mPGES-1阻害作用を有する抗炎症薬を指向したイミダゾキノリン誘導体の合成と構造活性相関研究
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(2) 農. 学研究科. 平成 25年度. (論文提出による). (平成 26年3月). 宮. 田. 雄文也雄 道正智幸. 倉小 城菊. 田.
(3) 学位論文審査結果の報告書 氏. 名. 生年月日. 城智也. 四ヲ・平成. 本籍(国籍). 53年5月. 15日. 滋賀県 ). 学位の種類. 博士(. 学位記番号. 農第192号. 学位授与の条件. 農学. 学位規程第5条2項該当. (博士の学位). 論文題目. mpGES-1阻害作用を有する抗炎症薬を指向しえ. イミダゾキノリン誘導体の合成と構造1舌注相関研究. 審査委員 (主査). 飯田. 彰. 教授. (副主査). 松田一彦教授. (副主査). 米谷俊. 教授. 泛 '、'町、\. ゛f "'. ⑳'. (副査). ⑳. (副査). ⑳. - 15 -.
(4) 号△. 文内. ク、t. の. ^. 抗炎症薬 W肖炎鎮痛薬)として古くから使用されているNSAIDSは, CO×-1とCO×-2を非選択的に阻 害することでPGE2の産生を抑制し抗炎症作用を発揮するが,まれに潰傷などの重篤な消化管障害を 惹起することが知られている.この副作用を回避するために,消化管での半胡莫保護作用を担うCO×ー 1を阻害せずPGE2産生の中心的な役割を担うCO×-2を選択的に阻害する薬剤の開発が行われてきた 上市されたCO×-2選択的阻害剤にはNSAIDSで見られた副作用は観察されず,次世代のNSAIDSとして 期待された.しかし, CO×-2選択的阻害剤は, CO×一邱且害作用を示さないために血小板において血小 板凝集作用を持つTXA2の生合成を阻害しない一方で,強力なCO×-2阻害作用を示すために血管内皮 において血小板凝集抑制作用を持つPG12の生合成を阻害する結果, TXA2とPG12の不均衡が生じ, 栓などの重篤な心血管系イベントの発生りスクを高めることが判明した.これによって, CO×-2選 択的阻害剤は市場からの撤退や厳しい規制下での使用を余儀なくされ,抗炎症薬市場に大きなアン メ ツトメディカルニーズが生じ,再び副作用の少ない抗炎症薬が市場から切望されるようになっ た. このような背景のもと,著者は安全性の高い次世代型のNSA1山を創製するために, COXよりも下 流においてPGH2からPGE2の産生を担うPGE合成酵素(PGES)に着目した. PGESには, mpGES-1, dGES-2, CPGESの 3つのアイソフォームが存在する.これらの中で, mpGES-1は炎症性刺激により 発現する誘導型酵素であり,マウスを用いたdGES-1のノックァウト研究によって抗炎症作用効果 のみならずNSAIDSやCO×-2選択的阻害剤にみられる副作用が起こらないことが報告された.一方 で, mP儒S-1は魅力的な創薬夕ーゲットであるにもかかわらず, dGES-1阻害剤の報告例はわずかし かなかった.そこで著者は, CO×-1,2に阻害作用を示さない選択的なdGES-1阻害剤の開発に着手す るとととした.. 本研究では,経口吸リ又性を示す選択的mpGES-1阻害剤の創製を目的として,まず既知のdGES-1阻 害剤の構造情報から新規なりード化合物の探索合成を行った.得られたりード化合物のdGES-1阻 害活陛と薬物動態プロファイルを改善することを目的に,構造活性相関研究を展開した.これら誘 導体合成の中で,構造活性相関研究を効率的に展開できるような新規合成反応の開発を行った.西 成した誘導体の中から選抜された代表化合物のラットPK試験を行い,経口投与後の血中濃度値と PGE2産生阻害活性値からinviv0モデルへの有効投与量を検証した 第1章 mpGES-1阻害作用を有するイミダゾキノリン誘導体の合成と構造活性相関研究 新規なりード化合物を創出するために既知のmpGES-1阻害剤の構造情報からファーマコフォアを. 予測し,新規なナフトイミダゾール誘導体7をデザインし合成したところ,化合物7は濃度10 μMで 85%のmpGES-1阻害活性を示した.さらに,自社ライブラリーを用いたHTS試験により,化合物7と類. 似の骨格と置換基を有するイミダゾキノリン誘導体8がヒット化合物として得られた(6眺阻害活性 @10 μM).ナフトイミダゾール骨格よりイミダゾキノリン骨格のほうが母骨格ヘ効率的に置換基を 導入できることから,化合物8をりード化合物として採用した.