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食品の鮮度判定に関する研究 (第3報) : 魚肉ソーセージの鮮度判定について

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Academic year: 2021

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一14一 食 物 学 会 誌 ・第23号

食 品 の 鮮 度 判 定 に 関 す る 研 究(第3報)

魚 肉 ソ0セ ー ジの 鮮 度 判 定 に つ い て

*

Studies

on the Determination

of Freshness

of Food (Part

3)

On the Freshness

of Fish Sausage

Kaoru Ohta, Keiko Katayama

and Yoko Fujii

1.ま え が き 魚 肉 ソ ー セ ー ジ の 生 産 は,昭 和29年 に は わ ず か4,000 トン 程 度 で あ っ た が,30年12,000ト ン,31年26,000ト ン,33年49,000ト ン,35年100,000ト ン,36年123,000 トン,38年160,000ト ン と 年 々 増 加 の 一 途 を た ど っ て 1) い る。 そ の理 由 と して は,イ ンス タ ン ト食 品 的 で あ る こ と,食 料 品 店 で 手 軽 に 求 め られ る こ と,通 気 性 の な い 耐 熱 ケ ー シ ング で 包 装 加 熱 され て い る た め 貯 蔵 性 を有 す る こ と,大 量 生 産 に よ り安 価 で あ る こ と,な どが あ げ られ る。 しか し店 頭 に お い て は 冷 蔵 す る こ とな く, そ の ま ま展 示 され て い る所 もあ り,か な りの 鮮 度 低 下 が あ る もの と予 想 され,魚 肉 ソー セ ー ジ の 鮮 度 判 定 を す る こ とは 消 費 者 に と っ て極 め て 必 要 な こ とで あ る。 魚 肉 ソー セ ー ジ の鮮 度 低 下IY関 す る研 究 は 少 な く, 魚 肉 ソ ー セ ー ジ の 腐 敗 過 程 に お け る マイ ク ロ フ ロー 2) 3) ラ,悪 変 に お け る揮 発 酸 の 生 成,加 熱 に よ る細 菌 の死 り 滅 状 態,な どの 報 告 が 見 られ るが,鮮 度 低 下 と腐 敗 と を 関 係 づ け て 検 討 した もの は 少 な い 。 魚 肉 ソー セ ー ジは 製 造 工 程 中 に 加 熱 処 理 が あ り,ま た防 腐 剤 の添 加 に よ り,鮮 魚 の鮮 度 低 下 とは こ とな る もの と思 わ れ るが,魚 類 の 鮮 度 判 定 法 に 準 じて 魚 肉 ソ ー セ ー ジ の 鮮 度 判 定 を試 み た 魚 肉 ソー セ ー ジは 現 在 大 小 約100社 が 製 造 して い る が,0般 家 庭 で 普 通 よ く消 費 され る も の で,製 造 年 月 日後2週 間 以 内 の 次 の 市 販 品 を試 料 と して え らん だ 。 N社 ツ ナ ソ ー セ ー ジ A印 サ ー モ ン ソ ー セ ー ジ M社 ス モ ー ク ミ ー ト 0社20番 ウ イ ン ナ ー (略 記N) (〃A) (〃M) (〃u) 供 試料 は鮮度 低下 を速 くす るため に外 装を除 き,前 5) 報 と同 様 の 方 法 に よ り350C恒 温 器 中 に 貯 蔵 し,0定 時 間 後 そ れ ぞ れ の 実 験 に供 した 。 皿一 狂.実 験 方 法 お よび 結 果 皿一 皿・1 観 察 に よ る 鮮 度 判 定 貯 蔵 試 料 の外 観 を 肉 眼 的 にこ観 察 した結 果 は 第1表 の 通 りで あ る。 第1表 観 察 に よ る鮮 度 判 定(350C貯 蔵)

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・日 …2日i3日i4日15日

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+4++

*本学食 品加工 貯蔵学 研究室 第1表 よ り,試 料N,A, Mは い ず れ も3日 目 に お

(2)

