母親の育児ストレスと幼児の気質及び養育態度との関係について
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(2) . 平 成12年 2月 Februar y,2000. 0巻 第2号 北海道教育大学紀要 (教育科学編) 第5 i )Vo 5 0 Edu i l fEduca t i doUniversi tyo JournalofHokka t on{ c a on .2 . ,yo. 母親の育児ス トレスと幼児の気質及び養育態度との関係について. 戸. 田 須恵子. 北海道教育大学釧路校教育心理学研究室. は. じ. め. に. 最近, 社会ではストレスということばが聞かれる‐ ストレスの概念は一般に健康管理の面で広範囲に議論 さ れて いる (例 え ば, 仕 事 に よ るス ト レス, 勉 強 に よ る ス ト レス, 育 児 に よ る ス ト レス 等)‐ Lazarus & Fo lkman (1984) は, ス ト レス の 概 念 は 未 だす べ て を 説 明で きる よう な 満 足 す べ き 定 義 は な い こ と か ら,. 人や動物の適応に関する重要な現象を広い範囲にわたっ て理解するため, ストレスを組織化した概念として 取 り 扱う 事 を提 案 し, そ の シス テム 的 ア プロ ー チと して 認知 的評価 の プロ セス を重 視 して いる.. 乳幼児期におけるストレスに関する社会的問題として子 どもの虐待が問題視され, その原因の一つが母親 の育児不安あるいは育児ノイローゼと言われている‐ 母親の育児に対する感情において, 育児不安や育児ノ イ ロ ー ゼ, あ る い はそ の 他育 児 に関す る 種々 の悩 みや 煩 わ しさ は包括 的 に育 児ス ト レス と 呼 ばれ て いる‐ こ. れまで育児ス トレスの研究は主に乳児に焦点が当てられ, 幼児の場合は2, 3歳を対象にしたものが多い. 従 っ て, 幼 児期 後期 にお ける 親 の 育児 ス ト レス は ほ と ん ど研 究 さ れて い な い.. 母親の育児不安や育児ノイローゼは神経症的要素が強く, 乳児の泣きを鎮めることができなかったり, 我 が子とどう向かい合う のかわからないといっ た育児 に悩む母親の代表的なことばであり, その悩みの結果と して乳幼児虐待に至るケースもあり社会的注目を浴 びている. 乳児期の育児ストレスに関しては, 出産後の 母 親 の 抑う つ 症 と の 関係 で 研 究 さ れて いる (Hi sata sataら は, 産 , Miguchi , Senda & Niwa ,1990). Hi 後の抑うつ症と育児ストレスとの関係を研究し, 初産児を持つ母親の方がそうでない乳児を持つ母親より育 児ス ト レス が高 い こ とを 報 告 して いる‐ さ ら に, こう した母 親 のス ト レス は 夫 のサ ポー トと関係 があ り , , 夫 の サ ポー トがス ト レス の 緩和 剤 とな る の は, 母 親 の 育児ス ト レス が中程 度 の場 合 であ っ て ス ト レス が高 , か っ たり, 低 か っ たり する 場 合 には, 夫 の サ ポー トは有効 で はな い こ と を 明 ら か に して いる 彼らの結果は . ,. 夫のサポートは育児ストレスを緩和するという従来の研究結果と異なるものである‐ 又 佐藤 菅原 戸田 , , , , 島, 北村 (1994) は, 育 児ノ イ ロ ー ゼ には子 ども 関 連 育児ス トレス と 母 親 関 連 育児ス ト レス が考 え ら れ こ ,. れらを二つの次元で捉え, 抑うつ重症度との関係を検討した結果, 子ども関連育児ストレスをプロセスとし て考えた場合, 子ども関連育児ストレスが母親関連育児ストレスに影響し, それが抑うつ重症度に影響する こ と を 明 ら か に して い る. 子 ども 関連 育 児ス トレス は子 ども の気 質 によ っ て 派生 す るス ト レス で 母 親 関 連 ,. ストレスは母親自身の感情や他者との関係のストレスである. 氏家と高嶺は 母親が出産によって家庭環境 , が変わり, 母親の適応過程を通して, 育児過程におけるス トレスとその解消過程をケーススタディの形で報 告 して いる (1994) ‐ そ の プロ セス を見 る と 育児 ス ト レス に は, 乳児 の 気 質 だ けで は な く, 種 々 の 悩 み や 問. 題がかなり関与していることが明らかである‐ このような母親のス トレスは又, 子どもの行動に反映してい く こ と が考 え ら れる.. このような乳児期の母親の育児ストレスは継続されていく傾向 にある (Bs t e & Bayles , 1984). 幼 児 に 35.
