膝蓋骨―膝蓋健―脛骨結節複合体の衝撃応答解析
(
1
0650076
)
平成1
0
年度∼平成11
年度科学研究費補助金 (基盤研究(
C)
(
1
)
)
研究成果報告書 平成1
2
年3
月研 究 代 表 者 田 邊 裕 治
(新潟大学 工学部 教授)膝蓋骨一膝蓋膜一腰骨結節複合体 の_
衝撃応答解 析
(10650076) 平成10年度∼平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(1))研究成果報告書 目次 1. は しがき Z. 研究組織 3. 研究経費 4. 研究発表 (1)学会琴等 (Z)口頭発表1
)国際会議 Z)研究会 ・シンポ ジウム等 3)全 国大会 ・支部大会等 5. 研究成果 5.1 膝蓋腱部の衝撃応答 に及 ぼす腰骨結節部成長軟骨の骨化度の影響 (1)まえがき (Z)試料および実験方法 (3)ホブキ ンソン棒法衝撃試験装置 (4)実験結果 (5)考察 (6)まとめ 5.2 膝蓋骨 一膝蓋膜 一腰骨結節複合体の衝撃応答解析 (1)まえがき (Z)解析方法 (3)解析モデルの作成 (4)静的解析 (5)解析結果 (6)考察 (7)まとめ 6. まとめ 参考文献 資料 発表文献複写 (4章 に対応する文献) (1)学会誌等 (Z)口頭発表 1)国際会議 Z)研究会 ・シンポ ジウム等 3)全国大会 ・支部大会等 1 3 3 3 3 3 3 3 3 5 5 5 Ln 9 Z Z Ln ⊂J Ln Ln のV 8 00 8 3 4 「⊃ 7_ 7-5 5 のV 8 1 1 1 1 1 1 Z Z Z Z 3 3 3 3 3 4 4 5 「⊃膝蓋骨一膝蓋臆一腰骨結節複合体 の衝撃応答解析
(10650076) 平成10年度∼平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(1))研究成果報告書 1. はしがき ( 近年,スポーツ人口の増加が報告 されてお り,中で も膝関節傷害が 占める割合は大 きい。 これは膝関節が人体最大の荷重関節で あることが原因 とされる。膝関節の伸 展 筋力は人体で最 も大 きい大月退四頭筋 によるが, これは膝蓋骨 を経て急 に幅を減 じ膝 蓋 臆 として腰骨結節部 に付着 してお り, これが解剖学的な弱点 とされ多 くの傷害 をきた す1)。また成長期 において膝関節周辺の軟部組織の緊張は急激 に増加 し,その時期が本 格的にスポーツ活動 を開始す る時期 とも重なるため,膝関節 においてスポーツによ る 運動過多を原 因とす る傷害が多発す ることとなる。腰骨結節部は腰骨近位成長軟骨 と 連結 した特殊な成長軟骨を持ち骨幹端部にあ りなが ら骨端部 との位置 を保 って成長 ・ 骨化 していく2)。成長期 において この骨化部がスポーツな どによる膝蓋臆の衝撃的牽 引 力 によ り損傷 を受 け,腰 骨結 節剥離 骨折2),3)や 骨端症 と して最 も発 生頻 度 の高 いOs
go
od
病2'・4)を生 じる。Os
go
od
病の発症時期 は患者の成長度 に強 く影響 を受 けること が知 られている。 また,腰骨結節部が骨化 した以降の跳躍運動な どによ り繰 り返され る負荷は膝蓋臆実質部の炎症すなわち膝蓋腔炎5)8)を生 じる。つまり成長 に伴 い傷害 発 生部位が変化す るのである。 この傷害発生部位 の変化 は膝蓋骨一膝蓋腔一腰骨結 節(
pa
t
e
l
l
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-
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l
a
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n-
Ti
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r
o
s
i
t
y
:以下m
複合体 と略記,図1
.
1
)
にお ける大腿四頭筋 による衝撃的牽引力の伝達メカニズムが骨化 の進行 に伴 う膝蓋臆お よ び膝蓋臆付着部の材料特性の変化 に影響され るため と考 え られているが,力学的な観 点か ら十分に検討 されていない。 過去の研究で,m
複合体 を対象 とした生体 力学的研究はあるが,その多 くが静 的 荷重下の膝蓋臆の特性を評価 しているもの9'-14)であ り,衝撃荷重下の膝蓋鹿部の力学挙 動に関する研究15)は少ない。m
複合体 におけるスポーツ傷害の発生機序 を調べ るた め には,腰骨結節部 の骨化過程 を考慮 した衝撃荷重下での特性 を評価す ることが必要 で ある。 そ こで本研究では上記の膝関節膝蓋鹿部の衝撃荷重 に対す る動的挙動 を明 らかにす るための実験的研究 を行 った。すなわち,m
複合体内部の衝撃荷重の伝達機序 に及 ぼす腰骨結節部成長軟骨の骨化度 とpr
e
t
e
ns
i
on
の影響 にづいて調べたoまず,腰骨 結 節部骨化度の異なる試料 に対 し衝撃引張試験 を行 い衝撃荷重 の透過率 を測定 した。 続 いて,m
複合体 に対応す る力学モデルを作成 し,一次元弾性波伝 ば理論 に基づ く衝 撃応答解析16'を行 った。そ して衝撃荷重透過率 の理論的予測値 を求めるとともに,衝 撃荷重下のm
複合体内で最大ひずみを生ず る部位 を推定 し,実験結果 と比較 した 。 また,静的荷重下 と衝撃荷重下における最大ひずみの発生部位の比較 も行 った。m
複合体 の衝撃応答解析 によ り得 られる知見 は,スポーツ傷害の発生の予知な い し傷害に対する適切な治療を施す上で役立つと考える。 -1-・2
・
2.研究組織 研究代表者 田連 裕治 研究分担者 坂本 信 研究分担者 古賀 良生 研究協 力者 柴 田 博 司 (新潟大学 工学部 教授) (新潟工業短期大学 助教授) (新潟 こぼ り病 院 整形外科部長) (富 山商船高等専門学校 助教授)
3.
