• 検索結果がありません。

IRUCAA@TDC : 実験的肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "IRUCAA@TDC : 実験的肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化に関する研究"

Copied!
26
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title Author(s) Journal URL. 実験的肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化に関 する研究 佐藤, 充 歯科学報, 93(4): 413-437 http://hdl.handle.net/10130/2172. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 413. 盾    著実験的肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化に関する研究* 佐 藤   充 -東京歯科大学大学院歯学研究科 オーラルメディシン講座 (指導:川島 康教授) 年12月25日受付) 年1月12日受理). A Study on the Morpholog・lCal Changes of the IJingual Papillae in Rats with Experimentally Induced Liver Injuries Mitsuru SATO Department of Oral Medicine, Tokyo Dental College (Director : Prof. Yasushi Kawashima). を述べている。. 緒     言. 肝硬変は種々の原因による肝障害,肝疾患の極めて進. 舌は多くの全身性系統疾患の病態を反映するという概. 行した状態であり,年々増加の傾向が認められる。厚. 念は以前より臨床医に支持されてきており,従ってその. 生統計協会の資料によると,総患者数は昭和54年度に. 臨床的意義は非常に重要であると思われる。また歯科医. 人であったものが,昭和62年度では    人. にとって舌は診査が容易であり,肝硬変症における特異. と著しく増加している   また歯科臨床においても,. 的な局所症状の早期発見は,病変の診断,治療,予後の. 肝硬変の合併する患者の受診率は増加しているが,肝硬. 判定のみならず,肝硬変の早期発見およびコントロール. 変患者の口腔症状について詳細に検索した報吾は少な. の指標としても肝要である。 一方で肝硬変症と舌との相互関係において,動物実験. い。 従来から肝硬変患者の口腔内所見として,歯周炎,口. モデルを用いての舌背表面部の微細構造を形態学的,組. 腔内小出血,また□渇や耳下腺腫脹などを訴えることが. 織学的に詳細に検索した基礎的研究はほとんど認められ. 知られている。斎藤3)は肝硬変患者の舌の変化として,. ていない。. 頻度は少ないが舌乳頭の萎縮により舌背表面が平らとな. そこで今回著者は,四塩化炭素による肝硬変ラットを. り,それと同時に晴赤色を呈する状態になると報吾して. 作成し,竺封ヒ学的検索をはじめ走査型電子顕微鏡,光学. いるが,その要因について明らかにされていない。また. 顧微鏡を用い舌粘膜上皮の表面看断固構造と組織構造の観. 菊川4)は肝硬変患者における口唇粘膜の毛細血管は,健. 察を行う一方,舌粘膜上皮の血管系について注目し,塞. 常人と比較し拡張傾向を皇するという微小血管系の変化. 汁淫人によりその観察を行い輿味ある知見を待たので報 吾する。. *本論文の要旨は,第241回東京歯科大学学会総会(平成 2年10月11日,千葉),第243回東京歯科大学学会例会(辛 成3年6月8日,千葉)および第17回E]本数小循環学会 (平成4年5月22日,筑波)において発表した。. 研 究 方 法. 1.実験動物 生後約4週,体重70g前後の   系雌性ラットを 1. -.

(3) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 414. り採血を行い,赤血球数(以下RBCと略す),白血球数 (以下WBCと略す),ヘマトクリット値(以下Htと略. 実験に供した.実験動物数は,走査型電子顕微産と光学 敢放産による検索のために28頭,血管内墨汁法人標本に よる検索のために20頭,それぞれ対照薪を含め計48頭を 対象とした(表1)0. す),血色素量(以下Hbと略す),平均赤血球容積(以下 MCVと略す),平均赤血球血色素量(以下MCHと略 す),平均赤血球血色素濃度(以下    と略す)を測 定した。各測定方法は表2に示す通りである。. 2.飼育方法 実験動物は,東貢歯科大学市川総合病院勤物舎におい. 5.形態学的観案 1 )走査型電子疎放鏡標本作製 採血終了後,屠殺し舌を舌根部よりメスにて切断摘出. て,気温24度の恒常的環境下で金属ケージを使用し飼育 した。飼料はオリエンタル社製固形飼料MFを用い,水 遺水を自由に摂取させ,これらの動物を実験開始の24時 間前より絶食させた。 3.実験的肝硬変の作成 50%四塩化炭素・オリーブ池溶液(ラット体重  あ. し,舌の正中を矢状断し2分割とした。その一方を走査 型電子顕散鏡用試料とし,他方は光学顕微蹟用試料とし たO走査型電子顔微産用試料は,摘出した舌を生聖金塩. たり   のを背部に過2回, 20週, 40週間達麓皮下連 射を行い,実験的肝硬変を発症させた。また,対照群と しては同室のオリーブ油溶夜を同親問背部に皮下注射を. 水で洗浄後, 2%パラフォルムアルデヒド   グル タールアルデヒド混合固定液    で3日間浸漬固定 した。そして上昇エタノール系列で脱水後,酢酸イソア. した。最終投与10日後から起算して, 20過, 40週の2群 について以下に述べる方法によって検索した0 4.末梢血液一般検査 ベントバルビタール麻酔下で,屠殺直前に腹大動脈よ. ミルに置換し,液体炭酸ガスにて臨界点乾燥を行った。 その後イオンコークーを使用し,観察面に白金加金蒸着 を施し走査型電子顕放鏡(日立社製    を用いて観 察した。なお検索部位は舌背前方都で,舌先端より約5 mmを舌前方部,その後方から舌隆起起始部までを中央 部,後方部の3つに区分した(図1)。 2 )血管内墨汁注入標本作製 採血終了後,開胸し左心室より上行大動脈にカテーテ. 表1使用実験動物数 (単位:衰貢数) 走査型電 子顕 微鏡 および光. 観察方法 飼 育 群. 学顕微鏡 観察. 血 管 内 墨汁 淫 入 標 本 観 察. ルを挿入し結紫固定したOついで右心耳を切開し,これ を血液,達人剤の流出路とし,加濫生理食塩水にて3 で十分に潅流した。その後,産休墨汁. 計. 浸透圧     カイメイ株式会社)を舌表面が十分窯 色化するまで庄入し,次にゼラチン       を加 えた生体墨汁をさらに6分間達人したo そして室温で放 置した後,舌を舌根部より切断摘出し   中性緩衝ホ ルマリン溶液にて1週間浸漬固定し,それを矢状断に2. 対 照群. (2 0過 ). 7. 5. 12. 対 照帯. (4 0過 ). 7. 5. 12. 7. 5. 12. 7. 5. 12. 28. 20. 4 8 衰貢. 四塩化炭 素投与 群 (20週 ) 四塩化炭 素投与 群 (40週) 計. 分割し,さらに1週間再固定を行った。その後,適法ど おりツェロイジン包埋し,矢状断方向に厚さ100〝mの. 表2 測定方法 測. 定. 項. R BC W ]∋C H b H t M CV M CH M CH C. 目. 測. 定. 方. 法. 電気 抵抗手 套 電気 抵抗法 オキ シ . ヘモ グロ ビンラ 去 パ ルス波高検 出法 電気 抵抗法 とパ ルス波高検 出法 電気抵抗法 とパ ルス波高検 出法 電気抵抗手 套とパ ルス波高検 出法 - 2 -. 単. 位. × /m m 3 普/d P % 〃m 3 pg %.

(4) 歯科学報. 415. 4 )結合織乳頭内血管占有率の測定 対照40過#,四塩化炭素投与40過群におけるアザン染 色標本について,安彦57)の方法に従い光学顕微鏡を用い て400倍の検鏡下で舌尖部から後方に   乳頭頭頂 部から下方に1mmを中心として,連続5視野を抽出し 写貢撮影した(図2)。ついで写貢上で映しだされている 血管をトレース用紙を用いトレースを行った。これを基 に画像処理装置     丑(日本アビオニクス社 製    一  キャノン社製)を使用して血管断面 積を計測し血管占有率を求めた。これを対照40週群,四 塩化炭素投与40週群間で   仁t検定を施した。 研 究 成 績. 1.実験的肝硬変の所見 1)肉眼的所見 対照20週群の肝臆の表面は滑沢で,暗赤褐色を呈して いた(図3)。また対照40週群でも, 20過群とほぼ同様の 所見を呈していた。. 図1 ラット舌背部の観察部位. 透明標本を作製し光学顕微鏡を用い観察した。 3 )光学轟微鏡標本作製 摘出した舌を10%中性緩衝ホルマリン溶液による浸漬 固定を行い               社製)に 包埋後    の切片を作製Lへマトキシリン・エオジ ン董染色(以後HIE染色と記す)を施したoなお,実験 的肝硬変成立の確認のためアザン染色を施し,それぞれ 鐘検観察を行った。. 四塩化炭素投与20過群の肝臓は腫大し,び慢性に編頼 粒状の結節を認め表面色は黄褐色であった(図4 )。四塩 化炭素投与40過群では,肝臓はさらに腫大し,結節が増 大する傾向が認められた。 2)組織学的所見 対照20過群では,肝臓は肝小葉から構成されており, 各肝小葉の間には小葉間結合組織がみられた。肝小葉の 中心には中心静脈があり,これを因んで肝細胞が放射状 に配列し,肝綿胞索を形成していた(図5)o対照40過群. 図2 舌背前方部乳頭上皮下血管占有率の計測図    × - 3 -.

