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『鈴鹿本今昔物語集』巻27の研究

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田 口 和 夫

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本論文は、田口和夫教授を中心とした自主ゼミである、説話 ゼミ(旧今昔ゼミ)の活動の報告である。『鈴鹿本今昔物語集』 の影印を読みながら、従来の諸説を確認しつつ、鈴鹿本の字形・ 墨色・虫損などから、新たな問題点を発見・考察し、また解釈 においても従来の説をすすめたところがある。 This article is a report on the activity of the“Setsuwa" seminar in which Professor Taguchi is the leader. While reading the“Ei-in" of“Suzukabon Konjaku Monogatari Shu

;

we checked historic interpretations and recent discoveries and considered the new points through the form of the characters. the color of the ink. and parts destroyed by insects. Also we looked into the current opinions about interpretation.

(2)

-201-は じ め に 本稿は﹃言語と文化﹄第十六号

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第二十号に連載 した﹁巻却の研究﹂の補編である。文教大学説話ゼ ミでは巻幻も一応読み通していたので、その成果か ら、問題となる部分を摘出してここに載せる。ただ し、鈴鹿本修理の結果、それ以前の写真では読み取 れなかった文字の有無についての諸説の相違は原則 として今回は省略する。また、巻却において指摘し ていた、表題の話番号追記の問題は巻幻においても 認められるので、後に一項を設けて触れることとす る。記述の手順は前稿と同じく、問題部分について の鈴鹿本の所在(丁と表裏)と問題箇所

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を 付 す)を含む部分を挙げ、鈴鹿本と表記の形式を同じ くする旧大系における所在を()の中に記す。次 に︹考説︺として考えたことを記す。 ︹考説︺諸説﹁三条ノ東調院ノ﹂と読むが、本文に ﹁三条ヨリハ北、東ノ調院ヨリハ東﹂とす る通り、このままでは不十分な表記である。 今昔の編者は、標題においてはおおまかに 所在が判明すればよいとして、このように 表記したと考えられる。第四標題の表記も 同趣だが、これらは聞に﹁ノ﹂を補読せず、 ﹁三条東調院ノ﹂と小路名を列記したと見 れ ば よ い で あ ろ う 。

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川原院融左大臣霊宇陀院見給語第二 ︹考説︺旧・新全集は各所に底本破損として東大 十五冊本により補っているが、修理によっ て一丁裏最終行﹁大臣(ノ)﹂以外は判読 で き る 。 桃園柱穴指出手招人詞剰ヨ 鈴 鹿 本 巻 幻 ・

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丁表標題(組頁ロ行) ︹考説︺﹁語第一三は﹁語第四﹂以下よりもしっか

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り書かれているが、標題本体より、 色が薄い印象がある。 やや墨 鈴鹿本巻幻・ 2 丁表﹁桃園ト云ハ今ノ世尊寺也﹂ ( 似 頁 凶 行 ) ︹考説︺﹁世尊寺と高明の桃園邸は別﹂との指摘が 新大系にある。編者は混同していたのであ ろ 、 っ 。 冷泉院東洞院僧都殿霊語第四 鈴 鹿 本 巻 幻 ・ 2 丁 裏 標 題 ( 似 頁 9 行 ) ︹考説︺﹁冷泉院東洞院﹂は第一と同じく﹁ノ﹂を 補読しないで読む。﹁語第四﹂は左流れ、 しかも筆先が割れている。 鈴鹿本巻幻・ 3 丁表﹁否不射シト制ヲシ一ア﹂(似頁 ロ 行 ) ︹考説︺﹁誇﹂は言葉争いの場合に用いられる。巻 九第訂話に﹁誇カフ﹂の用例あり、﹁アラ ガ ヒ ﹂ と 読 む 。 冷泉院水精成人形被捕語第五 鈴鹿本巻幻・ 3 丁裏標題(側頁日行) ︹考説︺﹁冷泉院﹂は諸注﹁陽成院﹂が正しいとす る。ここは誤りと云うより﹁冷泉院小路ノ 南﹂を略記したものと見る。﹁語第五﹂の ﹁ 五 巴 は 墨 色 が 薄 い 。 束三条銅精成人形被堀出語第六 鈴鹿本巻幻・ 4 丁裏﹁尚可(捌)掘キ也﹂(術頁 6 行 ) ︹考説︺上の﹁掘﹂字に止点が施される。この辺り から相当の速筆になっているので、不注意 に よ る 街 字 で あ ろ う 。 199 鈴 鹿 本 巻 幻 ・ 5 丁表﹁物ノ(掛)精ハ﹂(術頁叩行) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 提 精 ﹂ 部 分 、 初 め ﹁ 提 ﹂ と 書 き 始 め 、 ﹁ 日 ﹂ あたりまで書いてから誤りに気付き、上に

