■ 金沢医科大学国際交流 20 周年 記念式典・ 記念講演会(富田重亮氏) 第 17 回総合医学研究所市民公開セミナー 〈最良のがん医療を求めて〉 ■学事 第 33 回教育懇談会: ハワイ大学 Izutsu 教授 第 33 回解剖体合同追悼法要 医学部第 2 学年看護実習・報告会 新任教授紹介
An International Association for Medical Education in Europe(AMEE)2005 参加報告 平成 17 年度オープンキャンパス ■学生のページ 第 5 回バーモント大学医学部での夏期医学研修報告 第 8 回ハワイ大学夏期語学・医学研修報告 医学部学生のメディカル・ホームステイ報告 金沢医科大学病院・先端医療なるほど図鑑に参加して 「金澤夕暮れ祭り」禁煙支援パネルでキャンペーン 課外活動: ヨット部、クラシック音楽同好会 学生の表彰 第 34 回内灘祭・第 30 回看学祭 ■学術 平成 18 年度科研費補助金学内公募説明会・学内監 査 第 35 回日本耳鼻咽喉科感染症研究会 第 40 回アルコール・薬物医学会総会 第 65 回日本解剖学会中部支部学術集会 石垣靖人講師 北國がん基金研究助成を受ける ■病院 第 26 回関連病院会議 院内感染に関する教育講演会 病院本館−新館連絡通路オープン 第 394 回私立医科大学栄養研究会 金沢医科大学病院:先端医療なるほど図鑑 第 5 回臨床研修医指導医のためのワークショップ ■図書館: 新着図書の紹介 ■随想・報告 映画は楽し Part 1 ■管理・運営 平成 17 年度互助会 夏・秋のバス旅行 □金沢医科大学学術振興基金 募金
November 2005
「ツール・ド・のと 400」へ発進今から20 年前、本学が開学10 周年を迎えたころには、 医学部、大学院、総合医学研究所の前身である熱帯医学 研究所・人類医学研究所などが整備され、海外との学術 交流が種々の形で全学的に盛んに行われるようになって いた。それから20 年、その間には282 名の研究留学生の 受け入れをはじめとして、多くの人材がグローバルな規 模で交流してきた。その歴史を振り返り、将来への展望 を考えるべく、金沢医科大学国際交流 20 周年記念式典 ならびに記念講演会が企画され、上記のとおり国内外の 関係者の出席を得て盛会裏に開催された。 記念式典では、小田島粛夫理事長は本学が行ってきた 国際交流の足跡とその功績を振り返り、この記念行事を さらなる発展への一里塚としたいと式辞を述べ、来賓の 中国華中科技大学同済医学院田 玉科学院長、中国医科 大学趙 群学長、中日友好病院高 海鵬副院長、米国 Mercer 大学 Ann Jobe 医学部長、Hawaii 大学医学部 S. lzutsu 上席医学部長代理の各位から祝辞が述べられた。 続いて、今までの国際交 流に大きな功績のあった T. J. Lin 前 Mcrcer 大 学 副 医 学 部長、黄肇栄同済医学院日 本語教授、佐々木一之本学 名誉教授、大瀧祥子本学英 語教授の 4 名の方に対して 感謝状が贈られた。さらに、 帰国留学生の講演として、 韓 徳民首都医科大学附属同 仁医院病院長、鄒 麗同済医 学院教授、魏 育林中日友好病院教授、Yeo Hans Cahyadi インドネシア・フサダ病院院長の 4 名の方から、内灘で 過ごした厳しかった研究生活や楽しかった人々との交 流、そして帰国後の活躍と現況などが紹介された。 特別講演では、元国連農業開発基金副総裁で現北京大 学現代日本研究講座主任教授の冨田重亮先生が「中国と 東アジア: 共存共栄への模索」と題して講演され、政治 的には大きな困難を抱えているように見える日本と中国 および東アジア諸国だが、実際的な人的交流は年々拡大 し、政治的、経済的な相互の依存関係は確実に深化して おり、そのような人間関係の深まりが、必ず現在の政治 的困難を乗り越えるとの先生の信念を述べられて、本学 が長期間にわたって続けているような地道なグロ一バル な人的交流の重要性を指摘され高く評価された。 会場を日航ホテル金沢に移して行われた祝賀会では、 海外からの来賓や留学経験のある本学学生をも交えてこ の度の記念行事を祝 い、旧交を温めある いは新しい友情を育 みつつ、国際交流の さらなる発展に向け て大きな夢を膨らま せた。 本記念行事の記録 は「金沢医科大学国 際 交 流 2 0 周 年 記 念 誌」 として刊行され ている。 (編集部) 記念式典・記念講演会: 平成17年9月10日(土)13: 30∼16: 45 金沢21世紀美術館 シアター21 祝賀会: 平成17年9月10日(土)17: 30∼19: 30 ホテル日航金沢 式典に列席の海外からの来賓 記念式典 記念講演の富田重亮先生 金沢医科大学国際交流20 周年記念誌
平成17 年10 月22 日(土)午後1 時より第17 回金沢医 科大学総合医学研究所市民公開セミナーが開催された。 今回は平成 17 年 10 月 1 日にオープンした21 世紀集学的 医療センターに合うテーマとして「最良のがん医療を求 めて」を取り上げた。参加人数は98 名であった。 講演1 では、「患者中心の集学的がん治療」と題して、 集学的がん治療センター長の元雄良治腫瘍治療学教授 が、各診療科の専門医師・薬剤師・看護師などがチーム となって患者さんに尽くす集学的がん治療の実際を、新 しく稼動した集学的がん治療センターの写真を示しなが ら解説した。フロアからは免疫療法の可能性について質 問があったが、抗体療法以外、科学的根拠のある免疫療 法にはまだ実用化されたものはないとの回答であった。 講演2では、「最新のがん診断:PET検査の有用性」と 題して、東 光太郎放射線診断治療学教授が、来年度本学 に導入予定のPET装置について実際の症例を呈示しなが ら説明した。現在はCTとPETを組み合わせたPET/CT 装置が一般的であり、精密なCT 画像と高感度のPET 画 像が見事に組み合わされた肺癌や悪性リンパ腫などの写 真は息を飲むほどに鮮明であった。フロアからはガリウ ムシンチとの比較、PET検査の安全性などに関する質問 があったが、ガリウムをはるかに凌駕する診断能を有し、 用いる放射性同位元素は微量でかつ短い半減期(110分) のため人体には安全であると明解に答えられた。 特別講演では、「腫瘍内科と外来化学療法」と題して、 田村和夫福岡大学医学部第 1 内科学教授が、米国で5 年 間の腫瘍内科のトレーニングを受けられ、日本での腫瘍 内科医の草分け的な役割 を担ってこられた歴史を 語られた。集学的治療が 最も有効な乳癌を例にと り、早期がんでも骨髄に は約 20%のがん細胞が存 在することから、早くか ら全身疾患として患者さ んを診ていく必要がある こと、発がん平均年齢が 60 歳を超えており、糖尿 病・高血圧などの生活習 慣病を併発している患者 さんが多いことからも内科医の関与が欠かせないこと、 患者・腫瘍・治療法の3 つの要素を常に考えることなど を強調され、福岡大学病院における外来化学療法の流れ を示された。フロアからは、免疫療法の是非・温熱療法 の機序・代替医療についての質問が活発になされ、田村 先生はエビデンスに基づいた対処が重要であると答えら れた。 患者中心の集学的がん治療とPET を含めた最新の診断 技術によるがんの早期診断により、腫瘍内科医がその専 門性を発揮し、外来化学療法を安全に実施することは患 者さんの大きな安心につながり、「最良のがん医療」へ と向かう力となることを確信したセミナーであった。 (集学的がん治療センター長・腫瘍治療学 元雄良治記)