(5) 416. 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. +. l. 肝臓 肉眼所見. 肝礪 肉眼所見. 図6 四塩化炭素投与2¢過群 肝臓 光学願放鏡像 アザン染色 ×25. でも20通辞とはぼ同様の所見を呈しており,また20過. 塩化炭素投与40週群7亜.5±57.5×10りmm3であった。. 群,40週群とも加さ削こよる所見は特に認めなかった。. 対照群と比べ四塩化炭素投与20遇群では.統計学的に 有意差を認めなかったが」四塩化炭素投与4D過群は.対 照群に比べ統計学的に有意に低値を示した。 2)WBC (‖ 対照としたオリーブ油投与静は,対照20過群7833.3 ±15(け.4/mmき,対風40週群6350.0±1327.8/mm3で. 四塩化炭素投与20遁辞では線維化が認められ,またそ の幅の不定な偽小彙を形成しており,小薬内に空胞形成 が観察された(図6)。四塩化炭素投与40凋群では線維化 がさらに進行し,線維の幅が増大した偽小葉の形成が認. められた。投与20過,40週の両群とも肝細胞索の乱れが あった。 著しく,肝細胞の萎縮,崩壊が強く認められた。以上の 所見より実験的肝硬変の成立が確認された。t2)四塩化炭素投与知遇群8433.5±2815,8/mm8,四塩 化炭素投与40適群9450.0±4915.5/mがであった。 2.末梢血液一般検査(義3) i)RBC 川 対照としたオリーブ油投与群は,対席20過群8姐3 士27∴8×10りmm3.対照40過群823.5±50.6×′101/血m8. 対腰背と比べ四境化炭尭投与20週隠40過群とも統計 学的に有意差は認められなかった。 3)Hb. であった。 (2)四塩化炭素投与20週群814.8±弧4×10りmm㌔ 四. (1)対照としたオリーブ軸投与群は,対照20凋群16.4士 0.9g/dゼ.対照40凋群15.7±0.8g/dゼであった。.

(6) 歯科学報. 417. 表3 末梢血液一般検査所見 辛 R BC (104/m m 3). W BC. Hb. ( /m m 3). ( /d の. Ht. M CⅤ. M CH. (% ). (〃m 3). (Pg). M CH C (% ). 対( 璃 20 n. ±. ±. ±0.9. ±2.6. ±2.1. ±0.9. ±0.6. ±. ±. ±0.5. ±3.3. ±2.4. ±1.0. ±2.4. 週 呈 群) 四 20 ( 塩 各 化 ♯ 炭過 n 素 日 投 7 与群) P. N .S.. N .S .. P < 0.01. P < 0.01. Pく. N .S .. N .S.. 対( 照歪 40 n. 823`5±. ±. ±. ±. `6. ±0.8. ±1.9. ±2.0. ±工3. ±1.7. ±1.4. ±4.1. ±2.3. ±0.9. ±工6. 過 呈 群) 四40 ( 塩 各 化 群 炭週 n 素 ll 投 7 与♯) P. P < 0.05. N .S .. Pく. Pく. (2)四塩化炭素投与20週群  ±      四塩化炭. P <0.05. P <0.05. N .S.. 四塩化炭素投与20週  過酷とも対照群と比較する と統計学的に有意に低値を示した。. 素投与40週群  ±     であったo 四塩化炭素投与20週   週群とも対照群と比較する. 6) MCH. と統計学的に有意に低値を示した。 4) Ht. (1)対照としたオリーブ池投与群は,対照20週番  ±. (1)対照としたオリーブ池投与群は対照20遇群  ±. (2)四塩化炭素投与20週群  ±   四塩化炭素投. 対照40週番  ±   であったo. 対照40過群  ±  であった。. 与40週群  ±   であった。. (2)四塩化炭素投与20週群  ±   四塩化炭素投. 対照群と比べ四塩化炭素投与20週群では統計学的な有 意差は認めなかったが, 40過群では統計学的に有意に低. 与40週群  ±  であった。 四塩化炭素投与20週群, 40過群とも対照群と比較する. 値を示した。 7) MCHC. と統計学的に有意に低値を示した。. (1)対照としたオリーブ池投与群は,対照20週群  ±. 5) MCV (1)対照としたオリーブ池投与群は,対照20過密  ±. 対照40過群  ±  であった。 (2)四塩化炭素投与20過群  ±   四塩化炭素投. 対照40過啓  ±    であったo (2)四塩化炭素投与20週群  ±2.4〃m3,四塩化炭素. 与40週群  ±  であった。 対照群と比較し四塩化炭素投与20過群, 40週群とも統. 投与40週群  ±2. 3〃m3であった。 - 5.

(7) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 418. 乳頭が観察された。 本研究では図1に示したごとく舌尖部から舌隆起部の 直前までを前方部,中央部,後方部に分けて観察を行っ. 計学的な有意差は認めなかった。 小     括 以上の結果から,対照20過群と比較し四塩化炭素投与. たo さらに走査型電子顔微鏡観察にて,著明な変化を示 した舌背前方部の所見について対照群14例,四塩化炭素 投与群14例を一括表示した(表4 )。. 20週群では      およびMC Vが統計学的に有意 に低値を示し,また対照40過群と比較し四塩化炭素投与 40過群では             およびMCHが 統計学的に有意に低値を示していた。. (1)糸状乳頭について a)対照啓 舌背前方部の糸状乳頭は,先端に舌状の突起を持った. 3.形態学的観察 1 )走査型電子顕微鐘所見. 円錐形を皇し,乳頭突起部先端は蓋本的に後方咽頭側へ 傾斜を示し,各乳頭は一定の間隔で比較的塊則正しい配 列をしていた.乳頭突起の表面はやや平滑で,先端は丸. ラットの舌には,著しく形態の異なった3種薮の糸状 乳頭,茸状乳頭,そして有郭乳頭が存在した.舌尖部か ら舌隆起部の直前にかけて分布している糸状乳頭,およ. みをもっており鎌状の形態をなしていた.また,乳頭中 央部から基底部にかけて竹の子状の上皮が塊茎にも重な るような楯状構造を示し,上皮は一部剥離し,蓋底部か. びこれらの糸状乳頭間に比較的多数の茸状乳頭の存在が 観察された。さらに舌隆起部後方,舌梶部中央には有郭. 表4 舌背前方部走査型電子顕放鏡観察所見 対照群 新. 聞. 香. [二一 7j-. 糸. 20 過 酪. の減 少,. の減少,. 低下. 平 滑化. 過. 】. i. -. ∼. I. ±. 群. ±. 12 13 14. 乳 頭 問上 皮. 刺. 平 滑化. 断. 裂. (ヒダ沃格. 亀. 裂. 造の消失). -. -. ∼. -. ± -. ± i. ±. ∼. ± -. ±. -. ∼. -. ±. ±. -. +. の滅少,. の滅少,. 平滑 化. 乳. 頭. 味孔 の. 乳 頭 間上 皮 平 滑 化. 断. 裂. 亀. 裂. 消失. (味長の平 滑 化). (ヒダ状構 造の消失). 穿. 孔. 消 失. 15. ±. ±. ±. ±. ±. -. ∼. 16. +. +. ±. ±. ≠. 化. ∼. -. 戻. 17. ≠. ±. +. +. ≠. 土. 18. ∼. ∼. ±. -. ±. -. 19. ≠. ≠. ≠. +. +. 20. ±. ±. ±. 21. +. ±. +. ±. +. ±. -. ±. -. +. -. -. i ∼ -. -. 状. 四 堤. 孔. -. -. 茸. 箱状構造. i. 穿. -. ∼. 衰貢. 箱状構造. 格立 の 低下. ∼. i. 乳. l目 〒. 投 与 20 過. -. 四. 22. ≠. ≠. ≠. ≠. ≠. ≠. 23. ≠. +. +. ±. ≠. ±. 化 良. 24. ±. ±. +. +. ±. 25. +. ≠. ≠. ±. +. -. 26. ≠. +. +. ≠. ≠. ±. 過. 27. ±. ≠. ±. ≠. +. +. 群. 28. ≠. +. ≠. +. ≠. ≠. 投 与 40. ∼:認められない ± :重度に認められる + :中等度に認められる ≠ :高度に認められる 一 6. -. 塩. 秦 ∼. 状. の不壊別. 群 ∼. -. -. 糸. 間. -. 香. 植立方向. 秦. 5. ll. 消 失. -. 8. 40. 味 孔 の. -. -. 10. 衰貢. 消失. 6. 輿. 乳. (味丘の平 滑 化). 4. 9. 状. の禾塊別 格 立 の. i. 対. 茸. 報状構造. 2. 7. 頭. 楯状構造. 1. 3. 乳. 植立方向. 対 照. 状. 四塩化炭素投与群. P.