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﹁精﹂字を書いてみたが、字体不明となり、 右に﹁精﹂と訂正したもの。左右行に﹁人 ニ成﹂が並んでいたための目移りによる誤 写 で あ ろ う 。 在原業平中将女被噸鬼語第七 鈴 鹿 本 巻 訂 ・ 4 丁裏標題(術頁日行) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 語 第 七 ﹂ の ﹁ 第 ﹂ 字 筆 先 割 れ 。 鈴鹿本巻幻・ 5 丁表﹁阿同ハ倒レテナム﹂(術頁 2 行 ) ︹考説︺新大系﹁両開きの戸の片方﹂が正しい。唐 招提寺の校倉も両開き戸。 鈴 鹿 本 巻 幻 ・ 5 丁表﹁劃一枚ヲ具シテ﹂(術頁 3 行 ) ︹考説︺牛車で移動していた、その車の畳と考えら れ る 。 於内裏松原鬼成人形噸女詞鯛刈 鈴 鹿 本 巻 幻 ・ 6 丁表﹁女ヲ噸テケ(リ)ル也ケリト ソ ﹂ ( 術 頁 3 行 ) ︹考説︺初め﹁ケリ﹂と書き、まだ続くことに気付 いて﹁リ﹂の上に﹁ル﹂を書いた。 参官朝庁弁為鬼被噸帯第九 鈴鹿本巻幻・ 7 丁表﹁庁ニテハ朝庁(ニテハ)ヲ﹂ ( 儲 頁 4 行 ) ︹考説︺旧・新全集は﹁ヲパ﹂とするが、新大系が ﹁底本﹁ラアハ﹂を見せ消ちにして、﹁ヲ﹂ と訂す﹂と云う通り、まず上の﹁東庁ニテ ハ﹂に引かれて﹁ニテハ﹂と書き、誤りに 気付いて﹁ニテ﹂に見せ消ちを施して﹁ヲ﹂ を傍記、﹁ヲハ﹂ではないとして、﹁ニテ ハ﹂全体を摺り消そうとしている。 -198-仁寿殿台代御燈油取物来語第十 鈴 鹿 本 巻 訂 ・ 7 丁 表 ﹁ 脇 戸 ( ヲ ) ノ 許 ニ ﹂ ( 鋤 頁 凶 行 )

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︹ 考 説 ︺ 初 め ﹁ ヲ ﹂ を 書 き 、 ﹁ ノ ﹂ と 訂 す る 。 或所膳部見善雄伴大納言劃詞銅利寸 鈴 鹿 本 巻 幻 ・

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丁裏標題(側頁日行) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 霊 語 第 十 こ の ﹁ 霊 語 ﹂ の 筆 先 割 れ 、 ﹁ 霊 ﹂ か ら 追 記 。 於朱雀院被取餌袋菓子語第十二 鈴 鹿 本 巻 幻 ・

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丁 裏 標 題 ( 側 頁 9 行 ) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 菓 子 語 第 十 一 こ は 墨 色 が 薄 い 。 追 記 。 鈴 鹿 本 巻 幻 ・

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丁表﹁眠夕刻リケレハ﹂(側頁凶行) ︹考説︺初め﹁眠タリケレハ﹂と書き、後に別筆で ﹁ カ ﹂ を 補 入 す る 。 鈴 鹿 本 巻 訂 ・

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丁表﹁手迷ヲシテ細ヲ差テ﹂(似頁 -行 ) ︹考説︺この﹁紐﹂を上着の胸紐とするのが旧・新 全集、新大系、旧大系は餌袋・袴紐の二種 を挙げ、前者とする。新潮は﹁文脈上、餌 袋の組紐でなければならぬ﹂として、①鬼 が解く、②頼信が結ぶ、③頼信は解いても 結んでもいないと主張すると言うオコ話を 原型とする。確かに、紐を封結にする、と いう前提からみても、この封がいつのまに か解けていたという展開が予想されるので、 新 潮 の 推 定 は 納 得 で き る 。 -197-近江国安義橋鬼轍人調銅利ヨ 鈴 鹿 本 巻 幻 ・ 9 丁裏﹁励マシケレ 2 行 ) ︹ 考 説 ︺ ﹁ レ ﹂ に 続 け て ﹁ ノ ﹂ を 書 く 。 そ し て ﹁ ハ ﹂ を書く。あるいは﹁ハ﹂の一画が大き過ぎ て﹁ノ﹂に見えるので、あらためて﹁ハ﹂ を 書 い た か 。 ( ノ ) ハ ﹂ ( 仰 頁 鈴 鹿 本 巻 幻 ・

