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精神科病院での電子カルテ導入における看護部長の意思決定プロセス

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Academic year: 2021

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精神科病院での電子カルテ導入における看護部長の意思決定プロセス 松下直美 看護部長 意思決定プロセス 精神科病院 電子カルテ Ⅰ. 諸言 看護部長が下す意思決定は看護部のみでなく、病院全体の運営に大きく影響を及ぼすと 考えられるが、その意思決定はどのようなプロセスをたどるのか明らかになっていない。 困難が伴うと予測される意思決定のひとつとして、精神科では電子カルテ導入に伴う意思 決定が挙げられる。精神科では導入事例数が少ない事もあり、精神科看護が重要視する個 別的なナラティブの記録や個別性の保証に関しては課題も多く(Walsh, 2004)、看護の質の 保障を追求しながらの意思決定には困難が伴うことが想像できる。 そこで本研究においては、電子カルテの導入を経験した精神科病院の看護部長を対象に、 どのように意思決定を行なったのか、そのプロセスを明らかにすることを目的とした。そ の意思決定プロセスを明らかにすることは、今後、看護部長が遭遇する困難を伴う意思決 定プロセスにも敷衍していくのではないかと考えた。 Ⅱ. 方法 研究デザインは質的記述的研究である。3つの県で精神科病院に勤務し、看護部長の立 場で、紙カルテから看護記録が電子化される事を経験し、承諾の得られた4名を参加者と し半構成的面接法にて、データ収集をした。逐語録から、意思決定場面を明確化し、対象 者の意思決定場面を抽出し、その場面における問題認識と対処を分析した。対象ごとに意 思決定場面、問題認識、対処を比較し共通性と差異性を分析した。すべての分析過程で、 指導教員のスーパーバイズを受け、分析内容の真実性と厳密性の確保に努めた。日本赤十 字豊田看護大学研究倫理委員会の承認を得たのち実施した (承認番号 2508 号) 。 Ⅲ.結果 1.電子カルテ導入時の看護師の平均年齢は 44 才、准看護師が占める割合は平均 26%であ り一般科と比較し高い。意思決定の場面は、機種決定への参画、システム準備、職員の準 備であった。機種決定への参画は組織の一員としての意思決定に関わったが、機種決定以 降の意思決定は看護部長としての意思決定を繰り返していた。 2.意思決定における問題認識は2つの≪コアカテゴリー≫と、6つの<カテゴリー>が 抽出された。≪導入を進める際の条件の不備≫には、<時間が無い><システムの条件が 合わない><職員の歩調が揃わない>で、≪職員に配慮した組織改革への挑戦≫には<こ れを機会に目指す組織改革><管理者としての導入意欲><職員に困難感を抱かせたくな い配慮>であった。

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3.意思決定における対処は4つのコアカテゴリーと7つのカテゴリーが抽出された。≪ 職員の力を見極める≫は<自分が先頭に立って職員を巻き込む><先立ち困難を取り除く ><体制を整え職員に権限委譲する>であり、≪課題に対応する機会を見極める≫は<機 会を活かし課題に対応する>であり、≪実現の機会に向けて状況や要点を見極める≫は< 現状を捉えなおし実現の機会を見極める><柔軟に対応する>であり、≪希望のシステム 環境を実現する時期を見極める≫は<希望するシステムを目指す>である。 Ⅳ考察 意思決定の場面の特徴として、機種選定は組織の一員としての意思決定に加わったが、 最終決定は最高責任者により行われ、その後、看護部長としての意思決定を行い他の部署 に及ぶ意思決定をした。そして、看護部長はシステム準備という組織目標を達成する意思 決定を行ったのみでなく、人を大切に、職員の準備に対しての意思決定を行った。 問題認識の特徴として<これを機会に目指す組織改革>では、これを機会に電子カルテ の力を借りて業務改善がしたい、これを機会に人間関係の調整がしたいと、電子カルテ導 入を機会ととらえ認識した。 対処の特徴として、電子カルテ導入時に看護部長としての経験の浅い看護部長は<自分 が先頭に立って職員を巻き込む><先立ち問題を取り除く>対処をした。看護部長として の経験が長い看護部長や、前病院で電子カルテの導入の経験のある看護部長は<体制を整 え職員に権限委譲する>対処をした。これは、看護部長としての経験が浅いためメタ判断 を用いての判断が難しかったと推察される。 看護部長は問題認識をして、職員の力、時期、機会、状況を≪見極め≫、スピードを持 って意思決定し、対処していたと考える。非構造的問題が多いと予測される意思決定プロ セスにおいて、困難に対しても<機会を活かし課題に対応する>対処をしており、電子カ ルテ導入をチャンスと捉え問題認識をしてすぐに対処していることが特徴であった。 V.結論 1.機種決定前は組織の一員としての意思決定をし、機種決定後は看護部長としての意思 決定を行い、システム準備と職員の準備に対する意思決定をしていた。 2.看護部長の意思決定プロセスは、問題認識、対処が中心であり、問題認識では≪導入 を進める際の条件の不備≫と≪職員に配慮した組織改革への挑戦≫が認識されていた。 それらの問題に対する対処には≪職員の力を見極める≫≪課題に対応する機会を見極め る≫≪実現の機会に向けて状況や要点を見極める≫≪希望のシステム環境を実現する機 会を見極める≫ことが行われていた。 3.問題認識に対する対処は、看護部長の経験年数や電子カルテの導入の経験の有無によ って異なっていた。この相違はメタ判断の関与が推察される。

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