体育科の授業における楽しさの質的変化に関する研究
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(2) 目 次 緒言・・・・・・・…. 第1章 第1節 第2節. ・・・・… 。・・・・・… 1. 楽しさの質的変化についての捉え方 楽しさの定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 5 楽しさの質的変化の捉え方・・・・・・・・・・・・・・… 6. 第2章 体育科授業における楽しさ体験の実態について 第1節 目 的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 7. 第2節方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 7 第1項調査期間及び調査対象者と教材・・・・・・・・・・・… 7 第2項調査項目及び実施の方法・・・・・・・・・・・・・・… 7 第3項分析方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 13. 第3節結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… ○●●14 第1項各学校における楽しさ体験の有無・・・・・・・・・・… 14 第2項同一学校の児童間における楽しさ体験のの個人差・・・… 17 第3項他の調査項目による子どもの実態・・・・・・・・・・… 18 第4節考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 21. 第3章 楽しさ体験の質的変化の有無 第1丁目 的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 23 第2節方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 23 第1項対象学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 23 第2項感想文判別基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 23 第3節結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… ●●●●24 第1項学校間,教材間における楽しさの質的変化の実態・・・… 24 第2項因子ごとの楽しさの質的変化の実態・・・・・・・・・… 25 第3項各自における楽しさ得点の差の比較・・・・・・・・・… 26 第4節考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 26. 第4章楽しさ体験の質的変化をさせた要因の検討 第1節 目 的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 28. 第2節方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 28 第3節結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 28 第1項質的変化の有無と学力・嗜好性の関係・・・・・・・・… 28 第4節考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 30.
(3) 第5章総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 31 引用・参考文献. ●●●・●●●●・●●●●●・●●●。●。・●●●. R3. 資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 36. 謝辞.
(4) 緒 言 戦後50年の歴史を振り返ってみるとき,その変化の大きさには目を見張るものがあ る。. 中でも経済の発展は人間生活に大きな影響を与えたことは言うまでもない.. 戦後の産業発達によって支えられためざましい経済成長は,所得と余暇の増大をもた らし,人々に生活の至便性をもたらした。しかし,他方でそれは,生活の機械化や都市 化によるコミュニケーションの不足,運動不足,環境破壊・汚染や公害,過剰ストレス 等による健康不安をもたらす結果も招いたのである。さらに,テクノロジーの発達に対 応して工業的生産労働も分業化され,仕事への充実感さえも喪失することとなったので ある.. ここに,人々の日常的な生活の中にスポーツの必要性が急速に広がりを見せることと なる.人間性の回復や自己の生きがいを見いだすことが運動,スポーツそのものに存在 し,それらの価値や意義が見直されるようになったのである.. このように,スポーツは社会現象として認識され,音楽,美術,文学といった「文化」. として,その地位を高めてきたのである.つまり,スポーツはその独自の価値を持った 文化として認められるようになったのである.. このような時代背景の中で,学校教育における体育の目標も大きく影響を受けること となる.. 戦後,戦時中の軍事色は一掃され,「身体の教育」から「身体活動による教育」へと 転換が図られ,運動による人間形成が重要視された.授業における運動は,身体形成と 体力づくりのための手段から,より広い人間形成・社会形成の可能性を持つものとして 捉えられ,グルーフ。学習などが生み出された.. 昭和30年代に入ると,戦後の混乱期から復興へ,そして高度経済成長期へと変化し てゆく.昭和33年の「小学校学習指導要領」では,運動の内容について技能の構造を 重視し,技能や体力の向上に重点が置かれた.. 昭和40年代には,経済成長の弊害として環境汚染,機械化による運動不足等,健康 への危機が高まる時代となった.昭和43年の小学校学習指導要領では,目標に「健康 の保持増進と体力の向上を図る」ことが明確に示された.. 昭和50年代になると人間性の回復をスポーツに求め,スポーツそのものを楽しむ生 1.
(5) 涯スポーツの波が広がっていく。昭和52年の小学校学習指導要領には「体力の向上」重 視の体育から,生涯スポーツを目指す「楽しい体育」へと転換がなされていった.. 平成元年度,改訂された学習指導要領において体育科の目標25)は次のようなものであっ. た.「生涯スポーツ」との関連として「運動の喜びや楽しさの体得」,「生涯を通して 運動を実践する態度や能力の育成」等である.また,「運動の上手,下手に関わらず,. その人その人の力に応じた運動の楽しみ方・行い方を学びとらせる」(宇土)35)こと にあり,「運動を通して,多様で深い「快」の体験を蓄積し,そこから生涯にわたって 運動に親しみ,運動を実践する能力や態度の基礎を養う」 (加賀)9)ことを目標として いると考えられる.. この指導要領には運動における「楽しさ」とは「運動の特性に触れる楽しさ」とある が,文部省はその具体的内容について示すことはなかった.そのため教育現場は大きな 混乱に陥ることとなった.楽しさの本質が分からないままに,「遊び」として「楽しさ」. が取り上げられた。このことについて,高橋は「ただ単に子どもの主体的・自発的な学 習を期待する場合には,かつて酷評された児童中心の這い回る経験主義に陥って,体育 学習の成果(目標の実現)は期待できないことも明らかである」(高橋30))と述べて いる。. そこで,「楽しさ」の概念について概観してみると次のものが上げられる.. シーデントップ1)はカイヨワのプレイ論を基に,スポーツに内在する意味や価値に触 れる「意味ある体験の可能性」を味わわすことの重要性を指摘し,体育の目標構造を階 層的に捉え,「競争的,表現的な運動の諸活動を享受する性向や能力を向上させる」と ころに設定した.その構造化において,運動を好きにさせ,現在及び将来にわたって運 動を好んで実践するような心理的・自覚的態度を育てること,すなわち情意的目標(教 材への志向性の向上)を他の目標の頂点に位置づけその重要性を示唆し,自らが運動行 動を起こす主体的な態度形成を仮定した.. マズロー15)は欲求には一連の階層性があり,低次の生理的欲求から高次の自己実現の. 欲求まで5つの階層に分類し,また,より高次の欲求が発達するためには,低次の欲求 が適切に充足されなければならないと述べている.自己実現の欲求は工夫すること自体 の喜び,工夫したことが巧くいった喜び,作戦を工夫して試合すること及び勝ったとい う結果を得た喜び等としている.. チクセントミハイ16)は,楽しさの概念について「フロー経験」により楽しさを説明 2.