(3) . 戸 田. 須恵子. とっても母親からのストレスや母子関係からのストレスが継続されることになり (桜井,1998) , 母子が相 互に悪影響を与えていることになる. このような悪循環を改善するのはやはり母親の環境を改善する事が必 要である と同時に, 母親の育児感を肯定的な方向に向ける事も必要であろう. 柏木・若松は, 育児期間は, 子どもの発達と共に親も親としての成長があるべきだと考え, 幼児期の親の育児・子 どもに対する感情を調 1994) 査し, 育児への肯定感, 育児による制約感, 子どもは分身感の3因子を見いだしている ( . この結果 は, 育児が単に親としての成長を促進するだけでなく, 同時に自分の行動が制約されることに対す る ス ト レ inberg & Richardson は, 育 児 ス ト レス に は 個 スも存在 して いる こ と を‐明 ら か に して いる. さ ら に, We. 991) 人差が大である事を報告している (1 . 1 998 ) は, 乳児期の気質と 乳児期の育児ストレスには気質がかなり関与していることを述べたが, 水野 ( 幼児期の育児ストレスとの関係について研究し, その結果, 乳児期に母親の分離不安が高かったり, 気むず かしい乳児を持つ母親はそうでない乳児を持つ母親より幼児期の育児ス トレスが高かっ たことを報告してい る. このように, 育児ス トレスは, 母親が子 どもの気質をどのように受け止めているかにも関係があること 1 99) は, 生後6ヶ月から11歳までの縦断研究で, 1 が示唆される. 菅原‐北村・戸田・島・佐藤・向井 (19 i l i 歳時のEx t ng な問題は, 乳児期の母親の否定的育児感とも関係があることを報告しており, 幼児期, z erna 児童期の暴力や破壊的行動 は, 乳児期の気質即ち乳児の気むずかしさや, そのような乳児を持つ母親が感ず る育児に対する育てにくさにさかのぼることを明らかにしている‐ このような報告は, 乳児の気質における育てにく さだけではなく育児に対する母親の否定的育児感も育児 ストレスに影響していることを明らかにしている. 例えば, 気むずかしい子どもの行動を否定的にみている 母親は, 子どもの些細な行動でもイ ライラし, 子 どもを力で統制するといっ た権威主義的な態度で接する事 が考えられよう. 一方, 子どもがおもちゃを散らかし, 片 づけるように言っても片 づけない子どもに対して, 寛大な態度をとる母親は, 母親自身それほ どストレスを感じないだろう. このように母親が子どもの行動を どのように受け止めているかによってもストレスの強度は異なり, 母親の子 どもに対する行動や態度も異な り, 母親の養育態度は, そういった子どもの行動や気質によっても影響されることが考えられる‐ さらに, 養育態度が子 どもの行動に影響することも考えられる. 又, 母親の育児ス トレスの程度は, 子 どもが日常生 活のなかで引き起こすハプニングがどのくらい頻繁に起こるのかによっ ても異なり, 子どもの数によっても 異 なる の で はな い かと思 わ れる.. 幼児期における母親の育児ストレスにはどのような種類のストレスがあるのだろうか‐ 従来の研究が報告 生活の中 4) しているように (佐藤等,1994 ; 氏家・高波,199 , 幼児の気質から派生するだけではなく, 日常 で はいろ いろ な問 題 が存 在 し, そこ か ら種々 のス ト レス が 派生 す る‐ しか し, そ れ が長期 に継 続 さ れたり, 深 刻 にな っ たり する と, ス トレス は 身 体 に異 変 が生 じる こと に なる‐ ス ト レス がライ フ・ イ ベ ン トの プロ セ. スの中で生じると考える時, どのような事からストレスが生じやすいのか, それらが何に影響を与えるのか を検討していく必要があろう. これらを明らかにすることによってストレスに対する対処方法研究に新たな 情報を提供できるのではなかろうか‐ 本研究の目的は, 母親が日常生活の中で子ども達の世話をどの程度行っているのか, 又, そのような子 ど も の行 動 に対 して どの 程 度煩 わさ れて いる の か, あ る い は, 悩 ま さ れて いる の か を調 べ, そ れらの育 児 感 ・. 育児ストレスと子どもの気質との関係を見ることを目的とする‐ さらに, 育児ストレスが親の養育態度とど の程度関係しているのか検討する‐ 仮説として次の事が予測される‐ 1) 育児に関わる頻度が多く なるほど育児ストレス は大きいだろう. 2) 子 どもを否定的に見る母親は, 育児を否定的に見ている だろう‐ 即ち, 子どもの否定的な気質と育児ス ト レス と は関 係 がある だろう 事 が予測 さ れる‐ 36.
(4) . 母親の育児ス トレスと幼児の気質及び養育態度との関係について. 3) 育児ストレスが高い母親の養育態度は, 権威主義的養育態度を示す だろう‐ 方. 法. 被験者:幼稚園に通園している4歳以上の幼児を持つ母親を対象に研究への参加協力を求めた. 214名の母 3) 親から回答を得た (M=101 . 幼児の年齢は, 平均約64ヶ月 (範囲39一81ヶ月) , 母親の年齢は平 ,F=11 2 6年, 父親の年齢は平均36歳, 教育年数は13 3年であった. 又, 母親の就労時間は平 均34歳, 教育年数は1 ‐ . 均 一 週 平 均 4 時 間 で80% の主 婦 は専 業 主 婦 であ う た. き ょ う だい の 数 は, 一 人 っ 子25%, 二 人51%, 三 人20 %, 四 人4 % で あ っ た. 又, 家 族構 成 は, 3 人家 族22%, 4 人家 族43%, 5 人 家 族21%, 6人家族9%, 7. 人家族4%, 8人家族1%であっ た‐ 手続き:研究への参加を承諾した母親に, 幼稚園を通して, あるいは, 直接質問紙を母親へ手渡した. 他の 質問紙もあるため, 2週間後に回収した‐ 質問紙:質問紙は4種類からなっている. 質問紙Aは, 日常の子どもの種々の世話に関する頻度数とその事 柄に対するストレスの程度を質問している. 質問は20項目から構成されており, 回答は, 頻度数に関しては, 1“ほと ん どな い” か ら 4”い つ も ある” の4段 階評 定で あり, ス ト レス に 関す る 回答 は, 1‘ f全 然 煩 わ さ れて い な いヤ から 4“非常 に煩 わ さ れて いる” の4段 階評 定と な っ て いる. 二 つ 目 の 質 問 紙 B は15項 目 か. ら構成されており, 日常生活での子 どもの世話に関する事柄の発生頻度数とス トレスを質問している. 回答 は先の質問紙Aと同様, 頻度数, ストレスとも4段階評定となっている. 3つ目の質問紙は子 どもの気質に 2項目から構成されており, 回答は 1“全く当てはまらない” から 5”非常に当てはまる” 関する質問紙で5 の5段階評定となっ ている. 4つ目の質問紙は母親の養育態度に関する質問紙で6 2項目から構成されており, 回答 は1“全く そう で はな い” か ら 5“いつ も そう である” の5段 階評 定 にな っ てい る.. 分析:各質問紙はそれぞれ因子分析を行っ て因子を抽出し, 因子間の相関によって各変数間の関係を見た. さらに, 気質の育児ストレスへの影響度, 育児ストレスの養育態度への影響度は重回帰分析 (ステッ プワイ ズ 法) に よ っ て 検 討 した‐ 又 世 話 に 関する 頻 度 数と 育児ス ト レス 間の 比 較 は T‐ test を行 っ た. , 結 1. 育 児 感・ 育 児 ス トレス につ いて. 果. と. 考. 察. . . - ‐子どもの世話に関する行動の頻度数とその煩わしさ (ストレス) に関する質問紙A, Bは, ストレスに関 する回答を基準として各質問紙を別々 に主成分分析 (バリマックス回転) を行っ た. 質問紙Aからは5つの 因子 が抽出された. 第1因子は7項目から構成されており, 育児は自分に大切な事を教えてくれ, 自分自身 の成長が高められると思うといった項目が含まれているので “育児への肯定感” と命名 した. 第2因子は 7項目から構成され, 育児も こよって自分の時間や他の事が妨害され, いつも拘束されているように感じると いった項目が含まれるので “育児による制約感” と命名した. 第3因子は2項目から構成され, 育児から 孤独感を感じたり, 葛藤が生じるといっ た項目が含まれるので “孤独感/葛藤” と命名 した‐ 第4因子は 2項 目 か ら構 成 さ れ, 家 族 の成員 が互 い に ぎく しゃ く している と い っ た 項 目 が 含 ま れ て い る の で “家 族 間. の不協和” と命名した‐ 第5因子は2項目から構成され, 育児が経済的に負担であるといっ た項目が含ま れているので ”経済的問題” と命名 した. 質問紙Bからは3因子が抽出された. 第1因子は5項目から構 成され, 子 どもの行動 に対し口うるさく言っ たり, 子どもが親の行動を妨害するといっ た項目が含まれてい る の で “親の介入/子の妨害” と命名 した. 第2因子は7項目から構成され 子どもの行動や育児に対し , 37.
