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わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析-香川大学学術情報リポジトリ

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わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析*

宮田亘朗・井上貴照

Ⅰ はじめに Ⅱ 地方銀行の国際化に関する実態分析 Ⅰ 平成時代に入った1月25日に相互銀行の普通銀行への転換が認可され、52の 相互銀行が2月1日より普通銀行としての業務を開始することとなった。残る 相互銀行のうち16行についてもその大部分は、平成元年以降、普通銀行への転 換がなされてきた。 このような相互銀行の普通銀行への転換は、ただでさえ厳しい地方銀行の業 務をより職烈な競争へと導くことになる。そして、それは昭和62年12月4日に なされた金融制度委員会専門委員会報告(専門金融機関制度のあり方について) が目指したものでもあった。このような状況において、地方銀行は、それぞれ *小論は、昭和62年度より3年間にわたる文部省科学研究費補助金(試験研究(1))(「本邦金 融機関の国際化の実態調査に基づくデータベース構築及びシステム開発の基礎研究」)によ る研究の−−【部である。この研究は、神戸大学経済経営研究所に事務局をおき、共同研究の形 がとられ、その中の民間銀行グループ(藤田正寛(姫路独協大学)、丹羽昇(富山大学)、藤 田誠山(神戸大学)、井沢秀記(神戸大学)、石田三樹(広島大学)、矢森信書ぺ姫路独協大学)、 宮田百朗・井上農照(香jl一大学))によってアンケートが作成された。小論は、宮田がアン ケートの調査結果より統計グラフを作成し、それを参考にして井上がまとめたものである。 また小論の−部は、1990年12月15日に岡山商科大学において開催された金融経済研究会に おいて報彗されている。研究会の参加者より有益なコメントをいただいたことを感謝します。 なお紙数の関係上、統計グラフを掲載することができないが、統計グラフの入手を希望さ れる方は、宮田亘朗または井上責照まで御連絡下さい。住所は、下記のとおりです。 〒760 高松市幸町2−1香川大学経済学部 /ト論の作成にあたり香川大学経済学部助手上枝朱美さんに草稿をワープロで作成していた だきお礼申し上げます。小論における誤謬は、われわれ自身の責任であることば言うまでも ありません。

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香川大学経済学部 研究年報 31 J99J −2− 地場産業の国際化に伴ってあるいは営業利益を求めて、海外業務への進出を試 みている。 そこで、このような地方銀行の国際化の実態調査を行い、現在抱えている問 題点を分析する必要が生じる。特に、地方銀行の目・指している国際化がどのよ うなもので現在どのような段階にあるのか、また国際化に対する障害があると すれば何であるか、自己資本比率規制についてどのように考えどのようにして それを達成するのか等々の疑問がある。 このような問題意識をもっていたわれわれは、神戸大学経済経営研究所のプ ロジェクト「わが国の金融機関の国際化の実態調査」に参加する機会に恵まれ

た。そこで、この機会を捉え、その調査結果を参考にしながら、地方銀行を巡

る諸問題の分析を行うことを考えた。 小論は、1988年12月に実施されたアンケ・−ト調査の結果を中心に、1983年と 1981年の調査結果を比較しながら、わが国の地方銀行の国際化についての実態 分析を行うことが目的である。 1) Ⅱ 1… 銀行の国際化の目的・動機について 101.目標収益シェア 回答 21行(1988年) 18行(1983年) 25行(1981年) 1988年の調査では、目標収益シェアは、回答数の申で割合の高いものから(Ⅱ) 1)1988年12月に実施されたアンケートについては、資料1,宮田・井上(1989)参照。文中 において1981年調査とあるのは、1979∼1980年にかけて調査し1981年に統計データがまとめ られており、1983年調査は、1981∼1982年にかけて調査し1983年に統計データが整理されて いる。そして19払年調査は、19㌍年12月に実施されている。調査時点の関係上、小論では、 第2地銀および相互銀行は、地方銀行には含まれない。わが国の銀行の国際化については、 藤田・井沢(1991)、藤田・家森(1991)、石田(1991)、宮田・井上(1991a)、(1991b)、丹羽 (1991)参照。

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わが国の地方銀行の国際化に閲す−る実態分析 −㌻− 6−10%、が33.3%、(Ⅲ)11−15%、が286%、(Ⅳ)16−20%、が23.8%であり、 その他に、(Ⅰ)0−5%、が95%、(Ⅴ)21−25%、が48%となっている。目標収 益シェアは、6−20%が、回答数の85.7%を占めている。1981年の調査では、(Ⅰ) 0−5%、が560%、(Ⅱ)6−10%、が360%であり、さらに(Ⅲ)11−15%と(Ⅳ) 16−20%とが、ともに40%であり、0−10%の範囲が92%を占めている。そして 1983年の調査では、他の2つの年における調査と階級分類が異なっているが、 (Ⅰ)0−10%が、944%、(Ⅱ)11−15%が56%となっている。1988年の調査は、 目標収益シェアが相対的に上昇していることを示している。 102..利潤動機以外の国際化の目標 回答 21行(1988年) 24行(1981年) 1983年の調査においては、この設問はない。なお、1981年の調査では、6分 類であるが、1988年では2項目増加し8分類となっている。利潤動機以外の国 際化の目標として1988年の調査では(Ⅳ)顧客(取引先企業)の拡大、が36.4 %、(Ⅲ)ノウハウの蓄積、が250%そして(Ⅱ)プレステージの確保・維持、 が22,7%、(り海外情報の収集、が15.9%である。1981年の調査では、(Ⅳ) が457%、(Ⅱ)が21.7%、(Ⅲ)が174%、(Ⅰ)が87%そして(Ⅷ)その他、 が65%である。1988年の調査は、1981年のそれと比べると、(Ⅳ)顧客(取引 先企業)の拡大の比率が減少し(り海外情報の収集と(Ⅲ)ノウハウの蓄積 が、その重要性を増していることを示している。 103.国際化の基本的誘因 回答 21行(1988年) 24行(1981年) 1981年の調査では、(皿)競争上、他の銀行の国際化に歩調を合わせて、と (Ⅳ)外国銀行の国内進出に対抗、という項目を設けていない。1988年の調査 では、(Ⅰ)取引先企業の国際化とともに銀行の国際化を行ってきた、が538 %、(Ⅱ)銀行自らの主導的意志決定により国際化を進めてきた、が308%、 そして(Ⅱ)他の銀行とともに、が15.4%である。1981年の調査では、(Ⅰ)が

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香川大学経済学部 研究年報 31 −4− J99J 708%、(Ⅱ)が29.2%である。1988年の調査と1981年のそれとは、質問項目が 異なるので直接比較ができないにしても、1988年の調査では1981年と比べると、 銀行の主体的意志で国際化を進めている。 後に説明される(301)や(801)の質問を参考にすると、将来は、人材の育 成、ノウハウの蓄積そして支店・駐在員事務所の増設に努めながら国際化を・進 めていくものと思われる。 2、.支店・駐在員事務所・現地法人の設置について 201小 支店・駐在員事務所・現地法人の現状と人員配備 回答 21行(1988年) 25行(1981年) 1988年の調査では、支店・駐在員事務所・現地法人を既に(Ⅰ)開設してい る、が714%、(Ⅱ)開設していない、が238%、(Ⅱ)近い将来、開設するつ もりである、が48%となっており、1981年では、(Ⅱ)が800%、(Ⅲ)が12.0 %、(Ⅰ)が80%であったのと対照的である。支店・駐在員事務所・現地法人 の設置という方向での国際化の進展を表わしている。 202巾支店・駐在員事務所・現地法人の地域別構成について 回答15行(1988年) 不明(1983年) 2行(1981年) [Ⅰ]支店・駐在員事務所および現地法人の地域別構成について 総支店数・総駐在員事務所数および総現地法人数は、それぞれ、1988年の調