研究経費 平成10年度 2,700千 円 平成11年度 800千 円 計 3,500千 円 4.研究発表 (1)学会誌等 1.池乗 雅 也, 田蓮 裕治,古賀 良生,坂本 信 ,柴 田 博 司 :=膝蓋骨一膝蓋 臆 一腰 骨結 節複 合体 の衝 撃応答解 析 日 , 日本 臨床 バ イ オ メカ ニ クス学 会誌 ,Vol.20, pp.423-428,1999 (2)口頭 発表 1)匡慨 会 議1.Y.Tanabe,M.Ikenori,M.Sakamotoan dY.Koga:"ImpactResponse of Patella-Tendon-TibialTuberosityComplexin Corjun ctionwithOssificationof Growing Cartilage",AbstractsofThird World CongressofBiomechanics,
Sapporo,Japan,p.462,August,1998
2.
Y.
Tanabe,S.Hayamiand G.Omori:"ImpactResponseAnalysis of UHMWPE-BoneCementInterfaceofPateuaComponentinTKA'',Proceedings of15thEuropeanConferenceonBiomaterials(ESB '99),Bordeaux,Arcachon,France,September,1999
2)掛 シ ンポジウム等 1.田蓮 裕治,古賀 良生,坂本 信,柴 田 博司 :"衝撃荷重 を受 ける膝 関節膝 蓋 膝 部 の動的挙動 " , 日本非破壊検 査協会 応 力 ・ひず み測 定分科会 ,資料No.40022, 9月,1999 31_全国大会 ・支部大会等 1.池乗 雅 也, 田連 裕治, 中川 恒希,古賀 良生,坂本 信,柴 田 博 司 :" 膝 蓋 骨一膝蓋塵一腰骨結節複合体 の衝撃応答解析" ,第25回 日本臨床バイオ メカニ クス 学 会抄録集 ,p.143,11月,1998 2.田連 裕治 :"衝撃荷重 を受 ける関節軟組織 の挙動", 日本機械学会1999年度 年 -
3-次大会講演論文集,Vol
.
Ⅰ,pp.709-710,7月,1999 3.田連 裕治,古賀 良生,坂本 信,柴田 博司 :"膝蓋骨一膝蓋臆一腰骨結節複合 体 の衝撃応答解析", 日本機械学会関東支部 ・精密工学会 茨城講演会講演論文集 , pp.101-102,9月,1999 4.速水 盛太郎,田遠 裕治,安中 智彦,小林 弘明,韓 毅,古賀 良生,坂本 信,柴 田 博 司 :"膝蓋骨一膝蓋勝一腰骨結節複合体 の衝撃応答解析 (第2報)日 , 第26回 日本臨床バイオメカニクス学会抄録集,p.131,11月,1998 -4-5.研究成果 5.1 膝蓋膳部の衝撃応答に及ぼす腰骨結節部成長軟骨 の骨化度の影響 (1)まえがき m 複合体は,スポーツ特 に跳躍動作 によ り傷害が多発する部位である1)。また腰 骨 結節部骨端軟骨の骨化過程で傷害発生部位が変化 し,骨端症2ト4)(osgood病)や,膝 蓋臆炎5)8) (断裂) を生ずる。 この傷害発生部位の変化 は大腿四頭筋の衝撃的牽 引力 の
m
複合体 における伝達 メカニズムが骨化 の進行 に伴 う膝蓋臆および膝蓋臆付着部 の 材料特性の変化 に影響 されるためと考 え られているが,力学的な観点か ら十分 に検 討 されていない。 そ こで本研究では,m 複合体内部 の衝撃荷重の伝達機序を明 らかにす るため,衝 撃引張試験 を行 い衝撃荷重の透過率 を測定 した。そ して骨端軟骨の骨化度およびm
複合体 に対するpretensionが衝撃荷重透過率へ及ぼす影響を調べた。さらに,膝蓋 臆 単体の衝撃引張試験 を行い,膝蓋臆の材料特性を求め,5.2節で述べる衝撃応答解析 に 用いた。 ノ (2)試料および実験方法 【試料】 試料 は新鮮凍結 したブタ後肢か ら採取 したPTT複合体および膝蓋臆で あ る。膝 蓋臆以外 の軟部組織 は可能 な限 り除去 した。 また腰骨 は腰骨結節部 か ら約 20mm遠位部で切断 した。試料 は冷凍保存 し,実験前冷蔵庫 中に静置 して解凍 した 後,実験 に用いた。 図5.1.1(aト(C)に各体重 における代表的なm 複合体のⅩ繰画像 を示す。腰骨結節部 成長軟骨の骨化の進行 にともなう衝撃荷重透過率の変化 を調べるために,成長過程 前 期である体重約20kgf(N-5),成長過程後期である体重約100kgf(N-6),お よ び骨化 の完成 した体重200kgf以上 (N-6)の各個体か ら採取 したm 複合体 を用 い た。図5.1.1に示すⅩ線像か ら体重の大きいものほど腰骨結節部の骨化が進行 してい る と判断される。体重200kgf以上のm 複合体では腰骨結節部の骨化が完成 している の がわかる。 【実験克法】 m 複合体 の衝撃引張試験は図5.1.2に示すようなホブキ ンソン棒法 衝 撃試験装置17)を用 い,室温 (20℃)で行 った。膝蓋臆 に対 し所定のpretensionを与 え た後 , 入 射荷 重 約5kN, 引張 速 度 約1.3ms1セ衝 撃 試験 を行 った. 本研 究 で は pretensionの大きさを10,20,30,40kgfとした。膝蓋臆における応力緩和は負荷 後 急激 に起 こり13',18),衝撃試験 の結果 にば らつ き を生 じる原 因 とな るので,2
