Ⅰ 問題の所在と目的
1 はじめに 文部科学省は、2012年に全国の小中学校1,164校の52,272人の児童生徒 を担当する教員を対象として、「通常の学級に在籍する発達障害の可能性 のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」を実施し た。その結果では、特別な教育的支援を必要とする児童生徒は約6.5%が 該当すると報告されており、この数字を日本の全人口で換算すると、発達 障害者は823万人が該当することになる。 発達障害者における雇用の現状(厚生労働省職業安定局、2017)をみ ると、発達障害(高次脳機能障害を含む)者の2017年の就職件数は4580 件で、2007年の365件と比較すると約12.5倍の増加となっていることか ら、我が国において進められてきた発達障害者に対する就労支援制度の 整備及びキャリア教育推進等が就職件数の増加という結果として現れて きていることが考えられる。 しかし、発達障害者が職業生活を続ける際、コミュニケーションや社 会性の課題が周囲に理解されにくいこと(小川、2005)、職場の定式化 されたルールと暗黙のルールを理解することが困難であること(日詰、高等学校に在籍するASD生徒の
ライフプランニング力を高める指導に関する研究
清 水 浩
1 1山形県立米沢女子短期大学社会情報学科 e-mail:[email protected] 2019,13(2),35-472005)など、対人関係面や職場環境面といった課題が多くみられ、人と の関わりの能力であるソフトスキル獲得に関する支援(梅永、2017)が 求められる。さらに、生活面においても、日常生活スキル等の適応行動 に関する支援や余暇支援、さらに、サポートの内容や、誰とつながりな がら地域生活をしていくのかという生活設計等の課題に対する支援のさ らなる充実が求められる(辻井、2016)のが現状となっている。 このことから、発達障害者が就労を継続し、自分自身の生活を豊かで充 実したものにするには、仕事そのものに求められるスキルはもちろんであ るが、対人関係面を中心としたソフトスキルの獲得や、働きながら生活を 楽しむことができるように、生活の質(Quality of Life)を高め、自分の 将来設計について見通しをもたせるような支援方法を検討する必要があ る。 2 発達障害者の就労上の課題 職業リハビリテーションでは、人が仕事をする上で必要な能力をハー ドスキルとソフトスキルと呼んでいる。ハードスキルとは人に教えるこ とができる能力であり、具体的には、学歴や資格の取得、タイピングの スピード、機械操作、プログラミングなど実際の仕事に結び付くもので ある。一方、ソフトスキルとは数量化することが困難なスキルであり、 人との関わりのスキルとして知られている。具体的には、身だしなみを 整える、職場のルールやマナーが守れる、適切に昼休みの余暇を過ごせ るなどである。 就労上の課題に対するハードスキルとソフトスキルの割合はソフトスキ ルが全体の8~9割となることから、在学中にソフトスキルを獲得するこ とができるように計画的に準備をする必要がある。 一方、WHO(世界保健機関、1994)は、各国の学校の教育課程にライ フスキルの修得を導入することを提案している。具体的にライフスキルと は、日常的に起こる様々な問題や要求に対して、より建設的にかつ効果的
に対処するためのスキルと位置付けている(表1)。 表1 ライフスキル(WHO、1994) No スキル名 内容 1 意思決定 ・ 生活に関する決定を建設的に行う力。様々な選択肢と各決定がもたらす影響を評価し、主体的な意思決定を行う ことにより望ましい結果を得る。 2 問題解決 ・日常の問題を建設的に処理する力。 3 創造的思考 ・ どんな選択肢があるのか、行動の結果がもたらす様々な 結果について考えることを可能にし、意思決定と問題解 決を助ける。直接経験しないことを考える、アイデアを 生み出す力。 4 批判的思考 ・ 情報や経験を客観的に分析する能力。価値観、集団の圧力、メディアなど、人々の態度や行動に影響する要因を 認識し、評価する力。 5 効果的コミュニケーション ・ 文化や状況に応じた方法で、言語的または非言語的に自分を表現する能力。