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丁裏﹁此ク云ヒ立ニタ(リ) レ ハ ﹂ ( 似 頁

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行 ) ル事ナ

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︹考説︺初め﹁タリ﹂と言い切り、続くことに気付 いて﹁ル﹂と訂正する。次丁の﹁云ヒ立ニ タ(リ)ル事ナレハ﹂も同じ。 大系は、この﹁モノ﹂が主人公を助けると 考えたが、ありえない。旧全集は鬼の言葉 を﹁はべる﹂と読んだために、鬼とモノが 対等に近いように解することになった。新 大系も﹁はベる﹂と読んでいるが、ここで 鬼が丁寧語を使う必然性はない。結局、や や落ち着かないが新全集に従って﹁かはさ ぶらひ﹂と読み、その実態は水怪と見るの が自然であろう。ただし、新全集で、鬼 が﹁侍ル﹂を使、っと注目で言っているのは 旧注の残存で誤り。なお、河童の異称﹁か わらう﹂は日葡辞書に見えるが、それに似 た﹁皮わらう﹂なる化け物の名が狂言(寛 政有江本︿狐塚﹀)に見える。﹁かはわらべ (河童)﹂←﹁河侍童﹂←﹁河侍﹂と変化し た表記で、読みが﹁かはわらべ﹂であった 可能性を想定しておきたい。

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本話の書写が途中で止まり、ロ丁裏に二 行半、日丁表すべての白紙がある。次の第 -196-従東国土人値鬼語第十四 鈴鹿本巻幻・ロ丁裏﹁河伺ククト度々呼ケレハ・. 叶斗候フト答ヘテ﹂(制頁日行) ︹考説︺﹁河﹂についての解が分かれる。旧大系・ 旧全集は流布本に従って﹁何﹂とし﹁いど こにはべる﹂と読む。新大系は﹁かははべ る﹂と読み、﹁、河はいるか﹂と呼びかけた と見る。新全集は﹁かはさぶらひ﹂と読み、 新大系同様に﹁鬼の手下﹂とする。﹁下ニ 候フ﹂は、旧大系・旧全集は、全体を言 葉と見るが、新大系・新全集とも、﹁下 ニ﹂は下からと地の文とし、﹁候フ﹂のみ を言葉とする。新たに登場した﹁モノ﹂が ﹁候﹂を用いているのは、追って来た鬼よ り下位の身分であることを示している。旧

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十五話は日丁裏冒頭から書写が始まる。こ の本文欠落は原本においてなされていたも の で あ ろ う 。 産女行南山科値鬼逃語第十五 鈴鹿本巻 U-H 丁表﹁羽山科ト云フ所ニ行ヌ﹂(側 頁 日 行 ) ︹ 考 説 ︺ 標 題 は ﹁ 南 山 科 ﹂ と 一 言 、 っ 。 新 全 集 は ﹁ 標 題 と本文の執筆者は別人であった証﹂とする。 標題策定者と本文制定者という意味では納 得できる。ただし、鈴鹿本のこの箇所は標 題と本文は一筆。原本文が﹁南山科﹂で あったものを書写者が第七話﹁北山科・. 旧キ山庄﹂に引かれて﹁北山科﹂としてし まった可能性はなくもない。 鈴鹿本巻幻・日丁表﹁捌川明ニハ不立入マシキ﹂ ( 峨 頁 2 行 ) ︹考説︺本巻第認話に﹁独リ間﹂(ひとりぼっち) とある表記に従うべきか。ただし本話では、 女は女の童を連れており、﹁独り﹂ではな い。評語は説話の内容をきちんと反映して い る と は 言 え な い 。

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本話の筆写者は、きちんとした書体で書 いてはいるものの、相当不注意であったら しく、日丁裏

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行 ﹁ 或 ﹂ 、 3 行﹁局﹂の書 体 、 H 丁表日行﹁物忌モシ入侍ス﹂の﹁入﹂ の 抹 消 、 日 比 丁 裏 3 行﹁女書寝ヲシテ﹂の誤 り、同 8 行﹁粟口﹂の﹁田﹂脱落など誤写 が 見 え る 。 195-正親大夫口若時値鬼語第十六 鈴鹿本巻訂・日丁裏﹁喬見テ居州﹂(制頁 4 行 ) ︹考説︺諸注の言う通り﹁タリ﹂か﹁ヌ﹂のある べき所である。行末という注意を要する ところなので、﹁リ﹂の脱落は考えにくい。 ﹁ ヌ ﹂ の 誤 写 と 考 え る 。