(6) している.行為への機会を課題の難易度や学習の目標として捉え,行為の能力を学習者 の能力として捉えた場合,学習の目標と学習者の能力が合致したとき楽しさの体験は可 能であり,学習者の目標が高すぎれば心配と不安を,低く過ぎれば退屈と不安を感じ, 楽しさ体験は不可能であるとする考え方を示している.. 3者に共通することは「運動の楽しさ」が運動・スポーツと人間の関わりの中で最も 重要視されるとする点である.しかし,その楽しさの定義についてはいずれも明確に示 されていない。. 「運動の楽しさ」の定義については,唯一、千駄23)の定義した「スポーツの遂行や その結果によって生ずる快感情に対し,学習者の新しい意味付け・価値付けがなされた 状態」があるのみである.. 体育学習の楽しさについて,これまでの研究を概観すると,楽しさの意義や内容を理 論的に明らかにしょうと試みた研究が上げられる.また,一方,学習者の感じる楽しさ を客観的に明らかにしょうとした研究が認められる.. 前者の研究において,竹之下29)はプレイ論の立場から楽しさを論じている.松田13). は楽しい体育授業の教育的意義について,大内20)は運動の学習課程と楽しさの関連に ついて述べている.. 後者の研究には高田30),平林5)の自分自身の豊富な体育実践の経験から楽しさにつ いて述べている.. また,学習者の立場から因子分析法を用いて,楽しさの種類を具体的に明らかにした 研究が認められる.徳永32),賀川10),千駄23)らは体育授業における楽しさ因子を抽 出して解釈・命名し,具体的に楽しさの種類を明らかにした.. さらに,千駄23)は体育科における各教材の楽しさの種類を明らかにした.さらに,森 下ら14)西岡17)中井19)大平ら21)清水ら26)田中ら33)田上ら34)による研究結果か. ら,各領域における独自の楽しさと,各領域に共通する楽しさ,中核となる楽しさなど が明らかにされてきた。また,森下ら14)西原ら18)中井ら19)佐藤ら25)山田ら36)は. 楽しさを客観的に測定・評価するための尺度を作成し,これらを用いて西原ら18)大平 ら2D千駄23)佐藤ら25)田上ら34)は楽しさ体験の有無や楽しさ体験に影響を与える要 因を検討し,楽しさを具体的,客観的に捉えることに成功した,その意義は大きい.. しかし,問題として楽しさの深まりを質的変化で捉えた研究は少ない。大平21)の研 究を例にすると課題の理解をすることによって,楽しさが質的変化した後,さらに楽し 3.
(7) さが深まったことも考えられる.すなわち,「なぜ,楽しかったのか」「なぜ,できた のか」 「なぜ,わかったのか」等がわかることによって,楽しさは快の楽しさから意味 付けされた楽しさに質的に変化し,楽しさが深まると考える.. また,経験的にも単元の最初で体験する楽しさは,一過性の楽しさであり,学習過程 に伴って同じ種類の楽しさ体験であっても,深い楽しさ体験と質の異なる体験をしてい ると思うことがしばしばある.. 「わかること」を内包した「できること」を求め,かっ,一過性の楽しさ体験から意 味付けされた楽しさ体験をさせることによって,より深い楽しさ体験をさせるために, この問題を解決する必要があると考える.. よって,学習者に対し意味付けされた楽しさ体験をさせるために,楽しさの質的変化 をさせる要因について検討される必要があると考える.. ここで言う楽しさの質的変化とは,子どもが感じた楽しさに理由づけがなされたこと を指している.. 楽しさの質的変化に関する先行研究は,北出11)の「体育科学習の楽しさ体験に関す. る実証的研究」が1例認められる.北出11)の研究は,快の体験に意味付けがなされる のか,またどのような意味付けがなされるのかについて把握し,体験した楽しさの種類 に着目して,楽しさの質的変化を達成の楽しさ体験と人間関係の楽しさ体験の順序性で 捉え,人間関係の楽しさの質的変化は達成の楽しさ体験に影響を受け,質的変化はなさ れることを明らかにした.この研究は体験する楽しさの種類の段階において,質的変化 を生じさせる楽しさの種類の相互の関係を明らかにした意義は認めることができる.. しかし,子どもが楽しさ体験の質的変化を生じさせるには子どもの能力や教師の指導 能力,学習集団の凝集性等の様々な要因があると思われる.さらに,質的変化を生じさ せる主体は子ども自身である。. 本研究では,今回調査した水泳,陸上運動,ボール運動について子どもの感じる楽し さの実態を把握し,さらに子どもの能力,すなわち体育科における学力や体育の好き嫌 いに着目し,これらと楽しさの質的変化の関連を検討することによって,今回調査した 水泳,陸上運動,ボール運動について楽しさの質的変化をさせる要因を明らかにするこ とを目的とした.. この目的を達成することは,より質の高い楽しさ体験を体育科の学習において可能に するための基礎的な資料を提供することになると考える. 4.
(8) 第1章楽しさの質的変化についての捉え方 第1節楽しさの定義 「運動の楽しさ」の定義に関して具体的に定義されたものは,千駄23)による「スポー. ツの遂行やその結果によって生ずる快感情に対し,学習者の新しい意味付け・価値付け がなされた状態」だけである。自分自身の生活を豊かにし,人間的成長をするために,. その快にどのような意味や価値を見いだし,さらにその意味や価値を新しい体験として 自分の中に組み入れたとき,初めて楽しさ体験をしたということになるとしている.. この定義によれば,楽しさを快体験とその快体験に子どもなりの意味・価値を付加さ. れたものの2種類に分け,前者は低学年・中学年において数多く体験させ,後者は高学 年において体験が可能であると報告している.. さらに,運動における快体験に意味・価値付けされた楽しさの具体的種類として,親 和・達成・承認・理解・向上・挑戦・優越・爽快等が認められると報告している.これ らの楽しさの種類は,その意味・価値付けとしてアーノルド22)の「9つの運動の意味」 ①∼⑨のいつれかを内包するものであった。. これらのことを基にし,子どもの楽しさについての感想文を段階的に捉えて,どのよ うな楽しさをどこまで捉えることができるのかを検討するため,次のような段階を設定 した.. 1. 快感情の段階. 2. 快感情に新しい意味付け・価値付けがなされた段階. 2について,子どもの感想文を検討した結果,さらに2つに分類した.. 2’. 快感情に意味付け・価値付けがなされているが,それを十分に認識できていな いため楽しさの理由が不十分な感想文.. 2”. 快感情に意味付け・価値付けがなされており,その理由が判別できる感想文..