意見・要望・欲求・恐れの表明やア ドバイス・援助を求めることができる。 6 対人関係スキル ・ 好ましい方法で人と接触・関係の構築・関係の維持・関係の解消をすることができる。 7 自己認識 ・自分自身の性格、長所と短所、欲求などを知ること。 8 共感性 ・ 自分が知らない状況に置かれている人の生き方であっても、それを心に描くことができる能力。共感性を持つこ とで、人々を支え勇気づけることができる。 9 情動への対処 ・ 自分や他者の情動を認識し、情動が行動にどのように影響するかを知り、情動に適切に対処する能力。 10 ・コントロールストレス ・ 生活上のストレッサーを認識し、ストレスの影響を知り、ストレスレベルをコントロールする。ストレッサー に適切に対処し、リラックスすることができる。 3 学習指導要領との関連 2009年に改訂された特別支援学校学習指導要領解説自立活動編(幼稚 部・小学部・中学部・高等部)においては、学習上又は生活上の困難の改 善を図る自立活動の指導が重要であり、指導の一層の充実が求められてい る。また、指導する際は、一人一人の障害の状態や発達の状況等の的確な 実態把握を踏まえ、6区分26項目の内容を参考として、系統的、発展的 で具体的な指導内容を設定する必要があるとしている。特に、発達障害生
徒に重要な人間関係の形成が新しい区分として加えられ、その項目には、 他者とのかかわりや他者の意図や感情の理解、集団の中で適切に行動する ことなどが含まれており、発達障害生徒の障害特性に応じた教育課程を編 成する際には重要な内容となっている。 このようなことから、高等学校に在籍する発達障害生徒に対しては、目 の前にある就労生活等を見据え、人間関係の形成などソフトスキルを中心 とした内容を自立活動と関連付けながら教育課程を検討することが必要で ある。 清水(2015)は、知的障害特別支援学校高等部生徒の現場実習におけ る課題に対する指導を教育課程に位置付ける目的で、生徒の現場実習にお ける課題を自立活動の6区分に併せて整理をしている(表2)。 表2 現場実習における課題と自立活動との関連 自立活動 現場実習における課題 1健康の保持 ・休憩時間終了後2分前にトイレに行き、作業開始時間に遅れる。・制服の更衣の時期が分からず、夏服に自分で変更できない。 2心理的な安定 ・仕事の間違いをした後、気持ちを切り替えて作業に集中できない。 ・作業終了間近になって終了時間を気にしだした。 ・周囲の人の笑い声を聞き、不安定になった。 3人間関係の形成 ・他の人が座っていると休憩室に入ることができなかった。 ・ 報告や指示を受ける際に苦手さがみられ、自分で判断して仕 事を進めることが多くみられた。 4環境の把握 ・FMや店内放送が気になり仕事に集中できなかった。 ・ 職場の室温が高く、仕事中に眠くなり休憩を多く取ってしまった。 ・休憩時間の人の多さに、気持ちが不安定になった。 5身体の動き ・作業中に間が空くと、身体を前後に揺らす行動がみられた。 ・自分のペースで仕事をし、スピードを意識することがなかった。 6コミュニケーション ・ 他のスタッフが注意されていると、自分が注意されたと考え てしまう。 ・報告、連絡の内容を理解することが難しかった。 この表からも分かるように現場実習における課題はソフトスキルが中心 であり、この課題に対する指導内容を自立活動に位置付けることで、事後
学習等における指導の明確化を図ることができると考える。 さらに、梅永(2017)は、発達障害生徒が将来職業的自立を果たすた めには、規則正しい生活や身辺整理、買い物スキルや交通機関の利用、余 暇を楽しむ等の自立した生活ができているなど、ライフスキルを獲得して おくことが望ましいとしている。 ライフスキルとは言い換えると地域で自立して生活できる力であり、大 人になって行う必要がある活動である。発達障害生徒が就労生活を続け自 立をしていくためには、ライフスキルに関する指導内容を教育課程に位置 付けて学校教育を充実させていくことが望まれる。 図1にハードスキル、ソフトスキル、ライフスキルの関係性を示す。 職務遂行能力 (ハードスキル) 職業生活遂行能力 (ソフトスキル) 日常生活能力 (ライフスキル) 図1 ハードスキル、ソフトスキル、ライフスキルの関連(梅永、2017) 仕事をする上で求められる力は、ハードスキルとソフトスキルが中心 であるが、それらのスキルを獲得し充実した職業生活を送る上でも、そ れらの力の土台となるライフスキルをしっかり身に付けることが求めら れる。 4 ライフプランニング ライフプラン構築に関しては、知的障害特別支援学校高等部に在籍する 自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder、以下「ASD」)生徒に 対するライフプランシートを活用した進路指導の取組に関する報告(清 水、2015)もみられる。その中で、ライフプランシートは、①仕事、②