査では、11、25および4である。1983年では、それぞれ、1、2および0、そ

して1981年においては、それぞれ、2、4および1である。この3つの調査よ り、これらの総数の急激な増大が示されている。 これを地域別にみると、まず支店についてはへ1988年の調査では、北米6、

欧州1そしてアジア4であり、これを割合で示すと北米545%、欧州91%そ

してアジア36.4%となっている。また支店内の日本人職員数は、北米51人、欧 州13人そしてアジア21人であり、日本人職員総数に占める地域別割合は、それ

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わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −5− ぞれ60%、15.3%そして24.7%である。現地人職員数で比較すると、北米54人、 欧州31人、アジア43人であり、現地人職員総数に占める地域別割合は、それぞ れ422%、242%そして336%となっている。1983年の調査では、支店数は、 北米のみ1であり、日本人職点数は、北米7人そして現地人職員数は3人であ る。1981年の調査でほ、」地域別総支店数は、北米(米国)および欧州(英国) が、それぞれ、1である。日本人職員数は、米国と英国で、それぞれ、8と10 であり、その地域別構成比率は、それぞれ、444%と556%である。現地職員 数では、米国6、英国12で、その地域別構成比は、それぞれ、33.3%と667% である。 次に地域別の駐在員事務所数については、1988年の調査では、北米9、中南 米1、欧州7そしてアジア8であり、その構成比は、それぞれ、36%、4%、 28%そして32%である。日本人職員数は、北米17人、中南米1人、欧州14人、 アジア13人そして大洋州5人であり、その日本人職員数の地域別構成比は、そ れぞれ、34%、2%、28%、26%そして1%となっている。現地人職員数は、 北米9人、中南米2人、欧州7人、アジア15人そして大洋州5人であり、その

地域別構成比は、それぞれ、237%、184%、39.5%そして13.2%である。1983

年の調査では、駐在員事務所数は、北米(米国)1、欧州(英国)1で、日本 人職員数は、北米(米国)および欧州(英国)ともに2人、そして現地人職員 数は北米(米国)および欧州(英国)ともに1人となっている。1981年の調査 において、駐在員事務所数は、北米0、中南米1、欧州0そしてアジア3であ る。その地域別構成比は、それぞれ、0%、25%、0%そして75%である。日 本人職員数は、中南米2人、アジア6人で、その地域別構成比は、それぞれ、 25%、75%となっている。現地人職員数は、中南米2人、アジア4人で、その 全体に占める比率は、それぞれ、33.3%と66.7%である。 現地法人の地域別構成については、1988年の調査では、その法人数が北米0、

欧州2、アジア2で、その地域別構成比は、それぞれ、0%、50%、50%であ

る。日本人職員数は、欧州8人、アジア13人となっており、その地域別構成比

は、それぞれ、381%、619%である。現地人職員数は、欧州14人、アジア27

人であり、その地域別構成比は、それぞれ、34“1%と65,9%である。1983年の 調査では現地法人はゼロである。1981年の調査では、現地法人は、アジアの番

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香川大学経済学部 研究年報 31 −6− J99J 港においてのみ1である。その日本人職員数および現地人職員数はともに5人 である。 以上の結果を検討すると、次のような点を指摘することができる。 (1)支店の地域別構成については、支店数、職員数において、1981年と1983 年の調査では米国と英国に偏っていたが、1988年の調査ではアジアへの進 出が増加している。 (2)駐在員事務所の地域別構成では、事務所数、職員数ともに、支店と比べ ると、1988年の調査では北米、欧州そしてアジアに均等に分布している。 しかしながら、1983年の調査では北米、欧州に、1981年の調査では、中南 米、アジアに偏在している。 (3)現地法人の地域別構成については、1988年の調査では、欧州とアジアに

分布しており、支店、駐在員事務所に比べると、地域別に少し偏った分布

になっている。 [Ⅱ]1店舗当りの職員構成 支店当りの日本人職員数と現地人職員数は、1988年の調査では、それぞれ、 北米においては、85人と9人、欧州では、13人と31人、アジアでは、5,3人と 10“8人である。各地域の全職員数に占める現地人職員数の比率は、北米、欧州 およびアジアでは、それぞれ、51.4%、705%および67.2%である。これら3 つの地域において職員の過半数以上が現地人職員で′あるが欧州とアジアにおい てその比率が比較的高い。1983年の調査において北米における支店当りの日本 人職員数と現地人職員数は、それぞれ、7人と3人であり、現地人職員の占め る割合は30%である。1981年では、北米(米国)では、支店当りの日本人職員 数が8人で現地人職員数が6人、また欧州(英国)では、それぞれ、10人と12 人である。全職員に対する現地人職員の占める割合は、北米(米国)で42.9%、 欧州(英国)で545%である。1983年の調査では現地人採用比率の地域間格差 はみられないが、1981年の調査は欧州の現地人採用比率が、北米のそれより少 し高いことを示している。 駐在員事務所当りめ日本人職員数は、1988年の調査では北米19人、中南米 1人、欧州2人そしてアジア16人である。駐在員事務所当りの現地人職員数 は、北米1人、中南米2人、アジア19人である。各地域における全職員数に

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わが国の地方銀行の国際化に閲す−る実態分析 −7一 占める現地人職単数の割合は、北米346%、欧州333%そしてアジア53,6%と なっている。こ.れより全職員.数に対す−る現地人採用比率は、1988年の調査によ れば北米と欧州では同様な比率であるのに対してアジア地域における現地人採 用比率が比較的高い。1983年の調査では、駐在員事務所当りの日本人職員数と 現地人職員数とは、北米と欧州においてともに、それぞれ、2人と1人である。 総職員数に占める現地人職員数の比率は、北米と欧州ともに、333%である。 1981年の調査によれば、日本人職員数は、中南米およびアジア(シンガポ・−ル、 香港、韓国)において、それぞれ、2人および6人であるが、現地人職員数は、 中南米2人、アジア(シンガポール、韓国)4人である。香港を除く中南米、 シンガ針−ルおよび韓国において総職員数に占める現地人職員数の比率は50% である。1983年と1981年の調査によれば、現地人採用比率の地域間格差はほと んどみられない。 現地法人について−・法人当りの日本人職員数とその他の職員数は、1988年の 調査では、欧州では、それぞれ、4人と7人、アジア(香港)では、65人と13.5 人となっている。総職員数に占めるその他の職員数の割合は、欧州で63。6%、 アジア(香港)では67.5%である。1981年の調査によれば、現地法人当りの日 本人職員数とその他の職員数は、ともに5人であり総職員数に占めるその他の 職員数の比率は、50%である。以上より、現地法人における日本人以外の職員 採用比率において地域間における大きな格差はみられない。 203..主な取引先銀行および海外のコルレス先 (Ⅰ)主な取引先銀行 回答16行(1988年) 21行(1981年) 1983年の調査ではこの設問は設けられていない。 1988年の調査によれば、主な国内取引先銀行として東京銀行と多数の都銀が 主要な取引先である。1981年の調査では、主な取引先銀行は東京銀行と答えた 銀行の比率が圧倒的に多い。 (Ⅱ)海外コルレス先の銀行数 回答 21行(1988年)