第17回 総合医学研究所市民公開セミナー
日時: 平成17年10月22日(土)13: 00∼15: 30 場所: 金沢市文化ホール 特別講演 田村和夫教授(福岡大学医学部 第1 内科学) 講演1 元雄良治教授(腫瘍治療学) 講演2 東 光太郎教授(放射線診断治療 学) 最後まで熱心に聴き入る市民の方々テーマ:
Admission to the John A. Burns
School of Medicine
(JABSOM)
講 師: Satoru Izutsu 教授(ハワイ大学医学部 上席医学部長代理) 平成17 年9 月12 日(月)ハワイ大学医学部Izutsu 教授 を招いて、第 33 回教育懇談会を開催した。本学はハワ イ大学と平成 17 年 1 月から正式に提携を結んだ。しか し、exchange program が既に平成15 年からスタートして おり、現在まで3 名の本学第 6 学年学生をハワイ大学臨 床研修プログラムに派遣している。今年度は第6 学年の 上田るかさんが派遣されており、彼女の体験談は既に学 報 122 号に掲載されている。Izutsu 教授は現在 Senior Associate Dean であり、また入学試験委員会の委員長で もあることから、今回、氏が選んだテーマは「Admission to the John A. Burns School of Medicine(JABSOM)」であ った。 氏はまず JABSOM の使命から始まり、JABSOM 入学 者選抜の詳細を約45 分にわたり、ステップ・バイ・ステ ップで丁寧に説明された。 選抜者の最初のスクリーニングには、ハワイ州との関 連、出生地、出身校などの項目があり、明らかに地域枠 の概念が適用されている。実際、かなりの割合の学生が ハワイ関連者とのことである。もちろんMCAT(Medical College Admission Test)等の成績は重要項目であり、最 後に面接を行う。面接者の中には第4 学年(医学部最終 学年)の学生も加わる。このような評価を踏まえて、約 1,400 名の志願者から60 名の学生を選抜するということ である。 42 名の教職員が参加し、講演中から活発な質疑応答 が行われ、全体として十分な意見交換がなされた。今回 紹介されたハワイ大学入学者選抜の現況は本学にとって も参考となる点が多々あり、有意義な教育懇談会であっ た。 (教務部長 大原義朗記) Satoru Izutsu 教授 平成 17 年 8 月 8 日(月)午後 1 時から炎天の下、本学 慰霊碑前において第 12 回盂蘭盆会の墓参が行われた。 無償の崇高な篤志に感謝し、墓参には、午前の役員会を 終えた天寿会の作田 実会長をはじめとする役員ならび に一般会員の方のご参列をいただき、また、本学からは 分子細胞形態科学部門教職員ならびに関係職員など、総 数20 余名が参列した。 はじめに、天寿会を代表し作田会長、そして分子細胞 形態科学を代表し、平井圭一、篠原治道両教授が献花を 行い、続いて参加者全員による献花がしめやかに行わ れ、今までに献体をいただき納骨堂に安置されている御 霊の安らかなることをお祈りした。その後、会場に張ら れたテントの下で、天寿会会員の方々と本学関係者とが お茶を飲みながら歓談を行い、短い時間ではあったが交 流を深め散会した。 散会後無人となった慰霊碑の前には、残暑とは思えぬ 赤く刺すような陽射しの中、献花された純白のバラが涼 しげにそして優しく揺れていた。 (教学課 松本順治記)
平成 17 年 10 月 15 日(土)午後 2 時から真宗大谷派金 沢別院の本堂において、ご遺族、天寿会会員の方々およ び理事長、学長、病院長をはじめとする教職員、医学 生、看学生など約400 名が参列し、第33 回解剖体合同追 悼法要が厳かに執り行われた。 この追悼法要は、前年 9 月からの1 年の間に、解剖実 習のための系統解剖に献体をいただいた方々ならびに本 学病院で病理解剖にご協力をいただいた方々の崇高な篤 志に対して感謝の意を表し、その方々の御霊の安らかな らんことを祈念するために、毎年秋に真宗大谷派金沢別 院の本堂で行われるものである。本年は、系統解剖 13 柱、病理解剖 104 柱の合わせて117 柱の御霊のご冥福を お祈りした。 法要では、はじめに山本 達学長から「近年は、遺伝 子研究や再生医学などの先進医学、医療が目覚しく発展 してい ます。このような現代医学の中にあっても、人体 の構造を知り得る解剖実習ならびに新しい診断技術や治 療法の確立のための病理解剖の重要性はなんらかげるこ とはなく、ますますその重要性は大きくなっています。 このことにご理解とご協力をいただいた故人ならびにご 遺族の方々に深甚なる感謝の念を捧げ、一層の医学発展 に精進します」と追悼のことばがあり、続いて小田島粛 夫理事長から「系統解剖は、医学に携わる者としての倫 理観と社会的使命や責任を認識する上において極めて重 要であり、また、病理解剖は、それによってしか得るこ とのできない個々の症例の貴重な医学情報をもたらし、 医学・医療の進歩発展にとって必要不可欠であります」 と挨拶が述べられた。 その後、117 柱のご尊名が拝誦され、読経の流れるな か参列者の方々が焼香し、故人のご冥福を祈った。
平成17年度 天寿会総会・懇親会
平成17年度の天寿会総会および懇親会が、10月15日 (土)午前11時30分から真宗大谷派金沢別院の真宗会館 において、約80名の会員の参加を得て開催された。 総会では議事の審議に先立ち、昨年 9 月から今年 8 月 までの1 年間に成願された9 名の方々のご芳名が拝誦さ れ、参加者全員が黙祷を捧げご冥福を祈った。その後、 天寿会の今年度の事業計画が承認され、過去1 年間にお ける会員動向と天寿会役員会の開催状況および会報「天 寿」の掲載内容の変更などについて詳細な説明報告が行 われ、総会は終了した。 正午から昼食を兼ねた懇親会が行われ、1 年ぶりの再 会を喜び、近況を話し合い、来年の再会を約束し変わら ぬ健勝を誓い合うなど懇親が深められた。 引き続き開催された講演会では、昨年のアンケートの 結果を参考に、本学の脳脊髄神経治療学飯塚秀明教授か ら「脳卒中について−治療と予防−」と題した講演をし ていただいた。講演内容は、脳や神経、血管などの複雑 で繊細な仕組みやその障害の恐さ、また、最新の治療法 ならびに障害予防の重要性とその方法などのお話をして いただいた。通常、非常に難解と思われる脳、神経など のお話を大変分かりやすく話していただき、会員は熱心 に聞き入っていた。また、中にはメモを取る会員も見受 けられ、その関心の高さがうかがえた。 最後に、当日はあいにくの雨天であったが降雨の合間 に、本堂前において参加会員全員の集合写真撮影を行 い、天寿会会長をはじめ会員の方々ならびに関係者の協 力により、予定していた全ての行事を無事に終了した。 (教学課 松本順治記) 東別院本堂前にて記念撮影佐川
