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〈資料〉経済学部の理念とその解説

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Academic year: 2021

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田 r ト ト ︰ ︰ ︱ ︱ ト ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー < 資 料 >

経済学部の理念 とその解説

経済学部理念 ワーキ ング

荒 井 毒

申 山

黒 石

グループ

滋賀大学経済学部の理念 1 . 建 学の精神 と滋賀大学経済学部の誇 りうる独 自性 本学部の前身、彦根高等商業学校 は,建 学の精神 として 「士魂商才」 を謳い,そ れに対 し養成すべ き人材 としての<相 互扶助 。社会奉仕的精神 をもった商業的技術 の専 門家 >と い う独特の意味 を付与 しました。それは,地 域社会への奉仕 ・貢献 を 前面 に出 し利益追求 を副次的 とす る近江商人の精神 と大 きく合致するもので した。 こうして,幕 末期彦根藩が示 していた視野の開明性 ・先見性 と教養重視の伝統 とも 相侯 つて,彦 根の地 に,高 い人格 と豊かな教養 を備 え地域社会 にも貢献で きる専門 職業人の養成の場が創 り出されました。 そ うした彦根高商の伝統 を受け継いで,第 二次大戦後,発 足 した滋賀大学経済学 部 は, 経 済界等 に多 くの優れた人材 を輩出 しなが ら,社 会 と地域の要請 に応 えて大 きな発展 を遂げて きました。そ して,古 来 よ り近畿 ・東海 ・北陸の経済的文化的交 流点であ り,琵 琶湖 をかかえ環境意識の高い滋賀県 に立地する国立大学経済学部で ある本学部 は,そ うした学部 としては,全 国最大規模の陣容 を整えていること,特 に国立唯一の ファイナンス学科お よび人文 ・社会 ・自然諸科学の学際的研究教育 を 担 う社会 システム学科 を含めて, 6学 科 ・修± 2専 攻 を有する総合的性格 をもつ経 済学部であること,附 属史料館 は,中 世社会 に関する我が国第一級の貴重な史料 を は じめ として,近 世近代の古文書群 を所蔵 し,近 江商人 ・近江地域史研究の拠点 に

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94 彦 根論叢 第 326号 な つ ` てい る こ と,等 の独 自性 を備 えるに至 ってい ます 。 2.教 育理念 と学部づ くりの 目標 21世紀 を迎 えて滋賀大学経済学部 は,こ れ までの実績 と伝統 に安住す ることな く, 独 自の工夫 を こ ら した改 革 を進 め,急 激 に変化 す る社 会 と地域 の要請 に応 え,有 為 の人材 の養成 とよ り高次 の知識創造 ・学術 文化 に資す る高等教 育機 関 としての発展 を 目指 します。 滋 賀大学経 済学部 は,建 学 の精神 を現代 に生 か した教育理念 と し て 「国際 的 な視 野 を もち,環 境 に配慮 しつつ地域社会 に も貢献 で きる,個 性 あ る専 門職 業 人 の養 成 (グローバ ル ・スペ シ ヤリス トの養成)」 を掲 げ,そ の資 質 として 3つ の識 「意識 ・知識 ・見 識」 (問題 意識 ・専 門知識 ・規範意識)の 酒養 とそれ を 基礎 に した問題探 求 能力 の育成 をモ ッ トー に して,次 の ような目標 に向かって学部 づ くりを推 進 します。 ①21世紀の経済社会のニーズに応 える人材養成 国際的な視野 をもち,環 境 に配慮 しつつ地域社会 に も貢献で きる,深 い専 門知 識 をもった経済人 を養成 します。 ② 問題探求能力 を培 う教育お よび学際的な研究のシステムの構築 6学 科 ・修± 2専 攻体制の もとで,少 人数教育や情報処理教育 に力点 を置 きつ つ,継 続的な教育内容 ・方法の改善 (ファカルテイ ・デイベロップメン ト)を 推 進 します。総合的性格 をもつ学部教育 に対応 して,大 学院修士課程の拡充 ととも に博士課程の創設 を目指 します。 また,学 内共同利用機関を一層活用 しつつ,全 国最大規模の教員陣容 に依拠 した学際的共同研究体制 を発展 させ ます。学生 にとっ て快適 なアメニテイの高いキヤパス整備 を進めるとともに,学 生・教員の自由な 発想 ・発言 を生かす良好 な教育 ・研究環境 を維持 し発展 させ るよう努 めます。 ③地域 に根 ざ した教育 ・研究活動 の展 開 産業共同研究セ ンター ・史料館 ・情報処理センターなどを中核 とする地域的産 学協 同 ・地域史研究 ・地域社会交流 を積極的に推進 します。 また,琵 琶湖 に発す る環境経済研究 ・教育 を推進 し,地 域の環境政策にも積極的に関与 します。その 際,近 畿 ・東海 ・北陸の接点 としての地域拠点性 を活用 して,地 域貢献活動の交 流 ・広域化 を目指 します。学生のインター ンシップ ・地域ボランテイア活動 と企 業人 ・社会人の受 け入れ を推進 します。