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香川大学経済学部 研究年報 31 ー∂− J99J この質問は、1988年の調査においてのみ設けられている。海外のコルレス先 銀行数は、420行から30行まで銀行によって数の格差がみられるが、海外のコ ルレス先の銀行数の平均は、116行である。 (Ⅲ)海外進出形態とその理由 回答14行(1988年) 17行(1981年) 1983年の調査ではこの設問は設けられていない。 1988年の調査によれば、回答したすべての銀行が、海外進出形態は、(A)駐 在員事務所からはじまり、支店そして現地法人という形態で進出している。海 外進出の理由は、(C)顧客ニ・−ズおよび行政上の規制のため、が70,0%であり、 また(D)証券業務および収益拡大のため、が300%である。ところが、1981 年の調査では、海外進出形態は、(A)が、64,7%で、(B)予定なし、が353% となっている。海外進出の理由は、回答したすべての銀行が、(C)である。 204.支店進出予定地区 回答19行(1988年) 8行(1983年) 13行(1981年) 1988年の調査では、海外進出予定地区が、(Ⅰ)北米および(Ⅴ)アジア、に 予定している銀行が、それぞれ、全体の348%であり、(Ⅱ)欧州、に進出を 予定している銀行が、283%、(Ⅶ)オセアニて、が22%となっている。はと んどの銀行が北米、欧州およびアジアの3地域への進出を予定しており、これ らの地域への進出希望の割合がほぼ等しい。1983年の謝査でも北米、欧州そし てアジアが主な進出予定地区であるが、北米と欧州への進出を予定している銀 行の占める割合が、それぞれ、400%と467%であり、アジアへのそれは13り3 %であることから、進出予定地区は、1988年の謂査に比べると、北米と欧州に 偏っていた。そして1981年の調査によると主な進出予定地区が北米(382%)、 中近東(294%)、アジア(29,4%)そしてオセアニア(29%)である。 以上より支店の海外進出予定地区は、回答数に占める割合でみると、北米へ の進出予定があまり変動していないが、中近東への進出予定に代わって欧州へ

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わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −9− の進出予定が増大し、その欧州への進出予定が相対的に減少し、アジアへの進 出予定が相対的に増大してし1る。 205.駐在員事務所進出予定地区 回答 20行(1988年) 9行(1983年) 15行(1981年) 1988年の調査によれば、駐在員事務所の進出予定地区が、主として(Ⅰ)北 米、(Ⅱ)欧州、(Ⅴ)アジアに分布している。とくに、回答の中で各地域の占 める比率は、北米が256%、欧州が282%そしてアジアが410%であり、アジ アへの進出意欲を示している。その他に、(Ⅶ)オセアニアと(Ⅷ)社会主義国 がともに、2り6%である。1983年の調査では、北米、欧州そしてアジア地域へ の進出比率は、それぞれ、389%、389%そして167%であり、1988年と比べ ると北米、欧州の比重が高い。ところが1981年の調査では、北米が341%、ア ジアが293%で、次に欧州が17“1%、中近東が122%となっている。 以上より、1980年代初頭での中近東への進出予定がなくなり、北米、欧州そ してアジアが主要な進出予定地区となり,とくに1988年の調査ではアジアヘの 進出予定の比率が高くなっている。 206..支店と現地法人の比較 現地法人形態での進出が、支店と比較してどのような長所・短所をもつのか について以下のいくつかの側面について回答を得た。 (Ⅰ)資金調達面 ・長所 回答 7行(1988年) 5行(1981年) 1988年の調査によると、回答数に占める比率の高い順からみると、資金調達 面での長所は、(A)資金調達の効率化・多様化・安定化、長期債券発行可能、 自由金利設定可能、が444%、(B)進出国市場へ参入し易い、現地企業と同じ 扱いとなる、と(C)税制上のメリット、日本の為替管理の枠外となる、とが

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香川大学経済学部 研究年報 31 一J(1− J99J ともに22,2%、そして(D)特にない、が11.1%である。1981年の調査では、 (A)が80%、(C)が20%である。1988年の調査は、1981年の調査に比べると、 資金調達面における長所の多様化を示している。 ・短所 回答11行(1988年) 3行(1981年) 1988年の調査では、(B)規模の小型化によるコスト・アップ、信用力低下 (新企業の信用力と切り離されるため)、が818%、(A)法および政策上の諸規 制から生じる限界および(C)その他、一概に言えない、がともに91%である。 1981年の調査によれば、(B)が60り0%、(A)および(C)が、ともに200%であ る。以上より、資金調達面における短所としての規模の小型化によるコスト・

アップ、信用力低下、の割合が上昇している。

(Ⅱ)貸出・有価証券投資 ・長所 回答 6行(1988年) 5行(1981年) 1988年の調査では、(A)本邦金融政策の枠外となり中長期貸出が容易となる こと、そして証券業務兼業のメリットが、571%、(B)税制上のメリット、(0 銀行本体と別経理そして(D)−・概に言えない、がともに143%である。1981 年の調査によれば、(A)が833%、(B)が167%である。1988年の調査は、1981 年のそれと比べると、貸出・有価証券投資における長所の若干の多様化を示し ている。 ・短所 回答 6行(1988年) この質問は、1988年の調査においてのみ回答が得られた。貸出・有価証券投 資における短所としては、(A)現地企業と同じ規制を受け、リスク・アセット 規制が厳しく商業貸出、短期貸出の規制が大きい、が50,0%、(B)本支店勘定 が使えない、(C)調達コストが高く採算の低下、そして(D)叫L概に言えない、 がともに16,7%である。

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わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −ム仁一 (Ⅱ)外国為替業務 ・長所 回答 5行(1988年) 4行(1981年) 1988年の調査ではく外国為替業務上の長所として、(A)本邦の国内規制から 解放され広い活動が可能となる、が500%、(C)特にない、が33“3%そして (B)現地企業との取引機会の増加、が16√′7%である。1981年の調査によれば、 (A)と(B)がともに50%である。1981年と比べると、1988年の調査は、現地 企業との取引機会の増加という長所の比率が相対的に低下している。 ・短所 回答 6行(1988年) この質問は、1988年の調査においてのみ回答が得られた。外国為替業務上の 短所としては、(B)貸出量の規制等をうける、が571%、(D)特にない、が 286%そして(A)資金額の規模の小型化や信用の低下、が14.3%である。 (Ⅳ)証券業務 この項目は、1988年の調査においてのみ設けられたものである。 ・長所 回答13行(1988年) 証券業務上の長所は、(A)発行や引受業務(例:地元企業が行うときなど) が可能となる、業務の自由度が広がる、業務のしきたりがなくなり銀行系現法 でも行うことができる、が733%、その他に(B)証券業務のノウハウの蓄積 ができる、(C)ステイタスの向上、(D)地域差や業務内容に差があり一概に言 えない、そして(E)不明および特にない、がともに67%である。 ・短所 回答 5行(1988年) 証券業務上における短所としては、(B)不明、特にない、が80。0%、(A)現 地企業と同じ規制をうける、が20%である。 (Ⅴ)現地での周辺業務 ・長所 回答11行(1988年)

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香川大学経済学部 研究年報 31 一J2一 J99J 3行(1981年) 1988年の調査では、現地での周辺業務の長所は、(A)日本の規制を越え証券 信託業務など多くの周辺業務に進出可能、が643%、(B)現地の法制にしたが い比較的自由に行動可能、が214%そして(D)特にない、ステイタス向上、 が143%である。1981年の調査によると、(A)が50%、(C)日本の法規制を受 けないので資金調達に便利と(D)がともに250%である。1988年の調査は、 1981年のそれと比較すると、(A)の比率が上昇し、(B)の長所が1988年の調査 で新たに指摘されているが、(C)の長所は1988年の調査は言及されない。 ・短所 回答 4行(1988年) この項目は、1988年の調査においてのみ回答が得られた。現地における周辺 業務における短所として(C)特にない、が750%、(B)現地法で外銀として の規制を受ける、が250%である。以上より基本的には現地での周辺業務にお ける短所は特にないことを示している。 (Ⅵ)その他 ・長所 回答 2行(1988年) 3行(1981年) 上記(Ⅰ)′・一(Ⅴ)以外での現地法人形態での進出の長所としては、(A)日 本の税制上の枠外と(B)現地との密着化、摩擦が生じない、がともに500% である。1981年の調査では、(B)が667%、(A)が33.7%である。1988年の調 査は、1981年のそれと比較すると、その他の業務の長所として、(A)の比率が 上昇している。 ・短所 回答 2行(1988年) 2行(1981年) (Ⅰ)∼(Ⅴ)以外の業務において現地法人形態での短所としては、1988年の 調査では、(B)現地規制を受ける、が100%である。1981年の調査では、(B) が667%そして(D)決算処理が複雑となる、が33“3%である。1988年の調査 は、1981年の調査と比較すると、(B)の短所の比率の上昇を示している。