さ が わ元保
もとやす教授
(特任) 呼吸機能治療学(呼吸器外科)中泉
なかいずみ裕子
ひ ろ こ教授
(臨床) 感覚機能病態学(眼科学) 平成17 年10 月1 日付けで、呼吸機能治療学(呼吸器 外科)教授(特任)昇任の辞令をいただきました。 私は昭和57年に東北大学医学部を卒業、十和田市立 中央病院で一般外科中心のローテートによる初期研修 を2 年間行った後、東北大学抗酸菌病研究所外科学部 門(現在の東北大学加齢医学研究所呼吸器再建研究分 野)斉藤泰紀先生の研究室に入り、仲田 祐、藤村重文 両名誉教授、近藤 丘教授の指導のもと、仙台厚生病院 と合わせて約100床の病床数で働く中で、数多くの呼吸 器外科疾患の臨床経験を積む機会を与えられました。 その間、平成6年から8年まで米国NCIにて肺癌の分子 生物学の研究に従事いたしました。平成13 年4 月より 金沢医科大学呼吸器外科助教授に任ぜられ、以後当大 学で臨床・研究・教育にあたっております。 私の研究テーマは、肺癌に関連する中でも臨床に即 したものを主としており、肺癌検診の方法とその評価、 臨床疫学、早期肺癌の診断・治療、新しい気管支鏡の 開発、外科治療成績と予後因子の解析、胸腔鏡手術の 適用疾患・手技の拡大、術前・術後補助療法と多施設 臨床試験、気管支鏡によるIntervention治療、前癌病変 や早期肺癌の遺伝子解析などです。特に近年は胸部CT 検診が北陸でも行われてきており、従来の胸部X線で は発見できなかったような小さな陰影が続々と見つか ってきています。そのため、超早期癌の診断とその低 侵襲治療は重要なテーマとなってきています。 今後も、患者さんに選ばれる病院を目指して診療の レベルをさらに向上させること、次代を担う医学生・ 若手医師を育てていくこと、世界に通用する研究をこ の地より発信していくことを目標に、佐久間 勉教授を 支えて尽力いたす所存ですので、ご指導御鞭撻のほど よろしくお願いいたします。 【略歴】 1982 年 4 月 東北大学医学部卒業1994 年 1 月 米国国立癌研究所(National Cancer Institute) 留学 1997 年 4 月 東北大学加齢医学研究所附属病院外科助手 2000 年 8 月 東北大学医学部附属病院呼吸器外科講師 2001 年 4 月 金沢医科大学呼吸器外科助教授 2005 年10 月 金沢医科大学呼吸機能治療学(呼吸器外科) 教授(特任) 平成 17 年 11 月 1 日付けをもって、感覚機能病態学(眼 科学)臨床教授を拝命いたしました。金沢医科大学病院創 立時、金沢大学より初代教授倉知与志先生、吉村卓也助 教授、飛見立郎講師、梶川孝一先生、釣見尚美秘書、そ して私の6 人でスタートいたしました。 倉知教授は私の尊敬する先生のお一人で何も知らない私 に眼科の基礎を教えてくださいました。研究については金 沢大学解剖学教室本陣良平教授の下で涙腺の透過型、走 査型電子顕微鏡による形態学を学び、学位を取得いたしま した。いまでも地下室の電顕で総医研の栗原孝行講師と実 験の試料を検討するのを楽しみとしています。 それまで基礎的な眼科学を学んできましたが、佐々木一 之教授就任後、主に白内障特に手術に関して多くを学ばせ ていただきました。吉村助教授について浅ノ川病院にて日 本で初めて慶応大学の桑原式白内障超音波手術を経験させ ていただき、まだ粘弾性物質など今のように物資に恵まれ ていない時代の手術でしたが、その後石川県立中央病院に いらっしゃいました小坂輝彦先生に白内障手術に対する基 本手技を、大石隆興助教授、飛見助教授による弱視・斜視、 大槻潔非常勤講師による硝子体手術など、先輩の諸先生が たにご指導いただき、今の私の手術の基礎となりました。 現在の診療では主に小児に関しまして、特に小児白内障 手術において、まだ世界で、そして日本においてもまだ正 式に認可のおりていない小児眼内レンズ挿入の有用性につ いて多くの症例を経験し、眼内レンズ挿入により合併症が いかに減少し、有益であるかを学会でも報告しています。 弱視・斜視診療も携わる医師が少ないため後継者を作らな ければならないと考えています。内科医であった父の「医 療はチームワークが大事」の教えとともに看護師、パラメ ディカル、事務の方々とともに、人を思いやる医療を行っ てゆきたいと考えています。 医学生、研修医教育に関しましては、「病に休日はない」 が私のモットーですが、これを基本にしてPBL セミナーを より充実させ、勉学に励んでほしいと考えています。 【略歴】 1968 年 3 月 東邦大学医学部卒業 1968 年 4 月 金沢大学医学部研修医 1969 年 5 月 金沢大学医学部付属病院眼科副手 1970 年 4 月 金沢大学医学部眼科学教室医員 1972 年 4 月 金沢医科大学眼科学助手 1976 年 9 月 金沢医科大学眼科学講師 1988 年 4 月 金沢医科大学眼科学助教授 2005 年11 月 金沢医科大学感覚機能病態学(眼科学)臨床 教授
医学部看護体験実習が、平成17年8月29日(月)から9 月2日(金)までの5日間、本学病院で実施された。Early Clinical Exposure(早期臨床体験)の一環として平成 14 年度から第2学年の授業に取り入れられたものである。 事前に実施されたオリエンテーションでは、第2 学年 主任の西尾眞友教授が「実習の目的・内容」について説 明を行った。引き続き消化器内科福羅匡普医師の「院内 感染防止の知識、手洗いの実際」などの説明があり、横 畑房枝看護部副部長から実習全般の説明を受けた。個人 情報保護上の留意点についての説明もあった。 この実習の目的は2 つある。第1 に、6 年間の卒前医学 教育における比較的早い時期に、身をもって第一線の医 療現場を体験することにより、医学を学ぶ上での moti-vation をさらに強固なものにする。第 2 に、看護師の実 心の医療を学ぶことである。 8 月 29 日から 9 月 1 日の 4 日間、5 ∼ 6 人ずつのグルー プが21 の病棟に配属され、実習に入った。 医師および保健師、助産師、看護師法に抵触しない範 囲で以下の10 項目の体験実習を行った。 (1)引き継ぎカンファランスへの参加 (2)入院患者の誘導、入院時オリエンテーションの見学 (3)患者搬送等の実習 (4)ベッドメーキングをはじめとする療養環境の整備 (5)患者の訴えの聞き取り、記録の作成 (6)バイタルサインのチェック、三測表の作成 (7)医療介助の見学(指示受け、薬剤準備、手術前後 の準備、検査準備、創傷処置の介助、療養指導) (8)介護業務(体位変換、食事、清潔、排泄、歩行、 寝衣交換)の体験 (9)看護問診、入院診療計画書、看護診断、看護計 画、看護記録の作成の体験 (10)医師および他職種との連絡および報告 9 月 2 日に実習報告会を開催した。各グループが実習 における体験や感想等を発表し、これについて討論を行 った後、高田昌美看護師長から実習そのものや発表に対 するコメントをいただいた。 看護師の仕事の多彩さ、大変さについての新鮮な感 動、チーム医療において医師に求められている役割の重 要性に対する各自の考えなどについての発表が多かっ た。今後の医師への歩みにこの経験を生かしてゆきたい という決意の表明も聞かれ,今後の医学学習の一助とな る有意義な実習であった。 協力していただいた、看護師や病棟のスタッフの皆様 にこの場をお借りして感謝申し上げます。 (第2 学年主任・生体情報薬理学 西尾眞友記)
平成18年度
全国7
カ
所で開催
平成18年度本学入学試験の説明会が、平成17年8月1 日(月)から8 月 4 日(木)にかけて、全国 7 ヵ所(金沢、 札幌、仙台、福岡、東京、名古屋、大阪)で、受験生や その家族、高校の進路指導教諭等を対象として開催され た。参加者は上記 7 ヵ所で受験生 73 名、父母等 116 名、 教員15 名の延べ204 名(前年199 名)であった。 説明会では入試実施委員から「本学の概要」、「教育方 針」、「学生生活」、「平成18 年度入試要項」等について詳 細な説明が行われた。さらに、説明の中で創立30 周年記 念事業として作成したテレビ番組のダイジェスト版「医 学教育はいま、−金沢医科大学の挑戦−」を放映した。 参加者からは「とても詳しく説明してもらえたので具 体的なイメージをとらえることができた」、「ビデオを見 たことにより貴校の教育方針や教育内容が良くわかり、 是非入学して“良医”をめざしたいと思った」、「大学の 紹介だけでなく、患者さんの声や医師を志す者の在り方 なども聞けて良かった」などの感想を得た。その他に、 「オープンキャンパスには参加できないので、このよう な地方での説明会をしていただくのはありがたいです」 などの意見も寄せられた。 (入学センター 村井幸美記) 体験実習する医学部学生AMEE はこれまでに経験したことのない学術集会であ った。発表会やある種のお祭りのようなものではなく、 参加者が持ち寄った研究成果や話題をもとに討議が繰り 広げられ、「得る」ことの多い学会であった。渡航期間 が短く、ぎりぎりのスケジュールであったために参加で きなかったが、3 日間の会期以外にpre-とpost-conference が多く設けられていた。Amsterdam は観光地であるが、 午前 8 時過ぎから午後 6 時まで、終日会場は多くの参加 者で埋めつくされ、国際学会にありがちな「観光と休暇 を兼ねた学会」ではなかった。
私は臨床実習前の情意教育について“A letter from the sufferer in PBL tutorial”という試みについての発表(short communication)をした。医学教育でprofessionalism が重 要視される中、予想以上に高い関心を持ってもらうこと ができ、セッション中のみならず終了後も質疑や意見交 換に追われた。座長を務めていたドイツのUniversity of Erlangen-Nuremberg のEckhart G. Hahn 先生は、患者さん の生の声を聞かせた後の学生の反応が大変よかったとい う経験を話してくれ、こういった取り組みの効果を検討 してほしいと励まされた。各セッションでは各演題10 分 の発表と5 分の討論時間が設けられていた。さらに、す べての発表が終了したところで、セッション全体として の討論が、座長とは別のdiscussant のまとめとともに行 われた。演者はこの中で再び意見を求められるなど、ひ とつのシンポジウムのような構成で、セッションの共通 テーマについて参加者全員で考え、互いに必要とする知 識・情報をしっかり得るという参加者の意欲が感じられ た。 本学会に参加したのははじめてであったが、素晴しい 学会がヨーロッパで行われているという思いとともに、 日本は世界の医学教育を知らなければならないと痛烈に 感じた。 私が携わっている神経内科や睡眠医療の臨床領域で は、それらの国際学会に出席しても世界と日本との大き な差はそれほど感じられないし、それぞれに進んでいる、 あるいは遅れている面などが把握できる。しかし、医学 教育に関して日本は他国との接点があまりにも少なく、 その差異さえ十分に把握できておらず、孤立しているよ うに思われる。日本でも「医学教育学」が独立して開設 されるようになってきたが、そこに従事する教員だけで この問題を解決できるとは思われず、事実、本学会の参 加者はそれぞれに医学教育以外の専門分野を持っている 人が圧倒的に多かった。日本の医学教育の現状をみると き、後継者「Good Doctor」を育成することが医学部教 員の使命であるという認識と、あまりに忙しい日本の医 学部教員が、教育に時間を割くことのできる環境づくり が最優先の課題と思われた。
An International Association for Medical Education
in Europe(AMEE)2005
医学教育センター助教授
堀 有 行
会議場前で他大学の参加者と一緒に(筆者は前列右)。