リード化合物8を基にした構造1舌陛 相関を明らかにするために,まず化合物8 (1C50・950onM)の2位の置換基効果を検証した.2位 フェニル基をアルキル基やシクロアノレキノレ基などの様々な置換基に変換した結果,フェニノレ基が最. も好ましい置換基であることが明らかとなったため,次に2位フェニル基上の置換基効果を検証し た.その結果,オルト位に置換基を導入することで阻害活性が向上し,クロロ基(2Dが最も高い阻 害活性(1C50*251nM)を示したことから,次に化合物21の4位の置換基効果を検証した.4位に 酸素,窒素,硫黄原子を介した置換基導入や,4位ヘのカルボニル基,チオカルボニル基,アミノ 基の導入を行った結果,カルボニル基を有するイミダゾキノリンー4ーオン誘導体52が最も高い阻 nM)を示し,リード化合物8からdGES-1阻害活性を約1000倍向上させること 害活性値(1C50 に成功した.化合物52はCO×-1,2いずれに対しても阻害活性を示さず, CYP2C9に対する阻害作用を 示すものの優れた膜透過性と代謝安定性を示した. - 16 -.
(5) 第2章 関研究. Nーアルキルイミダゾキノリンー4ーオン誘導体の効率的合成法の開発とその構造活性相. 第1章で見出した化合物52の2つの水素原子供与性基の阻害活性に対する重要性を検証するため に,それぞれの窒素原子をアルキル化した誘導体を合成し,それらの阻害活性を評価することとし. た.しかし, N(1), N(3),もしくはN(5)ーアノレキルイミダゾキノリンー4ーオン誘導体の既知 の合成方法を参考にした合成ルートは,多段階の合成工程を要するととから非常に効率性の悪い合 成方法であった.そこで,モノアルキルイミダゾキノリンー4ーオン誘導体の簡便かっ効率的な合 成を可能にする新規な合成ルートの開発を行うこととした.まず,化合物52に対してNaHを用いた 直接的メチル化反応を検討したところ,新たな生成物としてモノメチル体とジメチル体の2つのみ しか与えない興味深い結果が得られた.これらの構造解析の結果,モノメチノレ体はイミダゾール環 がメチル化された化合物であり,ジメチル体はイミダゾール環と5位窒素原子がメチル化された化 合物であることが推察された.しかし,イミダゾール環ヘのメチル化が1位か3位のどちらに選択 的に進行しているか同定できなかったため,別ノレートから1位メチル体と3位メチル体を合成する こととした.4ークロロ体37に同様の条件でメチル化を行ったところ,構造決定可能な1位メチル 体と3位メチル体が生成し,本反応は3位メチル体を主生成物として与えることが明らかとなっ た.この3ーメチル体の4位クロロ基を加水分解したととろ,化合物52の直接的メチル化反応で得 られたモノメチル体の機器分析データと一致したことから,化合物52ヘの直接的メチル化反応は3 位選択的に進行することが明らかとなった. NaHを用いた化合物52ヘのメチル化反応はジメチル体 が主生成物として得られることから,3位選択的メチル化反応を開発するために種々の塩基や反応 条件を検討した結果, i-pr2EtNを用いて加熱条件下でメチル化を行うことで,3位選択的にメチル 化反応が進行することを見出した.さらにこの反応は他のアルキルハライドにも適応可能であり, 種々の3位アルキル体を簡便に合成できることが明らかとなった.5位アルキル体の合成は,3位 選択的にBOC基やSEM基を導入した後に選択的に5位をアルキル化する方法を見出した.さらに,5 位アルキル化反応とBO0基の脱保護反応をワンポットで収率よく進行させる条件を見出した.合成 したNーアルキル誘導体のdGES-1阻害活性を評価したところ,5位アルキル体の阻害活性は10倍 以上減弱し,1位および3位アルキル体の阻害活性はさらに大幅に減弱した.これらの結果から, 化合物詑の2つの水素原子供与性基は阻害活性に必須であることが明らかとなった 第3章経口吸収性を示すイミダゾキノリンー4ーオン誘導体の合成と構造活性相関研究 第1章で見出した有望な化合物52をin 阿如試験に進めるために,課題であったCYP2C9に対する 強い阻害作用の改善と更なる阻害活性と代謝安定性の向上を目的として,化合物52の置換基変換を 行っ.た.