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わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −J3−− 3..業務内容について 301小 国際化の現段階、将来の見込み (a)銀行の国際化の段階 (a−1)1988年の調査 1988年の調査では、銀行の国際化の諸段階を次の表のように特徴付けた。 銀行国際化の諸段階

段階及び 第1段階

第2段階 第3段階 第4段階 その通称 (ノン・コルレス) (コルレス標準) (コルレス上位) (国際金融業務型) 銀行の取扱 自国企業の貿易取引に直結した 資本取引は短 国際業務 外国為替業務が中心 期金融が中心 銀行の国際 コルレス行直 標準的包括証 コルレス包括 国際金融を積 業務の遂行 人銀行 銀行で国際金 方法 融を試行的に 行う (Ⅰ)国際化の現段階 回答 21行(1988年)

国際化の現段階(1988年現在)を、第4段階(国際金融業務型)と回答した

銀行が21行中7行、第3段階(コルレス型)と回答した銀行が12行、そして第 2段階(コルレス標準)と回答した銀行が2行である。 以上より、国際化の現段階を回答したほとんどの銀行が、第3段階あるいは 第4段階に属している。 (Ⅱ)第1段階から第2段階へ・の移行時期 回答16行(1988年) 第1段階から第2段階への移行期が、1970年代前半(1970年∼1974年)と答

えた銀行が3行、1970年代後半(1975年∼1979年)が6行、1980年代前半

(1980年∼1984年)が3行、そして1985年以降が4行となっている。1970年代前

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香川大学経済学部 研究年報 31 ーJJ− J99J 半より徐々に第1段階から第2段階へ移行していることがわかる。 (Ⅲ)第2段階から第3段階への移行時期 回答17行(1988年) 第2段階から第3段階への移行を、1970年代後半と答えた銀行が5行(ただ し、そのうち1行は、1979∼1980年と答えているが、小論ではこれを1979年と みなして分類している。)、1980年代前半が5行、そして1980年代後半以降が5 行(うち2行は、1989年と1990年になると見込んでいる。)となっている。以上 より、1990年代に入いれば回答した17行のほとんどが第3段階への移行を終了 するものと思われる。 (Ⅳ)第3段階より第4段階への移行時期 回答14行(1988年) 第3段階より第4段階への移行時期については、1970年代前半が1行で、

1980年代前半が3行、1980年代後半が5行、そして1990年∼1995年に第4段階

に入いることが見込まれる銀行が6行となっている。 以上より、1970年代前半より1980年代前半にかけて第1段階より第2段階に 移行し、1970年代後半から1980年代後半にかけて第2段階から第3段階へ、そ して1980年代前半から1990年代前半に第3段階から第4段階に移行していると いえよう。 (a−2)1983年の調査 1983年の調査では、国際化の諸段階を次ペ・−ジの表のようにまとめた。 1983年の調査では、1981年現在における国際化の諸段階をたずねている。 (Ⅰ)国際化の現段階 回答19行 1981年現在での国際化の現段階が、第1段階であると回答した銀行が、19行 中17行、第2段階であると回答した銀行が2行である。 以上より、1981年時においては、回答した銀行のはとんどが、第1段階に属 している。 (Ⅱ)第1段階から第2段階への移行時期 回答11行(このうち、現段階が第2段階が1行) 第1段階から第2段階への移行時期が、1981年までと回答した銀行が3行で

(15)

わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −上方− 銀行国際化の諸段階 第3段階(広義) 第1段階 第2段階 ワールド・バンキングまたは 段階およびそ ナショナル・ インタ・−ナショ グローバル・バンキング の通称 バンキング ナル・バンキ ング 第3段階(狭義) インターナショナ ル・フルサー・ビス・ バンキング バンキング 企業の国際化 段階 が本格化 貿易淑引に直 投融資業務の マーチャント ・バンキング、 結した外国為 比重が高まり リース、コンサルティング専 銀行の取扱国 替業務が中心 資本取引も中 の各種銀行周辺業務・感れん 際業務 で、資本取引 長期の比重が 業務をすべて取り扱う。 は短期金融に ただし、小売銀行 限られる。 業務は取り扱わな い り扱う 外国銀行とコ 直接海外拠点 自行の海外拠点はもちろん、 銀行の国際業 ルレス契約締 を増強 資本三か・業務提携、周辺業 務遂行方法 結 務子会社設立等により、グロー パルな規模で最も有利な資金 の調達・運用を・行う。 銀行の国際業 自国企業中心 自国企業中心 あらゆる国の企業を対象とす 務の取引先 る。

(16)

香川大学経済学部 研究年報 31 ーJ6一 J99J ある。その中で1行が、1979年に第2段階であったが1981年には第1段階になっ ている。1982年∼1984年までの1980年代前半に、第2段階に移行する見込みで あると回答した銀行が6行、1980年代後半(1985年∼1989年)に第2段階に移 行する見込みがある銀行が3行である。そして1990年代に入いり、1991年に第 2段階に移行する見込みのある銀行が1行となっている。 以上より、1981年時点においては、回答したはとんどの地方銀行が、1980年 代において、第1段階から第2段階に移行すると見込んでいる。 (Ⅲ)第2段階から第3段階への移行時期 回答 2行 第2段階から第3段階への移行については、回答した銀行2行ともに、1980 年代後半であると見込んでいる。 (Ⅳ)第3段階から第4段階への移行時期 回答 2行 第3段階から第4段階への移行時期については、2行のうち1行が、1980年 代後半(1989年入他の1行が1990年代前半(1994年)の見込みと回答してい る。 (a−3)1981年の調査 1981年の調査では、銀行の国際化の諸段階を次ペ1−ジの表のように分類した。 1981年の調査では、1980年現在における各行の国際化の諸段階についてたず ねている。 (Ⅰ)国際化の諸段階 回答 25行 1980年時点において、国際化の現段階を第6段階と位置付ける銀行が、1行、

第5段階が3行、第4段階で8行、第3段階は4行、第2段階5行そして第1

段階4行となっている。 回答した25行の約半数が、1980年現在では、第4段階以後に属している。 (Ⅱ)第1段階から第2段階への移行時期 回答18行(このうち2行は、現段階が第2段階) 第1段階から第2段階への移行時期が、1960年代後半(1965−1969)が2行、

1970年代前半(1970−1974)が6行、1970年代後半(1975−1979)が5行であ

(17)

わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −ノ7− 銀行混載かの諸段階 段階およ 第1段階 第2段階 第3段階 第4段階 第5段階 第6段階 びその通 ノン・コルレス ノン・コルレス ノン・コルレス コルレス コルレス 国際金融 称 下 位. ..中 位 上 位 標 準 上 位 業務型 外為取扱 500万ドノ 500万∼ 1,000万∼ 5,000万∼ 1億∼ 2億ドル 高(月間) 以下 1,000万 5,000万 1億ドル 2億ドル 以上 ドルまで ドルまで まで まで 銀行の淑 資本取引 扱国際業 務 融が中心 銀行の国 外為業務 東京ドル・ コルレス 標準的包 コルレス 国際金融 際業務の 初期 コ・−ル市 行直前の 招承認銀 包括銀行 を積極的 遂行方法 場への参 行 で国際金 加 融を試行 的に行う る。第1段階から第2段階への移行時期の見込みについては、1981年∼1984年 の間が、4行、そして1985年に第2段階に移行する銀行が1行である。 以上より、回答した銀行の約半数が、1970年代を通じて、第1段階から第2 段階に移行している。 (Ⅲ)第2段階から第3段階への移行時期 回答15行(このうち1行は、現段階が第3段階) 第2段階より第3段階への移行を、1960年代後半と回答した銀行は1行、 1970年代前半3行、1970年代後半が5行となっている。そして第2段階から第 3段階への移行の見込みは、1981年∼1984年の時期が5行そして1986年が1行 となっている。 以上より、第2段階から第3段階への移行は、概ね1970年代前半から1980年 前半に生じているといえよう。