分 間 pretensionを与えた直後 に衝撃試験 を行 った。また一つの試料 に対 し数回衝撃試験 を 繰 り返 し行 ったが,それぞれの衝撃試験の間に20分間無負荷状態 にし,前回の負荷 に よる影響が実験に現れないようにした。 膝蓋臆単体の衝撃引張試験は図5.1.3に示すような衝撃引張試験装置15)を用い,室 温 (20℃)で行 った。膝蓋臆 に対 し所定のpretensionを与えた後,入射荷重約1.4kNで 衝撃試験 を行 った。本研究ではpretensionの大 きさを1,2,3kgfとした。m 複 合体の衝撃引張試験 同様,応力緩和 を考慮 して2分間pretensionを与えた直後 に衝 撃-
5-(
a
)
W=2
0
k
g
f
O)事 鮮捧 準鮮
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載
済
m
(
b
)W
=1
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k
g
f
(
C
)
W=2
0
0
k
g
f
図
5.
1.
1 m
複合体 の
Ⅹ
線画像
;雷
図
5.
1.
2 m
複合体の衝撃試験に用いたホブキ ンソン棒法衝撃試験装置の
概略図
●
●
試験を行 った。 また一つの試料に対 し数回衝撃試験 を繰 り返 し行 ったが,それぞれ の 衝撃試験の間に20分間無負荷状態 にし,前回の負荷 による影響が実験 に現れないよ う にした。 試料の準備および実験中は,試料に生理食塩水 を適宜噴霧 し,湿潤状態を保った。 (3)ホブキンソン棒法衝撃試験装置 【m 複合体用ホブキ ンソン棒法衝撃試験装置】
m
複合体に用 いたホブキンソ ン 棒法衝撃試験装置 (図5.1.2)について説明する。本実験装置はス トライカー棒,ア ン ビル,入力棒,出力椿,pretensionを負荷するPre-loading device,そ して記録装置 によ り構成されている。 試料 を入 ・出力棒間に取 り付 け,出力棒端 に取 り付けたPr
e-loading deviceによ りpretensionを与える。そ してス トライカー棒 をアンビルに衝突 させる ことによ り矩形波状の衝撃引張応力パルスが発生 し,入力棒,試験片,出力椿 と順次伝 ばす る。入 ・出力棒 に貼 られたひず みゲー ジ (共和電業 ( 秩),KFG-5-120-D16-llLIM2S)によ り引張応力パルス信号は検 出され,プリアンプ (日本電気 三栄 (樵),6M92)で増幅 された後,デジタルオシロス コープ (理研電子 (秩) , TCFL-8000)に記録 される。その信号はさらにコンピュータに転送 され計算処理され た。本研究では入 ・出力荷重の比 (-透過衝撃引張荷重 の最大値/入射衝撃引張荷 重 の最大値)を衝撃荷重透過率 と定義 して算出した。 図5.1.4はホブキ ンソン棒法衝撃試験装置 に取 り付けたジグおよびm
複合体試料 の 写 真で ある。膝蓋臆 が入 出力棒 と直線 上 に並 ぶ よ うに膝 蓋骨 と腰骨 をカ ップ状 の チャックに固定 した。試料は先端 を鋭利 にとが らせたボル トを膝蓋骨側に 3本,腰 骨 側 に3本で固定 した。 さ らに,試料 とチャック との相対的な滑 りを極力抑 えるた め に,チャックと試料の隙間に融点47℃の低融点合金 (Cerro de Corporation,NY, Mining&ChemicalProductaLtd,LPndon,Cerrolow 117)を充填 した。生体内 に おいて膝蓋骨が大腿四頭筋 により牽 引されることを想定 し,膝蓋骨 を入力棒側 に取 り 付けた。 【膝蓋臆用衝撃引張試験装置】 膝蓋臆単体 に用いた衝撃試験装置 (図5.1.3)につ い て説明す る。本実験装置 はCriscoら15)の装置 と同様の装置で,衝撃荷重用の重錘, 入 力棒,出力椿,そ して記録装置によ り構成 されている。試料を入 ・出力棒間に取 り付 け,下 に吊された重錘 によ り膝蓋臆 にpretensionを作用 させ,続いて衝撃用の重錘 を 落下させ ることによ り衝撃引張応力パルスを発生させた。入力棒,試料,出力棒 と順 次伝ば した衝撃 引張応力パルスは,膝蓋臆両端部チ ャックの直上,直下に貼 られた ひ ずみゲージ (共和電業 (秩),KFG-5-120-D16-llLIM2S)によ り検出し,プリア ンプ (日本電気三栄 (秩),6M92)で増幅された後,デジタルオシロスコープ (理 研 電子 (秩),TCFL-8000)に記録 される。 このときのパルス波形の立ち上が り時間 差 tを測定すれば,膝蓋臆のヤ ング率Eは式(1)で求め られる15'。 E-t2ph2(
1
)
ここで1は膝蓋臆の長さ,pは膝蓋臆の密度である.ただ し,tは上下のひずみゲージ ーTi
me(
ms
)
図
5.