(8) 歯科学報. 図7 対照20週群 糸状乳頭 走査型電子蹟放鏡像(前方部) ×400. 図8 対照40週群 糸状乳頭 走査型電子衰微鏡像(前方部) ×400. ら隣接乳頭間部の粘膜上皮への移行部は,明瞭であった (図   。 箱状構造は,舌前方部において乳頭全長の約1/3を 占め,乳頭を支持していた。舌前方,中央,後方部3部 位の乳頭形態は,それぞれ大きな変化はないものの,乳 頭全長は前方部より後方部に向かうに従い漸次増加を示 し,乳頭の占める密度は逆に減少していたo また中央 部,後方部においては乳頭全長の増加に伴い箱状構造の 占める割合は,前方郭より高くなっていた(図 対照20過, 40週群とも乳頭形態はほぼ同 様であり,加薪による変化は少なかったo b)四塩化炭素投与群 四塩化炭素投与20過群の乳頭突起部は禾塊別に様々な 方向-傾斜を示し,基底部から直接倒斜しているものも 認められた(図14)。また乳頭先靖部はナイフ状に狭窄 し,一部破折櫨傷をきたしていた。このような所見を示 す乳頭では箱状構造の数が-部減少し,上皮表面に亀裂 が現れ,平滑化を呈し不壊則な形態を示していた(図 15)。また,乳頭全体が萎縮傾向であり植立力の低下を 伺わせた。これらの変化は舌前方部に比較的限局して発 現し,植立方向の不壊則,および植立の低下は7例中2 例に重度, 2例に中等度, 2例に高度に,箱状構造の減. 図9 対照40過群 糸状乳頭 走査型電子疎放鏡像(前方部) ×800 高度に観察された。 四塩化炭素投与40週群では,投与20過啓で待られた所. 少,平滑化は7例中4例に重度, 1例に中等度, 1例に 7 -.

(9) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 図10 対照20週群 糸状乳頭 走査型電子顕放鏡像(中央部) ×400. 図11対照20過群 糸状乳頭 走査型電子顕放鏡像(後方部) ×400. 図12 対照40週群 糸状乳頭 走査型電子顕襖鏡像(中央部) ×400. 図13 対照40週群 糸状乳頭 走査型電子顕微鏡像(後方部) ×400. 兄よりもさらに強度a)変化が観察された(図16)。植立方 向の禾塊則,および植立の低下は,舌前方部で7例中2. 例に重度, 1例に中等度, 4例に高度に観察されたが, 一部のラットでは,舌中央部でも軽度に認められたo鞠 8 -.

(10) 歯科学報. 図15 四塩化炭素投与20過群 糸状乳頭 走査型電子顔微鏡像(前方部) ×800. 図14 四塩化炭素投与20週群 糸状乳頭 走査型電子薗微鏡像(前方部) ×400. (2)茸状乳頭について a)対照群 茸状乳頭は舌背前方部に多く,糸状乳頭の間に散在し ていた。乳頭はまだ開かない茸状を呈し,外形は軽度に 圧后された球状をなしていた。乳頭頭預部は,その周囲 に幾重にもヒダ状を呈する上皮が乳頭をとり固み,あた かも乳頭中央部を保護しているような楯状構造を構成し ていた。 乳頭中央は陥凹し,その中に昧吾の一部とおもわれる やや突出した半球状の小丘が観察され,その頭部に昧孔 の開口を認め,またこのような構造は各乳頭に1個存在 していた(図    舌前方,中央,後方部の部位によ る形態は差異を認めずほぼ一定であったが,前方郭から 後方部に向かうに従い漸次,茸状乳頭は滅少していた。 また対照20週群, 40過群と比較すると,乳頭の素本形 態,分布,数などほぼ同様で加師こよる変化は,ほとん ど認められなかった。 b)四塩化炭素投与群 四塩化炭素投与20週群の茸状乳頭は,対照密で観察さ. 図16 四塩化炭素投与40過啓 糸状乳頭 走査型電子顕放鏡像(前方部) ×400. れた箱状構造が一部滅少,消失をきたし,それにより乳 頭の膨隆度の減少,輪郭の不明酎ヒが生じ,対照群と比. 状構造の減少,平滑化は7例中1例に軽度, 2例に中等 皮, 4例に高度に観案された。. 較すると萎縮性変化が認められた。また味膏の一部と患 われる乳頭の頭預中央部にみられる小丘は突出しておら. - 9 -.

(11) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 図17 対照20週群 茸状乳頭 走査型電子顕放鏡像(前方部) ×800. 図18 対照40週群 茸状乳頭 走査型電子顕微鏡像(前方部) ×800. 図19 四塩化炭素投与20週群 茸状乳頭 走査型電子顕放鏡像(前方部) ×800. 図20 四塩化炭素投与40週群 茸状乳頭 走査型電子顕放鏡像(前方部) ×800. ず,平滑化を示し本来の形態を失い,味孔の全く認めら れない乳頭も存在した(図19)。これらの所見は舌前方郭 に比較的限局してみられ,箱状構造の減少,消失は7例. 中4例に軽度, 2菅山こ中等度, 1例に高度に,昧孔の消 失,昧丘の平滑化は7例中3例に軽度, 2例に中等度に 観察された。四塩化炭素投与40過群の茸状乳頭も投与20 10 -.

(12) 歯科学報. 図21対照20週群 乳頭間上皮 走査型電子顕放鏡像(前方部). 図22 四塩化炭素投与20過密 乳頭間上皮 走査型電子顕放鏡像(前方部) ×. \. 過群と同様の変化が観察され(図  その発寛頻度は四 塩化炭素投与20過群よりも,かなり高かった。すなわち 斡状構造の減少,消失は7例中1例に軽度, 3例に中等 皮, 3例に高度に,昧孔の消失,昧丘の平滑化は7例中 2例に軽度, 2例に中等度, 3例に高度に舌前方部中心 に観察されたが,一部のラットでは舌中央部にまで箱状 構造が減少,もしくは消失していた。 (3)乳頭問上皮について a)対照群 舌背部に存在する糸状乳頭や茸状乳頭の間を占める乳 頭間部では,細胞境界の不明酷な上皮が多数存在してい た。これらの上皮細胞は糸状乳頭長軸撃曲に平行に,か つ娩則正しく幾重にも配列して,乳頭をとり囲むように ヒダ状構造を形成していた。またこの部位にはチリメン 状をなす放小鼻が発達しているのもみられた(図21)。乳 頭間上皮は,乳頭粘膜上皮と構築構造が異なり,粘膜上 皮が糸状乳頭をとり巻くように構築され,糸状乳頭を支 持していた。これらの構造は前方,中央,後方部のどの 部位においても観察された。 対照20過群, 40過群と比較すると基本的に形態は大き な差異はみられなかったが,対照40週群の舌前方部で一 部ヒダ状構造が減少し,その配列も多少不壊別になって いるものがみられたが,他に皐貢著な異常所見は認められ 一 Mil一. 図23 四塩化炭素投与40週番 乳頭間上皮 走査型電子轟微鏡像(前方部) ×.

