• 検索結果がありません。

1. 序論 p1 1.1 本研究の背景 1.2 本研究の目的 2. カーボンナノチューブ (CNT) とダイヤモ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "1. 序論 p1 1.1 本研究の背景 1.2 本研究の目的 2. カーボンナノチューブ (CNT) とダイヤモ"

Copied!
37
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

特別研究報告

題目

ダイヤモンドナノ構造体からの

カーボンナノチューブの成長

Cabon Nanotube Growth on Diamond Nanostructures

報 告 者

学生番号:1175056

氏名:角田 拓也

指 導 教 員 八田 章光 教授 ・ 古田 寛 准教授 平成 27 年 2 月 17 日 高知工科大学 大学院 基盤工学専攻 電子・光システム工学コース

(2)

1. 序論---p1 1.1 本研究の背景 1.2 本研究の目的 2. カーボンナノチューブ(CNT)とダイヤモンド---p3 2.1 カーボンナノチューブとは 2.1-1 カーボンナノチューブ(CNT)の合成方法 2.2 ダイヤモンドとは 2.2-1 ダイヤモンドの合成方法 3. ダイヤモンドナノ構造体の作製---p5 3.1 ダイヤモンドナノウィスカーの形成メカニズム 3.2 前処理 3.3 ダイヤモンド膜の合成 3.3-1 走査型電子顕微鏡を用いた評価 3.4 DC マグネトロンスパッタリングによるマスクの形成 3.5 RF 酸素プラズマエッチングによるダイヤモンドナノ構造体の形成 3.6 電界放出型電子顕微鏡を用いた評価 3.6-1 RF エッチング処理時間によるダイヤモンドナノ構造体の形状変化 3.7 O2エッチング後のダイヤモンドナノ構造体のFe の残留 3.8 ダイヤモンドナノ構造体先端の Fe 微粒子 4. カーボンナノチューブ/ダイヤモンド複合膜の作製---p17 4.1 カーボンナノチューブの合成 4.1-2 熱 CVD 合成結果 4.1-3 熱 CVD 合成最適化についての考察 4.2 O2エッチングによる Fe 触媒への影響 4.2-1 電界放出型電子顕微鏡を用いた Fe/AlO/Si サンプルの評価 4.2-2 O2エッチングによる Fe 触媒への影響の考察 4.3 H2導入を行った熱 CVD 合成 4.3-1 H2導入を行った熱 CVD 合成 4.3-2 電界放出型電子顕微鏡を用いた評価 4.3-3 H2導入量変化熱 CVD 合成サンプルの CNT 密度比較 4.3-4 熱 CVD 合成時の H2導入による効果の考察 4.4 ダイヤモンドナノ構造体先端の Fe 微粒子観察 4.4-1 透過型電子顕微鏡を用いた微粒子評価 4.4-2 ダイヤモンドナノ構造体先端の微粒子の状態についての考察 4.5 C2H2ガス流量変化による熱 CVD 合成

(3)

4.5-1 電界放出型電子顕微鏡を用いた評価 4.5-2 C2H2導入量変化熱 CVD 合成サンプルの CNT 密度比較 4.6 Ar ガス流量による C2H2流量比制御熱 CVD 合成 4.6-1 電界放出型電子顕微鏡を用いた評価 4.6-2 Ar ガス導入による熱 CVD 合成サンプルの CNT 密度比較 4.6-3 CNT が成長したダイヤモンドナノ構造体先端直径 4.7 ダイヤモンドナノ構造体全体から CNT が成長しなかったことについての考察 5. 結論---p33 謝辞 参考文献

(4)

- 1 -

第 1 章 序論

1.1 本研究の背景 近年、電力供給の安全性が見直され、電力不足が問題になっている。私たちの生活 を一層豊かにするためには、電力の節約が必要になっており、社会発展のために、省 エネが可能なナノマテリアルを利用したデバイスが求められている。その中で、優れ た特性を多数持つカーボンナノチューブ(CNT)やダイヤモンドナノ構造体などはナ ノマテリアルとして注目されている。 ダイヤモンドナノ構造体は、ダイヤモンド上に金属微粒子を堆積させ O2エッチン グにより加工することで、等間隔に針状構造が形成される。(1)このダイヤモンドナノ 構造体は電界電子放出(FE)、熱伝導性などに優れた特性を持っており冷陰極材料と して期待されている。もう一方の CNT も優れた特性を持つナノマテリアルとして、 注目を集めており、CNT は、グラフェンを筒状に巻いた構造で多種多様な構造に形成 される。例えば、構造(直径、密度、長さ)の変化によって電気伝導性、熱伝導性、 機械的特性(強度)などの優れた特性に変化し、様々な応用開発が期待されている。 CNT の利用には CNT の密度が高いことが重要であるが、CNT を合成する手法の熱 CVD 法は、熱によって触媒が熱凝集を起こし、CNT の構造が不均一になり密度が低 下するという問題がある。(2) 等間隔に形成されたダイヤモンドナノ構造体の先端にある金属微粒子を触媒にし て CNT を成長させることによって触媒が個々に孤立している為、触媒の熱凝集を抑 えられ密度低下を防ぐことが期待される。また、CNT の薄膜は冷陰極電界電子エミッ タとして理想的な候補材料と考えられており、低閾値電圧、大きな電場増強および高 い放出電流を含む CNT の電界放出特性に焦点を当てている。古田らは、6 年間の電 流放出安定性を実証した。(3) CNT と基板との界面における低い熱接触によって、電 子放射から発生するジュール熱蓄積が課題とされている。この熱の蓄積は、放出サイ トを破壊する。Deepak Varshney らは、基板として優れた熱伝導体であるダイヤモ ンドを基板とすることで CNT からの電子放射により発生するジュール熱を効率的に ダイヤモンド基板方面に発散するため非常に安定した放出電流を有した電界電子材 料を作製しており (4)、CNT とダイヤモンドの組合せには今後の電子材料の発展に大 いに寄与すると考えられる。 CNT の成長には、一種類または合金の触媒金属と支持金属を用い、シリコン基板上 に成長させるのが一般的である。CNT の最高密度は現在 1013/cm2であり、密度は下 がるものの本研究室では 1011/cm2 程度の高密度なダイヤモンドナノ構造体の形成に 成功している。(5) 1.2 本研究の目的 従来と違ったアプローチ方法として、本研究では、電界電子放出材料としての応用 の前段階としてダイヤモンドナノ構造体の先端から CNT を成長させることで CNT の

(5)

- 2 - 密度制御、高密度化(1011 /cm2)を目的とする。 論文構成 以下に本論文の構成を記す。 第 1 章では序論として、ナノマテリアルとしての応用が期待されるダイヤモンド とカーボンナノチューブ(CNT)の利点と CNT 合成の問題点に触れ、本研究の目的を 示す。 第 2 章では、一般的な CNT とダイヤモンドにおける理解について説明する。 第 3 章では、酸素プラズマによる多結晶ダイヤモンドのエッチング方法について 述べ、エッチングよって多結晶ダイヤモンド表面に形成された針状ナノ構造体 FE-SEM 観察結果を示す。 第 4 章では、異なる熱 CVD 合成条件によるダイヤモンドナノ構造体先端からの CNT の合成結果から、最適な合成条件について考察する。 第 5 章では、全体の結果を示す。

(6)

- 3 -

2 章 カーボンナノチューブとダイヤモンド

2 章では、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドの特徴や主な作製方法について説 明する。 2.1 章 カーボンナノチューブとは カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube:CNT)はフラーレン(C60)の研究の過程で、 1991 年に飯島澄男らによって報告された(6)炭素の同位体で、図 2.11 で示されるグラ フェン(graphene)と呼ばれる、炭素原子が共有結合により強く結ばれた規則正しい六 員環を構成している平面構造が、図 2.12 で示すように円筒状に丸まった構造をしてい る。グラフェンシート 1 枚のみからなる CNT を単相カーボンナノチューブ

(Single-walled Carbon Nanotube:SWNT)、複数枚のグラフェンシートが重なり円筒状 になった物を多層カーボンナノチューブ(Multi-walled Carbon Nanotube:MWNT)と呼 ぶ。SWNT の長さと直径は金属触媒の種類に依存し、長いものは数 mm、直径は約 1nm~5nm である。この CNT の直径は、触媒の大きさによって変化し、触媒が大きけ れば、CNT の直径が大きくなり、触媒が小さければ CNT の直径は小さくなる。また CNT は軸方向の機械的強度、熱伝導率が非常に高く、これはカイラリティーというグ ラフェンシートを巻く向きに由来するパラメータに依存する。このカイラリティーに よって CNT は電気的特性が導体や半導体的に変化する。また CNT 先端は、電界電子 放出に優れていることから、冷陰極エミッタの理想的な候補材料として期待されてい る。 2.2 CNT の合成方法