1
.
5
人 ・出力荷重の波形の測定例
0
0
0
00
7
/んU
0
0
0
0
5
4
3
つム一
(∼
)
P t! O rT0
0
1
⊥ 干間距離
(
t
ot
a
lwa
vedi
s
t
a
nc
e)
を伝わ る応力パルスの伝 ば時間(
t
ot
alde
l
a
y
,図5.
1.
5
)
か ら膝蓋臆端部 とひずみゲー ジ間のチ ャック部 を伝わ る応 力パルスの伝 ば時間 を引 い た値で,応力パルスが膝蓋臆実質部 のみを伝 ばす るのに要す る時間である。
膝蓋臆 は両端 をカ ップ状のチ ャックに挿入 して固定 した。 さ らに,チ ャック と膝 蓋 腔 との隙間に融点
47℃
の低融点合金(
Cer
r
o de Cor
por
a
t
i
on
,r
W ,Mi
ni
ng
&Che
mi
c
alPr
oduc
t
aud,London,Ce
r
r
ol
ow
117)
を充填 し,チ ャックと臆 とのす べ りを極 力抑えた。(
4)
実験結果 【m
複合体 の衝撃引張試験】 衝撃 引張試験 によ り得 られたpr
e
t
ens
i
on
の増加 に伴 う衝撃荷重透過率 を測定 した結果 の平均値 を標準偏差 とともに各体重毎 にプロッ トす ると図5.
1.
6
の結果が得 られた。 体重,すなわ ち骨化 の程度 によ らずpr
e
t
ens
i
on
の増加 に伴 い衝撃荷 重透過率が増 加 していた。 また,体重の増加すなわち,腰骨結節部の骨化 の進行 に伴 い,衝撃荷重 透 過率が低下す る傾向も見 られた。 【膝 蓋 臆 の衝 撃 引張 試 験 】 膝 蓋 膳 単 体 の衝 撃 引張 試 験 によ り得 られ た 所 定 のpr
e
t
ens
i
on
で膝蓋腔のヤ ング率 を求めた結果 の平均値 を標準偏差 とともに各体重毎 に プロッ トする と図5.
1.
7
の結果が得 られた。本実験のpr
et
e
ns
i
on
が3kgf
までの範囲 内 ではpr
et
ens
i
on
の増加 に伴 う膝蓋臆 のヤ ング率 の変化 は非常 に小 さく, また,腰骨 結 節部の骨化度 の影響 も明 らかではなか った。(
5
)
考察m
複合体 の衝撃試験で測 定 した衝撃荷重透過率はm
複合体 にお ける荷重 の伝 わ り易さを評価す るもので ある。m
複合体 内部 には材料特性が不連続 とな る境界面 が 複数存在 し,各境界面で衝撃荷重の反射 ・透過挙動が超 こる. この反射 ・透過挙動 に よって衝撃荷重 の振幅は次第 に小 さ くな り,結果 として衝撃荷重透過率 の低下 を生 じ た もの と考 え られ る。pr
et
ens
i
on
が30kgf
までの範囲ではpr
e
t
e
ns
i
on
の増加 に伴 い 衝撃荷重透過率 も増加 したが, さ らにpr
e
t
ens
i
on
を増加 させ ると衝撃荷重透過率は ほ とん ど変化せず ほぼ一定 の値 を示 した。 この原 因として膝蓋臆の有す る非線形な応 力 - ひずみ特性 によるヤ ング率 の変化 の影響が挙 げ られる。つ ま り,ひずみが小 さい 領 域では膝蓋臆 の応カーひずみ特性は下 に凸 となるためpr
et
ens
i
on
の増加 と伴 にヤ ン グ 率 も増加 しそ の結果衝撃荷重透過率 も増加す るが,ひず みが大 き くな る と膝蓋臆 の 応 力 -ひずみ特性 は線形 となるためpr
et
ens
i
on
を増加 されて もヤ ング率 はほぼ一定で あ り,そ の結果衝撃荷重透過率 もほ とん ど変化せず はぼ一定 の値 を示 した のではない か と考 え られ る。次 に,骨化 の進行 に伴 う衝撃荷重透過率 の減少には,膝蓋臆 と腰骨 結 節部の境界 にお ける応力パルスの透過率が大 き く影響 していると思われ る。腰 骨結 節 部 は成長 に伴 い軟骨が骨 に変化す るため,急激 にヤ ング率は増加す るが,それ に対 し 膝蓋臆 の成長 に伴 うヤ ング率 の増加 は非常 に小 さいので,成長 に伴い両者 のヤ ング 率 の相対 的な差が大 き くな る。そ のため に膝蓋臆 と腰骨結 節部 の境界で膝蓋骨側か ら入 射す る応力パルスはその大部分が膝蓋陸側へ反射 され,腰骨結節部へ透過す る応カバ ー12-・ ] 3 ・
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0
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(
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)
)
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l
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I
1
0
20
30
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e
t
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i
o
n
,
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40
図
5.