(13) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 424. 表5 舌背前方部血管内墨汁庄入標本観察所見 四塩 化 炭 素投 与 群. 対照群 期. 香. 結 合 織 乳 頭 内血 管 ル I プ. 粘膜 固有 層 .. 糸状乳頭. 筋 層 内 血 管. 茸状乳頭. 高径の 間. 対. 低下 拡 目 7j撃 曲. 】. 30. ±. 20. 31. -. 過. 32. ∼. 対. 33 34. ±. 35. 40. 36. -. 37. ±. 群 38. ±. -. 張 断 窄 破 行 曲 消 i. ∼. ±. 失 】. -. -. -. i. -. -. ∼. +. 】. ±. ±. -. ∼ ∼. +. 結 合 織 乳頭 内血 管 ル I プ. 粘 膜 固有 層 .. 糸 状乳 頭. 筋 層 内 血 管. 茸状乳頭. 拡 狭 転 蛇 属. 高径 の. 壊. ±. -. 香. 裂. i. ±. 輿. 過. 張 捻. 張 拡. 29. 照. 群. 拡 狭 転 蛇 属. 期. 低下 拡 ロ 7jJ 撃 曲. 間. 張 拡. 張 捻. 張 断 窄 破 行 曲 消. 裂 壊 失. 四 塩 化 良 義 投 与 20 過 群. 39. ±. +. ±. -. ±. ±. 40. 普. +. ±. ±. ≠. 41. +. ±. +. ±. -. -. 42. +. ±. +. ±. ±. 43. ≠. ≠. +. ±. +. ±. 四 塩 化 戻 素 投 与 40 過 群. 44. ±. +. ±. ±. +. ±. 45. ≠. 辛. +. ±. ≠. ≠. 46. ≠. ≠. ±. +. ≠. ≠. 47. ≠. ≠. -. -. ±. +. 48. ±. +. +. +. +. ≠. - :認められない ± :重度に認められる + :中等度に認められる ≠ :高度に認められる. ず加齢による変化は,ほとんどなかった。 b )四塩化炭素投与君羊. 高度に認められた。上皮細胞の断裂,亀裂,穿孔は7例. 四塩化炭素投与20週群の乳頭問上皮は,対照群と比べ て上皮のヒダ状構造は減少,もしくは一部消失し,上皮 表面は平滑化を示していた。また上皮綿胞の所々に断. た。このような乳頭問上皮での変化は,四塩化炭素投与. 裂,亀裂,穿孔をきたしていた(図  その結果,対照 君と比べ糸状乳頭を支持する形態に明らかな差異が認め られたo以上のような変化は舌前方部中心に発項し,上 皮表面の平滑化は7例中2例に軽度, 2例に中等度,そ して2例に高度に観察された。上皮細胞の断裂,亀裂,. 四塩化炭素投与群の糸状乳頭は,対照群と比べ植立方. 中2例が軽度, 1例が中等度, 2例が高度に観察され 20週群より投与40過群の方がかなり顧著であったo 小     括 向の不規則性,植立力の低下,鞘状構造の減少,平滑化 を示し,茸状乳頭は箱状構造の減少言肖失,乳頭膳隆度 の減少,味孔の消失,昧丘の平滑化が,また乳頭間上皮 では上皮細胞の平滑化を呈し,所々に断裂,亀裂,穿孔. 穿孔は7例中2例が軽度に認められた。 四塩化炭素投与40過群の乳頭間上皮は,投与20過群と ほぼ同様の形状を示していたが,ヒダ状構造はほとんど 消失し,上皮表面の平滑化の度合は増加し,微小堤の消. が観察されたo J以上の舌乳頭の変化は,舌背前方部で著. 失も認められた。また上皮細胞の断裂がひどく,所々の 部位に亀裂や穿孔を起こしている所見が認められた(図 以上のような変化は舌前方部が中心であったが, 一部のラットでは舌中央部にまで発現していたo上皮表 面の平滑化は7例中1例に重度, 2例に中等度, 4例に. 2 )血管内墨汁庄入標本所見. 明に認められ,四塩化炭素投与20過密と比較し40週番で 顕著に観察された。. 血管内茎汁注入標本による検索部位は,走査型電子顕 放鐘によって特に変化がみられた舌前方部に対して観察 を行い,結合織乳頭内血管,粘膜固有層・筋層内血管と 分けて検索した。 12 -.

(14) 歯科学報. 425. 告 鵠票 誉…. 豆 :蕊喜 日 ン. お 壷:圭 慧 嵩ま告 :I ネ iミ ミ I 症 :. Ei ++. 図24 対照20週群 結合繊糸状乳頭内血管ループ 光学顕放鏡像 墨汁達人標本 ×100. 図25 四塩化炭素投与20過群 結合織糸状乳頭内血管ル-プ 光学顔微鏡像 茎汁注入標本 ×100. 舌背前方部の血管内墨汁住人標本の観察所見について 対照群10例,四塩化炭素投与群10例を一括表示した(義 5)。. (1)結合織乳頭内血管ループの観察 a)糸状乳頭について i)対照群 対照20過群の舌前方部の結合織糸状乳頭内血管ループ では,粘膜固有層血管綱から一本の毛細血管が乳頭基底 部にて分岐し,それぞれ上行舶(綿動脈)となり乳頭に侵 入した。その後,乳頭の頭攻付近で単純なヘアピン状の ループを形成し,一定の角度をもちながら下行脚(細静. 図26 四塩化炭素投与40週群 結合織糸状乳頭内血管ループ 光学疎放鏡像 墨汁注入標本 ×100. 派)へ移行し,そのまま下降して粘膜固有層の血管網へ 環流していた。さらに上行脚(纏動脈)と下行脚(綿静脈) との間には    本の交通枝がみられたo また各ルー プとも各乳頭上皮に対応して,ほぼ同じ高さで塊則正し. が認められたo以上のような変化は投与20過群よりも著. く配列しておりループの太さも一定であった(図  ま. 明にみられた(図  また一部ループ先端部,すなわち. た対照40週群でも対照20週群とほぼ同様な所見を呈して. 上行脚(繍動脈) ・下行脚(編静脈)の吻合部が破裂し墨汁. いた。. が温出している像が観察され,対照群と比較し四塩化炭. ii)四塩化炭素投与群. 素投与20過群, 40週群ともにループ形態に顧著な異常所. 四塩化炭素投与20過群の結合織糸状乳頭内血管ループ. 見が認められた.投与20過群のループ高径の低下おキび. は,粘膜固有層血管綱からの血管が乳頭蓋底部にて分岐. 撃曲は, 5例中1例に軽度, 2例に中等度, 2例に高度. し,上行脚(細動脈)となり乳頭に侵入した後,下行舶. に,ループの拡張は5例中2例に重度, 2例に中等度,. (細静脈)に移行していたoその下行脚(編静脈)を中心に. 1例に高度に観察された。また投与40週群では,ループ. 全体的に拡張傾向を呈しており,ループ高径の低下,お. 高径の低下および撃曲が5例中2例に軽度, 3例に高度. よび撃曲を生じ各乳頭上皮にループは対応しておらず,. に,ループの拡張は5例中2例に中等度, 5例中3例に. 不壊則な配列をしていた。また乳頭基底部の血管の一部. 高度に認められた。. に,茎汁が停滞している像が観察された(図. b)茸状乳頭について i)対照群. 四塩化炭素投与40週群の結合織糸状乳頭内血管ループ では,投与20過群と同様にループは全体的に拡張傾向を. 結合織茸状乳頭内血管ループでは,外形は乳頭形態に. 示しており,血管高径の減少,撃曲,禾塊則な配列など. 一致した,上面が平らな丘状を呈していた.糸状乳頭内. -. 13一.

(15) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 図27 対照20週群 結合織茸状乳頭内血管ループ 光学顕欲鏡像 墨汁住人標本 ×80. 図28 四塩化炭素投与20週群 結合織茸状乳頭内血管ループ 光学顕微鏡像 墨汁達人標本 ×80. 血管ループと同様,粘膜固有層から血管網が立ち上が り,上行脚(純動脈)となって走行し,乳頭中央に太い主 幹を形成し,下行脚(繍静脈)となって粘膜固有層の血管 網へ流入していた。また上行脚と下行脚との問には,複 雑に血管が分岐しており(図  対照20週群,対照40過 群との比較は形態上,ほぼ同様で大きな差異は認めな かった。 ii)四塩化炭素投与群 四塩化炭素投与20過群の結合織茸状乳頭内血管ループ では,上行脚(纏動脈)となり走行し乳頭中央に主幹を形 成していた。しかし上行脚(纏動脈)より少し拡張した所 見が認められ,さらに下行脚(綿静脈)では著明に太くな り,ループの拡張傾向を呈し多少の捻転も生じていた (図28)。また四塩化炭素投与40週群の血管ループでも投 与20週群と同様,拡張,捻転を生じていた(図29)。そし て投与20過薪ではループの拡張は5例中2例に軽度, 2 例に中等度に,ループの捻転は5例中3例に軽度, 1例. 図29 四塩化炭素投与40過群 結合織茸状乳頭内血管ループ 光学顕放麗像 墨汁注入ヰ票本 ×80 対照薪と比較し血管網の一部に血管の拡張,狭窄,舵 行,屈曲などが認められ不壊則な血管網を形成していた (図31) 。四塩化炭素投与40過群の舌背前方部の粘膜固有. に中等度に観察されたoまた投与40週群ではループの拡 張は5例中2例に軽度, 2例に中等度に,ループの捻転 は5例中2例に軽度, 2例に中等度に認められたo (2)粘膜固有層・筋層内血管の観察 a)対照群. 層・筋層内血管は,投与20過群より著明に血管網の一部. 対照群の舌前方部の粘膜固有層・筋層内血管は,上皮 下の結合織乳頭内血管ループを形成する毛細血管より細 い血管で構成されていて,舌表面に平行かつ水平な網目. 堰,消失は5例中3例に軽度に観察された。投与40週群. 状の血管網を作っていた。また,この血管の走行は規則 正しく血管の太さもほぼ一定であった(図  以上の所 見は対照20週群,対照40過群ともほぼ同様であった。 b)四塩化炭素投与群. 破壊,消失は5例中1例に軽度, 1例に中等度, 3例に. 四塩化炭素投与20週群の粘膜固有層・筋層内血管は,. 内血管ループは拡張,高径の滅少,撃曲,および先席部 -. の血管が拡張,狭窄,蛇行,属曲が生じている他,断 裂,破壊,消失がみられた(図  また投与20週群の ループの拡張,狭窄,蛇行および屈曲は5例中2例に重 皮, 1例に中等度, 1例に高度に,ループの断裂,破 ではループの拡張,狭窄,蛇行および属曲は5例中1例 に軽度, 2例に中等度, 2例に高度に,ループの断裂, 高度に認められた. 小     括 四塩化炭素投与啓は対照群と比較し,結合織糸状乳頭. 14-.