CNT の合成方法には、大きく分類してアーク放電法(Arc Discharge Evaporation)、レ ーザーアブレーション法(Laser Ablation)、CVD 法(Chemical Vapor Deposition)の 3 種類 の合成方法がある。また CVD 法は、熱 CVD 法、熱フィラメント CVD 法など様々な 合成方法に分類することができる。アーク放電法は、炭素電極および金属触媒を添加 した、対向する黒鉛電極間に直流電圧をかけ、放電により陽極を蒸発放電させること によって、陰極に CNT などの生成物を堆積させる方法である。大量生産に向かない が SWNT や二層 CNT など純度の高い CNT の生産に向く利点がある。 レーザーアブレーション法は、微量の触媒金属を混ぜたグラファイトターゲットに 図 2.1.1 グラフェンシート 図 2.1.2 カーボンナノチューブ

(7)

- 4 - レーザーを当てることによって、高温下で炭素を蒸発させ CNT を生成する方法であ る。効率が悪く大量生産には向かないが、物理的なパラメータの制御が容易で、直径 を制御するのに向く利点がある(6)。 今回使用する熱 CVD 法は炭素原子を含む原料ガスを反応系内に導入し、炭素ガス は熱エネルギーによって分解され、金属触媒に炭素原子が供給されることによって CNT を成長させる方法である。装置が比較的に簡易であり、プラズマの損傷が少なく、 大量生産が可能である。また、高純度で選択成長が可能という利点がある。 2.3 ダイヤモンドとは ダイヤモンドは、炭素の同位体の一つであり、炭素原子同士が共有結合している為、 物質では、最も硬い鉱物と言われており、工業分野でも研磨材料としてなど広く利用 されている。またダイヤモンドは、バンドギャップが広く、絶縁体であり、他にも熱 伝導性、高耐熱性、化学的安定性、負の電子親和力(7)など優れた特性を持っているた め、幅広い分野での応用が期待される。 2.4 ダイヤモンドの合成方法 ダイヤモンド薄膜の合成法には様々な方法があり、大まかに大別すると高温高圧合 成法(High pressure, high temperature)と CVD 法(Chemical Vapor Deposition)がある。

高温高圧合成法とは、自然界でダイヤモンドが生成される過程を模した方法であり、 非常に高い温度と高い圧力下でダイヤモンドを合成する方法である。CVD 法と比べ 大量生産に適しているが、過酷な条件に耐えられる大型設備が必要である等の欠点が ある(5)。 今回使用するマイクロ波プラズマ CVD 法は、2.45GHz のマイクロ波により炭素原 子を含む原料ガスをプラズマ化させることによって、基板上に合成・成長させる方法 であり、他の CVD に比べイオンや電子の密度が高いためダイヤモンドの成長速度が 速く、電極が不要であるため不純物も少ないなどの利点がある。

(8)

- 5 -

3 章 ダイヤモンドナノ構造体の作製

3 章ではカーボンナノチューブ/ダイヤモンドナノ構造体複合膜と、ダイヤモンドナ ノ構造体の作製について説明していく。図 3 にカーボンナノチューブ/ダイヤモンド複 合膜の作製の手順を示す。ダイヤモンド合成を行う前にシリコン基板の表面上に傷つ け処理により、ダイヤモンドを成長させるための核を作成する前処理。次にマイクロ 波プラズマ CVD 装置によりダイヤモンドを合成し、DC マグネトロンスパッタリング により金属触媒をエッチングマスクとして堆積させることで、後の RF 酸素プラズマ エッチングにより、ダイヤモンドナノ構造体を形成する。その後、熱 CVD 装置を用 いてエッチングマスクとして堆積させた触媒金属から CNT を形成することで、カー ボンナノチューブ/ダイヤモンドナノ構造体複合膜を作製した。 3.1 ダイヤモンドナノ構造体の作製 3.1 ダイヤモンドナノナノ構造体の形成メカニズム 図3.1 はダイヤモンドナノ構造体の形成メカニズムについてのエッチングイメージ である。多結晶ダイヤモンド膜上にスパッタリングにより、金属(Fe)を堆積させエッ チングマスクにする。RF 酸素プラズマによって形成された酸素イオンが自己バイア スによって加速され、エッチングマスクの堆積していない部分、または著しく薄い部 分から優先的にエッチングされていく。次第にエッチングマスクも削れていき、ダイ ヤモンドは針状に形成されていく(5)。 3.2 前処理 本研究では、低抵抗(0.02Ωcm)の n 型シリコンを基板として使用した。また、後のエ ッチング際の RF 電極のカバーに合わせるためにシリコン基板を 17mm×17mm に切断 図 3.1 ダイヤモンドナノ構造体形成のメカニズム 入射イオン(O ) 多結晶ダイヤモンド シリコン基板 + O+ O+ CO Fe Fe エタノール+ダイヤモンドパウダー エタノール 超音波洗浄機 超音波洗浄機 図 3 カーボンナノチューブ/ダイヤモンド複合膜の作製手順

(9)

- 6 - した。次にダイヤモンド膜を合成するには核が必要になるためシリコン基板に傷つけ 処理を行った。エタノールとダイヤモンドパウダーを混ぜた溶液の入ったビーカーに シリコン基板を入れ 10 分間超音波洗浄機(シーフォース株式会社製 シーシャインミ ニ STU-12)を用いて傷つけ処理を行い、処理後、ビーカーからシリコン基板を取り出 し、表面のダイヤモンドパウダーなどを落とすために、エタノールのみを入れた別の ビーカーに入れ同じように超音波洗浄機を用いて 10 秒間洗浄を行った後、まだダイ ヤモンドパウダーが表面に付着している場合があるため、窒素ガスでエアブローを行 い、表面のエタノールとダイヤモンドパウダーを吹き飛した。 3.3 ダイヤモンド膜の合成 マイクロ波プラズマ CVD 合成装置の構成図を図 3.3 に示す。ASTeX 社製 AX-6350 を用い、前処理後のサンプルをチャンバー内に入れ合成を行った。使用ガスは H2 477.5sccm、CH4 15sccm、O2 7.5sccm の混合ガスを使用しダイヤモンド合成を行った。 ここでダイヤモンドの成長に寄与するのは CH4であり、H2と O2はダイヤモンド合成 中にできたアモルファス成分(グラファイトなど)をエッチングするために用いられ た。 合成条件になるまでを 0~7 ステップで組まれている。7 の条件で 4 時間行う。ステ ップ 0~7 までの所要時間は 3 分以内であり、合成条件ではサンプル表面温度は約 740 ~760℃ほどの高温になる。 MFC MFC MFC H2 O2 CH4 G microwave vacuum air cooling water plasma regulator pulse valve 図 3.3 CVD 合成装置構成図 図 3.2 傷つけ処理手順 エタノール+ダイヤモンドパウダー エタノール 超音波洗浄機 超音波洗浄機

(10)

- 7 - 終了手順を表 3.1-2 に示す。合成時のサンプルは非常に高温なため、段階を踏まずに プラズマを消した場合にはサンプルは急激な温度変化により表面に歪が生じる。サン プルを取り出すまでのステップを 1~5 のステップを組むことでサンプルの急激な温 度変化を抑制した。各ステップは1~3 がそれぞれ 2 分、ステップ 4 を 4 分間維持し た。ステップ5 はプラズマを完全に消した状態である。 3.3-1 走査型電子顕微鏡を用いた評価 前述の条件で作製した多結晶ダイヤモンドを評価する為、走査型電子顕微鏡(SEM) を用いて観察した。 表 3.1 ダイヤモンド合成レシピ ステップ マイクロ波電力 (W) 圧力 (KPa) H2流量 (sccm) CH4流量 (sccm) O2流量 (sccm) 0 0 0 0 0 0 1 0 0.8 40 0 0 2 600 0.8 40 0 0 3 600 0.8 477.5 15 0 4 800 7.3 477.5 15 0 5 800 7.3 477.5 15 7.5 6 800 8 477.5 15 7.5 7 1000 8 477.5 15 7.5 表 3.1-2 終了手順 ステップ マイクロ波電力(W) H2流量(sccm) CH4流量(sccm) O2流量(sccm) 時間(分) 1 600 360 0 0 2 2 600 260 0 0 2 3 600 140 0 0 2 4 600 40 0 0 4 5 0 0 0 0 1μm 図 3.3-1 ダイヤモンド表面 SEM 像 図 3.3-2 ダイヤモンド断面 SEM 像

(11)

