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麻酔下ウサギにおける上喉頭神経刺激時三叉神経核ニューロンの興奮性変調

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Academic year: 2021

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学 位 研 究 紹 介

学 位 研 究 紹 介

麻酔下ウサギにおける上喉頭神経刺激時

三叉神経核ニューロンの興奮性変調

Modulation of excitability of

trigeminal neurons during electrical

stimulation of the superior laryngeal

nerve in anesthetized rabbits

新潟大学医歯学総合病院 口腔リハビリテーション科

酒井 翔悟

Oral rehabilitation, Niigata university medical and dental hospital

Shogo Sakai

【目   的】

 三叉神経への低閾値刺激によって引き起こされる開口 反射は咀嚼中に抑制を受けることが知られている。加え て我々は,下咽頭および喉頭粘膜領域を支配している上 喉頭神経(SLN)を電気刺激して誘発した嚥下時にも開 口反射が抑制されることを報告してきた。本研究の目的 は,SLN 誘発性嚥下時における開口反射や三叉神経核 ニューロンの変調メカニズムを検証することである。

【方   法】

 実験にはウレタン麻酔下の雄性ウサギを使用した。嚥 下誘発のための SLN 刺激(30 Hz)は 10 秒間で1度嚥 下が生じる強度を1T として,2,4,8T の刺激強さを 用いた。開口反射,嚥下反射記録のために顎二腹筋,顎 舌骨筋筋電図を記録した(図1)。  三叉神経刺激として下歯槽神経(IAN)への電気刺激 を行い,これに応答する三叉神経核の単一ニューロンを 同定後,IAN 単発刺激 10 秒間(2Hz),IAN と SLN の同時刺激 10 秒間,再度 IAN の単発刺激 10 秒間を行い, SLN 刺激前・中・後でのニューロン活動を比較した (図2)。記録および刺激部位は記録終了後に電気凝固し, 脳幹を摘出後 10%ホルマリンにて固定し,凍結切片を 作製して組織学的に確認した。

【結   果】

 SLN 刺激によって嚥下反射が誘発され,誘発される 嚥下回数は刺激強度に依存して増加した。IAN 刺激に 応答する計 27 個の単一ニューロンが同定され,その部 位は三叉神経主感覚核,脊髄路核吻側亜核,中脳路核, 三叉神経間域などであった。  同定されたニューロンでは,SLN 2,4,8T 刺激中 および刺激後にその活動が消失するものが観察された (図3)。ニューロン活動が消失する割合は,SLN 刺激 後のみ,その強さに依存した。  一方,記録されたほぼすべてのニューロンは SLN 刺 激によってIAN刺激に応じる潜時が延長した。潜時を3.0 ミリ秒未満(短潜時)と 3.0 ミリ秒以上(長潜時)に分 けて SLN 刺激時における両群の潜時の延長を比較した ところ,いずれの条件(SLN 刺激強度,SLN 刺激中お よび刺激後)においても,長潜時ニューロン群が有意に 長かった(図4)。 99 図1.実験のセットアップ図  試験刺激として下歯槽神経(IAN)に単発の電気刺激,条 件刺激として上喉頭神経(SLN)に連続電気刺激が適用され た。筋電図記録(EMG)は顎二腹筋(Dig)および顎舌骨筋 (MH)。 図2.‌‌誘発抑制(A)および誘発潜時の延長(B)を示す三叉神 経主感覚ニューロン例  いずれもコントロール及び SLN 4T‌刺激時の波形を重ね 合わせた。矢印は IAN 刺激のタイミング。

(2)

新潟歯学会誌 46(2):2016 - 44 - 100

【考   察】

 IAN 刺激に応答する三叉神経核単一ニューロン活動は SLN 刺激時のみならず刺激終了後も抑制を受けていた。 この結果は,開口反射の抑制が SLN 刺激後にも継続する 過去の報告に合致するものであり,嚥下運動そのもので はなく,下位脳幹に局在する嚥下のパターン発生器(CPG) 図3.誘発抑制を示したニューロンの割合

 20 回の IAN 刺激に対して,それぞれの SLN 刺激強度,SLN 刺激ピリオド(刺激中 :‌Stim, 刺激後 :‌Post-stim)におけるニュー ロンの誘発頻度を計測し,ニューロンの抑制の程度を分類 :‌14 回未満(強い抑制),15-19 回(弱い抑制),20 回(抑制効果無し)。 誘発抑制を示したニューロンの割合は,SLN 刺激強度,刺激ピリオド間での関連を認めなかった。  記録ニューロン数:27(2T),27(4T),22(8T) 図4.ニューロン潜時と潜時の延長の比較  それぞれの SLN 刺激強度,刺激ピリオドにおけるニューロンの潜時の延長を,長潜時ニューロン(>= 3‌ms),短潜時ニュー ロン(<3ms)で比較。長潜時ニューロンは短潜時ニューロンよりも,いずれの SLN 刺激強度,刺激ピリオドにおいても強 い抑制効果を示した。 ***‌P<0.001,‌**P<0.01,‌P<0.05 の神経活動が三叉神経活動の興奮性変化に寄与しており, 円滑な嚥下運動が遂行されるために,口腔内の低閾値な 感覚入力は遮断される割合が高くなることが示唆された。  今回記録したニューロンにおいて,3.0 ミリ秒以上の長 潜時ニューロンは 3.0 ミリ秒未満の短潜時ニューロンよりも より強く変調を受けていた。変調を来たす入力は,三叉神 経一次求心性神経終末だけでなく,多シナプスを介した介 在ニューロンレベルにも起きている可能性が示唆された。

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