化合物52の7位ブロモ基を変換することでCYP2C9の阻害作用は消失したがmpGES-1阻害活性 が大幅に減弱したことから,7位ブロモ基に代替可能な置換基を探索した. dG郡一1阻害活性に対す るブロモ基の脂溶性の重要性を検証するためにメチル基からへキシル基までの種々のアルキル鎖を 評価したところ, nーブチル基(8ωが最も高い阻害活性(1C50・ 17nWを示したことから,7位置換 基には高い脂溶性だけでなく適切な嵩高さが重要であることが明らかとなった.7位nーブチル体80 はヒトミクロソームにおける代謝安定性が十分ではなかったため,代謝に安定な他の脂溶性置換基 を検討したところ,フェニル基(86)はブロモ基よりも強い阻害活性(1C50 =フ.9 nM)を示し大幅 な代謝安定性の改善が見られた.次に,既知のdGES一那且害剤であるMF-63の構造活性相関データ情 報を参考に,化合物86の2位クロロフェニル基上の6位に種々の置換基を導入し, dGES-1阻害活 性に対する効果を検証した結果,6位にフルオロ基を導入することで阻害活性が約2倍向上するこ とが明らかとなった(112:1C50 * 4.1nM)最後に,化合物112の 7位フェニル基上の置換基効 果を検証したところ,メタ位とパラ位にクロロ基を導. 17 ー.
(6) 入することでさらに阻害活性が向上することが明らかとなり,いずれもMF-63よりも高いmpGES-1阻 2.5 害活性を示した.メタ位にクロロ基を持つ化合物96は最も強力なdGES-1阻害活性(1C50 nM)を示したが,化合物Ⅱ2に比ベ固体溶解度が低下した.次に,置換基タイプの異なる7位ブチル 体80と7位フェニル体Ⅱ2の細胞系でのPGE2産生阻害活性とdGES-Uこ対する選択性を評価した.そ の結果,両化合物ともに高いPGE2の産生阻害活性を示した.選択性については, CO×-1,2だけでな くプロスタグランジン合成経路に属する複数の酵素に対して阻害活性を示さなかったことから,両 =二. 化合物ともに高い選択性を有することが示された.両化合物のうち,より優れた代謝安定性と高い 阻害活性を示す化合物U2を候補化合物に選定し血ⅦW試験ヘと進めた.化合物Ⅱ2のラツトへの. 静脈投与試験により,化合物Ⅱ2は血中での高い安定性と蓄積性の懸念が極めて少ないことが示さ れた.経口投与試験においては,良好な体内動態挙動と良好なバイオアベイラビリティー(BA. 19.2%)を示した.次に,化合物H2のNデータと細胞系での阻害活性データから郎/PDを考察した結. 果,化合物Ⅱ2は経口投与後6時間後でもPGE2産生阻害活性濃度(1C50= 12.8 昭/mDを十分に越え る血中濃度を維持することが明らかとなり,動物モデルでの薬効評価試験が実施可能であることが 示唆された 結論. 本研究では,既知のmpGES一那且害剤の構造情報を基にした骨格デザインや自社ライブラリーを用 いたHTS試験により,新規なりード化合物(フ,8)を見出した.リード化合物のdGES-1阻害1舌陛や薬. 物動態プロファイルの改善を目的として構造活性相関研究を行った結果,リード化合物8よりも約 4000倍も高いmpGES-1阻害1舌陛と良好な薬物動態プロファイルを有するイミダゾキノリンー4ーオ. ン誘導体を見出すことに成功した.これら誘導体合成において,イミダゾキノリンー4ーオン誘導 体のNーアルキル体を効率的に合成可能な新規合成反応を開発した. dGES-1に対する高い選択性 と細胞系において高いPGE2産生阻害活性を示す代表化合物(112)は,ラット照試験において良好な 経口吸収性を示し,経口投与後6時間後でもPGE2産生阻害活性を十分に示す血中濃度を維持するこ とが明らかとなった.本研究によって,これまでに報告例の少ない動物モデルでの薬効評価試験が 実施可能なmpGES-1阻害剤を提供することが可能となり,見出された化合物(112)に代表されるイ ミ ダゾキノリンー4ーオン誘導体はdGES-1に関連する貴重な研究材料となることが考えられる.そ. れゆえ,本研究は,将来的にはNSAIDSやCO×-2選択的阻害剤の副作用を回避した新規な抗炎症剤の. 開発に発展することが期待される.また,本研究で開発された新規合成反応は,医薬のみならず, ヘテロ環含有生理活性天然物の合成研究や農薬の開発研究など多くの科学分野に広く応用可椛な価 値ある基礎技術であると考えられる.さらに, dGES-1阻害活性試験法は,独自に構築された汎用 性に優れた評価系であり,天然物化学における探索研究に活用すれば,今までは発見できなかっ. た,CO×一Πに対して選択的阻害を示す生物活性天然物の発見をも可能にする非常に有益な手法ある といえる. 18 -.