(9) 第2節楽しさの質的変化の捉え方 本研究では,楽しさの質的変化を運動により得られた快の体験から,次にその快の体 験にその学習者の新しい意味・価値付けができるようになった場合に質的変化をしたと 捉えることとした.. ピアジェは,小学校高学年の子どもの年齢の認知的発達の段ll皆を形式的操作的段階 (抽象的思考,複雑な推論,柔軟な思考が可能。心的な仮説検証も可能)として捉えて いる。子どもは,体育の授業で自分の目標とする課題を達成した時やゲームに勝った時, あるいは友達が親切にしてくれた時などにうれしさや喜び等を感じることが多い.. しかし,その快体験に対してなぜ快かったのか,この喜びは自分にとって何であるの かを認識していると思われる.この認識の状態について,快かった理由を感想文として 記述させ,記述された内容がアーノルド22)の9つの意味(体力の向上と健康の維持, 運動の知識・理解,運動感覚の発達,感受性,人間関係,人格形成,フロー体験,社会 性,多様な価値の把握)に関連していれば,意味・価値を見出したと理解し,これを質 的変化したと捉えることにした.. このような捉え方から,子どもの楽しさ体験の段階を次の3つに設定した.. 表1 感想文の判別基準 レベル 1. 快感情,楽しかった現象のみを述べている感想文. レベル 2. 快感情に意味付けがなされているが,それを十分に認識できていない スめ理由が不十分な感想文.. レベル 3. 自分が感じた楽しさに意味付け・価値付けがなされており,その理由 ェ判別できる感想文.. 6.
(10) 第2章 体育科授業における楽しさ体験の実態について. 第1節 目 的 本章では,体育授業における楽しさの質的変化に影響を与える要因を検討するために. 対象とした5学級における,楽しさ体験の様相,感想文,体育への嗜好性,学力及び担 任教師の楽しさについての認識の実態を把握することを目的とした。. 第2節 方 法 第1項調査期間及び調査対象者と教材 (1) 調査期間 平成9年6月初旬から7月下旬 (2) 調査対象者. 国立大学学校教育学部付属A小学校,滋賀県近江八幡市立B小学校,姫路市立C小. 学校,大阪府豊能町立D小学校,同能勢町立E小学校の児童5・6年生,5学級(男 女166名)を対象とした。 (3) 教材. 2校(A小学校・B小学校)が水泳,2校(C小学校・D小学校)は陸上運動,1 校(E小学校)はバスケットボールとした.. 第2項調査項目及び実施の方法 (1)楽しさ体験の様相を把握するために,図1に示した「楽しさ尺度」を用いた.. この尺度は,自己目的的活動(質問項目7項目),人間関係(質問項目3項目),環 境(質問項目4項目),解放(質問項目2項目)の4因子により構成されている. 「楽しさ尺度」の回答は,各自が毎授業終了後に教室において一斉に行った.記入方. 法については各質問項目の体験が(あった・なかった)かのいずれかに○をつけ, 「あった」と答えた児童は,楽しさの程度(ここちよさの程度)について5段階で回. 答させた.又,5段階の回答に対し,5の段階には5点,4の段階には4点… 1 の段階には1点を配点した.. 7.
(11) 一 月 日 時問目. ( )小学校( )年寸前二______ ★今日の学習で感じたここちよさについて,1∼16の質問に答えて下さい.体験があっ た人は「はい」に0をつけて下さい.そして,ここちよさの程度(!∼5)に,自分の. 気持ちに一番近いものを一つ選び0をつけて下さい。 5. 4 3 2 1. 5.. とてもここちよかった. 4.. よりここちよかった. 3.. ここちよかった. 2.. あまりここちよくなかった. 1.まったくここちよくなかった ※4.11はつぎのことがらを読んでから答えて下さい. 4.作戦でも,練習でも,. どちらか一方,工夫していたら「はい」と答えて下さい.. 11.先生でも,友だちでも,どちらか一方からだけほめられても, ここちよかったら「はい」と答えて下さい. 番号. 質 問 項 目. 体 験. ここちよさの程度. 1. むずかしい運動をした. (はい,いいえ). 1. 2. 3 4. 5. 2. 気持ちよく運動ができた. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 3. みんなに自分の成果を見せた. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 作戦や練習のしかたを工夫した. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 5. 自分たちで考えた運動をした. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 6. 気持ちをひきしめて運動をした. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 7. 前よりも運動が上手にできた. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 8. みんなが協力できた. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 9. 自由に練習する時間があった. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 先生の説明がよくわかった. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 先生や友だちからほめられた. (はい,いいえ). ■1. 2. 3. 4. 5. 12. ほかの人より上手に運動ができた. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 13. 他の人に教えてあげた. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 14. 自分の考えを取り上げてくれた. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 15. 汗をかいてすっきりした. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. 16. みんなと同じように運動ができた. (はい,いいえ). 1. 2. 3. 4. 5. ※4. 10 ※11. 図1 楽しさ尺度調査用紙 8. 備考.
(12) (2)感想文は図2に示した形式により,楽しかった事象とその理由について記述さ せた.. 「今日の授業で,ここちよい気持ちになれたことはありましたか.. また,そのような気持ちになれたのはなぜですか.その理由をくわしく書いて下 さい.」左の表も参考にして下さい.. 私がここちよい気持ちになれた時は した時です. その時 ここちよい気持ちになれたのは ロロ @ ロココ ロ ロ ロ . l lだからです. I l. I l. I l . ロ . }一一一一一一一一一……一一一一一一……一一一一一一一一一一一一一一一一一一………一一……一一一一一一一…一…一…1 1 ■. ■ 璽 ■ 1 匪 顧. 「 1. 「 量 l I. I 8. L一葡_一_______ ________」. 図2 楽しさについての感想文. (3)体育教材への嗜好性は図3に示した形式により,その教材への好き・嫌いにつ. いて単元終了後,5段階で記述させた.又,5段階の回答に対しては,楽しさ尺度と 同様に得点を配点した。. 高跳びの学習について. ( )小学校 ( )年( )組名前(. ). あなたは高跳びの学習についてどのように思っていますか? あてはまるところの数字に○をつけて下さい.. 1 2 3 4. とてもきらい. 5. ?ニ曜鞭もないすきどちらかとし嶢ばとてもすき. 図3 教材の嗜好性 9.