家族、③趣味、④社会活動、⑤スキル、⑥友達、の6領域からなり、各 領域が20歳から60歳と時間軸で自分の生活を考えることができることか ら、各領域の関係性が視覚的にも把握しやすく、自分自身の将来像に関し てもイメージしやすいなどの活用に関する有効性が示されている。しか し、高等学校通常の学級に在籍する発達障害生徒に対するライフプラン構 築に関する報告はあまりみられないのが現状である。 以上のことから、今回の研究では、高等学校通常の学級に在籍する発達 障害生徒を対象としたライフプランニング力を高める支援の在り方につい て検討した。
Ⅱ 方法
1 対象者 (1)概要 Aさん、男子、B県立C高等学校普通科在籍、3年生。 8歳時に高機能自閉症(High-Functioning Autism)と医療機関にて診断 を受けた。療育手帳は、一度取得したが、その後返還となっている。 発育面及び身辺処理能力に関しては、特に問題等はない。 学習面では、国語等で、文章から主人公の気持ちを読み取ったり、理論 的に考えたりすることが苦手である。また、言語発達は異常なしで、文章 や絵で表現することが得意である。 行動面では、興味・関心があるものに取りかかると、そのことに集中 し、周りがみえない。 対人関係面では、友達と関わりたいという気持ちは強いが、コミュニ ケーション能力が低いため一方的に話しかけることが多いなど、周りの生 徒と合わずに周囲から浮いてしまうことが多い。 現在は、通常の学級に在籍し、通級による指導を受けている。(2)知能検査の結果
WISC-Ⅲ(Wechsler Intelligence Scale for Children ‐ Third Edition)の 検査結果(16歳1か月に実施)は、言語性IQ97、動作性IQ92、全検査 IQ94であった。 2 手続き (1)ライフプランシートの作成 B県立C高等学校2年時と3年時に、通級による指導の授業「ライフス キル」で、ライフプランシートをそれぞれ作成した。記入内容を比較する ことにより、自分の将来像や生活設計等がどのように変容したかを分析し た。 第1回目は、201X年5月(高等学校2年時)、第2回目は、201X+1年 5月(高等学校3年時)にそれぞれ実施した。 なお、第1回目及び第2回目の支援者は、通級による指導の教員が担当 し、Aさんに対してライフプランシートの内容及び記入方法等について説 明を行った。また、作成されたライフプランシートの分析は進路指導担当 者と筆者が一緒に行った。
Ⅲ 結果
1 第1回目 高等学校2年生 201X年5月 通級による指導の授業「ライフスキル」で、ライフプランシート作成を 行った。 作成したライフプランシートを表3に示す。表3 ライフプランシート(第1回目) 内容 20歳 30歳 40歳 50歳 60歳 仕事 ・介護士免許取得(20歳) ・定年退職 家族 ・結婚(25歳) ・長女達の結婚(50歳) ・長女、長男誕生(28歳) ・孫が増える。 ・次女誕生(30歳) 趣味 ・アニメオタク(30歳) ・自分史の作成(50歳) ・自分で小説を書く(40歳) 社会 活動 ・一人でできるボランティア(20歳) ・世界でもボランティア活動を行う(30歳) ・ 60歳 以 降 も 自 分 が で き る範囲で地域でのボラン ティアを行う(60歳) スキル ・人と関わるスキルの獲得(20歳) ・自分の周りを見るスキルの獲得(30歳) 友達 ・仕事仲間と友達になる、成人式でも友達が増える(20歳) ・いろいろな所を回り、友達が増える(40歳) ①仕事 介護士の資格を取得し、介護関係の職種に就職したいという考えを持っ ている。これは、C高等学校において、ヘルパーの資格取得の講座を開講 していることから、身近に感じることができているという話をしていた。 また、介護職の仕事を、60歳まで継続したいということであった。 ②家族 結婚をし、長女、長男の誕生と明確な考えを持っている。また、50歳 過ぎには、長女達の結婚もイメージし孫が誕生するなど、自分の家族が増 えていく様子をイメージすることができている。 ③趣味 アニメ関係に興味を持っており、アニメ関係の記述が中心となってい る。また、40歳で小説の執筆、50歳で自分史の作成と、アニメ以外にも、 執筆内容に関して幅が広がっている。