平成 17 年度金沢医科大学オープンキャンパスは、上 記の3 回、本学キャンパスを会場に開催された。 第 1 回目の 7 月 24 日には 87 名(受験生本人 41 名、父 母等46 名)、第2 回目の8 月7 日には119 名(受験生本人 56 名、父母等 63 名)、第 3 回目の 8 月 28 日には 109 名 (受験生本人53 名、父母等56 名)で合わせて過去最多の 315 名(昨年度は261 名)の参加があった。 いずれも午前 10 時に始まり、篠原治道入試実施委員 長から開会の挨拶、続いて入試実施委員よりプログラム 等の説明のあと、参加者は4 つのグループに分かれ案内 役の在学生がツアーガイドとなりキャンパスツアーを行 った。今年度は新たに、医学教育センターでの電子カル テ体験、生体模型体験を実施し、受験生、父母からは 「電子カルテは聞いたことがあるが、実際に見て体験で きて良かった」や「心音や呼吸音を聴くという専門的な 体験ができ、受験にむけてやる気が出てきました」と大 模擬講義は分子細胞形態科学(解剖学)の東 伸明講 師、代替基礎医学(血清学)の清水昌寿助教授によって 行われた。 昼は学生食堂で参加者と在学生、教職員が食事を取り ながら和やかな雰囲気のなかで歓談を行った。この間も 受験生は、在学生に受験勉強のことや学生生活のことな ど、ホームページや「大学案内」では分からない在学生 の立場からの生の声に聞き入っていた。 午後からは入試説明会や個別相談を行い、クラブハウ スや図書館、病院新館見学も行われ好評であった。短い 時間ではあったが、参加者は思い思いに本学を理解した 様子で、午後3 時には全てのプログラムを終了した。 本学のオープンキャンパスは、受験生の視線で本学を 見てもらうことに重点をおいており、参加者の案内や説 明などをグループに分けて在学生が案内役となる形で実 施している。毎回、約 30 名の在学生の協力を得て実施 しており、参加者アンケートでも、「在学生との交流で “生徒の目線から見た大学”を知ることができとても良 かった」、「実際に受験した先輩から入試のことなど詳し く聞けて本当に有意義でした」、「不安に思ってたこと、 疑問点など詳しく聞くことができ大変参考になりまし た」などの意見があり、大変好評であった。 (入学センター 村井幸美記) 平成17 年 7 月 24 日(日) 8 月 7 日(日) 8 月 28 日(日) 篠原治道入試実施委員長の開会の挨拶 模擬面接体験 生体模型体験 電子カルテ体験
杉江 直子
(第4 学年) 今まで何度かオープンキャン パスのお手伝いをさせていただ いていますが、全国から参加さ れる多数の受験生やご家族とお 会いできるのを毎回楽しみにし ています。 今回は初めての試みとして、 新設の医学教育センターの見学が組み込まれ、参加者の 方々に実際に実習体験をしていただきました。模擬人体を 使って聴診器で呼吸音や心音を聴いたり、5 年生による電 子カルテの案内にしたがって模擬操作をしたりと、皆さん 積極的に参加されました。実際に聴診器を手にとって熱心 に呼吸音を探されている姿や、聴診器を手にして感激され ていた受験生の方々の嬉しそうな顔がとても印象的で、私 も初めて聴診器を手にして味わったときの感激を思い出し ました。 本学のオープンキャンパスの最大の特徴は、学内の誘導 や施設案内を在校生が主体となって行うスタイルにありま す。ほぼ半日を参加者の方々とご一緒するうちに、自然に 打ち解けた雰囲気ができ、ありのままの学生生活や校風を お伝えすることができます。施設見学だけではなく、こう した在校生との交流を通してキャンパス全体の雰囲気を知 っていただくためにも、できるだけ多く声を掛けました。 最後に正面玄関でお見送りをする際には、在校生全員 で精一杯手を振り、参加者の方々もそれにこたえて笑顔で 手を振り続けてくれました。その姿をみて、オープンキャ ンパスを楽しみ、興味をもっていただけてよかったと実感 しました。来春には、是非、先輩としてキャンパスでお迎 えできることを祈っています。柳瀬 祐孝
ゆうこう(第3 学年) 私はこの3 年間で何度かオープ ンキャンパスのお手伝いをしまし た。本学のオープンキャンパスの 特色は何より在学生が主体となっ て、学内を案内しているところで す。どのような学生が本学で頑張 っているか、そして本学の学生が どのようなキャンパスライフを送っているかを知っていた だくには最もよい方法だと思います。私自身も学生のころ に一度、本学のオープンキャンパスに参加したことがあり ました。そのオープンキャンパスを通じて、本学の特色や 教育システムなど様々なことを知ることができました。何 より志望校への合格というモチベーションも高まりまし た。逆にオープンキャンパスのお手伝いをさせていただく 立場になって、受験生のころの自分と重ね合わせ懐かしさ も感じました。また、参加された受験生は、何事にも積極 的に参加する姿勢が感じられました。施設見学や模擬講義 などに参加する姿勢が真剣で、本学への興味だけではな く、自分は医者になるという強い意志までも感じられまし た。そして、オープンキャンパスに参加された受験生が本 学に入学して、金沢医科大学の学生として勉学に励んでい る姿を見ると、嬉しく思える一方、私自身も負けられない という気持ちになります。そういった意味で本学のオープ ンキャンパスは受験生、学生ともに有意義なものであると 思いました。今後、一人でも多くの受験生が本学のオープ ンキャンパスに参加され、本学の特色を知り、そして本学 で新しい学生生活を送っていただけることを願っていま す。 看護学校体験入学が、平成 17 年 8 月 9 日(火)、10 日 (水)の両日に行われた。2日間で延べ138名(うち男子10 名)の参加であった。体験入学は将来看護師を目指す高 校生を対象に、看護学校での学習内容や病院での実際の 看護を理解してもらうことを目的として実施している。 まず、午前中は本校において、ビデオによる学校生活 を紹介し、その後グループに分かれての模擬授業を行っ た。手洗い・手指消毒と滅菌手袋の着脱、沐浴、包帯交 換など、講義に加えて、実際に参加者全員に体験しても らっている。特に滅菌手袋の装着や無菌操作は初めての 体験となる参加者がほとんどで、緊張しながらも在校生 のアドバイスを受けながら一生懸命取り組んでいた。授 業の後は在校生と昼食をともにし、学生生活の実際を見 聞きしながら、和やかに交流を深めていた。 午後からは病院の協力を得て、新館病棟で看護体験を 行った。「実際の援助が体験できて感動した」「目標とす る看護師に出会えた」「看護師になりたい思いが高まっ た」などの感想が多く寄せられた。 本校における看護の学習が、充実した内容と環境の中 で行えるということを参加者に伝える機会として、今後 も有意義な体験を提供していきたいと考えている。 (附属看護専門学校 小泉由美記)亀井 千裕