(5) . 戸. て 否 定 的 で あ る と いっ た項 目 が含 ま れる の で. “否定的育児感” と命名した 第3因子は3項 . 目か ら構 成 さ れ, 子 ども が規則 や ルー ル を守 ら. 田 須恵子. Tab l el ‐ 育 児感 ・育 児 ス トレス の因子 得点 因. 子. 名. M (SD). A1 pha. な い と い っ た項 目 が含ま れる の で ”規則 ・ ルー. 育 児 へ の肯 定 感. 60( 65) 1 ‐ ‐. 91 ‐. ル” と 命 名 した. Tabl e l はその 因子 得点と. 育児 に対 する 制 約 感. 1 76( 53) . ‐. 86 ‐. 信 頼 度係 数 α が示 して ある. 最 も 得 点 が高 い の. こ対 する 孤独 感 /葛 藤 育 児も. 34( 1 51) ‐ .. 64 ‐. は親 の 介入 /子 の妨 害 で あ り (2‐16点), 最 低. 家 族 間 の不協和. 1 46( 52) ‐ .. 53 .. 得点 は育 児 に対 する 孤独 感/葛 藤 で ある. 母 親. 経 済 的問 題. 1 85( 60) ‐ .. 53 ‐. は何 か という と子 ども に口う る さく 言う こと が. 親 の 介入 /子 の妨 害. 2 16( 58) ‐ ‐. 83 .. 多 い 事や, 子 ども が親 の会 話 を邪 魔 す る 事 が多. 否 定 的育 児 感. 67( 50) 1 . .. 86 ‐. く, そ のよう な子 ども の 行動 に煩 わ さ れて いる. 規則 ‐ ルー ル. 62) 1 93( . ‐. 61 ‐. ようである. 又, 幼児期では育児に対して孤独 感を味わったり, 悩むことはあまりない事がわ かる‐ 育児に対する孤独感や葛藤は, 乳児期とは異なり, 幼児が幼稚園を通して友達をつくり, それが親と のつき合いともなるので, 育児をしていても, 育児に関する問題や悩みを他の親に相談する事が考えられ, そのために得点が低くなっている事が考えられる」 全体として因子得点は低い傾向にあり, 幼児期の育児ス トレスはあまり高くないことが明らかである. ‘ 質問紙AとBの因子間の相関を見ると 次 に,. と , 質問紙Aの第4因子と質問紙Bの第1 因子及 び第3因子 0 01 レベルで有意な関係が認 められた. は有意な相関は見られなかっ たが, その他の因子間には相互にp<. この結果は, 母親は, 育児に対する肯定感と同時にネガティ ブな育児感 (ストレス) も感じていることがわ かる. このような育児に対するストレスは, 子どもの世話に関わる頻度と関係があるのだろうか相関係数を 算出した. 結果は, 予測したとおり, すべての因子間に有意な正の相関が認められた. 即ち, 子どもの世話 や関わりが多いほどストレス感が高いと言える. これらの結果から,‐母親の年齢やきょう だいの数と関係が “ 20 005) ある の か 見 た と ころ, き ょ う だい にお い て 第5 因子 “経済 的問 題” (r=. , 第2 因子 否 定 的 , p<‐. 42) に有意な相関が認められた‐ 即ち, きょうだい数が多くなるに従っ て経済的な 0 育児感” (r=‐ 15 ,p<. 問題で悩む事が多くなっ たり, 子 どもの世話 をすることが煩わしく感じられると言える. 又, 育児ストレス に性差が見られるのか分散分析で見たところ有意差は認められなかっ た. 即ち, 育児ストレスは性差に関係 なく生じると言える. さらに, 子 どもとの世話や関わりの頻度 と育児感・育児ス トレスとのギャッ プは どのようであ る の か 2を見ると, 有意差が認められる ギャッ プは育児への T‐ e 2‐1 及 び Tabl tに よ っ て 検討 した. Tabl tes e2 … 肯定感因子と親の介入/子の妨害因子, 否定的育児感因子, 規則・ルール因子に集中している. これらの項 目得点を見ると頻度数は高いがストレス得点は低い傾向が見られる. 即ち, 育児が自分の成長に役立ってい ると感じている母親は, 育児をそれほど煩わしいとは感じていないし, 普段, 子どものしつけ等において口 うるさく言うもののそれを当たり前の事として受け止めているのかも知れない‐ 結果として; これらの因子 に属する項目は, 多くの育児的関わりを持っていたとしてもそれをストレスとはあまり感じないと言える‐ 2. 幼児の気質と育児ス トレスとの関係 ‐ た. 各項目の特徴から第 気質に関しては52項目を主成分分析 (バリマックス回転) を行い7因子を抽出し ‘社交的/活動的” 第2因子を “感情的” 第3因子を “落ち着きがない” 第4因子を “友好的” 1因子を‘ , , , , 因子 e 3) 第 5 因子 を “う つ 的”, 第 6 因 子 を ”未熟 / 頑 固”, 第 7 因子 を “一 匹 狼” と 命 名 した (Tabl ‐ 38.