(13) (4)技術についての認識は単元終了後,自由記述させ,記述内容から各教材の技術. のポイント及びその数を抽出した.図4には,D小学校で用いた走り高とびの例を示 した.. 高跳びの学習について次の質問に答えて下さい 高跳びの学習で上手になるために,技術的にどのようなことに気をつければ よいでしょう.. 知っていることを全部書いて下さい.. 書きたりなければ,下のあいているところに,書いてもいいです.. 図4 技術に関する調査用紙. (5)体育科における学力は図5に示した,網野による「体育科の学力診断尺度」を 用い単元終了後,記入させた.. その尺度は次の①∼⑥により構成されている.. ① 学習の基本的態度(質問項目4項目) ② 自己に対する理解(質問項目3項目) ③ 協力(質問項目1項目) ④ 学習の仕方(質問項目2項目) ⑤ 課題の達成(質問項目1項目) ⑥ 作戦の工夫(質問項目1項目). により構成され,各項目の得点は!∼10点の範囲に設定されている,. 10.
(14) 体育経験アンケート 項目. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 学 習 行 動 の 段 階 ( 回 答 1 ). 程度(回答2). 学習内容に合った準備は 自分からできる. たまにできる. 自分のことだけでなく自分から 全体の準備に関わることができる. ときどきできる. 学習内容に合った準備は 人から言われてできる. いつもできる. マナーを守るように 友だちにも 働きかけることができる. たまにできる. マナーを守ることは 人から言われてできる. ときどきできる. マナーを守ることは 自分の意志できる. いつもできる. 運動に使う用具の 正しい使い方がわかる. たまにできる. 自分の運動をする場所の安全に 気を配ることができる. ときどきできる. まわりの人の危険な行動を注除したり 危険な場所を直したりできる. いつもできる. 自分の体の調子に合わせて 運動量を調節できる. たまにできる. 自分の体の調子が良くないと春に 教師にそれを伝えることができる. ときどきできる. 良いときの自分の体の調子と比べて その時の体の調子がわかる. いつもできる. 上手になった理由は 練習方法がよかったからである. たまにできる. 上手になった理由は 運動のしくみやコツをつかんだからである. ときどきできる. 上手になった理由は がんばって練習したからである. いつもできる. 自分の挑戦する運動のイメージを 正しくえがくことができる. たまにできる. 自分のできないところを運動のしくみがわかり 解決の仕方の見通しが持てる. ときどきできる. 自分のできないところが 運動のイメージと比べてわかる. いつもできる. できているところできないところの判断は.自分で運動しながら体を通してできる. たまにできる. できているところできないところの判断は 学習資料やビデオと比べてできる. ときどきできる. できているところできないところの判断は 人から教えてもらってできる. いつもできる. 協力は だれとでもできる. たまにできる. 全体を考え 手の足りないところを手伝ったり グループ活動に進んで協力できる. ときどきできる. 協力は 仲の良い友だちであればできる. いつもできる. 自分にあった課題は 人から教えてもらって もっことができる. たまにできる. 自分にあった課題は 自分の判断で もっことができる. ときどきできる. 課題をもって 運動することができる. いつもできる. 課題の解決の仕方を自分で調べ 練習に取り組める. たまにできる. 課題の解決の仕方は 人に教えてもらって わかる. ときどきできる. 課題の解決の仕方は 今までの経験や学習資料をもとに自分でわかる. いつもできる. 達成した課題は さらに いつどこででもできるように 練習する. たまにできる. 課題の達成は まわりの人に手伝ってもらうことでできる. ときどきできる. 課題の達成は 自分の力でできる. いつもできる. 攻撃に守備の切りかえも加えた作戦を工夫し ゲームができる. たまにできる. ポジションを分担し 役割を理解して ゲームができる. ときどきできる. 相手の動きを想定した攻繋の作戦を工夫し ゲームができる. いつもできる. 図5 体育科学力尺度 11. 備考.
(15) (6)教師の楽しさに対する意識は,図6に示した「体育科の授業における楽しさに ついて」の質問に対し自由記述させ楽しさについて認識を抽出した.. 体育科の授業における楽しさについて この度,お忙しい中,貴重な時間を私の研究調査のために割いて頂けます こと大変有り難く思っております.. 早速ですが,以前より体育科の授業における楽しさという言葉が様々な本,雑誌等に書か れております.体育科の授業における楽しさについて,先生はどのように捉えておられます でしょうか,出来るだけ詳しくお答えいただけますようお願いいたします.宜しくお願いい たします,. 学校名 ( )小学校 担当学年( )年 経験年数 ( )年 所属研究会( ). 得意な教科( ). お名前( ). 貴重なご意見,大変有り難うございました.今後の研究に活かしていき たいと考えております.. 図6 教師の楽しさに対する意識調査 12.
(16) (7)図7の様式により, 各授業時の展開を授業の内容が分かるように時間の経緯に そって記述を依頼した.. ( )小学校 ( )年( )組. i )月( )日 ( )時問目 分. 指 導 内 容. 図7 各授業時の内容調査. 第3項 分析方法 (1)楽しさ尺度 成績は毎授業時,各下位尺度(楽しさ因子)の得点を各個人毎に求めた.さらに, 各下位尺度を構成する項目の得点の平均値を求め,これを個人の成績とした.. (2)学力 成績は毎授業時,各下位尺度(楽しさ因子)の得点を各個人毎に求めた.さらに, 各下位尺度を構成する項目の得点の平均値を求め,これを個人の成績とした。 13.
