の拡大 [
極 低 温
・
超 高温 条 件
下で の使
用]
・
加工/ 施工 工程の省 略 [
熱 処 理・
塗 装・
溶 接工程 等の省 略 ]・
機 能の総 合[
単一
機 能
か ら多機
能 を 有 し た 材 料へ]
・
低コ ス ト化 【低コス ト材 料の機 能 向 上 ]・
新機 能 材 料
の創 出 [
新 機 能
の 活 用]
といっ た利 便 性 (
フ ロ ンティア性 )
に配 慮
し た開
発 姿勢
が貫
か れてき た。 しかしな がら、
デザイ ン の領
域 からするとこ の フ ロ ンテ ィ ア性
のみでは種
々の問 題
に対 応 す
ること が困 難
で、
そこ に は 快 適 性に配 慮 し た ア メニ ティ性 (Human
Conscious
Ma
−
terials
)
や 環境
に 配慮
した 環境
調 和性 (
Envjronment
Conscious
Materials
,
Recyclable
Materials
,
Nature
Mimetic
Materials
) が必 要とな ることは 論 を ま た ない [
7
]。
【
参 考
文 献】
1
) 青 木 弘 行 :素 材・
材 料の デザ イン科 学、
デ ザ イン 事 典 〔日 本 デ ザ イン学 会 編 )、
朝 倉 書 店、
408 −409 、2003
2
)鈴 木
邁・
青木
弘 行・
久 保 光徳
:材 料 計 画
につい て、
インダス ト リアルデザ イン
ー
その科 学
と文 化 (
森 典 彦 編 )
、
朝 倉
書 店、
34−
46
、
1993
3
)青 木 弘 行
;インタフェー
スと して の材 料研 究
一
材 料計 画
から の アプロ
ー
チ、
日本 設 計
工学会 誌
、
33
、
6
、
202
−
207
、
1998
4
)寺 内 文 雄
・
當 麻 由佳
・
久 保光 徳
・
青 木 弘行
:環 境 負荷
と廃
棄 時
の体 積 を 考慮
し た洗 剤 容 器
の提 案
、
第
53
回研 究 発 表
デザイ ン学研 究 特集 号special issue OtJapanese society forthe scrence of desigfi
Vol