(6) . . 母親の育児ストレスと幼児の気質及び養育態度との関係について. Table 2 1 ‐ ‐. 日常の育児に関する事柄の頻度と育児感との比較 -その1- 項. 目. 08 89 子 ども は, 私に刺 激を与え, いろいろ な事を学習 させてく れる と思う . . 12 - -88 子 ども は, 私にす ばら しい事と か, 大切 な事 を教えてく れる と思う 05 - ‐81 私にとっ て子 ども は, 喜 びの源である と感 じる 13. .78 子 ども達はお互いにう まくや っ ている と思う (一 人以上の子 ども がいる 場合) 19 - .71 17 . .60 59 07 - .. 子どもを育てる事で, 他の大切な人 (両親とか友達) との距離が近くなった思う感じる 子 どもを育てることで私の 人格 (パー ソナリ ティ) 的成長が高められると思う 子 どもを育てることで, 主人 (奥様) と の距離が近くな っ たと感 じる. 第2因子 01 . .78 09. .73 15. .73 02 ‐ .71. 14. . 57. 1 ‐65 ***. 1 71 *** . 1 55 *** . 1‐64 **. 1 54 .. 育児に対する制約感 2 26 2 14 . .. 青緒 的に渇 き切 っ ている (疲れ切っ て, 身も ぼろ ぼろ である) と感 じる 子 どもの世話 で1. 1 7 3 . 8 1 .7. 1 7 6 . 1 8 .5. 1 6 9 . 1 5 6 . 1 7 .0. 1 7 5 . 1 6 0 . 1 59 * .. 子どもの世話の為に, 家事, 仕事, 家族, 趣味, 外出などが妨害される. 子どもの世話 (入浴させたり, 食事を与えたり, おしめを変えたりするなど) で私の身 体は疲 れ切 っ ていると感 じる 子 どもの世話を しな ければならないので全く 閉口する. 子どもの世話で, 私の健康を維持するための時間がない (運動したり, きちんと食事を とる) と思う 子どもの要求に合わすために睡眠時間がない. 第3因子. 1 65 1 60 ‐ .. 育児に対する孤独感/葛藤. IL ‐ 82 私は独りぼっちだと感じる(私がきちんと子どもを育てている事を誰も理解してくれない) 10 . .78. 育児感 1 .72 *** 1 59 *** ‐. 私自身の自由な時 間なのに, 自 分の時間と は感 じら れない。. 16 68 子どもの世話は不便だと思う . ‐ 06 - -60. 0瀦 度罰銘%罰朋 9 額& & 3 32 2 2. 育児への肯定感. 第1因子 No. Load-. 子どもを育てる事は, 多くの葛藤を生じさせ, 私の大切な人 (両親とか友達) との言い. 1 24 1 31 * - . 1 34 1 37 . .. 争いをつく っ ている. 家族間の不協和. 第4因子. 20 76 子 ども 達は, お互いにう まく いっ ていない (一人以上お子様がいる 場合) と思う . . 3 子どもを育てる事が, 主人との争い (口論等) を増大させていると感じる 18 7 . .. 第5因子 0 3 . 04 .. 1 29 . 1 46 .. 経済的問題. 68 育児にかかる費用は, 経済的に負担であると感じる . 6 .7 子どもの要求を満たすために, 私の計画を変えなければならないと思う. 8% 寄与率 66.. * p<.05 ** p<.01. Tabl 2 e2 ‐ ‐ 第1因子. 1 9 4 1 86 * ‐ . 2 13 1.86 *** . *** p<. 00I. 日常の育児に関する事柄の頻度と育児感との比較 -その2-. 親の介入/ 子の妨害. No. Load. 項 22. .76 子 ども に小言をいっ たり. 目 , 泣き言をいっ たり, 文句 をい っ たりする こと 23 . .72 子 どものスケ ジュ ー ルで, 親の欲求 (又はしなけれ ばならない家事) が中断される 24 0 子 ども は, しつ こく 言われないと求めら れて いる 事を聞きもしないし, しようともしない. . .7 26 . .64 子 ども達 は, 親が どこかへ連 れていっ たり, 遊 んでく れる事 を要求する 25. .63 きょ う だい の言い争いには仲裁が必要である 否定的育児感. 7 5 子どもは服を汚すので着替えをさせなければならない . 6 .4 子 ども達 は, 公衆の場所できち んとする のは難 しい 6 2 子どもが何をしているか 絶えず目を光らせる必要がある .. 35 59 ‐ - 29. .58. , 子どものためだけに余分な用事をしなければならない. 子 ども の要求に沿う ため, 計画を変え なけれ ばならないこと 32 5 5 子ども達は . . , 大人の会話や話の邪魔をする 27 . .53 子 ども達 は, いつも邪魔 である. 第3因子 28 . 3 3 - 21 .. 2 47 . 2 3 ‐1 2 45 ‐ 2 91 ‐ 2 33 ‐. 2. 30 *** 2.08 *** 2‐ 34 *** 1 .97 *** 2 .03 ***. 1 57 *** . 1 ‐80 *** 1 .72 *** 1 .74 *** 1.64 *** 1. 86 *** 1 .45 *. 規則・ ルー ル. 7 6 子ども達は 寝る時間にはいつもいやがり抵抗する . , 6 .4 子ども達に定刻までに遠足の準備をさせるのは難しい 6 2 子 どもがちらか した 後いつも片 づ けている こと .. 5% 寄与率 60 .. 頻度 育児感. ( br a .←リムn x UにU( リ .▲ U ヮ十.←ハ ー←( d ,》 . ・( ー , . ・ . 第2 因子 31 . 34 - 30 -. 1 39 ** .. 1 50 .. 1 62 . 1 77 . 2 9 3 ‐ * p<.05. 1 60 ‐ 1 .65 ** 2 .57 ***. ** p<.01 *** p<. 001. 39.