昭 和44年3月(1969) い て 腐 敗 臭,徽 の 発 生 が 認 め られ た が,uは4日 目に 認 め られ た 。 よ っ て魚 肉 ソー セ ー ジ を35。Cに 貯 蔵 し た 場 合,そ れ ぞ れ の腐 敗 初 期 は試 料N,A, Mで は3 日 目,Uで は4日 目に あ る ことを 認 め,こ れ を以 って 以 下 の 諸 実 験 に お け る腐 敗 初 期 の 指 標 と した 。 試 料U が 他 の 試 料 よ り腐 敗 初 期 が お そ い の は 防腐 剤 添 加 に よ る た め で は な い か と推 定 され る。 紅一 聾・2 水 素 イ オ ン濃 度 に よる 鮮 度 判 定 常 法 に よ りガ ラ ス電 極pHメ ー タ ー でpHを3回 測 定 し,そ の平 均 値 を 示 す と第1図 の 如 くで あ る。 一15一 皿一 皿・3 酸 度 に よ る鮮 度 判 定 試 料 を ホ モ ジ ナ イ ズ後 水 で 抽 出 し,0.1N-NaOHで 滴 定 し,滴 定 数 値 を も つて酸 度 と した 。 測 定 値3回 の 平 均 値 を 示 す と第2図 の ご と くで あ る。 魚 肉 ソー セ ー ジ の酸 度 は 貯 蔵 に よ り上 昇 す るが,各 試 料 に つ い て の数 値 は か な りこ とな る。 前 項pHの 変 化 と同 様,2日 目 まで は 変 化 少 な く3日 目に 大 き く変 化 す る。 した が ってpHに よ る鮮 度 判 定 と同 様,酸 度 変 化 の 大 き くな つた時 が 腐 敗 初 期 に あ た り,前 項 の 結 果 と よ く一 致 す る。 しか し一 定 の酸 度 数 値 で腐 敗 初 期 を 表 現 す る こ とは 困 難 で あ る 。 皿一H・4 還 元 糖 に よ る鮮 度 判 定 魚 肉 ソ ー セ ー ジは 結 着 性,保 水 性 を よ くす るた め に 澱 粉 が 配 合 され て い る の が 普 通 で あ る 。 鮮 度 低 下 に よ り澱 粉 か ら還 元糖 が 生 成 す る と予 想 され る の で,そ の 生 成 量 に よ り鮮 度 判 定 が 可 能 か ど うか を 検 討 した 。 一 定 試 料 を ホ モ ジナ イ ズ した の ち 還 元 糖 を 水 で 抽 出 し,ベ ル トラ ン法 に よ り測 定 した4回 の 結 果 を 平 均 し,図 示 す る と第3図 の通 りで あ る。 第1図 水 素 イ オ ン濃 度 の変 化(350C貯 蔵) 魚 肉 ソー セ ー ジ のpHは 貯 蔵 に よ り次 第 に 低 下 す る 。貯 」2日 目 ま で は 低 下 度 は少 な い が3日 目に は い ず れ もか な りの 低 下 を 示 す 。 前項 の 観 察 に よ る鮮 度 判 定 と併 せ て 考 察 す る と,試 料N,A, Mは3日 目に腐 敗初 期 に 達 し,試 料Uは4日 目に 腐 敗 初 期 に 達 す る が,こ の こ と よ りpH変 化 の 度 合 が 著 し くな った時 が 腐 敗 初 期 と思 わ れ る。 しか し これ を ほぼ 同 一 のpH値 で表 現 す る こ とは 困 難 で,試 料 の 原 料 配 合 比,形 の大 小 な どが 一 定 で な い た め と考 え られ る。 第2図 酸 度 の 変 化(35。C貯 蔵) (試 料1009に 対 す る0.1N-NaO且 滴 定 量) 第3図 還 元糖 量 の変 化(35QC貯 蔵) 魚 肉 ソ ー セ ー ジ中 の 還 元糖 は 新 鮮 時 に は 検 出 で き な い が,貯 蔵 す る に した が い増 加 す る。 試 料N,M, U は ほ ぼ 同 様 に 漸 時 増 加 す るが,試 料Aは3日 日,4日 目に 最 高 に 達 し,以 後 減 少 す る。 試 料A中 に は 澱 粉 量 多 く,貯 蔵 初 期 には 多 くの還 元 糖 を 生 成 す るが,生 成 還 元 糖 は さ らに 酸 な ど に変 化 す る もの と思 わ れ,こ の こ とは 第1図,h z図 の試 料Aカ ー ブか ら も推 察 され る 。 い ず れ に して も試 料 中 の 澱 粉 量 が か な り異 な る た め に,生 成す る還 元 糖 量 を 以 って 腐 敗 初 期 を 判 定 す る こ とは 困難 で あ る。 皿一H・5 揮 発 性 塩 基 窒 素 に よ る鮮 度 判 定 魚 類 の鮮 度 判 定 に お い て比 較 的 精 度 の高 い 揮 発 性 塩 基 窒 素 量 を測 定 して 魚 肉 ソー セ ー ジの 鮮 度 判 定 を 試 み た 。 常 法 の通 気 法 に よ り行 な った 結 果 を3回 平 均 して 図 示 す る と第4図 の通 りで あ る0

(3)