(17) (3)技術. 各教材ごとに4つの技術ポイントを設定し,その頻度数を求めた. ① 水泳 a.呼吸 b.手のかき c.足のけり d.コンビネーション. ② ハードル a.インターバル b踏み切り c.空中姿勢 d.着地. ③ 高跳び a.助走 b.踏み切り c.空中姿勢 d着地. ④バスケットボール a.個人技能 b.守備での予想 c.作戦 d.守備での協力. (4)教材に対する嗜好性. 個人の好き嫌いの指標として,「教材がどの程度好きか」について評定尺度,5件. 法で回答させ,5の段階は5点,4の段階には4点… 1の段階には1点を配点し, これらを個人の成績とした.. 第3節 結 果 第1項各学校における楽しさ体験の有無 (1)4つの楽しさの得点の時間的推移. 図8にA小学校の平泳ぎの学習における18時問の全時間の自己目的的活動,人間 関係,環境,解放の楽しさ得点の平均値と,単元計画の主な学習内容を示した.なお,. 各小学校の詳細な結果は資料8に示した. 得点 A小楽しさ得点 5・一一一・一・…・一一一・・了・・・…………一・…・……一……・一………一…・・一………一一……一…一・一・・一. 4.5. 4 “・ ・N. 3,5. F 〆. _が恵・、 鹸… 一・. 「野ρ. +環境. ・!. 2.5 基本的な Σ永iぎ. →←一解放. 長く泳ぐ. 合目的な泳ぎ. 時間. 2 1 3. 図8 A小学校. …噛・…自己目的的活動 一欄一人間関イ系. 5 7 9 11 13 15 17. 楽しさ得点の時間的推移. 14.
(18) 楽しさ得点の推移をみると,解放の楽しさの得点は,毎時間高い得点を示している こと,人間関係(親和・協力・賞賛・励まし)の楽しさと自己目的的活動(達成・向 上等)の楽しさの得点は時間経過に伴い,得点が上昇或いは,下降することがあるも のの順次高くなっていく傾向を示した.また,環境の楽しさは学習初期の段階では,. その得点は低いが時間経過に伴い順次高くなり,4つの楽しさ得点はいずれも第15 ∼18時の学習の最終段階では3.5点以上の得点を示した。この結果は林ら6)7)と 一致する結果であった.また,楽しさ体験をしていると捉える楽しさ得点を3.5点 とすると,特に第8時以後,毎時間,自己目的的活動,人間関係,解放の楽しさの体 験がされていると理解することができる.. しかし,E小学校の場合,解放の楽しさは全時間を通じ高い得点を示したが,他の 自己目的的活動,人置関係,環境の楽しさの得点は毎時3点前後を示し,学習の最終 段階においても高い得点を示さなかった.. (2)学校間による楽しさ体験の有無. 図9に,同じ教材を扱ったA小,B小の自己目的的活動の因子を時間的経過に沿っ て示した.. 得点 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0. +A小 一B小. 1.5 1.0 0.5. 0.0. 1 3 5 7 9 1113 1517 時間 図9 自己目的的活動の各時間における楽しさ得点と時間経過. 両校の得点には,有意な差は認められなかった.このことは同一教材であれば,子 どもたちが,ほぼ同様の楽しさ体験をする可能性があることを示唆している. 15.
(19) 表2には,単元全体を通し楽しさ体験をしなかった人数を楽しさの種類毎に示した。. 表2 各楽しさと,単元を通して楽しさの未体験者数. A小学校. B小学校. C小学校. m=34. m=39. 自己目的的活動. 2. 人間関係. E小学校. m=33. D小学校 m=31. 3. 2. 7. 5. 1. 3. 1. 14. 11. 環境. 6. 4. 2. 2. 7. 解放. 0. 2. 0. 8. 3. 学校 yしさの種類. m=21. 表3 1時間中,4つの楽しさの未体験者数 学校 ?レ 楽しさ体験無しの人数. A小学校. B小学校. C小学校. D小学校. E小学校. 23. 18. 10. 18. 19. 表2の結果は,それぞれの楽しさの種類において単元の全学習時間を通し,全く楽 しさを体験していない子どもがいることを表し,表3の結果は単元の全学習時間にお いて毎時の学習中に,4つの楽しさを全て体験していない子どもの数を示している.. これらの結果から,毎時間4つの楽しさ体験をしていない子どもの存在と単元の全 学習を通しても,いずれの楽しさ体験についても未体験の子どもが存在することが認 められた,. (3)’学校別における学習中の楽しさ体験の個人差. 表4に,各学校の学習中における各楽しさの最高点と最低点を示した。. 表4 学校別における学習時の楽しさの得点の平均値の最高・最低点 (単位・点) 学校. A小学校. B小学校. C小学校. D小学校. yしさの種類. 最低点 最高点 最低点 最高点 最低点 最高点 最低点 最高点. 自己目的的活動. 3.3. 3.9 3.4. 人間関係. 3.O. 3.8 3.3 3.9 3.8 4.2. 環境 解放. 3.7 4.2 3.0. E小学校. 最低点最高点. 3.5. 3. 1. 3.5. 3. 1. 3.3. 2.6. 3.5. 2.6. 3.7 3.2 4.5 3.7 4.2 3.0. 4.0. 2.7. 3.4. 3.5. 4. 1. 3.6. 3. 5. 4. 1. 4. 1. 3.8 4.3. 3.7 16. 4. 5. 3. 4.
(20) 最高点について,学校ごとにみるとA,B, C小学校は最高点3.5点以下の楽し さは認められなかった.C小学校はいずれの因子得点:とも4。0点(よりここちよかっ. た)となっていた.D, E小学校については, D小学校の人間関係(3.3点),E. 小学校の環境(3.4点)が3.5点以下であった. 最低点について,学校ごとにみるとB,C, D小学校は各楽しさとも3,0以上の 得点であり,A, E小学校についても3.0に近い得点であった。 これらの結果から,各学校における楽しさ体験の有無については平均値を用い,最 高点・最低点によって見る限り,どの学校においても単元学習中,いずれかの時間に おいて,多数の子どもたちは4つの楽しさ体験をしていると解釈することができる. しかし,標準偏差と平均得点の低かった楽しさについては,楽しさ体験をしていない 子どもたちがいることもあり得る.. 表5に,各小学校の第1時において得た楽しさの得点と,最終時に得た楽しさの得 点から求めた伸び率を各楽しさごとに示した.. 表5 楽しさ得点の伸び率 (単位:%) 楽しさの種類 自己目的的活動 人間関係 環境 解放. A小学校. B小学校. C小学校. 115.2 118.2 142.3. 111.8 115.2 105.3 107.5. 113.5. 90.9. 100. 0. 100. 0. 107. 7. 93. 8. 106.5 106.7 121.4. 115. 4. 103.0. 95. 1. 108. 3. D小学校. E小学校. 伸び率=最終時得点÷第1時得点×100 A,B, C小学校においては,4っの楽しさにすべて伸びが認められた. D小学校 においては自己目的的活動,環境の楽しさ,E小学校においては解放の楽しさに伸び が認められなかった.. 第2項 同一学校の児童間における楽しさ体験の個人差. 第1項で平均値を用い楽しさ体験の有無について把握したが,楽しさ体験をしてい ない子どもの把握をさらに検討する必要がある。そこで各楽しさにおいて,3点以下 17.