(7) . 戸. Tabーe 3 .. 第1因子 No. M. 2 12 ‐ 3 . 14 ‐ 3 .3. 08 . 20 . 0 1 . 46 1 3 . 17 . 35 . 24 . 09 . 25 . 18 . 07 .. 須恵子. 幼児の気質の因子分析結果. 社交的/活動的 77 9 .. 76 1 -.. 87 lpha = . 項. Loading. 7 23 3 6 . . 2 5 67 5 . . 2 67 2 8 -. . 3 66 6 .2 -. 3 5 66 1 ‐ ‐ 3 7 -. 623 . 2 7 590 . . 3 4 50 5 . . 2 5 22 7 ‐ ‐ 2 9 45 1 ‐ . 3. 5 -. 337 3 3 -. 309 .. 第2因子. 田. 目. 非常に社交的である 見知らぬ人と親 しく なるのに時間がかかる す ぐ友達ができる 見知 らぬ人に人なつ っ こい 恥ずか しがりや である 新 しい状況になれるのに時間がかかる 非常にエネルギッ シ ュ である 活 発な遊 びより, 静かな非活発的な遊 びを好む 荒っ ぽい遊 びや乱暴な遊 びが好きだ 冒険的な遊 びが好きだ 朝, 目が覚める とす ぐ起きて走り 回る 考えないです ぐ行動 にでる 一 人でいる時, 子 ども は一人 ぼっ ち だと感 じる 行動する 時は, たいていゆっ く りと行動する(のるま だ). 感情的. *. * * *. * *. lpha = .84. 15 7 7 68 す ぐ腹を立てる ‐ 2 . . 自分の したい事 が出来なかっ た時, かん しゃく を起こす 21 3 3 2 3 7 . . . 44 3 -. 6 94 , す ぐ怒らない . 3 . 2 6 0 6 66 いく らか感情 的な傾向 がある . 3 . . 11 5 6 35 度々 機嫌が悪くなりす ぐ泣く . 2 . . 9 2 6 11 1 腹を立てている時, 激 しく 反応する . 3 . . * 腹を立ててもす ぐおさまる 3 0 4 …. 597 ‐ 2 . 28 5 508 やり たい事 をやっ ている 時, 邪魔される と腹を立てる . . . 3 怒っ た時, 10分以上も機嫌がなおらない 41 0 45 4 .▲2 . . - 390 す ぐ泣く 0 2 0 . . . 3 9 -. 48 361 や っ て はい けないと言われた事 に対 してやりたいという 誘惑に打ち勝つ ことが出来る . . 2 第3因子. 落ち着き がない. 29 9 5 82 . 2 ‐ ‐ 23 9 -. 7 59 . 2 . 24 42 7 5 …. . 3 ‐ 34 5 7 10 . 2 . . 0 67 5 39 . 3 . . 415 2 33 8 …. , ‐- . 51 3 40 9 . . ‐ 2 38 9 9 7 4 . . ‐ 2 371 3 2 3 . 3 . ‐. 第4因子 40 . 36 . 26 . 31 ‐ 03 ‐ 43 . 05 .. 4 0 ‐ 3 7 . 4 1 . 3 8 . 4 3 . 3 1 . 3 4 .. 第5 因子. 2 47 . . 2 2 2 50 ‐. . 10 1 . 3 . 第6因子 52 二 45 . 22 . 38 .. 3 0 . 0 3 . 1 9 . 2 0 ‐. 第7因子. 16 ‐ 37 . 27 . 04 .. 2 2 . 6 1 . 2 2 . 2 7 ‐. l pha = 、82 一つ の事を最 後までやらないです ぐ他の事をする * 課題が終わるま でそれをやり続 ける * 一つ の事 が完全に終わるまで他の事 をやろう と しない 一つ の事 に集中する のが困難である 一つ の遊 びからす ぐ他の遊 びに移る こと が度々ある 強い意志の持ち主である ・ * 静かな遊 び (お話を聞いたり, 絵を見たりする事) を している 時, そわそわ して落ち着きがない 静かに座っ ていたり, 立っ ている ことが難 しい 人が話 して いる時, 時々 話を妨害する. 友好的 6 80 . 5 .95 587 . 519 . 488 . 452 . 393 .. 好きな 人に対 Lて はよく笑いか ける 楽 しんで人の話を聞いている 冗 談や ばかな事で非常によく笑う 新 しい事を したがる 人と一緒 にいる のが好き だ 大 人と静かにお しゃ べり したり, 話を聞く事を楽 しむ 一人でいる より友達と遊ぶのが好きである. うつ的. 6 99 . 5 94 . 388 .. ・. lpha = .68. lpha = . 39. 度々 み じめな気持ちになる 度々悲 しくなる 他の何よりも刺 激を与えてく れる のは人 だと知 っ ている. 未熟/頑固 0 59 ‐ 435 ‐ 410 ‐ 33 3 . 一 匹狼. 739 . 47 1 . 350 . 327 .. l pha = .46 逮っ た事をやるよう に言われても, 自 分がこれと 思っ た事をやる 他の事をするよう 求められた時, 今や っ て いる 活動を止める のが困難である こそこそ していて素直 でない 腹を立てた時, 恨みを抱く A1pha = . 35 一匹狼的なところ がある 他の子 どもと遊 んでいる 時, ほと ん ど声を出 して笑う事がない 恐さを表面に出さない いつも忙 しいそう である. * 逆転項目 寄与率. 40. 3% 第1因子 14 . 8% 第5因子 3 .. 1% 第2因子 13 . 4% 第6因子 3 .. 5% 第3 因子 7 ‐ 2% 第7因子 3 ‐. 2% 第4 因子 5 . 5% 計 50 ..