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東人宿川原院被取妻語第十七 鈴鹿本巻幻・口丁表﹁口トシテ樟ノ有ケルニ打懸 テ ﹂ ( 剛 頁 口 行 ) ︹考説︺新全集﹁ナエナエ﹂﹁ナヨナヨ﹂などを想 定、新潮は﹁くたくた﹂も。巻目第四日話に ﹁練絹ノ様に乱クト﹂あり、ここは﹁クタ ク タ ﹂ で よ い か 。 鬼現板来人家殺人語第十八 鈴鹿本巻幻

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丁表﹁真平ニ口殺シテ﹂(抑頁 2 行 ) ︹ 考 説 ︺ 後 の 4 行﹁口殺シテケルニ﹂と併せ、諸注 ﹁ヒシギ﹂を想定する通りであろう。巻却 第沼話にも﹁ヒシゲ﹂相当の空格がある。 鬼現油瓶形殺人語第十九 ︹考説︺新潮は本説話について、三輪神話を引いて、 ﹁油瓶ノ一怪異謹の遠い背後に、神婚の原 風景が幽かに透けている﹂と評す。面白い。 近江国生霊来京殺人語第二十 鈴鹿本巻訂・四丁表﹁忽ギ給ラム 行 ) ︹ 考 説 ︺ ﹁ ム ﹂ に 止 点 が あ る 。 ( 山 ) ﹂ ( 別 頁 6 鈴鹿本巻幻・四丁裏﹁附ノ内ニ入ヌルトモ﹂(刷頁 日 行 ) ︹考説︺﹁門﹂字、初め﹁開﹂と書き、内画を摺り 消 し て い る 。 194 1) 鈴鹿本巻訂

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丁表﹁トナム諸語リ伝ヘタルト也﹂ ( 肌 頁 6 行 ) ︹考説︺﹁諸﹂について新全集は﹁結語にこの語が あるのは異例﹂と注する。ここは﹁語﹂と 書くべきところを﹁諸﹂と書き、そのまま 訂正し忘れたのではないか。

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この後、二行と半丁の空白があり、第幻 話が記される筈であったが、欠話。

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美濃国紀遠助値女霊遂死語第廿二 鈴 鹿 本 巻 幻 ・ 2 丁表﹁剤昔﹂(防頁叩行) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 今 ﹂ 字 、 中 を ﹁ か ﹂ に 近 く 書 く 。 鈴鹿本巻

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・ 2 丁表﹁閥ノ橋﹂(悶頁口行) ︹考説︺難読の文字だが、新大系が﹁現、岐阜市 旦島付近を流れていた旦川(伊自良川と旧 長良川が合流するあたりの称)にかかっ ていた橋か﹂と考証するのに従う。とすれ ば、新大系の読み﹁きだのはし﹂ではなく、 ﹁ だ ん の は し ﹂ で 良 い で あ ろ う 。 鈴鹿本巻幻

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丁表﹁虚疑ヒ明ムハ﹂ ( W 頁 3 行 ) ︹考説︺旧大系が﹁セ﹂と﹁サ﹂の古体の類似によ る誤写とする。旧・新全集も賛同。

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この第辺紙裏に行書体で書き入れがあり、 ﹁此一条ハ尤以コワキ事也可有覚悟/¥/ ¥﹂とあることが知られる。﹁鈴鹿本今昔 物語集﹄考証編制頁に写真がある。﹁以 H もって﹂には単なる強意の用法があるので、 意味としては通じるが、この文字は﹁以﹂ の崩しと見るより、﹁外﹂の崩しと見る方 が素直である。ここでは﹁以外(もっての ほか)﹂と書くつもりが﹁尤外﹂と書いて しまったと考えたい。これは他総六丸落書 とは違って紙背に書かれ、筆写者の点検者 に対する落書と考えられていたものである。 その事は変わらないが、﹁コハシ・コワシ﹂ の語史を確認すれば、筆写時期がある程度 確定できるか。日本国語大辞典は日蓮遺文 に﹁こわし﹂が見えることを教えている。 なお、日出丁裏有名な総六丸落書に﹁尤以﹂ が あ る 。 193 猟師母成鬼擬噸子語第廿三

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新潮は昔話﹁鍛冶屋の婆﹂のうち﹁弥三郎婆の型 が 近 い ﹂ と す る 。