(18)

香川大学経済学部 研究年報 31 −J∂− J99J (Ⅳ)第3段階から第4段階への移行時期 回答10行(このうち現段階が第4段階が2行)

第3段階から第4段階への移行が、1970年代前半は2行、1970年代後半が3

行である。そして1981年∼1984年の間に第4段階に㌧入いる見込みのある銀行が 3行、そして1985・6年が2行である。 以上より、第3段階から第4段階へ・は、1970年代後半より1980年前半にかけ て移行していくようである。 (Ⅴ)第4段階から第5段階への移行時期 回答 8行(このうち現段階が第5段階が1行) 第4段階より第5段階への移行を行なった銀行は、1970年代前半と後半に、 それぞれ、1行であるが、1981年′・・/1984年の間に5行が、第5段階に移行する 見込みがあると回答している。そしてその見込みは1985。6年には2行となっ ている。 以上より、1980年代前半に、第4段階より第5段階への移行が見込まれてい る。 (Ⅵ)第5段階から第6段階への移行時期 回答 9行(このうち現段階が第6段階が1行) 第5段階から第6段階への移行が、1981年∼1984年の問と見込んでいる銀行 が5行、1985・6年に第6段階に移行すると見込んでいる銀行が3行である。 回答8行のうち、現段階が第5段階が2行、第4段階が6行となっているの で、1980年現在において第4段階以降に入っている銀行が1980年代前半には第 6段階に移行す−ると見込んでいる。 (b)国際化への準備・対策 回答13行(1988年) 22行(1981年) 1988年の調査では、国際化への準備・対策としては、(A)人材育成、ノウハ ウの蓄積、が回答数の529%、(D)支店・駐在員事務所の増設、が294%、(B) 取引高増漁、外貨建運用資産増大、顧客増大、が11−8%、そして(E)事務体 制の整備、が59%である。これに対し、1981年の調査では、(A)が268%、 (B)が244%、(C)コルレス認可、が19“5%、(E)が171%、(F)ドル・コー

(19)

わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −J9− ル市場への参加、が7,3%そして(D)が4.9%となっており、回答が、1988年 の調査に比べると多様化しセいる。とくに、1981年の調査では、(C)のコルレ ス認可が重視されている。これはへ301(a)の質問に対する回答を参考にする と、1970年代後半までは第1段階から第2段階への移行期でありこの時期にコル レス認可を得ること・が国際化への準備・対策としてウェイトが相対的に大きい ことを示している。 (c)外国為替取扱高(月間平均) 回答 21行(1988年) 外国為替取扱高は、1億ドル未満より150億ドルまで銀行によって大きく異 なっている。21行中の2/3が20億ドル未満である。 302け 国内業務に比しての海外業務の魅力 回答19行(1988年) 22行(1981年) 1988年の調査によれば、回答数に占める割合の高いものから(A)収益性の 高さ、収益機会の拡大、が359%、(D)業務多様化、顧客の多様化、新金融手 段が進んでおり資本取引の拡大も含め自由に扱える、が23′ノ1%、(C)資金調達 の容易さ、地場企業支援の容易さ、が179%、(G)ノウハウの蓄積、人材の育 成、が128%、(E)広大で弾力的な国際市場の存在、国内に比べ規制が少なく 自由な取引を行いうる、が7.7%、そして(F)プレスティージの問題、が26% である。1981年の調査では、(A)と(D)が280%、(C)が240%、(E)が160 %、そして(F)が4.0%である。1988年の調査は、1981年のそれと比較する と、(C)、(D)および(E)の魅力の相対的低下と(G)の相対的上昇を示してい る。このことは、1970年代後半から1980年代後半にかけて銀行が国際化の第3 段階へ・移行していることに関連しているように思われる。 ただし、グラフにある(B)高い成長性、は都銀と比較するために設けられ ているが、(B)を指摘した回答は無かった。 303り 海外支店の営業重点の異同 回答17行(1988年)

(20)

香川大学経済学部 研究年報 31 −ブロー一 J99J 2行(1983年) 12行(1981年) 1988年および1983年の調査では、回答した銀行のすべてが、海外支店の営業 重点が異なる、と答えており、1981年の調査では、12行中10行が、異なる、と

答え、2行が、異ならない、と答えている。

質問項目(へ)資本取引(為替・証券)が、1988年の調査では、新たに設け られている。1983年および1981年の調査では(へ)の項目は、その他になって いる。 (Ⅰ)ニューヨーク支店 回答17行(1988年) 2行(1983年) 9行(1981年) 1988年の調査では、営業の重点の高いものから、(へ)資本取引、が216%、 (ホ)日系企業以外の企業への貸出、が185%、(ニ)日系企業への貸出、が170 %、(ロ)資金調達、が166%、(ハ)周辺業務、が10.7%、(イ)貿易金融、が88 %、そして(ト)その他、が6.8%である。1983年の調査では、(イ)が33%、 (ロ)および(ホ)が209%、(ニ)が16.3%、(ハ)が14.0%、(へ)その他、が47 %である。1981年の調査によると、(イ)が、249%、(ロ)が、214%、(ニ) が、19.4%、(ホ)が15.2%、(へ)その他、が109%そして(ハ)周辺業務が8.1 %となっている。 ニ,ユーヨt− ク支店では、1981年より1988年にかけて(イ)貿易金融の比率が 相対的に減少し、(へ)資本取引(1988年の調査において設けられた項目)の 比率が高い。 (Ⅱ)ロンドン支店 回答15行(1988年) 2行(1983年) 9行(1981年) 1988年の調査では、順位の高いものから、(へ)資本取引(為替・証券)、が 216%、(ロ)資金調達、が18.8%、(ホ)日系企業以外の企業への貸出、が16.4 %、(ハ)周辺業務、が156%、(ニ)日系企業への貸出、が14.5%、(イ)貿易

(21)

わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −2ノー 金融、が95%そして(ト)その他、が34%である。1983年の調査によれば、 (ロ)が273%、(ホ)が22“7%、(ハ)が18。2%、(イ)が159%、(ニ)が11.4% そして(へ)その他、が45%である。1981年の調査では、(ロ)が26い6%、(イ) が21.5%、(ニ)が164%、(ホ)が138%、(ハ)周辺業務、が131%、(へ)そ の他、が86%である。 ロンドン支店では、1981年の調査によれば、(ロ)資金調達と(イ)貿易金融 とが、上位にある主な業務であるが、1983年の調査では、1981年の調査と比べ ると(イ)貿易金融、のウェイトが低下し(ホ)日系企業以外の企業への貸出、 のウェイトが上昇している。そして1988年の調査では、(イ)貿易金融のウェ イトがさらに低下し、(へ)資本取引、(ロ)資金調達、そして(ホ)日系企業 以外の企業への貸出、が主な上位の業務である。 (Ⅲ)アジア 回答16行(1988年) この地域は、1988年の調査において新たに設けられている。1981年および 1983年の調査では、アジア地域は、ニ、ユーヨ・− ク、ロンドン以外の支店の中に 分類されている。 1988年の調査によれば、アジア地域における支店の営業重点は、ウェイトの 高いものから順に、(へ)資本取引、が196%、(ニ)日系企業への貸出、が178 %、(ホ)日系企業以外の企業への貸出、が165%、(イ)貿易金融、が14.4%、 (ロ)資金調達、が136%、(ハ)周辺業務、が93%そ・して(ト)その他、が8“9 %である。1988年の調査では、アジア地域においても、ニューヨー・クおよびロ ンドン支店と同様に、(へ)資本取引、(ニ)日系企業への貸出、(ホ)日系企業 以外の企業への貸出のウェイトが高いが、ニュ1−ヨーク、ロンドン支店と異な り、(イ)貿易金融のウェイトも高い。 (Ⅳ)その他 (1)1988年の調査