(8) . 母親の育児ス トレスと幼児の気質及び養育態度との関係について. “ 9L点) で最も得点が高かっ たのは, 第4因子 ”友好的” 因子であり (3 . , 次いで第1因子 社交的/活動白ず “ ” “ 19点) 15点) 因子 であ っ た (3 . ‐ ‐ 最 も 得点 が低 か っ たの は 第 7 因子 一 匹狼 で (2 , 次 い で 第6 因 子 未 熟. /頑固“ 因子であっ た ( 2 45点) . . 母親は, 我が子を友好的で活発な子どもと見ていることがわかる‐ 気質 と 育児ス トレス と の 関 係 につ い て は相 関係 数を算 出 した‐ Tabl e4から育児ストレスと有意な相関を示した 気質因子は, 感情的因子, うつ的因子, 未熟/頑固因子であっ た. 即ち, 育児への肯定感を除いて, 他の因 子はネガティ ブな育児感で育児ストレスと言える因子であり, これらの因子と相関が認められる気質因子も ネガティ ブな気質に関する因子である‐ この結果は予測した様に, 子 どもをネガティ ブに見ている母親は, 育児に対しても否定的に見ていることを示している. では, 有意な相関が認められた因子で, それぞれの育 児ストレスに最も影響を与えている気質因子は何か, 育児ストレスを従属変数とし, 気質因子を予測変数と して重回帰分析 (ステッ プワイ ズ法) を行った (Tab l こよる制約感に有意に影響を与 e5) ‐ 表から, 育児を えているのは感情的因子とうつ的因子であり, 孤独感/葛藤に影響しているのは, 感情的因子と未熟/頑固 因子であり, 経済的問題に影響しているのは未熟/頑固因子であり, 親の介入/子の妨害に影響しているの Table 4 .. 育児感. 母親の育児感・育児ス トレスと気質との関係 気. 社交的/活動的. 感情的. 質. 落ち着きがない. 友好的. うつ的. 未熟/頑固. 育児への肯定感. -226**. 育児も こ対する制約感. ‐208**. .224**. .281***. 孤独感/葛藤. ‐242***. ‐188*. ‐213**. 家族間の不協和. .244**. 経済的問題. - .150*. .195**. 一匹狼. -158*. ‐173*. 親の介入/子の妨害. ‐384***. .202*. ‐291***. 否定的育児感. ‐230**. .167*. .324***. 規則・ルール. .252***. ・. .146*. -251***. *p<‐ 05 **p<. 01 *** p<‐ 001 Table 5 . 育児ス トレスに影響を与える気質 因子項目. R. Rsquare. β. F. P. 従属変数 育児による制約感 予 測変 数. 感情 的 うつ的. 30 ‐ 36 .. 09 - 13 ‐. -301 205 .. 15. 92. ***. 12‐ 05. *** ***. 従属変数 孤独感/葛藤 予測 変 数. 感情的. 25 ‐. 2 9 .. 06 . 09 .. 251 ‐ 172 .. 11 73 . 8 2 .1. 従属変数. 未熟/頑固 経済的問題. 予測 変 数. 未 熟/ 頑固. ‐19. 04 .. 188 ‐. 6 .64. 感情 的. 38 ‐. ‐15. .382. 23.17. ***. 未熟/頑固. 42 ‐. 17 .. 192 ‐. 14 30 ‐. ***. 34 .. 12 .. 342 .. 22 58 .. ***. 26 . 31 .. 07 . 09 .. 264 . 171 .. 13 48 .. ***. 9 26 .. ***. *** **. 従属変数 親の介入/子の妨害 予測変数. 従属変数 否定的育児感 予測変数. 未熟 /頑 固. 従属変数 規則・ルール 予測変数 未熟/頑固 感情的. 05 **p<‐ *p<‐ 01 *** p<. 001 41.
(9) . 戸. 田. 須恵子. は感情的因子と未熟/頑固因子であり, 否定的育児感に影響を与えているのは未熟/頑固因子であり, 規則・ ルールに関するストレスに影響を与えているのは未熟/頑固因子と感情的因子であっ た. これらの結果は, 多くのストレスは幼児の感情的な気質 (例えば, す ぐ腹をたてる, 自分のしたい事ができなかった時, かん しゃくを起こすなど) や未熟さや頑固な気質 (違った事をやるように言われても, 自分がこれと思った事を やる) が, 母親のストレスを生じさせる一因となっていることが推測できる‐ このような結果は水野 ( 1 9 9 4 ) の研究結果と一致しており, 乳児期に気むずかしい乳児は, 幼児期では感情的な子ども, あるいは未熟なそ して頑固な子どもに育っていく事が推測できる. さらに縦断的研究によって検討していく必要があろう. 3. 母親の養育態度と育児ス トレス及び気質との関係 母親の養育態度に関しては, 62項目を主成分分析, バリマックス回転を行い3因子 (権威主義的, 権威的, 許容的) を抽出し, 各因子に対して主成分分析, バリマックス回転を行った. その結果, 第1因子の権威主 義的因子から5因子 (体罰, 理由なき罰/罰方略, 葛藤/権力, 指示命令, しつけ方略) , 第2因子の権威 的因子から5因子 (温かさ/関係, 言語的勇気づけ, 気楽なつき合い/愛情表現, 論理的/説明的, 民主的 しつけ方略) . これ , 第3因子の許容的因子から3因子 (放任, 服従, 甘やかし) を抽出した (資料1参照) らの因子と育児ストレス因子との相関を見たところ, 権威主義的養育態度と育児への肯定感因子を除く全て の育児ストレス (育児による制約感, 孤独感/葛藤, 経済的問題, 親の介入/子の妨害, 否定的育児感, 規 則・ルール) と有意な相関を示した (Tab l e6) . この結果は, 育児ストレスが高い母親ほ ど権威主義的養 育態度を示すであろうという仮説を実証したと言える. 権,威的因子と有意な負の相関を示したのは家族間の 不協和因子であった‐ 権威的養育態度を示す母親の家庭では, 夫との関係やきょうだい関係はうまくいって いるようである. さらに, 許容的因子と正の相関を示したのは, 育児に対する孤独感/葛藤因子で, 特に下 位因子 “放任” と有意な正の相関を示した. 子どものしつけに対して放任的態度を とるという事は, 子 ど もとあまり接しないという事でもあり, それが孤独感を感じさせたりするのか, あるいはどうして育てれば Table 6 .. 母親の養育態度と育児感・育児ス トレスとの関係 育. 養 育. 態. 度. 権威主義的 体罰 理由なき罰/罰方略 葛藤/権力 指示命令. 孤独感/ 育児への 育児に対 肯定感 する制約感 葛藤 229** ‐ ‐156*. 231** ‐ 230** .. 経済的 問題 175* ‐. 222** .. 親の介入/ 子の妨害. 220** .. 否定的 育児感 .209**. .236***. 242*** 319*** ‐ 286*** . .. 169* .. .190*. .168*. 217** 297*** . 291*** . .. 152* .. 規則・ ルール. 333*** . 304*** 312*** . ‐. ・. .315***. .192**. 権威的 温かさ/関係 言語的勇気づけ 気楽なつきあい/愛情表現 論理的/説明的 許容的 放任 服従. 家族間の 不協和. .161*. しつけ方略. 民主的しつけ方略. 感. 児. ‐144*. 204** ‐ .170*. --176*. ….277***. -.151*. -.157*. 156* . 2 193* .58*** . 216** .. 159* ‐. 190* .. 154* .. 187* .. 甘やかし 01 *** p<. 001 * p<. 05 **p<‐ 42.