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人妻死後会旧夫語第廿五 鈴鹿本巻

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丁裏﹁柳川事ヲモ﹂(別頁ロ行) ︹考説︺﹁ノ﹂字、﹁乃﹂を書く。お丁裏目行﹁男乃 去テ﹂も同じ。普通の﹁ノ﹂と混在するの は、原典の表記に引かれたものか。 お 話 参 照 。 なお第 鈴鹿本巻

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丁表﹁尚尋テ可行キ也﹂(叫頁 8 行 ) ︹考説︺﹁尋テ﹂は新潮・新大系は確かめる・調べ る意とする。﹁訪て﹂ではないので、それ は納得できる。﹁行﹂は旧・新大系は﹁お こなふ﹂、旧・新全集、新潮は﹁ゆく﹂。こ こは﹁調べてから行く﹂でよいであろう。 女見死夫来語第廿六 鈴鹿本巻訂・お丁裏﹁紐ヲソ解テ有ケル﹂ 行 ) ( 町 頁 8 ︹考説︺新大系は﹁冥界での苦痛をやわらげるため に、装束をくつろげる﹂と解するが賛成で きない。新潮が詳しく述べるように、女の 思いによって男の下紐が解けていると解す べ き で あ ろ う 。 河内禅師牛為霊被借語第廿七 鈴鹿本巻幻

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丁表﹁河内矧剛ト云フシ者ノ﹂(別 頁 1 行 ) ︹考説︺宇治拾遺物語山の同文的同話に﹁河内前 司﹂とある。その冒頭には﹁かはちのぜん じ﹂と仮名書きにする。このような形から ﹁禅師﹂ができあがったのであろう。 -192 鈴鹿本巻訂

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丁 裏 ﹁ 人 ニ 川 副 語 一 ア ﹂ ( 刷 頁 日 行 ) ︹ 考 説 ︺ 諸 注 の 一 言 、 つ 通 り 、 行 移 り の た め の 桁 字 で あ ろ 、 っ 。 鈴鹿本巻幻・幻丁裏﹁大事シタ(川) ル ﹂ 気 ニ テ ソ ﹂

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( 凹 頁 口 行 ) ︹ 考 説 ︺ 初 め ﹁ シ タ リ ﹂ と 書 き 、 ﹁ リ ﹂ と 記 す 。 の 上 に ﹁ ル ﹂ 白井君銀提入井被取語第廿八 鈴鹿本巻

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丁表﹁半物川此刷銀川提ヲ﹂(町頁 ロ 行 ) ︹考説︺ここにある﹁ノ﹂はすべて﹁乃﹂。ここに まとまってあるのは、原典表記に引かれた からと考えるのが適当だろう。なお﹁乃﹂ は第却話の

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﹁二歳許乃﹂、第お話﹁京極 乃 ﹂ が あ る 。 於京極殿有詠古歌音語第廿九 鈴鹿本巻訂・沼丁裏標題(町頁

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行 ) ︹考説︺第幻欠話以後通し番号で書かれて来た最 後がこの﹁廿九﹂話である。﹁語﹂字は崩 されているが、標題本文と一筆と見られる。 本文

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行目半ば、﹁御簾ノ内ヨリ﹂から筆 跡 変 わ る 。 雅通中将家在同形乳母二人語第廿九 鈴鹿本巻幻

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丁 表 標 題 ( 町 頁 5 行 ) ︹考説︺﹁第廿九﹂が重出する。前話後半の筆写者 と本話の筆写は同一人と判断される。標題 は崩された﹁語﹂の下左へ流れる。微妙だ が、追記と見られる。筆写者が交代したた め、話番号の重複に気付かなかったもので あ ろ う 。 -191-鈴鹿本巻

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丁表﹁舟波中将トナム﹂(印頁 7 行 ) ︹考説︺巻却第お話の考説(﹃言語と文化﹄第四号) に記したように、この筆写者は﹁丹﹂を ﹁ 舟 ﹂ と 書 く 癖 が あ る 。 鈴鹿本巻幻

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丁裏﹁大刀ヲヒラメカシテ走(テ) リ 懸 ラ セ ﹂ ( 別 頁 l 行 ) ︹考説︺初め﹁一ア﹂と書き、右に﹁リ﹂と傍書した

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が 、 ﹁ テ ﹂ を 抹 消 し 忘 れ た も の 。 幼児為護枕上蒔米付血語第三十 鈴鹿本巻幻・却丁表﹁散ト散口口口失ニケリ﹂(町 頁日行) ︹考説︺諸注﹁散テ﹂の後に空白を置く。修復後は ﹁テ﹂は不明。虫損ではない空白が三字分 程度ある。例えば﹁掻い消つ様に﹂とでも あるべきところだが、原因不明。 鈴鹿本巻幻・却丁表﹁可為口世帯口刊口﹂(別頁凶行) ︹考説︺諸注、底本破損のため他本により補うが、 修復後一部分が見える。 三 善 清 行 宰 相 家 渡 智 第 品 川 一 鈴鹿本巻幻