- 8 - 図 3.3-1、3.3-2 にダイヤモンド成膜後の表面 SEM 像と断面 SEM 像を示す。この結果 からダイヤモンド多結晶が Si 基板上に形成されていることが分かる。 図 3.3-1 の表面 SEM 像より、多様な配向面をもつ多結晶ダイヤモンドが観察する ことが出来る。それぞれのダイヤモンド結晶粒子は約1.6μm 程のものであることが確 認された。 図 3.3-2 に多結晶ダイヤモンド断面 SEM 像の結果から、多結晶ダイヤモンドが Si 基板上に成長していることが確認され、測定した平均膜厚は約2.5μm 程であることが 確認された。 図 3.3-3 は、縦軸が多結晶ダイヤモンド膜厚(μm)で横軸が測定位置(mm)である。測 定位置は 17mm×17mm のサンプルの端から 2mm 毎に測定した結果の平均値を示であ る。このグラフには 3.3 節の条件で作製した 3 つのサンプルを使用した。この結果か ら、作製したダイヤモンドが 15mm の範囲でデポレート誤差±77nm/時以内で形成さ れていることが分かり、再現性が±77nm/時以内あることが確認された。 図 3.3-4 は本研究で作製した多結晶ダイヤモンドのラマン分光を測定することで、 作製したダイヤモンド膜の結晶性評価を行った。アモルファス成分を多く含んだ場合 には 1333cm-1 付近のダイヤモンドのシャープなピークだけでなく、ダイヤモンドの ピーク以外のシフトにもピークが見られるようになることが知られている(7)。 Sample1 では、1330cm-1付近のダイヤモンドピーク以外のピークが殆ど見られず、 作製した多結晶ダイヤモンドが非常に高品質であることが確認された。 3.4 DC マグネトロンスパッタリングによるマスクの形成 本実験で用いた DC マグネトロンスパッタリング装置の模式図を図 3.4-1 示す。表 3.4 の条件でスパッタを行った。マスクとし堆積させる金属は後の熱 CVD 合成時の触 媒金属の役割も果たすことから、垂直配向性で長尺成長すると報告されている Fe を 使用した(2)。チャンバー内はロータリーポンプ(R.P.)とターボ分子ポンプ(T.M.P.)を用 いて 5×10-4 Pa まで真空引きされ、後に Ar ガスを 10sccm 流して T.M.P.とチャンバーの 間にあるメインバルブを調整することによりチャンバー内圧力を 8×10-1 Pa に調節し 図 3.3-3 ダイヤモンドの断面測定 図 3.3-4 ダイヤモンドのラマン測定 1000 1200 1400 1600 1800 2000 4000 6000 8000 10000 12000 Wavelength[cm-1] Int e ns it y[a rb. un t] 0 5 10 15 0 1 2 3 4 Position[mm] D ia m e te r[  m] Sample 1 Sample 2 Sample 3

(12)

- 9 - てスパッタリングを行った。関家氏の調査により、堆積レートは 0.037nm/sec であり、 堆積時間を 40.8 秒に設定することにより、膜厚換算で Fe を 1.5nm 堆積させた。これ は赤井氏の研究により Fe(1.5nm)/ダイヤモンド基板で CNT が成長したことを参考と した。また Fe 1、2、2.5nm 堆積させたサンプルでも同様の実験を行ったが、多結晶ダ イヤモンドの平面(110 面)と界面付近の窪みになっている箇所で形状に同一性などが なかった為、今回は Fe 1.5nm 堆積させたサンプルに着目した。 3.5 RF 酸素プラズマエッチングによるダイヤモンドナノ構造体の形成 Fe をエッチングマスクとして堆積させたダイヤモンド膜に DC マグネトロンスパッ タエッチング複合装置(図 3.5-1)を用いて反応性イオンエッチングを行う。エッチング ガスとして低温でも炭素と良く反応しやすいことから酸素を用い、周波数 13.56MHz の高周波を印加することでプラズマを発生させ、そこで生じた酸素イオンをセルフバ イアスにより加速させ、Etching electrode(Cu electrode)の上に置かれたサンプルに衝突 させることによってイオンによるスパッタリングと化学反応が行われ異方性エッチ ングが行われる。 図 3.4 DC マグネトロンスパッタリング装置構成図 図 3.5-1DC マグネトロンスパッタエッチング複合装置 Etching electrode Sputter electrode Target Sample Cover M B Gas(O2) TMP RP R RF 13.56MHz G Gate valve M F C

(13)

- 10 - 実験条件は表 3.5 に示す。RF 電力、チャンバー内圧力、O2流量のパラメータは、 針谷達氏が DLC でウィスカーを作製する際に使用していた条件であり(1)、最もプラ ズマが安定するため本研究で使用した。パワー密度は 4W/cm2であった。この条件に 基づきエッチング時間エッチング時間は 10、15、20、25 分と変化させエッチング時 間の変化によるダイヤモンドナノ構造体の構造変化を調査した。 3.6 電子顕微鏡を用いた表面形状評価 ダイヤモンドナノ構造体の形状と密度を観察するため、電界放出型電子顕微鏡(日 本電子株式会社製 JSM-7401)を用いてダイヤモンドナノ構造体の先端半径や密度を 高倍率で観察を行った。 ダイヤモンドナノ構造体形成過程を調べるため Fe 膜厚 1.5nm のサンプルの RF 酸素 プラズマエッチング時間変化によるウィスカー形状変化を電界放出型電子顕微鏡 (FESEM)を用いて観察した。図 3. 25.1-1~図 3.5.1-5 はそれぞれの表面 SEM 像と断面 SEM 像を観察した。表面 SEM 像はウィスカーの観察しやすいよう 30°サンプルを傾 けて撮影した。 図 3.6.1-1、2 のエッチング時間 10 分では、約 51nm 程の針状に加工されたダイヤモ ンドを確認することができ、密度が約 1.9×1011 /cm2程の密度であることが確認された。 表 3.5 エッチング条件 RF 電力(W) セルフバイアス(V) 圧力(Pa) O2流量(sccm) 9 -320 50 20 100nm 図 3.6.1-2 Fe 1.5nm O2エッチ ング 10 分後 断面 SEM 像 図 3.6.1-1 Fe 1.5nm O2エッチ ング 10 分後 表面 SEM 像 (30°傾斜)

(14)

- 11 - しかし非常に高密度なダイヤモンドナノ構造体が作製できたものの、一部で針状の構 造ではなく、網目の様なナノ構造をしている箇所が多数確認された。 図 3.6.1-3、4 のエッチング時間 15 分では、10 分間 O2エッチングを行ったサンプル と比べ非常に尖鋭な約 87nm 程の針状に加工されたダイヤモンドを確認することがで き、ナノ構造体の長さが増加したことが分かった。密度が約 1.1×1011個/cm2程の密 度であることが確認された。 図 3.6.1- 5、6 のエッチング時間 20 分では、15 分 O2エッチングしたサンプルと同 様に約 92nm 程の非常に尖鋭な針状に加工されたダイヤモンドナノ構造体を確認する 図 3.6.1-4 Fe 1.5nm O2エッチ ング 15 分後 断面 SEM 像 100nm 図 3.6.1-3 Fe 1.5nm O2エッチ ング 15 分後 表面 SEM 像 (30°傾斜) 図 3.6.1- 5 Fe 1.5nm O2エッチ ング 20 分後 表面 SEM 像 (30°傾斜) 図 3.6.1- 6 Fe 1.5nm O2エッチ ング 20 分後 表面 SEM 像

(15)

- 12 - ことができ。密度が約 1.5×1011個/cm2程の密度であることが確認された。 図 3.6.1- 7、8 のエッチング時間 25 分では、約 76nm 程の針状に加工されたダイヤ モンドを確認することができたものの、ダイヤモンド頂部では先端の丸くなったダイ ヤモンドナノ構造体が確認され。密度も約 1.3×1011 /cm2程の密度であることが確認さ れ、減少したことが分かった。 この結果から、ダイヤモンドナノ構造体の最高密度は 10 分のサンプルであること が分かる。また、10~20 分にかけてダイヤモンドナノ構造体の長さが増長傾向にある ことが分かり、20~25 分では密度と長さ共に減少傾向にあることが分かる。 図 3.6.1- 7 Fe 1.5nm O2エッチ ング 25 分後 表面 SEM 像 (30°傾斜) 図 3.6.1- 8 Fe 1.5nm O2エッチ ング 25 分後 断面 SEM 像 図3.6.1- 9 ダイヤモンドナノ構造体の密度と長さ 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 0 5 10 15 20 25 30 Den sity (10 9/cm 2) Etching time(min) le ngth (nm) Density Length 増 減

(16)