(10) . 母親の育児ストレスと幼児の気質及び養育態度との関係について. い い の か わ か らな い が故 に子 ども を 放任 して いる の か, こ れ らの関 係 をさ ら に検討 して いく 必要 があ ろう.. 最も多く有意な相関が認められた権威主義的因子に関して, 権威主義的養育態度に最も影響を与えている育 児ストレスは何か, 有意な相関が認められた6つの育児ストレス因子 (育児も こよる制約感, 孤独感/葛藤, 経済的問題, 親の介入/子の妨害, 否定的育児感, 規則.ルール) を投入して重回帰分析 (ステッ プワイ ズ 法) を行っ た. その結果, 権威主義的養育スタイルに影響を及ぼしていたのは, 親の介入/子の妨害因子の 33 み で あ っ た (R ‐. Rsquare . 11. 57 p<‐ 001) 丑330 F=13 ‐ . 他 のス ト レス 因子 は有 意 な 関 係 が 見 ら れ. たものの, 権威主義的養育態度にはほとんど影響していないと言える. 養育態度と気質との関係は先の研究 999) が, 養育態度への育児ストレスの影響は気質とも関係していると考えられる. で報告している (戸田,1 育児ストレス因子と気質因子間に有意な相関が認められた感情的因子, うつ的因子, 未熟/頑固因子を統制 し, 再度権威主義的養育態度と育児ストレス因子間の相関を見たところ, どの因子においても有意な相関が 認められなかった. この結果は, 育児ストレスは直接養育態度に影響しているのではなく, 幼児の気質を通 して 影響 して いる と 言 える.. 本研究は, 子どもの世話をする頻度と世話をする事の煩わしさを通して育児感・育児ストレスを検討して きた‐ さらに, 育児ストレスと気質及び養育態度との関係も明らかにしてきた‐ これらの関係から幼児の気 質が育児ストレスや養育態度に深く影響している事が明らかとなっ た‐ この事は, 母親が子どもをどのよう に見 て いる か によ っ て, 育 児ス ト レス が生 じる か どう か に関 わ っ てく る こ と を物 語 っ て いる.. 現代社会においては, 育児の役割は主に母親に任せられている. 本研究の対象者は80%が仕事を持たない 専業主婦であった‐ 従って, 育児ストレス度もそれほど高くなかっ たのではなかろうか. 今後の課題として は, 仕事を持って育児をしている母親も対象とし, 両者の育児ストレスの比較を検討していくことが必要と 思われる. 又, 育児ストレスは母親の性格とも関係があるのではないかとも推測されるので, 母親の性格と の関係を検討することも今後の課題であろう. 引. 用. 文. 献. Bates,J. 984 ob i ldren 丘om age 6 t jec veand subjectivecomponentsin mothers’perceptionsoftheirchi , Bayles, K.1 i l l months to 3 years. Mer ‐Palmer Quarterly, 30 ‐ , 111‐130 Hisata,. iguchi 1dcare st 9 90 Chi ion -An exzminat ion ress and postpartum depress . , ルま .1 , q ,Senda,S. , & Niwa,1. fect of mar italint imacy as soc ialsuppor ofthe st ress‐buffering ef 61 t - . 社 会心理学研究,6 . ,42. 柏木恵子.若松素子 1 9 9 4「親となる」 ことによる人格発達:生涯発達的視点から親を研究する試み. 発達心理学研究 5 7 8 3 ‐ . ,,2 水野理恵 1 9 9 8 乳児期の子どもの気質・母親の分離不安と後の育児ストレスとの関連:第一子を対象にした乳幼児の縦断研究‐ 発達心理学研究,9 65 ‐ ‐ ,56 Lazarus, R.S‐ & Folkman S. 19 モ 3 4 Stress APPraisal and Coping. N.Y :Springer , , , , .. 本明寛・春木豊・織田正美監訳 ストレスの心理学 実務教育出版 1 9 9 1 桜井茂男 1998 子 どものス トレス. 大日本図書.. 佐藤達哉‐菅原ますみ‐戸田まり・島悟・北村俊則 1 1 9 9 4 育児に関連するストリスとその抑うつ重症度との関連. 心理学研究, 64 9 416 ‐ . ,40. 菅原ますみ・北村俊則・戸田まり・島悟・佐藤達哉・向井隆代 1 9 9 9 子 ども の問題行動の 発 達 :翼xternal i ing な 問 題 傾 向 に z 関する生 後11年間の縦断研究から‐ 発達心理学研究,10 45 ‐ . ,32 戸田須恵子 1999 幼児の仲間関係に影響を及ぼす親の諸要因に関す. る研究 平成8・9年度科学研究成果報告書 氏家達夫・高嶺裕子 19 94 3人の母親 : その適応過程 につ いての追跡的研究. 発達心理学研究 5 1 1 36 ‐ ‐ , , 23 訊′einberg s・ L. & Richardson △ S 1 9 9 I D i i f ” i t l i t J l me n s o n s o ing and s r e s s n e a r a r e n n o u r n a of Consult y p ・ , g , . . ini C1 4 IP h 9 6 8 9 l 6 6 3 ca syc oogy, , ‐ . (本 学 教 授. 釧 路 校). 43.