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丁裏﹁寄来テ ( 切 頁 叩 行 ) ︹考説︺初め﹁踊﹂字を書き、 ﹁ 脆 ﹂ を 書 く 。 ( 踊 ) 脆キ居タリ﹂ 左に止点を付して 鈴鹿本巻訂・担丁裏﹁押居テ領爪ル﹂(悶頁凶行) ︹考説︺﹁ス﹂字﹁爪﹂を用いる。珍しい。原典表 記に引かれているか。 民部大夫頼清家女子語第品川二 鈴鹿本巻幻・お丁表﹁参リ不給サリツルソ桐倒刈 川 ﹂ ( 問 頁 9 行 ) ︹考説︺終わりの﹁ツル﹂の後に文字なし。この ままでは諸注の云うように街字ということ になろうが、仮名部分の相違が気になる。 ﹁不興なりつる﹂とでもあれば意味がある 4 M 190 被 呼 姓 名 射 顕 野 猪 語 第 叫 川 四 鈴鹿本巻 2 ・

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丁 裏 ﹁ ノ 郡 一 一 ( 矧 ) ﹂ ( 闘 頁 日 行 ) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 郡 ﹂ を 重 複 し て 書 き 、 止 点 を 付 す 。

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( 成 ) 取 テ ﹂ ( 問 頁 鈴鹿本巻幻

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丁裏﹁火ヲ手ニ 日 行 ) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 成 ﹂ に 止 点 、 ﹁ 取 ﹂ を 傍 書 。 上 に ﹁ 女 手 ニ 成シテ﹂があるので、引かれて誤る。

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本話は音を頼りに射ているが、全体とし ては照射猟の手順を知ることができる。 〔 鈴 有 考 行 鹿 光 説 ) 本 来 〕 巻 死 27人 傍 35野 丁 猪 裏 宵 Itr: ロロl

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ハ 若 シ ﹂ ( 鴎 頁 6 初 め ﹁ 此 レ ヲ ﹂ と 書 き 、 右 に ﹁ ハ ﹂ と 訂 正 。 鈴鹿本巻幻・お丁表﹁目ヲ不見開ネハ﹂(邸頁日行) ︹考説︺初め﹁不開﹂と書き、補入符を付けて右に ﹁ 見 ﹂ を 書 く 。 於播磨国印南野殺野猪語第舟六 鈴鹿本巻訂・お丁裏﹁糸軽ヒヤカニテ(叶)﹂(切頁 9 行 ) ︹考説︺﹁、﹂は踊字と見られるが、誤り。あるい は﹁シテ﹂と書くつもりで﹁テ﹂を書いて し ま い 、 ﹁ シ ﹂ を 書 き 始 め て 止 め た も の か 。 鈴鹿本巻幻・訂丁表﹁肱身ナト(川)ニ﹂(鴎頁 6 行 ) ︹考説︺初め﹁ナトノ﹂と書き、右に?こと訂正。 鈴鹿本巻幻・訂丁裏﹁走リ逃(判)ル事﹂(悶頁ロ 行 ) ︹ 考 説 ︺ 初 め ﹁ テ ﹂ を 書 き 、 右 に ﹁ ル ﹂ と 訂 正 。 -189-鈴鹿本巻訂・お丁表﹁野中ナム川ニハ﹂(印頁 2 行 ) ︹考説︺初め﹁ナムニハ﹂と書き、補入符を付けて ﹁ ト ﹂ を 書 く 。 狐大椙木被射殺詞剰州制 狐変女形値播磨安高語第品川八

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鈴鹿本巻訂・却丁表﹁右近ノ将間﹂(悶頁凶行) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 将 覧 ﹂ は ﹁ 将 監 ﹂ の 誤 り 。 鈴鹿本巻幻・泊丁裏﹁人ノ呼ヘハ行ク刑ト﹂(悶頁 5 行 ) ︹考説︺諸注の言う通り、原形は﹁行ク也﹂であっ たろう。それを﹁ヤ﹂と読んで書いたもの。 文章末の﹁伝ヘタルト也﹂が﹁ヤ﹂の形で 書かれるのと同じ事であろう。 狐変人妻形来家語第品川九 鈴鹿本巻

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丁表﹁思量モ元カリケ(リ) ( 邸 頁 l 行 ) ︹ 考 説 ︺ 初 め ﹁ ケ リ ﹂ と 書 き 、 ﹁ ル ﹂ と 訂 正 。 ル 男 ﹂ 狐託人被取玉乞返報恩語第四十 高陽川狐変女乗馬尻語第冊一 鈴鹿本巻