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<資 料 >経 済学部の理念 とその解説 95 ④ 国際的な学術 ・教育交流の推進 大学 問国際交流 を活用 して,現 代の経済社会の変容比較 と環境問題 を軸 とした グローバルな発信 と交流,特 にアジア ・太平洋地域 との学術 ・教育交流 を積極的 に推進 します。 ⑤歴史的な実績 と伝統の踏襲 ・発展 彦根高商以来の実学的伝統 を現代 的に継承 し,学 部での実学的教育の充実そ し て グローバル ・ファイナ ンス専攻 (仮称)な どの設置 によって拡充 された大学院 教育 による高度専 門職業人養成 と現代的実務の理解で きる研究者養成 を推進 しま す。 ⑥全員参加の活力ある学部運営 学部情報 を地域社会 に広 く公 開 し,外 部か らの評価 を積極的に受けとめつつ, 教職員全員参加の活力ある学部運営 に努め ます。 2000年 4月 20日経済学部教授 会決定

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彦根論叢 第 326号 経済 学部の理念 について ( 解説 ) 昨年度末か らア ンケー トと討議が行 われて きた 「滋賀大学経済学部の理念」が, 4 月 2 0 日の教授会 において決定 された。 この文書 は,「建学の精神お よび滋賀大学 経済学部の誇 りうる独 自性」 と 「教育理念お よび学部づ くりの 目標」 とい う二つの 部分 か ら構成 されている。 こうして, 本 学部の理念 は, 戦 後の発展過程 を踏 まえた 現段 階の到達点 お よび今後解決すべ き具体 的諸課題 か ら規定 される 「教育理念」 「目標」 を明示するとともに, 学 生への教育力の源泉 ともな りうる本学部の歴史的 アイデ ンテ イテ イを,今 日の観点か ら見て摘出 ・再確認するに値する簡潔な 「建学 の精神」 「独 自性」 として掲 げている点 に特徴があると言 えよう。以下では, 「建学 の精神」 と 「教育理念」がいかに して形成 されたのかを要約的に示す ことに したい。 そ こで まず,「建学の精神」 について要約す る。本学部の前身,彦 根高等商業学 校 は, 建 学の精神 として 「士魂商才」 を謳い,そ れに対 して<相 互扶助 ・社会奉仕 的精神 をもった商業的技術 の専 門家 > の 養成 という独特の意味 を与 えた, と い うの がその内容である。 「士魂商才」 とは通常,明 治初期の啓家的思想家,福 沢諭吉が,利 よりも義,私 の立場 よりも公の立場 したがつて国家 を重ん じる 「士魂」が,富 国強兵 を支 える商 工業の振興のために,創 意 ・工夫 ・発明によつて富 を創 り出す 「商オ」 を身に付 け 活用すべ きである, と して初めて唱えた儒教思想 ない し嬢商意識の払拭 を目指す近 代 的国家意識体現の一標語である とされる ( 坂田吉雄 『士魂商オ :日本近代企業の 発生』未来社, 1 9 6 4 年) 。 だが,こ の言葉は,大 正末期の彦根高商の開校時には,関 係教員 によって独特の 意味が付与 される。中村健一郎初代校長 は, 「タロ才 ない商人の育成ではな く, 井 伊 大老の ような上品優雅で視野の広 い教養人」の育成 とい う意味 をそれに与 え, 好 ん で使用 した とされる (『産経新聞』9 9 年8 月 2 6 日付, 『陵水六十年史』) 。また, 高 商 の研究紀要の創刊 当時,経 済政策担当の石川果二教授 は,「偏職業教育主義 に反 し て,人 格教育又は文化教育 を重んず ること」で始 まる学制改革四綱領 に関する論考 のなかで,高 商の教育 目的 として 「商業的技術」の授与 による 「資本主義的利己的 商人ではな くして, 真 に社会的精神生活の経済的基礎 を与ふ るに進 んで努力すべ き