1.
6
体重別
3
群の
p
r
e
t
e
ns
i
o
n
と衝撃荷重透過率の関係
5
0
0
・ ]4
・tZ
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仙
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n
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A
2
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,
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図
5.
1.
7
体重別
3
群の膝蓋陸の
p
r
e
t
e
ns
i
o
n
とヤ ング率の関係
ルスの振幅は小さくなると考 え られる。 膝蓋腔のヤ ング率のpretensionの増加 にともな う変化 は非常に小さかった。 これ は 本実験のpretensionが3kgfまでの範囲内では膝蓋臆のひずみの変化 も小さいためと考 え られる。 本実験では大きなpretensionを与えた上で衝撃荷重 を作用 させ ると,膝 蓋 臆 の断裂が生 じた ことか らpretensionは最大で3kgfとした。膝蓋臆の持つ応カーひ ずみ特性の非線形性の影響 を見 るためにはよ り大 きなpretensionでの実験 を可能 とす るような工夫が必要である。 また体重の増加すなわち骨化の進行 に伴 う膝蓋臆 のヤ ン グ率の変化が認 め られなかった ことは,膝蓋臆の材料特性は加齢 によってほとんど変 化 しないことを示唆 していると考え られる。
(
6
)
まとめ ブタ後肢か ら採取 した腰骨結節部 の骨化度の異なるm 複合体および膝蓋臆 に対 し 衝撃引張試験を行 った。その結果,以下の知見が得 られた。 1)pretensionの増加に伴い,衝撃荷重透過率が増加 した。2
)
腰骨結節部の骨化進行 に伴 う衝撃荷重透過率の減少傾向が見 られた。 3)膝蓋臆のヤング率は骨化の進行すなわち加齢によって変化することはなかった。 5.2 膝蓋骨 一膝蓋膜 一腰骨結節複合体の衝撃応答解析 (1)まえがき 1章 に述べたよ うに成長 に伴いm 複合体 における傷害発生部位が変化する1'。また 5.1節では腔骨結節部の骨化の進行 によ り衝撃荷重透過率が減少することが実験的に明 らかされた。 しか し,成長 に伴 いm 複合体各部 の形状 と材料特性が変化す るため , 衝撃荷重透過率 を決定す る力学的因子 を実験的に特定す るのは困難である。 そ こで m 複合体 に対応す る力学モデル を作成 し,一次元弾性波伝 は理論に基づ く衝撃応 答 解析16'を行 って,衝撃荷重透過率の予測 とPTT複合体各部の最大ひずみを求めることに した。また,静的荷重下 と衝撃荷重下 における最大ひずみ発生部位の比較 も行った0(
2
)
解析方法 本研究では,一次元弾性波伝は理論16'に基づ く計算プログラムを用いて,m 複合 体 に対応する力学モデルに対 し,衝撃応答解析 を行った。 作成 した解析モデルは,図5.2.1に示すような断面積および長 さの異なる円柱状の 要 素 によ り構成された一次元モデルである。各要素は,膝蓋骨,膝蓋臆,腰骨結節部 骨 化部,腰骨,そ して軟骨に対応す る。体重約20,100,200kgfのm
複合体 に対応 す る3種類のモデル を作成 した。なお完全骨化 していた体重200kgfの場合の試料 に対 応 す るモデルでは腰骨結節部骨化部 と腰骨間の軟骨に相 当する要素は存在 しない。 次 に,解析のアル ゴリズムについて説明する。図5.2.2に示すように弾性棒ⅠがⅡに 衝突す る場合を考 える。各棒 を長 さ△1の要素に分割 し,各要素の中点 における応力 の 時間変動 を計算す る.いま第n要素の時刻t(t>0)における応力をsn(I)と表せ ばそ れ は式(2)で与え られる。 sn(I)=S.t(i)+
S,?(i)+sn(i-At) -15-(
2)
ここで
AL-△L
/
C
e,
c
e
は弾性波の伝 ば速度である. またS.t(i)とS
,
?
(
i
)
は時刻tで第n
要 素 中をL
か らR
方向,R
か らL
方向へそれぞれ伝 ばする波 を表 してお り,式(
3
)
,(
4
)
で与 え られる。 S,t(I)-a
,
fsnR(I-At)+
鑑
1
S
,i(i-△L) S,T(i)
-α,
T
s
,
T
(
I-AL
)+Pn
L
.
1
S
,
7
.
1
(
i
-Al
)
ここでa
nL
,βnLはそれぞれ第n要素L側 の面の反射率,透過率を表 し, anF,βnRはそれ ぞ れR面のそれを表す。 初期条件はL方向,R方向へ伝 ばす る波 に分 けて与え,それぞ れ 式(5),(6)で表される。 snL(o)-sn
L
.
(5)s
n
F
(
o)-s
n
F
.