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丁裏﹁明日ノ夜ヲ具スシテ只一人﹂ ( 悶 貰 げ 行 ) ︹考説︺旧大系以外の諸注﹁夜ヲ﹂の後に脱字を想 定する。新大系はそこに脱字を想定し、ま たその後に脱字﹁従者モ不﹂を想定する。 ﹁夜ヲ﹂で行が変わる点からすれば、それ ぞれに脱字を想定する新大系の考えには同 意できる。﹁夜ヲ﹂の後はほとんど一行分 の脱文﹁(明日ノ夜ヲ)待って多くの従者 どもを連れて出発する。土御門の門まで来 た時に、滝口は従者共にここで待てと言い 置いて、一人の従者も﹂という内容が推定 さ れ る 。 -188-鈴鹿本巻訂・叫了表﹁出来ニ(州)ケリ﹂(硝頁叩 行 ) ︹考説︺初め﹁タ﹂を書き、抹消符を付けて﹁ケ﹂ を 書 く 。 鈴鹿本巻訂 -MH 丁裏﹁火燃テ値タリツル(ヲ) モ ﹂

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( 問 頁 4 行 ) ︹考説︺初め﹁ヲ﹂を書き、上に﹁モ﹂と訂正。

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新潮が注するように、本話は昔話﹁臥 狐 ﹂ と 同 型 で あ る 。 左京属邦利延値迷神宮第冊二 鈴 鹿 本 巻 市 μ ・必丁裏﹁為ルニヤ有引ム﹂(悶頁 8 行 ) ︹考説︺﹁ラ﹂字﹁一ア﹂にも見えるが、他の﹁テ﹂ の 字 体 と は 違 う 。 頼光郎等平季武値産女語第附三 鈴鹿本巻幻・必丁裏﹁然許云立ニケレ ( 瑚 頁 2 行 ) ︹考説︺初め﹁リ﹂を書き、上に﹁ハ﹂を書く。 ( リ ) 鈴鹿本巻幻・釘丁表﹁従者モ何テカ可知キト﹂(切 頁 5 行 ) ︹考説︺諸注﹁従者モ﹂の後に、ほとんど同意の 脱文を想定する。空格なしの脱文が起こっ たことと、前行の終わり﹁遅シト励マシケ レハ﹂が崩れた字体になることは関係があ ろう。即ち注意力が散漫になり、気を取り 直して書き続けたとたんに脱文を起こした と思われる。この後、二行置いて﹁渡ラム 定﹂と書いてしまい、無理に﹁一﹂を補入 すること、次の訂丁裏の脱字も同じ不注意 の 産 物 で あ ろ う 。 ノ、 L一一 鈴鹿本巻幻・釘丁裏﹁尻ニ剥返ヌ﹂(阻頁 1 行 ) ︹考説︺初め﹁尻返ヌ﹂と書いてしまい、補入符を 付けて﹁ニ走﹂を書く。 -187-鈴鹿本巻訂・訂丁裏﹁渡(斗ゴ列)テ行一ア﹂(叩頁 2 行 ) ︹考説︺初め直前の﹁渡ニ行テ﹂に引かれて﹁渡 ニ行﹂と書いてしまい、間違いに気付いて ?こを﹁テ﹂と直してみたが、なお右に ﹁ テ ﹂ を 書 い た も の 。

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通鈴鹿山三人入宿不知堂語第冊四 鈴鹿本巻幻・必丁表﹁鬼有利テ・・・然許ノ週中ナ ル ﹂ ( 矧 頁 凶 ・ 日 行 ) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 有 テ ﹂ と 書 い て ﹁ ト ﹂ を 後 補 。 ﹁ 許 ノ 中 ﹂ に補入符を付して﹁道﹂を書く。 鈴鹿本巻訂・必丁裏﹁此ノ側負ル男﹂(叫頁ロ行) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 此 ノ 負 ル ﹂ と 書 き 、 補 入 符 を 付 け て ﹁ 被 ﹂ を 書 く 。 鈴鹿本巻幻・却丁表﹁魂モ不劣ヌカト三人﹂(開頁

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行 ) ︹考説︺諸説﹁カト﹂の後に﹁覚ユ﹂などの脱字を 想 定 す る 。 鈴鹿本巻 2 ・ 0 丁表﹁天井(訓叶)ニテ﹂(附頁 6 行 ) ︹考説︺初め﹁天井ヨリ﹂と書き、ミセケチして ﹁ ニ テ ﹂ を 書 く 。 鈴鹿本巻幻・却丁表﹁云伝ヘタ(ル)リケルニヤ﹂ ( 路 頁