回答 5行

1988年の調査では、(Ⅰ)ニューヨーク、(Ⅱ)ロンドンそして(Ⅲ)アジア 以外の支店における営業重点は、(ニ)日系企業への貸出、が19.6%、(へ)資 本取引、が17,9%、(ホ)日系企業以外の企業への貸出、が16.2%、(イ)貿易

(22)

香川大学経済学部 研究年報 31 ー22− J99J 金融、および(ハ)周辺業務、がともに150%、(ロ)資金調達、が12.8%、そ して(ト)その他、が3.4%となっている。 エコ.−ヨーク、 ロンドンおよびアジア以外の支店における営業重点の多様化 が示されている。 (2)1983年と1981年の調査 回答 1行(1983年) 6行(1981年) 1983年と1981年の調査において、アジア地域は、ニューヨーク、ロンドン支 店以外のその他支店の申に含まれている。1983年の調査では、回答した銀行は 1行のみであるが営業の重点の大きいものから順に、(ロ)資金調達、が28.6 %、(ホ)日系企業以外の企業への貸出、が23“8%、(ニ)日系企業への貸出、 が190%、(イ)貿易金融、が14“3%、(ハ)周辺業務、が9“5%そして(へ)そ の他、が48%である。1981年の調査では、(イ)が、259%、(ニ)が22。8%、 (ロ)が18.5%、(ホ)が15,0%、(ハ)が139%、(へ)が46%となっている。 1981年の調査は、(イ)貿易金融、(ニ)日系企業への貸出、(ロ)資金調達が、 上位の主な業務であることを示しているが、1983年の調査は、回答が1行のみ であるので−・般的傾向であるとはいえないが、(ロ)資金調達、(ホ)日系企業 以外の企業への貸出、が上位の主な業務であって、(イ)貿易金融のウェイト が、1981年の調査に比べて低下している。 304.「日本以外への貸出」の地域的内訳 回答19行(1988年) 7行(1983年) 7行(1981年) (1)1988年の調査においては、(イ)先進国向け、が637%、(ロ)発展途上国 向け、が264%そして(ハ)社会主義国向け、が99%である。1983年の調査 によれば、(イ)が374%、(ロ)が543%そして(ハ)が8.3%となっている。 さらに、1981年の調査は、(イ)が、184%、(ロ)が、729%そして(ハ)が 87%である。以上より、1980年代における日本以外の貸出地域が、発展途 上国から先進国へと推移していることがわかる。

(23)

わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 叫2∂− (2)1988年の調査では、先進国地域および発展途上国の各地域における内訳に ついての回答を得ている。先進国内の内訳は、米国37.4%、欧州35.0%そし てその他の地域が276%である。発展途上国内の地域別内訳は、アジアが 89.9%、中南米が6.1%そしてアフリカが4り0%である。先進国向け貸出地域 の72..4%が欧米であり、発展途上国向け貸出の約90%がアジアである。 305.発展途上国向け貸出について 1988年の調査では、1981年および1983年の調査と異なり発展途上国を重債務 国とそれ以外の発展途上国に分類している。 [Ⅰ]1988年の調査 (a)重債務国 (1)重債務国(ブラジル、メキシコ、アルゼンチン等)向け貸出の意思 回答10行 重債務国向け貸出については、10行中9行が(Ⅴ)割合も額も減少させたい、 と回答し、1行のみが(り割合も額も増加させたい、と答えている。 (2)重債務国向け貸出の理由 回答15行 重債務国向け貸出については、回答したはとんどの銀行が割合も額も減少さ せたいと考えているが、その理由は(C)貸出宅酌まなく今後の予定もない、が 回答数の中で56.3%、(B)リスク、債務返済のメドが立たない、が313%、そ して(A)資産の健全性を向上させたい、が12.5%である。 (b)その他の発展途上国 (1)重債務国以外の発展途上国向け貸出の意思 回答14行(1988年) 14行中6行の429%が、(Ⅱ)割合は変化させないが額は増加させたい、と 答えている。(Ⅰ)割合も額も増加させたい、が286%、(Ⅳ)額をはぼ−・定に 保ちたい、が14.3%、そして(Ⅲ)割合は減少させるが、客酌ま増加させたい、 と(Ⅴ)割合も額も減少させたい、がともに71%である。 (2)重債務国以外の発展途上国向け貸出の意思:その理由 回答14行(1988年)

(24)

香川大学経済学部 研究年報 31 一ゴ・ノー J99J

回答数の多いものから、(A)収益性確保、が438%、(B)体力に応じ良好な

貸出に協力し、アジア向け貸出を増強中であるため、が25.0%、(F)カントリー・

リスクが増大しつつある、が12。5%そして(C)邦銀の使命、(D)先進国向け

案件が少ないため、(E)国別与信を少額に抑制申、の3つがともに6・3%であ

る。この(F)カントリー・リスクが増大しつつある、と(E)国別与信を少額

に抑制中、とが発展途上国向け貸出を抑制している理由であろう。

[Ⅱ]1983年および1981年の調査

1983年および1981年の調査では、発展途上国を1988年の調査のように重債務

国とその他の途上国とに分類していない。

(1)発展途上国向け貸出の意思 回答 6行(1983年) 6行(1981年)

1983年の調査では、(Ⅲ)割合は減少させるが額は増加させたい、が4行、

(Ⅱ)割合は変化させないが額は増加させたい、が2行であり、6行すべてが

貸出額を増加させたいと考えている。1981年の調査では、(Ⅱ)と(Ⅲ)とがと

もに2行、(Ⅰ)割合も額も増加させたい、と(Ⅳ)額をほぼ一足に保ちたい、

とが、それぞれ、1行である。

以上より、1980年代前半においては、発展途上国への貸出額を増加させる意

向であったが、1980年代後半になると重債務国への貸出を減少させるが、それ

以外の発展途上国への貸出額は、増加傾向にある。

(2)発展途上国向け貸出の意思:その理由 回答11行(1983年) 10行(1981年)

1983年の調査によると、途上国向け貸出の理由として、回答数に占める比率

は、(A)国際金融業務の多様化、と(D)該当なし、貸出なし、とがともに、

41。7%、そして(C)リスク低下、が16.7%となっている。1981年の調査では、

(E)着実に案件ごとに行う、が40.0%、(A)国際金融業務の多様化、と(D)

該当なし、貸出なし、とがともに200%、そして(B)国別与信残の自己資本

への一・定率限度と(C)リスク低下、とがともに100%である。

以上より、1981年の調査では、途上国向け貸出について(E)着実に案件ご

(25)

わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −25− とに行う、という回答が最も多ぐ慎重な態度がみられるのに対して、1983年の 調査では、(D)該当なし、袋出なしという回答もあるが、(A)国際金融業務の 多様化による貸出であることが、主要な理由であることから途上国向け貸出に 伴う状況の変化があるものと思われる。 306..発展途上国向け貸出の困難性について [Ⅰ]1988年の調査 (a)重債務国 (Ⅰ)問題点 回答15行(1988年) 重債務国向け貸出の問題点としては、回答数の多いものから、(A)欧米主導 のリスケジふ・−ル、カントリー・リスクなどで政治問題となり、事実上償却不 可能になる、が588%、(E)実績がない、が235%、そして(B)債権の償却も できない、(C)無税引当枠(1%)が少ないそして(D)事務量が多い(引当金、 利収etc)、がともに59%である。 (Ⅱ)対応策 回答10行(1988年) 重債務国向け貸出に伴なう問題点に対する対応策としては、(D)取組みを避 ける、が50.0%、(B)ボンドへシフト償却、が20.0%、(A)利用可能なDebt Equity Swapで、ユーロダラーに協力支援しっつ対応、(C)セカンダリ、−で売 却および(E)特にない、がともに100%である。 (b)重債務国以外の発展途上国向け貸出の困難性について (Ⅰ)問題点 回答13行(1988年) 重債務国以外の発展途上国向け貸出についての問題は、回答に占める比率の 高いものから、(A)カントリ・−・リスクが増大しっつあり、その把握が問題、 リスク・デフォルトの危険、政情不安・高インフレなど現地情報入手困難、信 用リスク、が692%、その他に(B)政策の継続性と有効性に問題がある、(C) 利鞘が小さくリスクを取れる案件が少ない、(D)ソブリン性の低下そして(E) 特になし、がともに77%となっている。

