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楽しさ体験の質的変化をさせた要因の検討

第1節 目 的

 本章では,今回調査した水泳,陸上運動,ボール運動について,自己目的的活動(達 成・向上)と人間関係(親和・協力)の楽しさの質的変化が体育の嗜好性,体育科の学 力によってなされたか否かを検討することを目的とした.

第2節 方 法

 質的変化のあった群(4群 5群)と質的変化のなかった群(1群)を対象にして両 白白の楽しさ得点及び学力の得点等の平均値を比較した.なお,差の検定はT検定によ

り行った.

 さらに4群,5群を対象にして自己目的的活動の楽しさ得点を目的変数とし,学力

(6因子),嗜好性を説明変数として重回帰分析を行った.

第3節 結 果

 第1項質的変化の有無と学力・嗜好性の関係

  表16に,各質的変化のあった群と質的変化のなかった群における,学力因子及び嗜  好性等の平均値・標準偏差を示した.

表16 各群の学力因子による平均・標準偏差

学 力

技術につ

楽しさ  の

增@類

学習の基

{的態度

自己に対

キる理解

協力 学習の d方

課題の

B成

作戦の

H夫 嗜好性

いての記

q(人数)

L 無

自己目的 質的変化有 M 6.2 6.0 7. 1 5. 5 7.2 5. 5 4.6

25i1

的活動

SD

1.4 2.0 2.4 2. 1 2.4 3.0 0.6

1

の楽しさ 質的変化無 M 6.6 4.9 4.4 5. 1 5.O 5. 6 3. 4

620

@:

SD

0.8 2.4 2. 7 1. 3 2. 7 2.0 1. 1

人間関係

質的変化有 M 7. 0 6.7 6.0 6.0 6. 5 4. 5 4. 3

410

の楽しさ

SD

O.8 0.9 2.2 0.9 3.0 1. 7 0. 5

質的変化無 M 6.6 4.9 4.4 5. 1 5.0 5.6 3.4

61 0

SD

O.8 2.4 2.7 1.3 2.7 2.0 1. 1

i

自己目的的活動,人間関係の質的変化のあった群と質的変化のなかった群,両群を

F検定した結果,自己目的的活動,入間関係共1%以下の危険率で母集団と標本の差 は認められなかった.よって,T検定により両生問の平均値を比較した結果,自己目 的的活動(達成・向上)の楽しさについては,質的変化のあった群は,学力因子の第

3因子「協力」の得点が有意に高いことが認められた.

又,有意な差こそ認められなかったが,第5因子「課題の達成」の得点も質的変化 のあった群が高い傾向にあることが認められた.

人間関係(親和・ 協力)の楽しさについては,第1因子〜第5因子まで得点の高い ことが観察できるが,何れも両群聞に有意な差は認められなかった.

表17,18に質的変化のあった群における自己目的的活動と,人間関係に影響を与え る学力因子について重回帰分析した結果を示した.

表17 自己目的的活動に影響を与える要因の重回帰分析結果

重回帰式

変数名     偏回帰係数 標準偏回帰係数  F 値   T 値  P 値  判 定 1因子      0,086243409    0.1424  0.3810  0.引73 0.5444

2因子      一〇.09379507   −0.2150  0,8980  0,9476 0.3552 3因子     一〇.05543494   −0.1624  0,4687  0,6846 0.5018 4因子      O.107210602    0,2718  1.7289  t3149 0,2042 5因子     一〇.04フ79233   −0.丁358  0.3934  α62フ2 0,5380 6因子      0,117258487    0.4315  3.9263  1.9815 0.0622

定数項     3.23907刀31        9,3628  3.0599 0.0064  **

精度      分散分析表

決定係数       0.2455       要  因  偏差平方和自由度 平均平方 修正済決定係数    0.0072       回帰変動  3.98593163   60.66432194 重相関係数      0.4955       誤差変動  12.2498394   190.64472839 修正済重相関係数   0.085τ       全体変動  16.235771   25

ダーピンワトソン比     2.0544

赤池のAlC     68.2176

標準誤差  偏相関  単相関

0.13971822     0.1402  −0.0373 0.09898079    −0.2124  −0.1475 0.08097059    −0.1552 −0.0744 0.08153703     0,2888   0.2006 0.07619851    −0.丁424  −0.0フ02 0.05917683     0.4138   0.3313