(21) の得点であった子どもを対象にして,3点以上の得点を得たか否かについて検討した.. 表6にA小の楽しさ因子の最高・最低点・その幅を示した、 表6 楽しさ因子による最高・最低点 (単位:点) 項目. 自己目的的活動. 人間関係. 環 境. 解放. 最高点. 4.6. 4.6. 4. 7. 4.9. ナ低点. Q. 7. Q.7. P. 4. Q.5. r癜. P, 9. P.9. R.3. Q.6. ここに示した各楽しさの最低点の者は,楽しさ体験をしているとは言えない.しか. し,彼らが単元の学習中に何回,3.5点以上の楽しさ得点を示したか否かを検討し. た結果,環境の楽しさが1.4点と最低であったAさんは,18時間の授業において 2回3.5点以上の得点を示していた.. 第3項他の調査項目による子どもの実態 (1)教材に対する嗜好性の実態 表7に,子どもを対象にして学習した教材について,. その好き嫌いを5件法によっ. て回答させた結果を学校別に示した.. 表7 教材に対する嗜好性の実態. (単位:人). 嗜好性. A小学校. B小学校. C小学校. D小学校. E小学校. 教材名. 水泳. 水泳. 陸上. 陸上. ボール運動. 人数・% 1.たいへんすき Q.すき R.ふつう. 1. l数i%. Q4167 W189 1. 1. l数1% 21154 114190. 1. l数i% 15147 1121 84. 1. l数i% 3… 9. 1. l数1% 11i48 17178. @ 1141 53. @ 1 4:100 …Oioi. @ 1. @4:100 @ 10iol. @ 1 42 97. @ 113: 94. @ iOi111・・. @ : 21100. S.きらい @ i O :. 計. @ 2. @5:100 @ 10iol. 74 T5 R0 @2 @1. T.とてもきらい. %は累積した値を示している. 各小学校ごとにたいへんすき,すきと答えている子どもの割合はA,B, C小学校 18.
(22) については90%前後,E小学校は78%, D小学校は53%を示した.ふつうを加 えると,ほとんどの子どもが好意的態度を示していることが認あられた.また,C, D小学校には,非好意的態度を示す子どもが若干存在していることが認められた.. (2)各教材における技術要因の認識. 毎時間の各自の学習課題についての自由記述内容を対象として,教材の中核的な運 動技術を学習するために必要な技術の要因を抽出し,その結果を表8に示した。なお, この結果は複数回答によるものである.. 表8 各要因について記述のあった人数 (単位:人) 学校名. 教材. ポイント1. ポイント2. ポイント3. A小学校. 水泳. 16. 21. 19. 1. B小学校. 水泳. 8. 23. 23. 11. 25 26 19. 21. 2. 2. 0. 33. 1. 2. 9. 1. C小学校. 陸上(高跳び). D小学校. 陸上(ハードル). E小学校. バスケットボール. ポイント4. A,B小学校は共に水泳の平泳ぎの学習であり,子どもの技術に関する記述は A 小学校で,a.呼吸, b.手のかき, c.足のけりに多く認められ, B小学校では, b.手の. かき,c.足のけり,そしてd.コンビネーションに多く認められた. C小学校では陸上 運動のハードル走の学習であり,a.インターバル, b.踏み切りに, D小学校では陸上. 運動の高跳びの学習であり,a.助走, c.空中姿勢に,さらにE小学校ではボール運動 のバスケットボールの学習であり,a。個人技能, c.作戦にそれぞれ多くの記述が認め られた。. これらの記述内容はそれぞれ学校によって多少異なることが認められるが,いずれ も子どもが課題として取り組んだことに対して,上手になったことや認識等を深めた ことを表していると解釈することができる.. 19.
(23) 次に,表9に子どもが一人何項目について記述をしていたかについて,各校ごとに その人数を示した.. 表9 技術ポイントの項目別回答人数 (単位:人) 学校名. 4項目. 3項目. 2項目. 1項目. 記述なし. 計. A小学校. 1. 4. 7. 4. B小学校. 1. 10. 10. 7. C小学校. 1. 1. 17 10 18. 11. 2. D小学校. O. 5. 27. 0. O. 33 38 33 32. E小学校. 0. 1. 9. 10. 4. 24. 計. 3. 21. 81. 38. 17. 160. 複数の技術的要因について,比較的多くの子どもが記述していることが認められた.. このことは課題に対して,多面的な視点から接近していることを表していると解釈す ることができる.. 又,技術的な要因を意識しているのは,1項目以上記述している子どもとし,意識 していないものを記述のないものとし比較すると,子ども全体の90%が,技術的な 要因を意識して学習していたと解釈することができる.. (3)学力についての実態. 表10に学力診断尺度により得た各小学校の学力についての結果を,各因子ごとに平 均と標準偏差によりに示した.. 表10学力の各因子ごとの平均・標準偏差 (単位:点) 因子 学習基本態度 w校名. 自己理解. M. SD. A小. 6.2. 1.5. 5.9. B小. 5.8. 1.2. C小. 6.5. D小 E小. 学習の仕方. 協力. 課題の達成. 作戦の工夫. M. SD. M. SD. M. SD. M. SD. 1.8. 7.2. 2.2. 5.4. 2.0. 6.5. 2.6. 4.7. 2.2. 6.3. 1.7. 6.7. 2.3. 6.3. 2.2. 7.5. 2.4. 6.0. 3.1. 1.3. 6.2. 1.7. 5.9. 2.1. 5.7. t9. 6.5. 2.6. 5.1. 2.3. 5.8. 1.3. 6.1. 1.6. 5.8. 2.8. 5.7. 2.3. 6.4. 2.0. 5.2. 2.8. 6.4. 1.4. 5.3. 2.2. 5.6. 2.6. 5.5. 1.7. 6.4. 2.9. 5.4. 2.6. M SD. 20.