④社会活動 ボランティア関係を中心に記述がみられる。就職後は自分一人でできる ボランティアから始め、世界規模まで活動は広がっているが、ボランティ アに興味・関心を持ち、自分の人生で取り組んでいきたいという気持ちが みられる。 ⑤スキル 「ライフスキル」の授業をとおし、自分自身の障害特性と向き合い、自 己理解が深まったようである。記述の内容をみると、人と関わるスキルや 自分の周りをみるスキル等の獲得、また、自分を客観的に分析しながらの 記述がみられる。 ⑥友達 仕事仲間や成人式でも友達が増えるなど、多くの人とつながっていきた いという記述がみられた。 介護士の仕事をしながら、趣味の活動として、アニメを観たり、小説を 書いたりするなど、余暇活動を充実させたいという面がみられる。 また、ボランティアにも積極的で、一人でできることや、地域において できる活動を考えながら、ボランティア活動に参加していきたいという記 述がみられた。介護士という仕事だけではなく、小説やボランティアなど 興味がある活動を通して、人と関わる楽しさを感じたりするなど、自分の 生活を広げようとする面がみられた。
2 第2回目 高等学校3年生 201X+1年5月 201X+1年5月の通級による指導の授業「ライフスキル」で、ライフ プランシートの作成を行った。 作成したライフプランシートを表4に示す。 表4 ライフプランシート(第2回目) 内容 20歳 30歳 40歳 50歳 60歳 仕事 ・就職(18歳) ・定年退職 ・職種に関しては検討中。 家族 ・婚約(23歳)・第1、2子の誕生(30歳~40歳) 趣味 ・小説第一作制作、随時映画化やアニメ化(20歳) ・全小説の執筆・出版終了。 社会 活動 ・ボランティア(主に自主活動)(20歳) ・その時の世界の問題を解決する。 スキル ・薬の管理(20歳) ・感情のコントロール(20歳) ・集中力を身に付ける(20歳) 友達 ・仕事仲間と友達になる、成人式でも友達が増える(20歳) ・ イラストレーター、漫画家、同人誌サークル、アニメファ ン、オタク等の人達と友達になる(30歳) ・老人会、同窓会等で友達(55歳) ①仕事 18歳で就職と、60歳で定年退職に関しては、第1回目の作成時と同様 である。 今回は、職種に関しては、検討中ということで、自分自身と向き合いな がら、自己理解を深め、自分の適職について検討している最中であった。 ②家族 結婚と、子どもの誕生ということについては、第1回目と同様であっ た。 ③趣味 小説の執筆と、同小説の映像化をしたいという希望が記述として追加さ れた。また、自分の人生をとおして、小説を執筆していきたいという希望
を記述していることが分かる。 ④社会活動 ボランティアに関する記述がみられる。また、その時の世界の問題を解 決するなど、自分の周りや世界をよくしたいという希望を持っている。 ⑤スキル 薬の管理(20歳)の記述がみられた。これは、自分の障害に関する理 解が進み、自己管理の大切さを学んだ結果だと思われる。また、感情のコ ントロール(20歳)、集中力を身に付ける(20歳)等の記述もあり、自分 自身が獲得しなければならないスキルの理解が深まったようである。 ⑥友達 仕事仲間と友達になる、成人式でも友達が増える(20歳)という記述に 関しては、第1回目と変化はないが、第2回目では、イラストレーター、 漫画家、同人誌サークル、アニメファン、オタク等の人達と友達になる (30歳)、老人会、同窓会等で友達(55歳)等の記述がみられた。このよ うに人間関係においても広がりがみられた。 第2回目の作成では、スキルの欄における記述内容の変化がみられた。 具体的には、服薬の管理や、対人関係等で身に付けなければならないスキ ルの確認である。これらのことから、授業等をとおし、自分の障害特性と 向き合うことで、自己理解が深まり、スキルに対する考察が深まったこと が考えられる。