(7) 雪△. 文. 査. イ 、. の. ヒ二. 抗炎症薬(消炎鎮痛薬)として古くから使用されているNSAIDSは, CO×-1とCO×-2を非選択的に阻 害するととでPGE2の産生を抑制し抗炎症作用を発揮するが,まれに潰傷などの重篤な消化管障害を 惹起することが知られている.この副作用を回避するために,消化管での*胡莫保護作用を担うCO×ー 1を阻害せずPGE2産生の中心的な役割を担うCO×-2を選択的に阻害する薬剤の開発が行われてきた 上市されたCO×-2選択的阻害剤にはNSAIDSで見られた扇IH乍用は観察されず,次世代のNSAIDSとして 期待された.しかし, CO×-2選択的阻害剤は, CO×-1阻害作用を示さないために血小板において血小 板凝集作用を持つTXA2の生合成を阻害しない一方で,強力なCO×一部且害作用を示すために血管内皮 において血小板凝集抑御H乍用を持つPG12の生合成を阻害する結果, TXA2とPG12の不均衡が生じ,血 栓などの重篤な心血管系イベントの発生りスクを高めることが判明した.これによって, CO×-2選 択的阻害剤は市場からの撤退や厳しい規制下での使用を余儀なくされ,抗炎症薬市場に大きなアン メットメディカルニーズが生じ,再び畠11作用の少ない抗炎症薬が市場から切望されるようになっ た.このような背景のもと,申請者は安全性の高い次世代型の鵬AIDSを創製するために, COXより も下流においてPGH2からPGE2の産生を担うP儒合成酵素(PGES)に着目した. PGESには, mpGES-1,. mpGES-2, CPGESの 3 つのアイソフォームが存在する.これらの中で, mpGES-1は炎症性刺激により 発現する誘導型酵素であり,マウスを用いたmpGES-1のノックァウト研究によって抗炎症作用効果 のみならずNSAIDSやCO×-2選択的阻害剤にみられる高lj作用が起こらないことが報告された.一方 で, mpGES-1は魅力的な創薬夕ーゲットであるにもかかわらず, mpGES-1阻害剤の報告伊Nよわずかし かなかった.そこで申請者は, CO×-1,2に阻害作用を示さない選択的なdGES-1阻害剤の開発に着手 した. 申請者はまず、新規なりード化合物を創出するために既知のnlpGES-1阻害剤の構造情報から ファーマコフォアを予測し,新規なナフトイミダゾール誘導体7をデザインし合成した.その結 果,化合物7が濃度10 μMで85%のmpGES-1阻害1舌性を示した.さらに,自社ライブラリーを用いた HTS試験により,化合物7と類似の骨格と置換基を有するイミダゾキノリン誘導体8がヒット化合物 として得られた(60%阻害活性@10 μM).ナフトイミダゾール骨格よりイミダゾキノリン骨格のほう が母骨格ヘ効率的に置換基を導入できることから,化合物8をりード化合物として採用した.リー ド化合物8を基にした構造1舌性相関を明らかにするために,まず化合物8 (1C50・950onM)の2位 の置換基効果を検証した.2位フェニル基をアルキル基やシクロアルキル基などの様々な置換基に. 変換した結果,フェニル基が最も好ましい置換基であることが明らかとなったため,次に2位フェ ニル基上の置換基効果を検証した.その結果,オルト位に置換基を導入することで阻害活性が向上. し,クロロ基(21)が最も高い阻害活性qC50 = 251nM)を示したことから,次に化合物21の4位の 置換基効果を検証した.4位に酸素,窒素,硫黄原子を介した置換基導入や,4位ヘのカルボニル 基,チオカルボニノレ基,アミノ基の導入を行った結果,カルボニノレ基を有するイミダゾキノリンー 4ーオン誘導体52が最も高い阻害活性値(1C50・9.1nM)を示し,リード化合物8からd儒S-1阻害 活性を約1000倍向上させることに成功した.化合物52はCO×-1,2いずれに対しても阻害活性を示さ ず,CYP2C9に対する阻害作用を示すものの優れた膜透過性と代謝安定性を示した. 19 -.
