Title 脂質代謝関連動物モデルの確立と摂取脂肪酸の代謝に関する研究( 内容の要旨 ) Author(s) 矢野, 崇 Report No.(Doctoral Degree) 博士(農学) 甲第199号 Issue Date 2000-09-08 Type 博士論文 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/2540 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 矢 野 (京都府) 博士(農学) 農博甲第199号 平成12年9月8日. 学位規則第4条第・1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 岐阜大学 脂質代謝関連動物モデルの確立と摂取脂肪酸の し代謝に関する研究 主査 岐 阜 大 学 教 授 上 吉 副査 岐 阜 大 学 助教授 土 井 副査 静 岡 大 学 教 授 番 場 副査 信 州 大 学 教 授 佐々木 副査 岐■阜大学 教 授 鈴 木 治 守 桂一昭 道 公 晋文 論 文 の 内 容 の 要 旨 コレステロール(CHO)は細胞膜の構成成分として、また、種々のステロイドホ
ルモンの前駆体与して生体の恒常性維持に必須の成分である。一方、CHOの代謝・
異常は動脈硬化症やCHO胆石など種々の疾患の重要な要因となる。これらの疾 患はいずれも近年本邦において急増.しており、食生活の西欧化、とりわけ、摂取 する脂肪酸の量や種類の変化との関係が指摘されている。しかレながら、高純度 の脂肪酸を用いてこれらの因果関係を検討した研究は極めて少ない。 従って」本研究では、CHO代謝に関連して臨床上問題になる疾患を対象として、 その疾患モデルを作製し、それらのモデルを用いて、高純度に精製したエイコサ ペンタエン酸(EPA)の影響を検討した。 先ず外因性および内因性の高脂血症モデルを作製し、これちのモデルにおいて、 EPAが血中総CHOおよびトリグリセリドCrG)を低下させることが明らかとなっ た。また、E恥投与ラットの肝ミクロソーム画分において14C標識オレイルCGA から生成する114Cl二G量は有意に低下した。HPLC法によりリボ蛋白を分画した ところ、EPA投与したラットの超低比重リボ蛋白(Vu)Uは溶出時間が対照ラッ トに比して遅く、また、m含量が低下していた。これらのことから、EPAによ り併臓におけるTG合成が抑制された結果、VLDLの篤含量が低下し、VLDL粒子が小型化したと推察された。こ■の粒子の小塾化に伴い、アポE/C比の上昇が
認められた。さらに、EPA投与ラットのEPA-richとなった全リボ蛋白画分を、 別なラットに静脈内投与したところ、非投与ラットのリボ蛋白に比し消失速度が 速かった。これらの結果から、Eぬが肝臓におけるTG合成を抑制した結果、-5-VLDLの性状がクリアランスを受け易い性質/形状に変化したと推察された。 次いで動脈硬化巣における血管内膜肥厚に及ぼすEPAの影響を、ウサギ頸動脈 カフ被包モデルを用いて検討した。頚動脈のカフ被包部位には平滑筋細胞の増殖 を特徴とした内膜肥厚が認められたが、EPA投与群ではその肥厚の程度は軽度で あった。さらに、HMG-CoA還元酵素阻害剤を併せて投与したところ、各々の単 独投与よりも強力な脂質低下と血管内膜肥厚抑制が認められた。同様の効果は、 バルーン障害モデルでも認められ、これらのモデルが薬物の臨床的検査に応用で きる可能性が示唆された。 しかしながら、最近の研究では、脳梗塞や心筋梗塞などの血管事故を抑制する ためには、動脈硬化プラークを質的に変化させ、破綻の起き難い、安定したプラ
ークに変化させることがより重要であるt考えられている。そこで、ウサギを用
いて、不安定プラークに類似する動物モデルを作製する事を読み、まずバルーン傷害と血中の高CHO状態によって血管内膜に泡沫細胞に富むプラークを作製し、
次いで2度目のバルーン障害を与えることによってその上層に平滑筋細胞と線雄 性分からなるCap構造を形成させることに成功した。本モデルの病巣にはプラー クの破綻をもたらすとされるマトリクスメタロブロテアーゼ(胴虹P)の活性冗進 が琴められた。 CHO胆石は、動脈硬化と同様に近年の食習慣の西欧化に伴い本邦で増加してい る疾患である。そこで胆石形成に及ぼすEPAの影響を、ハムスターを用いて検討 した。ハムスターの系統を選抜し、し通常飼料に近い組成の胆石形成飼料でCHO 胆石を作製することができた。EPAはCHO胆石の発症および胆汁中CHO結晶 形成を著明に抑制し、その機序として胆汁キリン脂質の増加が関係しているもの と推察された。 以上、本研究では、摂取脂肪酸が種々の生体恒常性維持に関係することを示し、 近年急増する種々の生活習慣病予防に栄養学的な視点からの防御が有用であるこ とを、とりわけ、EPAの効果を中心に斬新な動物モデルを用いて示すことが出来 た。 審 査 結 果 の 要 旨 コレステロール(CHO)は細胞膜の構成成分として、また、種々のステロイド ホルモンの前駆体として生体の恒常性維持に必須の成分である。一方、CHOの代謝異常は動脈痍化症やCHO胆石など種々の疾患の要因となる。これ
ら・の疾患はいずれも近年本邦において急増しており、食生括の西欧化、とりわ
け、摂取する脂肪酸の量や種類の変化との関係が指摘されている。しかしなが ら、高純度の脂肪酸を用いてこれらの因果関係を検討した研究は極めて少な い一本研究は、かかる背景をもとに、CHO代謝に関連して臨床上同塵となる疾
患を対象として、その疾患モデルを作製し、高純度に精製したエイフサペンタ 畢ン酸(E抽の影響を枚討している。論文は内容より3つに大別できる。以下 にその概要を述べる。ー6-最初の実験軋外因性及び内因性の高脂血症モデルを作製し、これのモデル において、EPAカ!リボ蛋白代謝に及ぼす影響を検討している。その結果、 EPA投与ラットでは、肝臓におけるトリグリセイド作G)合成が抑制誉れ、超低 比重リボ蛋白くVLDUのTG含量が低下し七小型化することを明・らかにしてい る。い患た、Vl£Lの粒子径の変化に伴い、アポE/C比の土昇が認められ、血中 からの消失速度が速くなること●を見出している。これらの結果から、mが肝 臓におけるTG合成を抑制し、VLDLの性状をクリアランスを受け易い性質′性 状に変化させると推察している?