- 13 -

3.7 O2エッチング後のダイヤモンドナノ構造体の Fe の残留

O2エッチング後のダイヤモンドナノ構造体に残留している、Fe をエネルギー分散

型 X 線分析(energy dispersive X-ray spectrometry) の元素分析を用いることで分析した。

図 3.7-1 の EDS のグラフは、縦軸がカウント数、横軸がエネルギーである。この

結果より、O2エッチング 20 分行った後でも、FeKαのピークが見られたことから、O2

エッチング後でも Fe が残留していることが確認された。 次に O2エッチングなしサンプルを Fe 1nm、1.5nm 堆積させたサンプルをリファレ ンスサンプルとして、Fe 1nm 堆積させたサンプルを 10、15、20、25 分 O2エッチング を行うことで、Fe の堆積量変化を測定した。 この結果からエッチング時間の増加とともに FeKα/CKαは一律で減少していること が確認され、エッチング時間によって Fe の残留量が減少することが分かる。 図3.7-2 エッチング時間による Fe 堆積量の変化 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0 5 10 15 20 25 F ek α/Ck α Etching time(min) 図3.7-1 Fe 1.5nm O2エッチング20min 後の EDX 結果 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 0 2 4 6 8 10 Coun t Energy(keV)

Fek

α

Ck

α

(17)

- 14 - 3.7-2 ダイヤモンドナノ構造体の形状変化の考察 エッチング時間の増加と共に、Fe の残留量が変化する理由としては、エッチング中 のセルフバイアスにより、O2がサンプルをスパッタリングすることにより、Fe が減 少していると考えられ、これは図 3.6.1-6、図 3.6.1-8 の断面 SEM 像よりダイヤモンド ナノ構造体先端でエッチングマスクとして作用していた Fe がスパッタリングにより なくなり、エッチング時間 25 分では、先端が丸くなったダイヤモンドナノ構造体が 発生したと考えられる(図 3.7-2-1)。 これらの結果から、ダイヤモンドナノ構造体の Fe の残留量、密度、形状からエッチ ングサンプル 20 分のサンプルを今回使用した。 図 3.7-2-1 で示す通り、ダイヤモンドナノ構造体先端の Fe が O2エッチング時にセ ルフバイアスによりサンプル方向に加速された O2によってスパッタリングされるこ とにより、マスクの作用をしていた先端の Fe が消滅し、先端がエッチングにより CO などのガス種となり削れたと考えられる。 また、多結晶ダイヤモンドの平面部と界面付近の窪みになっている箇所では、Fe 微粒子の残留堆積量が違うと考えられる。これは陰山氏との研究の結果(6)から、極少 量の Ni を堆積させ、高密度ダイヤモンドナノ構造体を作製した際に、平面部と界面 付近などの窪みになっている箇所では、ダイヤモンドナノ構造体のエッチングレート が違うことが分かっており、本実験で使用したサンプルも図 3.7-2(a)、(b)で示すよう に、先端の丸くなったナノ構造体が一部で見られ、ナノ構造体先端直径のバラつきが 確認される平面部と比べ、より界面付近のナノ構造体が、マスク金属が残りやすく、 ナノ構造体の形状を保つことが分かっている。このことから平面部と界面付近とで Fe 堆積量(微粒子直径)が違うため、平面部と界面付近とで CNT の成長する条件が 違うのではないかと考えられる。この為、後の SEM での表面観察の際には平面部(111 面)と界面付近の二箇所に着目して実験を行った。 図 3.7-2-1 20~25 分の密度減少についてのモデル図

Fe

CO

入射イオン(O 、O+ 2+)

(18)

- 15 -

3.8 ダイヤモンドナノ構造体先端の Fe 微粒子

ダイヤモンドナノ構造体先端に Fe 微粒子の残留について透過型電子顕微鏡 (Transmission Electron Microscope: TEM)を用いて行った結果を示す。サンプルの作 製方法はダイヤモンドナノ構造体表面をダイヤモンドペンで削り、銅メッシュに削っ たサンプルを乗せることで観察した。 3.7-2 節のダイヤモンドナノ構造体の形状変化の考察で示した通り、ダイヤモンド ナノ構造体作製時の O2エッチング時にセルフバイアスによって加速された O2原子に よるスパッタリングも同時に引き起こることによって、ダイヤモンドナノ構造体先端 の Fe 微粒子が削れ、消失している可能性がある。そこで、ダイヤモンドナノ構造体 の状に存在している小さい微粒子でも観察できる TEM で Fe 微粒子の観察を行った。 TEM を用い物質の格子間距離を測定することにより、構成物質の調査と、TEM のエ ネルギー分散型 X 線分析(EDS)を用い物質を特定した。 10nm 図 3.8-1 ダイヤモンドナノ構造体先端の TEM 像 図 3.7-2(a) ダイヤモンド断面図 0 5 10 15 20 25 30 35 0 5 10 15 20 25 30 35 平面 界面 図3.7-2(b) ダイヤモンド表面の平面と界 面部におけるダイヤモンドナノ構造体先 端の直径分布

(19)

- 16 - 図 3.8-1 ダイヤモンドナノ構造体先端の TEM 像の赤い円で囲まれている円形の黒 いものが、Fe 微粒子である。ダイヤモンドナノ構造体先端に Fe 微粒子が残留してい ることが確認できた。 Fe 粒子を覆っている膜についての分析、考察は後述 4.5 節で説明する。 図 3.8-2 の EDS のグラフは、縦軸をカウント数、横軸をエネルギーである。この結 果から Fe のピークである FeKαを確認することができた。

CuKα、CuKβのピークは TEM 観察時に使用したメッシュによるものである。

0

2

4

6

8

10

10

0

10

1

10

2

10

3

10

4

Energy(KeV)

Co

unt

s

FeK

α

uarufa

α

CuK

α

CuK

β 図 3.8-2 ダイヤモンドナノ構造体先端の EDS グラフ

(20)

- 17 -

4 章 カーボンナノチューブ/ダイヤモンド複合膜の作製

4.1-1 カーボンナノチューブの合成 本実験では、カーボンナノチューブの合成に図 4.1 の装置を用い熱 CVD 合成を行 った。サンプルを図 4.1 で示される装置のボート状のサンプルホルダ上に乗せてチャ ンバー内に入れる。サンプルの導入後にチャンバー内圧力を 5.0×10-4 pa まで真空引き をし、チャンバー内の水蒸気を排気するため、チャンバー内温度を電気ヒーターによ り 120℃に加熱してある。真空引き後、チャンバー内温度を合成温度である 730℃ま で電気ヒーターを用い加熱を行う。合成温度に到達したらチャンバー内温度を安定さ せる為、3 分 30 秒プレアニールを行い。その後、マスフローコントローラー(M.F.C) で原料ガスである C2H2ガスを 10sccm 導入し、30 分間合成を行う。その後電気ヒータ ーを止め、空冷ファンを点け冷却する。 本研究室で Al2O3 (30nm) / Fe(2.0nm) / Si 基板で CNT を合成する際に使用している条 件を参考に熱 CVD 合成を行った。(2) 実験条件は表 4.1-2 である。 表 4.1 熱 CVD 合成条件 原料ガス 到達真空度 合成時間 合成温度 プレアニール時間 C2H2 5.0×10-4Pa 以下 30min 730℃ 3.5min 図4.1 熱 CVD 合成装置 Ar

(21)

- 18 - 4.1-2 熱 CVD 合成結果 表 4.1-2 の条件で合成したダイヤモンドナノ構造体表面を電界放出型電子顕微鏡 (FESEM)を用いて観察した。表面 SEM 像は観察しやすいよう 30°にサンプルを傾け て撮影された。 この結果から、ダイヤモンドナノ構造体先端からの CNT は約 2.2 本/cm-2と非常に 少数ではあるが確認することができた。しかし、ほとんどの箇所で CNT の成長を確 認することができず、熱 CVD 条件の最適化が求められる。 4.1-3 熱 CVD 合成最適化についての考察 ダイヤモンドナノ構造体から CNT が成長しなかった理由として、まず炭素供給量の 不一致がある。図 4.1-3 で示すように、触媒への炭素ガスの供給量が少ないと CNT の 成長に不十分であり、炭素ガスが多すぎると触媒表面に炭素膜を作り触媒が失活する という報告がある。触媒を失活させず、成長に必要な炭素量を見つけることが必要で あり、今回の条件がダイヤモンドナノ構造体の成長に合っていなかったのではと考え られる。 上記については本研究室赤井氏が、ダイヤモンドナノ構造体と Al2O3 (30nm) / Fe(2.0nm) / Si 基板を合成圧力 37Pa、54Pa、100Pa、150Pa(熱 CVD 装置のバルブ調整に よる圧力変化が困難だったため、M.F.C で C2H2の流量を変化させ変えるものとする) と変化させることで、サンプルへの炭素供給量を変化させる実験を行っており、その 結果から Al2O3 (30nm) / Fe(2nm) / Si 基板では、合成圧力 54Pa では直径 9.52nm~ 19.05nm、圧力 150Pa では直径 11.9nm~19.05nm の CNT が確認されたものの、ダイヤ モンドナノ構造体では、先端に確認された Fe 触媒と先の CNT 直径が、ほぼ同直径で あるにも関わらず成長していなかったことから(図 4.1-4)、触媒粒子の大きさが原因 ではないと考えられ。また、同条件で行った Fe(1.5nm)/ダイヤモンド基板では、CNT が確認されたことから、ダイヤモンドという材質が CNT の成長を阻害していること は考えにくいと報告されている。これらのことから、ダイヤモンドからダイヤモンド 図4.1-2 ダイヤモンドナノ構造体の熱 CVD 合成結果(30°傾斜) 100nm