(8) 次に申請者は,第1章で見出した化合物52の2つの水素原子供与性基の阻害活性に対する重要性 を検証するために,それぞれの窒素原子をアルキル化した誘導体を合成し,それらの阻害活性を評 価することとした.しかし, N(1), N(3),もしくはN(5)ーアノレキルイミダゾキノリンー4ーオ ン誘導体の既知の合成方法を参考にした合成ルートは,多段階の合成工程を要するととから非常に 効率性の悪い合成方法であった.そこで,モノアルキルイミダゾキノリンー4ーオン誘導体の簡便 かつ効率的な合成を可能にする新規な合成ルートの開発を行うこととした.まず,化合物52に対し てNaHを用いた直接的メチル化反応を検討したところ,新たな生成物としてモノメチル体とジメチ ル体の2つのみしか与えない興味深い結果が得られた.これらの構造解析の結果,モノメチル体は イミダゾール環がメチル化された化合物であり,ジメチル体はイミダゾール環と5位窒素原子がメ チル化された化合物であることが推察された.しかし,イミダゾール環ヘのメチル化が1位か3位 のどちらに選択的に進行しているか同定できなかったため,別ノレートから1位メチル体と3位メチ ル体を合成することとした.4ークロロ体37に同様の条件でメチル化を行ったところ,構造決定可. 能な1位メチル体と3位メチル体が生成し,本反応は3位メチル体を主生成物として与えることが 明らかとなった.この3ーメチル体の4位クロロ基を加水分解したところ,化合物52の直接的メチ ル化反応で得られたモノメチル体の機器分析データと一致したことから,化合物52ヘの直接的メチ ル化反応は3位選択的に進行することが明らかとなった. NaHを用いた化合物52ヘのメチル化反応 はジメチル体が主生成物として得られることから,3位選択的メチル化反応を開発するために種々. の塩基や反応条件を検討した結果, i-pr2EtNを用いて加熱条件下でメチル化を行うことで,3位選 択的にメチル化反応が進行することを見出した.さらにこの反応は他のアルキルハライドにも適応 可能であり,種々の3位アルキル体を簡便に合成できることが明らかとなった.5位アルキル体の 合成は,3位選択的にBOC基やSEM基を導入した後に選択的に5位をアルキル化する方法を見出し た.さらに,5位アルキル化反応とBO0基の脱保護反応をワンポットで収率よく進行させる条件を 見出した.合成したNーアルキル誘導体のdG郡一1阻害活性を評価したところ,5位アルキル体の 阻害活性は10倍以上減弱し,1位および3位アルキル体の阻害活性はさらに大幅に減弱した.これ らの結果から,化合物52の2つの水素原子供与性基は阻害活性に必須であることが明らかとなっ た. 最後に申請者は、第1章で見出した有望な化合物52をinvi如試験に進めるために,課題であっ たCYP2C9に対する強い阻害作用の改善と更なる阻害活性と代謝安定性の向上を目的として,化合物. 52の置換基変換を行った.化合物52の7位ブロモ基を変換することでCYP2C9の阻害作用は消失した がdGES-1阻害活性が大幅に減弱したことから,7位ブロモ基に代替可能な置換基を探索した dG郡一1阻害活性に対するブロモ基の脂溶性の重要性を検証するためにメチル基からへキシル基ま での種々のアルキル鎖を評価したところ, nーブチル基(8のが最も高い阻害活性(1C50=17nWを示. したととから,7位置換基には高い脂溶性だけでなく適切な嵩高さが重要であることが明らかと なった.7位nーブチル体80はヒトミクロソームにおける代謝安定性が十分ではなかったため,代謝 に安定な他の脂溶性置換基を検討したところ,フェニル基(86)はブロモ基よりも強い阻害活性. - 20 -.