(16) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 図33 対照40週群 糸状乳頭 光学顕放産像 HE染色 ×50. 図34 対照40過群 糸状乳頭・乳頭間上皮 光学顕放鏡像 HE染色 ×100. 図35 四塩化炭素投与40週群 糸状乳頭 光学顔微鏡像 HE染色 ×50. 図36 四塩化炭素投与40週群 糸状乳頭・乳頭間上皮 光学顧微鏡像 HE染色 ×100. ii)四塩化炭素投与群 対照群の糸状乳頭と比較して,その基本形態や角化様 式,上皮各層の細胞形態,大きさおよび染色性など大き な差異は認めなかった.しかし,一部のラットでは基底 細胞の配列を乱し,結合織乳頭の形態は対照群と比較 し,各糸状乳頭に対応していなく不均一な所見が待ら れ,また角化層の一部が剥離している部位もみられた (図   。 b)茸状乳頭について i)対照群 茸状乳頭は,結合織の台状の膨隆に上皮層が被覆して いるように形成されていた。上皮層の基底細胞は立方形 を呈し,核はへマトキシリンに濃染していた。基底綿胞 層は乳頭形態に対応しはぼ一列に配列しており,また頭 預部の上皮層は比較的薄く,角化度は低下しエオジンに 淡染していたo有赫編胞層の細胞は著しく后平化し,核. は紡鍾形を示しており,抵粒層では,ヘマトキシリンに 濃染した不整形で多数のケラトヒアリン額粒が存在して いたo また乳頭頭磯部の中央部に,ヘマトキシリンに濃 染した核を呈する,紡鍾形の細胞が集合して構成された 味膏を認め,その頭部は味孔が舌表面に開いていた(図 37)0. ii)四塩化炭素投与群. 対照群と比較すると,乳頭の基本的形態,角化様式や 上皮層各細胞の形態,大きさ,および染色性などほぼ同 様であったが,乳頭は全体的に対照群と比較すると,や や膨隆度が減少し,形態的に差異が一部認められたO し かし味膏の形態,細胞構成,大きさ,染色性などに著し い変化はみられなかった(図 C)乳頭間上皮について i)対照群 乳頭と乳頭の問を構成する上皮で,釘胸の先端部に相 16 -.

(17) 歯科学報. 図31四塩化炭素投与20過群 粘膜固有層・筋層内血管 光学顔微鏡像 茎汁注入標本 ×50. 図30 対照20週群 粘膜固有層・筋層内血管 光学顕微鏡像 墨汁達人標本 ×50 の膨隆化が,結合織茸状乳頭内血管ループでは拡張,捻 転などの所見が観察された。また粘膜固有層・筋層内の 血管では,対照群と比較し四塩化炭素投与群で拡張,狭 翠,蛇行,屈曲,および断裂,破壊,消失などの血管形 態の変化が認められたo以上の変化は,四塩化炭素投与 20過群と比較し40過群で顕著に観察された。 3 )光学顧微鏡所見 走査型電子薗微鏡による観察で特に変化がみられた舌 背前方部を検索部位とし,対照40週群と四塩化炭素投与 40週群とを比較した。 HIE染色では糸状乳頭,茸状乳. 図32 四塩化炭素投与40週群 粘膜固有層・筋層内血管 光学顕微鏡像 墨汁法人標本 ×50. 頭および乳頭間上皮各々の上皮層,および粘麓固有層の 組織変化を,アザン染色では血管形態を*心に観察を 行った。 -E染色 a)糸状乳頭について i)対照群 糸状乳頭は形態的に長円鉾形で,乳頭先端部が後方咽. 認め,少数で小型のへマトキシリンに濃染する顧粒と,. 頭側に軽度に撃曲し,その乳頭の凸面が前方に,反対に 凹面を後方咽頭側へ向けていた.糸状乳頭は乳頭前面 部,乳頭後面部の2種索の角化様式が異なる上皮によっ. 向に一致させ配列しており,また綿胞の核は消失してい. て香われていた。上皮層下端の基底糸田胞層は,規則正し く乳頭形態に対応し釘脚を構成していたが,多少凸凹が 認められた(図 乳頭前面部の上皮は,釘脚の後方部分の基底細胞層よ. 皮であり,蓋底細胞は他の細胞列と異なり,核および細. りおこり,基底細胞の外形は立方形を皇し,へマトキシ リンに濃染する核を有していた。この上方の有麻細胞層 は,ほとんど認められず鹿粒細胞層にスムーズに移行し ていた0度粒層の細胞は,その外形,核と共に紡鍾形を 室し,細胞内には禾整形で多数のケラトヒアリン頼粒を. ど認められず角化層-移行していた。角化層では核が消. -. 多数でやや大型でエオジンに濃染する2種葉の顧粒が認 められた。最上層の角化層はエオジンに淡染し,境界不 明瞭で著しく后平化が進んだ細胞が,長軸を乳頭植立方 た(図 乳頭後面部の上皮は,糸状乳頭の凸面部を構成する上 胞の外形は紡鐘形を呈しており,核はへマトキシリンに 濃染していた。有麻細胞層の綿胞は細長く后平で, 12層に配列していた.頼粒層に相当する部分は,ほとん 失し,著しく后平化した細胞が,乳頭植立方向にはぼ一 致して表層にまで並列していたが,エオジンの染色性は 低下していた(図34)。. 15-.

(18) 歯科学報 VoL 93,No.4(1993). 図37 対腰48過群 茸状乳頭 光学顕徴鏡像 HE染色 ×8D. 4Z9. 茸状乳頭 光学顕微鏡像 HE染色 ×80. +. 二=こ二=. 図甜 対照40過群. jL. +. 篭」 囲40 四塩化炭素投与40週群. 上皮下毛細血管 光学願徴鏡像 アザン染色 上皮下毛細血管 光学顕微鏡像 アザン染色 ×320. ×き20. 一■血管. ●血管. 当する部位に基底細胞層が存在していた。細胞はやや大 (2)アザン染色 型の立方,もしくは卵円形でヘマトキシリンに濃染する a)対照群 核を有していた。有僻細胞は基底細胞より大型で,細胞 対照40週群では結合織乳頭内,および粘膜固有層上層 鼠 核とも染色牲が低下し.また上方に向かうにつれ細 にかけて散在性に毛細血管を認めた。血管は線状,ルー プ状,類円状と様々な形態をなしていた。血管の内腔に 胞外形は扁平化していた。顆粒細胞ではきらに扁平化 し,ヘマトキシリンに濃染した小型で不整形なケラトヒ 血液が満たされていたものの,血管の著しい拡張や血管 壁の肥厚は認めなかった(園39)。 アリン顕粒を有していた。角化層の細胞は,扁平化が著 しく核が消失しており,エオジンに淡染されて層状に配 b)四塩化炭素投与群 四塩化炭素投与40過群の毛細血管は,対席40過群と比 較すると,全体的に拡張し膨隆化している像がみられ た。血管走行の乱れも観察されたが,対照群と比べ血管 壁がアザン染色で青染する像は.顕著には鱒察されな. 列していた(図34)。 ii)四塩化炭素投与群. 対照群と比較すると,その基本的形隠 角化様式,上 皮層各細胞の形態,大きさ,および染色憧尤どほぼ同様 であったが,基底細胞の配列が乱れ.釘脚部は対照群と. かった(図40)。. 比較すると様々な形態を呈し一定でない部位が一部みら 4)上皮下毛細血管の占有率測定について 舌背前方部の上皮下の結合綿乳頭内,および粘膜固有. れた(図36)。 ー17−.