(26)

香川大学経済学部 研究年報 31 −26− J99J (Ⅱ)対応策 回答11行(1988年) 重債務国以外の途上国向け貸出に伴う困難への対応策として、(B)情報を入 手し審査体制を拡充する、融資案件の選択、与信先国の調査・選別、リスク管 理の徹底、国別与信、方針、枠の徹底、が727%、(C)短期・中期貸出で対応、 が18.2%、そして(A)カントリー・・リスクのため保守的に対応すること、が 9.1%である。 [Ⅱ]1983年と1981年の調査 回答 9行(1983年) 9行(1981年) 1981年および1983年の調査では、発展途上国を重債務国とそれ以外の途上国

に2分していない。また、対応策についても問うていない。アンケートでは、

発展途上国向け貸出の問題点として(Ⅰ)貸出先国の政治的安定性、(Ⅱ)貸出 先国の経済および為替安定性、(Ⅲ)貸出先の投資計画や計画遂行能力、そし て(Ⅳ)貸出先の償還計画や債務支払い能力、の4点について順位を付ける質 問である。 1983年の調査によれば、(Ⅰ)が弘7%、(Ⅳ)が306%、(Ⅱ)が23.5%、そ して(Ⅲ)が112%である。1981年の調査では、発展途上国向け貸出の問題点 は、順位の高いものから、(Ⅰ)が340%、(Ⅱ)が、270%、(Ⅳ)が22“0%、 そして(Ⅲ)が170%である。 以上より、1983年と1981年の2つの調査において、発展途上国向け貸出の最 大の問題点は(Ⅰ)であるものの、1983年の調査は、1981年の調査と比べると、 (Ⅱ)と(Ⅲ)のウェイトが若干低下し、(Ⅳ)のウェイトが若干上昇している。 307.カントリー・リスクの評価方法 回答 20行(1988年) 13行(1983年) 1981年の調査では、この設問はない。 1988年の調査によれば、カントリー・ リスクの評価方法としては、(A)諸資 料による、InternationalInvestor誌、日本公社債研究所「カントリー・リスク

(27)

わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −27− 情報」、公的機関誌(IMF、OECD、世銀et,C)、世界経済情報サービス(WGS)、 その他金融機関資料、が405%、(F)定性分析、グループ別ランク付け(ヒア リング)、が216%、(B)取引先都銀、財団法人輸出保険協会、大蔵省、大使 館、ジェトロなどの情報、が16.2%、(E)定員分析、が13.5%、そして(C)過去 の事故、(D)政府経済の情報(政治権力の安定性)および(G)案件ごと評価し 事前に国別分析を行わない、がともに2.7%である。1983年の調査によれば、 (A)が381%、(F)と(H)とがともに143%、(B)と(D)が、ともに95%、 そして(C)と(E)とが、それぞれ、4.8%となっている。1988年の調査は、 1983年の調査と比べて、(B)、(E)および(F)の比率が上昇している。 308.日系企業向け貸出とそれ以外の企業向け貸出の割合 回答 20行(1988年) 7行(1983年) 7行(1981年) (1)日系企業向け貸出とそれ以外の企業向け貸出の割合 1988年の調査によれば、(イ)日系企業向け貸出が、8.0%、(ロ)それ以外の 企業向け貸出が,92.0%である。1983年の調査では、(イ)が283%、(ロ)が71。7 %であり、1981年の調査は、(イ)が429%、(ロ)が571%である。 以上より、日系企業向け貸出比率が、1980年代において次第に減少している。 (2) 日系企業以外の企業向け貸出の内訳 回答 20行(1988年) 1988年の調査では日系企業以外の企業向け貸出の内訳についてたずねている。 日系企業以外の企業向け貸出の内訳は、民間機関が28.9%、公的機関が711%

である。つまり、日系企業以外の貸出の内、約7割が公的機関向け貸出である。

309.海外日系企業向け貸出と既存国内淑引との関係 回答17行(1988年) 6行(1983年) 10行(1981年) 1988年の調査では、(Ⅱ)原則的に重視す−る、が58。8%、(Ⅰ)必ず重視する、

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香川大学経済学部 研究年報 31 −2∂− J99J が29.4%、そして(Ⅴ)案件ごとに検討する、が118%である。1983年の調査 によれば、(Ⅰ)が50.0%、(Ⅱ)が333%、そして(Ⅴ)が16.7%である。1981 年の調査は、(Ⅰ)と(Ⅱ)が、それぞれ、50.0%であることを示している。 以上より、(Ⅰ)必ず重視す−る、が相対的に減少じている。 310.日本以外の貸出の申の長短の割合 回答 20行(1988年) 8行(1983年) 7行(1981年) 1988年の調査によれば、(イ)長期もの、が89.1%、(ロ)短期もの、が109 %である。1983年の調査では、(イ)が81.0%、(ロ)が190%、そして1981年 の調査は、(イ)が72.9%、(ロ)が271%である。 以上より、1980年代を通して長期ものの比率が上昇し、短期もののそれが減 少している。

311.海外貸出の外貨建と円建の割合

(1)外貨建と円建との割合 回答 20行(1988年) 外貨建と円建との比率は、それぞれ、462%と53.8%であり、はば半々であ る。 (2)外貨建の内訳 回答19行(1988年) 外貨建貸出の中で、ドル建の割合が960%、その他が4%である。外貨建の 貸出は、ほとんどドル建である。 312ひ 「短期借り・長期貸し」についての見解 回答 21行(1988年) 19行(1983年) 16行(1981年) 1988年の調査では、「短期借り、長期貸し」については、(Ⅱ)原則的には認

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わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −29− められるが、金融逼迫期において問題が生じる恐れがあるので慎重におこなわ なければならない、が682宛、(Ⅳ)原則的に認められず、債権・債務の満期 ははば−・致させるように銀行は行動すべきである、が18い2%、(Ⅴ)その他、 が91%、そして(Ⅱ)原則的には望ましくないが、貸出先の企業の業務内容 などに問題がなければ、一これを行ってもよい、が4。5%となっている。1983年 の調査によれば、(Ⅳ)が50.0%、(Ⅱ)が45。5%そして(Ⅴ)が5.0%である。そ して1981年の調査では、(Ⅱ)が64,7%、(Ⅳ)が23,5%そして(Ⅱ)と(Ⅴ)が、 それぞれ、5.9%である。 以上より、1981年の調査では、(Ⅱ)原則的に認めうるが慎重に行わなけれ ばならない、が647%と多数意見であるが、1983年の調査ではその比率が若干 低下し、(Ⅳ)原則的に認められない、債権・債務の満期を−・致させるべきで ある、が多数意見となるが、1988年の調査では再び(Ⅱ)が68.2%と多数意見 となっている。 「短期債り・長期貸し」に関しての意見については、1980年代 を通して少し変動はあるものの、(Ⅱ)が主流であるといえよう。 313.長期貸出での固定レート方式の割合 回答 20行(1988年) 7行(1983年) 7行(1981年) 1988年の調査では、長期貸出での固定レート方式の割合をたずねているのに 対して、1983年と1981年の調査においては、長期貸出でのフローティング・レー ト方式の割合をたずねている。 (1)1988年の調査では、長期貸出での(イ)固定レート方式の割合は、484 %で、(ロ)その他のもの、が51.6%である。 (2)1983年の調査によれば、長期貸出での(ロ)フロ・−ティング・レート方 式、が58.9%、(イ)その他のもの、が411%である。1981年の調査では、 (ロ)が、77り4%、(イ)が、22.6%である。 以上より、1980年代を通して固定レート方式が、相対的に上昇している。