ち ひ ろ (第5 学年) 今年の夏もバーモント大学医学部を訪問した。今回で 2 回目となる訪問。去年このプログラムに参加してその 素晴らしさに感動し、今回も参加を決めた。まさか2 回 も連続で参加する者がいるだなんて、誰も最初は信じな かったのだが。前回は4 学年だったので実際の病院での 実習を知らず、見るもの全てが目新しかった。今回は5 学年での参加になる。約4 カ月にわたって自分の大学で 臨床実習を行い、カルテの書き方や仕事の様子などを毎 日の忙しい中で知っての参加だった。 臨床実習を終わらせて、次の日には東京へ。あわただ しい出発となった。現地ではいつもこのプログラムをサ ポートしてくださる木田先生とそのご家族、またバーモ ント大学医学部の学生であるフジワラミカさんが出迎え てくださった。航空券を予約したのが出発間際だったの で、到着は夜遅くになってしまった。しかし、何時だろ うと毎回こうやって迎えに来てくださる先生の気遣いが 本当に有り難い。木田先生のサポートあってのこのプロ グラムだ。いつも、ここまで丁寧に接してくださる先生 はなかなかいないと痛感する。家族のように接してくだ さる気遣いがとても温かかった。また、去年と比べて、 今回は現地の学生と接する機会が多かった。現地の医学 生数人と街へ食事に出かけたり、メディカルインターン (メディカルスクールを受けるために病院で見習いをし ている学生)の家で夕飯をご馳走になったりと、私たち 3 名は一生懸命英語を駆使しながらコミュニケーション をはかり、楽しい時間を過ごすことができた。こうした 自由な接し方や時間の過ごし方ができるのは、このプロ グラムの楽しいところである。 病院での実習では、患者さんへのがん告知に立ち会っ たり、手術の介助をしたり、頼むと実際に診察をさせて くれることもあった。やはり木田先生が現地で私たちの 身分を保証して下さるから、アジアから来た見知らぬ医 学生も実際の診療に携わらせてもらえるのだ。実は、私 は日本でがん告知に立ち会ったことはなかった。アメリ カで見たがん告知は、きちんと病状をありのままに説明 し、その死期までも伝えて、今後の治療方法の選択肢を 提供するものだった。ドクターは、数時間かけて患者さ んに丁寧な説明をしていた。相手が納得するように、ち ゃんと考えられるように、誠意をもって接する姿はとて も印象的だった。相手の人生は相手のものであり、それ に対して責任をとってあげることはできず、どうするの かを決めるのは本人自身である。そういう毅然とした態 度にとても心が動かされた。 また、現地では金沢医科大学と日本の医学部のシステ ムについてプレゼンテーションを行った。日本の堅苦し いものと違って、ジョークをうまく入れないと興味を持 って聞いてもらえないのが、アメリカのプレゼンテーシ ョンの特徴の一つである。前回の経験でそれを知ってい た私は、あらかじめ日本で作ったパワーポイントのファ イルに、5 年間の学生生活での勉強やOSCE の練習中な どの面白い写真を豊富に入れて、現地で木田先生の指導 で原稿を作り、プレゼンテーションを行った。去年に比 べて随分スムーズに進み、たくさんの質問を受けた。去 年は木田先生にほぼ全部の応答を手伝ってもらったが、 今年は自分でかなり答えることができた。自分の成長を 感じて、とても嬉しく思える瞬間だった。 臨床留学を経験できる機会は数少ない。まったく異な る視点で自分の進む世界を見るのは、とても貴重な機会 だと思う。この大学では、まだまだ留学に踏み切る学生 は少ない。留学を考えていても、実際旅立つ学生はごく 限られている。あまりに勿体ないといつも思う。学生時 代にしか学べないことも数多い。興味がある学生は是 非、チャンスを逃さず踏み切ってほしいと切に願う。少 なくともこのプログラムに関しては、挑戦すれば必ず素 晴らしい体験が待っていることを私は自信を持って保証 する。 木田先生(左から 2 人目)と食事。左から亀井、バーモント大学 3 学年の Masaru さん、古谷Vermont
古谷 毅一郎
き い ち ろ う(第5 学年) 僕が最初にこの研修の存在を知ったのは2 年生の春で した。このころはちょうど、教養科目ばかりで医学とあ まり縁のない授業に半ば閉塞感を覚え、研究室に出入り したりして、自分の医学へのモチベーションを何とか維 持しようともがいていた時期だったように思います。そ んな時、Vermont 大学医学部の助教授で金沢医科大学 OB の木田先生が医学研修の説明会を開くという話を聞 き、部活をサボって一目散に説明会を聞きに行ったのを 憶えています。以前から海外での医学研修というものに 大きな興味を持っていた僕にとって、「アメリカの医学 部で医学研修ができる」、「病院で診察や手術、診療の見 学もできる」という木田先生のお話は非常に魅力的で、 単なる語学留学では到底できない大きな経験ができるよ うな気がしました。しかし対象は4 ∼6 年生。2 年間待ち 続け4 年生に進級しましたが、今度は最後の西医体参加 と Vermont 大学研修のどちらをとるかで最後まで悩み、 結局仲間たちとの思い出を選んで西医体へ行くことに決 めました。共用試験→期末試験→標準試験という「魔の 試験月間」を乗り越えて5 年生に進級したこの夏、待ち に待った Vermont 大学研修へと向かう態勢は整いまし た。マッチング世代である僕らの周りでは、夏休み中ど の病院に見学に行くかという話題でもちきりでしたが、 今回に限って全く迷いはありませんでした。病院見学は いつでも行けるけれど、3 年も待ったVermont へ行ける のは今年が最後だと考えたからです。出発までの 1 ∼ 2 カ月間、何らかの準備をしておかなければと意気込んで いましたが、出発前日まで臨床実習のラウンドがあり、 大した準備もできぬままアメリカへ向かうことになって しまいました。それでも、臨床実習中には電子カルテを なるべく英語で記入してみたり、毎日 CD で英語リスニ ングの時間を作ってみたりと、自分なりにできることか ら始めていきました。これが後々、研修中に思わぬとこ ろで威力を発揮しました。 アメリカに到着した翌朝から早速、消化器外科カンフ ァレンスを見学しました。診療・カンファレンスは無 論、すべて英語です。活発に凄まじい速さで繰り広げら れるディスカッションに圧倒されました。それでも、臨 床実習で覚えた医学英語をなんとか聞き取り、これを頼 りに必死にディスカッションの内容に耳を傾けました。 何の疾患に関してディスカッションしているのかは理解 できましたが、核心の部分に関しては、結局解ったのか どうか定かでないまま終わってしまった感がありました。 基本的なリスニング力の弱さを痛感した瞬間でした。 さて、実習内容ですが、1 週目から本格的に病院内で 様々なことを見学・体験することができました。2 週間 で行った実習内容は次のとおりです。①消化器外科での 外来治療の見学、②消化器外科カンファレンスの見学、 ③Radio-oncology(放射線癌治療)のセクションの見学、 ④ Hematology(血液・腫瘍学)セクションの見学(診 察・骨髄穿刺などの見学)、⑤Radiology(Pediatrics)の 見学、⑥ Neurology クリニックでの実習(診察の見学・ レクチャー)、⑦Family Medicine での実習(診察・問診 などの見学、実習)などです。Vermont 大学での研修で は基本的に、実習する科の医師もしくはスタッフととも に行動することになっていました。今回は参加が3 人と 少人数だったため、ほとんどの科でほぼマンツーマンの 指導を受け、どこにも逃げ場のない完全な英語漬けの毎 日に追い込まれることとなりました。 僕がラウンドした科の中で特に印象に残ったのが、 Hematology(血液・腫瘍学)とFamily Medicineのクリニ ックでの実習です。