1.0585697

    **:1%有意 *:5%有意

F 値 P 値判定

1.0303904      0.436〜

表18 人間関係に影響を与える要因の重回帰分析結果

重回帰式 変数名

1因子 2因子 3因子 4因子 5因子 6因子 定数項 精度 決定係数 修正済決定係数 重相関係数

ダーピンワトソン比

赤池のAIC

修正済重相関係数

偏回帰係数 標準偏回帰係数  F 値   T 値  P 値

一〇.20909062       −0.4420    4.3894     2.0951  0.0514 0,082260925        0,2401    1,3009     1,1406  0.2699

−0,06333108       −O,2356    1,2579     1.1216  0.2776 0,056351813        0,1857    0.9700     0.9849  0.3385 0,041080689        0.1420    0.5086     0.7131  0.4854 0.088596293       0.4082    3.8698     1.9672  0.0657 3.993102749       27.4231     5.2367  0.0001

      分散分析表

  0.4320   要因偏差平方和自由度

  0.2316       回帰変動  3,97597151   6   0.6573       誤差変動  5.2269フ737   17   0.4812       全体変動  9.20294887   23   2.5321

  45.5278

判 定

**

平均平方 0.66266192 0.30746926

標準誤差 0,0998006 0.07212332 0.05646623 0.05721652 0,05760535 0.04503702 0.76252223

偏相関  単相関

一〇.4530  −0,4344  0,2666  −0.0320

−0.2625  −0.1383  0.2323  0.1812  0.1704   0.1955  0.4306   0.3766

     **:瑞有意 *:5%有意

F 値 P 値判定

2.15521358     0.0996

29

 その結果,自己目的的活動の楽しさに有意に影響を与えている学力要因は認められ なかった.又,人間関係の楽しさに有意に影響を与えている学力因子は認められなかっ たが,自己目的的活動と人間関係の楽しさ共に,第6因子の「作戦の工夫」ではP=

0.06の値を得た.よって,統計的に有意ではないが,自己目的的活動の楽しさ,人間 関係の楽しさに学力要因の「作戦の工夫」がわずかではあるが影響を与えていると捉 えることができる.また,人間関係の楽しさに「学習の基本的態度」がP=0.05の値 を示し,偏回帰係数はマイナスであった.

第3節 考 察

 質的変化のあった群における自己目的的活動と,人間関係に影響を与える学力因子に ついて重回帰分析した結果から,僅かながら影響を与えている要因が,いずれも学力要 因の「作戦の工夫」であった.「作戦の工夫」の構成項目の内容は,相手の動きを想定 した攻撃の作戦を工夫し,ゲームで活用できる,攻撃と守備の切り替えをも十分考慮に 入れた作戦を工夫しゲームができる等である.これらができる能力は,多面的な視点で 事物を捉え,自分の種々の能力の把握や相手の能力の把握,及びその場面の状況把握の 分析と思考ができることを意味している.従って,多面的な見方や分析・思考が何故と いう理由について明確な記述を可能にしたため,質的変化を生じさせた要因として関係

していたと思われる.

 しかし,厳密に表現するならば,「作戦の工夫」の平均値の得点においては二二にお いて有意差は認められなかった。そのため,質的変化を生じさせる学力要因については,

平均値の比較と重回帰分析の結果を合わせ考えると,因果関係的に把握することができ なかった。又,体育の嗜好性についても同様に考えることができる.

 従って,質的変化を生じさせる要因を学力要因,体育の嗜好性を用い検討したが,そ の要因を特定することができなかった.

 人間関係の楽しさの「学習の基本的態度」において偏回帰係数はマイナスであった。

学力尺度の配点から考えると8点以上であれば「全体のことを考えることが出来る」と なっている.従って質的変化のあった群の平均が7点であることから他者のことを考え る至っていないことからマイナスになったと考えられる.

今後は教師の指導力,学級の凝集三等を検討していく必要がある。又,本研究では感 想文の記述を短文で記述させたため,その理由が十分に表現出来なかったと考えられる.

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