(19) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 430. 1.実験的肝硬変および末梢血液-般検査所見について. 表6 舌背前方部乳頭上皮下血管の占有率測定. ラットの四塩化炭素による肝障害発生の研究は  年. 対照40週群 (各啓. ±. 四塩化炭素投与40過群 (各群. ±. 代よりなされており,四塩化炭素投与による肝硬変の実 験モデルは,その病理学的所見がとトのそれと戴似する ために広く用いられてきた。船津10)は四塩化炭素投与6 過で肝線椎化が開始し-部に偽小葉の形成が認められ,. t. P < 0.01. 8週では,ほぼ全例に肝硬変の病理組織学的所見が観察. (単位: %). されることを報吾している。本研究においても,四塩化 炭素投与20週および40過で肝線維化が進行し,偽小葉の 形成が観察され実験的に肝硬変が確認された。. 層上層での血管断面積を計測し血管占有率を求めた結 果,対照40週群では  ±       であり,四塩 化炭素投与40過群では  ±       であった。 またt検定を行った結果,四塩化炭素投与40週群の上皮 下毛綿血管の占有率は,対照40過群と比較して統計学的 に1 %未満の危険率をもって有意に上昇を示していた (表6)0. -方で,肝硬変症患者において様々な形態の薯血が不 一定の塵度にみられ1ト       はその頻度をお よそ75%と報害している。またぎ血の形態については, 服部3)が述べているように正球性が基本であるという見 解が多数であるが,大球性を示すという意見もあり 早-な病型にあてはめることは不可能であると恩われ る。藤田17)は,四塩化炭素投与肝障害ラットにおける末 梢血夜一般検査で,対照啓と比較しHt値が有意に低下 を示したことから茸血傾向を疑わせると述べているo ま. 考     察 肝硬変は種々の原図により発現される肝障害,肝疾患. た室血と口腔症状は以前より深い関連性が伺われ,鉄欠. の終末像であり,近年増加の傾向が認められている。そ. 乏性宴血患者の舌の変化は,舌背部のほぼ全面部におい. れに伴い,肝硬変の病態や治療面での解明の為に多くの. て舌乳頭が萎縮し,赤く平らな状態を呈していることが. 臨床的,実験的研究がなされている。. 知られている 今回著者の研究での末梢血液一般検査の結果,四塩化. また歯科臣忌床においてもその受診率は増加しており, 口腔乾燥,口腔内小出血,歯周炎,そして耳下腺腫脹な. 炭素投与20過群で       Vが,四塩化炭素投与. どを訴える患者が存在することを本教室の山田, J帖島他. 40週群では                が対照群. 5)が報害している。さらに肝硬変の他臓器に及ぼす影響. と比較し有意に低下を示したことから,薯血傾向にある. として,動物モデルを用いた実験的肝硬変時の耳下腺. ことが示唆された。また貧血と舌乳頭の萎縮性変化との. 6),口唇7),肺8),および膵臓9)などの変化も詳細に報菖. 関連性について今後さらに詳細な検討を加える価値を有. されてきている。. するものと思われた。. 舌は歯科臨床にとって診査が容易であり,機能的にも 味覚,唄噴,発音に深く関与している。なかでも舌背部. 2.走査型宣子轟放轟および光学顕敏彦観案について (1)糸状乳頭について. の変化に関して,全身性系統疾患の病態を反映する報吾. ラット舌背部の糸状乳頭は,肉眼的および光学顕微鏡. が多数あり,その臨床的意義は非常に大きい。しかしな. 観察において  年     と    が報害してい. がら肝障害に伴う舌の形態学的,病理組織学的変化につ. るo彼らは,糸状乳頭の大きさや形態などから舌背前方. いて詳細に検索を行った研究は,ほとんど認められてい. 部のものを             舌隆起部のもの. ない。. を            またその後方部のものを と分歎しているo. そこで著者は今回,四塩化炭素投与肝障害ラットを用. 今回著者の検索部位としては. い,肝および舌背部粘膜上皮の走査型電子顕微鏡,血管 内墨汁達人標本,および光学顔微鏡観察を行い,その微. の存在する部位であり,走査型電子新棟鏡観. 細構造や組織構造の変化,またはそれに伴う血管形態の. 察により対照群と四塩化炭素投与群とを比較し差異がみ. 変化と同時に血液生化学的変化について観察し,それら. られた塵度から,さらに前方部,中央部,後方部と3部. の関連性について検索を行った。. 位に区分して観察し,特に変化がみられた前方部につい て詳細に検索を行ったo正常ラットの舌背部糸状乳衰貢の ー18 -.

(20) 歯科学報. 93, NQ. 4 (1993) S-. 431. 走査型電子疎放鏡観察については,武藤  岩崎  平. ものと示唆される。. 山  長門  吉岡     と   ら26)多くの報. (2)茸状乳頭について  中 は正常ラット舌背部膏吠乳頭の走査撃電子. 告があり,糸状乳頭は前後に幾分后平で,その前下部に やや突き出た小さな膨らみをもち,後方咽頭側へ傾斜を 示している。また乳頭蓋底部には上皮の幾重にも重なり. 顔微鐘観察を行い,乳頑は各々.g)上皮纏胞がキャベツの 葉のように乳頭を包むように覆い,味曹先端部は乳頭表. 合った箱状構造が観察されているO. 面よりわずかに突出していると報告している。また岩崎. 以上の所見は今回著者が行った対照群での観察結果と. ら22)は乳頭を強拡大により観察しており,乳頭の項上中. はぼ一致するものであった。また糸状乳頭の役割として. 央部に噴火口のようなくぼみが存在し,表面に多数の小. 高木ら27)は,食物の摂取,味覚の受容などの機能との関. 孔をもった細胞がその周囲を取り囲み,さらにその外側. 連を指摘しているoラット舌の糸状乳頭を構成する上皮. にほぼ平行に配列するヒダ状の微小塊を含んだ綿胞が広. 層は,光学束微鏡下において比較的厚い角化を帯びてお. がっていることを明らかにしている。 年佐田34)は光. り,表層から深層に向かって服に角化層,魔粧層,有麻. 学東歌鏡による観察で,正常ラットの辛状乳頭は舌尖部. 編胞層,基底細胞層の4層から構成されている。また乳. に多数存在し,乳頭形態は一般に長軸より横軸に圧平さ. 頭基底部から中央部にかけての軸を境にし,乳頭凸面部. れた卵円形を宣しており,その中央部に昧菅を有してい. を構成する乳頭前面部粘膜上皮と乳頭凹面部を構成する. ると述べ,また乳頭基底部は粘膜固有層中に膨出してお. 乳頭後面部粘膜上皮とに分別されるO. り,上皮は比較的薄く,角化の程度も低いと報吾してい. と    は,乳頭前面部と後面部の粘膜. る。本研究における対照薪の茸状乳頭でも,はぼ上述の ごとく外形は圧平された球状を呈し,斡状構造により乳. 上皮との角化様式に差異があることを指摘し,その後, と             や雪野ら3°は,光. 頭中央部が保護されており,各乳頭に1個の昧孔が明酷. 学顕微鏡と透過型電子顔微鏡を併用した舌背部糸状乳頭. に認められたo また乳頭の基本的形態は, 20週, 40過と. の微細構造について乳頭前面部粘膜上皮は,不菱形のケ. 加麻による変化が明らかでなかった0. ラトヒアリン頼粒を有するヒトの皮膚と同様な角化様式. -万,実験的肝硬変動物を使用した報吾は著者が渉猟. を呈し言乳頭後面部粘膜上皮は,ヒトの毛や爪と同様の. した限りでは見出だせなかったが,肝硬変患者における. 角化様式を示すと述べている。そして細胞の分化につい. 味覚異常について寺尾35'は,肝硬変は味覚異常を起こす. ても差異がみられ,乳頭前面部は細胞成分が豊富である. 全身疾患の-つとして挙げており,また肝硬変症でけ血. が,乳頭後面部は前面部と比較し角化傾向が強く,細胞. 中Z nが低下  し味覚低下の要図の可能性があると述. 成分に乏しいと幸R害している  これらの報吾は,本研. べている39)が明確な原因は不明である0 本実験においての四塩化炭素投与群の走査型電子掠敏. 究の対照群の所見とはぼ一致していた.. 鏡像では,対照群と比較し乳頭の箱状構造は減少し,輪. 肝硬変時の舌背部糸状乳頭の変化についての報告は, 年三谷32)は肝障害患者の糸状乳頭は萎縮し,また上. 郭は不明瞭化となり萎縮性傾向を帯びていた。その他に. 皮剥落などの特異的な所見を観察している.その要図と. 味孔の消失,味丘の平滑化も認められ,このような形態. して鉄欠乏性薯血,ビタミンB群の欠乏,局所組織低酸. 的変化はその機能の滅遠の可能性を容易に想像しうるも. 素症,および退行性変化などが関与するが,毛細血管を. のである。. 主とした微小循環障害も起因すると考察している。また. (3)乳頭間上皮について. 斎藤3)は,頻度は少ないが肝硬変患者の舌乳頭は萎縮. 乳頭間上皮は糸状乳頭と糸状乳頭との間,または糸状. し,舌表面が平滑な状態に陥ると述べているo J以上のよ. 乳頭と茸状乳頭との間を占める上皮である.平山23)は走. うな臨床報吾は散見されるものの,実験的肝硬変動物を. 査型電子顕微鏡下にて成熟した乳頭間上皮は,糸状乳頭 の撃曲方向に塊則正しいアコーディオン様ヒダが多数存. 用いての詳細な研究はなされていない0 本研究の結果,四塩化炭素投与群では走査型電子覇微. 在するとし,これは乳頭に加わる唄噛時の外力に対する. 鏡像で舌背前方部を中心に糸状乳頭の植立方向の不壊則. 緩衝青となっていると考察しており,また乳頭間上皮は. 化,植立力の低下,および形態の不均一性などが認めら. 糸状乳頭を取り巻くように構築され,糸状乳頭の配列を. れ,また光学覇微鏡下では基底細胞層の配列の乱れや,. 強靭に支持している所見を示している  また,上皮の. 結合織乳頭の形態の禾均一性が観察されたo_以上の所見. 放細構造についても詳細こ観察が行われており,岩崎ら. は,肝障害患者における舌乳頭の萎縮性変化を裏づける. 22)は糸状乳頭間部の上皮細胞表面には,平行状もLfくは. -19-.