まず、Hematologyセクションの診療 見学では、担当のジョージ・フィリップス先生の診察テ クニックとインフォームドコンセントの姿勢に感動しま した。前立腺癌で余命1∼2年という患者さんとそのご家 族に対して、癌を告知するという場面に同席させていた だきました。患者さんへの告知の場面は、本人だけでな く家族にとって非常に重い現実を伝えるものであり、実 際厳しいものとなり、診察室は悲痛な雰囲気に包まれま した。印象的だったのは、病状に関する説明が非常に丁 寧で、患者さんが理解しやすいよう配慮しながら進めら れていたことです。最後に、今後の治療をQOL中心に考 えるのか、それとも延命にスポットを当てて考えるのか を患者さんに選択していただく段になったのですが、先 生はここでも患者さんに理解できるような易しい言葉 (僕らにも簡単に解るような言葉)を選びながら説明を続 け、何度も立ち止まっては患者さんや家族が納得するま 左から三浦、古谷、バーモント大学 3 学年の Kart さん、亀井でじっくり話をされていました。非常に重い現実が告知 されていましたが、先生は医者としての科学的な視点は 常にキープされていて、患者さんやご家族をフォローし ながらも決して話が感傷的な方向に向かないよう、重要 なポイントを確実に患者さんに説明されていました。今 回Vermont大学で研修して得たことの一つに、まずこの ことをあげたいと思います。帰国してから再び臨床実習 をラウンドしながら、僕が見たフィリップス先生の診察 風景をよく思い出します。今後医師となる上で見習いた いお手本の一つとして、胸に刻んでおきたいと思います。 また、最後の 2 日間は、Vermont 大学系列の Family Medicine のクリニックで実習を行いました。診察は、患 者さんが待つ診察室へドクターが訪れるというスタイル でした。2 ∼ 3 時間も待たされて医者の待つ診察室に患 者さんが入ってくる日本とは正反対なところが新鮮でし た。最終日には担当医に問診を取らせてもらえませんか とダメ元で頼んだところ、初診患者さん2 人の問診を取 らせてもらうことができました。出発前に診療英会話の 本を6 年の先輩に借りて少しずつ練習していたので、今 回の研修中に一度やってみたかったのです。とはいえ、 問 診 の 内 容 は Yes or No で 答 え ら れ る よ う な Closed Question がほとんどでしたが・・・。それでも、患者さんの 問診を全て英語で取ることができたのは、自分にとって かけがえのない経験となりました。外国から来た見ず知 らずの医学生からのこんな無理なリクエストが通ったの も、本学 OB の木田先生がVermont 大学で信頼されてい るからこそ可能なことだったのだと思います。 今回の研修に参加してみて感じたことですが、5 年生 という学年で参加してみて本当によかったと感じます。 ちょうど臨床実習のラウンドの最中に研修に参加したこ とで、日本での医療とアメリカでの医療の違いを少なか らず肌で感じる取ることができました。それが微々たる もので、見聞できたのはほんの一部ということも確かで す。もし4 年生で参加していたら、今回のような発見や 感動は得られなかったことでしょう。日本の医療はアメ リカに比べて遅れているとよく言われますが、こうして 見てみると、どちらが良いという訳ではなく、日本にも アメリカにもそれぞれ良い部分・見習うべき部分がある ことを感じます。保険制度に関しては日本の方がアメリ カよりもはるかに手厚いものですが、一方で患者さんに 対する外来テクニックに関してはアメリカの医師に見習 うべき点がたくさんあったように思います。 週末にはVermont 大学の医学生と交流する機会も得ま した。前々から、海外の医学生はどんなものの見方をし ているのだろう、自分たちとどこが違うのだろうという ことをじかに話して感じとってみたかったので、医学生 たちと飲みに行ったりいろいろな話ができたのは非常に 新鮮で、また良い刺激にもなりました。そして何よりも 今回の研修で幸運だったのは、木田先生とお会いできた ことです。アメリカで活躍されている先生の話は、とて もエキサイティングで貴重なものでした。この 2 週間、 先生と本当にいろいろな話をしました(木田先生の「人 生学」と僕らは呼んでいました)。先生のアメリカでの 苦労話を聞きながら、毎日つたない英語で格闘する生活 を送ることで、困難な状況でも何とか努力してサバイブ していくことの大切さに改めて気付かされ、自分の視野 が広がったと思います。木田先生をはじめ、Vermont 大 学の先生方に感謝しています。 最後に、留学や海外に出てみたいと思う人がいたら、 是非この Vermont 大学の研修に参加してみてください。 西医体や就職活動などで忙しいとは思いますが、ここで の経験は何にも代え難いもので、一生の財産になり、か つ今後の勉強に対してもモチベーションを高めてくれる と思います。来年の春には、木田先生が来学されて説明 会が開かれる予定ですので、低学年の人たちも是非聞き に行くことを願っています。何か聞きたいことなどがあ れば、僕を含め、今回のメンバーをつかまえて質問して ください。待っています。今回の研修にあたり何から何 までサポートしてくださった教育研究事業推進室の古本 郁美さん、有難うございました。 バーモント大学キャンパス バーモント大学の講義室
Vermont
三浦 匡央
まさてる(第4 学年) 2005 年7 月17 日から7 月31 日の2 週間、僕はアメリカ のバーモント州にあるバーモント大学にて医学研修に参 加しました。 この研修に参加することを決めてから、友人にこのこ とについて聞いたり、自分なりに英語の勉強をしたりし ながら出発の日を待っていましたが、実際にアメリカで の研修を体験してみて、それまでの自分の中のイメージ とは異なっていたことに気付かされました。僕はまだ日 本で臨床実習を体験していないので、日本やアメリカで の長所、短所を一概に言えませんが、医学部4 年として 感じ、考えさせられたことを述べます。 第1 に、どのドクターも僕に対してはもちろんのこと、 患者さんに対してもとてもフレンドリーであったことで す。たとえ重い症状の患者さんであっても、問診時間の 3 分の1 から2 分の1 くらいの時間を世間話に費やしてい たように思いました。これは日本ではあまり見られない 光景だと感じました。 第2 は病院の構造のことですが、アメリカでは患者さ んがそれぞれの個室で待っていて、その部屋へドクター が入っていくというスタイルです。これも日本ではまず 見られない光景で、日本に比べアメリカの方がプライバ シーの問題がより厳しいことを表しているのかもしれま せん。 そして第3 に、アメリカには日本のような保険制度が ないことです。このことは知っていましたが、実際アメ リカでは個々人の加入している保険の種類によって、受 けられる医療のランクや薬の種類までも変わってくるこ とを目の当りにしました。患者さんの中には、お金の問 題でより安い薬を処方してくれる場所をドクターに斡旋 してもらっている方もいました。このアメリカと日本の 保険制度の違いについては、アメリカのドクターや患者 さんからよく質問されました。 以上、僕がアメリカで実感したことを述べましたが、 今後バーモント大学に研修に行きたいと考えている後輩 の皆さんに対して言えることは、「実際に自分で体験し てみないと分からない」ということです。少しの英語力 と多くの好奇心だけを持って、是非アメリカに行ってみ てください。いろいろなことで刺激を受けることは間違 いありません。 最後に、木田先生を始め、アメリカでお世話になった ドクターの皆様方に感謝いたします。ありがとうござい ました。 左から三浦、バーモント大学学生と亀井 バーモント大学キャンパス 研修病院: Fletcher Allen 病院広田 知依