(24) 平均値から各小学校の学力を診断すると,総合評価は学力診断の「学力は身につい. ている」という結果であった.因子ごとにみると平均4.7から7.2の範囲内であ り,同じく学力診断の評価によれば各因子においては,それぞれ「学力は身について いる」という結果であった.. しかし,平均値と標準偏差を合わせて考えてみると,4点以下の因子が認められる.. 特に「学習の仕方」「作戦の工夫」等は4点以下であることは,この面の学力の低い 子どもの存在があることを表している.. 本研究で用いた楽しさ尺度による楽しさ体験の有無,学力等の実態についての主な 結果は次に示した通りである.. 楽しさ体験の有無については,ほとんどの子どもたちが自己目的的活動(達成・向 上),人間関係(親和・協力),環境(賞賛・承認),解放(爽快)いずれかの楽し さ体験をしていることが認められた.しかし,僅かではあるが,いずれの楽しさ体験 もしていない子どもの存在も認められた。. 又,体育科における学力については個人差があり,学力の低い子どもの存在が認め られた.. 第4節 考 察 楽しさの尺度4因子により楽しさ体験の有無を検討してきた.その結果,個人におい ては楽しさ体験した子どもが多く存在していたが,若干,楽しさ体験をしていない子ど もの存在も認められた.. 単元の学習中の楽しさ体験の有無は,林6)のらの研究結果においても多くの子どもが 楽しさ体験をしているが,若干の楽しさ体験の未体験者の存在も各種の楽しさの種類で 認められている.. これらの楽しさの未体験者について,山田36),佐藤25)は楽しさ体験に影響を与える. 要因についての研究で学習集団,体育の好嫌,課題のレベル,教師の指導力等がその要 因になっていることを指摘している.. 体育の学習は自覚に裏付けされた目標追求活動であり,自己の設定した目標を達成す るために種々の活動を行っている.子どもたちが楽しさ体験をするためには意欲(動機),. 設定した課題のレベルが個人に適合しているか否か,又,目標追求活動を支える教師の 指導力や学習集団等は重要な要因になることは容易に理解できる. 21.
(25) しかし,これらの要因を全て毎時間学習において整え,合目的に機能させ,全員に楽 しさ体験を可能にすることは至難の技であり,これらのいずれかの要因の欠落によって, 楽しさ体験の未体験者が出現したものと考えることができる.. 従って,多くの子どもたちは自己の設定した目標を達成したときやその過程において 楽しさ体験をしているが,中には何らかの要因の欠落によって,若干の楽しさ体験をし ていない子どもがいたと考えられる.. 22.
(26) 第3章 楽しさ体験の質的変化の有無 第1節 目 的 本章では,子どもの感想文の記述内容から第2章で示した基準によって,楽しさを快 の体験段階と快の体験に学習者の新しい意味・価値付けがなされた段階を設定し,快の 体験段階から意味・価値付けされた段階を質的変化をしたと捉え,その実態を把握する ことを目的とした。. 第2節 方 法. 第1項対象学校 対象とした学校,子ども等全て,第2章で述べたものと同様である.. 第2項 感想文判別基準 子どもの感想文の記述内容の分類は,表11に示した判別基準によって行った.. 表11 感想文の判別基準 レベル 1. 快感情,楽しかった現象のみを述べている感想文. レベル 2. 快感情に意味付け価値付けがなされているが,それを十分に認識 ォていないため理由が不十分な感想文. レベル 3. 自分が感じた楽しさに意味付け価値付けがなされており,その理. ェ判別できる感想文. 23.
(27) 第3節 結 果 第1項学校間,教材間における楽しさの質的変化の実態 表!2に,各学校ごとの質的変化の段階を示した.. 表12 単元の全学習時間における学校別楽しさの質的変化の実態 (単位:人) 質的変化の分類. A小学校 B小学校 C小学校 D小学校 E小学校. 計. 記述なし. 1. 0. 0. 0. 3. 4. レベル1. 0. 0. 0. 4. 3. 7. レベル1→2. 4. 8. 0. 11. 5. 28. レベル2. 7. 26. 29. 16. 12. 90. レベル2→3. 16. 5. 4. 0. 0. 25. レベル1→2→3. 6. 0. 0. 0. 0. 6. 計. 34. 39. 33. 31. 23. 160. レベル1は楽しかった現象の記述であり,これを快体験として捉えた.各学校間に おけるレベル1は,D, E学校に若干認められるが,他の学校では認められなかった.. 被験者全体に対する率は4.4%であった. レベル2は快体験に対して学習者が何らかの意味・価値付けをしているが,その内 容が十分表現されていない段階として捉えた.このレベル2の段階は各学校において. それぞれ22%∼88%の幅があり,被験者全体に対する率は56。3%であった. レベル1からレベル2への変化のあった子どもは各学校において若干認められるが,. 被験者全体に対する率は17.5%であった.. 次にレベル2からレベル3に又,レベル1から2へさらに3に変化のあった子ども は学校差が認められ,被験者全体に対する率は前者が15.6%,後者が3.8%で あった.. レベル2は前述したように,快体験に何らかの意味・価値付けがなされているが, その内容が十分表現されていないものである.すなわち何らかの意味・価値付けをし. ている子どもはレベル2を含めると全被験者の93。2%であった. 又,単元の学習中に質的変化をした子どもはレベル1から2へ,レベル2から3へ,. レベル1から2,さらに3に変化した子どもを合計すると全被験者の36.9%であっ 24.