(22)

- 19 - ナノ構造体を形成する過程に使用する O2エッチングの影響について考え、次節で調 査した。 4.2 O2エッチングによる Fe 触媒への影響 この節では、O2エッチングが及ぼす Fe 触媒への影響について調査する。 ダイヤモンドナノ構造体から CNT が成長しない原因についての考察として、ダイヤ モンドナノ構造体作製時の O2エッチングが CNT の成長に悪影響をおよぼしている可 能性がある。 本実験では、下記に示す二つのサンプルを用いた。本研究室のこれまでの結果から CNT が成長することが確認されている Si 基板上に Fe(2.0nm) /Al2O3 (30nm)堆積させ 図4.1-3 熱 CVD 合成時の炭素供給量変化の影響 触媒への C+が少なすぎて CNT にならない。 C+ 炭素膜 触媒への C+が多すぎて炭 素膜ができる。 0 5 10 15 20 25 30 0 20 40 60 80 100 120 140 160

D

ia

m

eter

(nm

Pressure(Pa)

図 4.1-4 Fe / Al2O3 / Si 基板の CNT の直径と圧力のグラフ

(23)

- 20 - たサンプルを用い、一方をダイヤモンドナノ構造体を作製する際と同一条件で O2エ ッチング 10 分間行い、もう一方を O2エッチングを行わずに、合成を行った。 図 4.2 は Fe(2.0nm) / Al2O3 (30nm) / Si 基板に O2エッチングを 10 分間行った後、熱 CVD 合成をしたサンプルの実際の写真である。黒く見えるのは CNT でありエッチングエ リアと記入されているエリアは、O2エッチングを行ったエリアである。エッチングエ リアと非エッチングエリアにおいての変化が顕著であり、O2エッチングが Fe 触媒に 影響を与えたことが確認された。 4.2-1 電界放出型電子顕微鏡を用いた Fe/AlO/Si サンプルの評価 O2エッチングによる触媒の影響を調べるため、Fe(2.0nm) / Al2O3 (30nm) /Si 基板の サンプルと前述条件サンプルに O2エッチングを 10 分間行ったサンプルに熱 CVD 合 成をしたものを電界放出型電子顕微鏡(FESEM)を用いて観察した。 図 4.2-3-1 の Fe(2.0nm) / Al2O3 (30nm) /Si 基板からは、CNT の成長が基板全体で一様 成長していることを確認することができたが、図 4.2-2 の Fe(2.0nm) / Al2O3 (30nm) /Si 基板に O2エッチングを 10 分間行ったサンプルでは、CNT の成長はほとんど確認でき なかった。 エッチングエリア 図 4.2 O2エッチング 10 分間行った Fe(2.0nm) / Al2O3 (30nm) /Si 基板の写真

1μm

図 4.2-1 O2エッチングなし CNT 成長影響の SEM 像 図 4.2-2 O2エッチング 10 分後 CNT 成長影響の SEM 像

(24)

- 21 - 4.2-3 O2エッチングによる Fe 触媒への影響の考察 上記の結果より、O2エッチングによる CNT 成長影響が確認された。 図 4.2-2 の Fe(2.0nm) / Al2O3 (30nm) / Si 基板に O2エッチングを 10 分間行ったサン プルは、図 4.2-1 の O2エッチングなしのサンプルより CNT 密度が低く、O2エッチン グが CNT の成長に大いに関係している可能性が高いと考えられる。図に示すモデル 図の様に O2 エッチングにより触媒が酸化し、触媒としての作用を失活している可能 性が考えられ、ダイヤモンドナノ構造体からの CNT 成長を阻害している要因である と考えられる。 4.3 H2導入を行った熱 CVD 合成 熱 CVD 合成時に H2を導入することによる CNT の成長変化についての調査を行っ た。ダイヤモンドナノ構造体を作製する時のプロセスである O2エッチングがダイヤ モンドナノ構造体先端の金属微粒子触媒を酸化し触媒機能を失活させている可能性 がある。この為熱 CVD 合成時に H2を導入することで、酸化した触媒を還元させ触媒 本来の能力を取り戻せることを予測し、実験を行った。 4.3 -1 H2導入を行った熱 CVD 合成 図 4.3-1-1~2 は 4.2 節と同様に Fe(2.0nm) / Al2O3 (30nm) / Si 基板サンプルに O2エッ チングを 10 分間行ったサンプルを、熱 CVD 合成時に C2H2 10sccm H2 10sccm を導入 したサンプルである。 この結果より、エッチングエリアにおいても CNT が確認された。 図4.2-3 O2エッチングにより触媒が酸化したモデル図 O+ FeO2 Fe+ Fe 図 4.3-1-1 O2 エッチング 10 分間行った Fe(2.0nm) / Al2O3 (30nm) /Si 基板の写真 エッチングエリア 1μm 図4.3-1-2 O2エッチング 10 分後 CNT 成長影響のSEM 像

(25)

- 22 - 次に還元に最適な H2量を調べるために H2導入量を変化させて、実験を行った。 実験条件表に示す通り、原料ガス C2H2 10sccm に固定し、到達真空度 5.0×10-4Pa、合 成時間 30min、合成温度 730℃、プレアニール時間 3.5min、水素流量を 10sccm、30sccm、 50sccm、100sccm(以下合成水素流量とする)と変化して実験を行った。 実験方法は 730℃の熱 CVD 合成温度に到達するまでの昇温から合成前まで M.F.C で水素を 40sccm 流し続け、CVD 合成前に合成水素量に流量を変え合成終了と同時に M.F.C で水素を止める手順で行った。 表 4.3 熱 CVD 合成条件 4.3-2 電界放出型電子顕微鏡を用いた評価 還元に最適な H2量を調べるため水素流量を 10sccm、30sccm、50sccm、100sccm と 変化させて実験を行ったサンプルを電界放出型電子顕微鏡(FESEM)を用いて観察し た。図 4.3-2(a)~図 4.3-2(d)はそれぞれの表面 SEM 像を観察した。表面 SEM 像は観察 しやすいよう 30°にサンプルを傾けて撮影された。 この結果から、全ての条件でダイヤモンドナノ構造体先端から CNT が成長してい ることが確認された。CNT はダイヤモンドナノ構造体全体から成長しているわけでは なく、極一部のナノ構造体からの成長であり、成長した CNT はナノ構造体先端から 先端へネットワーク上に成長していることが確認された。この時の CNT の直径は約 6~10nm 程であり、単層の CNT が成長していることが分かる。また図 4.3-2(d)の様に 非常に高密度に成長したもの確認することができた、ダイヤモンドナノ構造体先端に 原料ガス 到達真空度 合成時間 合成温度 プレアニール時間 合成水素量 C2H2 5.0×10 -4 Pa 以下 30min 730℃ 3.5min 変化 100nm 100nm 100nm 100nm (a) (b) (c) (d) 4.3-2 C 2H2 10sccm (a)H2 10sccm (b)H2 30sccm (c)H2 50sccm (d)H2 100sccm で熱 CVD 合成したダイヤモンドナノ構造体SEM 像

(26)