(11) . 戸. 田 須恵子. 資料1. 母親の養育態度因子分析結果 第1因子. 権威主義的. 第1下位因子. A1 8 5 pha = .. 体. 江 Loading No. 瓜 項 目 ども 7 が親に従わない時は お 06 2 3 7 7 子 しりをぶっ . . . , 4 69 37 8 . 子どもをしつける方法として体罰を利用している . 1 . 43 691 5 . 子どもが間違った行動をした時, 子どもをぴしゃりとたたく . 2 . 6 9 . 34 13 . 1 . 568 1 9 0 . . 2 . 3 9 . 50 5 1 . 2 .. 第2下位因子. 実際に罰する以上に罰を与えると言って脅している 子どもが親に従わない時には, 子どもをつかむ 子どもが間違った行動をした時には, 大声でどなりちらす 理由なき罰/罰方略. 2 1 . 615 . 1 601 7 . . 57 1 9 5 . . .97 1 4 9 . 565 . 1 ‐. 子 どもと は意見 が一致 しない. 10 477 7 . . 1 . 1 469 02 8 . ‐ . 414 28 1 2 . ‐ . 5 4 1 4 4 3 . . .1. 殆 ど説明 しないで, ささいな事でも罰 と して, 子 どもと して許さ れるよう な事でも許さない. 44 . 61 .. 50 . 26 .. 410 2 0 . . 37 2 3 4 . .. 第3下位因子 647 1 4 . . 3 5 3 . .88 2 0 . 16 550 . . 505 56 2 0 . . .. 30 . 0 8 .. 第4下位因子 3 ‐ 7 66 40 . 3 . 5 99 9 . 59 . 2 . 8 5 6 17 2 . . . 6. 第5下位因子 49 . 0 4 .. 4 3 . 60 8 . 7 5 7 3 3 . . 36 3 . 32 5 . . 2. 子 どもが親に従わない時, 子 どもを押 しのける 子 どもの間違っ た行動 を どう 解決 したらいいのかわからない 子 どもと は気楽につ き合っ ている. 子 どもに理由を説明するより罰を与える 方法で しつ けている 殆 ど説明する ことなく, 子 どもを どこか に一 人置いて仕置きをする ほとん ど正当 な理由もなく, 罰する 時には脅 しを 使う 子 どもの行動 が親の期 待にそ ぐわない時, 叱っ たり, 非難 したりする 子 どもの感情より, 自 分の感情の方をま ず最初 に考える. 葛藤/権力 じ ・配する 間違 っ た行動に対する 親の しつけは, 子 ども が親を嫌いになる 原因になる のではないか と′ * 子 ども が親の願いと は反対のことを した時でも, 叱っ たり, 非難 したり しない 子 どもが行動を起こす前 に, 親が子 ども に期 待 している ことを話す 子 どもが何故いうことを聞かなけれ ばならないかと尋ねたら, 親だからとか, そう してほしいからと答える. 指示命令的 子 ども に何を したらいいかを言っ ている 子 ども にやる事 を命ずる 子 ども を良くする ために, 叱っ たり, 非難がま しいことを言う. しつけ方略 親に従っ たら, 褒美を与 える とい っ たやり方をと っ ている. 12 . 0 9 .. 3 4 . 688 . 6 4 3 5 . .2 550 52 0 . . 3 . 55‐ 4.0. 21 . 33 .. 547 .. 3 3 . 432 . 3 2 3 . .67. 第2下位因子 66 6 51 7 . . 3 . 48 5 . 610 . 3 . 58 4 . 541 . 3 . 62 3 2 536 . . . 44. *. 子 どもを しつ けるのは難 しいと思っ ている. 子どもに自分の怒りをぶつける A1 7 9 pha = ‐. 第2因子 権威的 第1下位因子. *. 温かさ/関係 子どもが腹を立てている時, 慰めたり, 理解している事を示す 子 ども が傷つ いたり, イ ライ ラ して いる 時, 同情を示す. 子どものためにきちんとした規則を作っている 家族の計画を立てる時, 子どもの好みを考える 子 ども の感情や要求に応えている. 学校で子どもが持っている問題や心配事に気づいている 言語的勇気づけ 子どもに自分の意見を言うように促し, 子どもの意見を尊重している 親と意見が合わない時でも, 子どもが自由に自分の意見を述べるよう励ましている 子どもに, 行動の結果がどうなるかを説明している 規則に対してはその理由を強調する.
(12) . 母親の育児ストレスと幼児の気質及び養育態度との関係について. 6 . 456 53 . 3 .. 第3下位因子 07 . 35 ‐ 05 .. 4 1 . 7 65 . 4 4 6 4 . ‐ 7 4 5 ‐ 57 4 . 4 1 4 1 39 . . . 8 3 46 4 . 40 . 4 .. 第4下位因子 OL 4 2 ‐ 638 . 38 3 . 511 . 3 . 29 . 3.3 .507 47 . 27 .. 気楽なつき合い/愛情表現 子 どもと一緒 になっ て 冗談を言 っ たり, 遊 んだりする 子 どもを抱いたり, キス したり, やさ しい言葉 (よか っ たねな ど) を かけて愛情を示 している 子 ども が良い子であっ た 時はほめる 親と して間違っ た事を した時, 子 どもにあやまる 子 どもと 時々 一緒に団らんする 時を持っ ている. 論理的/説明的 子 どもに悩 んでいる問題があれ ば, 親 に話すよう 促 している 子 ども が間違っ た行動を した後で, しつ けを している 子 ども が自分のやっ た行動が他の人に どう 影響する かを理解 してほ しいので, 子 ども に自分の行動の経過 につ いて 話すよう 勧めている. 2 8 . 47 6 .. 二 人の子 ども が喧嘩を している時, まず しつ けを して, その後で問題につ いて聞く. 4 .5. 何かをやろうと試みたり, 完成させようとする事は, 良いことだと子どもに言う. .390. 第5下位 因子 22 . 42 . 25 .. 子 ども の良い行動, 悪 い行動を親が どんなふう に思 っ て いる かを子 どもに説明 している. 3 8 . 709 . 689 4 4 . . 4 2 . 441 .. 民主的 しつ け方略 子 ども が家族の規則 について意見を言う 事を認めている 子 ども が間違 っ た行動を した時, 子 どもと話 し合い, 理由を聞いたりする 子 ども になぜ規則 を守らなけれ ばい けないかを説明する. 第3因子 許容的 第1下位因子 15‐ 1 1 .. 8 27 ‐ 8 45 1 1 2 . - .1 03 5 . 408 . 1 . 第2下位因子 18 . 36 . 60 .. 2 1 . 569 . LI . 556 3 .4. 41 . 2.1. .547 .474. 20 ‐ 2 .8. 310 .. 第3下位因子 11 3 . 6 58 . 2 ‐ 2 3 5 3 2 ‐ . .05 31 8 . 48 4 . 2 -. 33 A1pha = .. 放. 任. 子 ども が他の人に迷惑をかけていてもかまわない 子 ども が他の人を邪魔 しても かま わない 子 ども の友達の名前 を知 っ ている 服. *. 従. 子どもがする事には我慢している 子どもの間違った行動を無視する 子どもが間違った行動をしたら, 他の人に受け入れられるような行動をするように教えている 子 ども が何かで騒 ぎを起 こした時には, 子 ども にま かせる 子 どもに罰 を与える と言う が, 実際には しない. 甘やかし 子 どもを 甘や か しす ぎている 子 どもと言い合いをする. *. 子どもに何かをするように要求する前に, まず子どもの欲求を考慮する. *は逆転項目 因子からはずれた項目 24 ‐ 親と しての能力 には, 自信があると思う (第1下位因子). 45.
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