(9) (1C50=フ.9nM)を示し大幅な代謝安定性の改善が見られた.次に,既知のdGES-1阻害剤である MF-63の構造活性相関データ情報を参考に,化合物86の2位クロロフェニル基上の6位に種々の置 換基を導入し, mpGES-1阻害活性に対する効果を検証した結果,6位にフルオロ基を導入すること で阻害活性が約 2倍向上することが明らかとなった(Ⅱ2:1C50 ・ 4.1nM)最後に,化合物Ⅱ2 の7位フェニル基上の置換基効果を検証したところ,メタ位とパラ位にクロロ基を導入することで さらに阻害活性が向上することが明らかとなり,いずれもMF-63よりも高いdGES-1阻害活性を示し た.メタ位にクロロ基を持つ化合物96は最も強力なmpGES-1阻害活性(1C50 = 2.5 nM)を示した が,化合物H2に比ベ固体溶解度が低下した.次に,置換基タイプの異なる7位ブチル体80と7位 フェニル体Ⅱ2の細胞系でのPGE2産生阻害活性とdGES-Nこ対する選択性を評価した.その結果,両 化合物ともに高いPGE2の産生阻害1舌性を示した.選択性については, CO×-1,2だけでなくプロスタ グランジン合成経路に属する複数の酵素に対して阻害活性を示さなかったことから,両化合物とも に高い選択性を有することが示された.両化合物のうち,より優れた代謝安定性と高い阻害活性を 示す化合物Ⅱ2を候補化合物に選定し血ⅦW試験ヘと進めた.化合物Ⅱ2のラットへの静脈投与試 験により,化合物H2は血中での高い安定性と蓄積性の懸念が極めて少ないことが示された.経口 投与試験においては,良好な体内動態挙動と良好なバイオアベイラビリティー佃A:19.2%)を示し た.次に,化合物Ⅱ2のPKデータと細胞系での阻害1舌陛データから照/PDを考察した結果,化合物. 112は経口投与後6時間後でもPGE2産生阻害活性濃度(1C50 ・ 12.8 ng/mL)を十分に越える血中濃度 を維持することが明らかとなり,動物モデルでの薬効評価試験が実施可能であることが示唆され た. 本研究の結論を、申請者は次のように要約した.本研究では,既知のdGES-1阻害剤の構造情報 を基にした骨格デザインや自社ライブラリーを用いたHTS試験により,新規なりード化合物(フ,8) を見出した.リード化合物のdGES-1阻害活性や薬物動態プロファイルの改善を目的として構造活 性相関研究を行った結果,リード化合物8よりも約4000倍も高いdGES-1阻害活性と良好な薬物動態 プロファイルを有するイミダゾキノリンー4ーオン誘導体を見出すことに成功した.これら誘導体 合成において,イミダゾキノリンー4ーオン誘導体のNーアルキル体を効率的に合成可能な新規合 成反応を開発した. mpGES-Nこ対する高い選択性と細胞系において高いPGE2産生阻害活性を示す代 表化合物(H2)は,ラットPK試験において良好な経口吸収性を示し,経口投与後6時間後でもPGE2 産生阻害活性を十分に示す血中濃度を維持することが明らかとなった. そして申請者は,本研究により,これまでに報告例の少ない動物モデルでの薬効評価試験が実施 可能なmpGES-1阻害剤を提供することが可能となり,見出された化合物(H2)に代表されるイミダゾ キノリンー4ーオン誘導体はdGES-1に関連する貴重な研究材料となること,それゆえ,本研究成 果はNSAIDSやCO×-2選択的阻害剤の副作用を回避した新規な抗炎症剤の開発に発展することが期待 されるべきものであると結論付けた.また,申請者は,本研究で開発された新規合成反応が医薬の みならず,ヘテロ環含有生理活性天然物の合成研究や農薬の開発研究など多くの科学分野に広く応 用可能な価値ある基礎技術であると考えている.さらに, dGES-1阻害活性試験法は独自に構築さ れた汎用性に優れた評価系であり,天然物化学における探索研究に活用すれば,今までは発見でき なかった,CO×一Ⅱに対して選択的阻害を示す生物天然物の発見をも可能にする非常に有益な手法で あるといえる. よって、本論文は、博士(農学)の学位論文として価値あるものと認める。なお、審査にあたっ ては、論文に関する専攻内審査および公聴会などの所定の手続きを経たうえ、平成26年2月7日、農 学研究科教授会において、論文の価値ならびに博士の学位を授与される学力が十分にあると認めら れた。. - 21.
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