一16一 食 物 学 会 誌 ・第23号 皿一 皿・7 針 入 度 に よ る鮮 度 判 定 鮮 度 低 下 に よ り魚 肉 ソー セ ー ジ の 硬 度 に も変 化 が 認 め られ る の で,タ イ マ ー 式 針 入 度 試 験 器 に よ り,針 入 度 に よ る硬 度 を 測 定 した 。 測 定 結 果5回 の平 均 を 図 示 す る と第6図 の ご と くで あ る 。 第4図 揮 発 性 塩 基 窒 素 の変 化(35。C貯 蔵) 魚 肉 ソ ー セ ー ジ 中 の 揮 発 性 塩 基 窒 素 量 は 試 料A, N,Mで は 貯 蔵3日 目 まで は ほ と ん ど変 化 な い が,以 後 急 速 に 増 加 す る。 試 料Uで は4日 目まで ほ とん ど変 化 な く,以 後 急 に 増 加 す る。 本 結 果 か ら も,揮 発 性 塩 基 窒 素 で腐 敗 初 期 を 判 定 す るに は,そ の 量 が 急 速 に 増 加 す る時 で あ り,10∼20mg%を も って 腐 敗 初 期 と見 な し う る。 ∬一 ∬・6 ア ミノ態 窒 素 に よ る鮮 度 判 定 魚 類 の 鮮 度 判 定 に か な り精 度 の 高 い方 法 の ア ミノ態 窒 素 量 を 測 定 して 魚 肉 ソー セ ー ジ の鮮 度 判 定 が 可 能 か ど うか を 検 討 した 。 常 法 に よ りホ ル モ ー ル 滴 定 で行 な い,3回 の 結 果 を 平 均 し図 示 す る と,第5図 の 通 りで あ る 。 第6図 針 入 度 の変 化(35。C貯 蔵) 第6図 よ り魚 肉 ソー セ ー ジ の 針 入 度 は 貯 蔵 に よ り増 加 し軟 化 す る 。 試 料 は い ず れ も2日 目ま で は ゆ るや か に 軟 化 す るが,そ れ 以 後 か な り急 に 軟 化 し,軟 化 と腐 敗 と の 間 に は 密 接 な 関 係 が あ る と推 定 され る。 しか し 原 料 の配 合 差 に よ り数 字 で表 現 す る こ とは 困 難 で,軟 化 度 が 急Y'進 ん だ 頃 が 腐 敗 初 期 と判 定 され る。 亜一H・8 引 張 試 験 に よ る鮮 度 判 定 Food Rheometerに よ り,一 定 の形 の 試 験 片 の 一 端 を 固 定 し,他 の 一 端 を一 定 速 度 で 試 験 片 が 破 断 す る ま で 引 伸 し,引 始 め か ら破 断 ま で の 応 カー 伸 び の 関 係 を 第5図 ア ミノ態 窒 素 の変 化(35。C貯 蔵) 本 結 果 か ら ア ミノ態 窒 素 に よ る鮮 度 判 定 は,数 字 的 に 表 現 す る こ とは 困 難 で あ るが,ア ミノ態 窒 素 が 急 に 増 加 す る時 を も つ て 腐 敗 初 期 と 判 定 す る こ とが で き る。 第7図 ゲ ル強 度 の変 化(35。C貯 蔵)

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昭 和44年3月(1969) 画 か せ,試 験 片 が 破 断 した 時 の最 大 荷 重 と最 大 伸 び の 積 を 以 って ゲ ル強 度 と し,試 料 の 粘 弾 性(結 着 性)を 測 定 し た 。 測 定3回 の平 均 値 を 図示 す る と第7図 の 通 りで あ る 。 本 結 果 よ り,ゲ ル強 度 は い ず れ も 減 少 し,試 料Uで は4日 目,他 の試 料 で は5日 目に 測 定 不 能 と な った 。 各 試 料 の ゲル 強 度 数 値 は 原 料 の 配 合 比 の 差 か ら一 定 の 関 係 を 示 さ な い 。 また 減 少 度 も 目立 つた も の は な く, 本 法 で 鮮 度 判 定 を 行 な う こ とは 困 難 で あ る。 皿.要 約 魚 肉 ソー セ ー ジ の 鮮 度 判 定 が 可 能 か 否 か を,魚 類 の 鮮 度 判 定 法 お よび 物 理 的 方 法 に よ り検 討 した 。 そ の結 果,魚 肉 ソー セ ー ジは メ ー カ ー に よ り,原 料 の 配 合 や 製 造 工 程 が か な り相 異 す るの で,鮮 度 判 定 の 指 標 を数 字 的 に 表 現 す る こ とは 困難 で あ る。 しか しつ ぎの よ う な 判 定 基 準 は 可 能 で あ る と思 わ れ る。 1)揮 発 性 塩 基 窒 素10∼20mg°oを も って 腐 敗 初 期 と見 な し うる。 一17一 2)水 素 イ オ ン濃 度,酸 度,揮 発 性 塩 基 窒 素,ア ミ ノ態 窒 素 な どに よ り鮮 度 を 判 定 す る に は,そ れ ぞ れ の 試 料 の数 値 が 急 に変 化 す る時 期 を も って腐 敗 初 期 と見 な し得 る 。 3)還 元 糖 量 を も って 鮮 度 判 定 す る こ とは 困難 で あ る。 4)針 入 度 に よ り鮮 度 判 定 す る場 合 も,急 に針 入 度 が 増 大 す る時 期 を も っ て 腐 敗 初 期 と 見 る こ とが で き る。 5)ゲ ル 強 度 に よ り鮮 度 判 定 す る こ とは 困 難 で あ る。

参 考 文 献

1)近 藤 鏡 二:食 品 工 業8,No・24,27(1965) 2)桜 井 芳 人,他:食 品 保 蔵,132頁(昭41) 3)赤 松 幹 夫:魚 肉 ソ ー セ ー ジ,No・105,32(1964) 4)横 関 源 延:日 水 産,23,539(1958) 5)太 田 馨,田 部 美 智 子,中 尾 蓉 子:本 誌,23,9 (1969)

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