- 23 - は約 18.8±3.6nm 程の白い粒子状の物体を確認することができ、この白い粒子状の物 体から CNT が成長していることが分かる。 4.3-3 H2導入量変化熱 CVD 合成サンプルの CNT 密度比較 H2 流量を変化されることにより、CNT 密度にどの様な変化が生じたのか図のグラ フに示す。横軸は H2流量であり、縦軸は密度となっている。また、多結晶ダイヤモ ンドの表面構造による違いの鮮明化として平面(111 面)と界面付近と測定箇所を明 確に分け、CNT の密度にどの様な違いが生じたのか明確にする。サンプリング数は平 面(111 面)、界面付近共に 10 個のデータから導出した。 図 4.3-3(a)のグラフは縦軸が CNT の密度、横軸が H2流量である。平面(111 面)と 界面付近の CNT 密度を平均化したものである。この結果より H2流量を増加させるこ とにより、CNT 密度が増加傾向にあることが分かる。しかし、最大密度では H2流量 を増加させるごとに増加していることが確認でき、H2 100sccm 導入した際の CNT の 密度は約 1.6×1010 /cm2であるが、平均の密度では H2流量 10~50sccm までの CNT 密度 がある一定の密度増加をしている一方、50~100sccm の変化時では、少量の CNT の 密度増加に留まっていることが確認され約 6×109 /cm2であった。非常にバラつきがあ ることが確認された。 図 4.3-3(b)のグラフは縦軸が CNT の密度、横軸が H2流量である。平面(111 面)に 着目して、CNT の密度を導出したものである。この結果より、平均値では H2流量を 増加させることにより、密度が増加していることが確認されるが、H2流量 50sccm が 最大の CNT 密度(1.2×1010 /cm2)を確認することができた。 図 4.3-3(c)のグラフは、多結晶ダイヤモンドの界面付近に着目して、CNT の密度を 図4.3-3-1 ダイヤモンドナノ構造体の H2導入量変化熱CVD 合成結果 (a)平均 (b)111 面 (c)界面付近 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 20 40 60 80 100 120 (a) H2流量(sccm) 密度 (10 9/c m 2) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 20 40 60 80 100 120 H2流量(sccm) 密度 (10 9/c m 2) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 20 40 60 80 100 120 H2流量(sccm) 密度 (10 9/c m 2) 最大 平均 最小 (b) (c)

(27)

- 24 - 導出したものである。この結果より、H2 流量を増加させることにより、CNT 密度が 増加傾向にあることが分かる。また、比較的に界面付近のダイヤモンドナノ構造体か らの CNT 密度の方が高い。 4.3-4 熱 CVD 合成時の H2導入による効果の考察 H2を導入することでダイヤモンドナノ構造体先端から CNT が成長させることに成 功した。これは触媒が H2によって還元され、触媒の本来の力を取り戻したと考えら れる(図 4.3-4)。 CNT は基板全域から成長しているものの、バラつきが見られる、また密度が目標に する値に程遠いので、密度を増やしていくことが今後の課題である。合成 H2流量が 増えると CNT 密度が増加傾向に見られたのは、H2による触媒の還元が流量を増加さ せることにより、より活発になったのではないかと考えられる。これ以上の密度増加 を目指すため、ダイヤモンドナノ構造体先端の触媒の状態を知る必要があると考えら れる。また、H2流量を増加させることによる全体流量からの C2H2流量比が減少し、 よりダイヤモンドナノ構造体先端の Fe からの CNT 合成する条件に近づいたのではと 考えられる。 図 4.3-2(d)の SEM で確認された白い粒子状物質は、TEM で確認した Fe とほぼ同 程度の直径をしており、また CNT がそこから成長していたことから Fe であると考え られる。白い粒子状の物質が確認されなかった場合でも、ナノ構造体からの SWCNT の成長をしており、先端が丸くなったダイヤモンドナノ構造体からは CNT の成長が 確認されなかったが、これは、先端に堆積していた Fe が、O2エッチング中のスパッ タリングにより消失し、ダイヤモンドナノ構造体の先端が削れた為だと考えられる。 4.4 ダイヤモンドナノ構造体先端の Fe 微粒子観察 CNT の密度増加をさせるため、熱 CVD 合成後のダイヤモンドナノ構造体先端の Fe 図4.3-4 熱 CVD 合成時の水素導入による効果 入射イオン(O 、O2 ) Fe + + FeO O2エッチング 熱CVD合成 導入ガス C2H2 C 導入ガス C2H2、H2 H2 H2O、OH C O2エッチングにより、Fe 触媒が全体的に酸化 Fe触媒が失活 従来 改善

(28)

- 25 - 触媒金属の状態を知る必要がある。本実験では透過型電子顕微鏡を用い、Fe 触媒の状 態を観察、評価を行う。サンプルの作製方法はダイヤモンドナノ構造体表面をダイヤ モンドペンで削り、銅メッシュに削ったサンプルを乗せることで観察した。 4.4-1 透過型電子顕微鏡を用いた微粒子評価 図 4.4-1-1(a)が、導入ガス H2 50sccm C2H2 10sccm の条件下で、熱 CVD 合成を行っ た後、TEM で観察したものである。 図 4.4-1-1(a)より、微粒子の直径は約 9.6nm~15nm であった。ダイヤモンドナノ構造 体先端に Fe 微粒子が残留していることが確認できた。図 4.4-1-1(b)は図 4.5-1-1(a)を拡 大した図である。格子間距離を測定してみると、約 0.13nm であった。 図 4.4-1-1 のダイヤモンドナノ構造体先端の微粒子の TEM 像は、CVD 条件 C2H2 10sccm、合成水素流量 50sccm のダイヤモンドナノ構造体先端の微粒子に注目して撮 った TEM 像である。赤い円で囲っている黒い物質は図 4.5-1-3~4.5-1-4 に示した TEM を用いた EDS マッピングにおいて Fe 微粒子触媒であることが確認された。触媒の周 辺に膜状のものを観察することができ。この膜は多くの Fe 触媒の全体を覆っている ことが確認された。 図4.4-1-1(a) ダイヤモンドナノ構造体先端の微粒子の TEM 像 (b) ダイヤモンドナノ構造体先端の微粒子の格子間距離観察 図4.4-1-3 ダイヤモンドナノ構造体 先端の微粒子のTEM 像(EDS マッ ピング) 図 4.4-1-4 ダイヤモンドナノ構造体 先端の微粒子のTEM 像(EDS マッ ピング) (b) (a)

(29)

- 26 - 4.4-2 ダイヤモンドナノ構造体先端の微粒子の状態についての考察 上記の結果より触媒の膜が CNT の成長を妨げている可能性が高い。 膜は CVD 合成時の C2H2ガスにより炭素膜を形成している可能性が考えられる。合成 時に H2 を導入すると触媒への炭素供給量が減少し、炭素膜の形成を抑制したと考え られ、Fe が触媒の能力を維持することが出来た為、CNT の密度が上昇したと考えら れる。私の研究室の M.F.C では、合成水素流量 100sccm が限界だったので、合成水素 流量 100sccm で固定し C2H2量を減らすことで基板への炭素供給量を減らす実験を行 う必要があり、次節で行った。 4.5 C2H2導入量変化を行った熱 CVD 合成 4.4 節より Fe 触媒が炭素の膜で覆われていることが確認された。この節では、H2流 量を 100sccm で固定し、C2H2流量を 5、15、20sccm と変化させることにより炭素ガ スの供給量を変化させ、その時の CNT 密度変化を電界放出型電子顕微鏡(FESEM)を 用いて観察する。 4.5-1 電界放出型電子顕微鏡を用いた評価 還元に最適な C2H2量を調べるため C2H2流量を 5sccm、15sccm、20sccm と変化させ て実験を行ったサンプルを電界放出型電子顕微鏡(FESEM)を用いて観察した。図 4.5-1(a)~図 4.5-1(c)はそれぞれの表面 SEM 像を観察した。表面 SEM 像は観察しやす いよう 30°にサンプルを傾けて撮影された。 100nm100nm (a) (b) (c) 図4.5-1 H2 100sccm C2H2 (a) 5sccm (b) 15sccm (c) 20sccm で 熱CVD 合成したダイヤモンドナ ノ構造体SEM 像

(30)

- 27 - この結果から、全ての条件でダイヤモンドナノ構造体先端から CNT が成長してい ることが確認された。4.3 節と同様に CNT はダイヤモンドナノ構造体全体から成長し ているわけではなく、極一部のナノ構造体からの成長であり、成長した CNT はナノ 構造体先端から先端へネットワーク上に成長していることが確認された。この時の CNT の直径は約 6~10nm 程であり、単層の CNT が成長していることが分かる。 また、C2H2 15~20sccm の界面付近の窪みになった箇所において、図 4.5-1(d)~(e)の ような傾向が見られた。 図 4.5-1(d)~(e)から、界面付近の窪みになっている箇所に関して、C2H2 15sccm では、 約 32~43nm 程の直径のカーボンナノファイバー(CNF)の形成が確認された。C2H2 20sccm でも同様に約 26~65nm 程の CNF が確認され、また、ダイヤモンドナノ構造 体を覆う膜のような物質も各所で見られた。 4.5-2 C2H2導入量変化熱 CVD 合成サンプルの CNT 密度比較 C2H2流量を変化されることにより、CNT 密度にどの様な変化が生じたのか図 4.5-2 ~4 のグラフに示す。横軸は C2H2流量(sccm)であり、縦軸は密度(/cm2)となっている。 また、多結晶ダイヤモンドの表面構造による違いの鮮明化として平面(111 面)と界 面付近と測定箇所を明確に分け、CNT の密度にどの様な違いが生じたのか明確にする。 図4.5-2 ダイヤモンドナノ構造体の C2H2導入量変化熱CVD 合成結果 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 5 10 15 20 25 C2H2流量(sccm) 最大 平均 最小 密度 (10 9/c m 2)