(21) 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. 432. 楯状の放小なヒダ,すなわち放小鼻構造が広範囲に配列. ほぼ同様の結果であった。粘膜固有層の血管網について. していると報害している。. は,舌背に向かった編動脈が各々の乳頭に分布した後,. 光学菌数鏡を用いた観察では,高木ら27)は正常ラット. 纏静脈と共に粘膜固有層に密な血管糟を築き,さらに血. の乳頭間上皮について乳頭前面部で厚く,後面部では薄. 管網は乳頭蓋底部に平行した一層の纏い血管網を形成す. いながら各乳頭上皮との接合状態は,後面部は緊密で前. ると述べている。. 面部では疎であるとし,乳頭間上皮の細胞列は伸縮性を. また正常ラット舌背部の血管構造についても幾つかの. もち,クッションの役割を果たしていることを示唆して. 報吾がなされている 鏑l)O関川  高木51)は血管の. いる.また  年      により上皮の組織構造お. 茎汁庄人後,透明標本を作製して検索しており,結合織. よび角化様式について詳細な観察が行われ,糸状乳頭を. 乳頭内血管はループ状の形態で,舌隆起部より前方の部. 構成する細胞列とは異なると述べている。今回著者が観. 位では単純なヘアピン状を捻った様な形態を示し,舌隆. 察した所見は,これらの報吾とはぼ同様の所見が認めら. 起部では一本の茎から左右に3 - 4本の二次乳頭が形成. れた。本研究の四塩化炭素投与肝障害ラットにおける舌. されフォ-ク状の複雑な形態をなし,舌の部位によりそ. 背前方部乳頭間上皮の走査型電子顕微鏡による観察で. れぞれ特異的な形態を呈すると述べている。また粘族固. は,ヒダ状構造は消失し平滑化を呈しており,上皮纏胞. 有層血管網は,細動脈が粘膜固有層内に進入して舌表面. の所々に断裂,亀裂,穿孔をきたし本来の形態を失って. に平行に水平な血管網を形成すると報告しているo これ. いた。また光学顕微鏡下での観察では,対照群と比較し. らの結果は,今回著者が行った対照群の所見とほぼ同様. 著明な組織学的差異は認められなかったが,一部のラッ. であった。. トでは蓋底細胞の配列は乱れ,釘脚部は不一定な形態を. また高木51)は各乳頭上皮の構造とそれを栄養する血管. 呈していた.従って,四塩化庚素投与肝障害ラットにお. との問には,密接な関係があることを推測しており,乳. ける舌背前方部のこれら乳頭問上皮の変化は,糸状乳頭. 頭間上皮では,舌表面に平行な水平で密な粘膜固有層血. の配列の乱れや植立力の低下を引き起こす要図に関与し. 管網より直接栄養されていると述べている。. ているものと考えられる。. 一方で慢性肝疾患に際しての皮膚病変について記述さ. 3.血管系の観乗について. れており52),その主因は微小血管性の病変であると推察. -血管内墨汁注入および血管占有率の測定一. され,肝疾患を伴う皮膚病変の中では,主にクモ状血管. 舌の血管形態や走行に関しては古くから多くの研究が. 腫について比較的多くの報吾が見られる. なされ,そのほとんどは茎汁注入法  や. 菊川4)や当教室の山田,川島ら58)は肝硬変患者におけ. による方法  が用いられているo高橋46. る口唇粘膜の教組血管について生体顕微鏡を用い観察し. )はと卜舌の微細血管について検索しており,それによ. ており,健康人と比較し肝硬変では高額度かつ著明な血. ると糸状乳頭に於ける放細血管は,毛細動脈網の一部よ. 管の拡張所見が認められると述べている。また菊川7)は. り1-2本の枝が糸状乳頭の中に侵入し,ここで分岐さ. 四塩化炭素投与肝障害ラットでの口唇粘膜の微細血管を. れ数本の枝となり乳頭の庸点近くでループを形成すると. HI E染色を施した後,光学顕微鏡下で. し,また茸状乳頭における教組血管は,毛細動脈網より. を使用し血管径を測定しているo その結. 数本の枝が乳頭の中に入り,その侵入した毛編動脈は,. 果,対照群と比較し血管の拡張傾向がみられることを幸辰. 分岐吻合して乳頭の中で毛細血管網を施すと述べてい. 吾し,これらはクモ状血管腫と寿似した発生機序である. る。. と推察している。. 岸ら48)はとトの舌乳頭,および舌下粘膜の毛細管ルー. クモ状血管腫は.肝臓におけるエストロゲンの不活性. プの鋳型標本を作製し,走査型電子新教鏡を使用して立. 化の低下により血中エストロゲンが増加し,それが血管. 体的に観察をしているo糸状乳頭では粘膜固有層の血管. 拡張性に作用するため生じるとされている53)が,この説. 網より出た一本の枝が,乳頭基底部において熊手状に分. に否定的なものもいる     は肝臓が長期間障害. 岐し,それぞれ上行肺となって乳頭に倭人した後,乳頭. され,その結果で生じた血管作動性物質が血管の何らか. の頭頂でヘアピン型のループを作り太い下行脚へスムー. の部位に作用し,血管系に変化を及ぼしたものと推測し. ズに移行するとしているO また茸状乳頭ではループが2. ているO また今山ら56)はクモ状血管腫を電子顔微鏡を使. -3本の上行脚を持ち,複雑に分岐吻合しながら乳頭の. 用して観察しており,その成因は動静脈吻合の関大に始. 外形に一致した血膏網を形成しており,高橋46'の報吾と. まり,そこに流入した動脈血が本来なら静脈側から中枢. -20-.

(22) 歯科学報. 433. 93, No. 4 (1993). 側へ還流されるべきところを,何らかの原因により末梢. 変性,破壊を招き,蛋白合成やエネルギー代謝などの機. 側へ逆流して,静脈側を関大させつつ上行L. 能停止を招来させ,肝細胞の壊死をもたらすといわれて. に流入し形成されたものであると結諭してい. いる6小 従って   や     ら68)は,少室の 四塩化炭素投与でも極めて選択的に肝臓に障害をもたら. る。 本研究の実験的肝障害ラットにおいて,走査型電子顧. すと報吾している。 本教室の岸本6'は四塩化炭素による肝硬変ラットを作. 微鏡観察で特に変化が認められた舌背前方部を,墨汁桂 人による方法で血管系の観察を施した。対照群と比較し. 成し,唾液腺の病理組織学的検索,また血清アミラーゼ. 四塩化炭素投与群での結合織内血管ループは,拡張,高. 活性,アミラーゼアイソザイム,および耳下腺アミラー. 径の減少,撃Eb,また先端部の膨隆化が,粘膜固有層・. ゼについて検索を行っている。その結果,病理組織学的. 薪層内血管は拡張,狭窄,屈曲,蛇行,断裂,および破. 検索において耳下腺の腺房細胞に空砲形成が認められた. 壊,消失の所見が認められた。. が,顎下腺および舌下腺では線維化 空胞形成および萎. さらに今回著者は,舌背前方部乳頭上皮下での毛細血. 縮など認められなかったと述べている。四塩化炭素の直. 管の占める割合を安彦59)の方法に基づき計細を行ったと. 接な影響によるならば顎下腺および舌下腺には変化が起. ころ,対照群に比べ四塩化炭素投与群の血管占有率は,. こらずに耳下腺のみに起こるとは考えられないこと,ま. 統計学的に有意に上昇していた。. た免疫組織化学的染色で,空胞形成がみられた腺房細胞. これらの結果は先に述べたクモ状血管腫の成因と同様. にアミラーゼの強陰性反応を認められたが,四塩化炭素. な影響が関与しているものと推察され,その他末梢血流. の直接の影響によりアミラーゼ合成が元進したとは考え. 室の減少,血流方向の不規則化,毛細血管抵抗性の低下. にくいことなどから,唾夜腺への直接的影響は,すべて. などの循環障害が起因した結果,血管の拡張以外の形態. が四塩化炭素による薬物性障害であることを否定してい. 的変化が認められたものと考えられる。また肝硬変症で. る。. は,しばしば局所組織低酸素症をきたす報吾があり60-. 今回著者の四塩化炭素投与肝障害ラットの舌乳頭にお. その原因として肺胞性低換気,拡散障害,肺内左右. いて,舌背前方部の走査型電子顕微鏡観察および血管内. シャントの増加,換気・血流の不均等分布などが指摘さ. 墨汁注入観察で,四塩化虜素投与20週群は投与40過群と. れている。. 比較し変化の度合が低下しており,四塩化炭素投与の直. 以上のことから肝硬変を伴うことにより,毛綿血管を. 接な影響によるならば投与20週でも投与40週と同レベル. 中心とした上皮直下の微小循環障害が発症した結果,局. にまで障害を及ぼすものと考えられ,またこれら舌乳頭. 所組織低酸素症,組織栄養不良障害を伴い舌乳頭を構成. の変化は舌背中央部,後方部に比較し,前方部に限局し. する細胞の増殖能,または上皮組織の活性の低下による. て認められた結果からも,四塩化炭素の直接影響による. 影響が舌乳頭の萎縮性病変を惹起されたものと考えられ. ならば舌中央部や後方部で,前方部と同様な所見を引き. る。. 起こすものと推測される。以上のことから,四塩化炭素. なお,これらの変化で発現部位が舌背前方部に限局し. の舌乳頭への直接的影響を全面的に否定することはでき. たものであったが,その理由として前方部は摂食などに. ないが,ヒト肝硬変時の舌の変化を検討する上で有用で. よる物理的刺激が後方部と比べ大きいものと考えられ,. あると考えられた.. また血管形態が後方部に比べ前方部は単純な為に代償能. 総     括. が低く,上述の関与された園子が血管系に対して影響さ. 四塩化炭素による肝硬変ラットを作成し,舌背前方部. れやすいものと患われた.. を走査型電子束微鏡および光学顔微鏡を用いて観察し. 4.四塩化羨素の舌乳頭への直接的影響について 四塩化炭素による肝障害は一般に肝の脂肪変化と肝細 胞の壊死であることが知られている。脂肪変化は中性脂. た.さらに血管内茎汁注入により血管系について観察 し,対照群と比較検討し以下の結果を待た。 1.肝臓は肉眼的観察において対麿群の正常肝に対. 肪の担体となる超低比重リボ蛋白    合成障害が 主因であることが推定され,また肝細胞壊死の主因は,. し,四塩化炭素投与群では塵太纏額粒状結節の形成を. 肝綿胞内の小胞体における薬物代謝酵素により,四塩化. 呈し,また光覇的観察において四塩化庚素投与群は対照. 炭素が早期にフリーラジカル化を受け酸素と反応し過酸. 群と比較し,線維化,偽小葉の形成および空胞形成が観. 化脂葉を生じるOそれにより小胞体をはじめ細胞膜など. 察され,肉眼的また病理組織学的所見上肝硬変の形成. -21 -I.