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︱ ︱ < 資 料> 経 済学部の理念 とその解説 9 7 社 会奉仕 的商人」 の養成 を明示 してい る ( 『彦根高商論叢』創刊号 , 大 正1 5 年3 月 ) 。 さ らに, 民 法担 当の世 良琢磨教授 は, 高 商 の人材養成 の方針 と しての 「士魂商才」 につ い て直接論 及 し, 「新 時代 の商人」 は 「士魂」 す なわ ち 「相戒 め相励 んだ精神」 =「 相互扶助」 による 「商才」すなわち 「経済的財貨の調達支配の術」の 「鍛 え直 しを必要 とす る」,換 言すれば 「商オ を士魂 によつて鍛 え,よ って経済活動 を人間 の共同目標へ正 しく導 くことを必要 とする」 と論 じている (同上誌,第 二号,大 正 15年12月)。 ここでは,お そ らく日本資本主義の興隆に伴 う社会労働問題の発生 と 大正デモ クラシーの展 開を背景 とした 「士魂商才Jの 語義の独特の捉 え直 し,す な わち 「商業的技術」の専 門家養成 における 「相互扶助」 「社会奉仕」 的精神 の鍛錬 の必要性 とい う意味への転換が行 われている と言 えよう。 こうして,地 域社会への奉仕 ・貢献 を前面 に出 した近江商人の精神や幕末期彦根 藩が示 していた視野の先見性 と教養重視 の伝統 とも重 なる彦根高商の建学の精神 に は,今 日なお回顧するに値する開明的近代 的意図が先人たちによつて込め られてい た ように思われる (『週刊読売』99年 9月 12日付,参 照)。 次 に,「教育理念」 について要約 しよう。本学部 は,建 学の精神 を現代 に生か し た教育理念 として 「国際的視野 をもち,環 境 に配慮 しつつ地域社会にも貢献で きる, 個性 ある専 門職業人の養成 (グローバル ・スペシヤリス トの養成)」を掲 げ,そ の 資質 として 3つ の識 「意識 ・知識 ・見識」 (問題意識・専門知識 ・規範意識)の 涵 養 とそれ を基礎 に した問題探求能力の育成 をモ ッ トー とする,と いうのがその内容 である。 本学部独 自の教育理念が対外 的に明示的な表現 として姿 を現すのは,90年 代以降 である。その最初 は,学 科改組 。新設 に関する93年度概算要求においてであ り,そ の文言 は 「グローバル (地球的規模)な 視野 と問題解決 におけるシステム思考,人 間社会のあ り方 についての価値規範 を身につけた経済人の養成」 とい うものである。 因み にその際,新 学科 となる社会 システム学科 について 「伝統的学問の総合化 によ る世界的視野 と新 しい事態 に対処 し得 る柔軟 な思考態度 を備 えた21世紀の Fグロー バ ル ・ジェネラリス ト』の養成 を目指す 『総合』的な教育機能」 とい う性格付 けが 行 われている。次 は 『滋賀大学の現状 と課題 (1996年版)』においてであ り,そ こ では 「情報化 と国際化 にふ さわ しいグローバルな視野 と基礎能力 をもった経済人 ・ 企業人の育成」 とい う簡潔 な文言が登場 している。三番 目の ものは 「フアカルテイ

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98 彦 根論叢 第 326号 ・アイデンティティ (FI)委 員会報告」(98年3月 )に おいてであり,「一つの案 として 『個性ある専門職業人 (グローバル ・スペシャリス ト)の 養成』というアイ デア」 という形で,初 めて片仮名の単一スローガンが提起されている。そして四番 目には,F滋 賀大学の現状 と課題 (1999年版)』が 「(ア)個 性ある専門職業人養成 のための教育システムの改革,(イ )国 際的水準 を踏まえつつ地域社会に貢献でき る研究活動の促進」 という形で教育理念を提起 している。 90年代 における以上のような諸提起に対 して,今 回のいわば2000年版の教育理念 の特徴は,次 の諸点にまとめられよう。第一に,「グローバル ・スペシャリス トの 養成」 という基本スローガンを継承するとともに,「グローバル」 という形容詞の 中身を国際的視野 ・環境配慮 ・地域社会貢献 という本学部の伝統 ・独 自性に関連 し, かつ今 日の大学教育に要請されている基本的な教育視点 として明示 したこと,第 二 に,「グローバル ・スペシャリス ト」の資質 として,問 題意識 ・専門知識 ・規範意 識の酒養 という専門職業人指向の学生の共通的資質とともに,複 雑高度化 し, もは やマニュアルのない21世紀の経済社会のもとで不可欠になるであろう学生の主体的 な問題探求能力の育成を提起 したこと,第 三に,「グローバル ・スペシャリス ト」 の養成は,今 後,本 学部が直面する具体的諸課題,す なわち①21世紀の経済社会の ニーズに応える人材養成,② 問題探求能力を培う教育および学際的な研究システム の構築,③ 地域に根 ざした教育 ・研究活動の展開,④ 国際的な学術 ・教育交流の推 進,⑤ 歴史的な実績 と伝統の踏襲 ・発展,⑥ 全員参加の活力ある学部運営,と いう 諸課題の解決のなかでこそ首尾 よく達成 されることを明確にしたこと,で ある。 とはいえ,今 日,い わゆる独立行政法人化問題を始めとして,本 学 ・本学部と国 立大学をめ ぐる状況は急旋回のなかにあ り,本 学部の教育理念 もまた,今 後,そ れ に対応 した迅速適切なバージョンアップが不可欠になるであろう。 (理合 の簡単 な紹 介 につ い て は,『 しが だい』 第 3号 に掲載 されてい る)

参照

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