(6) 続いて,以上の各要素内を伝 ばする応力波頭s
n
L
,s
n
Rを逐次追跡 し,任意の時刻の応 力状態snは通過 した波頭応力を重ね合わせ ることによって求めるというアルゴ リズ ム に基づいて計算 プログラムを作成 した。いま,1つの要素に注 目し,その要素に入射 し た応力波 を全て記録す る。要素内の通過時間をチェック し,通過時間を超 えると隣 接 要素に波頭 を送 る。反射成分がある場合は, 自分 自身にその波頭 を送 る。 この過程 を フローチ ャー トとして示すと図5.2.3のようになる。 次 に解析 に必要な諸量を求める計算式 について示す。要素mを伝ばす る応力波 (弾 性波)の速度㌦
は,式(7)によ り求め られる。 cm-蹄
(7) ここでE は要素のヤ ング率,pmは密度 を表 しているOまた隣接する2つの要素,要素 1nl と要素2
の境界 における入射波 と反射波,透過波の間には,式(
8
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の関係が成立する。Or
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(8) ここでGは応力を表 し,添字r
,i,tは各々反射波,入射波,透過波 を意味す る添字で あ る。Aは要素の断面積,Eはヤ ング率,Cは式(7)で与え られる波の伝ば速度であ り, 添 字1
,2
はそれぞれ要素1
,要素2
に対応 している。また,衝撃荷重がm
複合体 内 部 を波動 として伝 はす る際には減衰す ると考え られることか ら,式(9)によ り与え られ るような応力パルスの伝ばに伴 う波頭の減衰を考慮 して解析を行った。k
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ここでk
は減衰率,lは応力パルスの伝ば距離,O
は応力パルス波頭の振幅,1
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5.
2.
2
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p図
5.
2.
3
計算プログラムのフローチャー ト
各々単位距離,単位応力振幅である。 解析 に必要な入力データは,各要素の弾性率,密度,断面積,長さである
。
m 複 合体モデルの作成法については5.2節(3)項で述べる。 (3)解析モデルの作成m
複合体 に対応する力学モデル作成 のために必要な,m
複合体各部 の材料特 性 (ヤ ング率,密度),形状 (断面積,長 さ)は以下の方法で求めた。骨化過程の材料特性の変化 を調べるため,PQCT (peripheral Quantitative Computed Tomography,NORLAND-STRATEC社,ⅩCT-960)を用いてBMD
(Bone Mineral Density)分布 を測定 した。BMDとヤング率は一対一 に対応す る (図5.2.4)19)ことが知 られているので,測定 したBMD分布か ら
m
複合体 のうち膝 蓋 9 骨,腰骨結節部骨化部,腰骨のヤ ング率 を面積分率 (E-∑ qi=ii・r::I/ 9 ∑ 4 ;ここでEiは i=1 BMDか ら求めたヤ ング率,A.1は各海綿骨,皮質骨の領域 の面積である) によ り推定 し た。また,骨のヤ ング率 と密度の間にも一対一の対応関係がある (図5.2.5)20)ので , 上述の推定 したヤ ング率か ら図5.2.5の結果 を用いて複合体の骨および骨化部の密度 を 推定 した。軟骨の弾性率および密度は表5.2.1に示すような文献値21),22)を採用 した。膝 蓋 臆のヤング率は実験よ り得 られたpretensionが 3kgfでのヤ ング率96MPaを用いた。 表5.2.1 軟骨のヤ ング率 と密度 ヤング率 (MPa) 密度 (kg/m3) 膝蓋骨,腰骨結節部骨化部,腰骨および軟骨の形状 (断面積 と長 さ)はⅩ線画像 か ら測定 した。すなわち,各部の形状 を円柱形状 に近似 し断面積,長 さを決定 した。 膝 蓋臆 の断面積お よび長 さは各々エ リアマイ ク ロメータお よび ノギスを用 し昨 測定 し た。pQCTな らびにⅩ線撮影 による材料特性,形状の測定は各体重群で5個体の試料 に 対 し行い,その平均値 を解析 に用 いた。 以上の方法で体重約20,100,200kgfのm 複合体 に対応する3種類の解析モデ ル を作成 した。 pQCTに よ り測 定 した 膝 蓋 骨 と腰 骨 のBMD分 布 画 像 の 代 表 例 を 図5.2.6 (W-20kgf),図5.2.7 (W-100kgf),図5.2.8(W-200kgf)に示す。 BMD分布画像か ら推定 した各複合体 の膝蓋骨,腰骨結節部骨化部,腰骨のヤング率 を 表5.2.2に,密度 を表5.2.3に示す。また求め られたヤング率を体重20kgfの個体のヤ ン グ率によ り規準化 した結果 を図5.2.9に示す。腰骨部 と膝蓋腔よ りも膝蓋骨 と腰骨結 節 部のヤ ング率の成長 に伴 う増加割合が大きいのがわかる。なお,膝蓋臆のヤ ング率 は 膝蓋臆単体 の衝撃引張試験よ り求めた値である。 X線画像か ら試料各部 の形状 を測定 し,円柱形状 に近似 した場合のm 複合体の 各 部の長さを表5.2.4に,断面積 を表5.2.5に示す。以上の表5.2.1-表5.2.5の諸数値に 基 -20-づいて5.2節(2)項で述べた解析モデル (図5.2.1)を作成 した。 表5.2.2 複合体各部 のヤ ング率
・膝蓋 骨 腰骨結節部 腰 骨 (MPa) (MPa) (MPa)
体重 20kgf 430 390 3060 体重 100kgf 1970 4690 516b 表5.2.3 複合体各部 の密度 膝蓋骨 膝蓋臆 腰 骨結 節部 腰骨 (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) 体 重 20kgf 140 1149.3 140 400 体重 100kgf 297 1081.3 580 590 表5.2.4 複合体各部 の長 さ 膝蓋骨 軟骨1 膝蓋臆 軟骨2 腰 骨結節部 軟骨3 腰骨 (m1両 (mm) (mln) (mm) (mm) (HIM) (mm) 体重 20kgf 19.5 2.6 51.1 0.9 7.2 -1.0- 59.1 体 重 100kgf 36.1 2.2 71.1 2,.3 8.5 1.9 57.8 表5.2.5 複合体各部 の断面積 膝蓋骨 膝蓋膳 鹿 骨結節部 腰 骨 (mm2) (
…
2) (mm2) (m 2) 体重 20kgf 128.7 33.4 198.4 394.0 体 重 100kgf 466.2 91.9 506.6 789.9 -21- 司ib・ 2 2 ・
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5.