100nm

図4.5-1 H2 100sccm C2H2 (d) 15sccm (e) 20sccm で熱 CVD 合成し たダイヤモンドナノ構造体界面のSEM 像(30°傾斜) (d) (e)

(31)

- 28 - 図 4.5-2 のグラフは縦軸が CNT の密度、横軸が C2H2流量である。平面(111 面)と界 面付近の CNT 密度を平均化したものである。この結果より C2H2流量 5~20sccm の範 囲ではほぼ一定の密度 約 6×109 /cm2程度の CNT の成長が確認され、最小の密度に関 しても C2H2の導入流量を変化させても、あまり大きな変化は確認することが出来な かった。また 4.3-3 節同様に CNT 密度にバラつきが大きいことが確認された。 図 4.5-3、4 のグラフは縦軸が CNT の密度、横軸が C2H2流量である。 この結果より、平面部では、C2H2流量を減少させることで、CNT の密度が上昇傾 向にあることが分かる。しかし、最大の密度に関しては、C2H2 10sccm のサンプルが 最大の密度であった。 界面付近では、C2H2流量 5~10、15~20sccm の区間では、ほぼ一様な密度で CNT が成 長していることが分かるが、C2H2流量 10~15(sccm)では、密度が増加したことが分か る。界面付近に関しても C2H2 10sccm のサンプルが最大の密度であった。 4.6 Ar ガス流量による C2H2流量比制御 C2H2の MHF が 10sccm 以下を導入する際に、安定をしなかった為、さらなる実験 条件をふる為には、他のアプローチが必要になる。この節では、還元に最適な条件を 調べるため新たに Ar を導入し、H2と Ar 流量を変化させることにより、熱 CVD 合成 時の C2H2と H2の流量比の変化をさせる実験を行った。熱 CVD 合成時の合計流量を 約 200sccm になるように計算して行った。手順は 4.1 節と同一で、図 4.1 の熱 CVD 装 置を用い合成時に C2H2ガスと H2ガスを導入し作製した。作製したサンプルは、電界 放出型電子顕微鏡(FESEM)を用いて観察する。実験条件は表 4.6 に示す。Ar に使用し ているマスフローが N2のものであるためコンバージョンファクターにより、Total 流 量に若干の差が生じている。 図4.5-3 ダイヤモンドナノ構造体 のC2H2導入量変化 熱CVD 合成結果(111 面) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 5 10 15 20 25 最大 平均 最小 C2H2流量(sccm) 密度 (10 9/c m 2) 図4.5-4 ダイヤモンドナノ構造体 のC2H2導入量変化 熱CVD 合成結果(界面付近) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 5 10 15 20 25

(32)

- 29 -

4.6-1 電界放出型電子顕微鏡を用いた評価

還元に最適な条件を調べるため新たに Ar 流量を導入し、熱 CVD 合成時の H2と C2H2

の流量比の変化をさせて実験を行ったサンプルを電界放出型電子顕微鏡(FESEM)を 用いて観察した。図 4.6-2(a)~(e)はそれぞれの表面 SEM 像を観察した。表面 SEM 像 は観察しやすいよう 30°にサンプルを傾けて撮影された。 図 4.6-1(a)~(f)の結果から、全てのサンプルにおいてダイヤモンドナノ構造体先端か ら CNT を観察することができた、この時の CNT はダイヤモンドナノ構造体全体から 成長しているわけではなく、極一部のナノ構造体からの成長であり、成長した CNT 表4.6 Ar 導入熱 CVD 合成条件 C2H2(sccm) H2(sccm) Ar(sccm) Total(sccm) 5 100 91 196 10 60 130 200 10 100 91 201 15 55 130 200 20 60 117 197 20 100 78 198 100nm (a) (b) (c) (d) (e) (f) 図 4.6-1 (a)C2H2 5sccm H2 100sccm Ar 91sccm (b)C2H2 10sccm H2 60sccm Ar 130sccm (c)C2H2 10sccm H2 100sccm Ar 91sccm (c)C2H2 15sccm H2 55sccm Ar 130sccm (d)C2H2 15sccm H2 55sccm Ar 130sccm (e)C2H2 20sccm H2 60sccm Ar 117sccm (f)C2H2 20sccm H2 100sccm Ar 78sccm

(33)

- 30 - はナノ構造体先端から先端へネットワーク上に成長していることが確認された。この 時の CNT の直径は表 4.6-1 であり、単層の CNT が成長していることが分かる。また 全ての測定箇所において一定の個数の CNT が確認できた。また図 4.6-1(d)の様に非常 に高密度に成長したもの確認することができ、C2H210sccm H2 100sccm(図 4.3-2(d)) と同様で白い粒子状の物体から CNT が成長していることが分かる。 4.6-2 Ar ガス導入による熱 CVD 合成サンプルの CNT 密度比較 新たに Ar を導入し、C2H2と H2流量を変化させることにより、CNT 密度にどの様 な変化が生じたのか図 4.6-2-1 のグラフに示す。横軸は Total 流量(C2H2+H2+Ar)におけ る C2H2の流量比(C2H2/C2H2+H2+Ar)であり、縦軸は密度となっている。また、多結晶 ダイヤモンドの表面構造による違いの鮮明化として平面(111 面)と界面付近と測定箇 所を明確に分け、CNT の密度にどの様な違いが生じたのか明確にする。サンプリング 数は平面(111 面)、界面付近共に 10 個のデータから導出した。 図 4.6-2-1 のグラフは縦軸が CNT の密度、横軸は Total 流量(C2H2+H2+Ar)における C2H2の流量比(C2H2/C2H2+H2+Ar)である。平面(111 面)と界面付近の CNT 密度を平 図4.6-2-1 ダイヤモンドナノ構造体の Ar 導入量変化熱 CVD 合成結果 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% H250% 最大 平均 最小 H250% H230% 最大 平均 最小 C2H2/Total流量 密度 (10 9/c m 2) 平面 界面 平均(nm) 標準偏差(nm) 平均(nm) 標準偏差(nm) C2H25sccm H2 100sccm Ar 91sccm 4.22 2.34 5.03 2.46 C2H2 10sccm H2 60sccm Ar 130sccm 5.62 1.28 7.93 4.41 C2H2 10sccm H2 100sccm Ar 91sccm 5.12 1.16 6.75 3.27 C2H2 15sccm H2 55sccm Ar 130sccm 4.65 2.04 5.89 3.33 C2H2 20sccm H2 60sccm Ar 117sccm 5.59 1.94 6.45 1.71 C2H2 20sccm H2 100sccm Ar 78sccm 4.31 0.83 7.08 4.38 表 4.6-2 Ar ガス流量による C 2H2流量比制御 CNT 直径

(34)

- 31 - 図4.6-2-3 ダイヤモンドナノ構造体 の Ar 導入量変化熱 CVD 合成結果 (界面付近) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% H250% 最大 平均 最小 H250% H230% 最大 平均 最小 C2H2/Total流量 密度 (10 9/c m 2) 均化したものである。この結果より平均値では、C2H2流量比 3~8%において、密度 増加が確認され、8~10%の範囲では、密度が減少すること確認された。Total 流量に 対し C2H2流量比 8%で最大密度 2×1010/cm2となることが確認された。また、C2H2流 量比 5%、10%に関して、H2流量比を上昇させた方がより密度が高くなることが確認 された。全てのサンプルにおいて平均、最小の密度が、C2H2と H2を導入のみのした サンプルよりも、より増加していることが確認された。 図 4.6-2-2、3 のグラフは縦軸が CNT の密度、横軸が Total 流量(C2H2+H2+Ar)にお ける C2H2の流量比(C2H2/C2H2+H2+Ar)で、多結晶ダイヤモンドの平面(111 面)と界 面付近に着目して、CNT の密度を導出したものである。この結果より、双方ともに C2H2流量比 3~8%において、密度増加が確認され、8~10%の範囲では、密度が減少 すること確認された。Total 流量に対し C2H2流量比 8%で平面では、最大密度 1.3× 1010/cm2と界面付近で 2×1010/cm2となることが確認され、平面(111 面)と界面付近 で密度の違いが確認され、より界面付近で密度が増加した。 4.6-3 CNT が成長したダイヤモンドナノ構造体先端直径 極一部のダイヤモンドナノ構造体からしか、CNT が成長しなかった原因として、 ダイヤモンドナノ構造体の形状の違いが関係していると考えられる。 CNT が成長した、ダイヤモンドナノ構造体先端直径としなかったナノ構造体を調 べることで、原因の究明を行った。 図 4.6-3 は縦軸がダイヤモンドナノ構造体の個数であり、横軸がダイヤモンドナ ノ構造体の先端直径である。この結果から、CNT が成長したものと成長しなかった ダイヤモンドナノ構造体先端直径に違いが見られることが確認された。 CNT が成長しなかったサンプルは先端直径が 3~10nm、16~25nm の範囲であるこ とが分かり、CNT が成長したサンプルでは 8~18nm であることが確認された。 図4.6-2-2 ダイヤモンドナノ構造体 のAr 導入量変化熱 CVD 合成結果(111 面) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% C2H2/Total流量 密度 (10 9/c m 2)