Ⅳ 考察
今回の研究では、高等学校通常の学級に在籍する発達障害生徒に対し て、ライフプランシートを適用したライフプランニング力を高める支援の 在り方について検討した。 具体的には、通級による指導「ライフスキル」の授業でライフプラン シートを作成することにより、自分自身の障害特性に気付き、自己理解 を深めることができた。このことをとおしてコミュニケーション面での成長がみられ、自信を持って学校生活を送ることができるようになっ た。また、自分の特性理解から、対人関係作りや集団との向き合い方等 を学習することができた。このことは、進路の学習内容を系統的に捉え 直し、ライフプランニング力を高めることにより本人の学びやすさにつ ながったのではないかと考える。 また、C高等学校では、介護職2級の資格取得に向けた講座を開設して いるが、このことが、自分の人生をプランニングするにあたり、参考に なっているということが考えられる。
Ⅴ まとめと今後の課題
今回の研究では、高等学校通常の学級における進路の授業において、有 効性が報告されているライフプランシートを活用し、発達障害生徒がライ フプランプランニングする上での具体的な支援方法を検討した。その結 果、対象者に自らが働く姿を意識させ、将来像の具体的なイメージを考え るように促すことで自己認知が深まり、人生設計できることが明らかに なった。特にASD児は、思春期になると自分と周囲とのズレに敏感にな り、心理的な二次障害を負いやすくなるという障害特性を持っているの で、本人自身の生きる目的を明確にし、社会性を伸ばす上でも、自己認知 を伸ばす指導が重要である。具体的には、自分の特性との付き合い方や自 分自身に対する援助技術を習得するために、正しい自己理解が求められ る。また、すぐ目の前にある進学や就労生活等を見据え、人間関係の形成 などソフトスキルを中心とした内容を自立活動と関連付けながら教育課程 を検討することが必要である。 今後は、自分自身のライフプランが構築できることを目指し、そのスキ ルを身に付けることを目指し、自分の学校卒業後の生活や仕事に求められ る内容を精選しながら、授業内容を検討していくことが必要である。特 に、通級による指導との学習内容や指導方法等に関する系統性の検討、ま た、就労支援や生活支援等の関係機関との連携の充実が期待される。さらに、学習内容を自立活動と関連付けながら教育課程に位置付けることで、 事後学習等における指導の明確化を図りながら学校教育を充実させていく ことが望まれる。具体的には、①現在身に付いているライフスキル、②指 導すれば獲得できるライフスキル、③現段階では身に付けることが難しい ライフスキルに分け、指導すれば獲得できるライフスキルを個別の指導目 標にする必要がある。そして獲得が難しいスキルは、援助要請スキルと いった他者の援助を受けることへの指導も検討する必要がある。また、小 中学校での通級による指導との学習内容や指導方法等に関する系統性の検 討、さらには、就労支援や生活支援等の関係機関との連携の充実が期待さ れる。 引用文献 1) 日詰正文(2005)成人期のデイサービス.そだちの科学、5. 2) 厚生労働省職業安定局(2017)発達障害者における雇用の現状. 3) 文部科学省(2009)特別支援学校学習指導要領解説自立活動編(幼稚部・小学部・ 中学部・高等部). 4) 文部科学省(2012)通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支 援を必要とする児童生徒に関する調査. 5) 小川浩(2005)就労支援の立場から.発達障害研究、27、2. 6) 世界保健機関(1999)ライフスキル. 7) 清水浩(2015)自閉症スペクトラム児者のキャリア教育に関する研究-TTAPを活 用したライフプラン構築モデルの開発-、風間書房. 8) 辻井正次(2016)成人期以降の発達障害者の相談支援・居住空間・余暇に関する現 状把握と生活適応に関する支援についての研究. 9) 梅永雄二(2017)発達障害者の就労上の困難性と具体的対策-ASD者を中心に-. 日本労働研究雑誌、No.685.