と も え (第1 学年) ほとんど海外へ行ったことのない私は、この研修に行 く前、3 週間という滞在期間は長すぎると思っていた。 しかし研修が終わりに近づくと、もっとハワイにいたい と強く感じるようになっていた。それほどこの3 週間は 私にとって充実したものだった。 ハワイ大学では、プレゼンテーションやディスカッシ ョンなどが、時には日本語でさえ難しい課題について行 われた。フィールドワークとしてハワイのいくつかの名 所に行き、課題の質問に答える形式のものなどをはじめ として、宿題もかなり出たが、私にとっては授業も含め 非常に興味深いものだった。私は、はじめはほとんど先 生の英語が聞き取れず苦しんだが、課題に取り組んだ り、友達と英語でしゃべるうちに理解できるようになっ ていった。また、同じプログラムに参加していた韓国の 学生は英語が上手で、自分に自信を持って積極的に行動 しており、彼らと話すうちに自分も見習わなくてはなら ないと感じた。彼らとは、はじめ英語があまり通じず苦 痛にさえ思っていたが、数日後には片言でもなんとかコ ミュニケーションがとれるようになった。一生懸命伝え ようという気持ちがあれば、英語ができなくても心は伝 わるのだとつくづく感じた。出発前の説明会での先生の お話によれば、寮についてあまりいい印象を受けなかっ たが、実際は楽しい寮生活だった。確かに寮では共同の バスルームなどプライバシーがあまりないことに驚いた が、留学生や大学院生、教師としてさまざまな国の方が 住んでいるため、多くの人と話をする機会が増え、彼ら の実生活を知ることができた。時には、ふるさとの手料 理を食べさせてもらったり、パーティに参加させてもら ったり、貴重な体験ができた。土、日曜日には大学が休 みになるため、韓国の学生たちも一緒に観光やショッピ ングに出かけたりし、毎日を有意義に過ごすことができ た。 私はこの研修に参加して、文化の違いなど多くのこと を学び、視野が広がった。そして、改めて英語の重要さ を知った。また、このようなプログラムがあれば、ぜひ 参加したいと思う。小寺 佑佳
ゆ う か (第1 学年) 今回ハワイ大学での語学研修に参加しました。まず授 業では英語での会話のスキルアップと、英語でのプレゼ ンテーションの仕方を学ぶことができました。また、毎 日英語で日記をつけてきて、それを先生に直してもらっ たり、自分のプレゼンテーションに対して先生から評価Tripler Army Medical Center 前で記念撮影
金沢医科大学第8 回夏期国際語学・医学研修がCAPE(Center of Asia-Pacific Education)の主催により、8 月1 日∼22 日、 ハワイ大学マノア校のキャンパスにおいて実施され、1 学年の7 名が参加した。参加学生の研修報告書から3 件を掲載し た。(編集部)
とアドバイスをもらって、とても自分のためになったと 思います。 病院見学では2 カ所の病院を見学しました。クアキニ メディカルセンターでは、アメリカの肥満の人に多い無 呼吸症候群の患者さんに対する治療の仕方、そのための 器具など実際に見ながら説明を聞くことができとても良 かったです。そして軍の病院では、熱心なドクターとナ ースの方に施設を案内していただきました。そこでは、 がんに対するあらゆる治療法を教えていただきました。 軍の病院という、普段行けない所を見学できてとてもい い体験になりましたし、病院見学は私のモチベーション をとても上げてくれました。また、午後の自由時間もと ても刺激的でした。バスで見知らぬ人と英語で会話し、 その土地のことをよく知ることができました。何より、 ハワイの自然はとても素敵でした。来年もたくさんの人 に、この語学研修に参加してほしいと思いました。
牧 尉太
じょうた(第1 学年) 私にとって初めての海外となるハワイでの3 週間。初 めての場でどれだけ臨機応変な態度を取れるか、アクテ ィブに行動できるか、いろいろなものに目を向けるよう になれるかなど、多くの期待に胸を躍らせて8 月 1 日か ら 22 日のプログラムに参加した。最初に言いたいのだ が、このプログラムを一言で表せば、「最高」だった。 こんなに充実した夏は、生まれて以来なかった。理由 としては第 1 に、このプログラムを主催している CAPE はハワイでいろいろなコネクションを持っており、大学 (NASA ハワイ大学支部)、軍事病院など、日本ではもち ろんのことハワイに来ても普通ではできない体験をさせ てもらえたということである。第2 に、他国(韓国)の 学生も多くこのプログラムに参加していたということ だ。私の場合、クラス編成テストでよりハードなクラス に入れられた結果、韓国の学生が半分を占めていて、ほ とんど日本語を使えない状況におかれたのがかえって良 かった。また、そういう場で恥ずかしがらず積極的に、 何とか伝えるぞ!という気持ちをもてたのも功を奏し た。クラスでの勉強をしっかりこなしていくと、最初は 「喋れず、聞こえず」という状態を繰り返していたのが 日に日に上達し、その進歩が私にも担当の先生にも見 え、それがまたやる気への大きな原動力となった。第 3 に、「よく学び、よく遊べ」の精神で行動できたという ことだ。朝早くから昼過ぎまで授業があり、授業後は海 に行ったり、街に出たり、遠出したりと、部屋にこもっ ていることは一度もなかった。帰ってからは宿題をし、 毎日夜3 時すぎまで勉強をした。それでも全然疲労を感 じなかったのは気持ちが充実していたためだろう。 ハワイで知り合い、よくしていただいたCAPE の校長 先生や他の先生方、一緒に学び遊んだ韓国の学生さんた ち、同じクラスで行動を共にした他大学の学生さんな ど、良い出会いが数多くあった。このような貴重な体験 をしたからこそ、今の自分の生活をしっかり見つめてい きたいという気持ちになることができた。 韓国からの留学生と牧(右)医療法人白奉会 中嶋医院院長