(35)

- 32 - 4.7 ダイヤモンドナノ構造体全体から CNT が成長しなかったことについての考察 H2導入量変化、C2H2導入量変化、Ar 導入と条件を変化させ合成をしてきたが、 条件の変化により、CNT の最大密度、平均、最低密度に関し、ダイヤモンドナノ構 造体の 5~13%の、極一部のダイヤモンドナノ構造体からしか、CNT が成長しなか った原因として、Fe 触媒の粒径が大きく影響したと考えた。図 4.7-1 の熱 CVD 合 成後の TEM 像より、ナノ構造体先端直径が 7.7nm に対して、上の Fe が 22nm の大 きな粒径のものが確認され、また、図 4.7-2 の C2H2 15sccm H2 55sccm Ar 130sccm の条件で熱 CVD 合成をしたサンプルの SEM 像より、CNT が成長したダイヤモン ドナノ構造体先端の直径が約 5~12nm に対し、上に乗った Fe 粒子が 9~20nm だった ことから。Fe の凝集があったのではないかと考えられ、これにより CNT の成長に 適した Fe 触媒の直径が少なくなったことが原因ではないかと考えた。 しかし、CNT の直径は 2.7nm~10nm の直径のものも確認されたため、凝集が抑え られている箇所もあると考えた。 図4.6-3 ダイヤモンドナノ構造体先端直径と CNT 成長の関係 ダイヤモンドナノ構造体先端直径(nm) 0 2 4 6 8 10 12 14 0 5 10 15 20 25 30 35 0 5 10 15 20 25 30 CNT の成長 なし ダイ ヤモンド ナ ノ 構 造体個 数( 個 ) CNT の 成 長し た ダイ ヤ モン ド ナ ノ 構 造体 個 数(個) CNT成長あり CNT成長なし 10nm 7.7nm 22nm 直径(nm) ダ イ ヤ モ ン ド ナ ノ構 造 体 先 端 個数(個) 先端の Fe 微粒子個数(個) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 2 4 6 8 10 12 14 0 10 20 30 図4.7-2 ダイヤモンドナノ構造体 先端直径とFe 微粒子直径の関係 図4.7-1 ダイヤモンドナノ構造体 先端TEM 像

(36)

- 33 - 図 4.7-3 に熱 CVD 合成後の Fe の熱凝集のモデル図を示す。ダイヤモンドナノ構造 体先端の直径より、倍の直径の Fe 微粒子が確認されたことから、熱 CVD 時にナノ 構造体側面に存在する Fe を凝集し、大粒径化したのではないかと考えた。 図 4.7-4 に O2エッチングによるダイヤモンドナノ構造体先端の Fe 微粒子の減少の モデル図を示す。ダイヤモンドナノ構造体先端直径が 16nm~の箇所では、O2エッ チング中のスパッタリングにより Fe が削れ、先端に残っていなかった為に CNT が 成長しなかったのではないかと考えた。

5 章 結論

ダイヤモンドナノ構造体作成時の O2エッチングが Fe 触媒に影響を及ぼし、CNT の成長を阻害していることが分かった。熱 CVD 合成時に H2を導入することにより、 ダイヤモンドナノ構造体先端の微粒子から CNT を成長させることに成功した。H2 導入量を 10sccm から 100sccm に増加させることにより、CNT 密度が増加すること が分かった。さらに Ar を導入することにより、C2H2と H2の混合ガスを導入したサ ンプルより 1.8 倍の CNT 密度の増加に成功した。C2H2 15sccm H2 55sccm Ar 130sccm において平均密度が約 1.1×1010/cm2程度の CNT の成長を確認することが出 来たが、当初の目標であるダイヤモンドナノ構造体全体から CNT を成長させるこ とは出来ず、ダイヤモンドナノ構造体の密度 1.5×1011 /cm2の CNT 成長を目指してい たが、結果は約 7%程のダイヤモンドナノ構造体からの成長であった。 熱CVD Fe 図4.7-3 ダイヤモンドナノ構造体 先端のFe 微粒子の熱凝集 図4.7-4 O2エッチングによるダイヤ モンドナノ構造体先端のFe 微粒子の 減少

(37)

- 34 - 謝辞 本研究を進めるにあたり、丁寧な御指導とご教授をしていただいた高知工科大学 工学部 電子光システム工学科 八田章光教授及び古田寛准教授に厚くお礼申しあ げます。また、研究が難航した時などに助言、協力いただいた赤井洋輝氏には多く の場面で助けていただきました。本当にありがとうございます。 本研究を進めるにあたり、実験装置の使い方をはじめご指導を頂きました針谷達氏、 小路紘史氏をはじめとする八田・古田研究室の皆様に深く感謝いたします。 本論文をまとめるにあたり、論文副査を御担当頂きました牧野久雄准教授に感謝の 意を表します。 参考文献 (1) 針谷 達 特別研究報告書『プラズマエッチングによる自己組織的 DLC ナ ノファイバー形成過程の分析』(2013 年) (2) 小路 紘史 特別研究報告書『CNT 成長における Ni 積層 Fe/Al 触媒微粒 子の制御』(2013 年)

(3) H.Furuta, H.Koji, T.Komukai, A.Hatta『Long lifetime emission from screen printing carbon nanotubes over 45,000 hours at 1.27mA/cm2 with 10 % duty ratio』 Dia.Rel.Mat.35(2013) 29-35

(4) Deepak Varshney, Anirudha V. Sumantc, Brad R. Weinerb, d, Gerardo Morell 『Growth of carbon nanotubes on spontaneously detached free standing diamond films and their field emission properties』Dia.Rel.Mat.30(2012) 42-47

(5) L. Yang, Q. Yang, C. Zhang, Y.S. Li『Vertically aligned carbon nanotubes/diamond double-layered structure for improved field electron emission stability』 Thin Solid Films.549 (2013) 42-45 (6) 陰山和臣 特別研究報告書 『RF 酸素プラズマエッチングによるダイヤモン ドウィスカーの形成と評価』(2013 年) (7) 吉川昌範・大竹尚登 共著 『図解気相合成ダイヤモンド』(オーム社、1995 年) (8) 赤井 洋輝 卒業研究報告『ダイヤモンドナノ構造体からカーボンナノチ ューブ』(2014 年)

図 3.7-1 の EDS のグラフは、縦軸がカウント数、横軸がエネルギーである。この

参照

関連したドキュメント

或はBifidobacteriumとして3)1つのnew genus

を塗っている。大粒の顔料の成分を SEM-EDS で調 査した結果、水銀 (Hg) と硫黄 (S) を検出したこと からみて水銀朱 (HgS)

―自まつげが伸びたかのようにまつげ 1 本 1 本をグンと伸ばし、上向きカ ールが 1 日中続く ※3. ※3

「1 カ月前」「2 カ月前」「3 カ月 前」のインデックスの用紙が付けられ ていたが、3

画像 ノッチ ノッチ間隔 推定値 1 1〜2 約15cm. 1〜2 約15cm 2〜3 約15cm

 活動回数は毎年増加傾向にあるが,今年度も同じ大学 の他の学科からの依頼が増え,同じ大学に 2 回, 3 回と 通うことが多くなっている (表 1 ・図 1

区部台地部の代表地点として練馬区練馬第1観測井における地盤変動の概 念図を図 3-2-2 に、これまでの地盤と地下水位の推移を図

建屋の概略平面図を図 2.1-1 に,建屋の断面図を図 2.1-2 及び図 2.1-3 に,緊急時対策所 の設置位置を図 2.1-4 に示す。.. 7 2.2