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経済教育学会第27回大会について(大会報告 会務報告)

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シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告  2011 年 9 月 30 日(金)から 10 月 2 日(日)にかけ て,経済教育学会第 27 回全国大会を椙山女学園大学 (名古屋市)にて開催した。今回の大会テーマは『今 こそ生きる力を育む経済教育を─震災を乗り越えて』とし,生きていく上で欠かすことの出来ない経済 知識の教育の在り方,特に,21 世紀を担う子どもた ちに学校教育の中で経済知識を身につけさせるための 方策について考え,学習指導要領における「生きる 力」のもとになる「確かな学力」として経済知識の教 育を推進することを目標にした。  厳しい経済状況が続く中で,個々人の生活の改善や 経済の生産性を高め,経済的公正を達成するためには 経済知識の普及が必要であり,経済教育へのニーズは 益々高まっている。しなしながら,これまでわが国で は学校教育の中で経済教育が殆ど行われておらず,現 状は人々に経済知識が普及しているとは言い難い状況 である。このような背景には,教育と経済の間には非 常に大きな乖離があり,学校は経済とは関係がないと 考えられており,「学校でお金の話はすべきではな い。」「学校教員は経済のことは知らなくてもよい。」 という認識が当然とされてきた。そのような認識が正 当化されていた理由は,経済活動は利潤を求めるもの であり,教育には利潤追求は望ましくないと考えられ ていたためである。  しかしながら,現実には学校も経済システムの中で 動いており,経済状況の影響を受けて財政状況の悪化 等から学校への予算配分も左右され,学校経営に影響 を及ぼしている。また,児童・生徒,学生は将来は社 会人として経済活動に参加することになり,個々人に とっては経済知識の欠如が悪質商法の流行や投資の失 敗のように損害を生じさせている。さらには,一国全 体にとっては,経済状況の悪化に伴い既存産業の活性 化や新たな産業の創出が期待されているが,そのため に必要な経済知識の欠如が実現を困難にしている。  このように,様々な面から必要とされる経済知識を 学校教育の中で体系的に学ぶための「経済教育スタン ダード」の確立と,さらにはその普及のために新たな 方策を考案していくことが求められている。  また,東日本大震災の発生によって未曾有の被害が 生じ,多くの方が被災され,人的な被害と共に経済的 に大きな混乱が起こり,その混乱は東北地方だけでな く全国的に広がり,復興やエネルギー問題のように多 くの経済問題が引き起こされた。これらの問題に関し ても,経済教育の観点から積極的に取り組んでいくこ とで,課題解決への道筋を考えることが可能となる。  今回の全国大会では,これらの背景を踏まえて,経 済教育の内容や方法の確立と普及を図るために,会員 の優れた研究や授業実践,震災に関する教育の取組に ついて報告と議論を行った。  10 月 1 日(土)はシンポジウムを開催し,2 名の基 調講演者による講演と 5 名のパネリストによるパネル ディスカッションを行った。学校教育における経済教 育の現状と課題,学習指導要領における経済分野の扱 いについて基調講演が行われ,それを踏まえたパネリ ストによるコメントと討論で議論を深めることが出来 た。  シンポジウム終了後には学会の総会が開催され,経 済教育学会の取組についての報告や今後の学会運営に ついての議論がなされた。その後の懇親会では打ち解 けた雰囲気の中で,活発な意見交換が行われた。  10 月 2 日(日)には分科会を開催し,8 つの分科会 で 25 件の報告と質疑応答が行われた。各分科会では 経済教育に関する様々な課題についてのテーマが設定 され,それに基づいて優れた研究や授業実践の報告が 行われた。東日本大震災の発生を踏まえて,「震災と 経済教育」の分科会では,震災に関する経済教育の実 践事例が紹介された。  また,両日共にポスターセッションを設け,震災に

経済教育学会

第 27 回大会について

The Journal of Economic Education No.31, September, 2012

水野 英雄

(第 27 回大会開催実行委員長)