(28) た、. 学校別にレベル3への変化した子どもの数を見てみると,A, B, C小学校におい て認められ,A小学校は特に顕著であった。. 小学校高学年において,快体験に対して何らかの意味・価値付けがなされる質的変 化の有無については,学校差があるものの質的変化はあったと捉えることができる. 又,単元の学習一過程において,その質的変化も可能であると捉えることができる.. 第2項因子ごとの楽しさの質的変化の実態 表13に楽しさの種類別に質的変化をした人数を示した.. 表13 楽しさの種類別における質的変化をした人数 項 目. 自己目的的活動. 人間関係. 環 境. 解 放. 人 数. 26 59. 4. 0. 1. 5. 0. 1. 価値・意味の数. 質的変化をした楽しさの種類の中でも,自己目的的活動(達成・向上)の楽しさが. 最も多く,26名,次いで人間関係(親和・協力)の楽しさが4名であり,質的変化 をする楽しさが,自己目的的活動と人間関係に集中する傾向が認められた.. 質的変化があった子どもの感想文の例を表14に示した.. 表14 質的変化が認められる感想文の例 楽しさの種類. 自己目的的活動 息を止めて,目だけを. フ質的変化 @ (例1). な ぜ(理由). い つ. ?謔闖繧ノ上げたとき. のびているときは沈まないように肺に空気を入れてリラック Xしとけばいいからです.. ナす.. 自己目的的活動 最後まで足と手をちゃ 足が,力を入れたら沈むから,お腹に力を入れたら出来たか. フ質的変化 @ (例2). とやったときです.. 轤ナす.. 人間関係の質的 先生に褒められたとき 褒められるということは,前よりもず一つとうまく泳げたこ. マ化(例1). ナす.. ニだからです.. 人間関係の質的 みんなで声をかけ合っ みんなで声をかけると, 「よし,頑張るぞ.」という気持ち スときです. ノなれたからです. マ化(例2) 25.
(29) 第3項各群における楽しさ得点の差の比較 表!5に各群の因子別の得点の平均と標準偏差を示した.. なお,各回は質的変化の内容により次のように分けられている。 1群・・レベル!のまま変化しなかった子ども. 2群・・レベル1から2変化した子ども 3群・・レベル2のまま変化しなかった子ども. 4群・・レベル2から3変化した子ども 5群・・レベル1から2から3変化した子ども. 表15 各群における因子別の楽しさ得点の平均と標準偏差 自己目的的活動. 人間関係. 環境. 解放. 人数. 2.7 P.5. 2.0 P.4. 2.6. 7. @ SD. 2.2 P.3. 2群 M. 3.3. 3.3. 3.2. 3.5. @ SD. P. 1. P. 3. P. 5. P. 3. 3群 M. 3.8 O.9. 3. 1. 3.2. 3. 5. P.3. P. 5. P.3. 3.8 O.8. 3.9 O.6. 3.6 O.8. 3. 9. 3.4 O.8. 3.6 O.5. 3.2 O.9. 4.3 O.8. 群. 1群 M. @ SD 4群 M. @ SD 5群 M. @ SD. P. 4. 29 90 25. P.0 7. 自己目的的活動について,各群の差をt検定により検定した結果,1群と2群,1. 群と3群,1群と4群に5%水準で有意に4群の得点が高いことが認められたが,そ の他は有意な差は認められなかった.このことは単なる快の体験と快体験に意味・価 値付けされた状態では楽しさの深さが関係していることを表している。. 第4節 考 察 快体験に何らかの意味・価値付けをしているレベル2以上の子どもの比率は全被験者. の93.2%であった.北出11)は598人を対象として楽しさの質的変化を検討し, 304名(50.8%)の子どもが質的変化を示したと報告している.理由について表 現の不十分さはあるものの,その記述内容から自己の目標を達成した時に,何故そのよ 26.
(30) うな快い状態になれたのか,その意味等を見い出していると考えることができる.. 学校差が認められたことは,教材,教師の指導力,子どもの意欲(動機)等が考えら れるが,特に学力との関係については第4章で検討を加えたいと考える. 質的変化を生じた楽しさの種類が自己目的的活動の楽しさに多く認められたことは,. 体育の学習が目的追求活動であり,毎時自分の目標を設定し,その達成に向けての活動 が展開されているため,この過程における達成に関わる意味・価値付がなされたものと. 考えられる。さらに,この快体験について目標を達成する際に工夫や努力,知識自信 等を認識することを通じ,その意味や価値を見出していると考えられる.. 人間関係(親和・協力)の質的変化が少なかったことは教材が水泳,陸上等であり個 人技能を中核とした学習内容であったことから,子ども相互の触れ合いが少なかったこ とに起因していると考えられる.. 又,千駄23)が「達成」と「親和」の楽しさ間の関係について, 「親和」の楽しさは 「達成」の楽しさに影響されると指摘していることから,自己目的的(達成・向上)の 楽しさ体験が十分に体験されていないことによるとも考えることができる.. 27.
(31) 第4章 楽しさ体験の質的変化をさせた要因の検討 第1節 目 的 本章では,今回調査した水泳,陸上運動,ボール運動について,自己目的的活動(達 成・向上)と人間関係(親和・協力)の楽しさの質的変化が体育の嗜好性,体育科の学 力によってなされたか否かを検討することを目的とした.. 第2節 方 法 質的変化のあった群(4群 5群)と質的変化のなかった群(1群)を対象にして両 白白の楽しさ得点及び学力の得点等の平均値を比較した.なお,差の検定はT検定によ り行った.. さらに4群,5群を対象にして自己目的的活動の楽しさ得点を目的変数とし,学力 (6因子),嗜好性を説明変数として重回帰分析を行った.. 第3節 結 果 第1項質的変化の有無と学力・嗜好性の関係 表16に,各質的変化のあった群と質的変化のなかった群における,学力因子及び嗜 好性等の平均値・標準偏差を示した.. 表16 各群の学力因子による平均・標準偏差 学 楽しさ. 群. 学習の基. の. 自己に対. 力 協力. {的態度 キる理解. 增@類 自己目的 質的変化有 M 的活動. 学習の 課題の 作戦の. d方. 6.0 2.0 4.9 2.4. 7. 1. 5. 5. 2.4 4.4. 2. 1. SD. 6.2 1.4 6.6 0.8. 2. 7. 人間関係 質的変化有 M. 7. 0. の楽しさ. O.8 6.6 O.8. 6.7 0.9 4.9 2.4. 6.0 2.2 4.4 2.7. SD. の楽しさ. 質的変化無 M. SD. 質的変化無 M. SD. B成. H夫. 7.2 2.4 5.O. 5. 5. 1. 3. 6.0 0.9. 5. 1. 5. 1. 1.3. 技術につ いての記 嗜好性. q(人数). L 無. 3.0. 4.6 0.6. 5. 6. 3. 4. 2. 7. 2.0. 1. 1. 6. 5. 4. 5. 4. 3. 3.0 5.0 2.7. 1. 7. 0. 5. 5.6 2.0. 3.4 1. 1. 25i1 1. 620 @: 410 61 0. i. 自己目的的活動,人間関係の質的変化のあった群と質的変化のなかった群,両群を. 28.
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