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香川大学経済学部 研究年報 31 ー∂♂− Jpさ)ノ 314.海外営業拠点の営業用資金の調達方法 回答 5行(1988年) 2行(1983年) 1行(1981年) 1988年の調査では、(イ)海外営業拠点による預金・借入れによる海外での 自己調達、が784%、(ロ)日本(本店)からの資金調達、が21.6%である。 1983年の調査によれば、回答が2行であるが、(イ)が450%、(ロ)が55.0% である。1981年の調査では、回答は1行のみであるが、(イ)が100%である。 315ル 海外金融市場における資金調達地域 回答 5行(1988年) 1行(1983年) 1行(1981年) 1988年の調査では、(イ)アメリカ、が670%、(ロ)ヨーロッパ、が30%そ して(ハ)その他、が弧0%である。1983年の調査によれば、回答が1行のみ であるが、(イ)が、800%、(ロ)が、200%である。1981年の調査において も、回答が1行のみであるが、(イ)が180%、(ロ)が、720%、そして(ハ) が270%である。 以上より、海外での資金調達地域は、アメリカおよび欧州が主流である。 316“海外での資金調達の長短割合 回答 4行(1988年) 2行(1983年) 1行(1981年) 1988年の調査によれば、(イ)長期もの、が13.8%、(ロ)短期もの、が86,3

%である。1983年の調査では、(イ)が、40%、(ロ)が、96.0%、そして1981

年の調査では、(イ)が260%、(ロ)が740%である。 この項目に回答した銀行は数少ないのであるが(310)の調査結果をあわせ て考えると、短期債り・長期貸しの傾向がみられる。

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わが国の地方銀行の国際化に関する実態分析 −βノー 317.海外での資金調達の外貨建と円建の割合 回答 5行(1988年) この項目は、1988年の調査において新たに設けられたものである。 (1)回答5行の申で、(イ)外貨建て、が910%、(ロ)円建て、が9。0%であ る。 (2)海外調達資金のうち外貨建の内訳は、(i)ドル建て、が727%、(ii)そ の他、が273%である。 以上より、海外での資金調達の66.1%がドル建てとなっている。 318… 変動相場制の下での海外営業運営上の問題点 これは、1988年の調査において設けられた質問項目である。 (Ⅰ)海外業務運営上の問題点 回答12行(1988年) 海外業務運営上の問題点としては、(B)連結決算では収益の円建額が変わり プレル、現地通貨建資産の為替差損、が333%、(E)金利リスク、調達 リスク の多様化とその管理体制、および(G)特になし、が167%、そして(A)収益 機会の増大、(C)運用・調達とも現地通貨で行うので為替リスクはない、(D) 海外にネームバリューなくクレジット ・ラインなど活動が限定される、そして (F)人材不足、がそれぞれ、8。3%である。 (Ⅱ)望ましい為替相場制度 回答13行(1988年) 望ましい為替相場制度として、回答数の割合の高いものから、(B)現行変動 相場制、が61,5%、(A)目標相場圏設定、が154%、そして(C)レファレン ス方式での変動相場制、(D)一足幅設定の変動相場制および(E)特になし、 が、いずれも、7.7%である。 以上より、変動相場制が、条件付きの変動相場制も含めて、基本的に支持さ れていえよう。 319.銀行周辺業務の魅力 (a)銀行周辺業務の魅力の有無

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香川大学経済学部 研究年報 31 −32− J99J 回答18行(1988年) 8行(1983年) 17行(1981年) 銀行周辺業務に魅力があると回答した銀行の割合は、1988年の調査では889 %、1983年および1981年の調査では、それぞれ、625%および52。9%である。 これより銀行周辺業務に対する魅力は、次第に上昇している。 (b)各種銀行周辺業務の魅力の順位 回答16行(1988年) 3行(1983年) 9行(1981年) 1981年と1983年の調査では、1988年の調査と異なり、(Ⅲ)投資顧問業務と (Ⅳ)信託業務の2項目は設けられていない。 1988年の調査によれば、ウェイトの高いものから、(Ⅰ)証券業務、が24.1 %、(Ⅳ)信託業務、が18.0%、(Ⅱ)投資顧問業務、が17.5%、(Ⅱ)リ・−ス、 が蛤9%、(Ⅴ)コンサルティング、が122%、(Ⅵ)か−・ド業務、が7“9%、そ して(Ⅶ)その他、が3.4%である。1983年の調査では、(Ⅰ)が、331%、(Ⅱ) が、245%、(Ⅴ)および(Ⅵ)が、ともに179%、そして(Ⅶ)が、66%となっ ている。1981年の調査は、(Ⅰ)が28.1%、(Ⅵ)が23.1%、(Ⅴ)が200%、(Ⅱ) が188%そして(Ⅶ)が100%であると示している。 銀行周辺業務の魅力が多様であることが示されているといえよう。 320.為替リスク回避のための対応策 回答19行(1988年) この項目は、1988年の調査で新たに設けられたものである。 為替リスク回避のための対応策としては、回答数の割合の高いものから、 (A)持高の縮少、先物予約や金融先物取引を利用し通貨のマ・−ケツティングを 行い総合持高をスクェアにするよう努める、が708%、(B)外貨の調達と運用 をマッチングしリスクを排除する、が208%、(C)外貨利息分を為替へッヂし ている、と(D)積極的にリスク・テイクするときもある、がともに4.2%であ る。

(33)

わが国の地方銀行の国靡化に関する実態分析 −33− 以上より、為替リスク回避のための対応策としては持高調整が主流である。 4.国際化を進めるにあたっての制約について 401.国際化にあたっての制約 (Ⅰ)内部的制約 回答19行(1988年) 17行(1983年) 22行(1981年) 国際化を進めるにあたっての銀行内部の制約として、1988年の調査によれば、 (B)人員不足、人材確保、人材養成、が444%、(G)行内の認識不足、資金の 不足、円資金枠不足等、が361%、が主な制約である。その他に、(F)経費高・ 収益不足、採算時期の見込みが立たない、が8.3%、(A)ローカル行員の人事 問題、人事面での国内業務とのバランスおよび(C)情報処理能力のおくれ、 ノウハウ不足がともに56%である。1983年の調査では、(A)が389%、(F) が222%、(E)業務の合理化、機械化、が167%、(B)および(G)が、ともに 83%である。1981年の調査になると、1988年のそれと同様に、(B)と(G)の ウェイトが高く、(B)が、45−8%、(G)が、35√4%である。そして、(0が14−6 %、(D)と(F)がともに21%となっている。 以上より、1988年の調査と1981年のそれは、主な内部的制約については類似 しており、1983年の調査においての主要な制約である(A)ロ・−カル行員の人 事問題、人事面での国内業務とのバランス、および(F)経費高・収益不足、 採算時期の見込みが立たないは、1981年と1988年の調査では、全くかあるいは あまり制約とはなっていない。 (Ⅱ)外部的制約 回答17行(1988年) 18行(1983年) 22行(1981年) 外部的制約として、1988年の調査では、(B)国内当局による為替店舗業務規 制、行政指導、日銀指導、が440%、(A)海外での外銀規制、日系金融機関締 め出し(ロンドン)、BIS自己資本比率規制、日本の銀行のオーバー・プレゼ

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