The Japan Society for Economic Education

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プログラム

2011 年 10 月 1─2 日(土・日)/椙山女学園大学 星が丘キャンパス 10 月 1 日(土) シンポジウム「今こそ生きる力を育む経済教育を─震災を乗り越えて─」 10:30-12:00 101 理事会 12:00-13:00 応接室 基調講演者・パネリスト 打合せ 13:00-206(受付は 1 階ロビー) 受付開始 13:20-13:30 開会  司会者:角本伸晃(椙山女学園大学) 開会挨拶(経済教育学会 会長 中谷武雄)  開催校挨拶(椙山女学園大学 副理事長 森棟公夫) 大会趣旨説明(愛知教育大学 水野英雄) 13:30-15:00 加納正雄(滋賀大学) 基調講演 大倉泰裕(千葉県立松戸向陽高等学校,前文部科学省教科調査官) 15:00-15:20 休憩・ポスターセッション(1) 15:20-16:30 パネルディスカッション コーディネータ:山根栄次(三重大学) 宮原悟(名古屋女子大学) パネリスト:基調講演者と以下の方々 水野勝之(明治大学) 新井明(東京都立小石川中等教育学校) 炭谷英一(神戸市立兵庫商業高等学校) 関する経済教育についての 6 件の発表が行われた。  9 月 30 日(金)にはエクスカーション(見学会) 「ものづくり愛知の産業と経済を学ぶ」を開催し,産 業技術記念館とノリタケの森の見学を行った。経済学 の教育は理論が中心であるが,児童・生徒,学生の興 味関心は現実の問題にあり,理論と現実との整合性を 持った教育方法を開発することが求められている。経 済学の学問的内容が実際の産業で応用されていること を知り,それを教育に活かす方法を検討することは新 たな取組である。また,企業にとっては CSR(企業の 社会的責任)や教育分野における産学官連携としての 成果を期待できる。そのような観点からエクスカー ションを実施した。各施設では案内の方より丁寧な説 明を受け,理解を深めた。産業技術記念館では機織を 実際に体験することが出来,高い技術力を実感した。 自動織機から自動車へというトヨタの発展の歴史を学 んだ。ノリタケの森では芸術品ともいうべき陶磁器製 品の製造過程や過去の製品を見学した。現在は陶磁器 だけでなく,最新技術によるセラミックス製品が各分 野で使われていることを学んだ。  今回の全国大会では,シンポジウム・分科会には 100 名を超える参加があり,大変充実した内容で開催 することが出来ました。ご参加頂いた会員や一般の皆 様,基調講演者やパネリスト,分科会・ポスターセッ ションの報告者,実行委員や関係の皆様,会場をご提 供頂きました椙山女学園大学やご後援を頂きました文 部科学省,金融庁,愛知県教育委員会,岐阜県教育委 員会,三重県教育委員会,静岡県教育委員会,名古屋 市教育委員会,金融広報中央委員会,全国銀行協会, 株式会社東京証券取引所グループ,学会開催助成を頂 きました財団法人大幸財団等のお力添えに心より感謝 し,厚くお礼申し上げます。  厳しい経済状況が続く中で,経済を通じて社会を理 解することで持続可能な社会を形成することが求めら れており,そのためには経済知識は欠かすことのでき ないものです。大きく変わりゆく時代の中で,学校教 育において新たな社会のニーズに合わせた経済教育を 推進することが求められています。今後とも本学会で の研究や実践によって経済教育がさらに発展していく ことを願っています。  次年度の第 28 回全国大会は 2012 年 9 月 29 日・30 日に明治大学駿河台キャンパスにて開催されます。明 治大学での全国大会のご成功を心より祈念致しており ます。