2.
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5.
2.
8
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2.
9
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体重
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の
モデル によ り規準化)
(
4)
静的解析 衝撃荷重下のm 複合体 の最大ひずみの発生部位 と静的荷重下のm
複合体の最大 ひずみの発生部位 とを比較す るために,衝撃応答解析に用 いたものと同一の解析モデ ルに対 して,静的解析 を行 った。静的荷重の大きさは5×102Nとした。 この値は衝撃 荷重の振幅と同一である。 (5)解析結果 5.2節(3)項で作成 した3種類の解析モデル に対 して,減衰 を考慮 した∵次元弾性波 伝 ば理論 に基づ く衝撃応答解析 を行 った。そ して衝撃荷重透過率 の理論的予測値 と m 複合体内部で最大ひずみを生 じる部位 を求めた。衝撃応答解析 によ り衝撃荷重透 過率を予測 した結果,体重 の増加すなわち骨化 の進行 に伴 って衝撃荷重透過率が減少 す るという実験結果 と定性的に一致する結果が得 られた。 また,式(9)における減衰率 kを変化 させて計算 を行った ところ,k-3.35の場合に,実験結果 と定量的にほぼ一致 す る結果が得 られた (図5.2.10)。次 に各骨化過程 において,各要素のひずみの時刻 歴 を計算 した。そ の結果か ら各要素で生 じる最大 ひずみ を求 めた (図5.2.ll)。 ま た,静的荷重下 の各骨化過程 における各要素の最大ひずみ を求めた (図5.2.12)。衝 撃荷重下の結果 を見ると骨化過程前期 のモデルでは腰骨結節部成長軟骨遠位面,骨化 過程後期 のモデルでは腰骨結節部成長軟骨遠位面 と膝蓋臆付着部 の両部 中間の骨端 秩,骨化完成 したモデルでは膝蓋臆および膝蓋腔付着部 の軟骨でひずみが最 も大き くし」 なっていた。それ に対 して静的荷重下では骨化過程前期 および骨化過痩後期 のモデル とともに膝蓋骨側の膝蓋臆付着部の軟骨でひずみが最 も大きくなっていた。 衝撃荷重下および静的荷重下のモデル解析 によ り得 られたm 複合体 にお ける最大 ひずみ発生部位 を強調 して示す と図5.2.13のようになった。(
6
)
考察 5.1節で行 った衝撃引張試験結果 と,本節で述べた衝撃応答解析 との結果 を比較検討 す る。衝撃応答解析によ り衝撃荷重透過率 を予測 した結果 は腰骨結節部の骨化の進行 に伴い衝撃荷重透過率が減少するとい う実験結果 をよ く再現できた。前報23)では,波 の伝ばに伴 う減衰 を考慮せず に解析を行ったため衝撃荷重透過率の予測値 と実験値 と では前者が約 10倍大きかった。本論文では前報に比較 して実験結果 と定量的にほぼ 一致する結果が得 られた。実際には,m
複合体の各部 にはそれぞれ異なる減衰率が あると考えるのが合理的であ り, この点を詳細 に検討すれ ばさらに解析結果 の精度 向 上が期待 される。 またm
複合体 中における最大ひずみの発生箇所は衝撃荷重下 と静的荷重下では異 な り,衝撃荷重下の骨化過程前期のモデルでは腰骨結節部成長軟骨遠位面,骨化過程 後期のモデルでは腰骨結節部成長軟骨遠位面 と膝蓋臆付着部の両部中間の骨端核,骨 化完成 したモデルでは膝蓋臆および膝蓋臆付着部の軟骨でひずみが最 も大 きくなって いた。それ に対 して静的荷重下の骨化過程前期および骨化過程後期のモデルでは膝蓋 骨側の膝蓋臆付着部の軟骨でひずみが最 も大 き くなって いた。衝撃荷重下の最大ひず み発生部位 は臨床的傷害である腰骨結節部剥離,骨端症 ,膝蓋臆断裂の発生部位 にそ れぞれよく対応 しているといえる。一方,静的荷重下ではモデルにかかわ らず,膝蓋 -28-・
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5.
2.
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図
5.
2.