7

行 ) ︹考説︺初め﹁タル﹂と書き、右に﹁リ﹂を書く。 近衛舎人於常陸固山中詠歌死語第柵五 鈴鹿本巻

U

・却丁裏﹁誰カ云ツル(ソ)トモ不聞﹂ ( 川 市 頁 l 行 ) ︹考説︺新全集のみ注記するが、﹁ソ﹂には止点 が 施 し て あ る の で 、 ﹁ 云 ツ ル ト モ ﹂ に な る 。 これは行頭の﹁誰カ云ツルソト﹂に引かれ て 誤 っ た も の 。

-186-鈴鹿本巻幻・印丁表﹁夜川宿ニシテ骨花一こ(川市頁 3 ・

4

行 ) ︹ 考 説 ︺ ﹁ 乃 ﹂ を 用 い る 。 ﹁ 寝 死 ﹂ に 振 り 仮 名 が あ る 。 標題の追記について ﹃ ニ 一 言 語 と 文 化 ﹂ 第 四 号 に お い て 標 題 追 記 の 問 題 を 取りあげ、﹁まず目録の筆写が行われ、次いで本文

(17)

の筆写者が話番号のない標題と本文を筆写する。次 いで目録の筆写者が話番号を追記する﹂という手順 を想定した。巻幻は目録を失っているので、本文標 題との比較はできないが、話番号を後に追記する傾 向は本巻にも認められる。ただし、巻却ほど単純で はなく、追記を原則としながら、話番号まで一筆で 書いてしまう例が現れることに留意したい。 話番号の追記は、基本的には、標題本体の文字 が椅書できちんと書かれているのに対し、﹁語第

O

﹂の﹁語﹂部分が崩され、全体にやや速筆にな る特徴がある。巻訂において、﹁語﹂が崩される段 は 1 ・ 2 ・ 304 ・ 6 ・ 7 ・

9

・ 1 ・ 口

-m

-n

4 6 8 9 9 1 2 3 4 5 7 ヮ“っ“っ“つ臼つム q d q d 内 J n J q d q d お ・ 却 ・ 却 ・

4

・ 必 -G ・ 川 世 話 で あ る 。 ﹁ 語 ﹂ が 崩 されていても標題本体と印象が変わらぬ l ・ 2 ・ M ・ お

- m

の l ・お・却話は標題本体と同時の写な のかもしれない。その他は標題本体から見ておおむ ね左に流れる方向で書かれている。担・ぉ・

4

・ 6 話は右流れ。またそれらは標題本体と墨色を異にす る場合がほとんどで、追記の証と考えてよいであろ

﹁語﹂が崩されていない話は 5 ・

8

-m

-u

・ 3 4 5 6 9 0 2 5 7 0 6 F U l l -i 1 2 2 2 2 3 3 4 話である。そのうち、 5 ・ 8 ・

u

-m

-H

・ お ・ 話 話は標題本体から見て左に流れる方向で書かれる。 これも追記なのであろう。 結 局 、 ﹁ 語 第

O

﹂は追記と一一筆の場合が混在して いることになる。一筆のものがあるということは、 原典に話番号が書かれていた事を示唆していよう。 あるいは、書写の原則としては話番号追記であった が、書写者の筆が走って、話番号まで書写してし まった場合があるということなのであろうか。その 理由が考えられる部分としては、第日・凶話の話番 号が標題と一筆であるのは第凶話の後半が欠けてい ることと関わり、第辺話の話番号が一筆で書かれる ことは第幻話の欠と関わるというように、前話に問 題があった場合がある。第却話の話番号重複の現象 も追記が一括して行われていればあり得ないことで -185-(40)

(18)

ある。目録段階で整備されていた話番号を標題に追 記する場合、標題にすでに話番号が書かれている場 合はそのままにして、書かれていない場合のみ追記 が行われていったという事であろう。なお、現存す る鈴鹿本巻二では第一・第こまで話番号があって、 第三に相当する空白があり、後は﹁第﹂のみで番号 がない。巻十では第三話と第四話の聞に﹁第﹂の みで話番号のない説話が挟まる。そして第五話から ﹁第﹂のみで話番号のない説話が第七の前まで三話 続き第廿九・三十相当話は目録と違う説話で話番号 を欠く。この巻十の目録と本文標題の姐厳について は宮田尚氏﹃今昔物語集震旦部考﹄に編集の問題と し て 論 じ ら れ て い る 。 -184-1)

参照

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