(23) 434. 佐藤:肝障害ラットにおける舌乳頭の形態学的変化. が認められた。. 眼的および生態顕微鏡研究一疲尿病,慢性肝炎,肝硬 変患者について-,冒皮会誌 5)山田素子,川島 康,秋谷 理,尾崎卓弘,横山 信行,船津和夫,水野嘉夫    肝疾患患者の顔 面,口腔所見について(第1報),歯科学報. 2.血夜生化学的観察で,四塩化庚素投与群では対照 群に比べ赤血球数,ヘマトクリット値,血色素室が統計 学的に有意に減少し茸血傾向が認められた. 3.舌乳頭の走査型電子顕微鏡観察で,四塩化炭素投. ∼1084.. 6)岸本幸康    実験的肝障害ラットにおける肝お よび唾液腺の変化に関する研究-病理組織学的および 生化学的観察-,歯科学報 7)菊川洋祐    口唇粘膜にみられる微細血管の肉 眼的および病理組織学的研究-肝障害ラットについて -,日皮会誌. 与群の糸状乳頭は植立方向の不壊則性,植立力の低下, 箱状構造の減少を示し萎縮性変化を呈した0 4.四塩化炭素投与群の茸状乳頭は,周囲箱状構造の 減少,消失,乳頭膨隆度の減少,昧孔の消失,味丘の平 滑化を示し萎縮性変化を呈した。. 8) Furukawa, T., Yasumoto, K. and lnokuchi,. 5.四塩化炭素投与群の乳頭間上皮は,上皮細胞の平. K. (1984) : Pulmonary interstitial edema in experimental cirrhosis of the liver in rats, Eur. 監mi。闇雲    鍋票-釘工. 滑化を呈し所々に断裂,亀裂,穿孔が観察され,乳頭の 変化は主に舌背前方部で著明に認められた。 6.血管形態観察において,対照群と比較し四塩化炭. 9) Nakamura, T., Otsuki, M., Tani, S., Okabayashi, Y., Fujii, M., Oka, T., Fujisawa, T. and Baba, S. (1988) : Pancreatic endocrine function in cirrhotic rats, Meta.bolism, 37 : 892-899.. 素投与群の結合繊糸状乳頭内血管ループは,拡張,高径 の減少,撃曲,および先塘部の膨隆化が,結合織茸状乳 頭内血管ループは拡張,捻転などの所見が観察され血管 形態の変化が認められた。 7.対照群と比較し四塩化炭素投与群の粘膜固有層・ 筋層内の血管は,拡張,狭窄,蛇行,屈曲,断裂,およ. 10)船津和夫  :実験的肝線維化および    了 による肝線維化抑制過程における酸性ムコ多糖 の超微形態学的研究,肝臓 ll) Wintrobe, M. M. (1981) : Clinical Hematology, ▼                                、. び破壊,消失などの血管形態の変化が認められた0 8.四塩化炭素投与群の光学顔微鏡観察では,舌乳頭 を構成する細胞の形態的特徴,角化様式,染色性は対照 群と比較し大きな組織学的差異は認めないが,一部結合 織乳頭の形態は不壊則性を皇し,基底編胞の配列も乱れ ていた0 9.四塩化炭素投与群の乳頭上皮下毛細血管の占有率 は,対照群と比べ統計学的に有意に増加していた。 稿を終わるにあたり,終始ご指導,ご鞭捷ならびにご校閲を 賜りました東嘉歯科大学オーラルメディシン講座主任川島 康 教授に対し,深甚なる謝意を表します. さらに本研究の遂行にあたり,格別のご援助とご校閲戴きま した東嘉歯科大学病理学主任下野正基教授に謝辞を捧げますo 最後に種々ご協力,ご助言を戴いた本学内科学講座主任水野 嘉夫教授,船津和夫助教授およびオーラルメディシン岸本幸康 博士はじめ教室貢話兄,ならびに本学形態系研究室の関係各位 に謝意を表します. 文     献 1)厚生統計協会編    厚生の指標・臨時増刊・患 者調査の年次推移 2)厚生統計協会編    厚生の指標・衛生と福祉と 保険の統計   : 10. 3)斎藤隆三    肝硬変症にみられる病態-成立機 序と対策-・皮フ症状,日本臨床 4)菊川洋祐    口唇粘膜にみられる微綿血管の肉. 12) Areekul, S., Piankijagum, A., Pravatmuang, P., Cheera. makara, C. and Churdchu, K. (1981) : Nutritionalanaemia in cirrhosis of the liver, Southeast Asian J. Trop. Med. Pub. Hlth" 12 ・. 561-567. 13)服部理男    肝疾患と宴血一宜血のすべて-, 南山堂,東京.. 14) Hardisty, a. M. and Weathevall, D. J. (1982) ・. Blood and its Disorders, 2nd ed., 13631367, Blackwell, London. 15) Conrad, M. E. and Barton, D. J. (1980) : Anemia and iron kinetics inalcoholism, Seminars in Hematology, 17 : 149-163. 16) Kimber,C.,Deller, D. J., Ibbotson, R. N. and Lander, H. (1965) : The mechanism of anaemia in chronic liver disease, Quarterly Journal of Medicine, 34 : 33-64. 17)藤田 研    四塩化炭素投与ラットの歯周組織 の局所変化と赤血球膜浸透圧抵抗性に関する研究,歯 科学報 18)大滝晃-,長谷川 明,石川和光  :鉄欠乏性 宜血によって口腔症状の発寛をみた-症例,歯学, 74 : 218-225.. 19)林 進武  :         症候群,歯 界展望, 43: 20) Kutuzov,H.andSicher,H. (1951) ・. The filiform. -22-. and the conical papillae of the tongue in the white rat, the Anatomical Record, 110 : 275288..

参照

関連したドキュメント

Key Words : CIM(Construction Information Modeling),River Project,Model Building Method, Construction Life Cycle Management.

 (4)以上の如き現状に鑑み,これらの関係 を明らかにする目的を以て,私は雌雄において

イルスはヒト免疫担当細胞に感染し、免疫機構に著しい影響を与えることが知られてい

筋障害が問題となる.常温下での冠状動脈遮断に

〜3.8%の溶液が涙液と等張であり,30%以上 では著しい高張のため,長時間接触していると

これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア

直腸,結腸癌あるいは乳癌などに比し難治で手術治癒

 肺臓は呼吸運動に関与する重要な臓器であるにも拘