1
3
最大ひずみの発生部位 (
解析結果) と臨床的傷害 との対応関係
骨側の膝蓋臆付着 に最大ひずみが生 じた。すなわち,各種傷害の発生には動的な荷重 状態が主体であることが示唆された。 本解析では小 さな振幅 (5×102N)の入射衝撃荷重に対応するひずみを求めた。 し か し実際の跳躍運動な どではよ り大きな衝撃的負荷が作用す ると考 え られ,生 じるひ ずみも大 きくな ると思われる。 したがって傷害発生に関する定量的知見 を得 るため に は跳躍運動時に発生する衝撃荷重の高精度計測 とともに当該部位 の傷害発生 を引き起 こすひずみの限界値 について検討す る必要があると考え られる。
(
7
)
まとめ m 複合体 に対応する力学モデル を作成 し,減衰を考慮 した一次元弾性波伝 ば理論 に基づ く衝撃応答解析,および静的解析 を行 った。そ して衝撃荷重透過率の理論的予 測値 と衝撃荷重時および静的荷重時の複合体 内部で最大ひずみを生 じる部位 を求め, 両者を比較 した。得 られた結果をまとめると以下のようになる。 1)応力波の伝ばに伴 う減衰を考慮 して一次元弾性波伝ば理論に基づ く衝撃応答解析 を 行 った。その結果,衝撃荷重透過率の予測結果 は実験結果 と定性的,定量的に良く合 致 した。 2)静的荷重下 と衝撃荷重下ではm 複合体における最大ひずみの発生部位は異な り, 衝撃荷重下の結果が,臨床的傷害の発生部位 と良く対応 した。 -33-6.まとめ 本研究では,m 複合体内部の衝撃荷重の伝達機序に及ぼす腰骨結節部成長軟骨 の 骨化度 の影響を調べた。すなわち,腰骨結節部の骨化度 の異なるm 複合体および膝 蓋臆 に対 し衝撃引張試験な らびに一次元弾性波伝 ば理論 に基づ く衝撃応答解析 を行 っ た。得 られた結果は次の通 りである。 (1)Pretensionの増加に伴い,衝撃荷重透過率が増加 した。 (2)腰骨結節部の骨化進行 に伴 う衝撃荷重透過率の減少傾向が見 られた。 (3)膝蓋臆のヤング率には骨化の進行すなわち加齢 によって変化することはなかった。 (4)応力波の伝 ばに伴 う減衰 を考慮 して一次元弾性波伝ば理論に基づ く衝撃応答解析 を 行 った。その結果,衝撃荷重透過率の予測値は実験結果 と定性的,定量的に良 く一致 した。 (5)静的荷重下 と衝撃荷重下ではm 複合体における最大ひずみの発生部位は異な り, 衝撃荷重下の結果が,臨床的傷害の発生部位 と良く対応 した。 膝関節におけるスポーツ傷害の発生機序を明 らかにす るためには,衝撃荷重下で の 膝関節の力学的挙動 について知見 を得 ること-が必要不可欠である。本研究ではその手 始 め としてm 複合体 に対 し衝撃引張試験を行 い衝撃荷重透過率 を求めた。また,解 析的な検討を行 う上では各部位の骨化 の進行 あるいは加齢 に伴 う材料特性の変化 を知 る必要があ り,本研究ではまず膝蓋臆 の材料特性 について調べた。その結果,加齢 に よる膝蓋臆の材料特性の変化はほとん ど認め られなかった ことか ら,m 複合体 の衝 撃伝達機序にも影響 を及ぼさないもの と考え られ る。 したがって,今後はさ らに軟骨 な どの他の部位 の材料特性の変化 を明 らかにし,解析モデルの精密化 に反映させて い く必要があると考え られる。 キー ワー ド 生体力学 / スポーツ傷害 膝蓋骨一膝蓋臆-腰骨結節複合体 骨化 ホブキンソン棒法衝撃試験 一次元弾性波伝ば理論 KEYWORDS Biomechanics Kneejoints 0ssification 膝関節 衝撃荷重 Sportsinjury
Patella-Patellartendon了nbialtuberosutycomplex lmpactload
Hopkinsonbarmethod One-dimensionalwavepropagationtheory
謝辞
本研究は,平成10年度文部省科学研究費補助金および平成11年度 日本学術振興会科 学研究費補助金 (基盤研究
(
C)
(
1
))の援助によって行われた ものであ り,心よ り感 謝 す るものである。34-参考文献
1
)
史野根生 ほか,膝 のスポーツ傷害,医学書院,1
995
2)OgdenJ
A,Sout
,
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89,1
976
3
)
中村 尚,古賀良生 ほか,腰骨粗面剥離骨折の1
2
例,整災外,28,1
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池乗雅也ほか:膝蓋骨 一膝蓋腱 一腰骨結節部複合体 の衝撃応答解析,日本臨床バイ オメカニクス学会誌,20:
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章 に対応す る文献) 良と萱会誌豊 1.池乗 雅也,田遠 裕治,古賀 良生,坂本 信,柴 田 博司 :"膝蓋骨一膝蓋臓一 腰骨結節複合体 の衝撃応答解 析 ", 日本 臨床バ イオ メカニ クス学会誌 ,Vol.20, pp.423-428,1999-
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会議1.Y.Tanabe,M.lkenori,M.SakamotoandY.Koga:lflmpactResponseofPateJl a-Tendon-TibiaITuberosity Complex in Conjunction with Ossification ofGrowlng CartHage",AbstractsofThirdWorldCongressofBiomechanics,Sapporo,Japan, p.462,August,1998
2.Y.Tanabe,S.HayamiandG.Omori:"ImpactResponseAnalyst sofUHMWPE-BoneCementInterfaceofPatelJaComponentinTKA",Proceedingsof15thEuropean ConferenceonBiomaterials(ESB.99),Bordeaux,Arcachon,France,September,1999