The Japan Society for Economic Education

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シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 16:40-17:20 206 総会 17:30- 19:00 CAFETERIA F.19 (教育学部棟横の 建物) 懇親会 司会者:スティーブン・クアシャ(椙山女学園大学) ロバート・ジー(椙山女学園大学) 10 月 2 日(日) 〈午前〉10:00-12:00 会 場 テーマ 座 長 第 1 分科会(204) 「キャリア教育(1)」 長谷川義和(大月短期 大学)・田中淳(東京 都立産業技術高等専門 学校) 第 2 分科会(205) 「大学教育における経 済教育」 新里泰孝(富山大学)・ 村田和博(埼玉学園大 学) 第 3 分科会(306) 「教員養成と経済教育」 栗原久(信州大学)・ 柴田透(新潟大学) 第4分科会(307) 「中学校・高等学校に おける経済教育(1)」 加納正雄(滋賀大学)・ 大谷和海(関西大学・ 高等部) 報告 1 10:00-10:40 「キャリア教育をベー スとした経済教育の展 開」 糸井重夫(松本大学松 商短期大学部) 「ソーシャルビジネス 教育の試行」 水野勝之(明治大学)・ 福岡英典(明治大学) 「経済に強い社会科教 員の育て方」 新井明(東京都立小石 川中等教育学校) 「経済教育におけるカ リキュラム構築の研究 ─経済教育と体験型学 習の関係について─」 金子幹夫(神奈川県立 三浦臨海高等学校) 報告 2 10:40-11:20 「大学におけるキャリ ア教育の本質論的諸問 題」 宇佐見義尚(亜細亜大 学) 「産学公連携と大学教 育─高知女子大学(現, 高知県立大学)生活デ ザイン学科の土佐茶開 発販売を事例として ─」 井本正人(高知県立大 学) 「学校における経済教 育の推進と先生に必要 な経済的知識─『教員 養成における経済教育 の現状と課題』の発行 ─」 岩田年浩(大阪経済法 科 大 学 )・ 水 野 英 雄 (愛知教育大学) 「中学公民の教科書か ら検討する経済教育上 の注意点」 金子浩一(宮城大学) 報告 3 11:20-12:00 「地域を知り・地域に 出ることと経済教育」 長谷川義和(大月短期 大学)・大月短期大学 卒業生 「「出席レポート」の効 果に関する一考察」 金子能呼(松本大学松 商短期大学部) 「なぜ学校では自由貿 易が教えられないのか ─経済のグローバル化 の中でのローカルな教 員養成─」 水野英雄(愛知教育大 学)・鵜飼遥佳(愛知 教育大学)・前田宗誉 (愛知教育大学)・村井 望(愛知教育大学) 「高等学校における商 業教育の変遷─産業構 造・就業構造との関連 を中心に─」 番場博之(駒澤大学) 12:00-13:00 理事会(101) 12:00-13:00 昼食・ポスターセッション(2) 〈午後〉13:00-15:40(分科会 7 のみ 12 時 20 分〜 15 時 40 分) 会 場 テーマ 座 長 第 5 分科会(204) 「キャリア教育(2)」 あんびるえつこ(子供 のお金教育を考える 会)・宇佐見義尚(亜 細亜大学) 第 6 分科会(205) 「震災と経済教育」 大坂洋(富山大学)・ 増田和夫(京都経済短 期大学) 第 7 分科会(306) 「諸外国の経済・金融 教育」 山 岡 道 男( 早 稲 田 大 学)・淺野忠克(山村 学園短期大学) 第 8 分科会(307) 「中学校・高等学校に おける経済教育(2)」 新井明(東京都立小石 川中等教育学校)・炭 谷英一(神戸市兵庫商 業高等学校) 報告 1 12:20-13:00

「An Analysis of Public Economic Literacy in the Philippines」 Jose V. Camacho Jr. (University of the Phil�University of the Phil�

ippines Los Baños) The Japan Society for Economic Education

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報告 2 13:00-13:40 「産業技術高専におけ るキャリアデザインの 授業」 田中淳(東京都立産業 技術高等専門学校)・ 松村直樹(株式会社リ アセック) 「データで見る東日本 大震災の経済教育実 践」 斎 藤 清( 兵 庫 県 立 大 学) 「経済倫理・金融倫理 調査は何を示すか?─ 日米比較を通して─」 猪瀬武則(弘前大学)・ 山根栄次(三重大学)・ 栗原久(信州大学)・高 橋桂子(新潟大学) 「日本金融システム史 に基づく「公民科」経 済学習の授業開発」 松井克行(大阪府立旭 高等学校) 報告 3 13:40-14:20 「職業ガイドブックを 作ろう!─キャリア教 育と関連させた金融・ 金銭教育の実践から ─」 奥田修一郎(大阪狭山 市立南中学校) 「7 回 連 続 特 別 講 義 「エネルギー問題」に 取り組んで」 小 森 治 夫( 京 都 橘 大 学) 「大学生の経済リテラ シーの中日比較─ミク ロ経済学の概念と理論 に関して─」 尹 秀 艶( 北 京 城 市 学 院)・林潔梅(北京城 市学院)・陳怡(北京 城市学院) 「経済計算で規範意識 を育てる─定時制高校 の現代社会での試み ─」 鍜冶直紀(大阪府立和 泉高等学校) 報告 4 14:20-15:00 「大震災を 3. 4 年生の ゼミで取り組んで」 岩田年浩(大阪経済法 科大学) 「韓国の学校における 金融教育の現況と課 題」 金 景 模( 国 立 慶 尚 大 学)・朴英錫(京仁教 育大学) 「長野県阿智村の経済 ─その歩みと日本経済 ─」 箕輪京四郎(元横浜商 業高等学校) 報告 5 15:00-15:40 「 中 学 校・ 高 等 学 校 「 道 徳 」 と 高 等 学 校 「公民科」の狭間で─ 便乗値上げを例に課題 を探る─」 高橋勝也(東京都立桜 修館中等教育学校)

「A Study on Financial Literacy Trial Test for Korean High School Students」

文承來(順天郷大学)・ Chun Qsyng(韓国開発 研究院)

(注)このプログラムは大会前の当初の予定です。

The Japan Society for Economic Education

参照

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